JP2005008898A - 保護コート用樹脂組成物及び保護膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、特に高硬度であって、耐熱性、難燃性、低熱膨張係数を有し、かつ低誘電率に優れる保護膜(硬化膜)を提供すること。
【解決手段】 ポリアミック酸(a)ならびにカルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有するポリアミドイミド樹脂(b)からなる群より選ばれる少なくとも一種と、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(c)とを反応させて得られるエポキシ基含有シラン変性樹脂(A)中に、金属酸化物又は金属水酸化物(B)が平均粒子径(d50)200ナノメートル(nm)以下となるように分散されてなることを特徴とする保護コート用樹脂組成物を用いる。

Description

本発明は、保護コート用樹脂組成物、当該組成物を用いてなる保護膜に関する。
近年、軽くて成形が容易であることから、様々な分野でプラスチック類が広く使用されるようになってきている。しかし、石油を原料として製造されるプラスチック類は、燃焼しやすく、また、特別なエンジニアリングプラスチック以外のプラスチック類では耐熱性が劣るという問題があった。
燃焼性の問題を解決するためには、難燃剤を含有させるという方法がある程度有効であるが、当該方法では耐熱性を向上させるという目的を達成できなかった。
一方、耐熱性を向上させるためにエンジニアリングプラスチックを用いる場合には、原料樹脂の値段が高いうえ、一般にエンジニアリングプラスチックは、成形性が悪いため生産性が劣るといった問題があった。
そこで、比較的安価なプラスチック(ポリエチレンナフタレート)で成形したフィルムの表面に、耐熱性、難燃性に優れる溶剤可溶型ポリイミド樹脂溶液を塗布、乾燥させることにより、耐熱性、難燃性を向上させたフィルムが提案されている(特許文献1参照)が、当該方法によって得られるフィルムでさえもこれらの性能は十分とはいえなかった。
なお、本願人は、既に各種フィルムや基材等に用いることができるシラン変性ポリアミドイミド樹脂を提案している(特許文献2参照)が、保護コート用樹脂組成物についての具体的な検討は行われていなかった。
特開昭57−167256号公報 特開2001−240670号公報
本発明は、特に高硬度であって、耐熱性、難燃性、低熱膨張係数を有し、かつ低誘電率に優れる保護膜(硬化膜)を提供することを目的とする。また、当該保護膜を提供するための保護コート用樹脂組成物及び当該組成物を用いて得られる保護膜を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するために、本発明者は鋭意検討した結果、特定のシラン変性樹脂に着目し、当該樹脂の存在下に、填料である金属酸化物又は金属水酸化物(B)をできるだけ微小粒子径になるよう分散させて得られる組成物を用いることにより、前記課題を首尾よく解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリアミック酸(a)ならびにカルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有するポリアミドイミド樹脂(b)からなる群より選ばれる少なくとも一種と、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(c)とを反応させて得られるエポキシ基含有シラン変性樹脂(A)中に、金属酸化物又は金属水酸化物(B)が平均粒子径(d50)200ナノメートル(nm)以下となるように分散されてなることを特徴とする保護コート用樹脂組成物に係わる。また、本発明は、当該保護コート用樹脂組成物を加熱硬化させて得られる保護膜の製造法、さらには当該製造法により得られる保護膜に係る。
本発明によれば、特に高硬度であって、耐熱性、難燃性、低熱膨張係数を有し、かつ低誘電率に優れる保護膜(硬化膜)を提供することができる。当該保護膜は、前記性能に優れるため、電子基材等のコート剤として有用である。また、本発明の硬化膜は、耐熱性及び強度に優れるため、摺動部品等の各種部品類のコーティング剤としても有用である。
エポキシ基含有シラン変性樹脂(A)(以下、(A)成分という)の原料である、ポリアミック酸(a)(以下、(a)成分という)、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有するポリアミドイミド樹脂(b)(以下、(b)成分という)としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。
(a)成分としては、主鎖がアミド結合により形成され、当該アミド結合と反応してイミド結合を形成し得るカルボキシル基を有する樹脂であって、例えばテトラカルボン酸類とジアミン類を、極性溶剤中、通常−20℃〜60℃で反応させて得られるポリアミック酸溶液が使用できる。なお、本発明において、(a)成分としては、ポリアミック酸の一部が脱水閉環し、イミド化したものも含まれる。(a)成分の分子量は特に限定されないが、数平均分子量が、3000〜50000程度のものが好ましい。
