JP3016520B2 - ハイブリッド粒子の製造方法 - Google Patents

ハイブリッド粒子の製造方法

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JP3016520B2 JP3029188A JP2918891A JP3016520B2 JP 3016520 B2 JP3016520 B2 JP 3016520B2 JP 3029188 A JP3029188 A JP 3029188A JP 2918891 A JP2918891 A JP 2918891A JP 3016520 B2 JP3016520 B2 JP 3016520B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、いわゆるゾルーゲル法
に改良を加えることによる機能性有機化合物を含有する
ハイブリッド粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ゾルーゲル法はシリカガラスの低
温合成法として知られており、溶液状態の原料から、加
水分解、縮重合反応によりシロキサン結合を生成させて
酸化物とするものである。二元系以上の酸化物を作製す
る場合においては、原料を分子オーダーで混合できるた
め均一な共重合酸化物が作製できる。また、高温での溶
融法によるシリカガラスの合成法に比較して、比較的低
温でガラスを合成できるのでシリカガラス中に高温では
分解してしまう有機物をドープすることが可能であるな
どの特徴を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、機能の
発現に際しての分子運動のためのフレキシブルな空間を
必要とする機能性有機化合物の場合、酸化物中にドープ
してもリジッドな三次元網目構造のために分子運動する
ことができず有機化合物の機能性が発揮されない。たと
えばゾルーゲル法でSiO2 のみから成るシリカガラス
中にフォトクロミックな有機化合物を均一に分散させて
もフォトクロミック反応は発現しにくく着消色がほとん
ど起こらない。また、ゾルーゲル法で作製した酸化物は
一般に水酸基が多く親水性であり多くの有機化合物と相
溶性が悪く、溶媒の除去およびシロキサン結合による網
目構造の成長促進のための熱処理過程において相分離が
起こり易くなり、均一に分散されず有機化合物のみが凝
集するという問題点があった。さらに、粒子合成過程に
於いて、従来は、ある程度加水分解が進んだアルコキシ
シランのアルコール溶液をアルカリ性アルコール溶液中
に徐々に滴下して粒子を合成していたが、原料溶液に有
機化合物を混合しておいても粒子合成時には有機化合物
は粒子内に分散、含有されずに主に溶媒のアルコール中
に溶出してしまうという問題点や、低分子量のラダーポ
リマーが副生成物として多量に生成し目的のハイブリッ
ド粒子を効率よく得ることができないという欠点があっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結
果、分子内に有機基を有するオルガノアルコキシシラン
を用いること、及び特定濃度の酸でまず予備加水分解を
施した後、アルカリ水溶液で加水分解することにより該
オルガノアルコキシシランを加水分解、縮合して得られ
る酸化物粒子中に機能性有機化合物を効率よく均一に分
散させ、かつ機能を発現させることに成功した。即ち、
本発明は、下記一般式[I] R1nSi(OR24-n [I] (式中、R1は置換または非置換アリール、置換または
非置換アルキル基もしくは置換または非置換アルケニル
基を示し、R2は水素原子またはアルキル基を示し、n
は1または2の整数を示す。)で表されるオルガノアル
コキシシランの少なくとも一種を、該オルガノアルコキ
シシランに可溶な機能性有機化合物の共存下に、または
機能性有機化合物をオルガノアルコキシシランおよび水
と相溶性のある溶媒に溶解した溶液の共存下に、pH1
〜5の酸性水溶液を該オルガノアルコキシシランに対し
て3〜60倍モル添加混和し、その後、アルカリ性水溶
液中で加水分解することを特徴とするハイブリッド粒子
の製造方法である。
【0005】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
おいて、シリカマトリックス中に機能性有機化合物を均
一に分散、含有させ、且つ、機能性有機化合物の有する
本来の機能をマトリックス中においても発現させるため
に、前記一般式〔I〕で表される、分子内に有機基を有
するオルガノアルコキシシランを用いることが必須であ
る。前記一般式〔I〕中において、R1 は置換または非
置換アリール基、置換または非置換アルキル基、もしく
は置換または非置換アルケニル基であり、アリール基と
してはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル
