JP2003055097A - 窒化物半導体から成る単体基板及びその製造方法 - Google Patents
窒化物半導体から成る単体基板及びその製造方法Info
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Abstract
素子、あるいは太陽電池、光センサー等の受光素子に使
用される窒化物半導体に係わり、特に窒化物半導体より
なる基板の結晶欠陥を低減させ、結晶性に優れた窒化物
半導体基板に関する。 【解決手段】 支持基板上に、部分的にストライプ状又
は格子状の保護膜を形成し、前記支持基板露出部より保
護膜上に第1の窒化物半導体を横方向成長させて前記保
護膜を覆わない状態で止め、保護膜を除去することによ
り横方向成長した第1の窒化物半導体の下部に空間を形
成し、その後、第1の窒化物半導体の上面、又は上面及
び横方向成長部分である側面より第2の窒化物半導体を
成長させ、さらにその上に第3の窒化物半導体を成長
し、その後、支持基板を除去する。
Description
xAlyGa1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦
1)の成長方法に係り、特に単体基板となり得る窒化物
半導体の成長方法に関する。
素のような窒化物半導体と格子定数の異なる異種基板上
に、窒化物半導体を成長させ、その後、異種基板を除去
することで得られる窒化物半導体から成る単体基板が注
目されている。窒化物半導体から成る単体基板が異種基
板を有する窒化物半導体基板に比べて、反りが少なく劈
開が容易にできるためである。
に窒化ガリウム等を成長させ、その後、異種基板をラッ
ピングで除去することによる単体基板の製造方法があ
る。また、ラッピング以外の窒化物半導体とサファイア
とを分離する方法としては、サファイア側からKrfパ
ルスエキシマレーザを照射して、サファイアと窒化物半
導体との接している共有面で分離し、サファイアを分離
する方法が報告されている。この方法は、レーザ照射に
よりサファイアが接触している共有面で窒化物半導体が
レーザ光を吸収して窒化物半導体の分解が生じ、サファ
イアを分離することができるものである。
示す研磨除去の方法であれば、サファイア基板等の異種
基板上に窒化物半導体を成長させた場合には、サファイ
ア基板は硬度が高いため研磨時に大きな応力がはたら
く。そのため、ラッピング時の応力で窒化物半導体にも
欠けや割れが生じるため窒化ガリウム等の窒化物半導体
の単体基板を形成するのは困難であった。
気相成長法等の気相成長法により基板上に窒化物半導体
を成長させる場合、具体的には100μm以上の膜厚を
成長すれば歪みが大きくなり窒化物半導体に欠けや割れ
等が発生するため厚膜成長をさせるのが困難であった。
ば、例えば、窒化ガリウムの単体基板を形成する場合に
窒化ガリウムの分解によって発生する窒素ガスのガス圧
によりサファイアが割れ、この割れが原因でサファイア
と接触している窒化ガリウム面に欠陥が生じる。このよ
うな欠陥傷が窒化ガリウム等の表面にあるとマイクロク
ラックと呼ばれる微小な割れなどが発生する場合があ
る。このような割れが発生すると窒化物半導体基板上に
形成した発光素子の寿命特性や歩留まりの低下等を引き
起こすことが考えられる。
用して作製された窒化物半導体基板において、窒化物半
導体の厚膜成長を可能とし、さらに、支持基板上に成長
させた窒化物半導体に割れや欠けを発生させることなく
容易に支持基板を除去することで単体基板を提供するこ
とである。また、ここで得られる窒化物半導体の単体基
板は、低転位であり結晶性のよい窒化物半導体とするこ
とも目的とする。
めに、第1の発明に係る窒化物半導体基板は、支持基板
と、前記支持基板表面の周期的なストライプ状、格子
状、又は島状の部分を成長起点として横方向成長し、互
いに接合する前に横方向成長を停止することにより周期
配列されたT字状断面を有する第1の窒化物半導体と、
前記第1の窒化物半導体の上面、又は上面及び横方向成
長した側面を核として成長し、支持基板全面を覆う第2
の窒化物半導体と、前記第2の窒化物半導体層上に膜厚
が300μm以上の第3の窒化物半導体とを備え、前記
第2の窒化物半導体が互いに接合する部分の下に形成さ
