JP4455898B2 - ポリエステル組成物およびその製造方法と用途 - Google Patents

ポリエステル組成物およびその製造方法と用途 Download PDF

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本発明は、電子材料、フィルム、シートなどの成形材料や塗料材料などに有用な有機無機複合体、さらに詳しくは、最大粒径100nm以下のシリカ粒子が微細に分散した新規ポリエステル組成物およびその製造方法、さらにはその用途に関する。
ポリエステル樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性を有しているために、繊維やフィルムとして幅広く使用されているが、物性を向上させたり、新たな機能を発現させたりするために、様々な無機粒子との複合化が試みられている。
例えば、ポリエステルにシリカゲルを付着させ、吸放湿特性やドレープ性を有する繊維を製造する方法〔特開平10−237758号公報(特許文献1参照)〕や、特定構造を持つリン酸エステル類を吸着させた多孔性の無機化合物と複合化することで、難燃性を付与できる〔特開平8−134262号公報(特許文献2参照)〕ことが知られている。また、金属酸化物を主成分とする粒子をポリエステル樹脂に添加することで、摩擦特性に優れたフィルムを得ることができると報告されている〔特開2001−123082号公報(特許文献3参照)〕。さらに、ポリエステル樹脂とシリカ粒子を複合化することで、表面硬度や機械強度が向上することが知られている〔特開平07−062214号公報(特許文献4)〕。
このような中で、シリカ粒子はポリエステル中で凝集し易く、分散性が良くないことが知られている。例えば、特開2002−80573号公報(特許文献5参照)では、平均粒径が5〜50nmのシリカ粉末をグリコールに添加したポリエステル原料液を調製後、テレフタル酸などとエステル化反応させることでシリカとポリエステルを複合化しているが、シリカ粒子の凝集が起こっている。また、特開2003−201347号公報(特許文献6参照)では、水分含有量10重量%未満のシリカ粒子をベント付き混練機により、ポリエステルに添加、混合させることでシリカ粒子とポリエステルとを複合化させる方法を報告しているが、シリカ粒子は粒径が小さくなるほど粒子の凝集力が大きくなり、特に、100nm以下のサイズの粒子では、凝集力が非常に大きくなり、単なる機械的混合分散では粒子の凝集を全く起こすことなく、均一に分散させることは困難である。一方で、粒子の凝集などが起こり、シリカ粒子がポリマー中に均一に分散していない樹脂組成物においては、透明性が不良となったり、期待する効果が得られなかったりする問題がある。
特開平10−237758号公報 特開平8−134262号公報 特開2001−123082号公報 特開平07−062214号公報 特開2002−80573号公報 特開2003−201347号公報
本発明は、上記した従来の問題点を鑑みてなされたものであり、従来技術では成し得なかったシリカ粒子が凝集を起こすことなく、最大粒径100nm以下のシリカ粒子が微細に分散した新規なポリエステル組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、アルコキシシラン及び/またはその部分加水分解重縮合化合物(A)と、アミノ基含有アルコキシシラン、水素結合性又はイオン結合性官能基を含有するアミノ化合物から選ばれる1種以上の化合物(B)とを、ポリエステル溶液中、加水分解・重縮合を行うことで、上記目的にかなう材料を製造することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下に関するものである。
1)下記一般式(I)及び/又は一般式(II)で表される構造を有するポリエステル誘導体に、最大粒径100nm以下のシリカ粒子が分散してなることを特徴とする新規ポリエステル組成物。
Figure 0004455898
(式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基であり、Rは水素原子、炭化水素基、又は芳香族基であり、R炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基である。また、Zは、シラノール基、水素結合性官能基、若しくはイオン結合性官能基である。ただし、Zがシラノール基の場合は、シリカ粒子とシロキサン結合となる場合もある。nは、自然数である。)
2) アルコキシシラン及び/又はその部分加水分解重縮合化合物(A)と、アミノ基含有アルコキシシラン、水素結合性又はイオン結合性官能基を含有するアミノ化合物から選ばれる1種以上の化合物(B)とを、下記一般式(III)及び/又は一般式(IV)で表されるポリエステルを含有する溶液中で水の存在下に反応させることを特徴とする1)記載の新規ポリエステル組成物の製造方法。
Figure 0004455898
(式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基である。nは、自然数である。)
