JP4079898B2 - 有機無機ハイブリッドガラス状物質 - Google Patents

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Description

本発明は、ゾルゲル法に用いられる原料を出発原料とする有機無機ハイブリッドガラス状物質に関する。
600℃以下で軟化する材料としては、高分子材料や低融点ガラスなどが有名であり、古くから封着・封止材料、パッシベーションガラス、釉薬など、多くのところで用いられてきた。高分子材料と低融点ガラスでは、その諸物性が異なるので、その使用できる環境に応じて使い分けられてきた。一般的には、耐熱性や気密性能が優先される場合にはガラスが、耐熱性や気密性能以外の特性が優先される分野では高分子材料に代表される有機材料が使われてきた。しかし、昨今の技術進歩に伴い、これまで要求されなかった特性も着目され、その特性をもった材料の開発が期待されている。
このため、耐熱性や気密性能を増能させた高分子材料や、軟化領域を低温化させたガラスいわゆる低融点ガラスの開発が積極的になされている。特に、耐熱性や気密性能が要求される電子材料市場において、PbO-SiO2-B2O3系あるいはPbO-P2O5-SnF2系ガラスなどに代表される低融点ガラスは、電子部品の封着、被覆などの分野で不可欠の材料となっている。また、低融点ガラスは高温溶融ガラスに比べ、その成形加工に要するエネルギーひいてはコストを抑えられるため、省エネルギーに対する昨今の社会的要請とも合致している。さらに、光機能性能の有機物を破壊しない温度で溶融することが可能ならば、光機能性有機物含有(非線形)光学材料のホストとして光スイッチなどの光情報通信デバイスなどへの応用が期待される。このように、一般的な溶融ガラスの特徴である耐熱性や気密性能を有し、かつ高分子材料のように種々の特性を得やすい材料は多くの分野で要望され、特に低融点ガラスにその期待が集まっている。さらに、有機無機ハイブリッドガラスも低融点ガラスの一つとして着目されている。
低融点ガラスでは、例えば、Sn−Pb−P−F−O系ガラス(例えば、非特許文献1参照)に代表されるTickガラスが有名であり、100℃前後にガラス転移点を持ち、しかも優れた耐水性を示すので、一部の市場では使われてきている。しかしながら、この低融点ガラスはその主要構成成分に鉛を含むので、昨今の環境保護の流れから代替材料に置き換える必要性がでてきている。さらには、Tickガラスに代表される低融点ガラスに対する要求特性も大きく変化していると同時に、その要望も多様化している。
一般的なガラスの製造方法としては、溶融法と低温合成法が知られている。溶融法はガラス原料を直接加熱することにより溶融してガラス化させる方法で、多くのガラスがこの方法で製造されており、低融点ガラスもこの方法で製造されている。しかし、低融点ガラスの場合、融点を下げるために、鉛やアルカリ、ビスマスなどの含有を必要とする等、構成できるガラス組成には多くの制限がある。
一方、非晶質バルクの低温合成法としては、ゾルゲル法、液相反応法及び無水酸塩基反応法が考えられている。ゾルゲル法は金属アルコキシドなどを加水分解−重縮合し、500℃を超える温度(例えば、非特許文献2参照)、通常は700〜1600℃で熱処理することにより、バルク体を得ることができる。しかし、ゾルゲル法で作製したバルク体を実用材料としてみた場合、原料溶液の調製時に導入するアルコールなど有機物の分解・燃焼、又は有機物の分解ガス若しくは水の加熱過程における蒸発放出などのために多孔質となることが多く、耐熱性や気密性能には問題があった。このように、ゾルゲル法によるバルク製造ではまだ多くの問題が残っており、特に低融点ガラスをゾルゲル法で生産することはなされていない。
さらに、液相反応法は収率が低いために生産性が低いという問題の他、反応系にフッ酸などを用いることや薄膜合成が限度とされていることなどから、現実的にバルク体を合成する手法としては不可能に近い状態にある。
無水酸塩基反応法は、近年開発された手法であり、低融点ガラスの一つである有機無機ハイブリッドガラスの製作も可能(例えば、非特許文献3参照)であるが、まだ開発途上であり、すべての低融点ガラスが製作できているわけではない。
したがって、多くの低融点ガラスの製造は、低温合成法ではなく、溶融法により行われてきた。このため、ガラス原料を溶融する都合上からそのガラス組成は制限され、生産できる低融点ガラスとなると、その種類は極めて限定されていた。
なお、現時点では耐熱性や気密性能から、低融点ガラスが材料として有力であり、低融点ガラスに代表される形で要求物性が出されることが多い。しかし、その材料は低融点ガラスにこだわるものではなく、要求物性が合致すれば、ガラス以外の低融点あるいは低軟化点物質で大きな問題はない。
公知技術をみれば、ゾルゲル法による石英ガラス繊維の製造方法(例えば、特許文献1参照)が、ゾルゲル法による酸化チタン繊維の製造方法(例えば、特許文献2参照)が、さらにはゾルゲル法による半導体ドープマトリックスの製造方法(例えば、特許文献3参照)が、溶融法によるP25−TeO2−ZnF2系低融点ガラス(例えば、特許文献4参照)が、さらには有機−無機ハイブリッドガラス用前駆体組成物及びそれよりなるハイブリッドガラスが開示されている(例えば、特許文献5参照)。
特開昭62-297236号公報 特開昭62-223323号公報 特開平1-183438号公報 特開平7-126035号公報 特開平2-137737号公報 P.A.Tick, Physics and Chemistry of Glasses, vol.25 No.6, pp.149-154(1984). 神谷寛一、作花済夫、田代憲子,窯業協会誌,pp.614−618,84(1976). 高橋雅英、新居田治樹、横尾俊信,New Glass, pp.8-13,17(2002).