基;アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、イソブチル基、オクチル基、デシル基、
オクタデシル基;アルケニル基としてはビニル基、アリ
ル基、プロペニル基などが挙げられる。これらアリール
基、アルキル基、及びアルケニル基の一部はアミノ基、
シアノ基、アルキル基、ハロゲン原子等の置換基で置換
されていてもよい。置換された基の具体的な例として、
アミノフェニル基、ブロモフェニル基、アミノプロピル
基、クロロメチル基、シアノプロピル基や、フェニルア
ミノプロピル基、フェネチル基、メタクリロキシプロペ
ニル基等が挙げられる。
【0006】前記一般式〔I〕においてR2 は水素原子
またはアルキル基であり、アルキル基の具体例としてメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ
る。
【0007】前記有機基R1 は分子内に1または2個存
在すれば本発明のハイブリッド粒子を製造することがで
きる。この中でも特に、R1を1個有するオルガノアル
コキシシランを用いた方が縮合が進み、粒子が成長し易
いので、少なくとも一成分としてR1 を1個有するオル
ガノアルコキシシランを用いることが好ましい。
【0008】一般式〔I〕で表されるオルガノアルコキ
シシランを具体的に例示すると、フェニルトリメトキシ
シラン、フェニルトリエトキシシラン、トリルトリメト
キシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、クロロフェ
ニルトリエトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシ
シラン、p−クロロメチルフェニルトリメトキシシラ
ン、アミノフェニルメトキシシラン、メチルトリメトキ
シシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメ
トキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブ
チルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシ
ラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、メチルト
リエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、アミル
トリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラ
ン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−ドデシ
ルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エ
チルトリブトキシシラン、エチルトリプロポキシシラ
ン、アミノプロピルトリメトキシシラン、ブロモプロピ
ルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、クロロスルホニルトリメトキシシラン、
アミノプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートト
リエトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシ
ラン、メタクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラ
ン、n−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、
フェメチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシ
シラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−メルカプト
プロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシ
シラン、ビニルメチルジエトキシシラン等が挙げられ
る。
【0009】上記オルガノアルコキシシランは、それぞ
れ単独でも2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0010】本発明のハイブリッド粒子に分散、含有さ
せる機能性有機化合物としては、前記オルガノアルコキ
シシランに可溶なものであれば何んら制限されない。
又、オルガノアルコキシシランに対して溶解度が低いも
のでも、オルガノアルコキシシランおよび水と相溶性の
ある、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、ブタノール等のアルコールやアセトン等の溶媒に
