JP4424497B2 - 窒化物半導体結晶の製造方法 - Google Patents

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本発明は、低転位密度の窒化物半導体結晶、特にレーザダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)等の半導体デバイスを製造するのに用いる基板に好適な窒化物半導体結晶の製造方法に関する。
GaN等の窒化物半導体は、禁制帯幅が大きく、かつ直接遷移型であることから、紫外〜青色発光素子用の材料として注目されている。この窒化物半導体の発光素子を作製するための基板として、従来からサファイア等の異種基板が一般的に用いられてきた。サファイアとGaNとの格子定数が異なり、サファイア基板上に直接GaNの単結晶膜をエピタキシャル成長させることができなかったため、サファイア基板上にAlN,GaN等の低温成長窒化物からなるバッファ層を成長させ、このバッファ層でサファイア基板とGaN膜の格子の歪みを緩和した上で、GaN膜を成長させる方法が行われてきた(例えば特開昭63-188983号)。これにより、サファイア基板上でのGaNの単結晶エピタキシャル成長が可能になった。
しかしこの方法でも、やはり基板と結晶の格子のずれを完全には解消できず、GaN膜には無数の格子欠陥が残る。この格子欠陥は、窒化物半導体デバイスを製作する上で障害となる。
最近、サファイア基板とGaN膜の格子定数差に起因して発生する格子欠陥の密度を低減する方法として、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)法(Appl. Phys. Lett. 71(18) 2638(1997))や、FIELO(Facet-Initiated Epitaxial Lateral Overgrowth)法(Jpan. Appl. Phys. 38, L184(1999))といった成長技術が報告された。これらは、有機金属気相成長(MOVPE)法などによりサファイア等の基板上にGaN単結晶薄膜を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてSiO2などのマスク材で薄膜表面を部分的に覆い、その上にGaN膜を成長させるもので、下地層からの格子欠陥(特に転位)の伝播を防止する技術である。
また最近「ボイド形成剥離法(Void-Assisted Separation Method:VAS法)」が開発された[特開2003-178984号(特許文献1)]。これは、自己形成TiNナノマスクを使用することにより、GaN膜における低転位化を達成し、GaN膜を成長後に出発基板から剥離して、GaN自立基板を得る方法である。ここで「自立基板」とは、自らの形状を保持できるだけでなく、ハンドリングに不都合が生じない程度の強度を有する基板を意味する。これらの方法により、飛躍的に結晶性の高いGaNエピタキシャルウェハ及びGaN自立基板が得られるようになった。
一般にGaNのヘテロエピタキシャル成長では、まず基板表面に多数のGaN初期核が生じ、それらが次第に大きくなって互いに結合することにより、平坦な薄膜が形成される。これはいわゆるVolmer-Weber型の成長様式である。この成長様式は、HVPE法をVAS法と組合せた場合でも同様に起こる。初期核の結晶方位がそれぞれ微妙にずれているため、核同士の結合界面は小傾角粒界となり、転位の発生源となる。したがって、転位を減らすためには、初期核密度を抑制し、結合界面を減らすことが重要である。
原料である塩化ガリウムの供給濃度を低くすると、初期核の発生が抑制されて、初期核密度が低下すると考えられるが、塩化ガリウムの供給濃度を低くし過ぎるとかえって初期核密度が増大することが分かった。これは、初期核が小さすぎると、核間に二次的な核が多数発生するためであると考えられる。そのため、単に塩化ガリウムの供給濃度を低くしても、得られる窒化珪素結晶の初期核密度は106 cm-2程度(4×106 cm-2程度の転位密度に相当)までしか低下しなかった。ELO法においても転位密度の下限が問題である。低転位領域を広げようとマスク幅を大きくしすぎると、やはり二次的な核が発生する。
HVPE法における初期核密度の低減については、Si結晶の場合に結晶成長工程において核の発生を抑えることが知られている[H. Kumoi et al.: Mat. Res. Soc. Symp. Proc. Boston, 1990(Elsevier Science Publishing Co. Inc., 1991)202, 645、非特許文献1]。しかし窒化物半導体結晶で行われた例はない。
特開2003-178984号公報 H. Kumoi et al.: Mat. Res. Soc. Symp. Proc. Boston, 1990(Elsevier Science Publishing Co. Inc., 1991)202, 645
従って本発明の目的は、低転位密度化のために初期核密度を低下させた窒化物半導体結晶の製造方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、(1) 基板上に窒化物半導体の多数の初期核を形成し、成長に従って互いに融合させ、もって平滑な窒化物半導体結晶を製造する際に、初期核密度ρを6×105 cm-2以下とすることにより、低転位密度の窒化物半導体結晶が得られること、特に(2) 初期核成長中にエッチングを行うか、初期核成長工程とエッチング工程とを交互に行うことにより、初期核のうち小さいものを除去するとともに、二次的な核の発生を抑制すると、初期核密度を効果的に低減することができることを発見し、本発明に想到した。