前記のテトラカルボン酸類としては、例えば、ピロメリット酸無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,3’,4,4’−テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物などを例示することが出来、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
また、本発明の効果を失わない範囲で、トリメリット酸無水物、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸などのトリカルボン酸類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸など脂肪族ジカルボン酸類やそれらの酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸など芳香族ジカルボン酸類やそれらの酸無水物を併用することが出来る。但し、テトラカルボン酸類に対するこれらの割合が多すぎると、得られる硬化物の耐熱性が悪化する傾向があるため、通常、その使用量はテトラカルボン酸類に対し、30モル%以下であることが好ましい。
前記ジアミン類としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジ(m−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ジアミノベンゼン、2,5−ジアミノトルエン、イソホロンジアミン、4−(2−アミノフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(4−アミノフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、2−アミノ−4−(4−アミノフェニル)チアゾール、2−アミノ−4−フェニル−5−(4−アミノフェニル)チアゾール、ベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、オクタフルオロベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,6−ジアミノナフタレン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、ジアミノアントラキノン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンなどを例示でき、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
前記テトラカルボン酸類と前記ジアミン類を、(テトラカルボン酸類のモル数)/(ジアミン類をモル数)=(0.5〜0.8)/(1.2〜2.0)の範囲で反応させて得られる分子末端が無水カルボン酸基又はアミノ基のいずれかであるポリイミドアダクト体を使用することもできる。
(a)成分は、通常、前記テトラカルボン酸類とジアミン類を、(テトラカルボン酸類のモル数/ジアミン類をモル数)=0.9〜1.1程度の範囲で、極性溶剤中で反応させることにより得られる。当該極性溶剤としては、生成する(a)成分を溶解するものであれば、種類及び使用量は特に限定されないが、N−メチル―2―ピロリドンやジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、クレゾール、ジメチルスルホキシド、N―メチルカプロラクタム、メチルトリグライム、メチルジグライム、ベンジルアルコールなどの極性溶剤をポリイミド換算固形残分5〜40%程度となるようにすることが好ましい。ここでポリイミド換算固形残分とは、(a)成分が完全にポリイミドに硬化した時の、溶液に対するポリイミドの重量%を表す。ポリイミド換算固形残分が5%未満では、製造コストが高くなる。一方、40%を超えると、(a)成分溶液が室温で高粘度となるためハンドリングが悪くなる傾向がある。反応温度は、特に限定されないが、−20〜60℃程度に調整するのが好ましい。
(b)成分は、分子中にアミド結合とイミド結合を有する樹脂であって、その分子末端がカルボキシル基及び/又は酸無水物基になるように調製されたものである。このものは、例えば、トリカルボン酸類とジイソシアネート類を縮合反応させることにより合成することができる。また、トリカルボン酸類とジアミン類を反応させて先ずイミド結合を導入し、次いでこれにジイソシアネート類を反応させてアミド化することによっても合成される。
(b)成分の合成に用いられるトリカルボン酸類としては、特に制限されず、公知のものを使用できる。具体的には、例えば、トリメリット酸無水物、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸などを例示できる。またジイソシアネート類としては、特に制限されず、公知のものを使用でき、例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを例示できる。また、ジアミン類としては、これらジイソシアネート類に対応するジアミン類の他、(a)成分の製造に用いられるものを例示できる。
(b)成分を製造する際の前記構成成分の反応割合は、実質的にカルボキシル基及び/又は酸無水物基が分子末端に残存する割合であれば特に限定されない。イソシアネート化合物は空気中や溶剤中の水分と反応することを考慮して、イソシアネート基のモル数に対するカルボキシル基及び酸無水物基のモル数の合計、又はアミノ基のモル数に対するカルボキシル基及び酸無水物基のモル数の合計が0.95以上であって1.15を超えない範囲とすることが好ましい。