可溶なものであれば制限なく用いることができる。この
ような機能性有機化合物を具体的に例示するとスピロピ
ラン系、フルギド系等のフォトクロミック性化合物、ア
ゾ染料、キノン系、インジゴ系等の色素類、アゾ系、ベ
ンゾキノン系、アントラキノン系等の液晶、2−メチル
−4−ニトロアニリン(MNA)、4−(N,N−ジメ
チルアミノ)−3−アセトアミドベンゼン(DAN)な
どの非線形材料等々が挙げられるが、本発明の技術思想
を踏襲する限り上記例示物に限定されるものではない。
【0011】上記機能性有機化合物は、通常、オルガノ
アルコキシシラン1モルに対して10-4〜10-1モル用
いる。上限値より多く使用すれば有機物が凝集したり析
出して、生成するハイブリッド粒子中に均一に分散され
ない。ただし溶解度の高い有機物の場合は、上限値より
多く用いることも可能である。
【0012】本発明においては、オルガノアルコキシシ
ランを加水分解してシリカ粒子を製造する際に、前記機
能性有機化合物を共存させることが必須である。共存さ
せる態様としては、オルガノアルコキシシランの加水分
解時、例えば、アルカリ性水溶液中にオルガノアルコキ
シシランを滴下する際に、滴下に合わせて機能性有機化
合物、またはその溶液を添加しても良いが、ハイブリッ
ド粒子中への該機能性有機化合物の含有率及び均一分散
性を向上させるためには、あらかじめオルガノアルコキ
シシラン液中に機能性有機化合物を溶解させておくか、
あるいは、前述の溶媒に機能性有機化合物を溶解した溶
液とオルガノアルコキシシランをあらかじめ均一に混合
しておくことが好ましい。溶媒を用いる場合は、添加す
る有機化合物の溶解度によって適当量使用する。オルガ
ノアルコキシシラン及び/または水に相溶性のない溶媒
を用いた場合は、オルガノアルコキシシランと機能性有
機化合物を均一に混合できず、結果として本発明のハイ
ブリッド粒子は得られない。
【0013】オルガノアルコキシシランは、一般にアル
カリ又は酸によって、加水分解することが可能であるこ
とは知られている。即ち、通常pH10〜13のアルカ
リ性水溶液中に0〜60℃で、一定の割合でおよそ30
分〜1時間かけて添加して加水分解する。アルカリ性水
溶液としては、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水
溶液等の水溶液が用いられる。この加水分解は水溶液中
で行われるだけでなく、例えば、アルコール溶液中など
でも可能である。また、塩酸などの酸性水溶液中で加水
分解を行ない得ることも知られている。
【0014】しかしながら、本発明における機能性有機
化合物含有ハイブリッド粒子を効率よく得るためには、
まず、オルガノアルコキシシラン溶液にpH1〜5の酸
性水溶液をオルガノアルコキシシランに対して約3〜6
0倍モル添加して攪拌する。添加した時点では二液は分
離しているが、攪拌を続けるとやがて混和状態になる。
添加した酸性水溶液のpH値が低いほど混和に要する時
間が短くなる。しかしながら、pH1以下であると白濁
が起こったり機能性有機化合物が分解する傾向があり、
pH5以上であると混和するのに非常に時間がかかる。
【0015】また、酸性水溶液の添加量は多いほど速く
混和するが、用いるオルガノアルコキシシランの種類に
よって多少異なるものの、一般に、10倍モル以下にな
ると混和しにくくなり、40倍モル以上になると混和時
に有機化合物が析出することがある。析出する場合は前
述の機能性有機化合物を溶解するような溶媒を適量添加
してもよい。収率や作業能率から考えるとpH2〜4の
酸性水溶液を10〜40倍モル加えるのがより好まし
い。攪拌時の温度は室温〜60℃が好ましい。反応温度
は高いほど速く混和するが、高すぎると添加する機能性
有機化合物やマトリックス材そのものが酸化したり部分
的に縮合が進行して白濁、沈澱を生じることがある。低
くすると反応は非常に遅くなる。
【0016】上記予備加水分解に用いる酸としては、塩
酸、硫酸、酢酸、硝酸等が具体的に挙げられ、機能性有
機化合物との反応性、得られるハイブリッド粒子の用途
を勘案して適宜選択すれば良い。例えば、エレクトロニ
クス材料に用いる場合塩酸等の腐食成分が残留している
と好ましくないので酢酸等の腐食力の低い酸を選択する
必要がある。
【0017】以上の、予備加水分解が終了した時点で、
オルガノアルコキシシランのアルコキシ基の大部分は水
酸基に置換され、更に一部は縮合が進行してオリゴマー
が生成しているものと考えられる。
【0018】上記の方法で得られた予備加水分解溶液
は、次にアルカリ性水溶液で、加水分解を行う。これは
公知のアルカリ性水溶液による方法でよいが、通常行わ
れる好ましい例は、予備加水分解溶液の全量をアルカリ
性水溶液に添加した後、更に縮合を充分に進行させるた
