JP2004149687A - 被覆繊維状酸化アルミニウムフィラー及びこれを含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
被覆繊維状酸化アルミニウムフィラー及びこれを含む熱可塑性樹脂組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】表面性が損なわれることなく、弾性率や軟化温度を向上させることが可能な成形材料として好適に添加することのできる繊維状酸化アルミニウムフィラー、及びこれを含む熱可塑性樹脂を提供する。
【解決手段】一次粒子の平均繊維長が10〜1000nmであり、平均繊維径が0.5〜7nmであり、平均アスペクト比が2000〜5である繊維状酸化アルミニウムフィラーを、特定のシランカップリング剤で処理した、MgKa線、光電子取出角=15度でのESCA測定による表面元素比率が、処理剤に含まれるSiとAlの存在比Si/Alにおいて0.001〜1.00である表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラー。および熱可塑性樹脂100重量部と、該繊維状酸化アルミニウムフィラー0.01〜10重量部とからなる熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】一次粒子の平均繊維長が10〜1000nmであり、平均繊維径が0.5〜7nmであり、平均アスペクト比が2000〜5である繊維状酸化アルミニウムフィラーを、特定のシランカップリング剤で処理した、MgKa線、光電子取出角=15度でのESCA測定による表面元素比率が、処理剤に含まれるSiとAlの存在比Si/Alにおいて0.001〜1.00である表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラー。および熱可塑性樹脂100重量部と、該繊維状酸化アルミニウムフィラー0.01〜10重量部とからなる熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂の耐熱性や弾性率といった諸物性向上に有効な表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラー、及びこれを含む熱可塑性樹脂組成物、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に樹脂の耐衝撃性・弾性率・耐熱性向上・寸法安定性向上などには高分子材料と比較すると剛性の高い無機物の添加が試みられている。中でもガラス繊維は樹脂の強化に広く使用され、剛性率向上や耐熱性向上に利用されている。樹脂としての成形性、表面性を確保し、さらには無機物の剛性を充分に確保するためには、より微細な無機物を均一に分散させ、樹脂との親和性を高めることが求められる。
【0003】
無機粒状物をフィルム中に分散させた例として、例えば特許文献1においては平均粒径が0.01〜20nmの微細な無機粒状物をスラリー状にして添加するにあたりそのpHをコントロールすることで凝集を抑制し均一に分散させることで、表面性に優れたポリエステルフィルムを得ている。また例えば特許文献2においては平均粒径が0.5μm程度のアルミナ無機粒状物の表面をシランカップリング剤で処理することで、ポリエステルフィルム中の分散性を向上させている。こうした粒状の添加物は、樹脂の物性向上を行うというよりも、フィルムの表面性改善などの目的で使用されている。
【0004】
機械物性を向上させるためにはアスペクト比の高い、弾性率が高く繊維状の添加物が好ましい。例えば特許文献3においては繊維径0.4μm、繊維長15〜28μm、アスペクト比7〜10の繊維状チタン酸カリウムや繊維状珪酸カルシウム、ポリアミド樹脂からなる樹脂組成物が開示されている。しかしながら繊維径が大きい場合には、表面性が損なわれるため、フィルム等の表面性が要求される用途で使用することは困難である。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−48969号公報(p.5−6)
【0006】
【特許文献2】
特開平8−225663号公報(p.3−5)
【0007】
【特許文献3】
特開2001−131409号公報(p.6−7)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、表面性が損なわれることなく、弾性率や軟化温度を向上させることが可能な繊維、フィルムあるいは樹脂用成形材料として好適に添加することのできる表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラー、及びこれを含む熱可塑性樹脂を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.下記式(I)
【0010】
【化3】
AlxOyHz (I)
( X =(2y−z)/ 3 を満たす)
で表され、一次粒子の平均繊維長が10〜1000nmであり平均繊維径が0.5〜7nmであり、平均アスペクト比が2000〜5である繊維状酸化アルミニウムフィラーを、下記式(II)
【0011】
【化4】
(R1)n−Si−X(4−n) (II)
(R1:C数1〜300の有機基であってN、O、S、ハロゲンといったヘテロ原子を含んでも良い。X:OR2といったアルコキシル基もしくは、ハロゲン原子であって、R2はC数1〜18の有機基である。)
で示されるシランカップリング剤で処理した、MgKa線、光電子取出角=15度でのESCA測定による表面元素比率が、処理剤に含まれるSiとAlの存在比Si/Alにおいて0.001〜1.00である表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラー。
【0012】
2.熱可塑性樹脂100重量部と、上記に記載の繊維状酸化アルミニウムフィラー0.01〜10重量部とからなる熱可塑性樹脂組成物。
【0013】
3.熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィドからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【0014】
4.溶媒中で分散させた繊維状酸化アルミニウムフィラーを熱可塑性樹脂重合時もしくは、熱可塑性樹脂の溶融時に添加することを特徴とする上記に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【0015】
本発明で使用する繊維状酸化アルミニウムフィラーは、下記式(I)
【0016】
【化5】
AlxOyHz (I)
( x =(2y−z)/ 3 を満たす)
でしめされるものであり、一種もしくは数種の混合物からなる。具体的には、水酸化アルミニウム、ベーマイト、δ型、γ型、θ型、α型アルミナなどが挙げられ、中でも入手の点と表面被覆の点で、ベーマイト、γ型アルミナが好ましく、弾性率の高い点でγ型アルミナがさらに好ましい。