れている空間より支持基板を分離除去していることを特
徴とする。
物半導体がT字状断面を有し、再成長により第2の窒化
物半導体で支持基板全面を覆うことにより貫通転位を低
減させ、かつ表面を平坦化させることができる。さら
に、第3の窒化物半導体をこの上に厚膜成長させること
により単体基板を得ることができる。これは、第1の窒
化物半導体と支持基板との接触面積がT字の柱部分のみ
であって、この柱部分は貫通転位が低減されておらず結
晶性が悪いためである。このため、第3の窒化物半導体
を300μm以上で成長させればラッピングや接触界面
に熱衝撃を与えることにより支持基板を除去分離するこ
とができる。これは、300μm以上の窒化物半導体を
成長させることで、窒化物半導体と支持基板との接触界
面に生じる熱膨張差を大きくすることができる。さら
に、本発明におけるT字状断面の第1の窒化物半導体と
支持基板との接触界面はELO法により形成した窒化物
半導体基板と比較して空間も有し、接触面積も少ない。
そのため、ラッピング等により容易に支持基板を除去す
ることが可能となる。第3の窒化物半導体の膜厚が30
0μm以下であれば、熱膨張差により生じる応力が支持
基板を除去するには十分ではない。そのため、ラッピン
グ等の物理的応力に頼らざるを得ないため、窒化物半導
体に割れや欠けを発生させてしまう。また、第3の窒化
物半導体を1mm以上で成長させれば窒化物半導体の1
000℃以上の高温成長、及び冷却時に発生する熱膨張
の差により自然に支持基板を剥離除去することができ
る。この剥離除去を行うには窒化物半導体の機械的強度
が必要である。そのためには、第3の窒化物半導体を1
mm以上、より好ましくは2mm以上で成長させる必要
がある。
例えば、支持基板上に、ストライプ状、格子状、又は島
状の窓部を有する保護膜を形成し、前記支持基板露出部
より保護膜上に第1の窒化物半導体を横方向成長させて
前記保護膜を覆わない状態で止め、保護膜を除去するこ
とにより横方向成長した第1の窒化物半導体の下部に空
間を形成し、その後、第1の窒化物半導体の上面、又は
上面及び横方向成長部分である側面より第2の窒化物半
導体を成長させることにより製造することができる。
窒化物半導体を成長させる場合、保護膜にストライプ
状、格子状又は島状の窓部を形成するが、中でも、格子
状又は島状の窓部を形成することが好ましい。窓部を格
子状又は島状とすることにより、第1の窒化物半導体の
成長方向が多方向となり、支持基板の剥離がより容易と
なる。また、格子状の窓部を形成して窓部に囲まれた保
護膜の形状を多角形又は円形とすることが好ましい。保
護膜の形状を多角形又は円形とすることにより、多角形
又は円形の保護膜周囲から中心に向かって第2の窒化物
半導体が成長するため、第2の窒化物半導体の接合部が
保護膜の中心の一点となり、転位の集中する接合部の面
積を最小限に抑制することができる。
異種基板であっても、異種基板の全面に窒化物半導体層
を成長させたものであっても良い。支持基板としてサフ
ァイア等の異種基板を直接用いる場合は、格子不整合を
緩和させるために第1の窒化物半導体を成長する前に低
温成長バッファ層を異種基板上に成長することが好まし
い。具体的にはバッファ層として窒化ガリウム層、又は
窒化インジウムガリウム層を用いることができる。これ
はインジウムを含有する窒化物半導体は比較的柔らか
く、そのため窒化物半導体内にクラックが発生するのを
抑制する効果を有するためである。
トライプ状又は格子状の部分を成長起点として横方向に
成長させた窒化物半導体層を有する窒化物半導体基板に
おいて、各成長起点から横方向に成長した窒化物半導体
同士が、互いに接合せずに、隙間を有して配列してい
る。このように、保護膜上の横方向成長を、第1の窒化
物半導体が互いに接合する前に止め、その後、第2の窒
化物半導体を配列している隙間上で成長させて互いに接
合させることにより、保護膜を広く形成しても、結晶表
面に空隙を形成しない窒化物半導体を成長させることが
できる。また、第2の窒化物半導体は空間上を進行する
ため、第2の窒化物半導体を第1の窒化物半導体側面か
ら成長させる時に発生する応力を抑制することができ