多くの低軟化点材料、特に低融点ガラスの製造は、溶融法により行われてきた。このため、そのガラス組成には多くの制限があり、ガラス原料を溶融する都合上、生産できる低融点ガラスは極めて限られていた。
一方、低温合成法のゾルゲル法で製造した場合、緻密化のために500℃以上の処理温度が必要となるが、その温度で処理すると低融点ガラスとはならないので、結果として耐熱性や気密性能の良好な低融点ガラスを得ることはできなかった。特に、電子材料分野では、厳しい耐熱性や気密性能と低融点化に対応する低融点ガラスはなかった。さらに、耐熱性や気密性能を満足するガラス以外の低融点材料もこれまで見出されていない。
特開昭62-297236号公報、特開昭62-223323号公報及び特開平1-183438号公報で開示された方法は、高温溶融でのみ対応可能であった材料生産を低温でも可能としたという功績はあるが、低融点ガラスを製造することはできない。また、ゾルゲル処理後には、500℃以上での処理も必要である。一方、特開平7-126035号公報の方法では、転移点が3百数十℃のガラスを作製できることが開示されている。しかし、それ以下の転移点をもつガラスを鉛やビスマスなどを始めとする低融点化材料なしで製作した例はこれまでなかった。さらには、特開平2-137737号公報の方法でもどこまでバルク状のガラスが低融点化されているか不明である。
すなわち、従来は、耐熱性や気密性能と低融点特性を同時に満たし、さらには着色又は蛍光発色するガラス状物質はなかった。また、ガラス以外の材料でもこのような特性を満たすものはなかった。
本発明は、ゾルゲル法で生成されたゲル体を溶融することによって得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質であって、溶融工程後の熟成工程で熟成されたこと、MO−RSiO3/2若しくはMO−R2SiO(R:有機官能基、M:2価金属)で示される物質を含有すること、MがMg、Ca、Sr、Ba、Snの中から選ばれた少なくとも1種の有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
また、Nb、Zr、Tiのうち少なくともいずれか一つの酸化物を含有している上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
また、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znのうち少なくともいずれか一つの遷移金属イオンを含有している上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
また、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tmのうち少なくともいずれか一つの希土類金属イオンを含有している上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
また、有機色素を含有している上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
本発明によれば、これまで製作することが極めて難しいとされてきた耐熱性や気密性能と低融点特性を同時に満たす有機無機ハイブリッドガラス状物質を生成することができる。
本発明は、ゾルゲル法によるゲル体の製作工程、加熱による溶融工程、及び熟成工程の3工程を最低限有する有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法に関する。それぞれの工程が重要な意味をもち、全てが必要な工程である。
本発明は、ゾルゲル法で生成されたゲル体を溶融することによって得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質であって、溶融工程後の熟成工程で熟成されたこと、RnSiO(4-n)/2(R:有機官能基、n:1〜3)で示される物質を少なくとも1種類以上含有する
有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の軟化温度が80℃以上400℃以下であることが好ましい。80℃未満では得られる有機無機ハイブリッドガラス状物質の化学的安定性が低く、400℃を越すと溶融性を有しなくなる場合が多いためである。より好ましくは100℃以上380℃以下、さらに好ましくは100℃以上380℃以下である。なお、有機無機ハイブリッドガラス状物質の軟化温度は、10℃/minで昇温したTMA測定から判断することができる。すなわち、上記条件で収縮量を測定し、収縮量の変化開始温度を軟化温度とする。
本発明では、ゾルゲル法で生成されたゲル体は溶融性という特徴を有する。ここで、溶融性とは文字通り溶融する特性、すなわち、加熱することにより粘性が大幅に下がり、いわゆる溶融状態となる特性を指す。従来のゾルゲル法と異なり、溶融工程が必須であることも特徴である。さらに、その溶融工程後の熟成工程で熟成されること、及びRnSiO(4-n)/2で示される物質を少なくとも1種類以上含有する有機無機ハイブリッドガラス状物質である。ここで、nは自然数であり、1、2及び3の中から選択される。