さらに好ましくは、イソシアネート基又はアミノ基のモル数に対するカルボキシル基及び酸無水物基のモル数が1.03以上であって1.10以下の範囲であることが望ましい。1.03未満であると、溶液が高粘度で取り扱い作業性が劣る傾向にあり、1.10を超える場合には保護膜が脆く、柔軟性が失われる傾向にある。
(b)成分を製造する際に、前記のトリカルボン酸以外にジカルボン酸類やテトラカルボン酸類を併用してもよく、これらを併用する際のこれら酸類の使用量は、通常、トリカルボン酸の10モル%以下とされる。トリカルボン酸と併用可能なジカルボン酸類としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸やそれらの酸無水物などの脂肪族ジカルボン酸類;イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸やそれらの酸無水物などの芳香族ジカルボン酸類が挙げられる。また、トリカルボン酸と併用できるテトラカルボン酸類としては、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸やそれらの酸無水物などが挙げられる。
(b)成分を製造するに際して、例えば、酸無水物基とカルボキシル基をそれぞれ一つずつ有するトリカルボン酸類とジイソシアネート類を用いた場合には、酸無水物基とイソシアネート基の反応によってイミド結合が生じ、またカルボキシル基とイソシアネート基の反応によってアミド結合を生じる。またジイソシアネート類に代わってジアミン類を用いた場合には、アミノ基とカルボキシル基でアミド結合が、アミノ基と酸無水物基の縮合によってアミド酸(アルファ位にカルボキシル基を持つアミド結合)が生じる。当該アミド酸は加熱すると脱水してイミド結合に変化するが、(A)成分として、このアミド酸が残存すると(A)成分の保存安定性が悪くなる傾向があるため、(b)成分として、使用したジイソシアネート類及びジアミン類に対して、残存アミド酸部位を10モル%未満、好ましくは5%未満になるまでイミド化を進行させておくことが好ましい。
本発明に用いられるエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(c)(以下、(c)成分という)は、炭素数3以上12以下のエポキシ化合物(c−1)(以下、(c−1)成分という)とアルコキシシラン部分縮合物(c−2)(以下、(c−2)成分という)とを脱アルコール反応させることによって得られる。
(c−1)成分の具体例は、次の一般式(1)
Figure 2005008898
で表される。(c−1)成分の中でも、一般式(1)におけるpが1〜10であるものが好ましく、具体的には、グリシドール(例えば、日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」)やエポキシアルコール(例えば、クラレ(株)製、商品名「EOA」)を例示できる。なお、pの値が10を超えると、最終的に得られる複合体硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
(c−2)成分としては、酸又は塩基触媒の存在下、下記アルコキシシラン化合物及び水を加え、部分的に加水分解、縮合したものを用いることができる。
当該アルコキシシラン化合物としては、例えば、一般式(2):
Si(OCH4−p
(式中、pは0又は1を示す。Rは、炭素原子に直結した炭素数1〜4のアルキル基、アリール基又は不飽和脂肪族残基を示す。)で表される化合物を例示できる。
(c−2)成分の構成原料である前記アルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記アルコキシシランの中でも、テトラメトキシシランの部分縮合物、メチルトリメトキシシランの部分縮合物を用いた場合が、低温での硬化性に特に優れているため好ましい。
(c−2)成分は、例えば次の一般式(3):
Figure 2005008898
(式中、R1は、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、又はメトキシ基を示す。)で示される。
当該(c−2)成分の数平均分子量は230〜2000程度、一般式(3)において、平均繰り返し単位数nは2〜11が好ましい。nの値が11を超えると、溶解性が悪くなる傾向があり、反応温度において、(a)成分及び/又は(b)成分(以下、(a)成分等ということもある)との相溶性が低下し、(a)成分等と(c−1)成分との反応性が落ちる傾向があるため好ましくない。nが2未満であると反応途中に反応系外にメタノールと一緒に留去されてしまうため好ましくない。
(c−1)成分と(c−2)成分の反応は、例えば、これら各成分を仕込み、加熱して生成するアルコールを留去しながら、脱アルコール反応を行う。反応温度は50〜150℃程度、好ましくは70〜110℃である。尚、脱アルコール反応を、110℃を超える温度で行うと、反応系中でアルコキシシランの縮合に伴って、反応生成物の分子量が上がりすぎ高粘度化やゲル化する傾向がある。このような場合には、脱アルコール反応を反応途中で、停止させる等の方法により高粘度化、ゲル化を防止できる。