3) 下記一般式(V)及び/又は(VI)で表される構造を有することを特徴とする新規ポリエステル誘導体。
Figure 0004455898
(式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基であり、Rは水素原子、炭化水素基、又は芳香族基であり、 は炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基であり、は水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基である。nは、自然数である。)
4) 下記一般式(III)及び/又は(IV)で表されるポリエステルとアミノ基含有アルコキシシランを有機溶媒中に反応させることを特徴とする3)記載の新規ポリエステル誘導体の製造方法。
Figure 0004455898
(式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基である。nは、自然数である。)
5) アルコキシシラン及び/またはその部分加水分解重縮合化合物(A)を前記一般式(V)及び/又は(VI)で表される新規ポリエステル誘導体を含有する溶液中で、水の存在下に反応させることを特徴とする1)記載の新規ポリエステル組成物の製造方法。
6) 1)記載のポリエステル組成物から得られる成形品。
7) 1)記載のポリエステル組成物から得られる塗料材料。
8) 1)記載のポリエステル組成物から得られる接着材料。
本発明によれば、シリカ粒子が凝集を起こすことなく、最大粒径100nm以下のシリカ粒子が微細に分散した新規なポリエステル組成物を製造でき、透明性、機械特性、ガスバリアー性、耐熱性、表面硬度に優れ、ニッケル、銅、アルミニウム、シリコン、シリコン酸化膜やその他の金属、ガラスなどの種々の基材に対する接着性が良好である材料を得ることが出来る。よって、本発明で得られるポリエステル/シリカ複合材料は、フィルム、シート、ボトルなどの成形品、塗料材料、接着材料などの幅広い領域で使用することが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記一般式(I)及び/又は一般式(II)で表される構造を有するポリエステル誘導体に、最大粒径が100nm以下のシリカ粒子が分散してなることを特徴とする新規ポリエステル組成物である。
Figure 0004455898
式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基であり、具体例として炭素数1〜20のアルキレン基や、フェニレン基、ナフチレン基等の芳香族基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基等である。また、Rは水素原子、炭化水素基、又は芳香族基であり、具体例としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基等のアリール基等があげられ、好ましくは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基である。Rは2価の有機基であり、具体例として炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。またZは、シラノール基、水素結合性官能基、若しくはイオン結合性官能基であり、具体例としては、シラノール基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム基等である。ただし、Zがシラノール基の場合は、シリカ粒子とシロキサン結合となる場合もある。nは、自然数であり、好ましくは1〜10000の自然数であり、さらに好ましくは、10〜1000の自然数である。
本発明で製造される組成物中のシリカ粒子の大きさは、最大粒径が100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは20nm以下である。粒子の大きさが100nmを超えるとポリエステル組成物から得られる材料の透明性が不良になったり、厚さが10〜100nmのフィルムや、直径が10nm〜100nmの繊維を作製した場合に不都合を生じることがある。
本発明は、ポリエステル組成物中にシリカ粒子の凝集が起こることなく、微細なシリカ粒子を分散させることができる点に特徴があるが、これは化合物(B)に含まれるアミノ基がポリエステル主鎖のエステル結合と反応することによりポリエステル化合物にアルコキシシリル基、または水素結合若しくはイオン結合可能な官能基が導入され、その結果シリカ粒子とポリエステル間で共有結合あるいは水素結合又はイオン結合などの相互作用を可能とし、シリカ粒子の成長が抑制されるためだと考えられる。エステル結合とアミノ基の反応は、NMR測定やFT−IR測定により確認でき、また、シリカ粒子の大きさ及び分散状態は、透過電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)観察やX線散乱により確認可能である。