る。さらに保護膜上を進行する場合のような結晶成長面
のチルト現象がないため、接合部における転位の集中が
緩和される。
プされていることを特徴とする。支持基板を除去後に支
持基板との接触面側の窒化物半導体は表面に凹凸があ
り、これを研磨により平坦かつ鏡面とする。この平坦化
された第3の窒化物半導体にn型不純物がドープされて
いれば、対極面に電極を有する半導体発光素子や受光素
子を形成することができる。これにより、効率効率や寿
命特性を向上が期待できる。
タン、酸化ジルコニウム、これらの多層膜、又は120
0℃以上の融点を持つ高融点金属膜を用いる。これらの
保護膜材料は、その表面に窒化物半導体が成長しない
か、成長しにくい性質を有するため、保護膜上に窒化物
半導体を横方向成長させるのに好ましい。
に係る窒化物半導体基板の製造方法は、支持基板上に、
ストライプ状、格子状、又は島状の窓部を有する保護膜
を形成し、前記支持基板露出部より保護膜上に第1の窒
化物半導体を横方向成長させて前記保護膜を覆わない状
態で止め、保護膜を除去することにより横方向成長した
第1の窒化物半導体の下部に空間を形成し、その後、第
1の窒化物半導体の上面、又は上面及び横方向成長部分
である側面より第2の窒化物半導体を成長させて支持基
板全面を覆い、その後、前記第2の窒化物半導体上に膜
厚が300μm以上の第3の窒化物半導体を成長させ、
支持基板を分離除去することを特徴とする。
去するが、少なくとも第2の窒化物半導体の接合部下方
に空間を形成するように保護膜を除去すればよい。ま
た、保護膜を支持基板が露出するまで除去すれば、Si
O2等の保護膜が保護膜上に成長する窒化物半導体の成
長時に分解することによる問題、即ち、窒化物半導体の
異常成長や結晶性の低下等の問題を抑制することができ
る。
ング又はウェットエッチング、剥離を用いることがで
き、どちらの方法も窒化物半導体の結晶性を低下させる
ことなく保護膜を除去することができる。さらに、ドラ
イエッチングは、保護膜を除去する深さを簡単に制御す
ることができる。
横方向成長した窒化物半導体が互いに接合せず、隙間を
有して配列しており、再成長させることで空間を有する
窒化物半導体層を形成し、その上に厚膜の窒化物半導体
を形成した後に支持基板を除去することを特徴とする。
本件発明者等は、横方向に成長したT字形状である第1
の窒化物半導体の両翼、及びその接合部の下部に10μ
m〜50μm、好ましくは10μm〜30μmの幅の空
間を有する窒化物半導体基板とすることで、第3の窒化
物半導体として300μm以上の厚膜を形成しても割れ
等を発生させない。この空間を形成することにより、支
持基板と窒化物半導体との接触面積が少なくなるため、
接触界面の厚膜成長後にラッピングや自然剥離による支
持基板の除去が容易になる。また、この空間がエアーギ
ャップとしての効果を有し、反り等を抑制することがで
きるため厚膜成長が可能となるのである。しかも、転位
の集中する接合部のない状態でエピタキシャル成長を開
始するため、従来問題となっていた基板昇温時における
窒素脱離によるピットの発生がなく、むしろ従来よりも
平坦で結晶性に優れた素子層の成長が可能であることを
見出した。
相成長法(以下、「HVPE法」)により厚膜の窒化物半
導体層を成長して転位を分散させ、全体に低転位密度な
窒化物半導体の単体基板が得られる。
細に説明する。本実施の形態においては、本件第1の発
明に係る窒化物半導体基板について説明する。図1
(a)〜図1(f)は、第1の発明に係る窒化物半導体
基板の製造方法の一例を段階的に示した模式図である。
体を成長させ、さらに保護膜のストライプを形成させる
工程を行った模式的断面図である。この支持基板1とし
ては、C面、R面、及びA面のいずれかを主面とするサ
ファイア、スピネル(MgAl2O4)のような絶縁性
基板、SiC(6H、4H、3C)、ZnS、ZnO、
GaAs、Si、及び窒化物半導体と格子整合する酸化
物基板等を用いることができる。これらの支持基板の厚
さは特に限定されず、膜厚は100μm以上、好ましく
は400μm以上とする。また、支持基板にオフ角を形
成した場合には、例えばオフ角を0.01°〜0.5°
とすることができる。
させる前に、支持基板1上にバッファ層(図示されな
