JP2000248065A - 有機−無機成分傾斜複合材料の製造方法 - Google Patents

有機−無機成分傾斜複合材料の製造方法

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JP2000248065A
JP2000248065A JP11050338A JP5033899A JP2000248065A JP 2000248065 A JP2000248065 A JP 2000248065A JP 11050338 A JP11050338 A JP 11050338A JP 5033899 A JP5033899 A JP 5033899A JP 2000248065 A JP2000248065 A JP 2000248065A
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organic
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Motoomi Arakawa
源臣 荒川
Kazuaki Sugata
一明 須方
Yasuyuki Agari
泰幸 上利
Masayuki Shimada
雅之 島田
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Orient Chemical Industries Ltd
Osaka City
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Orient Chemical Industries Ltd
Osaka City
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高性能および高機能プラスチック材料、プラ
スチック成形品又はフィルム、シーリング剤、接着剤、
塗料用バインダー、構造材料、光学材料、樹脂添加物、
表面改質剤、ハードコート剤、電気又は電子材料、医療
材料または充填剤等に用いるのに適する有機重合体と金
属酸化物が成分傾斜した材料の簡便な製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 金属アルコキシ基を有する有機重合体か
らゾル−ゲル法によって作製した湿潤ゲル又は溶剤に溶
解する有機重合体と;金属酸化物、金属アルコキシド化
合物又は金属アルコキシド化合物の部分的加水分解およ
び重縮合物とを;接触させ、相互にまたは一方から他方
へ溶液拡散させる工程を包含する、有機重合体成分およ
び/または金属酸化物成分の濃度が連続的に変化した成
分傾斜構造を有する有機−無機成分傾斜複合材料の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種プラスチック材
料や接着剤および塗料材等に有用な高分子材料の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】無機材料はそれぞれの特徴や要求特性を
考慮し、様々なタイプのものが工業用に使用されてい
る。例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素等のケイ素系セラミ
ックス類は機械的強度や化学的安定性、熱的安定性に優
れた材料である。更に酸化ケイ素、酸化チタン等の材料
は優れた光学的特性も有する。しかしこれらの無機材料
は一般に成形加工性に乏しく、硬くてもろい。また、有
機重合体との密着性も悪く、その用途が制限されてい
る。
【0003】他方、有機重合体は一般に成形加工性や柔
軟性には優れているものの硬度や熱的安定性は無機材料
と比較するとかなり劣る。このため、無機材料と有機重
合体の特性を相補い、長所を活かす材料の開発が切望さ
れている。
【0004】その一手段としてガラス繊維、ガラスビー
ズ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機系の強
化剤や充填剤を有機重合体に混合、分散させる物性改質
が広く行われている。このような有機−無機複合材料は
無機材料が有する硬度、強度、耐熱性、耐候性等の優れ
た特性を有機重合体に付与する目的で検討されている。
【0005】しかし、無機材料と有機重合体は一般に非
相溶であり、分散状態をミクロに制御することは容易で
はない。また、改質効果を上げるためには無機材料をよ
り細かく、より多く、できるだけ均質に分散することが
重要であるが、無機材料は微粒子になるほど凝集が起こ
りやすく、均質分散が困難となる。その分、コストにも
影響が生じる。更に無機材料の添加量には限界があり、
一定量を超えると良好な複合材料が得られなくなり、成
形性が悪くなったり、もろくなったり、クラックが生じ
やすくなる傾向がある。
【0006】このようなことから高性能な有機−無機複
合材料を作製するためには、無機材料と有機重合体を単
に混合、分散するだけでは困難であり、新しい技術の開
発が必要である。
【0007】高性能な有機−無機複合材料を作製する技
術のひとつとして有機−無機ハイブリッド材料の研究が
行われている。有機−無機ハイブリッド材料とは、有機
重合体の諸物性を向上させるために金属アルコキシド化
合物を主原料としてゾル−ゲル反応を用いることにより
Si、Ti、Zr等の無機元素を材料骨格に導入したも
のである。有機重合体と無機元素を直接結合させること
から分子レベルでの均質化が可能であり、有機重合体と
無機材料が均質に微分散した材料として上述したような
問題に対応できる方法と考えられる。
【0008】これまでに特開平5−43679号公報、
特開平5−86188号公報、特開平8−104710
号公報、特開平8−104711号公報、Macrom
olecules第25巻,第4309頁,1992
年、J.Inorg.Organomet.Poly
m.第5巻,第4頁,1995年、J.Appl.Po
lym.Sci.第58巻,第1263頁,1995年
等で有機重合体として主にビニル重合体や親水性ポリマ
ーを用いた研究が報告されている。
【0009】また、2種材料の表面の材料特性を最も活
かすには2層構造を形成させることが最も望ましいが、
その界面に集中する熱応力等が大きな問題を持つ。その
ため近年、界面付近を中心に、組成が0〜100%の範
囲で連続的になだらかに変化した傾斜機能材料の研究が
盛んに行われるようになった。この傾斜機能材料は新素
材の中でも新しい分野であり今後、航空・宇宙分野、核
融合分野、エレクトロニクス分野、医療分野等の幅広い
分野への応用が期待されている。これまでは主に金属と
セラミックスを中心に検討されてきたが、傾斜構造を有
機重合体に応用した研究も徐々に増えている。
【0010】例えば、特開平5−138780号公報で
は粘度が異なるラジカル重合性ビニル単量体を複層に積
層した後、硬化処理を行い、連続的に耐熱特性の分布を
有するプラスチック成形体が報告されている。また、特
開平6−57009号公報ではアルケニルシランとオレ
フィンの共重合体と触媒成分とを比率を変えながら混
合、溶融成形し、架橋度に傾斜を有するポリオレフィン
を製造している。また、特開平9−176325号公報
では繰り返し単位中にSi−H結合とアルキンを有する
高分子化合物を熱処理することによりケイ素又は酸素原
子濃度が傾斜した材料を製造している。
【0011】この傾斜機能材料の技術を有機−無機複合
材料に応用した例としては、特開平6−304930号
公報が挙げられる。ここでは有機重合体に帯電性物質を
配合して調製した液状の樹脂組成物に、直流電圧を印加
した後に固化することによって、帯電性物質が連続的に
変化する濃度で分布した成形体を製造している。有機重
合体には、主としてエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂
前駆体が用いられており、帯電性物質にはシリカ充填剤
が用いられている。有機重合体とシリカ充填剤は共有結
