JP4734022B2 - Iii族窒化物半導体層の形成方法、およびiii族窒化物半導体基板の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、HVPE法を用いたGaN半導体基板の製造方法が開示されている。この製造方法では、サファイア(Al2O3)基板上に、ストライプ状に配置された断面矩形形状の被覆部および被覆部間に形成された開口部を有するマスクを形成する。このマスクの被覆部は、サファイア基板の<11−20>、GaN半導体の<1−100>方向に延在する。
マスク形成後、その開口部からGaN半導体層を成長させ、前記マスクの被覆部上面を、完全には覆わない状態で成長を止める。このときGaN半導体層は、特許文献1の請求項1等に記載されているように、その断面形状が略T字型となる。
次に、マスクをドライエッチングにより除去し、GaN半導体層上にさらにGaN半導体層を成長させる。その後、サファイア基板をそのまま剥離し、GaN半導体基板を得る。
前述した従来技術では、こうした高水準の要求に応える結晶品質を実現することは困難である。
前記バッファ層の上部に、開口部を有するマスクを形成する工程と、
前記開口部からIII族窒化物半導体層を選択成長させて、第一のIII族窒化物半導体層を成長させる工程と、
前記マスクの少なくとも一部を除去して空隙を形成する工程と、
前記空隙を残しつつ前記第一のIII族窒化物半導体層上に第二のIII族窒化物半導体層をさらに成長させ、前記第一のIII族窒化物半導体層および第二のIII族窒化物半導体層を含む前記III族窒化物半導体層を得る工程と、を含み、
前記マスクの少なくとも一方向の断面形状が、前記下地基板側から上方に向かって幅狭となる形状であり、
前記マスクは複数の膜を含み、前記下地基板側に位置する膜が、その上部にある膜よりも所定のエッチャントに対するエッチング速度が遅いことを特徴とするIII族窒化物半導体層の形成方法が提供される。
ここで、略台形形状とは、台形形状を構成する上辺と下辺を結ぶ側辺が直線形状であるものに限られず、例えば、側辺が湾曲した形状であってもよい。また、被覆部が多層構造となっており、被覆部断面において、下層から上層に向かって順に断面積が小さくなるような形状(上辺と下辺を結ぶ側辺が階段状となる形状)も略台形形状に含まれる。
マスクの少なくとも一方向の断面形状を略台形形状とすることで、結晶性の高いIII族窒化物半導体層を得ることができる。
この方法によれば、ファセット構造を形成させながら前記III族窒化物半導体層を選択成長させるので、上部のIII族窒化物半導体層中に結晶欠陥が伝達されることが抑制される。
下地基板上にバッファ層を形成することで、このバッファ層上に形成されるIII族窒化物半導体層の結晶性をより一層高めることができる。
また、本発明は、III族窒化物半導体層を選択成長させる前記工程は、前記マスク上にIII族窒化物半導体の犠牲層を形成した後、この犠牲層の一部を蒸発させるとともに、前記犠牲層の他の一部をマスクの開口部に残存させる工程と、前記開口部に残存した犠牲層から、III族窒化物半導体層を選択成長させる工程とを含むものであってもよい。
III族窒化物半導体の犠牲層の一部を、マスクの開口部に残存させることで、マスクの開口部からIII族窒化物半導体層を確実に成長させることができる。
この際、III族窒化物半導体層を選択成長させる前記工程は、前記開口部から第一のIII族窒化物半導体層を選択成長させる工程と、前記マスクの少なくとも一部を除去して空隙を形成する工程と、前記空隙を残しつつ前記第一のIII族窒化物半導体層上に第二のIII族窒化物半導体層をさらに成長させ、前記第一のIII族窒化物半導体層および第二のIII族窒化物半導体層を含む前記III族窒化物半導体層を得る工程とを含むものであってもよい。
本発明では、第一のIII族窒化物半導体層を選択成長させた後、空隙を形成し、さらに空隙を残しつつ、第二のIII族窒化物半導体層を成長させてIII族窒化物半導体層を得ているため、空隙により、III族窒化物半導体層を下地基板から分離し易くなる。
このような本発明では、マスク表面の露出部にエッチャントを接触させることにより、マスクの少なくとも一部を容易に除去することができる。