すなわち、一般式:In x Ga y Al 1-x-y N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表される窒化物半導体結晶を製造する本発明の方法は、基板上に前記窒化物半導体の多数の初期核を形成し、成長に従って互いに融合させ、もって平滑な結晶とする工程を有し、前記初期核による前記基板の表面被覆率が0.8以下の期間において、下記式(1):
ρ=f/h2・・・(1)
(fは表面被覆率であって、0≦f≦1を満たし、hは前記fを測定した時点における前記初期核の平均高さを表す。)により表される初期核密度ρが6×105cm-2以下であることを特徴とする。
本発明は具体的には以下の手段により達成することができる。
(1) 上記製造方法において、塩化ガリウムガス及びアンモニアガスを用いたHVPE法を用いることを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
(2) 上記(1) に記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記初期核密度が6×105 cm-2以下になるように結晶成長工程中にエッチングを行うことを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
(3) 上記(1) に記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記初期核密度が6×105 cm-2以下になるように結晶成長工程とエッチングとを交互に行うことを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
(4) 上記(2) 又は(3) に記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記エッチング用のガスとして、HCl及び/又はH2を用いることを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
(5) 上記(4) に記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、塩化ガリウムガスに対する塩化水素ガスのモル比が0.3以上であることを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
(6) 上記(4) 又は(5) に記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、塩化ガリウムガスの分圧を1×10-3 atm以上とすることを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
(7) 上記(1)〜(6) のいずれかに記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記初期核の表面被覆率が0.5以上になるまで前記エッチングを行うことを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
(8) 上記(1)〜(7) のいずれかに記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、結晶成長温度が950℃以上であることを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
(9) 上記(1)〜(8) のいずれかに記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記基板がサファイア,SiC,GaN,Si,ZrB2,ZnO,LiAlO2,NdGaO3及びGaAsのいずれか、又はこれに窒化物半導体結晶膜をエピタキシャル成長させたものであることを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
(10) 上記(1)〜(9) のいずれかに記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記基板が、サファイア基板上に単結晶GaN膜を成長させたもの、又はさらにその上に金属膜を堆積させ、水素ガス又は水素化物ガスを含む雰囲気中で熱処理し、GaN膜中に空隙を形成したものであることを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
(11) 上記(1)〜(10) のいずれかに記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記基板の表面に、フォトリソグラフィ技術を用いて部分的にマスクを施すことを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
上記構成を有する本発明の窒化物半導体結晶の製造方法によれば、基板上に初期核が発生するのを効果的に抑制できるので、個々の初期核が大きくなり、もって結晶内の転位密度が低減する。