い)を薄膜であれば形成することもできる。バッファ層
としては、AlN、GaN、AlGaN、InGaN等
が用いられる。バッファ層は300℃〜900℃の温度
で、膜厚10オングストローム〜5μm、好ましくは1
0オングストローム〜0.5μmで成長させる。また、
バッファ層を多層膜で成長させてもよい。このバッファ
層は支持基板1と第1の窒化物半導体3との格子定数差
を緩和する緩衝層の効果がある。そのため、このバッフ
ァ層は支持基板と第1の窒化物半導体との間に介して成
長すればよく、保護膜を成長し、この保護膜に開口部を
形成した後にバッファ層を成長させてもよい。
保護膜2としては、保護膜表面に窒化物半導体が成長し
ないか、若しくは成長しにくい性質を有する材料を選択
する。好ましくは、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ
素(SixNy)、酸化チタン(TiOx)、酸化ジル
コニウム(ZrOx)等の酸化物、窒化物、またはこれ
らの多層膜を用いることができる。また、上記以外にも
1200℃以上の融点を有する金属、例えばタングステ
ンやモリブデンなどの材料も用いることができる。
スパッタリング、及び蒸着法を用い、まず保護膜2を形
成し、さらに、レジストを塗布して、フォトリソグラフ
ィにより保護膜を所定の形状であるストライプ状又は格
子状等にエッチングする。保護膜をストライプ状又は格
子状にエッチングすることにより、保護膜にストライプ
状又は島状の窓部が形成される。また逆に、保護膜2を
島状に残して保護膜2に格子状の窓部を形成しても良
い。所定形状を有する保護膜のストライプ幅及び、格子
幅としては、特に限定されないが、ストライプで形成し
た場合、ストライプ幅は5〜30μmであるのが好まし
い。また、保護膜2が形成されていない窓部は、ストラ
イプ幅よりも狭くすることが望ましい。保護膜を格子状
に形成する場合の格子幅は10〜20μmであるのが好
ましい。保護膜2を島状に残して格子状の窓部を形成す
る場合、島状の保護膜の幅は10μm以下、好ましくは
5μm以下とし、格子状の窓部の幅を10〜30μm、
好ましくは10〜20μmとするのが望ましい。また、
保護膜の幅は、ストライプ幅であれば5〜50μmと
し、開口部の幅も5〜50μmとする。さらに、保護膜
は、後工程で第1の窒化物半導体3を成長させた後、除
去され、空間となる。そのため、保護膜の膜厚として
は、この空間を形成できる膜厚が必要であり、0.05
μm〜10μmとする。
窓部を形成した場合、保護膜の形状は多角形(三角形、
四角形、六角形等)であっても、円形であっても良い。
保護膜2同士は、できるだけ一定の間隔で、かつ、密に
なるように配列することが好ましい。六角形の保護膜が
蜂の巣状に配列されており(各六角形が隣り合う六角形
と辺同士が対向するよう配置され、1つの六角形が6つ
の六角形によって囲まれた配列)、1つの三角形が隣り
合う三角形と辺同士が対向するよう配置され、6つの三
角形で1つの6角形を構成し、該6角形が蜂の巣状に配
列されている。これらの配列によれば、保護膜2同士の
間隔(=窓部の幅)を一定にでき、また、保護膜2の密
度を高めることができる。
部を形成することには、後で成長する第2の窒化物半導
体4の接合部が保護膜2の中心1点だけとなるため、比
較的転位が集中し易い接合部の面積を最小限に抑制する
ことができる利点がある。
は、支持基板をサファイア基板とすれば、オリフラ面を
サファイアのA面とし、このオリフラ面の垂直軸に対し
て左右どちらかに、θ=0°〜2°、好ましくはθ=
0.01°〜1°ずらしてストライプを形成すると、第
2の窒化物半導体の成長表面に荒れが生じることなく、
成長面がより平坦で良好な結晶が得られる。
される第1の窒化物半導体3としては、アンドープ、及
びSi、Ge、SnおよびS等のn型不純物をドープし
たものやMg等のp型不純物をドープしたものを用いる
ことができる。この成長温度は、900℃〜1100℃
で基板上に成長され、膜厚は1.5μm以上であると結
晶表面にピットの少ない、鏡面を形成できる点で好まし
い。また、第1の窒化物半導体として、GaNとAlx
Ga1-xN(0<x<1、好ましくは0<x≦0.