エッチャントに対するエッチング速度の異なる複数の膜でマスクを構成し、下地基板側に位置する膜が、その上部にある膜よりも前記エッチャントに対するエッチング速度が遅くなるようにすれば、下地基板上に前記複数の膜を積層し、この積層体をエッチングすることで、断面形状が、下地基板側から上方に向かって幅狭となる形状のマスクを形成することができる。
この方法によれば、下地基板の熱膨張係数とIII族窒化物半導体層の熱膨張係数の違いにより発生する応力を利用して、下地基板とIII族窒化物半導体層とを分離することができる。
このような製造方法によれば、前述したIII族窒化物半導体層を含むIII族窒化物半導体基板を製造できるので、結晶性の高いIII族窒化物半導体基板を製造することができる。
図1は、第一実施形態に係るGaN半導体基板の製造方法を模式的に示す工程断面図である。
III族窒化物半導体基板であるGaN半導体基板の製造方法においては、まず、フォトリソグラフィ法とエッチングにより、下地基板であるサファイア基板(Al2O3)10上に、断面形状がサファイア基板10側から上方に向かって幅広となる開口部112、断面形状がサファイア基板10側から上方に向かって幅狭となる被覆部111を有する二酸化珪素(SiO2)のマスク11を形成する。
この第一のGaN半導体層14を成長させる工程では、マスク11の開口部112内部から、第一のGaN半導体層14を形成し、隣接する第一のGaN半導体層14同士がマスク11を覆い尽くす前に、第一のGaN半導体層14の成長を止める。
続いて、マスク11をエッチングにより除去し、空隙15を形成する。そして、空隙15を有する第一のGaN半導体層14上に、前記空隙15を残しつつ、第二のGaN半導体層16を成膜する。これにより、第一のGaN半導体層14と、第二のGaN半導体層16とを備えたGaN半導体層17が形成される。
こうして得られたサファイア基板10およびGaN半導体層17を冷却して、サファイア基板10を分離除去する。
先ず、厚さ550μmの3インチφのサファイア基板10表面に、1μmの厚さのSiO2膜11を積層する(図1(A))。
ここで、SiO2膜11の成膜には、シラン(SiH4)ガスと酸素(O2)ガスを用いる熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法や電子ビーム(EB:Electron Beam)蒸着法、およびその他の手法を使用することができる。
被覆部111の長手方向は、サファイア基板10の<1−100>方向に沿った方向である。被覆部111の断面形状は、略台形形状で、サファイア基板10側から上方に向かって幅狭となっている。
また、開口部112の断面は、サファイア基板10側から上方に向かって広くなる台形形状である。ここでいう断面とは、被覆部111の前記長手方向と直交する方向の断面である。換言すると、マスク11をサファイア基板10の<11−20>方向(GaN半導体層17の<1−100>方向)方向で切断したときの断面である。
開口部112の幅が3〜4μmとなるまでエッチングを行った後、レジストマスク12を除去する。
以上が、サファイア基板10上にマスク11を形成する工程である。
図2は、有機金属気相成長(MOCVD)装置である。
このMOCVD装置500は、反応管50と、反応管50内に回転自在に配設されている基板サセプタ51と、を備える。このMOCVD装置500の反応管50は、基板サセプタ51の上半の成長領域58と、下半の回転機構室59とに区画されている。
上記工程に続いて、図2に示す構成を備えるMOCVD装置500の反応管50内の基板サセプタ51上に、マスク11を形成したサファイア基板10を、セットする。図2中、マスク11を形成したサファイア基板10をウェハ502として表示した。そして、ガス導入管52、53、および54から窒素(N2)ガスを供給して、反応管50内をパージする。反応管50内に供給したガスは、排出口55より排出される。
TMG、NH3の供給量はそれぞれ10μmol/min、5000cc/minとする。
なお、このGaN半導体層13の分解・蒸発及び結晶化は、後段で説明するHVPE装置内で行ってもよい。