[1] 窒化物半導体結晶
(1) 基板
本発明に使用し得る基板は、サファイア,SiC,GaN,Si,ZrB2,ZnO,LiAlO2,NdGaO3,GaAs等のいずれでも良い。初期核密度を制御するために、これらの基板の上にAlN,GaN等の窒化物半導体結晶膜をエピタキシャル成長させたものを用いることもできる。
基板表面をフォトリソグラフィ法やVAS法により部分的にマスクするのが好ましい。VAS法は、基材上にGaN下地層を設けた後で金属Ti薄膜を形成し、アンモニアと水素ガスの混合気流中で熱処理することにより金属Ti薄膜を窒化して網目構造のTiN薄膜とするとともに、GaN下地層をエッチングして空隙を作り、網目構造のTiN薄膜を介してGaN層を成長させる方法である。VAS法により得られた基板は「ボイド形成基板」と呼ばれる。
(2) 窒化物半導体
本発明を適用し得る窒化物半導体としては、III族原子とV族原子である窒素との化合物からなるのが好ましく、InxGayAl1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表される半導体が好ましい。強度、製造安定性等を満足するという観点から、GaN及びAlGaNが特に好ましい。
III族面はV族面(窒素面)よりも化学的及び熱的に安定であり、かつC面は強い極性を有するため、III族のC面にデバイスを作製するのが良い。このため、デバイス用基板として用いるために、表面がC面でかつIII族面となるように窒化物半導体結晶を形成するのが好ましい。
デバイス用基板(ウエハ)として用いる本発明の窒化物半導体結晶は10 mm以上の直径を有するのが好ましい。窒化物半導体結晶の直径を10 mm以上とすることにより、基板上にエピタキシャル層を成長させる際に周辺部の影響を受けない部分を十分に確保できるとともに、LD等の製造コストを低減することができる。
[2] 窒化物半導体結晶の製造方法
窒化物半導体結晶としてGaNを例に挙げて、その製造方法を以下詳細に説明するが、一般にInxGayAl1-x-yNにより表されるその他の窒化物半導体結晶についても同様である。
(1) 初期核密度
本発明の窒化物半導体結晶を製造する際、初期核により被覆された基板表面の割合(表面被覆率)fが0.8以下の間、初期核密度ρが6×105 cm-2以下であることが必要である。初期核密度ρを6×105 cm-2以下とすることにより、転位密度が1×106 cm-2以下の窒化物半導体結晶を歩留り良く得ることができる。この転位密度は、青紫色LDの実用寿命で10000時間以上に相当する。
初期核密度は、例えば結晶膜表面を示すSEM写真の所定の面積における初期核の数をカウントし、その数を前記面積で割ることにより求められるように思われる。しかしながら、この方法により求めた初期核密度は転位を含まない初期核の密度を正確に表すものではない。というのは、生成した初期核は密集すると部分的に合体してカウント不能の状態になり、また合体した初期核(転位を含む)は見かけ上転位を含まない初期核と区別がつかなくなるからである。さらに二次的に発生した微小な初期核を除外してカウントするのも困難である。
そこで、初期核の底面積が初期核の高さの自乗にほぼ等しいこと、かつ初期核が相似的に成長していくことに着目し、初期核の平均高さhの自乗を初期核の平均的な底面積とし、この逆数に表面被覆率fを乗じた値f/h2を初期核密度ρとした。
初期核密度ρは表面被覆率fが0.8以下の期間に算出する。これはf>0.8の場合、初期核同士の結合がかなり進行し、結合した初期核では高さの自乗と底面積とが一致しなくなり、初期核密度ρを正しく計算できないからである。
(2) 結晶成長方法
結晶成長方法としては、塩化ガリウムガス(GaCl)及びアンモニアガス(NH3)を原料として用いるハイドライド気相成長法(HVPE法)が好適である。HVPE法は結晶成長速度が100 μm/時以上と大きく、厚いGaN結晶膜を容易に成長させることができる。初期核密度を低減すると、平坦な結晶表面を得るためには結晶膜を厚く成長させる必要があることが多い。そのため、成長速度が大きいことは特に重要である。
HVPE法において、窒化物半導体の初期核を成長させる際にエッチングを行い、初期核密度を低下させる。エッチングとしては、(a) 結晶成長工程中に行う場合と、(b) 結晶成長工程とエッチング工程とを交互に行う場合とがある。
結晶成長工程中にエッチングを行う場合、HVPE原料ガス中にHClエッチングガスを供給する。基板上に形成された初期核のうち小さいものはHClによるエッチングにより削られ、残った初期核だけが原料を取り込んで成長する。その結果、基板上の初期核密度が低減し、初期核の大きさが著しく増大する。このように結晶成長工程中にHVPE原料ガス中にエッチングガスを流すことにより、初期核密度を6×105 cm-2以下にすることができる。
結晶成長工程とエッチング工程とを交互に行う場合、まず結晶成長工程を短時間行い、基板上に初期核を成長させる。次にエッチング工程を行うことにより、初期核のうち小さいものは削り取られて、大きいものだけが残る。そこからさらに結晶成長工程を短時間行い、初期核を成長させる。さらにエッチング工程を行うことで小さな初期核を削り取る。この操作を繰り返すことで、最終的に基板上には大きな核が多数残り、低初期核密度の基板を得ることができる。