また、前記(c−1)成分と(c−2)成分の脱アルコール反応に際しては、反応促進のために従来公知の触媒の内、オキシラン環を開環しないものを使用することができる。該触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、カドミウム、マンガン等の金属;これら金属の酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等が挙げられる。これらの中でも、特に、有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ラウレート、オクチル酸錫等が有効である。
また、前記反応は溶剤中で行うこともできる。溶剤としては、(c−1)成分と(c−2)成分を溶解するものであれば特に制限はない。このような有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、キシレン等の非プロトン性極性溶媒を用いるのが好ましい。
こうして得られた(c)成分は、(1分子当たりのSiの平均個数)/(1分子あたりのエポキシ基の平均個数)の値が、1/1〜20/1程度の範囲内であることが好ましい。この値が1/1未満であると脱アルコール反応時間が長くなる傾向があり、またこの値が20/1を超えると(c−2)成分中のエポキシ基の割合が少なくなり、(a)成分等と金属酸化物又は金属水酸化物(B)(以下、(B)成分という)の界面密着力が小さくなるため、金属箔積層体の力学強度、寸法安定性の悪化を招く場合がある。
なお、(c)成分を構成するすべての分子がエポキシ基を含有する必要はなく、前記割合となるエポキシ基を含有していればよい。即ち、(c)成分は、未反応のアルコキシシラン部分縮合物を上限20重量%程度まで含んでいてもよい。
(A)成分は、前記(a)成分等と(c)成分とを反応させて得られる。この反応は、主に、該(a)成分等のカルボキシル基及び/又は酸無水物と(c)成分のエポキシ基との間で生じる、オキシラン環の開環エステル化反応である。ここで、(c)成分のエポキシ基自体は、反応系内に存在する水分等によって消費されることも考えられるが、通常は開環エステル化反応には関与しないため、通常、エポキシ基は、(A)成分中に60%以上残存することになり、80%以上残存させることが好ましい。
前記(A)成分の製造は、例えば、前記(a)成分等と前記(c)成分を仕込み、加熱して開環エステル化反応することにより行われる。反応温度は、通常、40〜130℃程度、好ましくは70〜110℃である。反応温度が40℃未満であると反応時間が長くなり、また130℃を超えると副反応であるアルコキシシリル部位同士の縮合反応が進行しやすくなる傾向がある。反応温度が40〜130℃程度の場合の全反応時間は、通常1〜7時間程度である。
前記(A)成分の硬化残分中のシリカ分は、1%以上15%未満であることが好ましい。シリカ分が1%未満であると、本発明の効果が得られにくく、また15%以上であると硬化時に収縮が生じる場合がある。
また、当該反応は、溶剤の存在下で行うことが好ましい。当該溶剤としては、(a)成分等と(c)成分をともに溶解する有機溶剤であれば特に制限はない。このような有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドンやジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。また、これらの良溶媒に、前記(a)成分等と(c)成分が析出しない範囲で、キシレンやトルエン等の貧溶媒を溶媒全体の30重量%以下の範囲で使用しても良い。
反応系内へ前記溶剤を添加使用する方法は、特に限定されないが、通常は、(i)(a)成分等を製造する際に加えた溶剤をそのまま使用する。;(ii)(c)成分を製造する際に加えた溶剤をそのまま使用する。;(iii)前記(a)成分等と(c)成分との反応の前に加える。の3つの溶剤添加使用方法から少なくとも1つを選択採用すればよい。
また、前記(a)成分等と前記(c)成分の反応には、反応を促進するための触媒を使用できる。例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、ベンズイミダゾール等のイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボーレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボーレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボーレート等のテトラフェニルボロン塩等を挙げることができる。触媒は、(a)成分等100重量部に対し、0.1〜5重量部程度の割合で使用するのが好ましい。
本発明の(A)成分は、その分子中に前記(c)成分に由来するアルコキシシリル基を有している。当該アルコキシシリル基は、溶剤の蒸発や加熱処理により、又は水分(湿気)との反応より、ゾル−ゲル反応や脱アルコール縮合反応して、相互に縮合した硬化物を形成する。かかる硬化物は、ゲル化した微細なシリカ部位(シロキサン結合の高次網目構造)を有するものである。
こうして得られた(A)成分は、(c)成分のアルコキシ基が、(a)成分等の残基で置換されたものを主成分とするが、当該樹脂中には未反応の(a)成分等、(c−1)成分、(c−2)成分が含有されていてもよい。なお、未反応の(c−2)成分は、ゾル−ゲル硬化反応により(A)成分とシロキサン結合で結ばれる。