このHVPE装置400は、反応管40と、反応管40内に回転自在に配設されている基板ホルダ41と、反応管40の外部のヒータ43とを備える。このHVPE装置400は、ガリウム(Ga)ソース44を載置するソースボート48を反応管40内に備える。また、このHVPE装置400は、反応管40に、ガス導入管45A,45Bと、ガス排出管47とを備える。
図3中、マスク11およびGaN半導体層13を形成したサファイア基板10をウェハ402として表示した。
基板ホルダ41に保持されるウェハ402に相対する箇所に成長領域46が形成されている。ヒータ43は、反応管40の外周に設けられている。ガス排出管47は、基板ホルダ41の下流側に設けられている。
上記工程に続いて、図3に示す構成を備えるHVPE装置400の反応管40内の基板ホルダ41に、GaN半導体層13が形成されたサファイア基板10をセットする。
なお、ここで、セットするサファイア基板10上のGaN半導体層13は、図1(D)に示したような連続膜ではなく、一部が分解蒸発し、他の一部が結晶化した状態となっている。
さらに成長を続けると第一のGaN半導体層14はマスク11の被覆部111の側壁面111Aを覆いはじめる(図1(F))。
以上がマスク11の開口部112から、第一のGaN半導体層14を形成する工程である。
以上がマスク11を除去して空隙15を形成する工程である。
ガス導入管45A,45BよりN2ガスを供給して反応管40内をパージする。反応管40内に供給したガスは、ガス排出管47より排出される。反応管40内を十分パージした後、H2ガスに切替えて、ヒータ43により反応管40を昇温する。引続きGaソース44領域の温度が850℃、成長領域46の温度が1040℃になるまで昇温を続ける。
なお、空隙15内部には、GaN半導体層は形成されず、空隙15はそのまま保持される。さらに、成長を続けるとファセット構造14Aは完全に埋め込まれる。これにより、第一のGaN半導体層14と第二のGaN半導体層16とを備えたGaN半導体層17が形成される(図1(I))。
GaN半導体層17の厚さが1mmになるまで、ガス導入管45AからのHClガスの供給を続ける。
以上により、GaN半導体層17を形成する工程が終了する。
この降温中にGaN半導体層17とサファイア基板10の熱膨張係数の違いから、空隙15を構成する隔壁15Aに応力が集中し、GaN半導体層17はサファイア基板10の界面近傍から剥離する(図1(J))。剥離したGaN半導体層17の表面および裏面を研磨することで、最終的に平坦化した自立基板であるGaN基板を作製することができる。
マスク11の開口部112を挟んで配置された被覆部111の断面形状が略台形形状であり、サファイア基板10側から上方に向かって狭くなる形状となっている。このような形状とすることで開口部112から成長した第一のGaN半導体層14が、結晶性のよいものとなる。この第一のGaN半導体層14上に第二のGaN半導体層16を形成し、GaN基板を得ているため、結晶性のよいGaN基板を得ることができる。
より詳細に説明すると、本実施形態では、サファイア基板10と第一のGaN半導体層14との熱膨張係数の違いを利用し、第一のGaN半導体層14に亀裂を生じさせて、サファイア基板10を分離している。前述したように、第一のGaN半導体層14のうち、サファイア基板10に支持されている部分の面積が小さいので、単位断面積あたりの応力の負荷が大きくなる。そのため、前記熱膨張係数の違いにより発生する応力が、例え、小さいとしても容易に亀裂が生じ、サファイア基板10の分離を容易に行うことができるのである。
さらに、本実施形態では、第一のGaN半導体層14によりマスク11の被覆部111を完全に覆わず、被覆部111が露出した露出部111Bにエッチャントを接触させている。そのため、被覆部を第一のGaN半導体層により、完全に覆ってしまった後、第一のGaN半導体層をはがして露出部を形成する場合に比べ、製造に手間を要しない。
これに加え、FIELO法を用いて第一のGaN半導体層14を成長させているため、第一のGaN半導体層14の水平方向の成長速度がELO法に比べ遅く、第一のGaN半導体層14の水平方向の成長の制御性がよい。従って、より確実に第一のGaN半導体層14同士が完全に合体してしまう前に、第一のGaN半導体層14の成長を止めることができる。