エッチングに用いるガスとしては、HCl又はH2が好適である。エッチング速度と結晶成長速度との比は初期核密度に大きく影響し、結晶成長速度と比べてエッチング速度が遅すぎると、エッチング効果が不十分である。そのため、エッチングガスにHClを用いるときは、結晶成長中のHClエッチングガス/GaClガスのモル比が0.3以上であるのが好ましく、0.5〜1.0であるのがより好ましい。具体的には、結晶成長中にエッチングを行う場合、エッチングガス分圧は1×10-3 atm以上であるのが好ましく、1.5×10-3〜10×10-3 atmであるのがより好ましい。また結晶成長とエッチングとを交互に行う場合、エッチングガス分圧は1×10-3 atm以上であるのが好ましく、1×10-3〜5×10-3 atmであるのがより好ましい。
HClエッチングガス/GaClガスのモル比が同じでも、HClエッチングガスとGaClの分圧が両方小さい場合と、両方多い場合がある。そこで、HClエッチングガスとGaClのモル比を0.3に固定し、初期核密度とHClエッチングガス分圧及びGaCl分圧との関係を調べた。結果を図6に示す。HClエッチングガス分圧及びGaCl分圧の両方が小さい場合には、結晶成長に及ぼすエッチングの影響が小さく、初期核密度は大きい。これは、結晶成長における初期核密度の最小値は基板表面における原料種(ここではGa及びN)の拡散長によってほぼ決まるが、原料種の拡散長は比較的短いので、初期核密度は必然的に大きくなるためであると考えられる。一方HClエッチングガス分圧及びGaCl分圧が両方とも大きくなると、結晶成長に及ぼすエッチングの影響が大きくなり、初期核密度は小さくなる。エッチングの効果はHClエッチングガス分圧が0.3×10-3 atm(GaCl分圧が1×10-3 atm)以上の領域で特に顕著である。
エッチングの効果が大きい(HClエッチングガス分圧が大きい)と、必然的に結晶成長速度が遅くなる。そのため自立基板として必要な厚さにまで成長させるのに長時間要し、実用的でない場合がある。そこで、初期核がある程度成長した時点でエッチングを停止して、結晶成長を速めても良い。その場合、初期核の表面被覆率が0.5以上でエッチングを停止するが好ましい。表面被覆率が0.5未満でエッチングを停止すると、初期核が被覆していない基板部分に新たな核が多数生じて、初期核密度の低減化が達成できないおそれがあるからである。表面被覆率が0.5以上に達してからエッチングを停止すると、供給された原料は基板表面に生じた核にほとんど吸収されるため、未被覆領域に新たな核はほとんど形成されない。
さらにエッチングガスの供給をオンオフすることにより、エッチングを複数回行っても良い。その際、エッチングガスの供給の間原料ガスの濃度を低下させても良い。
結晶成長とエッチングとを並行して行う場合、及び交互に行う場合のいずれでも、結晶成長温度は950℃以上であるのが好ましい。また結晶成長とエッチングとを交互に行う場合、エッチング温度はやはり950℃以上であるのが好ましい。
窒化物半導体結晶の製造方法として、HVPE法を挙げて説明したが、MOVPE法,MBE法,昇華法などの他の気相成長法を用いることもできる。またエッチングガスとしてHClを用いた例を説明したが、窒化物半導体結晶に対してエッチング性を持つものであれば、H2など他のガスを用いることも可能である。
(3) 窒化物半導体結晶の製造装置
図1は窒化物半導体結晶の製造装置の好ましい一例を示す。この装置は、反応管12と、その周囲に設けられたヒータ11とを有し、反応管12は、基板18を設置する基板ホルダ17と、基板18付近に開口する反応ガス導入管13,15と、基板18付近に開口するエッチングガス導入管14とを有する。反応ガス導入管15にはGa金属16を有する原料載置室20が設けられている。
反応ガス導入管13にNH3を送給し、反応ガス導入管15にHClガスを送給する。これらの反応ガスは、H2,N2等のキャリアガスとともに送給するのが好ましい。反応ガス導入管15では、原料載置室20内に載置されたGa金属16とHClとが反応し、GaClが生成される。従って、反応ガス導入管13,15からは、基板18にNH3及びGaClが供給されることになる。GaClとNH3とは反応して、基板18上にGaN結晶が気相成長する。
エッチングガス導入管14によりエッチング用のHClガスを基板18に供給する。上記の通り、HClエッチングガスの供給は、(a) 結晶成長工程中連続的に行うか、(b) 結晶成長工程と交互に行う。本装置には、反応ガス導入管13,15と別個にエッチングガス導入管14が設けられているため、反応ガスと独立にエッチングガスを供給することができる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
MOVPE法により直径2インチのサファイア基板上に厚さ300 nmのGaN下地層を形成し、この表面に厚さ20 nmのTiを蒸着し、H2とNH3の混合気流中で1000℃で30分間熱処理を加えて、網目状TiN膜を有するボイド形成基板18を作製した。
ボイド形成基板18を図1に示す装置内の基板ホルダ17にセットし、1050℃に加熱した。反応ガス導入管13により5×10-2 atmのNH3を導入し、反応ガス導入管15により5×10-3 atmのGaClガスを導入するとともに、エッチングガス導入管14によりエッチング用HClガスを導入した。なおHClガスの分圧は種々変更した。