本発明の手法は、従来のゾルゲル法と称されている方法とは基本的に異なる。従来のゾルゲル法では、数種類のゾルゲル原料を混合した後、室温で数時間撹拌、その後室温で2日〜1週間静置し、湿潤ゲルを得る。その後、室温〜約100℃で1〜3日間乾燥させて乾燥ゲルとし、必要であれば粉砕・洗浄・濾過した後、低くとも400℃以上で通常は800℃以上で焼結させてバルク体や繊維状とする。膜の場合には、湿潤ゲルの状態で薄膜状とし、乾燥・焼結させて薄膜を得る。ゲル体をそのまま焼結した場合、例えば透明状材料を得ることはできるが、融点の低い材料を得ることはできない。
これまでのゾルゲル法では、ゲル体を溶融するという概念はなく、そのまま焼結工程に入っていた。このため、従来のゾルゲル法においては、乾燥ゲルが溶融状態となることはないとされていた。例えば、特開平2-137737号公報でも溶融性の概念は全く記載されていない。これに対し、本発明で得られたゲル体については、加熱することにより溶融状態とすることができる。さらには、前記の溶融工程の後に、熟成工程を有することも本発明の特徴である。しかし、本発明でいう熟成は、従来のゾルゲル法の中で一部の研究者が述べていた熟成とは全く別のものである。すなわち、熟成は2日〜1週間かけて湿潤ゲルを得るための静置を指すのではなく、溶融後の有機無機ハイブリッドガラスを積極的に構造変化せしめてガラス状物質を安定化させる作業を指す。このため、静置条件よりも高温で、場合によっては減圧条件下での処理という特徴を有す。
従来から行われてきたゾルゲル法では、前記の溶融工程がなく、乾燥ゲルをそのまま焼結するため、その後の熟成工程もない。しかし、この熟成工程は極めて重要であり、溶融性を有するガラス状物質でもその後の熟成工程を経なければ、所望の有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることはできない。単に溶融しただけでは系内に反応活性な水酸基(−OH)が残留しており、これを冷やし固めたとしても、その残留した水酸基(−OH)が加水分解−脱水縮合を起こして、結果的にクラックが生じたり、破壊したりして、良好な有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることができない。このため、この反応活性な水酸基(−OH)を熟成によりガラス状物質内で安定化させることが極めて重要な工程となる。これらの点が本発明と従来のゾルゲル法で大きく異なる点である。
出発原料は金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート、金属カルボン酸、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物であり、先ずゾルゲル法によりゲル体を製作する。この出発原料は、上記以外でも、ゾルゲル法で使われているものであれば問題はなく、上記の出発原料に限定されない。但し、このゲル体の作製は重要な最初の工程である。
ゾルゲル法により作製されたゲル体構造中に有機官能基を持つ金属ユニットを有することが好ましい。製作されたゲル体構造中に有機官能基を持つ金属ユニットを有しない場合、焼結はするが、溶融はしない。この金属ユニットは有機官能基Rを持つことが特徴であり、(RnSiO(4-n)/2)(n=1〜3)で表されるケイ素ユニットが例示される。ここで、nは自然数であり、1、2、3の中から選択される。さらに、詳細には、フェニル基の金属ユニット(PhnSiO(4-n)/2)を有することがより好ましい。また、メチル基の金属ユニット(MenSiO(4-n)/2)、エチル基の金属ユニット(EtnSiO(4-n)/2)、ブチル基の金属ユニット(BtnSiO(4-n)/2)(n=1〜3)等との組み合わせも有効である。
この有機官能基Rは、アリール基やアルキル基が代表的である。アリール基としては、フェニル基、ピリジル基、トリル基、キシリル基などがあり、特に好ましいのはフェニル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基(n−、i−)、ブチル基(n−、i−、t−)、ペンチル基、ヘキシル基(炭素数:1〜20)などが挙げられ、特に好ましいのはメチル基とエチル基である。当然ながら、有機官能基は上述のアルキル基やアリール基に限定されるものではない。アルキル基としては、直鎖型でも分岐型でもさらには環状型でも良い。以上の点から、フェニル基を含んでいるゾルゲル原料を少なくとも1種類用いることが好ましい。
加熱による溶融工程は30℃以上400℃以下の温度で処理することが好ましい。30℃よりも低い温度では、実質上溶融できない。また、400℃を超えると、網目を形成する金属元素と結合する有機基が燃焼するために所望の有機無機ハイブリッドガラス状物質を得られないばかりか、破砕したり、気泡を生じて不透明になったりする。望ましくは、100℃以上300℃以下である。
