JP2014218392A - III族窒化物半導体結晶の製造方法およびGaN基板の製造方法 - Google Patents

III族窒化物半導体結晶の製造方法およびGaN基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 成長基板の剥離が容易であるとともに半導体結晶における転位密度の低減を図ったIII 族窒化物半導体結晶の製造方法およびGaN基板の製造方法を提供することである。【解決手段】 GaN基板G10の上に、マスク層140を形成する。次に、レーザーを用いて、マスク層140からGaN基板G10までに達する複数の凹部X11を形成して種結晶T10とする。凹部X11の形状は、円錐内面に近い形状である。種結晶T10を原材料とともに、坩堝内に入れて、昇圧および昇温する。これにより、凹部X11は、メルトバックを受けてファセット面の表出する凹部X12となる。そして、マスク層140の表面142を基点として、横方向および上方向にGaN層150を成長させる。GaN層150は、凹部X12を埋めない。【選択図】図1

Description

本発明は、III 族窒化物半導体結晶の製造方法およびGaN基板の製造方法に関する。特に、フラックス法を用いたIII 族窒化物半導体結晶の製造方法およびGaN基板の製造方法に関するものである。
半導体結晶を作成する方法として、有機金属気相成長法(MOCVD)やハイドライド気相エピタキシー法(HVPE)などの気相成長法や、分子線エピタキシー法(MBE)、そして、液相エピタキシー法などがある。液相エピタキシー法には、Naフラックスを使用するフラックス法がある。
フラックス法では、GaN結晶が成長する前に、フラックスの温度上昇中に種結晶となる下地層(GaNやAlN)の一部が消失する場合がある。この現象をメルトバックという。例えば、特許文献1には、フラックスの温度を、成長させる半導体結晶の成長温度よりも低い温度に保持することで、半導体結晶をやや成長させる技術が開示されている(特許文献1の段落[0010])。これにより、下地層の消失を抑制することとしている。
特開2006−131454号公報
ところで、フラックス法により、下地層の上にGaN結晶を成長させる場合には、GaN結晶の結晶性は、下地層の結晶性を引き継いだものとなる。つまり、成長させる半導体結晶の転位密度は、下地層の転位密度を引き継ぐこととなる。特許文献1の場合にも同様の問題が生じる。この場合の転位密度はおよそ5×106 /cm2 程度である。
このようなGaN結晶の転位密度は小さいほどよい。例えば、転位密度が1×105 /cm2 以下であるとよい。このように、転位密度の値がより小さいGaN結晶を得るためには、GaN結晶の育成中に転位密度を大幅に低減させる必要がある。
また、成長基板から、半導体結晶を容易に取り外すことができるとなおよい。例えば、半導体結晶として転位密度の低いGaN結晶を形成し、そのGaN結晶をGaN基板として用いる場合に好適だからである。したがって、成長基板から剥離しやすい半導体結晶を形成することが好ましい。
本発明は、前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、成長基板の剥離が容易であるとともに半導体結晶における転位密度の低減を図ったIII 族窒化物半導体結晶の製造方法およびGaN基板の製造方法を提供することである。
第1の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法は、下地層の上にAlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)から成るマスク層を形成するマスク層形成工程と、マスク層に向けてレーザーを照射することにより下地層の少なくとも一部を露出させる複数の凹部を形成して種結晶とするレーザー照射工程と、III 族金属とNaとを少なくとも含む混合融液中でマスク層の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させる半導体結晶形成工程と、を有する。ここで、マスク層とは、溶液中に下地層が溶解することを抑制する機能を有するものである。
このIII 族窒化物半導体結晶の製造方法では、レーザーを照射することにより複数の凹部を規則正しく配置された種結晶を準備する。そして、半導体結晶形成工程における混合融液中でのメルトバック、もしくはエッチング工程におけるエッチング溶液中でのエッチングのいずれかにより、ファセット面に近い面を露出させる。このファセット面に近い面を露出させることにより、その露出箇所からはほとんど半導体が成長しない。そのため、凹部の箇所からは、半導体層が成長しない。これにより、下地層からの転位の一部を引き継がず、転位密度の低い半導体結晶を成長させることができる。マスク層を形成することにより、凹部以外の下地層の溶解を防止することができる。そのため、安定した結晶成長を実現させることができる。また、凹部を除いた領域の面積、すなわち、転位を引き継ぐ領域の面積を小さい値として設定した上で、半導体結晶を成長させることができる。