合しておらず、分散系の有機−無機複合材料に分類され
る成分傾斜材料である。
【0012】また、本文および実施例に成形体中におけ
るシリカ充填剤の具体的な濃度分布は記載されておら
ず、「充填剤の濃度が高い層」という記述があるだけで
あることから、成形体中における充填剤の濃度分布は少
なくとも0〜100%ではないものと考えられる。傾斜
機能材料として有機物と無機物の特性が最大限発揮され
るのは、濃度分布が0〜100%となった場合であるこ
とから、特開平6−304930号公報に記載された傾
斜機能材料は不完全な傾斜機能材料と言える。
【0013】また他の例として、特開平8−28342
5号公報が挙げられる。ここでは熱硬化性樹脂前駆体と
シリコンアルコキシドとの均質溶液を基材上に塗布した
後、特殊な条件下でシリコンアルコキシドを加水分解お
よび重縮合し、熱硬化性樹脂を硬化させることによって
有機重合体中にシリカ微粒子を分散させた成分傾斜材料
を得ている。
【0014】しかしながら、本文および実施例中に有機
重合体とシリカとの結合に関する記述は全くなく、実施
例における材料の作製方法から考えても有機重合体とシ
リカとが全体に共有結合しているとは考えにくいため、
前述した特開平6−304930号公報と同様に分散系
の有機−無機複合材料に分類される成分傾斜材料であ
り、熱硬化性樹脂存在下、特殊な条件でシリコンアルコ
キシドから作製したシリカを用いた製法特許と言える。
【0015】また、特開平8−283425号公報の実
施例におけるシリカの含有率は最も高いところで約60
%に止まっており、傾斜機能材料としてはやはり不完全
である。このシリカの含有率は従来の充填系有機−無機
複合材料の無機物充填量の上限値と同程度であり、無機
材料が有する表面硬度等の機能をあまり活かしきれてい
ないと考えられるが、有機重合体の存在下、シリカが分
散相であるためこれ以上のシリカの高含有率領域を作製
することは困難と考えられる。更に傾斜機能材料の効果
としては耐熱衝撃特性やそり特性等が挙げられるが、特
開平8−283425号公報ではそのような特性評価は
全く行われておらず、効果が実証されていない。
【0016】特開平9−87526号公報には、金属ア
ルコキシド化合物を有機高分子固体内部に濃度傾斜を持
つように含浸させた後、該金属アルコキシド化合物を重
縮合させる工程を包含する、成分傾斜構造を有する有機
−無機複合材料の製造方法が記載されている。しかし、
この方法では、有機高分子を溶媒中に浸漬して有機高分
子固体の分子間のつながりが膨潤によって多少緩やかに
なった部分に金属アルコキシドが移動層として浸透して
いくため、有機高分子固体内部に含有させ得る金属アル
コキシド成分の量に限界が有り、また、濃度傾斜も急と
なり、良好な有機−無機複合材料が得られない。
【0017】有機−無機ハイブリッド材料と傾斜機能材
料の技術を組み合わせれば、素晴らしい特性を有する材
料が得られるものと期待されるが、これまでにそのよう
な報告例はなく、上述したように熱硬化性樹脂のような
有機重合体中に無機材料を部分的に成分傾斜させた充填
系又は分散系の有機−無機複合材料の報告しかなかっ
た。
【0018】そこで我々は鋭意検討を進めた結果、有機
重合体として主に熱可塑性樹脂を用い、無機物としてシ
リカやチタニアのような金属酸化物を用いて、これら有
機重合体と金属酸化物が共有結合し、更に各成分が0〜
100%の濃度変化を有することを特徴とした有機−無
機ハイブリッド成分傾斜複合材料の開発に成功した(特
願平10−203096)。
【0019】この材料は、両表面が全く異なる材料であ
るにもかかわらず、界面が全く存在しない理想的な有機
−無機成分傾斜複合材料である。しかし、これまでの有
機−無機成分傾斜複合材料および有機−無機ハイブリッ
ド成分傾斜複合材料の製造方法は複雑であり、高度な技
術を要するものであった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題を解決するものであり、その目的とするところは加熱
や熱衝撃および経時変化によりクラックや表層面だけの
剥離、そり、ひずみ等の変形が生じ難く耐薬品性に優れ
た、有機重合体成分および/または金属酸化物成分の濃
度が連続的に変化した成分傾斜構造を有する有機−無機
成分傾斜複合材料の簡便な製造方法を提供することにあ
る。また、その中でも特に、有機重合体と金属酸化物と
が共有結合した有機−無機ハイブリッド成分傾斜複合材
料の簡便な製造方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属アルコキ
シ基を有する有機重合体からゾル−ゲル法によって作製
した湿潤ゲル又は溶剤に溶解する有機重合体と;金属酸
化物、金属アルコキシド化合物又は金属アルコキシド化
合物の部分的加水分解および重縮合物とを;接触させ、
相互にまたは一方から他方へ溶液拡散させる工程を包含
する、有機重合体成分および/または金属酸化物成分の
濃度が連続的に変化した成分傾斜構造を有する有機−無
機成分傾斜複合材料の製造方法を提供するものであり、
そのことにより、上記目的が達成される。
【0022】本発明は有機−無機成分傾斜複合材料の簡
便な製造方法を提供するものである。有機−無機成分傾
斜複合材料とは厚み方向に有機重合体成分又は金属酸化
物成分の濃度が増加または減少する成分傾斜構造を有す
る材料をいう。有機−無機成分傾斜複合材料には、有機
重合体と金属酸化物が共有結合していない分散系の有機
−無機複合材料と、有機重合体と金属酸化物が共有結合
して形成された有機−無機ハイブリッド複合材料とが含
まれる。以下に4通りの具体例を示す。
【0023】(1)プラスチック基材(A)を溶解可能
な溶剤と金属アルコキシド化合物(B)又は金属アルコ
キシド化合物(B)のゾル−ゲル法による部分的加水分
解および重縮合物を含む溶液又は分散液をシート、フィ
ルム、成形体等のプラスチック基材(A)上にキャスト
し、基材の表面を溶解することによって、金属アルコキ
シド化合物又はその部分的加水分解および重縮合物を基
材中に導入する。その後に乾燥や熱処理を行うことによ
って、有機重合体と金属酸化物とが成分傾斜しているこ
とを特徴とする有機−無機成分傾斜複合材料の製造方法
である。
【0024】(2)プラスチック基材(A)を溶解可能
な溶剤と金属酸化物(C)を含む分散液をシート、フィ
ルム、成形体等のプラスチック基材(A)上にキャスト
し、基材の表面を溶解することによって、金属酸化物を
基材中に導入する。その後に乾燥や熱処理を行うことに
よって、有機重合体と金属酸化物とが成分傾斜している
ことを特徴とする有機−無機成分傾斜複合材料の製造方
法である。
【0025】(3)まず金属アルコキシ基を分子内に少
なくとも1個有する有機重合体(D)をゾル−ゲル法に
よって加水分解した後、溶媒の1部を蒸発させ、部分的
に縮合が生じた湿潤ゲルを作製し、次に金属酸化物
(C)を含む分散液を上記の湿潤ゲル上にキャストした
後に乾燥や熱処理を行うことによって、有機重合体と金
属酸化物とが成分傾斜しており、有機重合体と金属酸化
物とが共有結合していることを特徴とする有機−無機ハ
イブリッド成分傾斜複合材料の製造方法である。
【0026】(4)まず金属アルコキシ基を分子内に少
なくとも1個有する有機重合体(D)をゾル−ゲル法に
よって加水分解した後、溶媒の1部を蒸発させ、部分的
に縮合が生じた湿潤ゲルを作製し、次に金属アルコキシ
ド化合物(B)又は金属アルコキシド化合物(B)をゾ
ル−ゲル法によって同様に部分的加水分解および重縮合
させたものを含む溶液又は分散液を、上記の湿潤ゲル上
にキャストした後に乾燥や熱処理を行うことによって、
有機重合体と金属酸化物とが成分傾斜しており、有機重
合体と金属酸化物とが共有結合していることを特徴とす
る有機−無機ハイブリッド成分傾斜複合材料の製造方法
である。
【0027】プラスチック基材(A) 本発明において成分傾斜構造を有する有機−無機複合材