め、0〜60℃で30分〜5時間攪拌して反応を完結さ
せる。反応終了後、ハイブリッド粒子を含有する乳白色
の分散液を1,000〜10,000rpmの速度で遠
心分離することにより粒子と溶媒を分離する。水による
洗浄と上記の遠心分離を数回繰り返した後、一昼夜、風
乾させ、その後、100〜150℃で2〜10時間熱処
理して粒子を得る。生成した粒子が非常に微細な場合や
水と比重が等しい場合は遠心分離では粒子と溶媒を分離
しにくいのでハイブリッド粒子の分散液に塩酸等の酸性
水溶液少量添加して生成している粒子を沈澱させ、これ
を濾過して溶媒と分離する。得られた粒子は水で洗浄し
再び濾過する。この洗浄操作を数回繰り返した後、粒子
を一昼夜風乾させ、100〜150℃で2〜10時間熱
処理して粉末粒子を得る。ハイブリッド粒子が超微粒子
で上記の方法でも収集が困難なときにはエバポレーター
で分散液の溶媒を除去してもよい。以上のようにして本
発明のハイブリッド粒子を得る。
【0019】なお、本発明において、オルガノアルコキ
シシランを直接アルカリ水溶液中で加水分解させると粒
子状物以外の副生成物が生成する傾向があるので、粒子
状物を効率的に生成させるために予備加水分解を行うこ
とが好ましく、また、酸性条件下で完全に加水分解した
場合は、粘性のある液体が生成して沈澱し、粒子状物が
得られない。
【0020】更に、オルガノアルコキシシランの加水分
解を水溶液中で行わず、例えばアルコール溶液中で行う
と、機能性有機化合物は溶液側に溶出して、目的の機能
性有機化合物含有ハイブリッド粒子が得られない。又、
低分子量のラダーポリマーが多量に副生して、効率よく
目的物が生成しない。ただし、これらのアルカリ性水溶
液にメタノール、エタノールなどのアルコール類、アセ
トン等を、機能性有機化合物が溶液中に溶出したり、副
生成物が多量に生成しない範囲で添加してもよい。
【0021】上記方法によって得られるハイブリッド粒
子の耐熱性、耐溶剤性、硬度を高めるために、更にマト
リックスの構成成分となりうる下記一般式〔II〕で表
されるアルコキシ金属を併用してオルガノアルコキシシ
ランとともに加水分解すると効果的である。
【0022】M(OR2 1 〔II〕 (式中、R2 の定義は一般式〔I〕と同じで、Mはシリ
コン、チタニウム、ジルコニウム、アルミニウムの金属
原子、lは金属Mの原子価を示す。)該アルコキシ金属
として具体的に、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキ
シシラン;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチ
タン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタ
ン;テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジ
ルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム;トリプ
ロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等の
トリアルコキシアルミニウム等が挙げられる。該アルコ
キシ金属の使用量は特に限定するものではなく、オルガ
ノアルコキシシランとアルコキシ金属の総量に対して0
〜98%でも良いが、前記のように機能性有機化合物を
均一に分散させ、かつ、機能を発現させるためには0〜
70%であることが好ましい。アルコキシ金属を併用し
て加水分解させる態様としては、各々を個別に予備加水
分解して得た溶液をアルカリ性水溶液中に同時に添加し
て加水分解しても良いが、好ましくは均一な共重合物マ
トリックス材を得るために、同じ反応容器の中で両者を
予備加水分解して両成分からなる共重合オリゴマーとし
た後、アルカリ性水溶液中に添加して加水分解、縮合を
進行させるのが好ましい。
【0023】
【作用及び効果】本発明では、特定のオルガノアルコキ
シシランと該オルガノアルコキシシランに相溶性のある
機能性有機化合物またはその溶液を用いて、且つ、一旦
酸性溶液で予備加水分解し、次いでアルカリ水溶液中で
加水分解を行うため、加水分解時に機能性有機化合物は
オルガノアルコキシシランと相溶性を持って、部分的に
凝集することなく均一に分散した状態で存在させること
ができ、その結果、最終的に得られる粒子中に上記機能
性有機化合物が極めて分散性良く含有される。また、該
粒子は、マトリックス材が有機基を有するので、架橋の
自由度が増加しフレキシブルな空間ができてマトリック
ス材中に分散させた機能性有機化合物の分子運動を可能
にするので、その結果機能性有機化合物が本来有する機
能を発現させることができるという特徴をも有する。
【0024】さらに、ハイブリッド粒子の形にすること
により、上記以上に次のような利点が新たにもたらされ