熟成工程は30℃以上400℃以下の温度で処理することが好ましい。30℃よりも低い温度では、実質上熟成できない。400℃を超えると、熱分解することがあり、安定したガラス状物質を得ることは難しくなる。望ましくは、100℃以上300℃以下である。さらに、この熟成温度は、溶融下限温度よりも低い温度ではその効果が極めて小さくなる。一般的には、溶融下限温度〜(溶融下限温度+150℃)程度が望ましい。さらに、熟成に要する時間は5分以上必要である。熟成時間は、その処理量、処理温度及び反応活性な水酸基(−OH)の許容残留量により異なるが、一般的には5分未満では満足できるレベルに到達することは極めて難しい。また、長時間では生産性が下がってくるので、望ましくは10分以上1週間以内である。
さらには、軟化温度は400℃以下であることが好ましい。軟化温度は熟成により一般的には上がる傾向にあるが、最終的な軟化温度が400℃を超えると、溶融時に網目を形成する金属元素と結合する有機基が燃焼したり不安定化するために所望の有機無機ハイブリッドガラス状物質を得られないばかりか、破砕したり、気泡を生じて不透明になったりすることがある。より好ましくは50℃以上350℃以下、さらに好ましくは60℃以上300℃以下である。
なお、加熱による溶融工程若しくは熟成工程において、不活性雰囲気下で行ったり、減圧下で行なったりすることにより時間を短縮できる傾向にあり、有効である。また、マイクロ波や超音波加熱も有効である。
また、ゾルゲル法で生成されたゲル体を溶融することによって得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質であって、溶融工程後の熟成工程で熟成されたこと、MO−RSiO3/2若しくはMO−R2SiO(R:有機官能基、M:2価金属)で示される物質を含有すること、MがMg、Ca、Sr、Ba、Snの中から選ばれた少なくとも1種である有機無機ハイブリッドガラス状物質であることが好ましい。
MO−RSiO3/2若しくはMO−R2SiO(R:有機官能基、M:2価金属)で示される物質を含有する有機無機ハイブリッドガラス状物質は極めて重要であり、このガラス系の物質が存在することにより、耐熱性及び気密性能と低融点化という両立させるのに極めて難しい特性を同時に満足させることができる。
さらに、2価金属MがMg、Ca、Sr、Ba、Snの中から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、特にSnが望ましい。
また、上記の有機無機ハイブリッドガラス物質の物性や着色を容易に変えることも可能である。例えば、Nb、Zr、Tiなどを酸化物として導入することにより耐水性などのガラス物性を向上させた有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることもできるし、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどの遷移金属イオンを導入して、種々の物性を変化させた有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることもできる。さらには、希土類イオン(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tmなど)や有機色素も含有させ、着色又は蛍光発色した有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることもできる。
また、本発明の有機無機ハイブリッドガラス状物質は当然ながら全て対象となるが、その一部又はすべてに不規則網目構造をもつ有機無機ハイブリッドガラス状物質であることが好ましい。
また、熟成を行うことにより軟化温度が変化する有機無機ハイブリッドガラス状物質であることが好ましい。軟化温度が変化しない有機無機ハイブリッドガラスは溶融性を示さないことが多いためである。この場合、軟化温度は熟成により上がる傾向を有すことがさらに好ましい。熟成前の軟化温度が60〜150℃、熟成後の軟化温度が100〜300℃であれば、非常に好ましい。
また、有機色素による染み出しが1ヶ月間認められない気密性を有す有機無機ハイブリッドガラス状物質であることが好ましい。有機無機ハイブリッドガラスの中には、気密性に問題があるものも多いが、本発明のように溶融性を有し、熟成を行うことができた有機無機ハイブリッドガラス状物質は気密性が増加するからである。
さらに、フェニル基を含んでいる有機無機ハイブリッドガラス状物質であることが好ましい。フェニル基を含んだ有機無機ハイブリッドガラス状物質は、溶融性を有し、熟成管理が可能となる場合が多く、かつ非常に安定しているからである。
以下、実施例に基づき、述べる。
出発原料として金属アルコキシドのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)約10mlとエチルトリエトキシシラン(EtSi(OEt)3)約2mlの混合系を用い、そのモル比は8:2とした。容器中でフェニルトリエトキシシランとエチルトリエトキシシランに約3mlの水(フェニルトリエトキシシランに対するモル比は3)、約30mlのエタノール(フェニルトリエトキシシランに対するモル比は10)、触媒である塩酸を約0.5ml(フェニルトリエトキシシランに対するモル比は0.01)加え、室温で2時間撹拌し、ゲル化させた。その後、約100℃で乾燥し、そのゲル体を110℃で1時間溶融し、それに引き続いて180℃で3日間熟成することにより透明状物質を得た。