料を作製する際に使用するプラスチック基材(A)は、
何らかの溶剤に溶解するものであれば良く、いかなる方
法で合成されたものであっても良い。
【0028】プラスチック基材(A)の主骨格として
は、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビ
ニル樹脂、ポリスチレン、メタクリル酸メチル樹脂、ポ
リアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエ
ステル、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルペンテ
ン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフタル
アミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレー
ト、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエ
ーテルケトン等の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー
前駆体、またはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリ
ル樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂、シ
リコーン樹脂等の熱硬化性樹脂前駆体が挙げられる。
【0029】この中でも熱可塑性樹脂が好ましく、高性
能という点ではポリアミド、ポリアセタール、ポリカー
ボネート、ポリサルホン、ポリアリレート等のエンジニ
アリングプラスチックがより好ましい。
【0030】プラスチック基材(A)は上述したような
重合体や前駆体の1成分を主骨格としたものでも良く、
これら多成分の共重合体骨格でも良い。また、複数種を
混合したものでも良く、分岐状、線状いずれの形状でも
良い。もちろん、市販されているフィルム、シート、成
形品をそのまま使用しても良いし、市販又は自らで合成
した重合体から作製したものを用いても良い。分子量は
特に限定されない。官能基は有していてもいなくても良
い。
【0031】しかし、プラスチック基材(A)は少なく
とも1種類の有機溶剤か無機溶剤に溶解する必要があ
る。有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、n−ヘキ
サン等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭
化水素系溶剤、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン、1,3−ジオキサン、ジブチルエーテル等のエーテ
ル系溶剤、フェノール、クレゾール、キシレノール等の
フェノール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン系溶剤、蟻酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスル
ホキシド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶剤、
メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコ
ール系溶剤および各種脂肪酸やアミン類等、または上記
した溶剤の混合溶剤が挙げられる。無機溶剤としては、
水、酸水溶液、アルカリ水溶液等が挙げられる。
【0032】金属アルコキシド化合物(B) 本発明において金属アルコキシド化合物(B)として
は、あらゆるタイプのものも用いることができる。その
中でも好ましいものは、式(1) ApM 式(1) [式中、Aは炭素数1〜8、好ましくは1〜4のアルコ
キシ基、MはSi、Ti、Zr、Fe、Cu、Sn、
B、Al、Ge、Ce、TaおよびW等からなる群、好
ましくはSi、Ti、Zrからなる群から選択される金
属元素、pは2〜6の整数を示す。]で表される化合物
である。
【0033】具体的には、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テト
ラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、テト
ラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタ
ン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン
類、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトライソプ
ロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等
のテトラアルコキシジルコニウム類、およびジメトキシ
銅、ジエトキシバリウム、トリメトキシホウ素、トリエ
トキシガリウム、トリブトキシアルミニウム、テトラエ
トキシゲルマニウム、テトラブトキシ鉛、ペンタn−プ
ロポキシタンタル、ヘキサエトキシタングステン等の金
属アルコキシド類が挙げられる。
【0034】金属アルコキシド化合物(B)の他の例
は、式(2) RklM(R’mX)n 式(2) [式中、Rは水素か炭素数1〜12、好ましくは1〜5
のアルキル基またはフェニル基、Aは炭素数1〜8、好
ましくは1〜4のアルコキシ基、MはSi、Ti、Z
r、Fe、Cu、Sn、B、Al、Ge、Ce、Taお
よびW等からなる群、好ましくはSi、Ti、Zrから
なる群から選択される金属元素、R’は炭素数1〜4、
好ましくは2〜4のアルキレン基またはアルキリデン
基、Xはイソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル
基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、アミノ基、チオー
ル基、ビニル基、メタクリル基、ハロゲン基等の一般的
な官能基、kは0〜5の整数、lは1〜5の整数、mは
0または1、nは0〜5の整数を示す]で表される化合
物である。
【0035】Siを例に取り、具体的に例示すれば、 トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリn−プ
ロポキシシラン ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジイソプロポキ
シシラン モノメトキシシラン、モノエトキシシラン、モノブトキ
シシラン メチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、ジ
メチルメトキシシラン、ジイソプロピルイソプロポキシ
シラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキ
シシラン、n−プロピルトリn−プロポキシシラン、ブ
チルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジエチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジイソプロ
ポキシシラン、ジブチルジブトキシシラン、トリメチル
メトキシシラン、トリエチルエトキシラン、トリn−プ
ロピルn−プロポキシシラン、トリブチルブトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシラン、ジフェニルジエトキシ
シラン、トリフェニルメトキシシラン 等の(アルキル)アルコキシシラン、3−イソシアネー
トプロピルトリエトキシシラン、2−イソシアネートエ
チルトリn−プロポキシシラン、3−イソシアネートプ
ロピルメチルジメトキシシラン、2−イソシアネートエ
チルエチルジブトキシシラン、3−イソシアネートプロ