5)との積層、又はGaNとInyGa1-yN(0<y
≦1)との積層を用いても良い。これらを用いることに
より、GaN層とAlxGa1-xN層との間の熱膨張
係数差により生ずる応力や、InyGa1-yNの低い膜
強度を利用して、支持基板1の除去を容易にすることが
できる。この場合のGaN、AlxGa1-xN又はI
nyGa1-yNは、アンドープであっても、n型不純物
やp型不純物をドープしたものであっても良い。第1の
窒化物半導体3の好ましい膜厚は、保護膜2の膜厚、大
きさによっても異なる。保護膜の表面を横方向に成長さ
せた結晶性のいい部分を有する必要があるため、第1の
窒化物半導体3は、保護膜の膜厚に対して少なくとも
1.5倍以上であり、1.0〜10μmの膜厚で成長さ
せるのが好ましい。支持基板1との接合部である成長起
点から第1の窒化物半導体3を成長させる時に、貫通転
位は最初は縦方向に成長する。その後、第1の窒化物半
導体3のT字両翼の成長時に貫通転位も成長方向を変更
する。この貫通転位は縦方向以外、好ましくは横方向に
成長させることで、貫通転位は成長方向を曲げられ、T
字両翼の側面に達するものとする。
化物半導体3を保護膜2上に横方向成長させ、成長を途
中で止めた状態で、保護膜を除去する。この保護膜の除
去方法としては、エッチングを用いることができ、エッ
チング手段としては、特に限定されないが、ドライエッ
チングまたはウェットエッチングが挙げられる。等方性
ドライエッチングであれば、エッチングの制御を容易に
行うことができる。
半導体の横方向に成長した結晶欠陥の少ない部分の下部
に空間を形成することができる。このため、第1の窒化
物半導体上に成長させる窒化物半導体において、第1の
窒化物半導体の横方向成長により形成された側面からの
成長時に保護膜との間に発生する応力を抑制させること
ができる。保護膜を窒化物半導体が露出するまで完全に
除去することにより、基板上に反応素子を成長させる時
にSiO2等の保護膜が、1000℃以上の温度で分解
拡散して保護膜上の窒化物半導体に入ることを防止する
ことができる。したがって、分解したSiO2が窒化物
半導体に入って結晶性を低下させたり、異常成長を引き
起こすといった問題点を解決することができる。また、
後工程において、第2の窒化物半導体が、第1の窒化物
半導体の上面から成長する場合、保護膜を完全に除去し
なくても図2や図3に示すように空間を有する保護膜の
形状とすれば、第2の窒化物半導体は空間上で接合する
こととなるため、平坦かつ鏡面である窒化物半導体を形
成することができる。図3に示すように、第1の窒化物
半導体3のT字形状の柱部分の両側に保護膜を残しても
よい。この柱部分の両側に保護膜がある場合には、T字
両翼の下部に空間はできるため、上記同様の効果は有す
る。さらに、この柱側面に残った保護膜は第1の窒化物
半導体3の反応時の分解や劣化を抑える土台としての効
果も有する。
を除去した第1の窒化物半導体3上に、第1の窒化物半
導体3の上面及び側面より第2の窒化物半導体4を成長
させる。この第2の窒化物半導体としては、第1の窒化
物半導体上の成長であると同時に、空間部上の成長でも
ある。そのため、保護膜上での連続成長で窒化物半導体
の平坦面を形成するELO法では選択性が低いために用
いることができなかったAlxGa1−xN(0≦X<
1)を用いることもできる。
プ、およびSi、Ge、Sn、S等のn型不純物をドー
プしたGaN、またはMg等のp型不純物をドープした
ものや、n型不純物とp型不純物とを同時ドープしたも
のを用いることができる。第2の窒化物半導体4は、9
00〜1100℃で成長される。中でも、Mgをドープ
して第2の窒化物半導体4を成長させると、第2の窒化
物半導体が横方向に伸び易くなり、第1の窒化物半導体
3の隙間を埋め易くなるため好ましい。他方、アンドー
プとすると電気的特性が安定する。また、第2の窒化物
半導体は空間上を成長するため、保護膜上の成長では選
択性が低いために用いることのできなかったAlxGa
1−xN(0<x<1)を用いることもできる。また、
第2の窒化物半導体の膜厚としては、GaNの場合は3
〜30μm、好ましくは5〜20μmであるのが望まし
く、AlxGa1−xNの場合は2〜15μmが好まし
い。
多層膜を用いてもよい。多層膜の層数及び膜厚は特に限
定されず、バルクを2ペア積層したものであっても、多
数の薄膜を積層した超格子であっても良い。各層の膜厚
は、10Å〜2μmが好ましい。
長により得られた結晶性のよい第1の窒化物半導体の上
面及び側面より成長させるため、保護膜が形成されてい
た部分上に成長する第2の窒化物半導体は結晶欠陥がな
くなり、保護膜の窓部上部に成長した窒化物半導体にの