HClガスによりエッチングを行いながら、HVPE法によりボイド形成基板18上にGaN結晶を成長させた。GaN初期核による基板の表面被覆率fが0.8に達する前にGaN結晶が成長した基板18を取り出し、GaN初期核の密度と、HClガス分圧との関係を調べた。表面被覆率fは、各HClガス分圧で得られたGaN初期核のSEM写真から画像分析により求めた。また初期核の平均高さhは、断面のSEM写真により求めた。各サンプルについて、表面被覆率fと初期核の平均高さhから、式(1) により初期核密度ρを算出した。結果を表1及び図2に示す。
図2から明らかなように、HClエッチングガスの供給量(分圧)が増大するにつれて、初期核密度は著しく抑制された。特にHClエッチングガス分圧が1.5×10-3 atm以上になったとき、初期核密度は6×105 cm-2以下と、HClエッチングガスを供給しない場合と比べ著しく低減した。
またHClガス分圧がそれぞれ3×10-3 atm(サンプルNo.4)及び0×10-3 atm(サンプルNo.1)の場合に得られたGaN初期核のSEM写真を図3及び図4に示す。図3及び図4から明らかなように、HClエッチングガスを供給しない場合(図4)、基板18上に微細な初期核が無数に存在しているのに対し、HClエッチングガスを供給した場合(図3)、基板18上の初期核は大型化しており、その数は著しく減少していた。
実施例2
実施例1と同じボイド形成基板18を基板ホルダ17にセットし、HClエッチングガス分圧(従って、初期核密度)を変化させて、実施例1と同じ条件でGaN結晶を400 μmの厚さに成長させた後、GaN結晶を基板18から剥離し、GaN自立基板を作製した。各GaN自立基板をリン酸と硫酸の加熱混合液中に浸漬してエッチングを行い、GaN自立基板表面に生じたエッチピットを計数し、GaN自立基板の転位密度を求めた。転位密度と初期核密度との関係を図5に示す。
図5より、初期核密度が減少すると転位密度が減少することがわかる。従って、図2及び図5より、HClエッチングガスを供給することにより、初期核密度が低減し、もって転位密度が低減することが確認された。特に、初期核密度が6×105 cm-2以下になると、転位密度は105 cm-2台と十分に低くなった。この転位密度は、青紫色LDの実用寿命10000時間を十分達成できるレベルである。
実施例3
直径2インチのサファイア基板上に形成されたGaN下地(エピタキシャル)層の表面に、フォトリソグラフィ技術を用いてSiO2のストライプ状のマスクを形成して、ELO基板18を作製した。マスクの幅を40μm、マスクの開口部の幅を5μmとした。ELO基板18を基板ホルダ17にセットし、実施例1と同様の条件でGaN結晶の成長を行った。その際に、エッチングガスとして3×10-3 atmの分圧のHClガスを供給した。
HClエッチングガスを供給しながら結晶成長を行った場合、結晶成長の初期段階でストライプマスク上に二次的な核の形成は見られなかったが、HClエッチングガスを供給しない場合にはストライプマスク上に二次的な核が発生した。これらのことから、HClエッチングガス供給の効果が確認された。そのまま結晶成長を継続し、GaN結晶を400μmの厚さに成長させた。得られたGaN結晶の転位密度を実施例2と同様に測定したところ、8×105 cm-2と非常に低かった。
実施例4
より大きな転位密度低減効果を得るために、VAS法とELO法とを組み合わせた実験を行った。すなわち、直径2インチのサファイア基板上にGaNエピタキシャル層を積層させ、その表面に実施例3と同様にSiO2のストライプ状マスクを形成し、さらにその表面に金属Tiを蒸着し、実施例1と同様の熱処理を加えて、VAS・ELO基板18を作製した。VAS・ELO基板18のマスク開口部においては、TiN膜がGaN下地層を直接覆う構造となり、GaN下地層にボイドが形成された。それに対しマスク部のGaN下地層ではボイドは形成されなかった。
VAS・ELO基板18を基板ホルダ17にセットし、エッチングガスとして3×10-4 atmのHClガスを供給し、実施例2と同様にGaN結晶を400μmの厚さに成長させた。得られたGaN結晶の転位密度を実施例2と同様の方法を用いて測定したところ、5×105 cm-2と非常に低かった。
実施例5
直径2インチのボイド形成基板18を基板ホルダ17にセットし、1050℃に加熱した状態で、結晶成長工程とエッチング工程を交互に行い、GaN結晶を成長させた。すなわち、GaCl分圧を5×10-3 cm-2、NH3分圧を5×10-2 cm-2として結晶成長を1分間行った後、HClエッチングガス分圧を5×10-3 cm-2としてエッチングを30秒間行った。これらの結晶成長工程とエッチングとを交互に20回繰り返し行い、表面被覆率がおよそ70%になるまでGaN結晶を成長させた。その後、GaCl分圧を8×10-3 cm-2、NH3分圧を5×10-2 cm-2として、結晶厚が400μmになるまで結晶成長を行った。得られたGaN結晶の転位密度を実施例2と同様の方法を用いて測定したところ、3×105 cm-2と著しく低かった。
本発明の窒化物半導体結晶の製造方法を実施するためのHVPE成長装置を示す概略断面図である。 HClエッチングガス分圧と初期核密度との関係を示すグラフである。 3×10-3 atmのHClエッチングガスを供給した場合に得られたGaN初期核を示すSEM写真である。 HClエッチングガスを供給しなかった場合に得られたGaN初期核を示すSEM写真である。 初期核密度と転位密度との関係を示すグラフである。 HClエッチングガスとGaClガスとの比を一定にしたときの初期核密度とHClエッチングガス及びGaClガスの分圧との関係を示すグラフである。