ピルジメチルイソプロポキシシラン、2−イソシアネー
トエチルジエチルブトキシシラン、ジ(3−イソシアネ
ートプロピル)ジエトキシシラン、ジ(3−イソシアネ
ートプロピル)メチルエトキシシラン、エトキシシラン
トリイソシアネート 等のイソシアネート基を有する(アルキル)アルコキシ
シラン3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3
−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン 等のエポキシ基を有する(アルキル)アルコキシシラン カルボキシメチルトリエトキシシラン、カルボキシメチ
ルエチルジエトキシシラン、カルボキシエチルジメチル
メトキシシラン 等のカルボキシル基を有する(アルキル)アルコキシシ
ラン 3−(トリエトキシシリル)−2−メチルプロピルコハ
ク酸無水物 等の酸無水物基を有するアルコキシシラン 2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリエ
トキシシラン 等の酸ハロゲン化物基を有するアルコキシシラン 3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)
−3−アミノプロピルトリエトキシシラン N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン 等のアミノ基を有する(アルキル)アルコキシシラン 3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メル
カプトエチルトリエトキシシラン 3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン 等のチオール基を有する(アルキル)アルコキシシラン ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルメチルジエトキシシラン 等のビニル基を有する(アルキル)アルコキシシラン 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタ
クリロキシピロピルメチルジメチルシラン 等のメタクリル基を有する(アルキル)アルコキシシラ
ン トリエトキシフルオロシラン、3−クロロプロピルトリ
メトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラ
ン、2−クロロエチルメチルジメトキシシラン 等のハロゲン基を有する(アルキル)アルコキシシラン
を挙げることができる。
【0036】もちろんSiだけではなく、Ti、Zr、
Fe、Cu、Sn、B、Al、Ge、Ce、TaやW等
の他の金属においても同様の化合物を例示することがで
きる。
【0037】これらの金属アルコキシド化合物(B)は
1種類だけでも良く、2種以上を併用しても良い。ま
た、Mg[Al(iso-OC3742、Ba[Zr
2(OC2 592、(C37O)2Zr[Al(OC3
742等の1分子内に2種以上の金属元素が含まれ
ているような金属アルコキシド化合物やテトラメトキシ
シランオリゴマーやテトラエトキシシランオリゴマー等
の1分子内に2個以上の繰り返し単位を有するオリゴマ
ータイプの金属アルコキシド化合物を用いても良い。ま
た、アルコキシ基がアセトキシ基やアセチルアセトキシ
基であっても良い。
【0038】金属酸化物(C) 本発明において金属酸化物(C)としては、市販されて
いるものや金属アルコキシド化合物、金属アセトキシ化
合物等から自らで合成したもの等、あらゆるタイプのも
のも用いることができる。
【0039】金属酸化物(C)の具体例としては、中心
金属としてSi、Ti、Zr、Fe、Cu、Sn、B、
Al、Ge、Ce、TaやW等を有するものが挙げられ
る。
【0040】この中でもシリカ、チタニア、ジルコニ
ア、アルミナ等が好ましい。金属酸化物(C)は1種類
だけでも良く、2種以上を併用しても良い。また、1分
子内に2種以上の金属元素が含まれているようなもので
も良い。形状や粒径には特に限定されないが、分散性を
考慮すると形状は球状が良く、粒径は小さいほど良い。
【0041】有機重合体(D) 本発明において金属アルコキシ基を分子内に少なくとも
1個有する有機重合体(D)はいかなる方法で合成され
たものであっても良い。
【0042】有機重合体(D)の主骨格としては、具体
的にはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹
脂、ポリスチレン、メタクリル酸メチル樹脂、ポリアミ
ド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステ
ル、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルペンテン、ポ
リサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフタルアミ
ド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポ
リイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテル
ケトン等の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー前駆
体、またはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹
脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂、シリコ
ーン樹脂等の熱硬化性樹脂前駆体が挙げられる。
【0043】この中でも熱可塑性樹脂が好ましく、高性
能という点ではポリアミド、ポリアセタール、ポリカー
ボネート、ポリサルホン、ポリアリレート等のエンジニ
アリングプラスチックがより好ましい。
【0044】有機重合体(D)は上述したような重合体
や前駆体の1成分を主骨格としたものでも良く、これら
多成分の共重合体骨格でも良い。また、複数種を混合し
たものでも良く、分岐状、線状いずれの形状でも良い。
更にハロゲン化炭化水素系、エーテル系、アルコール
系、非プロトン性極性溶媒のような溶剤に溶解するかま
たは膨潤することが望ましく、数平均分子量は500〜
50000、好ましくは1000〜15000である。
【0045】有機重合体(D)の官能基当量は1〜10
0、好ましくは1〜50、更に好ましくは2〜10であ
る。有機重合体(D)の官能基当量が1を下回ると材料
の性能が低下する可能性があり、100を上回ると材料
がもろくなる可能性がある。
【0046】有機重合体(D)は常法により合成するこ
とができ、具体的には例えば、特願平9−327842
号の明細書第0039段落〜第0054段落に詳細に記
載されている。
【0047】成分傾斜材料 本発明における成分傾斜材料は、有機成分としてプラス
チック基材(A)および金属アルコキシ基を分子内に少
なくとも1個有する有機重合体(D)、無機成分として
金属アルコキシド化合物(B)類および金属酸化物
(C)を主原料とし、主にゾル−ゲル反応と溶液拡散を
利用することによって形成する。
【0048】成分傾斜材料中の有機重合体成分および金
属酸化物成分の含有率は、特性をより発現させるために
最も高い領域では70重量%以上、最も低い領域では3
0重量%以下であることが望ましい。
【0049】また、その形態は塗膜や糸、フィルム、球
状である他、ブロック等の各種形状の成形体であるもの
を含む。
【0050】本発明においては、有機重合体および金属
酸化物が材料中において厚み方向以外では均質性を保ち
ながら、厚み方向には連続的に変化している領域を有す
ることを基本とする。従って単に不規則な凝集や相分離
によって不連続的に成分濃度が異なる領域を有するもの
や塗装によって形成される一定成分濃度を有する均一塗