本発明の新規ポリエステル組成物において、ポリエステルに対するシリカ(SiO2)の含有量は、原料のポリエステル100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.1〜15質量部である。上記範囲内の場合、膜の衝撃強度が十分であり、期待される効果も十分得られるため好ましい。ここでいうシリカの含有量とは、ゾル−ゲル反応で生成するシリカの縮合体の含有量であり、ポリエステル成分を空気中800℃で焼成後に残る灰分量を指す。
本発明の新規ポリエステル組成物は、アルコキシシラン及び/又はその部分加水分解重縮合化合物(A)と、アミノ基含有アルコキシシラン、水素結合性又はイオン結合性官能基を含有するアミノ化合物から選ばれる1種以上の化合物(B)とを、一般式(III)及び/又は一般式(IV)で表される繰り返し構造を有するポリエステルを含有する溶液中で、水の存在下に反応させることにより製造することができる。
Figure 0004455898
式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基であり、具体例として炭素数1〜20のアルキレン基や、フェニレン基、ナフチレン基等の芳香族基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基等のアリール基である。nは、自然数であり、好ましくは1〜10000の自然数であり、さらに好ましくは、10〜1000の自然数である。
本発明の新規ポリエステル組成物を製造する際に用いるアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解重縮合化合物(A)としては、例としてテトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類が挙げられ、部分加水分解重縮合物は、これらの1種以上のアルコキシシラン類に酸またはアルカリ化合物を触媒として加水分解、重縮合することにより得られるものである。機械特性、耐熱性や表面硬度への効果が大きいことから、テトラメトキシシラン、又はテトラエトキシシランを用いることが好ましい。
本発明のポリエステル組成物の製造方法で使用することのできるアミノ基含有アルコキシシランとしては、例として3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、これらの中から選ばれる1種以上のアミノ基を含有するアルコキシシランが使用されることが好ましい。無機材料との接着性を必要とする場合には、その効果が大きいことから、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランを用いることがより好ましい。
本発明ポリエステル組成物の製造方法で使用することのできる水素結合性官能基を含有するアミノ化合物とは、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の水素結合性官能基とアミノ基とを同一分子内に有する化合物であり、また、イオン結合性官能基を含有するアミノ化合物とは、例えばアンモニウム基などのようにシリカ粒子と静電的な相互作用を持つ官能基とアミノ基を同一分子内に有する化合物である。これらの好ましい具体例として2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−アミノ−1−ブタノール、1−アミノ−2−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、4,2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、4−アミノ−2−メチルブタノール、3−アミノプロピオン酸、2−アミノプロピオン酸、4−アミノ−n−ブチル酸、5−アミノ−n−バレリン酸、2−アミノイソバレリン酸、アスパラギン、アスパラギン酸、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−アミノエタンチオール、2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)シクロヘキシルアミン、4−ピコリルアミン、3−ピコリルアミン、2−ピコリルアミン、4−(2−アミノエチル)ピリジン、3−(2−アミノエチル)ピリジン、4−アミノメチルピペリジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、3−アミノ−5−メチルピラゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、2-アミノエタン−1−スルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、スルファニル酸、1,4−ジアミノブタン二塩酸塩、1,5−ジアミノペンタン二塩酸塩等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、1種以上の水素結合性又はイオン結合性官能基を含有するアミノ化合物が使用されることが好ましい。また、アミノ基含有アルコキシシランと水素結合性又はイオン結合性を有するアミノ化合物を同時に用いても良い。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において使用されるアミノ基含有アルコキシシラン、水素結合性又はイオン結合性官能基を含有するアミノ化合物から選ばれる1種以上の化合物の好ましい使用量は、アルコキシシラン及び/またはその部分加水分解縮合化合物100質量部に対して、アミノ基含有アルコキシシラン、水素結合性又はイオン結合性官能基を含有するアミノ化合物から選ばれる1種以上の化合物の合計は0.1〜80質量部が好ましく、より好ましくは、0.1〜40質量部、より更に好ましくは、0.1〜20質量部である。