第2の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、半導体結晶形成工程では、凹部をIII 族窒化物半導体で埋めることなく、マスク層からIII 族窒化物半導体結晶を成長させる。そのため、マスク層のない箇所からの半導体成長を抑制することができる。
第3の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、半導体結晶形成工程では、凹部と、III 族窒化物半導体結晶の底面とにより囲まれた非結晶部を形成する。ここで非結晶部とは、フラックスの成分が残留して溜まっている箇所である。非結晶部と半導体結晶とは密着していない。そのため、下地層と半導体結晶の接触面積は、凹部を形成しなかったとしば場合のものと比べて非常に小さい。したがって、種結晶と、成長させた半導体結晶とを分離することは容易である。
第4の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、レーザー照射工程では、複数の凹部をハニカム状に配置して形成する。
第5の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、レーザー照射工程では、凹部の形状を円錐内面の形状とする。ファセット面を露出させやすいからである。
第6の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、レーザー照射工程では、凹部の形状を六角錐内面の形状とする。
第7の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、半導体結晶形成工程では、下地層のファセット面を露出させる。
第8の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、半導体結晶形成工程では、少なくとも{1,0,−1,1}面を露出させる。
第9の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、レーザー照射工程により凹部を形成した種結晶をエッチングするエッチング工程を有する。エッチング工程は、少なくともNaを含む融液中でエッチングすることにより下地層のファセット面を露出させる工程である。そして、半導体結晶形成工程では、エッチング工程を実施した種結晶のマスク層の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させる。
第10の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、エッチング工程では、少なくともNaを含む融液の温度を600℃以上1000℃以下の範囲内とする。
第11の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、マスク層は、Al組成比が0.02以上1.00以下の範囲内のIII 族窒化物半導体である。この範囲内の場合に、マスク層はほとんどメルトバックを受けない。
第12の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、下地層は、Al組成比が0以上0.02以下の範囲内のIII 族窒化物半導体である。そして、下地層のAl組成比は、マスク層のAl組成比よりも小さい。この範囲内の場合に、マスク層はほとんど溶解せずに、下地層が溶解するからである。
第13の態様におけるIII 族窒化物半導体結晶の製造方法は、基板に成長させた半導体層に向けてレーザーを照射することにより半導体層に複数の凹部を形成して種結晶とするレーザー照射工程と、レーザー照射工程により複数の凹部を形成した種結晶をエッチングするエッチング工程と、III 族金属とNaとを少なくとも含む混合融液中で種結晶の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させる半導体結晶形成工程と、を有する。エッチング工程は、少なくともNaを含む融液中でエッチングすることにより半導体層のファセット面を露出させる工程である。半導体結晶形成工程では、エッチング工程を実施した種結晶の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させる。
第14の態様におけるGaN基板の製造方法は、下地層の上にAlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)から成るマスク層を形成するマスク層形成工程と、マスク層に向けてレーザーを照射することにより下地層の少なくとも一部を露出させる複数の凹部を形成して種結晶とするレーザー照射工程と、GaとNaとを少なくとも含む混合融液中でマスク層の上にGaN結晶を成長させる半導体結晶形成工程と、GaN結晶を種結晶から取り外す半導体結晶分離工程と、を有する。