10℃/minで昇温したTMA測定での収縮量変化から軟化挙動開始点を求め、その開始温度を軟化温度としたところ、この物質の軟化温度は135℃であった。この物質のTMA曲線を図1に示す。また、JEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でケイ素ユニットRnSiO(4-n)/2(R:有機官能基、n:1〜3)が存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、得られたガラス状物質の中に有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の軟化温度を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られたガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例1で行った化学耐久性試験(100℃の雰囲気下に300時間置いた後、さらに大気中に1ヶ月間放置)後のガラス状物質に対してさらなる熟成処理を行った。このときの熟成は約200℃約0.05Torrの雰囲気下で5分間処理する第1熟成、大気下220℃で1時間処理する第2熟成の2段階熟成を行った後、室温まで冷却した。この結果、軟化温度は141℃に変化した。このガラス状物質に対し、実施例1と同様の染み出し試験及び化学耐久性試験を行ったところ、問題がないことを確認できた。
実施例1とほぼ同様の原料を使い、同様の処理方法で、透明状の物質を得た。但し、ここではTiのイソプロポキシドを原料の中に入れてある。
この物質の軟化温度は140℃であった。また、この物質の屈折率は1.62でありTi混入の屈折率増大効果が確認できた。また、JEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でケイ素ユニットRnSiO(4-n)/2(R:有機官能基、n:1〜3)が存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例1で行った化学耐久性試験(100℃の雰囲気下に300時間置いた後、さらに大気中に1ヶ月間放置)後のガラス状物質に対してさらなる熟成処理を行った。このときの熟成は約200℃約0.05Torrの雰囲気下で5分間処理する第1熟成、大気下220℃で2時間処理する第2熟成の2段階熟成を行った後、室温まで冷却した。この結果、軟化温度は146℃に変化した。このガラス状物質に対し、実施例1と同様の染み出し試験及び化学耐久性試験を行ったところ、問題がないことを確認できた。
実施例1とほぼ同様の原料を使い、同様の処理方法で、透明状の物質を得た。但し、ここではZnの塩化物を原料の中に入れてある。
この物質の軟化温度は131℃であり、Zn混入の軟化温度の低温化効果が確認できた。また、JEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でケイ素ユニットRnSiO(4-n)/2(R:有機官能基、n:1〜3)が存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例1で行った化学耐久性試験(100℃の雰囲気下に300時間置いた後、さらに大気中に1ヶ月間放置)後のガラス状物質に対してさらなる熟成処理を行った。このときの熟成は約200℃約0.05Torrの雰囲気下で5分間処理する第1熟成、大気下200℃で1時間処理する第2熟成の2段階熟成を行った後、室温まで冷却した。この結果、軟化温度は136℃に変化した。このガラス状物質に対し、実施例1と同様の染み出し試験及び化学耐久性試験を行ったところ、問題がないことを確認できた。
実施例1とほぼ同様の原料を使い、同様の処理方法で、同様の物質を得た。但し、ここでは有機色素ローダミン6Gを原料の中に入れ、着色を試みた。
この物質の軟化温度は136℃であり、ほぼ均一な状態で着色ができた。また、JEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でケイ素ユニットRnSiO(4-n)/2(R:有機官能基、n:1〜3)が存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、得られたガラス状物質の中にローダミン6Gとは別の有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこのガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例1で行った化学耐久性試験(100℃の雰囲気下に300時間置いた後、さらに大気中に1ヶ月間放置)後のガラス状物質に対してさらなる熟成処理を行った。このときの熟成は約210℃約0.05Torrの雰囲気下で5分間処理する第1熟成、大気下220℃で1時間処理する第2熟成の2段階熟成を行った後、室温まで冷却した。この結果、軟化温度は142℃に変化した。このガラス状物質に対し、実施例1と同様の染み出し試験及び化学耐久性試験を行ったところ、問題がないことを確認できた。