特に、本実施形態では、被覆部111の断面形状を略台形形状としており、被覆部111の上面の面積が小さいため、第一のGaN半導体層14により、埋まってしまい易いが、FIELO法を用いて第一のGaN半導体層14を成長させることでこの問題を解決することができる。
また、FIELO法を用いて第一のGaN半導体層14を成長させることで、マスク11の被覆部111が第一のGaN半導体層14で覆われるタイミングのずれを防止できる。
次に、図4を参照して、第二実施形態について説明する。
先ず、(0001)面が0.15°傾斜した厚さ430μmのサファイア基板30上にバッファ層としてのGaN膜32を形成する。このGaN膜32の厚みは1.5μmである。
さらに、このGaN膜32上に2μmの厚さのSiO2膜31を形成した(図4(A))。SiO2膜31の作成には、シラン(SiH4)ガスと酸素(O2)ガスを用いる熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法や電子ビーム(EB:Electron Beam)蒸着法、およびその他の手法を使用することができる。
次に、リソグラフィ技術を用いて開口部342の巾が2μm、被覆部343の巾が5μmであるレジストマスク34を、基板30全面に形成する(図4(B))。レジストマスク34の被覆部343はストライプ状に配置され、被覆部343の長手方向は、GaN膜32の<11−20>方向に沿っている。
複数の被覆部311は、互いに平行に配置され、被覆部311の長手方向は、サファイア基板10の<1−100>方向に沿った方向である。
マスク31の被覆部311の断面形状は、略平行な上辺と下辺を結ぶ側辺が、被覆部311内側に向かって湾曲した略台形形状である。すなわち、マスク31の被覆部311の断面形状は、サファイア基板30側から上方に向かって狭くなる形状となっている。
また、開口部312からは、GaN膜32が露出しており、開口部312の断面は、サファイア基板30側から上方に向かって広くなる略台形形状となる。ここでいう断面とは、サファイア基板30の<11−20>方向(GaN半導体層35の<1−100>方向)方向で切断したときの断面である。
その後、レジストマスク34を除去することでマスク31が完成する(図4(c))。
以上がマスク31を形成する工程である。
ガス導入管45A,45BよりN2ガスを供給して反応管40内をパージする。反応管40内に供給したガスは、ガス排出管47により排出される。反応管40内を十分パージした後、H2ガスに切替えて、ヒータ43により反応管40を昇温した。引続きGaソース44領域の温度を850℃、成長領域46の温度が1040℃になるまで昇温を続ける。
数分間の成長で、開口部312に、このようなサファイア基板30の基板面に対して傾斜した傾斜面を有した断面三角形状のファセット構造35AのGaN半導体層35が成長する(図4(D))。
さらに成長を続けると、GaN半導体層35は、マスク31の開口部312を介して隣接する被覆部311上で成長するGaN半導体層35と合体する(図4(F))。
以上が、GaN半導体層35を形成する工程である。
なお、この時のGaN半導体層35の膜厚は、200μm程度であった。
マスク31の被覆部311の断面形状が略台形形状であり、サファイア基板30側から上方に向かって狭くなる形状となっている。また、開口部312の断面形状は、サファイア基板30側から上方に向かって広くなる形状となっている。従って、開口部112から成長したGaN半導体層35が、結晶性のよいものとなる。
図6には、本実施形態で製造したGaN半導体層35の(10−10)面のX線回折半値幅と、開口部の断面形状が長方形形状となったマスクを使用して製造したGaN半導体層の(10−10)面のX線回折半値幅とが示されている。
図6において、白三角の膜厚200μmの点が本実施形態で製造したGaN半導体層35の測定値を示している。また、図6において黒三角の膜厚約100μm点が、開口部の断面形状が長方形形状となったマスクを使用して製造したGaN半導体層の測定値である。また、黒三角を通る点線は、開口部の断面形状が長方形形状となったマスクを使用して製造したGaN半導体層の(10−10)面のX線回折半値幅を推測したものである。