本発明は上記した通り、アミノ基とポリエステル主鎖のエステル結合が反応することに特徴があるが、アミノ基とエステル結合の反応は主鎖を切断する。このため、アミノ基含有アルコキシシラン、水素結合性又はイオン結合性官能基を含有するアミノ化合物から選ばれる1種以上の化合物が、80質量部以上になるとポリエステル主鎖の切断個所が多くなるため、ポリエステルの低分子量化が顕著になったり、機械強度、耐熱性や表面硬度などにおいて期待する性能が得られなかったりする可能性がある。また、アミノ基含有アルコキシシラン、水素結合性又はイオン結合性官能基を含有するアミノ化合物から選ばれる1種以上の化合物が、0.1質量部以下にすると粒子サイズが大きくなったり、粒子が凝集したりする可能性がある。
本発明のポリエステル組成物を製造する際、使用することのできるポリエステルは、下記一般式(III)及び/又は一般式(IV)で表される構造を有するポリエステルであれば、特に制限はない。
Figure 0004455898
式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基であり、具体例として炭素数1〜20のアルキレン基や、フェニレン基、ナフチレン基等の芳香族基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基等のアリール基である。nは自然数であり、好ましくは1〜10000の自然数であり、さらに好ましくは、10〜1000の自然数である。
例として高分子大辞典1012頁に説明されているものであり、主鎖の繰り返し単位中にカルボン酸エステル基をもつ高分子化合物が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸化合物の自己重縮合や、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物とのエステル化、或いはエステル交換反応ならびに、続く重縮合によって得られるものである。本発明に用いられるポリエステルの種類については、脂肪族ポリエステルおよび芳香族ポリエステルともに溶剤溶解性を有しているものが好ましいが、特に限定されず、具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロへキシレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリジグリコール酸エチレン、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等が挙げられ、中でも特にポリ乳酸は溶剤溶解性の点で好ましい。また、これらのポリエステルは、ホモポリエステル、コポリエステルのどちらでも良く、さらに、それらから選ばれる2つ以上をブレンドしたものでも良い。その際の重合成分としては、上記したポリエステルを構成する酸成分やそれ以外の酸成分、例えば、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、デカリンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の酸成分と、上述したポリエステルを構成するグリコール成分やそれ以外のグリコール成分、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール等のグリコール成分を挙げることができ、上記した酸成分、グリコール成分は、一種のみ、もしくは二種以上を併用しても良い。
本発明の製造方法において使用可能な有機溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、シクロペンタノン、THF、メタノールなどの極性溶媒が好ましいが、ポリエステルを溶解できる溶媒であれば特に制限されるものではない。
本発明の新規ポリエステル組成物を製造する際、アルコキシシラン類の加水分解・重縮合反応には、反応を促進させる目的で下記に示すような加水分解・重合反応の触媒となりうるものを加えても良い。本発明のポリエステル組成物を製造する際、アルコキシシラン類の加水分解・重合反応の触媒として使用されるものは、「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作製技術」P29や「ゾル−ゲル法の科学」P154などに記載されているゾル−ゲル反応で用いられる触媒であることが好ましく、例えば、酸触媒では塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、蓚酸、酒石酸、トルエンスルホン酸等の無機および有機酸類、アルカリ触媒では、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム水酸化物、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン類などが挙げられる。