この製造方法により製造されたGaN基板には、種結晶とGaN結晶との間に多数の非結晶部が形成されている。そのため、非結晶部の箇所からは半導体層が成長せず、その下の下地層からの転位も引き継がれない。また、GaN結晶に密着している種結晶の接触面積は十分に小さい。そのため、種結晶から容易にGaN結晶を分離することができる。
第15の態様におけるGaN基板の製造方法は、基板に成長させた半導体層に向けてレーザーを照射することにより半導体層に複数の凹部を形成して種結晶とするレーザー照射工程と、GaとNaとを少なくとも含む混合融液中で種結晶の上にGaN結晶を成長させる半導体結晶形成工程と、GaN結晶を種結晶から取り外す半導体結晶分離工程と、を有する。
第16の態様におけるGaN基板の製造方法は、下地層の上にAlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)から成るマスク層を形成するマスク層形成工程を有する。レーザー照射工程では、マスク層に向けてレーザーを照射することにより下地層の少なくとも一部を露出させる。
第17の態様におけるGaN基板の製造方法において、レーザー照射工程では、複数の凹部をハニカム状に配置して形成する。
第18の態様におけるGaN基板の製造方法において、レーザー照射工程では、凹部の形状を円錐内面の形状とする。
第19の態様におけるGaN基板の製造方法は、レーザー照射工程により凹部を形成した種結晶をエッチングするエッチング工程を有する。エッチング工程は、少なくともNaを含む融液中でエッチングすることにより半導体層のファセット面を露出させる工程である。そして、半導体結晶形成工程では、エッチング工程を実施した種結晶の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させる。
本発明によれば、種結晶の剥離が容易であるとともに半導体結晶における転位密度の低減を図ったIII 族窒化物半導体結晶の製造方法およびGaN基板の製造方法が提供されている。
第1の実施形態に係るIII 族窒化物半導体結晶を説明するための図(その1)である。 第1の実施形態に係るIII 族窒化物半導体結晶を説明するための図(その2)である。 第1の実施形態に係るIII 族窒化物半導体結晶の製造方法に用いられる種結晶を説明するための図である。 図3のAA断面を示す断面図である。 実施形態に係るIII 族窒化物半導体結晶の製造方法に用いられるレーザーの強度分布を示すグラフである。 実施形態に係るIII 族窒化物半導体結晶の製造方法に用いられる半導体結晶製造装置の概略構成を示す図である。 第1の実施形態に係るIII 族窒化物半導体結晶の製造方法に用いられる種結晶の製造工程を説明するための図である。 第1の実施形態に係るIII 族窒化物半導体結晶の製造方法に用いられる種結晶を説明するための図である。 第1の実施形態の変形例に係るIII 族窒化物半導体結晶の製造方法に用いられる種結晶を説明するための図である。 第2の実施形態に係るIII 族窒化物半導体結晶を説明するための図(その1)である。 第2の実施形態に係るIII 族窒化物半導体結晶を説明するための図(その2)である。 第2の実施形態に係るIII 族窒化物半導体結晶の製造方法に用いられる種結晶を説明するための図である。 第3の実施形態に係るIII 族窒化物半導体結晶の製造方法に用いられるエッチング装置の概略構成を示す図である。 第3の実施形態の変形例に係るIII 族窒化物半導体結晶を説明するための図である。 レーザー照射工程により形成した凹部を示す顕微鏡写真である。 レーザー照射工程により形成した種結晶についてエッチングを実施した後を示す顕微鏡写真である。
以下、具体的な実施形態について、図を参照しつつ説明する。しかし、これらは例示であり、これらの実施形態に限定されるものではない。そして、それぞれの図における各層の厚みは、概念的に示したものであり、実際の厚みを示しているわけではない。
以下の実施形態では、第1の実施形態から第4の実施形態までに、III 族窒化物半導体結晶の製造方法について説明する。第1の実施形態から第4の実施形態まででは、成長基板の種類と、エッチング工程の有無とが、互いに異なっている。第5の実施形態では、第1の実施形態から第4の実施形態までで説明したIII 族窒化物半導体結晶の製造方法を用いるGaN基板の製造方法について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。本実施形態では、GaN自立基板の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させるIII 族窒化物半導体の製造方法について説明する。
1.III 族窒化物半導体結晶
1−1.GaN結晶