本実施形態で製造したGaN半導体層35の(10−10)面のX線回折半値幅は、開口部の断面形状が長方形形状のマスクを使用したGaN半導体層のX線回折半値幅の推測値にくらべ、約2/3程度になっていることがわかる。これにより、結晶性がよくなっていることが確認できる。
また、本実施形態で製造したGaN半導体層35の転位密度を測定したところ、1cm2当たり8×106個であった。
さらに、本実施形態では、マスク31の被覆部311の断面形状を略台形形状としているため、GaN半導体層35で被覆部311の上面を完全に覆うのに時間を要しない。
第三実施形態を図5を参照して説明する。
先ず、厚さ1.5μmのバッファ層であるGaN膜21が形成された厚さ430μmのサファイア基板20に、1.5μmの厚さのSiO2膜22を形成する。SiO2膜22は、エッチャントに対するエッチング速度の異なる膜質のSiO2膜22A、22Bおよび22Cから形成されている(図5(A))。
その後、SiH4ガスとO2ガスの供給を停止して反応管の温度を降温し、熱CVD装置よりサファイア基板20を取出す。以上のような工程により、1μm程度の厚さのSiO2膜22を形成することができる。成膜温度500℃、400℃、及び350℃の順にSiO2膜22のエッチング速度が速くなる。すなわち、500℃で形成された膜がSiO2膜22Aであり、400℃で形成された膜がSiO2膜22Bであり、350℃で形成された膜がSiO2膜22Cである。
また、成膜温度を一定で、SiH4ガスとO2ガスの供給量(O2ガス/SiH4ガス)比を10〜500に変えることによっても、SiO2膜22を形成することができる。O2ガス/SiH4ガス供給比が大きいほどエッチング速度の速い膜が形成されることなる。
また、熱CVD法で形成したSiO2膜と電子ビーム蒸着法で形成したSiO2膜を積層することでもエッチング速度の異なる膜を有するSiO2膜22を形成できる。熱CVD法で成膜されたSiO2膜に比べ電子ビーム蒸着法により成膜されたSiO2膜の方がエッチング速度が速いので、サファイア基板20上に熱CVD法で形成したSiO2膜、電子ビーム蒸着法で形成したSiO2膜の順に成膜する。
被覆部221の長手方向は、サファイア基板20の<1−100>方向に沿った方向である。
マスク22の被覆部221の断面形状はサファイア基板20側から上方に向かって狭くなる略台形形状である。すなわち、被覆部221を構成するSiO2膜22Aの断面積は、SiO2膜22Bの断面積及びSiO2膜22Cの断面積よりも大きく、SiO2膜22Bの断面積は、SiO2膜22Cの断面積よりも大きい。そのため、被覆部221の断面形状は、略平行な上辺と下辺を結ぶ側辺が階段状となっている。
開口部222の断面は、サファイア基板20側から上方に向かって広くなる略台形形状となる。なお、ここでいう断面とは、被覆部221の前記長手方向と直交する方向の断面である。換言すると、マスク22をサファイア基板20の<11−20>方向(GaN半導体層26の<1−100>方向)方向で切断したときの断面である。
さらに、サファイア基板20を有機洗浄し、レジストマスク24を除去する(図5(D))。
以上がマスク22を形成する工程である。
数分間の成長で、マスク22の開口部222に{1−101}面を側壁とするファセット構造26Aを有するGaN半導体層26が成長する(図5(E))。サファイア基板20の基板面に対して傾斜した傾斜面を有し断面三角形状となっている。
さらにまた、成長を続けると、GaN半導体層26は、開口部222を挟んで隣接する被覆部221上のGaN半導体層26と合体した後、マスク22を埋め込む。さらに成長を続け70分間の成長で凹凸の少ない表面のGaN半導体層26を形成することができる(図5(G))。
以上がGaN半導体層26を形成する工程である。
この時のGaN半導体層26の膜厚は、100μm程度であった。