膜を基材の表面に有するもの等とは異なる。
【0051】ゾル−ゲル法による加水分解、重縮合と
は、金属アルコキシド化合物又は金属アルコキシ基を有
する重合体を水と反応させることでアルコキシ基を水酸
基に変換し、次いでこの水酸基を同時進行的に重縮合さ
せることによりヒドロキシ金属基(例えば−SiOH)
を有する化合物又は重合体が脱水反応又は隣接した分子
と脱アルコール反応を生じ、無機的な共有結合を介して
3次元的に架橋する反応を言う。この際、重縮合反応は
ふたつのヒドロキシ金属基の脱水反応が最も起こりやす
いが、それだけではなく、他の水酸基やアミノ基、カル
ボキシル基等の活性水素を有する官能基とも起こりう
る。特殊な例を除き、一般に金属酸化物の表面には水酸
基が存在しており、このような金属酸化物の場合には、
金属アルコキシド化合物や金属アルコキシ基を有する重
合体との反応が可能である。
【0052】ゾル−ゲル反応に用いられる溶媒を具体的
に例示すれば、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン等の
炭化水素系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、ジク
ロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系
溶剤、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,
3−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル
等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、
シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸
ブチル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、
n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系
溶剤および上記した溶剤の混合溶剤が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。一般的にはアルコール
系溶剤のような極性溶剤が用いられることが多い。
【0053】加水分解反応に用いられる水は、全てのア
ルコキシ基を水酸基に変換するために必要な量を添加し
ても良いし、反応系中の水分を利用したり、大気中の水
分を吸湿させて行っても良い。反応条件としては、室温
〜100℃で0.5〜24時間程度が望ましい。またそ
の際、塩酸、硫酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸等の酸性触媒や水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ピペリ
ジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウ
ンデセン(DBU)等の塩基性触媒を用いても良い。
【0054】本発明における全ての加水分解過程では強
度、硬度、耐候性、耐薬品性、難燃性、帯電防止性等の
機能を向上または新たに付与する目的で無機物含有量や
重合体間の架橋密度を調整するためにSi、Ti、Z
r、Fe、Cu、Sn、B、Al、Ge、Ce、Ta、
W等の金属、金属酸化物、金属錯体や無機塩等を共存さ
せても良い。また、ゲル化、乾燥、熱処理の際に生じる
可能性があるクラックを抑制するためにホルムアミドや
ジメチルホルムアミド、ジオキサン、シュウ酸等を乾燥
抑制剤として加えても良いし、添加物としてアセチルア
セトン等を加えても良い。
【0055】更に縮合反応を進め、架橋をより強固なも
のとしたい場合には、その後50〜500℃で5分〜4
8時間程度、熱処理を行う。
【0056】溶液拡散とは液体中の溶質又は微分散物が
自己拡散する現象をいう。本発明においてプラスチック
基材(A)を用いた場合には、プラスチック基材(A)
上にこの基材を溶解する溶剤と金属アルコキシド化合物
(B)類又は金属酸化物(C)を含む溶液又は分散液を
添加することによって、液体中に溶けだした有機重合体
成分と液体中に溶解又は微分散した金属アルコキシド化
合物(B)類や金属酸化物(C)が相互に拡散する。
【0057】また、金属アルコキシ基を分子内に少なく
とも1個有する有機重合体(D)を用いた場合には、ま
ず有機重合体(D)を含む溶液に酸又は塩基を含む水お
よび/または有機溶剤を添加し、金属アルコキシ基を部
分的に加水分解および重縮合させることによって湿潤ゲ
ルを作製する。次にこの湿潤ゲル上に金属アルコキシド
化合物(B)類又は金属酸化物(C)を含む溶液又は分
散液を添加することによって、有機重合体(D)の湿潤
ゲル中に、液体中に溶解又は微分散した金属アルコキシ
ド化合物(B)類や金属酸化物(C)が拡散する。
【0058】有機−無機成分傾斜複合材料の製造方法 有機−無機成分傾斜複合材料に関する本発明の製造方法
の具体例を挙げれば、まずプラスチック基材(A)を溶
解する溶剤と金属アルコキシド化合物(B)を含む溶液
をゾル−ゲル法によって加水分解する。次に得られた溶
液をプラスチック基材(A)上に注ぎ、開放又は密閉状
態でキャストする。この際、プラスチック基材(A)を
溶解する溶剤は、任意の量で使用することができ、ゾル
−ゲル反応溶媒と同一であっても異なっていても良い。
すなわち、金属アルコキシド化合物(B)を除いた溶剤
分として1〜100%の割合で使用することができる。
溶液中の金属アルコキシド化合物(B)の濃度は、金属
アルコキシド化合物(B)の加水分解が充分に行える濃
度であれば構わない。通常、2〜50%、更には5〜2
0%が望ましい。これらの溶剤量や金属アルコキシド化
合物(B)の濃度は、ゾル−ゲル反応条件やキャスト条
件と相関して決定される。
【0059】ゾル−ゲル反応の温度は任意の温度で構わ
ないが、通常は室温〜100℃程度の温度で行われるこ
とが多い。キャスト条件は使用する溶剤、すなわちプラ
スチック基材(A)を溶解する溶剤およびゾル−ゲル反
応溶剤に左右され、これらの溶剤が低沸点溶剤や揮発性
が高い溶剤の場合には、室温以下の温度や密閉状態で行
われる。高沸点溶剤が用いられる場合には開放下、加温
しても良い。
【0060】このような方法で処理を行うことによって
プラスチック基材(A)の表面が溶解し、金属アルコキ
シド化合物(B)の加水分解物をプラスチック基材内部
に導入することができる。また、プラスチック基材の表
面に近い部分ほどよく溶解し、内部に行くほど溶液が浸
透しにくいことから金属アルコキシド化合物(B)の加
水分解物が成分傾斜した構造となる。その後、乾燥や熱
処理を行うことによって金属酸化物が成分傾斜した有機
−無機複合材料が得られる。
【0061】また、プラスチック基材(A)を溶解する
溶剤と金属アルコキシド化合物(B)を含む溶液をプラ
スチック基材(A)上に注ぎ、上記と同様の方法で処理
を行うことによって金属酸化物が成分傾斜した有機−無
機複合材料を得ることが可能である。但しこの場合は、
まず金属アルコキシド化合物が成分傾斜するためにその
後、基材又は大気中の水分を用いて加水分解および重縮
合を行うか、熱処理条件を厳しくすることによって脱水
縮合を行い、金属酸化物を作製する必要がある。
【0062】更にプラスチック基材(A)を溶解する溶
剤と金属酸化物(C)を含む分散液をプラスチック基材
(A)上に注ぐことによっても金属酸化物が成分傾斜し
た有機−無機複合材料を得ることが可能である。但しこ
の場合は、金属酸化物が急速に沈降しないように分散液
の安定性を保つことが必要となる。そのため金属酸化物
の粒径はできるほど小さい方が望ましく、100nm以
下、特に10nm以下が好ましい。
【0063】このような方法で作製した有機−無機成分