図1に、本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法により製造されるGaN結晶C10の概略構成を示す。本実施形態のGaN結晶C10は、フラックス法により製造されたものである。GaN結晶C10は、種結晶T11と、GaN層150と、を有する。種結晶T11は、GaN基板G11と、マスク層140と、を有する。また、種結晶T11と、GaN層150との間には、非結晶部X13が形成されている。
マスク層140は、下地層であるGaN基板G11の上に形成されている。マスク層140は、フラックスによるメルトバックをほとんど受けない層である。また、マスク層140の表面144は、GaN層150の結晶を成長させる際の基点となる。
非結晶部X13は、半導体結晶が形成されずに、フラックスの成分で満たされている領域である。非結晶部X13は、GaN基板G11の斜面G13({1,0,−1,1}面)と、GaN層150の底面151の一部152と、により囲まれている。そのため、非結晶部X13は、ほぼ六角錐形状をしている。非結晶部X13の深さD1は、30μm以上700μm以下の範囲内である。なお、図1では、非結晶部X13は、GaN基板G11を貫通していない。しかし、GaN基板G11を貫通する非結晶部を有していてもよい。この場合、非結晶部は、ほぼ六角錐台形状である。
GaN層150は、GaNから成るGaN単結晶である。GaN層150は、底面151で、マスク層140もしくは非結晶部X13に接触している。GaN層150の底面151の一部152は、非結晶部X13に接触している。ここで、非結晶部X13に接している底面151の一部152の形状は、ほぼ六角形である。GaN層150の底面151の残部153は、マスク層140に接触している。なお、GaN層150の底面151はほぼ平坦である。なお、後述する実施例で説明するように、GaN層150の膜厚を1mm程度とすることができる。
1−2.結晶の転位密度
本実施形態のGaN結晶C10には、非結晶部X13がある。そのため、GaN層150の底面151の一部152から転位が延びることはない。すなわち、下地層からの転位の一部は引き継がれない。ただし、マスク層140からの転位は、引き継がれることとなる。このように、下地層からの転位の一部を引き継がないため、GaN層150の結晶性はよい。転位密度の小さいGaN結晶を得るためには、面積の狭いマスク層140を形成し、GaN層150と対面する非結晶部X13の面積を大きくとることが有効である。マスク層140はメルトバックを受けにくいものであるため、マスク層140の面積を予め小さくとることができる。具体的には、非結晶部X13上の転位密度の値は、1×105 /cm2 以下である。
1−3.結晶の分離性
本実施形態のGaN結晶C10では、GaN層150を、GaN基板G11から容易に分離することができる。これは、種結晶に残存する反り等に起因する応力が種結晶T11とGaN層150との境界面に集中するからである。そのため、育成の降温時に自然剥離することもある。また、育成終了後、軽い衝撃を加えることで剥離させることもできる。分離後のGaN層150および種結晶T11を図2に示す。このように、GaN層150と、GaN基板G11とは、剥離しやすい。成長基板とGaN層150との間に、非結晶部X13があるためである。
このように、転位の遮断を意図して凹部X11および非結晶部X13を形成することにより、結晶性に優れるとともに、成長基板から剥離しやすいIII 族窒化物半導体結晶を製造することができる。
2.種結晶
2−1.種結晶
本実施形態では、図1に示すGaN結晶C10をフラックス法により成長させる。そこで、そのフラックス法に用いる種結晶T10について説明する。その種結晶T10を図3および図4に示す。図3は、種結晶T10の上方からみた平面図である。図4は、図3のAA断面を示す断面図である。
なお、図3および図4の種結晶T10と、図1および図2の種結晶T11とは、若干異なっている。種結晶T10は、複数の凹部X11を有している。この凹部X11は、後述するフラックス法でGaN結晶を成長させる際に、メルトバックを受ける箇所である。つまり、種結晶T10は、メルトバックを受ける前のものであり(図3および図4参照)、種結晶T11は、メルトバックを受けた後のものである(図1および図2参照)。
2−2.種結晶の形状
図3に示すように、種結晶T10は、GaN基板G10と、マスク層140と、を有している。そして、種結晶T10は、多数の凹部X11を有している。これらの凹部X11は、ハニカム状に配置されている。凹部X11の形状は、図3および図4に示すように、円錐内面の形状である。凹部X11は、レーザーの照射により形成される。したがって、実際には、凹部X11は、完全な円錐内面の形状ではなく、円錐内面の形状に近い形状である。種結晶T10の表面に露出している凹部X11の形状は、円形である。そして、図4に示すように、その円形の中心をGaN基板G10の主面に垂直な方向に延長した位置に、凹部X11の底部B1が位置している。