実施例1とほぼ同様の原料を使い、同様の処理方法で、透明状物質を得た。但し、ここではErを塩化物の形で原料の中に入れ、蛍光発光を試みた。
この物質の軟化温度は137℃であり、暗闇で観察したところ、380nmの光で励起するとガラス状全体できれいに緑色蛍光発色していることが確認できた。また、JEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でケイ素ユニットRnSiO(4-n)/2(R:有機官能基、n:1〜3)が存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例1で行った化学耐久性試験(100℃の雰囲気下に300時間置いた後、さらに大気中に1ヶ月間放置)後のガラス状物質に対してさらなる熟成処理を行った。このときの熟成は約210℃約0.05Torrの雰囲気下で5分間処理する第1熟成、大気下220℃で2時間処理する第2熟成の2段階熟成を行った後、室温まで冷却した。この結果、軟化温度は145℃に変化した。このガラス状物質に対し、実施例1と同様の染み出し試験及び化学耐久性試験を行ったところ、問題がないことを確認できた。
出発原料として金属アルコキシドのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)約10mlとエチルトリエトキシシラン(EtSi(OEt)3)約2mlの混合系を用い、その比モルは8:2とした。容器中でフェニルトリエトキシシランとエチルトリエトキシシランに約3mlの水(フェニルトリエトキシシランに対するモル比は3)、約30mlのエタノール、触媒である塩酸約0.5ml(フェニルトリエトキシシランに対するモル比は0.01)の他、塩化スズを加え、室温で2時間撹拌し、ゲル化させた。その後、約100℃で乾燥し、そのゲル体を110℃で1時間溶融し、それに引き続いて190℃で4日間熟成することにより透明状物質を得た。
10℃/minで昇温したTMA測定での収縮量変化から軟化挙動開始点を求め、その開始温度を軟化温度としたところ、この物質の軟化温度は95℃であった。この物質のTMA曲線を図1に示す。また、JOEL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でSnO、RSiO3/2及びR2SiOの存在が確認され、いわゆるMO−RSiO3/2又はMO−R2SiO(R:有機官能基、M:2価金属)で示される物質が存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質の中に有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例11で行った化学耐久性試験(100℃の雰囲気下に300時間置いた後、さらに大気中に1ヶ月間放置)後のガラス状物質に対してさらなる熟成処理を行った。このときの熟成は約200℃約0.05Torrの雰囲気下で5分間処理する第1熟成、大気下210℃で3時間処理する第2熟成の2段階熟成を行った後、室温まで冷却した。この結果、軟化温度は100℃に変化した。このガラス状物質に対し、実施例11と同様の染み出し試験及び化学耐久性試験を行ったところ、問題がないことを確認できた。
実施例11とほぼ同様の原料を使い、同様の処理方法で、透明状の物質を得た。但し、ここではTiのイソプロポキシドを原料の中に入れてある。
この物質の軟化温度は103℃であり、Ti混入の物性変化(軟化温度変化、屈折率向上)効果が確認できた。また、JEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でSnO、RSiO3/2及びR2SiOの存在が確認され、いわゆるMO−RSiO3/2又はMO−R2SiO(R:有機官能基、M:2価金属)で示される物質が存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例11で行った化学耐久性試験(100℃の雰囲気下に300時間置いた後、さらに大気中に1ヶ月間放置)後のガラス状物質に対してさらなる熟成処理を行った。このときの熟成は約210℃約0.05Torrの雰囲気下で5分間処理する第1熟成、大気下230℃で2時間処理する第2熟成の2段階熟成を行った後、室温まで冷却した。この結果、軟化温度は109℃に変化した。このガラス状物質に対し、実施例11と同様の染み出し試験及び化学耐久性試験を行ったところ、問題がないことを確認できた。
実施例11とほぼ同様の原料を使い、同様の処理方法で、透明状の物質を得た。但し、ここではZnの塩化物を原料の中に入れてある。
この物質の軟化温度は93℃であり、Zn混入の軟化温度低下効果が確認できた。また、JEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でSnO、RSiO3/2及びR2SiOの存在が確認され、いわゆるMO−RSiO3/2又はMO−R2SiO(R:有機官能基、M:2価金属)で示される物質が存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例11で行った化学耐久性試験(100℃の雰囲気下に300時間置いた後、さらに大気中に1ヶ月間放置)後のガラス状物質に対してさらなる熟成処理を行った。このときの熟成は約200℃約0.05Torrの雰囲気下で5分間処理する第1熟成、大気下220℃で2時間処理する第2熟成の2段階熟成を行った後、室温まで冷却した。この結果、軟化温度は99℃に変化した。このガラス状物質に対し、実施例11と同様の染み出し試験及び化学耐久性試験を行ったところ、問題がないことを確認できた。