符号の説明
11 ヒータ
12 反応管
13 反応ガス(NH3)導入管
14 エッチングガス(HCl)導入管
15 反応ガス(HCl)導入管
16 金属Ga
17 基板ホルダ
18 基板
20 原料載置室
21 排気口

Claims (12)

  1. 一般式:In x Ga y Al 1-x-y N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表される窒化物半導体結晶の製造方法であって、基板上に前記窒化物半導体の多数の初期核を形成し、成長に従って互いに融合させ、もって平滑な結晶とする工程を有し、前記初期核による前記基板の表面被覆率が0.8以下の期間において、下記式(1):
    ρ=f/h2・・・(1)
    (fは表面被覆率であって、0≦f≦1を満たし、hは前記fを測定した時点における前記初期核の平均高さを表す。)により表される初期核密度ρが6×105cm-2以下であることを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  2. 請求項1に記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、塩化ガリウムガス及びアンモニアガスを用いたHVPE法を用いることを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  3. 請求項2に記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記初期核密度が6×105 cm-2以下になるように結晶成長工程中にエッチングを行うことを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  4. 請求項2に記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記初期核密度が6×105 cm-2以下になるように結晶成長工程とエッチングとを交互に行うことを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  5. 請求項3又は4に記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記エッチング用のガスとして、HCl及び/又はH2を用いることを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  6. 請求項5に記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、塩化ガリウムガスに対する塩化水素ガスのモル比が0.3以上であることを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、塩化ガリウムガスの分圧を1×10-3atm以上とすることを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  8. 請求項2〜7のいずれかに記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記初期核の表面被覆率が0.5以上になるまで前記エッチングを行うことを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  9. 請求項2〜8のいずれかに記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、結晶成長温度が950℃以上であることを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  10. 請求項2〜9のいずれかに記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記基板がサファイア,SiC,GaN,Si,ZrB2,ZnO,LiAlO2,NdGaO3及びGaAsのいずれか、又はこれに窒化物半導体結晶膜をエピタキシャル成長させたものであることを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  11. 請求項2〜10のいずれかに記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記基板が、サファイア基板上に単結晶GaN膜を成長させたもの、又はさらにその上に金属膜を堆積させ、水素ガス又は水素化物ガスを含む雰囲気中で熱処理し、GaN膜中に空隙を形成したものであることを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  12. 請求項2〜11のいずれかに記載の窒化物半導体結晶の製造方法において、前記基板の表面に、フォトリソグラフィ技術を用いて部分的にマスクを施すことを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
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