図4に示すように、凹部X11の形状は、円錐内面の形状である。凹部X11における円錐形状の頂角θは、60°程度であるとよい。ここで頂角θは、凹部X11の円錐形状の中心軸を含む断面において向かい合う斜面G12と斜面G12とがなす角である。頂角θは、30°以上120°以下の範囲内であるとよい。また、頂角θは、45°以上60°以下の範囲内であるとより好ましい。この範囲内であるときに、後述するように、フラックス法による半導体結晶形成工程や、エッチング工程において、ファセット面が表出しやすいからである。
図3および図4に示すように、凹部X11は、マスク層140を貫通するとともに、GaN基板G10の厚みの一部を抉る非貫通孔である。もしくは、凹部X11の代わりに、マスク層140およびGaN基板G10を貫通する貫通孔であってもよい。マスク層140の厚みは、2nm以上2μm以下の範囲内であるが、凹部X11の深さD1は、マスク層140の厚みより大きい。凹部X11の深さD2は、30μm以上700μm以下の範囲内である。ただし、凹部X11の形成により、GaN層であるGaN基板G10の一部が凹部X11に露出している必要がある。
そして、マスク層140の表面における凹部X11の内径W1は、10μm以上2000μm以下の範囲内である。内径W1が10μmより短いと、非結晶部X13が形成されにくい。また、転位を引き継がない領域の面積がそれほど広くない。したがって、転位を低減させる効果が十分に得られない。
そして、凹部X11と、その隣り合う凹部X11との間の間隔W2は、5μm以上200μm以下の範囲内である。間隔W2が5μm未満の場合には、後述する半導体結晶形成工程で成長させる半導体層の横方向の成長の基点となるべき表面142の面積が十分でない。
また、凹部X11は、斜面G12と、斜面141とを有している。斜面G12は、GaN基板G10の一部である。斜面141は、マスク層140の表面142に対して傾斜している。斜面G12、141は、GaN基板G10およびマスク層140にわたって連続的に形成されている。図4に示すように、種結晶T10は、GaN基板G10の一部がマスク層140で覆われた箇所と、GaN基板G10の残部がマスク層140に覆われていない露出箇所と、を有する。
3.レーザー加工
3−1.レーザーの強度分布
前述した本実施形態の種結晶T10の凹部X11は、レーザー加工により形成されたものである。そこで、照射するレーザーについて説明する。用いるレーザーは、例えば、YAGレーザーである。波長は、360nm以下が好ましい。YAGレーザー以外のその他のレーザーを用いてもよい。例えば、エキシマレーザーが挙げられる。
レーザーの強度分布は、図5に示すように、ガウシアン型である。もちろん、ガウシアン型のレーザーに限らない。ただし、レーザーの中心でその強度が最大となるようなものであるとよい。円錐形状に近い凹部X11を形成するのに適しているからである。
3−2.凹部形成方法
レーザーの照射により凹部X11を形成するには、ガウシアン型の強度分布を有するレーザーを一定時間、照射すればよい。これにより、底部B1を有する円錐形状の凹部X11を形成することができる。もしくは、レーザーを走査しつつ凹部X11を形成することとすればよい。凹部X11の中心で、レーザーの強度の高い部分の照射時間が長くなるようにすれば、凹部X11を形成することができることに変わりない。このように本実施形態では、レーザーを照射することにより、円錐形状の凹部X11を有する種結晶T10を作製することができる。この工程は、後述する種結晶準備工程におけるレーザー照射工程に該当する。
4.半導体結晶製造装置
本実施形態の半導体結晶製造装置について説明する。図6に示す半導体結晶製造装置10は、フラックス法によりIII 族窒化物半導体を成長させるための装置である。半導体結晶製造装置10は、図6に示すように、圧力容器20と、反応容器11と、坩堝12と、加熱装置13と、供給管14、16と、排気管15、17と、を有している。
圧力容器20は、円筒形のステンレス製であり、耐圧性を有している。また、圧力容器20には、供給管16、排気管17が接続されている。圧力容器20の内部には、反応容器11と加熱装置13とが配置されている。このように反応容器11を圧力容器20の内部に配置しているため、反応容器11にさほど耐圧性が要求されない。そのため、反応容器11として低コストのものを使用することができ、再利用性も向上する。
反応容器11はSUS製であり耐熱性を有している。反応容器11内には、坩堝12が配置される。坩堝12の材質は、たとえばW(タングステン)、Mo(モリブデン)、BN(窒化ホウ素)、アルミナ、YAG(イットリウムアルミニウムガーネット)などである。坩堝12には、GaとNaを含む混合融液21が保持され、混合融液21中には種結晶T10が収容される。
反応容器11には、供給管14、排気管15が接続されており、供給管14、排気管15に設けられた弁(図示しない)により反応容器11内の換気、窒素の供給、反応容器11内の圧力の制御、を行う。また、圧力容器20にも供給管16より窒素が供給され、供給管16、排気管17の弁(図示しない)で窒素の供給量、排気量を調整することで、圧力容器20内の圧力と反応容器11内の圧力とがほぼ同じになるよう制御する。また、加熱装置13により、反応容器11内の温度を制御する。