実施例11とほぼ同様の原料を使い、同様の処理方法で、同様の物質を得た。但し、ここでは有機色素ローダミン6Gを原料の中に入れ、着色を試みた。
この物質の軟化温度は96℃であり、ほぼ均一な状態で着色ができた。また、JEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でSnO、RSiO3/2及びR2SiOの存在が確認され、
いわゆるMO−RSiO3/2又はMO−R2SiO(R:有機官能基、M:2価金属)で示される物質が存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、得られたガラス状物質の中にローダミン6Gとは別の有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこのガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例11で行った化学耐久性試験(100℃の雰囲気下に300時間置いた後、さらに大気中に1ヶ月間放置)後のガラス状物質に対してさらなる熟成処理を行った。このときの熟成は約190℃約0.05Torrの雰囲気下で5分間処理する第1熟成、大気下220℃で3時間処理する第2熟成の2段階熟成を行った後、室温まで冷却した。この結果、軟化温度は106℃に変化した。このガラス状物質に対し、実施例11と同様の染み出し試験及び化学耐久性試験を行ったところ、問題がないことを確認できた。
実施例11とほぼ同様の原料を使い、同様の処理方法で、透明状物質を得た。但し、ここではErを塩化物の形で原料の中に入れ、蛍光発光を試みた。
この物質の軟化温度は98℃であり、暗闇で観察したところ、380nmの光で励起するとガラス状全体できれいに緑色蛍光発色していることが確認できた。また、JEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でSnO、RSiO3/2及びR2SiOの存在が確認され、いわゆるMO−RSiO3/2又はMO−R2SiO(R:有機官能基、M:2価金属)で示される物質が存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例11で行った化学耐久性試験(100℃の雰囲気下に300時間置いた後、さらに大気中に1ヶ月間放置)後のガラス状物質に対してさらなる熟成処理を行った。このときの熟成は約200℃約0.05Torrの雰囲気下で5分間処理する第1熟成、大気下230℃で3時間処理する第2熟成の2段階熟成を行った後、室温まで冷却した。この結果、軟化温度は107℃に変化した。このガラス状物質に対し、実施例11と同様の染み出し試験及び化学耐久性試験を行ったところ、問題がないことを確認できた。
(比較例1)
実施例1とほぼ同様の原料を用い、容器中でフェニルトリエトキシシランとエチルトリエトキシシランに水、エタノール、触媒である塩酸を加え、室温で2時間撹拌し、ゲル化させた。その後、約100℃で乾燥し、そのゲル体を700℃で焼成した。
この結果、得られた物質は800℃でも軟化せず、低融点物質とは言えなかった。なお、RnSiO(4-n)/2(R:有機官能基、n:1〜3)で示される物質の存在は確認できず
、実施例1及び実施例2に示した熟成を試みたが、その変化は全く認められず、熟成はできないと判断した。
(比較例2)
実施例5とほぼ同様の原料を用い、容器中でフェニルトリエトキシシランとエチルトリエトキシシランに水、エタノール、触媒である塩酸を加え、室温で2時間撹拌し、ゲル化させた。その後、約100℃で乾燥し、それに引き続いて600℃で焼成した。
この結果、得られた物質は800℃でも軟化せず、低融点物質とは言えなかった。また、黒化しており、実施例2のような着色というよりも汚く変化していた。なお、RnSiO(4-n)/2(R:有機官能基、n:1〜3)で示される物質の存在は確認できなかった。
(比較例3)
実施例7とほぼ同様の原料を用い、容器中でフェニルトリエトキシシランとエチルトリエトキシシランに水、エタノール、触媒である塩酸を加え、室温で2時間撹拌し、ゲル化させた。その後、約100℃で乾燥後、650℃で焼成した。
この結果、得られた物質は800℃でも軟化せず、低融点物質とは言えなかった。また、蛍光発色はないことを確認した。なお、RnSiO(4-n)/2(R:有機官能基、n:1〜3)で示される物質の存在は確認できなかった。
(比較例4)
実施例11とほぼ同様の原料を用い、容器中でフェニルトリエトキシシランとエチルトリエトキシシランに水、エタノール、触媒である塩酸の他、塩化スズを加え、室温で2時間撹拌し、ゲル化させた。その後、約100℃で乾燥し、そのゲル体を600℃で焼成した。