その他にも、有機スズ化合物、チタニウムテトライソプロポキシド、ジイソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトナート、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリスエチルアセトナート、トリメトキシボランなどの金属アルコキシド等を使用することができる。好ましい触媒の使用量は、アルコキシシラン類の総アルコキシ基に対し、0.5モル当量以下、さらに好ましくは0.1モル当量以下あるが、アミノ基を有するアルコキシシラン類が触媒として作用する場合にはこの限りではない。
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、水存在下で行うことが必須であるが、好ましい水の添加量は、アルコキシシラン及び/又はその部分加水分解重縮合物、及びアミノ基含有アルコキシシランの総アルコキシシラン基に対して、10モル当量以下、より好ましくは3モル当量以下である。水の使用量が10モル当量以上になると、ポリエステルが低分子量化する場合があり問題となる場合がある。
本発明における好ましいアルコキシシラン類の加水分解・縮重合の反応濃度、温度、時間は、使用するポリエステルの分子量や、それぞれの条件が相互に関わるため一概には言えない。すなわち、ポリエステルの分子量が高い場合や、反応濃度の高い場合に、反応温度を高く設定したり、反応時間を長くとり過ぎたりすると、アルコキシシランの縮合に伴って反応生成物の分子量が上がり、高粘度化やゲル化する可能性がある。従って、通常の好ましい反応濃度は、概ね溶液中の固形分の重量%濃度で1〜50%が好ましく、5〜30%がより好ましい。また、好ましい反応温度は1〜100℃程度、好ましくは20〜60℃であり、好ましい反応時間は1〜50時間程度である。
一般式(III)及び/又は(IV)で表されるポリエステルを含有する溶液中でアルコキシシラン及び/またはその部分加水分解重縮合化合物(A)と、アミノ基含有アルコキシシラン、水素結合性又はイオン結合性官能基を含有するアミノ化合物から選ばれる1種以上の化合物(B)とを、水の存在下に反応させ、本発明のポリエステル組成物を得る方法としては、具体的には、
(1)ポリエステルを含有する溶液に(A)、(B)を同時に添加して攪拌混合させた後に、水と触媒を添加して所定温度で反応させる方法、
(2)ポリエステルを含有する溶液中に(B)を添加して攪拌混合した後に(A)、水と触媒を順次添加して所定温度で反応する方法、
(3)ポリエステルを含有する溶液に(A)を添加した後に(B)、水と触媒を順次添加して所定温度で反応する方法、
(4)ポリエステルを含有する溶液に(A)と水と触媒を添加して所定温度で一定時間反応させた後に(B)を添加して反応を継続させる方法などが挙げられるが、これらに特に限定されない。
また、アミノ基含有アルコキシシランと下記一般式(III)及び/又は一般式(IV)で表されるポリエステルとを有機溶媒中に反応させることで、下記一般式(V)及び/又は、(VI)で表される構造を有するポリエステル誘導体を得た後に、このポリエステル誘導体とアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解重縮合化合物(A)と、水と触媒を添加して所定温度で反応させることでも、本発明のポリエステル組成物を得ることが出来る。
Figure 0004455898
式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基であり、具体例として炭素数1〜20のアルキレン基や、フェニレン基、ナフチレン基等の芳香族基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基等である。nは、自然数であり、好ましくは1〜10000の自然数であり、さらに好ましくは、10〜1000の自然数である。
Figure 0004455898
式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基であり、具体例として炭素数1〜20のアルキレン基や、フェニレン基、ナフチレン基等の芳香族基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基である。また、Rは水素原子、炭化水素基、又は芳香族基であり、具体例としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基等があげられ、好ましくは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基である。Rは2価の有機基であり、具体例として炭素数1〜10のアルレン基、フェニレン基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。Rは水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基である。nは、自然数であり、好ましくは1〜10000の自然数であり、さらに好ましくは、10〜1000の自然数である。