み結晶欠陥が残る。尚、図1(d)では、第2の窒化物
半導体が、第1の窒化物半導体の上面及び横方向成長し
た側面を核として成長する例を示したが、第2の窒化物
半導体を第1の窒化物半導体の上面のみから成長させて
も良い。第2の窒化物半導体下には、空間が残り結晶欠
陥の多い窒化物半導体からの結晶欠陥の伝播を抑えるこ
とができる。また保護膜が薄膜で残っていたとしてもT
字両翼の下部に空間があれば、支持基板と窒化物半導体
との歪みを緩和する効果を有する。
物半導体4上に第3の窒化物半導体5を成長させ、その
後に支持基板を分離する。さらに、支持基板との分離面
を研磨することで平坦かつ鏡面とする。
長させるため、好ましくはHVPE法により成長させ
る。Si等のn型不純物をドープしてもよく、膜厚はラ
ッピングを容易にできる300μm以上とする。また、
第3の窒化物半導体5の膜厚を1mm以上、さらに好ま
しくは2mm以上とすれば支持基板の自然剥離が可能と
なる。
とにより、一層転位密度の低い窒化物半導体基板を得る
ことができる。尚、第3の窒化物半導体は、欠陥をより
均一に分散させる観点からも、厚い方が有利である。好
ましくは400μm以上であれば欠陥を分散させること
ができる。
以上であればラッピングにより窒化物半導体基板から支
持基板1を除去後に、砥石と基板ウェハーとを回転させ
ながら、お互い押し当てて窒化物半導体基板の支持基板
側を研削するものである。前記工程で得られた窒化物半
導体基板の第2の窒化物半導体4の表面側を土台に張り
合わせ、固定させてからラッピングを行うものである。
この張り合わせに用いる接着剤には、ワックスやメタ
ル、エポキシ樹脂等を使用する。
以上で成長させれば、ラッピング等を必要とせず、支持
基板の自然除去をすることができる。
の単体基板を支持基板を除去した側の窒化物半導体をさ
らに表面をミラーで平坦な面とするために表面研磨を
し、図1(f)に示すように単体基板とする。ここで得
られる窒化物半導体の単体基板はCL測定において貫通
転位密度が1×107個/cm2以下であり、膜厚は薄
膜から2mm以上の厚膜基板まで得ることができる。本
発明によりインゴットの窒化物半導体を単体で得ること
も期待できる
よれば、窒化物半導体の接合部における転位の集中が緩
和されており、接合部の認識が容易で、反りも抑制され
ているので、半導体レーザなどの窒化物半導体素子の製
造が容易となる。さらに、窒化物半導体基板を表面が平
坦な単体基板として得ることができれば、劈開が容易に
でき、裏面に例えばn側電極を形成した発光素子等を提
供することができる。半導体レーザ素子を製造する場
合、半導体レーザ素子の横モード制御のためのストライ
プ構造は、電流及び/又は光が閉じ込められる活性領域
が第1の窒化物半導体3の成長起点となった領域と、第
2の窒化物半導体4の接合部とを避けて、これらの間に
位置するように形成することが好ましい(これらの間に
おける欠陥密度は、1×107個/cm2以下とでき
る)。なぜなら、横方向成長した第1の窒化物半導体4
の成長起点となった領域、即ち保護膜の窓部の領域は転
位密度が高く、また、第2の窒化物半導体同士が接合す
る部分も従来よりも転位が大巾に抑制されているとは言
え、その他の領域に比べて転位密度が高いためである。
例えば、リッジ導波路型半導体レーザの場合にはリッジ
部を、埋め込みヘテロ型半導体レーザの場合には埋めこ
まれたストライプ部を、第1の窒化物半導体3の成長起
点となった領域と第2の窒化物半導体4の接合部とを避
けて、これらの間に位置するように形成する。尚、第2
の窒化物半導体4同士の接合部における転位の集中が従
来よりも大巾に緩和されているため、半導体レーザ素子
のストライプ構造をより接合部に近い位置に形成するこ
とが可能であり、また、レーザ素子の寿命も向上する。
しては、InxAlyGa1−x− yN(0≦X<1、
0≦Y<1、0≦X+Y<1)で表される。また、II
I族元素にBを用いたり、V族元素であるNの一部をA
s、Pで置換した混晶物を用いることができる。
不純物としては、具体的にはSi、Ge、Sn、S、
O、Ti、Zr等のIV族、若しくはVI族元素を用い
ることができ、p型不純物としては、Be、Zn、M
n、Cr、Mg、Ca等が挙げられる。また、第2の窒
化物半導体層を成長させるとき、n型導電性を得るには
良好なオーミック性を確保する必要がある。それにはn
型不純物は、5×101 6/cm3〜5×1021/c
m3の範囲でドープすることが好ましい。
いて、バッファ層、第1の窒化物半導体3、及び第2の
窒化物半導体4等の窒化物半導体を成長させる方法とし
ては、特に限定されないが、MOVPE(有機金属気相
成長法)、HVPE(ハライド気相成長法)、MBE
(分子線エピタキシー法)、MOCVD(有機金属化学