【0017】
例えばγアルミナの際x=2、y=3、z=0となる。また基本の化学式でzが0であってもその表面には水酸基が存在し、この後行う表面被覆の際にはその表面のOHが反応点となる。
【0018】
本発明で使用する繊維状酸化アルミニウムフィラーの平均繊維長としては10〜1000nmであり平均繊維径が0.5〜7nmであり、平均アスペクト比が2000〜5である。平均繊維長が、10〜1000nmの場合には補強効果を充分発揮し、なおかつ溶融成形性・ポリマー中の良好な分散性を維持することが可能となる。
【0019】
平均繊維長としては、好ましくは35〜250nmであり、より好ましくは40〜200nmである。また平均繊維径が0.5〜7nmの場合、十分な強度と特にフィルム等に成形した場合に求められる良好な表面性を維持できる。
【0020】
平均繊維径としては好ましくは1〜4nm、より好ましくは2〜3nmである。平均アスペクト比においては、5〜2000の場合、期待される高弾性率への効果を発揮しつつも溶融成形性が維持される。アスペクト比としては好ましくは10〜1000、より好ましくは20〜400である。
【0021】
本発明の繊維状酸化アルミニウムフィラーは上記の繊維状酸化アルミニウムフィラーに表面被覆を行ったのである。この被覆には式(II)で示される化合物がシランカップリング剤として使用される。
【0022】
【化6】
(R1)n−Si−X(4−n) (II)
(R1:C数1〜300からなる有機基でありN、O、S、ハロゲンといったヘテロ原子を含んでも良い。X:OR2といったアルコキシル基もしくは、ハロゲン原子であって、R2はC数1〜18の有機基である。)
R1として具体的にはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など脂肪族アルキル基、シクロヘキシル基等の脂環族基、またフェニル基、トルイル基、ナフチル基といった芳香族基が挙げられる。またこれらにN,O,S、ハロゲンといったヘテロ原子を含んでよく、その場合、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、酸無水物、エポキシ基、メルカプト基等が挙げられる。Xに含まれるOR2のR2としてはメチル基、エチル基、プロピル基等が上げられる。
【0023】
このような式(II)で示されるシランカップリング剤の具体的な化合物としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン,n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン,n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン,n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルルトリメトキシシラン,n−ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、トルイルトリメトキシシラン、トルイルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、P−アミノフェニルトリエトキシシラン、3−シアノエチルメチルジメトキシシラン、3−シアノエチルトリメトキシシラン、3−シアノメチルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシン酸無水物、2−(3,4,−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2,3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5、6―エポキシヘキシルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、11−ブロモウンデシルトリメトキシシラン、11−ブロモウンデシルトリクロロシラン、11−ブロモウンデシルジメチルクロロシラン、等のシランカップリング剤を挙げることができる。
【0024】
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうちで、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、2,3,(4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが、得られたフィラーの物性や引き続き官能基変換する上で、また、入手する上でより好ましい。
【0025】
表面被覆は上記のようなシランカップリング剤と繊維状酸化アルミニウムフィラーを溶媒・もしくは無溶媒中、必要に応じて加熱することにより実施される。この際溶媒系に水分が含まれている場合、シランカップリング剤が繊維状酸化アルミニウムフィラー表面とは反応せず自己縮合反応を起こし、表面被覆が充分行われないことがある。例えばγアルミナ表面には通常の環境であれば自己の重量の数%程度の水分を吸着する。そこで充分乾燥した状態で反応させるのが好ましい。この乾燥の仕方としては、特に限定するものではないが、加熱減圧乾燥及び共沸等が考えられる。とくに共沸乾燥の場合、シランカップリング剤との反応溶媒中で共沸乾燥させることで、そのまま単離することなくシランカップリング剤と反応させることが可能となり、水分の混入を極力防ぐことが可能となり好ましい。
【0026】
シランカップリング剤との反応時の加熱温度は特に限定されるものではないが、シランカップリング剤が揮発し反応性が低下しない程度、例えば0〜300℃であればよい。このときの溶媒は実質的にシランカップリング剤とアルミナとの反応を阻害しなければ何を用いてもよい。例えばヘキサン等の脂肪族炭化水素系、トルエン、テトラリンといった芳香族炭化水素系、n−ブタノール、エチレングリコールといったアルコール系、テトラヒドロフラン、ジオキサンといったエーテル系が挙げられるが、シランカップリング剤の良溶媒であることが好ましい。
【0027】
反応時間としては、特に限定するものではないが5分から12時間程度反応させればよい。
【0028】
上記シランカップリング剤の配合量は、前記繊維状酸化アルミニウムフィラーの配合量に対して、特に限定するものではないが、繊維状酸化アルミニウムフィラーを充分被覆し、ポリエステルとの相溶性を向上させるのに充分足る量であれば良い。そのためには、シランカップリング剤の構造にもよるが、繊維状酸化アルミニウムフィラー1重量部に対し、0.05〜30重量部であれば、表面を被覆し、なおかつ未反応の表面処理剤が少なくなり好ましい。上記シランカップリング剤の配合量は、さらに好ましくは、0.1〜20重量部である。本発明の表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラーの表面元素比率はESCA測定により(MgKa線、光電子取出角=15度)評価される。本発明の繊維状酸化アルミニウムフィラーの表面元素比率は、処理剤に含まれるSiとAlの元素存在比Si/Alが0.001〜1.00である。