(A)成分は、その分子中に(c−2)成分に由来するアルコキシ基を有している。当該アルコキシ基の含有量は、特に限定はされないが、このアルコキシ基は溶剤の蒸発や加熱処理により、又は水分(湿気)との反応により、ゾル−ゲル反応や脱アルコール縮合して、相互に結合、又は(B)成分の表面に存在する官能基と反応し、Si−O−Si或いはSi−O−M(金属酸化物)の共有結合を形成する。したがって、(A)成分は、通常、反応原料となる(c−2)成分のアルコキシ基の30〜95モル%程度、好ましくは40〜80モル%を未反応のままで保持しておくのがよい。
当該(A)成分を含有してなる保護コート用樹脂組成物から形成される本発明の保護膜は、ゾル−ゲル硬化により形成した微細なシリカ部位(シロキサン結合の高次網目構造)とそれに一体化した(B)成分とを有するものである。(A)成分としては、硬化残分中のSi含有量が、シリカ重量換算で2〜60重量%程度となることが好ましい。硬化残分中のシリカ重量換算Si含有量とは、(A)成分中のアルコキシシリル部位が前記ゾル−ゲル硬化反応を経て、シリカ部位に硬化した時のシリカ部位の重量パーセントである。2重量%未満であると、得られる保護膜(硬化膜)の耐熱性など本発明の効果を得難くなる傾向があり、また60重量%を越えると、得られる保護膜が脆くなり、厚膜の硬化膜を得難くなる傾向がある。
本発明の保護コート用樹脂組成物では、(A)成分と、機械的分散方法により平均粒子径(d50)が200ナノメートル(nm)以下になる(B)成分を必須成分としている。本発明において、平均粒子径(d50)とは、体積より測定した粒度分布の50%頻度の粒子径を表す。(B)成分の種類は特に限定されないが、得られる保護膜の硬度や透明性、難燃性、フィラーの汎用性(入手容易性)を考慮すると、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫、ジルコニア、ITO(インジウム錫オキサイド)、ATO(アンチモン錫オキサイド)等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等が挙げられる。これらの中でもシリカ、アルミナ、酸化亜鉛を用いた場合には、特に耐熱性、硬度を向上させることができ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムを用いた場合には、難燃性を向上させることができる。これらの(B)成分は粉体の状態では、凝集して2次粒子化しており、分散機を用いて平均粒子径(d50)が200nm以下になるように、(A)成分溶液中で分散させる必要がある。(B)成分の平均粒子径(d50)が200nmを超えると、保護膜の平坦性を保持できなくなる。また同様の理由で、(B)成分の1次粒子の平均粒子径(d50)は200nm以下でなければならない。保護膜の厚みが5μmを越える場合には、より高度の平坦性が要求されるため、当該粒子径は150nm以下とするのがよい。また、(B)成分としては、表面処理剤や界面活性剤などを用いずに調製されたものを用いるのが好ましい。何故なら、(B)成分は、(A)成分のゾル−ゲル硬化時に、Si−O−M結合(Mは金属原子を表す)を形成して一体化するが、前記のように表面処理が施されている場合には、当該結合が生成しにくく、また界面活性剤等の使用は保護コート剤用樹脂組成物の保存安定性が低下し、保護膜の耐水性が低下する傾向があるからである。
本発明の保護コート用樹脂組成物に用いる(B)成分の使用量は、特に限定されないが、(A)成分の硬化残分に対し、1〜50重量%程度であることが好ましい。1重量%未満では、得られる保護膜の硬度が不十分であり、また50重量%を超えると膜厚5μm以上の保護膜を作製したときに亀裂が入ることがある。
本発明の保護コート用樹脂組成物を製造するためには(B)成分の微小分散が不可欠となる。使用する分散機としては格別限定されず、ハイパー、プラネットミキサー、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、ペイントシェイカー、3本ロールなどの従来公知のものを使用できる。当該分散機に用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、SUS、ジルコニアなどが市販されており、何れも使用可能である。また上記分散機の中でもビーズを用いるものは、通常φ3mm程度以下のビーズを用いることが好ましいが、(B)成分を短時間で目的粒子径に分散するには、φ1mm以下のビーズを用いることがより好ましい。得られる保護膜の透明性や平滑性を考慮し、(B)成分を微小分散させるためには、用いる組成物の粘度を分散機の種類やビーズ径などに適合させる必要があるが、(A)成分の製造過程で用いた溶剤の使用量を調整したり、溶剤で希釈することで粘度を調整すればよい。また、ビーズミルなど低粘度組成物の分散に適した分散機の場合には、溶剤中で(B)成分を分散させた後、(B)成分が再凝集しないようにハイパーなどで攪拌しながら、(A)成分と混合し、保護コート用樹脂組成物を調製する方法も用いることも出来る。なお、(A)成分を存在させることで、(B)成分の再凝集を防ぐことができることから、各種分散させる組成物に、(B)成分の重量当たり硬化残分で(A)成分を10重量%以上含んだものとすることが好ましい。この場合にも最終的に保護コート用樹脂組成物を得る場合には、分散後の組成物を(A)成分と混合する方法が好ましい。