傾斜複合材料は、材料の厚み方向に有機重合体成分又は
金属酸化物成分の含有率が連続的に変化したものが得ら
れ、加熱や熱衝撃および経時変化によってクラックや表
層面だけの剥離やそり、ひずみ等の変形が生じにくい材
料となる。
【0064】有機−無機ハイブリッド成分傾斜複合材料
の製造方法 有機−無機ハイブリッド成分傾斜複合材料に関する本発
明の製造方法の具体例を挙げれば、まず金属アルコキシ
基を分子内に少なくとも1個有する有機重合体(D)の
溶液をゾル−ゲル法によって加水分解し、開放又は密閉
状態でキャストすることによって部分的に縮合が生じた
湿潤ゲルを作製する。この際、溶液中の有機重合体
(D)の濃度は、有機重合体(D)の加水分解が充分に
行える濃度であれば良く、2〜50%、更には5〜20
%が好ましい。次に得られた湿潤ゲル上に金属アルコキ
シド化合物(B)の溶液をゾル−ゲル法によって加水分
解した溶液又は湿潤ゲルを添加し、開放又は密閉状態で
キャストする。
【0065】この際、溶液中の金属アルコキシド化合物
(B)の濃度は、金属アルコキシド化合物(B)の加水
分解が充分に行える濃度であれば構わない。通常、2〜
50%、更には5〜20%が望ましい。有機重合体
(D)や金属アルコキシド化合物(B)の濃度は、ゾル
−ゲル反応条件やキャスト条件と相関して決定される。
ゾル−ゲル反応の温度は任意の温度で構わないが、通常
は室温〜100℃程度の温度で行われることが多い。キ
ャスト条件は使用するゾル−ゲル反応溶剤に左右され、
これらの溶剤が低沸点溶剤や揮発性が高い溶剤の場合に
は、室温以下の温度や密閉状態で行われる。高沸点溶剤
が用いられる場合には開放下、加温しても良い。
【0066】このような方法で処理を行うことによって
部分的に結合した有機重合体(D)の湿潤ゲル内に金属
アルコキシド化合物(B)の加水分解物又は湿潤ゲルが
浸透する。その後、湿潤ゲルを乾燥又は熱処理すること
によって有機重合体と金属酸化物を共有結合させること
ができる。また、有機重合体(D)の湿潤ゲルは緩い網
目構造となっていることから、金属アルコキシド化合物
(B)の加水分解物又は湿潤ゲルは内部に行くほど浸透
しにくく、金属酸化物が成分傾斜した構造となる。
【0067】また、過剰の水分を含む有機重合体(D)
の湿潤ゲル上に金属アルコキシド化合物(B)又は金属
アルコキシド化合物(B)を含む溶液を注ぎ、上記と同
様の方法で処理を行うことによって有機重合体と金属酸
化物が共有結合しかつ、金属酸化物が成分傾斜した有機
−無機ハイブリッド成分傾斜複合材料を得ることも可能
である。
【0068】更に有機重合体(D)の湿潤ゲル上に金属
酸化物(C)を含む分散液を注ぐことによっても金属酸
化物が成分傾斜した有機−無機複合材料又は有機重合体
と金属酸化物が共有結合しかつ、金属酸化物が成分傾斜
した有機−無機ハイブリッド成分傾斜複合材料を得るこ
とが可能である。但しこの場合は、金属酸化物が急速に
沈降しないように分散液の安定性を保つことが必要とな
る。そのため金属酸化物の粒径はできるほど小さい方が
望ましく、100nm以下、特に10nm以下が好まし
い。
【0069】このような方法で作製した有機−無機ハイ
ブリッド成分傾斜複合材料は、2成分がミクロ的に均質
でありながらかつ複合体の厚み方向に有機重合体成分又
は金属酸化物成分の含有率が連続的に変化し、更に2成
分が共有結合したものが得られ、有機−無機成分傾斜複
合材料よりも更に加熱や熱衝撃および経時変化によって
クラックや表層面だけの剥離やそり、ひずみ等の変形が
生じにくい耐薬品性に優れた材料となる。
【0070】本発明の製造方法を用いて作製された成分
傾斜材料には、無機材料が有する耐熱性、耐候性、表面
硬度、剛性、耐水性、耐薬品性、耐汚染性、機械的強
度、難燃性等の特性が有機重合体に良好に付与されてい
る。逆に言えば、有機重合体が有する耐衝撃性、柔軟
性、加工性および軽量性等の特性が無機材料に良好に付
与されている。しかも有機重合体と金属酸化物の2成分
の含有率が連続的に変化していることより、加熱や経時
変化によってクラックや表層面だけの剥離やそり、ひず
み等の変形が生じ難い耐熱衝撃性も付与されている。
【0071】
【発明の効果】本発明により高性能および高機能プラス
チック材料、プラスチック成形品又はフィルム、シーリ
ング剤、接着剤、塗料用バインダー、構造材料、光学材
料、樹脂添加物、表面改質剤、ハードコート剤、電気又
は電子材料、医療材料または充填剤等に用いるのに適す
る有機重合体と金属酸化物が成分傾斜した材料の簡便な
製造方法が提供される。
【0072】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されない。
【0073】実施例1 常法により合成した数平均分子量6600、および水酸
基当量1.6のポリカーボネートジオール70.0gを
クロロホルム500mLに溶解し、その後この溶液に3
−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン7.9g
を添加し、還流下で15時間加熱した後、室温に冷却し
た。この反応液をメタノール7L中に滴下し、生成物を
析出させた。析出物をろ別し、メタノールで洗浄した
後、減圧乾燥した(収率97%)。
【0074】1H−NMR測定により得られた生成物は
両末端にアルコキシシリル基が導入された両末端トリエ
トキシシリル化ポリカーボネート(PCS)であること
を確認した。この生成物のアルコキシシリル基当量は
1.6であった。またGPC測定の結果、この生成物の
数平均分子量は7500であった。
【0075】得られたPCS2.0gをテトラヒドロフ
ラン(THF)20mLに溶解し、1N−塩酸水0.3
gを加えた後、10分間撹拌を行なった。この溶液をテ
フロンシャーレに移し、開放状態で30分間放置するこ
とによりPCSの湿潤ゲルを作製した。
【0076】この湿潤ゲル上に、テトラエトキシシラン
(TEOS)2.0gを静かに添加し、1日放置するこ
とによりシリカ/ポリカーボネート系成分傾斜フィルム
を得た(フィルム厚90μm)。
【0077】得られたシリカ/ポリカーボネート系成分
傾斜フィルムのシャーレ側表面のIR測定を行ったとこ
ろ、1770cm-1付近にみられるカーボネート基のピ
ークをはじめとしてポリカーボネート成分に起因するピ
ークは観察されたものの、シリカ成分に起因するピーク
は全く観察されなかった。また、このフィルムの空気側
表面のIR測定を行ったところ、1080cm-1付近の
Si−O−Siのピークをはじめとしてシリカ成分に起
因するピークはみられたものの、ポリカーボネート成分
に起因するピークは全く観察されなかった。
【0078】このフィルムの断面を走査型電子顕微鏡
(SEM)を用いて観察したところ、マクロな相分離は
みられず、良好な内部構造であることが確認された。ま
た、フィルム表面から内部に向けてほぼ垂直にSi元素
の線分析を行った結果、空気側表面からシャーレ側表面
にかけてSi元素は徐々に減少し、シャーレ側表面では
Siは検出されなかった。
【0079】IRの結果より空気側表面にはPC成分が
存在せず、シャーレ側表面にはシリカ成分が存在しな
い。また、SEMにおけるSi元素分析の結果より、空
気側表面からシャーレ側表面に向けてSi元素が徐々に
減少していることから、このフィルムではシリカ成分と
PC成分の組成比が10/0〜0/10の割合で傾斜し
ていることが確認された。
【0080】尚、IRはニコレージャパン製のImpa
ct 400M型を用い、ATR法で測定した。SEM
は日本電子製のJNM−EX270型を用いた。
【0081】実施例2 実施例1で合成したPCS2.0gをTHF20mLに
溶解し、1N−塩酸水0.3gを加えた後、10分間撹
拌を行なった。この溶液をテフロンシャーレに移し、開
放状態で45分間放置することによりPCSの湿潤ゲル
を作製した。
【0082】この湿潤ゲル上に、あらかじめTEOS
2.0gをTHF10mLに溶解し、1N−塩酸水0.