【0029】
0.001以上の場合熱可塑性樹脂中への分散性も良好で、なおかつ1.00以下であればフィラー表面と未反応のシランカップリング剤を含まないことから好ましい。より好ましくは0.05〜0.50である。
【0030】
さらに、シランカップリング剤の末端アミン・ハロゲンなどの反応基を利用してその他の官能基を導入しても良い。官能基としては、アミド基、イミド基、等の非反応性基、イソシアネート基、などの反応性基を例示することができる。例えば熱可塑性樹脂としてポリエステルを使用する場合には、ポリエステルと相溶性が良いイミド基を利用することが好ましい。
【0031】
被覆基をイミド基とする場合には、末端にイミド基をもつシランカップリング剤と反応させるか、末端にアミンをもつシランカップリング剤で表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラーとジカルボン酸成分を反応することでも得られる。末端にアミンをもつシラン表面処理剤で表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラーとジカルボン酸成分を反応させイミド基を導入する場合ジカルボン酸成分としては、無水フタル酸及びその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びその置換体、無水コハク酸及びその置換体、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0032】
繊維状酸化アルミニウムフィラーは、熱可塑性樹脂に添加する際、溶媒に分散した後に添加することが好ましいが、表面被覆反応は、1)被覆してからスラリー状にする、2)スラリー状にしてから被覆する、3)被覆とスラリー化を同時に行うなどの方法で実施することができる。分散が良好であれば、どの手法を用いても良い。被覆基のうちで、イミド基を使用する場合には、前述の手法を用いて末端にアミノ基を有するシランカップリング剤で被覆した後、ジカルボン酸体でイミド化する方法が挙げられる。
【0033】
被覆してからスラリー状にする場合には、繊維状酸化アルミニウムフィラーを上記の方法で被覆した後に、溶媒中で例えばボールミル、媒体攪拌型ミル、ホモジナイザーなどを利用した物理的分散、超音波処理、等によりスラリー状にする。スラリーの濃度としては、0.05〜90重量%であることが好ましい。0.05以下の場合には、ジオールの量が多くその後の除去が煩雑であるため好ましくない。90重量部以上の場合、最終的な熱可塑性樹脂組成物中に繊維状酸化アルミニウムフィラーが充分分散しないため好ましくない。より好ましくは0.1〜70重量%さらに好ましくは1〜50重量%である。
【0034】
2)スラリー状にしてから被覆する場合には、繊維状酸化アルミニウムフィラーを溶媒中で例えばジルコニアビーズ等のボールミル、媒体攪拌型ミル、ホモジナイザーなどを利用した物理的分散、超音波処理、等によりスラリー状にする。スラリーの濃度としては、0.05〜90重量%であることが好ましい。0.05以下の場合には、ジオールの量が多くその後の除去が煩雑であるため好ましくない。90重量部以上の場合、最終的な熱可塑性樹脂組成物中に繊維状酸化アルミニウムフィラーが充分分散しないため好ましくない。より好ましくは0.1〜70重量%さらに好ましくは1〜50重量%である。この状態で上記の手法を用いて被覆することにより目的とするスラリー状繊維状酸化アルミニウムフィラーを得る。
【0035】
3)被覆とスラリー化を同時に行う場合には、繊維状酸化アルミニウムフィラー及びシランカップリング剤を添加し溶媒中で例えばボールミル、媒体攪拌型ミル、ホモジナイザー、メデイアレス分散機などを利用した物理的分散、超音波処理、等により被覆と共にスラリー化する。スラリーの濃度としては、0.05〜90重量%であることが好ましい。0.05以下の場合には、ジオールの量が多くその後の除去が煩雑であるため好ましくない。90重量部以上の場合、最終的な熱可塑性樹脂組成物中に繊維状酸化アルミニウムフィラーが充分分散しないため好ましくない。より好ましくは0.1〜70重量%さらに好ましくは1〜50重量%である。
【0036】
本発明における熱可塑性樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド等挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は一種用いても良いし、複数種のブレンド又は共重合体でも構わない。
【0037】
ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられるがこれに限られるものではない。
【0038】
ポリエーテルとしては、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリオキサシクロブタン、ポリテトラヒドロフラン等が上げられるがこれに限られるものではない。
【0039】
ポリイミドとしては、脂環族もしくは脂肪族ジアミン芳香族ジアミンとテトラカルボン酸成分を反応させるどのようなポリイミドを用いても良い。
【0040】
ポリアミドとしては、ポリカプロアミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミド、ポリヘキサメチレンウンデカミド、ポリドデカンアミド、ポリキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリフェニレンテレフタラミド等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0041】
ポリマーの粘度としては特に限定するものではないが、その後の成形が可能な範囲であれば良い。
【0042】
これらの熱可塑性樹脂は単独で用いても良いし、共重合体もしくはブレンド品として用いても良い。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100重両部及び繊維状酸化アルミニウムフィラー0.01〜10重量部からなる。0.01〜10重量部の場合には、目的とする耐熱性・機械性特性の改善に充分に効果を発揮できなおかつ溶融成形性も維持できる。
【0043】
添加する繊維状酸化アルミニウムフィラーの量は好ましくは0.5〜8重量部であり、より好ましくは1〜7重量部であり、さらに好ましくは1.5〜6重量部である。
【0044】