本発明の保護コート用樹脂組成物は、(A)成分と(B)成分を含有すればよく、その他の配合成分については特に限定されないが、当該用途や要求性能を考慮して、各種公知の有機溶剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、カップリング剤等を併用してもよく、また本発明の保護コート用樹脂組成物を使用する際にこれら配合物を添加混合しても差し支えない。
本発明の保護コート用樹脂組成物は、前記した諸態様をとりうるが、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて前記以外の成分(例えば、界面活性剤、溶剤等)を含有していてもよい。
前記の任意添加成分である界面活性剤は、保護コート用樹脂組成物の塗布性を向上するために添加される。このような界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル類としてはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等が挙げられ、ポリオキシエチレンアリールエーテル類としては、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが挙げられ、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類としては、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等が挙げられる。これらの界面活性剤の添加量は、保護コート用樹脂組成物中の(A)成分の硬化残分当たり、通常0.01〜1重量%程度で使用される。
また前記の任意添加成分である溶媒としては、本発明の保護コート用樹脂組成物を各種コーターに適合する粘度に希釈するために用いられる。使用される溶媒としては、当該組成物の各成分を溶解又は分散し、且つ各成分と反応しないものが用いられる。このような溶媒としては、前述の(A)成分の製造時に用いた溶剤の他、高沸点溶媒を併用することができる。併用できる高沸点溶媒としては、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどが挙げられる。
本発明の保護コート用樹脂組成物の塗布方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、スリットコート法などの公知各種の方法を適宜採用できる。塗工後の予備乾燥の条件としては、基材などによっても異なるが、通常70〜250℃で1〜30分間程度の条件を採用できる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、各例中、%は特記ない限り重量基準である。
製造例1(エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(A)の製造) 攪拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、グリシドール(日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」)1400g及びテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」、Siの平均個数が4)8957.9gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、90℃に昇温した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート2.0gを加え、反応させた。反応中、分水器を使って生成したメタノールを留去し、その量が約630gに達した時点で冷却した。昇温後冷却までに要した時間は5時間であった。ついで、13kPaで約10分間、系内に残存するメタノール約80gを減圧除去した。このようにして、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(A)を得た。なお、仕込み時のエポキシ化合物の水酸基の当量/アルコキシシラン縮合物のアルコキシル基の当量(当量比)=0.10、エポキシ当量は512g/eqである。
製造例2(アルコキシ基含有シラン変性ポリアミドイミド樹脂(C)の製造)
製造例1と同様の反応装置に、N−メチルピロリドン1160g、キシレン290g、無水トリメリット酸345.8gと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート425.0gを入れ、窒素気流下90℃で2時間反応させた。ついで、窒素気流を止め、1時間かけて135℃まで温度を上昇させた後、3.5時間反応を継続した。その後、冷却し、N-メチルピロリドン/キシレン=4/1(重量比)で希釈し、不揮発分25%のポリアミドイミド樹脂(B)溶液を得た。当該ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量(GPC測定によるスチレン換算値)は8000であった。得られたポリアミドイミド樹脂(B)溶液200gと製造例1で得たエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(A)5.17gを仕込み、95℃に昇温後、4時間反応させた。N―メチルピロリドン8.26gを加えて、冷却し、硬化残分25%のアルコキシ基含有シラン変性ポリアミドイミド樹脂(C)溶液を得た。