7gを添加して30分間処理した溶液を静かに注加し、
1日放置することによりシリカ/ポリカーボネート系成
分傾斜フィルムを得た(フィルム厚80μm)。
【0083】実施例1と同様に得られたフィルムのIR
測定とSEM観察を行った結果、フィルム内部でマクロ
な相分離はみられなかった。また、Si元素が空気側表
面からシャーレ側表面にかけて徐々に減少しており、シ
リカ成分とPC成分が傾斜構造を形成していることが確
認された。
【0084】実施例3 TEOS0.20gをエタノール1.0mLに溶解した
後、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)2.0m
Lと1N−塩酸水0.07gを加え、10分間強撹拌を
行った。この溶液をガラスシャーレ内に固定した荒木ゴ
ム社製のポリカーボネートシート(50mm径、0.5
mm厚)上に注加し、密閉状態で1日放置した後、加温
しながら減圧乾燥することにより溶剤分を除去し、ポリ
カーボネートシート表面付近にシリカ成分を成分傾斜さ
せた。
【0085】実施例1と同様にIR測定とSEM観察を
行った結果、フィルム内部でマクロな相分離はみられな
かった。また、Si元素が空気側表面からシャーレ側表
面にかけて徐々に減少しており、シリカ成分とPC成分
が傾斜構造を形成していることが確認された。Si元素
濃度曲線を付したフィルム断面のSEM写真を図1に示
した。
【0086】実施例4 TEOS0.20gをイソプロパノール1.0mLに溶
解した後、DMF2.0mLと1N−塩酸水0.07g
を加え、10分間強撹拌を行った。この溶液をガラスシ
ャーレ内に固定したポリカーボネートシート(50mm
径、0.5mm厚)上に注加し、密閉状態で1日放置し
た後、加温しながら減圧乾燥することにより溶剤分を除
去し、ポリカーボネートシート表面付近にシリカ成分を
成分傾斜させた。
【0087】実施例1と同様にIR測定とSEM観察を
行った結果、フィルム内部でマクロな相分離はみられな
かった。また、Si元素が空気側表面からシャーレ側表
面にかけて徐々に減少しており、シリカ成分とPC成分
が傾斜構造を形成していることが確認された。
【0088】実施例5 TEOS0.20gをイソプロパノール1.0mLに溶
解した後、ベンゼン2.0mLと1N−塩酸水0.07
gを加え、10分間強撹拌を行った。この溶液をガラス
シャーレ内に固定したポリカーボネートシート(50m
m径、0.5mm厚)上に注加し、密閉状態で1日放置
した後、加温しながら減圧乾燥することにより溶剤分を
除去し、ポリカーボネートシート表面付近にシリカ成分
を成分傾斜させた。
【0089】実施例1と同様にIR測定とSEM観察を
行った結果、フィルム内部でマクロな相分離はみられな
かった。また、Si元素が空気側表面からシャーレ側表
面にかけて徐々に減少しており、シリカ成分とPC成分
が傾斜構造を形成していることが確認された。
【0090】実施例6 三菱化学製テトラメトキシシランオリゴマーMKCシリ
ケートMS−56(TMOS)0.20gをメタノール
1.0mLに溶解した後、DMF1.0mLと1N−塩
酸水0.07gを加え、10分間強撹拌を行った。この
溶液をガラスシャーレ内に固定したポリカーボネートシ
ート(50mm径、0.5mm厚)上に注加し、密閉状
態で1日放置した後、加温しながら減圧乾燥することに
より溶剤分を除去し、ポリカーボネートシート表面付近
にシリカ成分を成分傾斜させた。
【0091】実施例1と同様にIR測定とSEM観察を
行った結果、フィルム内部でマクロな相分離はみられな
かった。また、Si元素が空気側表面からシャーレ側表
面にかけて徐々に減少しており、シリカ成分とPC成分
が傾斜構造を形成していることが確認された。
【0092】実施例7 TMOS0.20gをメタノール1.0mLに溶解した
後、酢酸エチル0.7mLと1N−塩酸水0.07gを
加え、10分間強撹拌を行った。この溶液をガラスシャ
ーレ内に固定したポリカーボネートシート(50mm
径、0.5mm厚)上に注加し、密閉状態で1日放置し
た後、加温しながら減圧乾燥することにより溶剤分を除
去し、ポリカーボネートシート表面付近にシリカ成分を
成分傾斜させた。
【0093】実施例1と同様にIR測定とSEM観察を
行った結果、フィルム内部でマクロな相分離はみられな
かった。また、Si元素が空気側表面からシャーレ側表
面にかけて徐々に減少しており、シリカ成分とPC成分
が傾斜構造を形成していることが確認された。
【0094】比較例1 TEOS2.0gをエタノール10mLに溶解した後、
1N−塩酸水0.7gを加え、10分間強撹拌を行っ
た。この溶液をガラスシャーレ内に固定したポリカーボ
ネートシート(50mm径、0.5mm厚)上に注加
し、密閉状態で1日放置した後、減圧乾燥することによ
り溶剤分を除去し、ポリカーボネートシート表面付近に
シリカ層を形成した。
【0095】このフィルムのSEM観察を行った結果、
Si元素分布はポリカーボネートとシリカ間で大きく変
化していることが確認された。Si元素濃度曲線を付し
たフィルム断面のSEM写真を図2に示した。
【0096】熱衝撃試験 実施例1〜7および比較例1で得られたフィルムを用い
て熱衝撃試験を行った。試験方法としては試験片(30
×30mm)を120℃の熱風乾燥器内で30分間処理
した後、直ちに−20℃の冷凍庫内に移し、30分間処
理するという操作を3度繰り返し、その後のフィルムの
様子を観察した。
【0097】その結果、比較例1のシリカフィルムはク
ラックが生じ、ポリカーボネートシートから剥離したも
のの実施例1〜7のシリカ/ポリカーボネート系成分傾
斜材料は試験前と変化なく、良好な状態であった。
【0098】これらの結果より本発明の製造方法で作製
した成分傾斜材料は、良好な耐熱衝撃特性を有すること
が確認された。
【0099】耐薬品性試験 実施例1〜4および比較例1で得られたフィルムを用い
て耐薬品性試験を行った。試験方法としては25℃、5
0%湿度下、試験片(30×30mm)上に有機溶剤1
mLを滴下し、風乾後のフィルムの様子を観察した。
【0100】その結果、比較用のポリカーボネートシー
トではクロロホルムやアセトン等でポリカーボネートの
溶解や白化がみられた。また、比較例1でも同様の現象
がみられ、シリカ層の剥離が観察された。これに対し
て、実施例1〜4では外観上の変化は観察されなかっ
た。
【0101】これらの結果より、本発明の製造方法で作
製した成分傾斜材料は良好な耐薬品性を有することが確
認された。
【0102】
【表1】耐薬品性試験後のフィルム状態 ○:溶解、膨潤、曇り、変色、剥離等の外観上の変化な
し ×:溶解、膨潤、曇り、変色、剥離等の外観上の変化あ
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3で得られたシリカ/ポリカーボネー
ト系成分傾斜フィルム断面のSi元素濃度曲線を付した
SEM写真である。
【図2】 比較例1で得られたシリカ/ポリカーボネー
トフィルム断面のSi元素濃度曲線を付したSEM写真
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須方 一明 大阪府寝屋川市讃良東町8番1号 オリヱ ント化学工業株式会社内 (72)発明者 上利 泰幸 大阪府大阪市中央区東平1丁目1番53の 1001号 (72)発明者 島田 雅之 大阪府堺市高倉台3丁11番6号 Fターム(参考) 4J002 BB201 BC021 BD171 BG051 CB001 CC041 CC181 CC231 CD001 CF001 CF161 CH071 CL001 CM041 CN031 CP031 CP171 EC076 EX036 GB01 GH01 GH02 GJ01 GP00 GQ00 4J030 CA02 CC02 CC06 CC10 CC15 CC16 CC17 CC21 CC26 CC30 CD11 CE02 CG06 CG11 CG19 CG20 CG21 CG29 4J035 BA12 GA01 GA02 GA03 GA04 GA06 GA08 GA10 GB02 GB03 GB04 LA03 LB01 LB02 LB03 LB20