上記一般式(V)及び/又は一般式(VI)のポリエステル誘導体を製造する際の反応温度としては、25℃程度の室温でも反応は進行するが、60℃以上が好ましい。反応時間は、用いるアミノ基含有アルコキシシランの種類や、反応温度にもよるが、通常は1時間〜24時間程度が好ましい。また、使用する溶媒については、用いるポリエステルの種類にもよるが、例えば、クロロホルム、トルエン、ベンゼン、クレゾール、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、シクロペンタノン、THF、アセトニトリル、メタノールなどであり、これらの有機溶媒は脱水処理をしてから用いることが好ましい。さらに、全ての操作は、窒素やアルゴンおよび乾燥空気などの水を含まない乾燥雰囲気下で行うことが好ましく、大気下などで行うと、空気中の水とアルコキシシリル基が反応し、目的とする化合物が得られないことがある。さらに、ポリエステル誘導体の分子量が単分散なものが必要な場合には、反応により得られたポリエステル誘導体を、沈殿分別法などの公知の分子量分別法により分子量分別することで、分子量が単分散なものを得ることができる。
上記一般式(V)および一般式(VI)のポリエステル誘導体とアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解重縮合化合物(A)とを水の存在下に反応させる際の好ましいアルコキシシラン類の加水分解・縮重合の反応濃度、温度、時間は、使用するポリエステル誘導体の分子量や、それぞれの条件が相互に関わるため一概には言えない。すなわち、ポリエステル誘導体の分子量が高い場合や、反応濃度の高い場合に、反応温度を高く設定したり、反応時間を長くとり過ぎたりすると、アルコキシシランの縮合に伴って反応生成物の分子量が上がり、高粘度化やゲル化する可能性がある。従って、通常の好ましい反応濃度は、概ね溶液中の固形分の重量%濃度で1〜50%が好ましく、5〜30%がより好ましい。また、好ましい反応温度は1〜100℃程度、好ましくは20〜60℃であり、好ましい反応時間は1〜50時間程度である。
上記一般式(V)又は(VI)を経由して得られる本発明のポリエステル組成物は、(V)、(VI)を経由しないものに比べ、ポリエステル部位の分子量を単分散とすることが可能である。
本発明のポリエステル組成物は、シリカと複合化したことにより、機械特性、ガスバリアー性、耐熱性、表面硬度に優れていながら、シリカ粒子のサイズが100nm以下であるため透明である。このため、フィルム、シート、ボトルなどの成形品として用いることができ、それらは、公知の方法により成形することができる。例えば、本発明のポリエステル組成物からなるフィルムの製造方法としては、1)ゾル−ゲル反応後のポリエステル溶液をガラスプレートなどの基板上に塗布後、脱溶媒することによりフィルム化する手法、2)再沈殿や減圧留去によりポリエステル組成物を粉末として回収後、粉末を加熱・加圧することによりフィルム化する方法、3)回収した粉末を溶融押し出しすることでフィルムを作製する方法、4)回収後の粉末を汎用の有機溶剤に再溶解した後、ガラスプレートなどの基板上に塗布して、脱溶媒することによりフィルム化する方法等が挙げられる。再溶解する際の汎用の有機溶剤は特に限定されないが、例えば、ポリエステル組成物の製造方法において使用可能なものとして先に挙げた溶媒N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、シクロペンタノン、THF、メタノール等が挙げられる。
本発明により得られるポリエステル組成物は、シリカと複合化したことにより、機械特性、ガスバリアー性、耐熱性、表面硬度に優れ、ニッケル、銅、アルミニウム、シリコン、シリコン酸化膜やその他の金属、ガラスなどの種々の基材に対する接着性が良好であるという特性を有しながらも、シリカ粒子のサイズが100nm以下であるため透明である。このため、塗料材料、接着材料などで有用であり、特に透明性が必要な用途でより有効に利用できる。また、防錆、耐傷性、ガスバリアー性などを付与することを目的として金属やポリマーなどに塗布することができるため、半導体素子、薄膜デバイスなどの表面保護をはじめ、エレクトロニクス、塗料、コーティング剤、印刷インキ、印刷刷版、接着剤などの領域で極めて有用である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。なお、実施例中の記号は以下のものを意味する。また、実施例中の各評価は下記のように行った。
TMOS:テトラメトキシシラン
APTMOS:アミノプロピルトリメトキシシラン
AEAPTMOS:N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン
PLLA:L−ポリ乳酸
実施例1