本実施形態では、サファイア基板20上に形成するSiO2膜22を、エッチャントに対するエッチング速度の異なるSiO2膜22A、SiO2膜22B、SiO2膜22Cを積層したものとしている。エッチャントに対するエッチング速度は、SiO2膜22A、SiO2膜22B、SiO2膜22Cの順で速くなっているので、SiO2膜22をエッチングすると、エッチングにより形成される被覆部221は階段状となる。すなわち、被覆部221の被覆部221を構成するSiO2膜22Aの断面積は、SiO2膜22Bの断面積及びSiO2膜22Cの断面積よりも大きくなり、SiO2膜22Bの断面積は、SiO2膜22Cの断面積よりも大きくなる。従って、マスク22の被覆部221の断面を容易に、略台形形状とすることができる。
本実施形態で製造したGaN半導体層26の(10−10)面のX線回折半値幅が、開口部の断面形状が長方形形状のマスクを使用した膜厚約100μmのGaN半導体層のX線回折半値幅にくらべ、約2/3程度になっていることがわかる。これにより、結晶性がよくなっていることが確認できる。
さらに、GaN半導体層26表面の転位密度を測定したところ、1cm2当たり9×106個であった。
また、本実施形態では、マスク22の被覆部221の断面形状を略台形形状としているため、GaN半導体層26で被覆部221の上面を完全に覆うのに時間を要しない。
例えば、前記各実施形態では、マスク11、31,22の被覆部111、311、221の断面形状を略台形形状としたが、これに限らず、例えば、断面形状を三角形形状としてもよい。被覆部は下地基板側から上方に向かって広がるような断面形状であれば任意である。
さらに、前記各実施形態では、GaN半導体層の作製を行ったが、GaN半導体層に限らず、InXGa1−XN半導体層やAlXGa1−XN半導体層を形成してもよい(X=0〜1)。
また、前記各実施形態では、下地基板としてサファイア基板10,20,30を使用したが、スピネル基板、SiC基板、ZnO基板、シリコン基板等を用いてもよい。
さらに、前記各実施形態では、特定の半導体層やマスクを特定の製造条件で製造したが、特に限定する趣旨ではない。すなわち、上記の膜厚、製造条件は単なる例示に過ぎず、形成する半導体層の組成、構造に応じて適宜変更可能である。
さらに、前記各実施形態では、GaN半導体層17,35,26をFIELO法を用いて製造したが、これに限らず、ELO法を用いて製造してもよい。
さらに、前記第一実施形態では、サファイア基板10上に直接GaN半導体層17を形成したが、これに限らず、サファイア基板上にバッファ層を設け、このバッファ層上にGaN膜を形成してもよい。
また、第一実施形態では、GaN半導体層17を成長させた直後にサファイア基板10を分離していたが、これに限らず、GaN半導体層17上に発光ダイオード等の発光素子、さらには、トランジスタ等の電子デバイスを作成した後に、サファイア基板10を除去し、電子デバイスを得てもよい。
このような半導体レーザを製造する場合には、下地基板上に第一層目のGaN半導体層を形成し、この第一層上に第二層目、第三層目等のIII族窒化物半導体の層を成長させた後、最後に下地基板を分離させる。
さらに、第一実施形態のマスク11を第三実施形態のマスク31のように、エッチング速度の異なる複数の膜から構成してもよい。この場合には、第三実施形態と同様に、下地基板側に位置する膜がその上部にある膜よりもエッチャントに対するエッチング速度が遅くなるようにする。
11,31,22 マスク(SiO2膜)
12,34,24 レジストマスク
13 GaN半導体層
14 第一のGaN半導体層
14A,35A,26A ファセット構造
14B 傾斜面
15 空隙
15A 隔壁
16 第二のGaN半導体層
17,35,26 GaN半導体層
21,32 GaN膜
22A,22B,22C SiO2膜
35B 側壁面
40 反応管
41 基板ホルダ
43 ヒータ
44 Gaソース
45A,45B ガス導入管
46 成長領域
47 ガス排出管
48 ソースボート
49 GaCl生成領域
50 反応管
51 基板サセプタ
52,53,54 ガス導入管
55 ガス排出管
55 排出口
56 駆動軸
57 加熱用高周波コイル
58 成長領域
59 回転機構室
111,311,221 被覆部
111A,311A 側壁面
111B 露出部
112,222,312 開口部
121,243,343 被覆部
122,242,342 開口部
400 HVPE装置
500 MOCVD装置
502 ウェハ
Claims (9)
- 下地基板の上部にIII族窒化物半導体からなるバッファ層を形成する工程と、