この結果、得られた物質は800℃でも軟化せず、低融点物質とは言えなかった。なお、SnOの存在は確認できたが、RSiO3/2及びR2SiO(R:有機官能基)で示される物質の存在は確認できず、実施例11及び実施例12に示した熟成を試みたが、その変化は全く認められず、熟成はできないと判断した。
(比較例5)
実施例15とほぼ同様の原料を用い、容器中でフェニルトリエトキシシランとエチルトリエトキシシランに水、エタノール、触媒である塩酸の他、塩化スズを加え、室温で2時間撹拌し、ゲル化させた。その後、約100℃で乾燥し、それに引き続いて500℃で焼成した。
この結果、得られた物質は800℃でも軟化せず、低融点物質とは言えなかった。また、黒化しており、実施例2のような着色というよりも汚く変化していた。なお、SnOの存在は確認できたが、RSiO3/2及びR2SiO(R:有機官能基)で示される物質の存在は確認できなかった。
(比較例6)
実施例17とほぼ同様の原料を用い、容器中でフェニルトリエトキシシランとエチルトリエトキシシランに水、エタノール、触媒である塩酸の他、塩化スズを加え、室温で2時間撹拌し、ゲル化させた。その後、約100℃で乾燥後、550℃で焼成した。
この結果、得られた物質は800℃でも軟化せず、低融点物質とは言えなかった。また、蛍光発色はないことを確認した。なお、SnOの存在は確認できたが、RSiO3/2及びR2SiO(R:有機官能基)で示される物質の存在は確認できなかった。
(比較例7)
出発原料には金属アルコキシドのエチルトリエトキシシラン(EtSi(OEt)3)を用いた。容器中でエチルトリエトキシシランに水、エタノール、触媒である塩酸の他、塩化スズを加え、室温で2時間撹拌し、ゲル化させた。その後、約100℃で乾燥し、そのゲル体を110℃で10時間溶融を試みたが、溶融することはなかった。そこで、湿潤ゲルの段階で有機色素メチレンブルーを入れ、約100℃で乾燥し乾燥ゲルとし気密性試験を試みたが、1週間後に確認したときには、ゲル体からの滲み出しが確認された。
(比較例8)
出発原料には金属アルコキシドのエチルトリエトキシシラン(EtSi(OEt)3)とジエトキシジメチルシラン(Me2Si(OEt)2)の混合系を用い、その比は8:2とした。容器中でエチルトリエトキシシランとジエトキシジメチルシランに水、エタノール、触媒である塩酸の他、塩化スズを加え、室温で2時間撹拌し、ゲル化させた。その後、約100℃で乾燥し、そのゲル体を110℃で10時間溶融を試みたが、溶融することはなかった。
本発明によれば、これまで製作することが極めて難しいとされてきた低軟化性を有し、かつ耐熱性と気密性能のあるガラス状物質を得ることができ、さらには着色する又は蛍光発色する有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることができた。
PDPを始めとするディスプレイ部品の封着・被覆用材料、光スイッチや光結合器を始めとする光情報通信デバイス材料、LEDチップを始めとする光学機器材料、光機能性(非線形)光学材料、接着材料等、低融点ガラスが使われている分野、エポキシ等の有機材料が使われている分野に利用可能である。
実施例1および11の軟化温度測定データ(TMA測定結果)

Claims (5)

  1. ゾルゲル法で生成されたゲル体を溶融することによって得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質であって、溶融工程後の熟成工程で熟成されたこと、MO−RSiO3/2又はMO−R2SiO(R:有機官能基、M:2価金属)で示される物質を含有すること、MがMg、Ca、Sr、Ba、Snの中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質。
  2. 請求項1に記載された有機無機ハイブリッドガラス状物質において、Nb、Zr、Tiのうち少なくともいずれか一つの酸化物を含有していることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質。
  3. 請求項1に記載された有機無機ハイブリッドガラス状物質において、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znのうち少なくともいずれか一つの遷移金属イオンを含有していることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質。
  4. 請求項1に記載された有機無機ハイブリッドガラス状物質において、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tmのうち少なくともいずれか一つの希土類金属イオンを含有していることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質。
  5. 請求項1に記載された有機無機ハイブリッドガラス状物質において、有機色素を含有していることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質。
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