る。たとえば、有機化合物は周囲の雰囲気の影響を多分
に受けるので、含有させたい有機物自身が不安定ですぐ
に劣化してしまうようなpH領域、または有機化合物の
機能が発現しにくいpH領域を持つ母材中でもハイブリ
ッド粒子を混合することによって機能を発現させること
ができる。即ち、シリカという一定の環境を保ったまま
母材中に混合できるので、どんな母材の中でも常に予想
した特性を得ることができる。母材の極性の影響につい
ても同様にして考えられ、含有させたい有機物が分散し
にくい極性を持つ母材中へもハイブリッド粒子に表面処
理などを施すことにより、有機化合物の機能性を変化さ
せることなく、一定の特性を保ったまま均一に混合する
ことができる。このように、ハイブリッド粒子にするこ
とによって母材の選択の幅が広がるという利点がある。
【0025】その他、希望する機能性有機化合物の特性
が得られるだけでなくシリカハイブリッド粒子の形で提
供することによりシリカ自身の持つ付加的な特性を与え
ることができる。即ち、シリカなどの無機物を添加する
ことにより機械的強度、耐熱性、熱伝導性が高くなる、
熱膨張率が低くなる、帯電防止ができる等の利点が得ら
れる。
【0026】一例として、機能性有機化合物としてフォ
トクロミック性化合物を本発明に従って含有させた場
合、溶媒に溶解させなくても粉体のままで分子運動を妨
げること無く機能を発現させることができる。フォトク
ロミック化合物で代表的な1,3,3−トリメチルイン
ドリノ−6′−ニトロベンゾピリロスピランを用いた場
合、粉状のままで直接365nmの紫外線を照射するこ
とにより570nm付近に極大をも吸収スペクトルが観
測され、粉体は赤紫に着色する。400〜800nmに
波長域を持つ可視光線を照射すると消色する。このよう
な本発明のハイブリッド粒子は、樹脂のごときさまざま
な母材と混合することにより母材の性質の影響を受ける
ことなく機能性有機化合物の分子運動、変形、ストレッ
チを利用した機能を発現させることができる。
【0027】
【実施例】実施例1 フェニルトリエトキシシラン(信越化学製)30gに
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベン
ゾピリロスピラン40mgを加えて溶解するまで攪拌
し、その後pH3に調製したHCl水溶液を45ml加
えて予備加水分解を行った。室温で攪拌し続けると20
時間で溶液は均一に混和した。この溶液を、激しく攪拌
している反応溶媒(25%NH3 70ml,H2
350ml)中にマイクロチューブポンプで流速を制御
しながら徐々に滴下する。得られた乳濁液に塩酸を加
え、沈降したものをろ過して収集した。これを数回水洗
した後風乾させ、120℃で4時間乾燥し、僅かに赤み
を帯びた粉末約16gを得た。
【0028】得られた粒子粉末を50mgをペレット状
に成型し、拡散反射型の測定装置によりフォトクロミッ
ク反応を吸光度で評価した。水銀−キセノンランプによ
り主に365nmの紫外線を照射したところλ=570
nm付近に極大吸収が現れ赤紫に着色した。これに40
0〜800nmに波長域を持つ可視光線を照射したとこ
ろ吸収が消失し、赤紫色が消色して白色になた。これら
の吸収スペクトルを図1に示す。
【0029】実施例2 フェニルトリエトキシシラン(信越化学製)24gに
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベン
ゾピリロスピラン40mgを加えて溶解するまで攪拌
し、その後pH3に調製したHCl水溶液を45ml加
えて攪拌する。15時間後にテトラエトキシシラン(和
光)5.5gを加えて攪拌を続ける。この場合溶液を、
激しく攪拌している反応溶媒(25%NH3 70m
l,H2 O 350ml)中にマイクロチューブポンプ
で流速を制御しながら徐々に滴下する。得られた乳濁液
を10,000rpmで遠心分離して粒子を収集した。
これを水洗した後風乾させ、120℃で4時間乾燥し、
僅かに赤みを帯びた粉末約14gを得た。実施例1で得
られた粉末は120〜160℃に融点を持ち、アセト
ン、トルエンなどの有機溶剤に溶解するのに比べて実施
例2で得られた粉末はフェニル基の燃焼が始まるまで融
解することなく有機溶剤に対して難溶であった。
【0030】実施例1と同様にフォトクロミック特性を
測定したところ同じく紫外線照射による着色消色が観測
された。
【0031】実施例3 フェニルトリエトキシシラン(信越化学製)24gに
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベン
ゾピリロスピラン40mgを加えて溶解するまで攪拌
し、その後pH3に調製したHCl水溶液を45ml加
えて攪拌する。15時間後にアセチルアセトンをモル比
で1:1加えたテトラブトキシチタン(日本曹達)3.