発明の熱可塑性樹脂組成物は、こうした熱可塑性樹脂の重合過程の任意の段階で、表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラーを添加する、あるいは、重合後の熱可塑性樹脂の溶融状態で添加することによって製造可能である。
【0045】
例えばポリエーテル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィドの場合には、重合後の熱可塑性樹脂の溶融状態での添加が可能である。さらにポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ナイロン66、等のポリアミドの様に溶融重合可能な熱可塑性樹脂の場合には、ジオールとのスラリー状態で重合前、もしくは重合途中に添加することも可能である。
【0046】
また上記の手法で得られた1〜20重量%の比較的高い濃度で繊維状酸化アルミニウムフィラーを含有する熱可塑性樹脂をマスターバッチとして、さらに繊維状酸化アルミニウムフィラー未添加の熱可塑性樹脂中に混練させることでも、目的とする熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明方法をさらに詳しく具体的に説明する。ただしこれらの実施例により本発明の範囲が限定されるものではない。
【0048】
軟化点:日立製作所製のH−800のサーモメカニカルアナライザーを用いて5℃/minの昇温速度で測定した。なお加重は0.01N、試験片の厚みは2.5mmとした。
【0049】
ガラス転移点・融点・結晶化温度:TAインスツルメント製のDSC TA−2920を用いて20℃/minの昇温速度で測定した。
赤外吸収スペクトル:ニコーレジャパン製のIR Magna−750を用いてKBr錠サンプルを作成し測定した。
熱分解性:リガク製のTGAリガク8120を用い10℃/minの昇温速度で空気中で測定した。
表面元素分析:VG社(英国)製ESCALAB200を用い、MgKa線、光電子取出角=15度で測定を行った。
【0050】
なお熱可塑性樹脂の還元粘度:フェノール:テトラクロロエタン=6:4(体積比)の混合溶媒中ポリマ−濃度1.2g/100mlで35℃で測定したものである。
【0051】
繊維状酸化アルミニウムフィラーはアルゴナイド社製のγアルミナフィラー(平均繊維長40〜200nm、平均径2〜3nm、平均アスペクト比20〜100、比表面積350〜500g/m2)を用いた。
【0052】
[実施例1]
フラスコ内にテトラリン30mlとトルエン10ml及びγアルミナフィラー5gを添加し2時間加熱還流させ低沸点成分を除去した。3―アミノプロピルトリメトキシシラン23mlを添加し4時間加熱還流させた後、濾過し表面被覆したγアルミナフィラーを得た。得られたフィラーのIR・TGA及びESCAの結果を図1・図2及び図3に示す。ESCAより求めたSi/Al=0.09であった。
【0053】
こうして得られたシランカップリング剤末端がアミンのアルミナフィラーとTHF80ml、トルエン80ml、無水フタル酸8gを添加し加熱反応せしめた。ろ過洗浄後乾燥させることで、表面にイミド基を有する繊維状酸化アルミニウムフィラーを得た。得られたフィラーのIR・TGA及びESCAの結果を図1・図2及び図3に示す。ESCAより求めたSi/Al=0.10であった。
【0054】
さらに、ボールミル中にエチレングリコール150ml、径1mmのジルコニアビーズ23g及び表面被覆した上記繊維状酸化アルミニウムフィラーを1.5g添加し、6時間分散させ、1wt%フィラー含有エチレングルコールスラリーを得た。
【0055】
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル201gとエチレングリコール113gとをエステル交換反応触媒として酢酸カルシウム0.073gを用い、150℃から240℃に徐々に昇温させながら反応させ、エステル交換反応を行った後トリメチルホスフェートを0.058g添加することでエステル交換触媒を失活させた。
【0056】
こうして得られた反応生成物39gに先述のフィラー含有エチレングルコールスラリー30g(フィラー1重量%)、酸化アンチモン0.01gを添加した。290℃まで徐々に昇温した後、1mmHg以下の高真空下にて重縮合反応を行って還元粘度0.50(dL/g)のポリエステル組成物を得た。得られた組成物は、非晶状態であり、Tgは119.2℃、結晶化温度のピークは215.5℃、結晶化後の融点は265.0℃であり、TMAで測定した軟化点は122℃であった。
【0057】
[実施例2]
ボールミル中にエチレングリコール150ml、径1mmのジルコニアビーズ23g及び表面被覆した上記繊維状酸化アルミニウムフィラーを1.5g添加し、6時間分散させ、1wt%フィラー含有エチレングルコールスラリーを得た。
【0058】
フラスコ内に上記のスラリー70mlと1−ブタノール27mlを添加し9時間加熱還流させ水分を共沸させ除去した。ここに3―アミノプロピルトリメトキシシラン0.7gを添加し80℃で2時間半、180℃で6時間、200℃で1時間半加熱させた後、濾過し表面被覆したγアルミナフィラーを得た。
【0059】
こうして得られたシランカップリング剤末端がアミンのアルミナフィラーと無水フタル酸0.6gを添加し、100℃で4時間反応せしめたのち、冷却しピリジン0.03gを添加した。さらに100℃で1時間、200℃で2時間反応させることで、表面にイミド基を有する繊維状酸化アルミニウムフィラーを得た。ESCAより求めたSi/Al=0.07であった。
【0060】
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル201gとエチレングリコール113gとをエステル交換反応触媒として酢酸カルシウム0.073gを用い、150℃から240℃に徐々に昇温させながら反応させ、エステル交換反応を行った後トリメチルホスフェートを0.058g添加することでエステル交換触媒を失活させた。
【0061】
こうして得られた反応生成物39gに先述のフィラー含有エチレングルコールスラリー30g(フィラー1重量%)、酸化アンチモン0.01gを添加した。290℃まで徐々に昇温した後、1mmHg以下の高真空下にて重縮合反応を行って還元粘度0.71(dL/g)のポリエステル組成物を得た。得られた組成物は、非晶状態であり、Tgは116.8℃、結晶化温度のピークは216.0℃、結晶化後の融点は257.4℃であった。TMAで測定した軟化点は118℃であった。
【0062】
[比較例1]
アルミナフィラーを使用しない以外は実施例1と同じ操作でポリエステルを得た。このサンプルはηsp/c=0.83であった。得られた組成物は、非晶状態であり、Tgは118.1℃、結晶化温度のピークは217.5℃、結晶化後の融点は267.2℃であり、軟化点は111℃であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で得られたフィラーのIRの結果である。