気相成長法)等の方法を適用できる。
T字形状の第1の窒化物半導体において、T字両翼の成
長時に支持基板からの貫通転位を該両翼に曲げることが
できる。この曲げられた貫通転位はT字両翼側面まで進
む。そのため、少なくとも曲げられた範囲の貫通転位は
縦方向には成長しない。つまり、T字両翼部分の上部に
成長した第2の窒化物半導体には貫通転位が延びないた
め低転位の領域を形成することになる。さらに、第3の
窒化物半導体を300μm以上の厚膜で成長させればラ
ッピングでの支持基板の除去を容易にできる。また、第
3の窒化物半導体を1mm以上で成長させればラッピン
グ等をすることなく、支持基板を自然剥離することがで
きる。また、保護膜除去によりT字両翼の下部に空間を
有するため、支持基板と窒化物半導体との歪みを緩和
し、割れや欠けを発生することなく支持基板を除去する
ことができる。また、第1の窒化物半導体の成長起点で
ある支持基板との接触界面は結晶性が悪く、単結晶と比
べてもろい。支持基板上に緩衝層を介して窒化物半導体
を成長させたものや、窒化物半導体をELO成長させた
もの、その他に厚膜成長させたものからラッピングによ
り支持基板を除去すれば、支持基板と窒化物半導体との
界面は全面接着しており、基板の反りが大きいため、そ
の上に成長させた窒化物半導体に応力がかかり割れ等を
生じる。このため、ラッピングを継続すれば窒化物半導
体から成る単体基板を形成する前に割れが窒化物半導体
の表面側まで延び、単体基板が分散してしまう。しかし
ながら、本発明では、支持基板との接触界面は第1の窒
化物半導体のT字柱部分のみであり、上記窒化物半導体
に比べ、支持基板と窒化物半導体との接着面での応力も
少なく、T字両翼の下部に形成される空間がエアギャッ
プの効果を有し、基板の反りを緩和させ、支持基板の除
去を容易にすることができる。
に限定されない。 [実施例1]C面を主面とし、オリフラ面をA面とする
サファイア基板1を用い、MOCVD法により、温度を
510℃、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニア
とTMG(トリメチルガリウム)とを用い、サファイア
基板1上にGaNよりなるバッファ層を200オングス
トロームの膜厚で成長させる。
りSiO2よりなる保護膜を0.5μmの膜厚で成膜
し、ストライプ状のフォトマスクを形成し、エッチング
によりストライプ幅14μm、窓部6μmのSiO2よ
りなる保護膜2を形成する。なお、この保護膜2のスト
ライプ方向はサファイアA面に対して垂直な方向とす
る。
度を1050℃にして、原料ガスにTMG、アンモニア
を用い、GaNよりなる第1の窒化物半導体3を2μm
の膜厚で成長させる。この時、第1の窒化物半導体3
は、SiO2保護膜の開口部より成長し、この保護膜上
に横方向成長させ、第1の窒化物半導体が完全にSiO
2保護膜を覆う前に成長を止める。隣接する第1の窒化
物半導体同士の隙間は、約2μmとする。
チングにより、温度120℃で、エッチングガスに酸
素、CF4を用い、SiO2保護膜2を完全に取り除
く。
導体の側面および上面より、常圧でMOCVD法によ
り、温度を1050℃にし、原料ガスにTMG、アンモ
ニアを用い、GaNよりなる第2の窒化物半導体4を1
5μmの膜厚で成長させる。尚、常圧でなく、減圧で第
2の窒化物半導体4を成長しても良い。
CL(カソードルミネセンス)により観測すると、保護
膜の開口部上部には結晶欠陥が見られたが、保護膜が形
成されていた上部に成長させた第2の窒化物半導体4の
表面には結晶欠陥が殆ど見られず良好な結晶性を有して
いる。結晶欠陥の数は、約6×106cm−2であっ
た。
E法により第3の窒化物半導体5を形成する。まず、H
VPE装置内に、Gaメタルを入れたボートを設置し、
さらにボートから離れた位置に前工程で得られた窒化物
半導体基板を設置する。次にGaメタルと反応させるハ
ロゲンガスであるHClガスと、ハロゲンガス供給管と
は別にN源供給管とを設け、N源としてアンモニアガス
を流す。以上によりアンドープのGaNを膜厚2mmで
形成する。
却させることにより自然剥離で支持基板の剥離除去を行
う。以上より、結晶性のよいGaNの単体基板を膜厚2
mmで得ることができる。
上にTMGのみ止めて、温度を1050℃まで上昇さ
せ、1050℃になったら、原料ガスにTMG、アンモ
ニアを用い、アンドープGaNよりなる窒化物半導体の
下地層を2.5μmの膜厚で成長させる。
第1の窒化物半導体が露出しない程度でエッチングを止
めて、第2の窒化物半導体を成長させる他は同様とす
る。その結果、実施例1とほぼ同様に良好な結果が得ら
れる。
パターンを図3に示すようなT字柱の両側に保護膜を残