PLLA(LACEA(登録商標)H100−PW 三井化学(株)製)10.0338gを250mlの反応容器に装入し、THF100mlに60℃で溶解させた。次に、TMOS(0.5484g,3.603mmol)、アミノ基含有アルコキシシランAPTMOS(0.0609g,0.340mmol)、0.1N塩酸(0.2777g,0.278mmol)を加えて60℃で5時間反応させた後、メタノールで再沈殿し、白色固体を回収した。回収した白色固体をクロロホルムに溶解後、ガラスシャーレにキャストし、窒素雰囲気下、室温で5時間乾燥後、フィルムをシャーレから剥離し、そのフィルムをさらに60℃の送風乾燥機中で10日間乾燥し、PLLA/シリカ複合フィルムを得た。得られたフィルムのFT−IRスペクトルを測定したところ、PLLA単独のスペクトルでは存在しなかった、1650cm−1のアミドのピークが観察された。また、膜の固体15N−NMRスペクトルを測定したところ、90ppmにアミドのピークが観察された。これらの結果から、PLLAのエステル部分とAPTMOSのアミノ基が反応していることが示唆された。
IRスペクトルは、PLLA複合膜をシリコンウェハー上に作製後、FT−IR(FT/IR−300E、日本分光製)を用いて測定した。また、固体15N−NMRスペクトルは、CMX300(Chemagnetics製)を用いて、CPMAS法により測定した。なお、外部標準としては、NHCl(18ppm)を用いた。
実施例2〜3
表1に示す条件で実施例1と同様に反応を行った。また、表1に示す条件で反応させた溶液から、実施例1と同様な方法で作製したフィルムの諸物性を表2に示す。
比較例1
アルコキシシラン及びアミノ基含有アルコキシシランを添加しない以外は、実施例1と同様な方法でPLLAフィルムを作製した。得られたフィルムの物性を表2に示す。
比較例2
APTMOSを添加しない以外は、実施例1と同様な方法で、表1に示す組成で反応を行った。反応後、得られた溶液から実施例1と同様な方法で作製したフィルムの諸物性を表2に示す。この方法で作製したフィルムにおいては、熱重量測定(TGA)によりシリカ含量を測定すると、0.1wt%でありシリカが膜中にほとんど存在していないことがわかった。シリカとPLLA間での相互作用が弱いために、再沈殿操作を行った際に、シリカ成分が抜け落ちたものと推察された。なお、熱重量測定は、熱重量測定装置(TGA−50、島津製作所(株)製)を用いて、30〜800℃の範囲で行い、800℃で焼成後に残った灰分量をシリカの重量とした。
比較例3
APTMOSを添加しない以外は、実施例1と同様な方法で、表1に示す組成で反応を行った。反応後、得られた溶液の減圧留去を行い、白色固体を回収した。その白色固体をクロロホルムに溶解後、ガラスシャーレにキャストし、窒素雰囲気下、室温で5時間乾燥後、フィルムをシャーレから剥離し、そのフィルムをさらに60℃の送風乾燥機中で10日間乾燥し、PLLA/シリカ複合フィルムを得た。
(熱重量測定)
実施例1〜3および比較例1〜3で得られたフィルムの熱重量測定を、熱重量測定装置(TGA−50、島津製作所(株)製)によって、30〜800℃の範囲で行い、800℃での焼成後に残った灰分量から、シリカ含有量を算出し、表1に示した。また、5、10wt%重量減少時の温度をそれぞれTd5、Td10として表2に示した。
(粒子サイズ)
実施例1、2、3および比較例3のフィルムのTEM観察を行い、シリカ粒子の粒径測定および分散状態の確認を行った。TEM観察は以下の条件で行った。作製したPLLA複合膜をエポキシ樹脂で包埋後、ガラスナイフでトリミングを行い、その後ダイヤモンドナイフで超薄切片を作製した。作製した超薄切片にカーボン補強を施し、透過電子顕微鏡(TEM)(H−7000、日立製作所製)を用いて、加速電圧75kVにて観察した。TEM観察によって、シリカ粒子の粒径測定および分散状態の確認を行った。
TEM観察の結果、実施例1、2、3のフィルムでは、最大粒径が15nm以下のシリカ粒子が均一に分散していることがわかった。一方、比較例3のフィルムでは、レーザー顕微鏡像に、1μm以上の粒子が多数観察された。
(引張試験)
実施例1〜2、比較例1のフィルムから、試験片(JIS K 6781)を作製後、5本掛引張試験機(201−5型、インテスコ製)を用いて、測定温度23℃、試験速度200mm/分で引張試験を行った。表2に引張弾性率を示した。
(ガスバリア性試験)
実施例1、2および、比較例1で作製したフィルムのヘリウムガス透過率試験を行った。ヘリウム透過度は、特開平6−241978号公報に開示されている四重極型質量分析計を検出器としたフィルム用ガス透過率測定装置を用いて、10cm2のフィルムを透過するヘリウムガス量を測定した。フィルムの厚さを100μmに換算した値を表2に示した。
(密着性)
実施例1〜3において、キャスト膜を作製する際、室温で5時間乾燥後、フィルムをガラスシャーレから剥離せずに60℃で乾燥させると、フィルムがシャーレから剥離できなくなる。一方、比較例1においては、60℃の乾燥後でも容易にシャーレから剥離できる。また、シャーレの材質を、ガラスからステンレスに変えて同様な操作を行ったところ、実施例1〜3の膜は剥離できないが、比較例1の膜は容易に剥離した。
実施例4