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属アルコキシ基を有する有機重合体か
    らゾル−ゲル法によって作製した湿潤ゲル又は溶剤に溶
    解する有機重合体と;金属酸化物、金属アルコキシド化
    合物又は金属アルコキシド化合物の部分的加水分解およ
    び重縮合物とを;接触させ、相互にまたは一方から他方
    へ溶液拡散させる工程を包含する、有機重合体成分およ
    び/または金属酸化物成分の濃度が連続的に変化した成
    分傾斜構造を有する有機−無機成分傾斜複合材料の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 有機重合体を提供する工程;有機重合体
    上にこの有機重合体を溶解する溶剤と金属酸化物を含む
    分散液を添加する工程;及び有機重合体成分と金属酸化
    物成分とを相互に溶液拡散させながら、又は溶液拡散さ
    せた後に開放又は密閉系で乾燥および加熱して溶媒を除
    去することによって、金属酸化物を有機重合体に傾斜お
    よび固定化する工程;を包含する、有機重合体成分およ
    び/または金属酸化物成分の濃度が連続的に変化した成
    分傾斜構造を有する有機−無機成分傾斜複合材料の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 有機重合体を提供する工程;有機重合体
    上にこの有機重合体を溶解する溶剤と金属アルコキシド
    化合物を含む溶液又は分散液を添加する工程;及び有機
    重合体成分と金属アルコキシド成分とを相互に溶液拡散
    させながら、又は溶液拡散させた後に開放又は密閉系で
    乾燥および加熱して溶媒を除去することによって、金属
    アルコキシド化合物から生成する金属酸化物を有機重合
    体に傾斜および固定化する工程;を包含する、有機重合
    体成分および/または金属酸化物成分の濃度が連続的に
    変化した成分傾斜構造を有する有機−無機成分傾斜複合
    材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機重合体を提供する工程;有機重合体
    上にこの有機重合体を溶解する溶剤と金属アルコキシド
    化合物の部分的加水分解および重縮合物を含む溶液又は
    分散液を添加する工程;有機重合体成分と金属アルコキ
    シド成分とを相互に溶液拡散させながら、又は溶液拡散
    させた後に開放又は密閉系で乾燥および加熱して溶媒を
    除去することによって、金属アルコキシド化合物の部分
    的加水分解および重縮合物から生成する金属酸化物を有
    機重合体に傾斜および固定化する工程;を包含する、有
    機重合体成分および/または金属酸化物成分の濃度が連
    続的に変化した成分傾斜構造を有する有機−無機成分傾
    斜複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属アルコキシ基を有する有機重合体を
    含む溶液に酸又は塩基を含む水および/または有機溶剤
    を添加し、金属アルコキシ基を部分的に加水分解および
    重縮合させることによって湿潤ゲルを作製する工程;こ
    の湿潤ゲル上に、金属酸化物を含む分散液を添加する工
    程;及び湿潤ゲルの有機重合体成分と金属酸化物成分と
    を溶液拡散させながら、又は溶液拡散させた後に開放又
    は密閉系で乾燥および加熱して溶媒を除去することによ
    って金属酸化物成分を傾斜および固定化する工程;を包
    含する、有機重合体成分および/または金属酸化物成分
    の濃度が連続的に変化した成分傾斜構造を有し、有機重
    合体と金属酸化物とが共有結合した有機−無機ハイブリ
    ッド成分傾斜複合材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属アルコキシ基を有する有機重合体を
    含む溶液に酸又は塩基を含む水および/または有機溶剤
    を添加し、金属アルコキシ基を部分的に加水分解および
    重縮合させることによって湿潤ゲルを作製する工程;こ
    の湿潤ゲル上に、金属アルコキシド化合物を含む溶液又
    は分散液を添加する工程;湿潤ゲルの有機重合体成分と
    金属アルコキシド成分とを溶液拡散させながら、更に金
    属アルコキシ基および金属アルコキシド化合物を加水分
    解および重縮合させることによって金属酸化物成分を傾
    斜および固定化する工程;を包含する、有機重合体成分
    および/または金属酸化物成分の濃度が連続的に変化し
    た成分傾斜構造を有し、有機重合体と金属酸化物とが共
    有結合した有機−無機ハイブリッド成分傾斜複合材料の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 金属アルコキシ基を有する有機重合体を
    含む溶液に酸又は塩基を含む水および/または有機溶剤
    を添加し、金属アルコキシ基を部分的に加水分解および
    重縮合させることによって湿潤ゲルを作製する工程;こ
    の湿潤ゲル上に、金属アルコキシド化合物の部分的加水
    分解および重縮合物を含む溶液又は分散液を添加する工
    程;湿潤ゲルの有機重合体成分と金属アルコキシド成分
    とを溶液拡散させながら、更に金属アルコキシ基および
    金属アルコキシド化合物を加水分解および重縮合させる
    ことによって金属酸化物成分を傾斜および固定化する工
    程;を包含する、有機重合体成分および/または金属酸
    化物成分の濃度が連続的に変化した成分傾斜構造を有
    し、有機重合体と金属酸化物とが共有結合した有機−無
    機ハイブリッド成分傾斜複合材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記有機重合体の主骨格が熱可塑性樹脂
    である請求項1〜7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記有機重合体の主骨格がポリカーボネ
    ート、ポリアリレート、又はポリサルホンである請求項
    1〜7記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記金属酸化物、金属アルコキシド化
    合物、金属アルコキシ基の金属元素がSi、Tiおよび
    Zrからなる群から選択される少なくとも1種である請
    求項1〜7記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記金属酸化物、金属アルコキシド化
    合物、及び金属アルコキシ基の金属元素がSiである請
    求項1〜7記載の製造方法。
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