前記バッファ層の上部に、開口部を有するマスクを形成する工程と、
前記開口部からIII族窒化物半導体層を選択成長させて、第一のIII族窒化物半導体層を成長させる工程と、
前記マスクの少なくとも一部を除去して空隙を形成する工程と、
前記空隙を残しつつ前記第一のIII族窒化物半導体層上に第二のIII族窒化物半導体層をさらに成長させ、前記第一のIII族窒化物半導体層および第二のIII族窒化物半導体層を含む前記III族窒化物半導体層を得る工程と、を含み、
前記マスクの少なくとも一方向の断面形状が、前記下地基板側から上方に向かって幅狭となる形状であり、
前記マスクは複数の膜を含み、前記下地基板側に位置する膜が、その上部にある膜よりも所定のエッチャントに対するエッチング速度が遅いことを特徴とするIII族窒化物半導体層の形成方法。 - 請求項1に記載のIII族窒化物半導体層の形成方法において、
前記マスクの少なくとも一方向の断面形状が略台形形状であることを特徴とするIII族窒化物半導体層の形成方法。 - 請求項1または2に記載のIII族窒化物半導体層の形成方法において、
前記III族窒化物半導体層を選択成長させる工程は、前記下地基板の基板面上にファセット構造を形成させながら前記III族窒化物半導体層を選択成長させる工程を含むことを特徴とするIII族窒化物半導体層の形成方法。 - 請求項1乃至3いずれか1項に記載のIII族窒化物半導体層の形成方法であって、
III族窒化物半導体層を選択成長させる前記工程は、前記マスク上にIII族窒化物半導体の犠牲層を形成した後、この犠牲層の一部を蒸発させるとともに、前記犠牲層の他の一部をマスクの開口部に残存させる工程と、前記開口部に残存した犠牲層から、III族窒化物半導体層を選択成長させる工程とを含むことを特徴とするIII族窒化物半導体層の形成方法。 - 請求項1乃至4いずれか1項に記載のIII族窒化物半導体層の形成方法であって、
III族窒化物半導体層を選択成長させる前記工程と、
前記III族窒化物半導体層と前記下地基板とを分離する工程とを含むことを特徴とするIII族窒化物半導体層の形成方法。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体層の形成方法において、
前記第一のIII族窒化物半導体層を選択成長させる前記工程では、前記開口部から成長した前記第一のIII族窒化物半導体層が前記マスクの表面全面を覆わないうちに成長を止め、
前記マスクの少なくとも一部を除去する前記工程は、
前記第一のIII族窒化物半導体層により覆われていないマスク表面の露出部に前記エッチャントを接触させて前記マスクの少なくとも一部をエッチング除去する工程を含む
ことを特徴とするIII族窒化物半導体層の形成方法。 - 請求項5または6のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体層の形成方法において、
前記III族窒化物半導体層と下地基板とを分離させる前記工程は、
前記下地基板と前記III族窒化物半導体層とを冷却する過程で、前記III族窒化物半導体層と、前記下地基板とを分離する工程を含むことを特徴とするIII族窒化物半導体層の形成方法。 - 請求項5乃至7のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体層の形成方法において、
前記下地基板と、前記III族窒化物半導体層とを分離する前記工程は、
前記下地基板と前記III族窒化物半導体層とを冷却する過程で、前記冷却により、前記III族窒化物半導体層の下地基板近傍部分に亀裂が生じ、前記下地基板が分離除去される工程を含むことを特徴とするIII族窒化物半導体層の形成方法。 - III族窒化物半導体基板の製造方法であって、
請求項5乃至8のいずれか1項に記載の方法により、下地基板上に前記III族窒化物半導体層を選択成長させ、前記III族窒化物半導体層と下地基板とを分離させる工程を含み、前記III族窒化物半導体層を含むIII族窒化物半導体基板を得ることを特徴とするIII族窒化物半導体基板の製造方法。
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