【図2】図2は実施例1で得られたフィラーのTGAの結果である。
【図3】図3は実施例1で得られたフィラーのESCAの結果である。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂の耐熱性や弾性率といった諸物性向上に有効な表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラー、及びこれを含む熱可塑性樹脂組成物、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に樹脂の耐衝撃性・弾性率・耐熱性向上・寸法安定性向上などには高分子材料と比較すると剛性の高い無機物の添加が試みられている。中でもガラス繊維は樹脂の強化に広く使用され、剛性率向上や耐熱性向上に利用されている。樹脂としての成形性、表面性を確保し、さらには無機物の剛性を充分に確保するためには、より微細な無機物を均一に分散させ、樹脂との親和性を高めることが求められる。
【0003】
無機粒状物をフィルム中に分散させた例として、例えば特許文献1においては平均粒径が0.01〜20nmの微細な無機粒状物をスラリー状にして添加するにあたりそのpHをコントロールすることで凝集を抑制し均一に分散させることで、表面性に優れたポリエステルフィルムを得ている。また例えば特許文献2においては平均粒径が0.5μm程度のアルミナ無機粒状物の表面をシランカップリング剤で処理することで、ポリエステルフィルム中の分散性を向上させている。こうした粒状の添加物は、樹脂の物性向上を行うというよりも、フィルムの表面性改善などの目的で使用されている。
【0004】
機械物性を向上させるためにはアスペクト比の高い、弾性率が高く繊維状の添加物が好ましい。例えば特許文献3においては繊維径0.4μm、繊維長15〜28μm、アスペクト比7〜10の繊維状チタン酸カリウムや繊維状珪酸カルシウム、ポリアミド樹脂からなる樹脂組成物が開示されている。しかしながら繊維径が大きい場合には、表面性が損なわれるため、フィルム等の表面性が要求される用途で使用することは困難である。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−48969号公報(p.5−6)
【0006】
【特許文献2】
特開平8−225663号公報(p.3−5)
【0007】
【特許文献3】
特開2001−131409号公報(p.6−7)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、表面性が損なわれることなく、弾性率や軟化温度を向上させることが可能な繊維、フィルムあるいは樹脂用成形材料として好適に添加することのできる表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラー、及びこれを含む熱可塑性樹脂を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.下記式(I)
【0010】
【化3】
AlxOyHz (I)
( X =(2y−z)/ 3 を満たす)
で表され、一次粒子の平均繊維長が10〜1000nmであり平均繊維径が0.5〜7nmであり、平均アスペクト比が2000〜5である繊維状酸化アルミニウムフィラーを、下記式(II)
【0011】
【化4】
(R1)n−Si−X(4−n) (II)
(R1:C数1〜300の有機基であってN、O、S、ハロゲンといったヘテロ原子を含んでも良い。X:OR2といったアルコキシル基もしくは、ハロゲン原子であって、R2はC数1〜18の有機基である。)
で示されるシランカップリング剤で処理した、MgKa線、光電子取出角=15度でのESCA測定による表面元素比率が、処理剤に含まれるSiとAlの存在比Si/Alにおいて0.001〜1.00である表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラー。
【0012】
2.熱可塑性樹脂100重量部と、上記に記載の繊維状酸化アルミニウムフィラー0.01〜10重量部とからなる熱可塑性樹脂組成物。
【0013】
3.熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィドからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【0014】
4.溶媒中で分散させた繊維状酸化アルミニウムフィラーを熱可塑性樹脂重合時もしくは、熱可塑性樹脂の溶融時に添加することを特徴とする上記に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【0015】
本発明で使用する繊維状酸化アルミニウムフィラーは、下記式(I)
【0016】
【化5】
AlxOyHz (I)
( x =(2y−z)/ 3 を満たす)
でしめされるものであり、一種もしくは数種の混合物からなる。具体的には、水酸化アルミニウム、ベーマイト、δ型、γ型、θ型、α型アルミナなどが挙げられ、中でも入手の点と表面被覆の点で、ベーマイト、γ型アルミナが好ましく、弾性率の高い点でγ型アルミナがさらに好ましい。
【0017】
例えばγアルミナの際x=2、y=3、z=0となる。また基本の化学式でzが0であってもその表面には水酸基が存在し、この後行う表面被覆の際にはその表面のOHが反応点となる。
【0018】
本発明で使用する繊維状酸化アルミニウムフィラーの平均繊維長としては10〜1000nmであり平均繊維径が0.5〜7nmであり、平均アスペクト比が2000〜5である。平均繊維長が、10〜1000nmの場合には補強効果を充分発揮し、なおかつ溶融成形性・ポリマー中の良好な分散性を維持することが可能となる。
【0019】
平均繊維長としては、好ましくは35〜250nmであり、より好ましくは40〜200nmである。また平均繊維径が0.5〜7nmの場合、十分な強度と特にフィルム等に成形した場合に求められる良好な表面性を維持できる。
【0020】
平均繊維径としては好ましくは1〜4nm、より好ましくは2〜3nmである。平均アスペクト比においては、5〜2000の場合、期待される高弾性率への効果を発揮しつつも溶融成形性が維持される。アスペクト比としては好ましくは10〜1000、より好ましくは20〜400である。
【0021】
本発明の繊維状酸化アルミニウムフィラーは上記の繊維状酸化アルミニウムフィラーに表面被覆を行ったのである。この被覆には式(II)で示される化合物がシランカップリング剤として使用される。
【0022】
【化6】
(R1)n−Si−X(4−n) (II)
(R1:C数1〜300からなる有機基でありN、O、S、ハロゲンといったヘテロ原子を含んでも良い。X:OR2といったアルコキシル基もしくは、ハロゲン原子であって、R2はC数1〜18の有機基である。)