0gを加えて攪拌を続ける。この混和溶液を、激しく攪
拌している反応溶媒(25%NH3 70ml,H2
350ml)中にマイクロチューブポンプで流速を制
御しながら徐々に滴下する。得られた乳濁液を10,0
00rpmで遠心分離して粒子を収集した。これを数回
水洗した後風乾させ、120℃で4時間乾燥し、僅かに
赤みを帯びた粉末約15gを得た。
【0032】実施例1と同様にフォトクロミック特性を
測定したところ同じく紫外線照射による着色消色が観測
された。また、吸収スペクトルにおいて近紫外付近の吸
収が増大した。
【0033】実施例4 ビニルトリメトキシシラン(信越化学製)20gにpH
3に調製したHCl水溶液を45ml加えて予備加水分
解を行った。室温で攪拌し続けると約5時間で溶液は混
和して均一溶液となった。エタノール100mlに溶解
させた1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニト
ロベンゾピリロスピラン100mgを予備加水分解した
上記溶液に添加して30分更に攪拌した。この溶液を、
激しく攪拌している反応溶媒(25%NH3 70m
l,H2 O 350ml)中にマイクロチューブポンプ
で流速を制御しながら徐々に滴下した。得られた乳濁液
に塩酸を加え、沈降したものをろ過して収集した。これ
を数回水洗した後一昼夜風乾させ、120℃で4時間乾
燥し、僅かに赤みを帯びた粉末約8gを得た。
【0034】実施例1と同様にフォトクロミック特性を
測定したところ、同じく紫外線照射による着色が観測さ
れた。
【0035】実施例5 フェニルトリエトキシシラン(信越化学製)24gに
1,3,3−トリメチルインドリノナフトスピロオキサ
ジン40mgを加えて溶解するまで攪拌し、その後pH
3に調製したHCl水溶液を45ml加えて攪拌する。
15時間後にアミノプロピルトリエトキシシラン(東京
化成)5.5gを加えて攪拌を続ける。この混合溶液
を、激しく攪拌している反応溶媒(25%NH3 70
ml,H2 O350ml)中にマイクロチューブポンプ
で流速を制御しながら徐々に滴下する。しばらく攪拌を
続けると溶液は徐々に白濁した。得られた乳濁液に塩酸
を加え、沈殿したものを濾過して収集した。これを数回
水洗した後一昼夜風乾させ、120℃で4時間乾燥させ
て、僅かに赤みを帯びた粉末約15gを得た。実施例1
と同様にフォトクロミック特性を測定したところ、紫外
線照射により600nm付近に吸収スペクトルが観測さ
れ、試料は青く着色した。また可視光線の照射によって
吸収ピークは消失し消色した。
【0036】実施例6 アミノプロピルトリエトキシシランにかえて、ジメチル
ジエトキシシランを用いた以外は、実施例5と同様の方
法により粒子を作製した。得られた乳濁液をエバポレー
トして溶媒を除去し、一昼夜風乾した後、120℃で4
時間乾燥して粉末を得た。フォトクロミック特性を測定
したところ実施例5と同様の結果が得られた。
【0037】実施例7 エチルエトキシシラン(信越化学製)24gに1,3,
3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベンゾピリロ
スピラン40mgを加えて溶解するまで攪拌し、その後
pH3に調製したHCl水溶液を45mlとエタノール
10mlを加えて予備加水分解を行い、室温で混和する
まで攪拌し続けた。この混合溶液を、激しく攪拌してい
る反応溶媒(25%NH3 70ml,H2 O 350
ml)中にマイクロチューブポンプで流速を制御しなが
ら徐々に滴下する。得られた乳濁液に塩酸を加え、沈降
したものをろ過して収集した。これを数回水洗した後風
乾させ、120℃で4時間乾燥し、僅かに赤みを帯びた
粉末約10gを得た。
【0038】得られた粒子粉末について実施例と同様の
方法でフォトクロミック反応を測定したところλ=57