製造例3(アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(E)の製造)
製造例1と同様の反応装置に、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物(新日本理化(株)製、商品名「リカシッドDSDA」)36.66g、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(和歌山精化(株)製、商品名「BAPP」)40.00g、N−メチルピロリドン255.83g、キシレン63.96gを仕込み、170℃で4時間、生成する水を分水器より回収しながら脱水閉環反応させ、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂(D)溶液を得た。ポリイミド樹脂(D)の(テトラカルボン酸及び/又はその無水物のモル数)/(ジアミンのモル数)=1.05である。またNMR及びIR分析によるポリイミド樹脂(D)のイミド閉環率は100%であった。
得られたポリイミド樹脂(D)溶液を90℃に加熱し、製造例1で得られたエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(A)3.20gを加え、90℃で8時間反応させた。室温まで冷却し、硬化残分23%のアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(E)溶液を得た。なお、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(A)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(D)のモル数=1.3である。
製造例4(アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(G)の製造)
製造例1と同様の反応装置に、N−メチルピロリドンを仕込み、40℃以下に冷却しながら、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸を(テトラカルボン酸類のモル数)/(ジアミン類をモル数)=0.99になるように加え、40℃で1時間反応させ、ポリアミック酸溶液を得る。その後、1時間かけて90℃に昇温し、脱水閉環反応を行い、ポリイミド樹脂(F)溶液を得た。IRを用いて分析したところ、イミド閉環率は25%であった。
ポリイミド樹脂(F)溶液を80℃に加熱し、製造例1で得られたエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(A)を、(エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(A)のエポキシ基の当量)/(ポリアミック酸及び/又はポリイミド樹脂(F)に使用したテトラカルボン酸類のカルボン酸基の当量)=0.07になる様に加え、80℃で16時間、反応した。室温まで冷却し、硬化残分17%のアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(G)溶液を得た。
実施例1(保護コート用樹脂組成物(1−3)の作製)
製造例2で得られたアルコキシ基含有シラン変性ポリアミドイミド樹脂(C)溶液700g、N−メチルピロリドン6300g、アルミナフィラー(昭和電工(株)製、商品名「UFA150」、1次粒子の平均粒子径(d50)15nm)1200gを容器に仕込み、ハイパーミキサーにて1時間攪拌して、予備的分散組成物(1−1)を調製した。次にビーズミル(アシザワファインテック(株)製、商品名「スターミル」)、ビーズ(粒径0.3mmのジルコニアビーズ)4600gを用いて、当該分散組成物(1−1)を1時間分散させることにより、予備的分散組成物(1−2)を得た。
当該分散組成物(1−2)540gに対して製造例2で得られたアルコキシ基含有シラン変性ポリアミドイミド樹脂(C)溶液1000gを加え、ハイパーミキサーにて1時間攪拌することにより、保護コート用樹脂組成物(1−3)を得た。粒子径測定装置(日機装(株)製、商品名 マイクロトラック粒度分布測定装置 Nanotrac MODEL「UPA−EX150」(以後、マイクロトラックと略す))にて測定したところ、当該保護コート用樹脂組成物(1−3)中の分散粒子の平均粒子径(d50)は45nmであった。
実施例2(保護コート用樹脂組成物(2−3)の作製)
製造例3で得られたアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(E)溶液を用いた以外は、実施例1と同様に行い、予備的分散組成物(2−1)、及び予備的分散組成物(2−2)を得た。当該分散組成物(2−2)に対して実施例1と同様にアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(E)溶液を加えることにより、保護コート用樹脂組成物(2−3)を得た。当該保護コート用樹脂組成物(2−3)をマイクロトラックにて測定したところ、当該保護コート用樹脂組成物(2−3)中の分散粒子の平均粒子径(d50)は50nmであった。