R1として具体的にはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など脂肪族アルキル基、シクロヘキシル基等の脂環族基、またフェニル基、トルイル基、ナフチル基といった芳香族基が挙げられる。またこれらにN,O,S、ハロゲンといったヘテロ原子を含んでよく、その場合、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、酸無水物、エポキシ基、メルカプト基等が挙げられる。Xに含まれるOR2のR2としてはメチル基、エチル基、プロピル基等が上げられる。
【0023】
このような式(II)で示されるシランカップリング剤の具体的な化合物としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン,n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン,n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン,n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルルトリメトキシシラン,n−ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、トルイルトリメトキシシラン、トルイルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、P−アミノフェニルトリエトキシシラン、3−シアノエチルメチルジメトキシシラン、3−シアノエチルトリメトキシシラン、3−シアノメチルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシン酸無水物、2−(3,4,−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2,3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5、6―エポキシヘキシルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、11−ブロモウンデシルトリメトキシシラン、11−ブロモウンデシルトリクロロシラン、11−ブロモウンデシルジメチルクロロシラン、等のシランカップリング剤を挙げることができる。
【0024】
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうちで、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、2,3,(4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが、得られたフィラーの物性や引き続き官能基変換する上で、また、入手する上でより好ましい。
【0025】
表面被覆は上記のようなシランカップリング剤と繊維状酸化アルミニウムフィラーを溶媒・もしくは無溶媒中、必要に応じて加熱することにより実施される。この際溶媒系に水分が含まれている場合、シランカップリング剤が繊維状酸化アルミニウムフィラー表面とは反応せず自己縮合反応を起こし、表面被覆が充分行われないことがある。例えばγアルミナ表面には通常の環境であれば自己の重量の数%程度の水分を吸着する。そこで充分乾燥した状態で反応させるのが好ましい。この乾燥の仕方としては、特に限定するものではないが、加熱減圧乾燥及び共沸等が考えられる。とくに共沸乾燥の場合、シランカップリング剤との反応溶媒中で共沸乾燥させることで、そのまま単離することなくシランカップリング剤と反応させることが可能となり、水分の混入を極力防ぐことが可能となり好ましい。
【0026】
シランカップリング剤との反応時の加熱温度は特に限定されるものではないが、シランカップリング剤が揮発し反応性が低下しない程度、例えば0〜300℃であればよい。このときの溶媒は実質的にシランカップリング剤とアルミナとの反応を阻害しなければ何を用いてもよい。例えばヘキサン等の脂肪族炭化水素系、トルエン、テトラリンといった芳香族炭化水素系、n−ブタノール、エチレングリコールといったアルコール系、テトラヒドロフラン、ジオキサンといったエーテル系が挙げられるが、シランカップリング剤の良溶媒であることが好ましい。
【0027】
反応時間としては、特に限定するものではないが5分から12時間程度反応させればよい。
【0028】
上記シランカップリング剤の配合量は、前記繊維状酸化アルミニウムフィラーの配合量に対して、特に限定するものではないが、繊維状酸化アルミニウムフィラーを充分被覆し、ポリエステルとの相溶性を向上させるのに充分足る量であれば良い。そのためには、シランカップリング剤の構造にもよるが、繊維状酸化アルミニウムフィラー1重量部に対し、0.05〜30重量部であれば、表面を被覆し、なおかつ未反応の表面処理剤が少なくなり好ましい。上記シランカップリング剤の配合量は、さらに好ましくは、0.1〜20重量部である。本発明の表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラーの表面元素比率はESCA測定により(MgKa線、光電子取出角=15度)評価される。本発明の繊維状酸化アルミニウムフィラーの表面元素比率は、処理剤に含まれるSiとAlの元素存在比Si/Alが0.001〜1.00である。
【0029】
0.001以上の場合熱可塑性樹脂中への分散性も良好で、なおかつ1.00以下であればフィラー表面と未反応のシランカップリング剤を含まないことから好ましい。より好ましくは0.05〜0.50である。
【0030】
さらに、シランカップリング剤の末端アミン・ハロゲンなどの反応基を利用してその他の官能基を導入しても良い。官能基としては、アミド基、イミド基、等の非反応性基、イソシアネート基、などの反応性基を例示することができる。例えば熱可塑性樹脂としてポリエステルを使用する場合には、ポリエステルと相溶性が良いイミド基を利用することが好ましい。
【0031】
被覆基をイミド基とする場合には、末端にイミド基をもつシランカップリング剤と反応させるか、末端にアミンをもつシランカップリング剤で表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラーとジカルボン酸成分を反応することでも得られる。末端にアミンをもつシラン表面処理剤で表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラーとジカルボン酸成分を反応させイミド基を導入する場合ジカルボン酸成分としては、無水フタル酸及びその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びその置換体、無水コハク酸及びその置換体、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0032】