0nm付近に極大吸収が現れ赤紫に着色した。これに4
00〜800nmに波長域を持つ可視光線を照射したと
ころ吸収が消失し、赤紫色が消色して白色になった。
【0039】比較例1 テトラエトキシシラン(信越化学製)26gに1,3,
3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベンゾピリロ
スピラン40mgを加えて溶解するまで攪拌し、その後
pH3に調製したHCl水溶液を45ml加えて攪拌す
る。溶液が混和したところで激しく攪拌している反応溶
媒(25%NH3 70ml,エタノール 350m
l)中にマイクロチューブポンプで流速を制御しながら
徐々に滴下する。得られた乳濁液を10,000rpm
で遠心分離して粒子を収集した。これを水洗してから風
乾させ、120℃で4時間乾燥し、白色粉末約7.5g
を得た。
【0040】実施例1と同様にフォトクロミック特性を
測定したところテトラエトキシシランのみより調製され
たシリカ粒子のペレットには正フォトクロミック反応が
得られず、わずかに逆フォトクロミズムを示した。
【0041】比較例2 フェニルトリエトキシシラン(信越化学製)30gに
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベン
ゾピリロスピラン40mgを加えて溶解するまで攪拌
し、その後pH3に調製したHCl水溶液を45ml加
えて予備加水分解を行った。室温で攪拌し続けると20
時間で溶液は均一に混和した。従来シリカ粒子の合成に
用いているアンモニア−アルコール反応溶媒(25%N
3 70ml,EtOH 350ml)を激しく攪拌し
て、この中に上記予備加水分解溶液をマイクロチューブ
ポンプで流速を制御しながら徐々に滴下したところ、目
的とする粒子を含んだ乳濁液の他に粘ちょうな物質が多
く生成し容器の壁面に付着した。得られた乳濁液に塩酸
を加え、沈降したものをろ過して収集したが、添加した
色素は副生成物の粘ちょうな物質やエタノール中にほと
んど残存した。また、目的物質は少量しか収集できなか
った。これを数回水洗してから風乾させ、120℃で4
時間乾燥し、粉末約6gを得た。
【0042】得られた粒子粉末を実施例1と同様の方法
でフォトクロミック反応を測定したところ、吸収スペク
トルのピークは非常に低く、紫外線照射後にサンプルを
観察すると僅かな発色しか示さなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたハイブリッド粒子の紫外線
照射後、及び可視光線照射後の吸収スペクトルを示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 83/04 C08G 77/04 C08K 9/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式[I] R1nSi(OR24-n [I] (式中、R1は置換または非置換アリール、置換または
    非置換アルキル基、もしくは置換または非置換アルケニ
    ル基を示し、R2は水素原子またはアルキル基を示し、
    nは1または2の整数を示す。)で表されるオルガノア
    ルコキシシランの少なくとも一種を、該オルガノアルコ
    キシシランに可溶な機能性有機化合物の共存下に、また
    は機能性有機化合物をオルガノアルコキシシランおよび
    水と相溶性のある溶媒に溶解した溶液の共存下に、pH
    1〜5の酸性水溶液を該オルガノアルコキシシランに対
    して3〜60倍モル添加混和し、その後、アルカリ性水
    溶液中で加水分解することを特徴とするハイブリッド粒
    子の製造方法。
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