PLLA1.2547gを脱水THF15mlに60℃で溶解し、APTMOS0.1133gを乾燥雰囲気下で加え、60℃で5時間反応させた。反応後、溶液を減圧留去し、白色固体を得た。得られた白色固体は以下の分析により構造が同定され、下記一般式(IX)に示す構造であることがわかった。なお、ユニット数の25はNMRより求められた平均値である。
Figure 0004455898
H−NMR(CDCl3):d5.1(25H,q)、3.8(2H,t)、3.6(9H,s)、1.8(2H,m)、1.5(75H,d)、0.7(2H,t)
FT−IR:1750cm-1(C=O,エステル)、1640(C=O、アミド)
得られた白色固体1.0152gを25mlの反応容器に装入し、THF10mlに60℃で溶解させた。次に、TMOS(0.1203g,0.791mmol)、0.1N塩酸(0.0621g,0.00621mmol)を加えて60℃で5時間反応させた後、メタノールで再沈殿し、白色固体を回収した。回収した白色固体をクロロホルムに溶解後、ガラスシャーレにキャストし、窒素雰囲気下、室温で5時間乾燥後、フィルムをシャーレから剥離し、そのフィルムをさらに60℃の送風乾燥機中で10日間乾燥し、PLLA/シリカ複合フィルムを得た。得られた複合膜は透明であった。
Figure 0004455898
Figure 0004455898
本発明によれば、シリカ粒子が凝集を起こすことなく、最大粒径100nm以下のシリカ粒子が微細に分散した新規なポリエステル組成物を製造でき、透明性、機械特性、ガスバリアー性、耐熱性、表面硬度に優れ、ニッケル、銅、アルミニウム、シリコン、シリコン酸化膜やその他の金属、ガラスなどの種々の基材に対する接着性が良好である材料を提供することが出来る。よって、本発明で得られるポリエステル/シリカ複合材料は、フィルム、シート、ボトルなどの成形品、塗料材料、接着材料などとして利用することができ、特に、半導体素子、薄膜デバイスなどの表面保護をはじめ、エレクトロニクス、塗料、コーティング剤、印刷インキ、印刷刷版、接着剤などの領域で使用することが可能である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)及び/又は一般式(II)で表される構造を有するポリエステル誘導体に、最大粒径100nm以下のシリカ粒子が分散してなることを特徴とする新規ポリエステル組成物。
    Figure 0004455898
    (式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基であり、Rは水素原子、炭化水素基、又は芳香族基であり、R炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基である。また、Zは、シラノール基、水素結合性官能基、若しくはイオン結合性官能基である。ただし、Zがシラノール基の場合は、シリカ粒子とシロキサン結合となる場合もある。nは、自然数である。)
  2. アルコキシシラン及び/又はその部分加水分解重縮合化合物(A)と、アミノ基含有アルコキシシラン、水素結合性又はイオン結合性官能基を含有するアミノ化合物から選ばれる1種以上の化合物(B)とを、下記一般式(III)及び/又は一般式(IV)で表されるポリエステルを含有する溶液中で水の存在下に反応させることを特徴とする請求項1記載の新規ポリエステル組成物の製造方法。
    Figure 0004455898
    (式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基である。nは、自然数である。)
  3. 下記一般式(V)及び/又は(VI)で表される構造を有することを特徴とする新規ポリエステル誘導体。
    Figure 0004455898
    (式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基であり、Rは水素原子、炭化水素基、又は芳香族基であり、 は炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基であり、は水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基である。nは、自然数である。)
  4. 下記一般式(III)及び/又は(IV)で表されるポリエステルとアミノ基含有アルコキシシランを有機溶媒中に反応させることを特徴とする請求項3記載の新規ポリエステル誘導体の製造方法。
    Figure 0004455898
    (式中、X、Y、Wはそれぞれ独立して2価の有機基である。nは、自然数である。)
  5. アルコキシシラン及び/またはその部分加水分解重縮合化合物(A)を一般式(V)及び/又は(VI)で表される新規ポリエステル誘導体を含有する溶液中で、水の存在下に反応させることを特徴とする請求項1記載の新規ポリエステル組成物の製造方法。
  6. 請求項1記載のポリエステル組成物から得られる成形品。
  7. 請求項1記載のポリエステル組成物から得られる塗料材料。
  8. 請求項1記載のポリエステル組成物から得られる接着材料。
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