繊維状酸化アルミニウムフィラーは、熱可塑性樹脂に添加する際、溶媒に分散した後に添加することが好ましいが、表面被覆反応は、1)被覆してからスラリー状にする、2)スラリー状にしてから被覆する、3)被覆とスラリー化を同時に行うなどの方法で実施することができる。分散が良好であれば、どの手法を用いても良い。被覆基のうちで、イミド基を使用する場合には、前述の手法を用いて末端にアミノ基を有するシランカップリング剤で被覆した後、ジカルボン酸体でイミド化する方法が挙げられる。
【0033】
被覆してからスラリー状にする場合には、繊維状酸化アルミニウムフィラーを上記の方法で被覆した後に、溶媒中で例えばボールミル、媒体攪拌型ミル、ホモジナイザーなどを利用した物理的分散、超音波処理、等によりスラリー状にする。スラリーの濃度としては、0.05〜90重量%であることが好ましい。0.05以下の場合には、ジオールの量が多くその後の除去が煩雑であるため好ましくない。90重量部以上の場合、最終的な熱可塑性樹脂組成物中に繊維状酸化アルミニウムフィラーが充分分散しないため好ましくない。より好ましくは0.1〜70重量%さらに好ましくは1〜50重量%である。
【0034】
2)スラリー状にしてから被覆する場合には、繊維状酸化アルミニウムフィラーを溶媒中で例えばジルコニアビーズ等のボールミル、媒体攪拌型ミル、ホモジナイザーなどを利用した物理的分散、超音波処理、等によりスラリー状にする。スラリーの濃度としては、0.05〜90重量%であることが好ましい。0.05以下の場合には、ジオールの量が多くその後の除去が煩雑であるため好ましくない。90重量部以上の場合、最終的な熱可塑性樹脂組成物中に繊維状酸化アルミニウムフィラーが充分分散しないため好ましくない。より好ましくは0.1〜70重量%さらに好ましくは1〜50重量%である。この状態で上記の手法を用いて被覆することにより目的とするスラリー状繊維状酸化アルミニウムフィラーを得る。
【0035】
3)被覆とスラリー化を同時に行う場合には、繊維状酸化アルミニウムフィラー及びシランカップリング剤を添加し溶媒中で例えばボールミル、媒体攪拌型ミル、ホモジナイザー、メデイアレス分散機などを利用した物理的分散、超音波処理、等により被覆と共にスラリー化する。スラリーの濃度としては、0.05〜90重量%であることが好ましい。0.05以下の場合には、ジオールの量が多くその後の除去が煩雑であるため好ましくない。90重量部以上の場合、最終的な熱可塑性樹脂組成物中に繊維状酸化アルミニウムフィラーが充分分散しないため好ましくない。より好ましくは0.1〜70重量%さらに好ましくは1〜50重量%である。
【0036】
本発明における熱可塑性樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド等挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は一種用いても良いし、複数種のブレンド又は共重合体でも構わない。
【0037】
ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられるがこれに限られるものではない。
【0038】
ポリエーテルとしては、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリオキサシクロブタン、ポリテトラヒドロフラン等が上げられるがこれに限られるものではない。
【0039】
ポリイミドとしては、脂環族もしくは脂肪族ジアミン芳香族ジアミンとテトラカルボン酸成分を反応させるどのようなポリイミドを用いても良い。
【0040】
ポリアミドとしては、ポリカプロアミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミド、ポリヘキサメチレンウンデカミド、ポリドデカンアミド、ポリキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリフェニレンテレフタラミド等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0041】
ポリマーの粘度としては特に限定するものではないが、その後の成形が可能な範囲であれば良い。
【0042】
これらの熱可塑性樹脂は単独で用いても良いし、共重合体もしくはブレンド品として用いても良い。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100重両部及び繊維状酸化アルミニウムフィラー0.01〜10重量部からなる。0.01〜10重量部の場合には、目的とする耐熱性・機械性特性の改善に充分に効果を発揮できなおかつ溶融成形性も維持できる。
【0043】
添加する繊維状酸化アルミニウムフィラーの量は好ましくは0.5〜8重量部であり、より好ましくは1〜7重量部であり、さらに好ましくは1.5〜6重量部である。
【0044】
発明の熱可塑性樹脂組成物は、こうした熱可塑性樹脂の重合過程の任意の段階で、表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラーを添加する、あるいは、重合後の熱可塑性樹脂の溶融状態で添加することによって製造可能である。
【0045】
例えばポリエーテル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィドの場合には、重合後の熱可塑性樹脂の溶融状態での添加が可能である。さらにポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ナイロン66、等のポリアミドの様に溶融重合可能な熱可塑性樹脂の場合には、ジオールとのスラリー状態で重合前、もしくは重合途中に添加することも可能である。
【0046】
また上記の手法で得られた1〜20重量%の比較的高い濃度で繊維状酸化アルミニウムフィラーを含有する熱可塑性樹脂をマスターバッチとして、さらに繊維状酸化アルミニウムフィラー未添加の熱可塑性樹脂中に混練させることでも、目的とする熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明方法をさらに詳しく具体的に説明する。ただしこれらの実施例により本発明の範囲が限定されるものではない。
【0048】
軟化点:日立製作所製のH−800のサーモメカニカルアナライザーを用いて5℃/minの昇温速度で測定した。なお加重は0.01N、試験片の厚みは2.5mmとした。
【0049】
ガラス転移点・融点・結晶化温度:TAインスツルメント製のDSC TA−2920を用いて20℃/minの昇温速度で測定した。
赤外吸収スペクトル:ニコーレジャパン製のIR Magna−750を用いてKBr錠サンプルを作成し測定した。
熱分解性:リガク製のTGAリガク8120を用い10℃/minの昇温速度で空気中で測定した。