す他は同様にして窒化物半導体基板を成長させる。この
結果、保護膜が形成されていた上部に成長させた第2の
窒化物半導体層の表面には、良好な結晶性を有してい
る。
すように、第2の窒化物半導体をHVPEで成長させ
る。この第2の窒化物半導体の膜厚は2mmとする。以
上により、支持基板と分離したGaNの単体基板を膜厚
2mmで得ることができる。
方向成長した窒化物半導体層の接合部への転位の集中に
よるピットの発生を抑制し、また、素子形成工程におけ
る接合部の認識を容易にし、さらに、厚膜成長させた窒
化物半導体の単体基板を得ることができる。
る窒化物半導体基板の製造工程を模式的に示す断面図で
ある。
基板の別の態様を模式的に示す断面図である。
基板のさらに別の態様模式的に示す断面図である。
基板の別の態様を模式的に示す断面図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 支持基板と、前記支持基板表面の周期的
なストライプ状、格子状、又は島状の部分を成長起点と
して横方向成長し、互いに接合する前に横方向成長を停
止することにより周期配列されたT字状断面を有する第
1の窒化物半導体と、前記第1の窒化物半導体の上面、
又は上面及び横方向成長した側面を核として成長し、支
持基板全面を覆う第2の窒化物半導体と、前記第2の窒
化物半導体上に膜厚が300μm以上の第3の窒化物半
導体とを備え、 前記第2の窒化物半導体が互いに接合する部分の下に形
成されている空間より支持基板を分離除去していること
を特徴とする窒化物半導体基板。 - 【請求項2】 前記第3の窒化物半導体の膜厚は1mm
以上であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半
導体基板。 - 【請求項3】 前記第1の窒化物半導体が、周期的なス
トライプ状、格子状、又は島状の窓部を有する保護膜を
介して前記支持基板上に成長されたことを特徴とする請
求項1に記載の窒化物半導体基板。 - 【請求項4】 前記格子状の窓部に囲まれた保護膜が、
円形又は多角形であることを特徴とする請求項3に記載
の窒化物半導体基板。 - 【請求項5】 前記窒化物半導体基板は、各成長起点か
ら横方向に成長した第1の窒化物半導体同士が互いに接
合せずに隙間を有して配列していることを特徴とする請
求項1に記載の窒化物半導体基板。 - 【請求項6】 前記支持基板は、異種基板上にバッファ
層を有することを特徴とする請求項1に記載の窒化物半
導体基板。 - 【請求項7】 前記バッファ層は窒化ガリウム層、又は
窒化インジウムガリウム層であることを特徴とする請求
項6に記載の窒化物半導体基板。 - 【請求項8】 前記第3の窒化物半導体は、n型不純物
がドープされていることを特徴とする請求項1に記載の
窒化物半導体基板。 - 【請求項9】 前記保護膜が、酸化ケイ素、窒化ケイ
素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、これらの多層膜、
又は1200℃以上の融点を持つ高融点金属膜であるこ
とを特徴とする請求項3又は4に記載の窒化物半導体基
板。 - 【請求項10】 支持基板上に、ストライプ状、格子
状、又は島状の窓部を有する保護膜を形成し、前記支持
基板露出部より保護膜上に第1の窒化物半導体を横方向
成長させて前記保護膜を覆わない状態で止め、保護膜を
除去することにより横方向成長した第1の窒化物半導体
の下部に空間を形成し、その後、第1の窒化物半導体の
上面、又は上面及び横方向成長部分である側面より第2
の窒化物半導体を成長させて支持基板全面を覆い、その
後、前記第2の窒化物半導体上に膜厚が300μm以上
の第3の窒化物半導体を成長させ、支持基板を分離除去
することを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。 - 【請求項11】 前記保護膜を、前記支持基板が露出す
るまで除去することを特徴とする請求項10に記載の窒
化物半導体基板の製造方法。 - 【請求項12】 前記保護膜を除去する方法は、エッチ
ング又は剥離であることを特徴とする請求項10又は1
1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。 - 【請求項13】 前記保護膜は、酸化ケイ素、窒化ケイ
素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、これらの多層膜、
又は1200℃以上の融点を持つ高融点金属膜であるこ
とを特徴とする請求項10乃至12に記載の窒化物半導
体基板の製造方法。
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