実施例3(保護コート用樹脂組成物(3−3)の作製)
製造例4で得られたアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(G)溶液を用いた以外は、実施例1と同様に行い、予備的分散組成物(3−1)、及び予備的分散組成物(3−2)を得た。当該分散組成物(3−2)に対して実施例1と同様にアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(G)溶液を加えることにより、保護コート用樹脂組成物(3−3)を得た。当該保護コート用樹脂組成物(3−3)をマイクロトラックにて測定したところ、当該保護コート用樹脂組成物(3−3)中の分散粒子の平均粒子径(d50)は50nmであった。
実施例4(保護コート用樹脂組成物(4−3)の作製)
シリカフィラー(旭化成ワッカーシリコーン(株)社製、商品名「HDK N 20」、1次粒子の平均粒子径(d50)20nm)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、予備的分散組成物(4−1)、及び予備的分散組成物(4−2)を得た。当該分散組成物(4−2)に対して実施例1と同様にアルコキシ基含有シラン変性ポリアミドイミド樹脂(C)溶液を加えることにより、保護コート用樹脂組成物(4−3)を得た。当該保護コート用樹脂組成物(4−3)をマイクロトラックにて測定したところ、当該保護コート用樹脂組成物(4−3)中の分散粒子の平均粒子径(d50)は60nmであった。
実施例5(保護コート用樹脂組成物(5−3)の作製)
水酸化マグネシウムフィラー(ALBEMARLE社製、商品名「MAGNIFIN」)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、予備的分散組成物(5−1)、及び予備的分散組成物(5−2)を得た。当該分散組成物(5−2)に対して実施例1と同様にアルコキシ基含有シラン変性ポリアミドイミド樹脂(C)溶液を加えることにより、保護コート用樹脂組成物(5−3)を得た。当該保護コート用樹脂組成物(5−3)をマイクロトラックにて測定したところ、当該保護コート用樹脂組成物(5−3)中の分散粒子の平均粒子径(d50)は80nmであった。
(保護膜の作製)
実施例1〜5で得られた各保護コート用樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーターにより塗布し、120℃で1時間、加熱硬化させることにより、膜厚5μmの各保護膜積層体を得た。
同様に、実施例1〜5で得られた各保護コート用樹脂組成物を、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム上に、バーコーターにより塗布し、160℃で1時間、加熱硬化させることにより、膜厚5μmの各保護膜積層体を得た。
この手法により得られた保護膜積層体は、未塗布のポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム対比、耐熱性、難燃性、表面平滑性に優れていた。

Claims (7)

  1. ポリアミック酸(a)ならびにカルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有するポリアミドイミド樹脂(b)からなる群より選ばれる少なくとも一種と、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(c)とを反応させて得られるエポキシ基含有シラン変性樹脂(A)中に、金属酸化物又は金属水酸化物(B)が平均粒子径(d50)200ナノメートル(nm)以下となるように分散されてなることを特徴とする保護コート用樹脂組成物。
  2. エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(c)が、炭素数3以上12以下のエポキシ化合物(c−1)とアルコキシシラン部分縮合物(c−2)とを脱アルコール反応させて得られるエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物である請求項1に記載の保護コート用樹脂組成物。
  3. アルコキシシラン部分縮合物(c−2)が、メチルトリメトキシシランの部分縮合物及び/又はテトラメトキシシランの部分縮合物である請求項2に記載の保護コート用樹脂組成物。
  4. 金属酸化物又は金属水酸化物(B)の1次粒子の平均粒子径(d50)が200nm以下のものである請求項1〜3のいずれかに記載の保護コート用樹脂組成物。
  5. 金属酸化物又は金属水酸化物(B)が、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の保護コート用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の保護コート用樹脂組成物を加熱硬化させて得られる保護膜。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の保護コート用樹脂組成物を70〜250℃で硬化させて得られる積層体。
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