表面元素分析:VG社(英国)製ESCALAB200を用い、MgKa線、光電子取出角=15度で測定を行った。
【0050】
なお熱可塑性樹脂の還元粘度:フェノール:テトラクロロエタン=6:4(体積比)の混合溶媒中ポリマ−濃度1.2g/100mlで35℃で測定したものである。
【0051】
繊維状酸化アルミニウムフィラーはアルゴナイド社製のγアルミナフィラー(平均繊維長40〜200nm、平均径2〜3nm、平均アスペクト比20〜100、比表面積350〜500g/m2)を用いた。
【0052】
[実施例1]
フラスコ内にテトラリン30mlとトルエン10ml及びγアルミナフィラー5gを添加し2時間加熱還流させ低沸点成分を除去した。3―アミノプロピルトリメトキシシラン23mlを添加し4時間加熱還流させた後、濾過し表面被覆したγアルミナフィラーを得た。得られたフィラーのIR・TGA及びESCAの結果を図1・図2及び図3に示す。ESCAより求めたSi/Al=0.09であった。
【0053】
こうして得られたシランカップリング剤末端がアミンのアルミナフィラーとTHF80ml、トルエン80ml、無水フタル酸8gを添加し加熱反応せしめた。ろ過洗浄後乾燥させることで、表面にイミド基を有する繊維状酸化アルミニウムフィラーを得た。得られたフィラーのIR・TGA及びESCAの結果を図1・図2及び図3に示す。ESCAより求めたSi/Al=0.10であった。
【0054】
さらに、ボールミル中にエチレングリコール150ml、径1mmのジルコニアビーズ23g及び表面被覆した上記繊維状酸化アルミニウムフィラーを1.5g添加し、6時間分散させ、1wt%フィラー含有エチレングルコールスラリーを得た。
【0055】
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル201gとエチレングリコール113gとをエステル交換反応触媒として酢酸カルシウム0.073gを用い、150℃から240℃に徐々に昇温させながら反応させ、エステル交換反応を行った後トリメチルホスフェートを0.058g添加することでエステル交換触媒を失活させた。
【0056】
こうして得られた反応生成物39gに先述のフィラー含有エチレングルコールスラリー30g(フィラー1重量%)、酸化アンチモン0.01gを添加した。290℃まで徐々に昇温した後、1mmHg以下の高真空下にて重縮合反応を行って還元粘度0.50(dL/g)のポリエステル組成物を得た。得られた組成物は、非晶状態であり、Tgは119.2℃、結晶化温度のピークは215.5℃、結晶化後の融点は265.0℃であり、TMAで測定した軟化点は122℃であった。
【0057】
[実施例2]
ボールミル中にエチレングリコール150ml、径1mmのジルコニアビーズ23g及び表面被覆した上記繊維状酸化アルミニウムフィラーを1.5g添加し、6時間分散させ、1wt%フィラー含有エチレングルコールスラリーを得た。
【0058】
フラスコ内に上記のスラリー70mlと1−ブタノール27mlを添加し9時間加熱還流させ水分を共沸させ除去した。ここに3―アミノプロピルトリメトキシシラン0.7gを添加し80℃で2時間半、180℃で6時間、200℃で1時間半加熱させた後、濾過し表面被覆したγアルミナフィラーを得た。
【0059】
こうして得られたシランカップリング剤末端がアミンのアルミナフィラーと無水フタル酸0.6gを添加し、100℃で4時間反応せしめたのち、冷却しピリジン0.03gを添加した。さらに100℃で1時間、200℃で2時間反応させることで、表面にイミド基を有する繊維状酸化アルミニウムフィラーを得た。ESCAより求めたSi/Al=0.07であった。
【0060】
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル201gとエチレングリコール113gとをエステル交換反応触媒として酢酸カルシウム0.073gを用い、150℃から240℃に徐々に昇温させながら反応させ、エステル交換反応を行った後トリメチルホスフェートを0.058g添加することでエステル交換触媒を失活させた。
【0061】
こうして得られた反応生成物39gに先述のフィラー含有エチレングルコールスラリー30g(フィラー1重量%)、酸化アンチモン0.01gを添加した。290℃まで徐々に昇温した後、1mmHg以下の高真空下にて重縮合反応を行って還元粘度0.71(dL/g)のポリエステル組成物を得た。得られた組成物は、非晶状態であり、Tgは116.8℃、結晶化温度のピークは216.0℃、結晶化後の融点は257.4℃であった。TMAで測定した軟化点は118℃であった。
【0062】
[比較例1]
アルミナフィラーを使用しない以外は実施例1と同じ操作でポリエステルを得た。このサンプルはηsp/c=0.83であった。得られた組成物は、非晶状態であり、Tgは118.1℃、結晶化温度のピークは217.5℃、結晶化後の融点は267.2℃であり、軟化点は111℃であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で得られたフィラーのIRの結果である。
【図2】図2は実施例1で得られたフィラーのTGAの結果である。
【図3】図3は実施例1で得られたフィラーのESCAの結果である。
Claims (4)
- 下記式(I)
で表され、一次粒子の平均繊維長が10〜1000nmであり、平均繊維径が0.5〜7nmであり、平均アスペクト比が2000〜5である繊維状酸化アルミニウムフィラーを、下記式(II)
で示されるシランカップリング剤で処理した、MgKa線、光電子取出角=15度でのESCA測定による表面元素比率が、処理剤に含まれるSiとAlの存在比Si/Alにおいて0.001〜1.00である表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラー。 - 熱可塑性樹脂100重量部と、請求項1記載の繊維状酸化アルミニウムフィラー0.01〜10重量部とからなる熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 溶媒中で分散させた表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラーを、熱可塑性樹脂の重合時の反応系へ、もしくは重合後溶融状態である熱可塑性樹脂に添加することを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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JP2002317285A JP2004149687A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 被覆繊維状酸化アルミニウムフィラー及びこれを含む熱可塑性樹脂組成物 |
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