また、半導体結晶製造装置10には、坩堝12を回転させて坩堝12中に保持される混合融液21を攪拌することができる装置が設けられている。そのため、GaN結晶の育成中に混合融液21を撹拌して混合融液21中のNa、Ga、窒素の濃度分布が均一となるようにすることができる。これにより、GaN結晶を均質に育成することができる。坩堝12を回転させる装置は、反応容器11内部から圧力容器20外部まで貫通する回転軸22と、反応容器11の内部に回転軸22と連結されて配置され、坩堝12を保持するターンテーブル23と、回転軸22の回転を制御する駆動装置24と、によって構成されている。この駆動装置24による回転軸22の回転によってターンテーブル23を回転させ、ターンテーブル23上に保持されている坩堝12を回転させる。
なお、反応容器11として耐圧性を有したものを使用すれば、必ずしも圧力容器20は必要ではない。また、GaN結晶育成中のNaの蒸発を防止するために、坩堝12には蓋を設けてもよい。また、坩堝12の回転に替えて、あるいは加えて、坩堝12を揺動させる装置を設けてもよい。
5.III 族窒化物半導体結晶の製造方法
本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法は、次に示す工程を有する。
(A)種結晶準備工程
(A−3)マスク層形成工程
(A−4)レーザー照射工程(凹部形成工程)
(C)半導体結晶形成工程
したがって、以下、これらの工程について順に説明する。
5−1.(A)種結晶準備工程
5−1−1.(A−3)マスク層形成工程
まず、GaN基板G10を用意する。GaN基板G10は、GaN自立基板である。その転位密度は、5×106 /cm2 程度である。また、GaN基板G10は、マスク層を形成するための下地層でもある。そして、GaN基板G10の上に、マスク層140を形成する。これにより、図7に示すような積層体B11が得られる。
ここで、マスク層140の組成は、AlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)である。そして、マスク層140は、AlGaN層であるとよい。マスク層140におけるAl組成比Xは、0.02以上1.0以下であるとよい。特に、マスク層140におけるAl組成比Xは、表1に示すように、0.03以上0.50以下の範囲内であればなおよい。Alの組成比Xが0.03未満であると、フラックスによるメルトバックの効果がある程度大きい。Alの組成比Xが0.50より大きいと、後述する半導体結晶形成工程で成長させるGaN結晶の結晶品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
そして、表1に示すように、マスク層140の厚みは、2nm以上2μm以下の範囲内であればよい。マスク層140の厚みが2nm未満であると、後述するメルトバックの効果が十分ではない。一方、マスク層140の厚みが2μmを超えると、後述する半導体結晶形成工程で成長させるGaN結晶の結晶品質が悪いものとなるおそれがある。
[表1]
マスク層のAl組成比 0.03以上 0.50以下
マスク層の厚み 2nm以上 2μm以下
5−1−2.(A−4)レーザー照射工程(凹部形成工程)
次に、前述したレーザーを用いて、図3および図4に示した凹部X11を形成する。つまり、マスク層140に向けてレーザーを照射することにより、複数の凹部X11を形成する。凹部X11は、マスク層140の側からGaN基板G10まで達する非貫通孔である。そのため、凹部X11では、GaN基板G10の少なくとも一部が露出している。この工程により、円錐形状の凹部X11を有する種結晶T10が作製される。
5−2.(C)半導体結晶形成工程
次に、液相エピタキシー法の一種であるフラックス法を用いて、種結晶T10の上に半導体結晶を成長させる。つまり、半導体製造装置10の内部に種結晶T10および原材料を収容する。ここで用いる原材料(フラックス)を表2に示す。ここで、Ga比は5%以上40%以下の範囲内であるとよい。また、炭素比を、Naに対して0mol%以上2.0mol%以下の範囲内で変えてもよい。つまり、フラックスは、炭素を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよいが、より望ましくは、0.01mol%以上2.0mol%以下の範囲内である。なお、表2の値は、あくまで例示であり、これ以外の値であってもよい。
ここで成長させる半導体結晶は、もちろんIII 族窒化物半導体結晶である。例えば、GaN、AlGaN、InGaN、AlInGaN等のいずれであってもよい。まず、種結晶T10と、表2に示す原材料とを、露点および酸素濃度の管理されたグローブボックス内で計量する。なお、これらは例示であり、これとは異なる値を用いてもよい。次に、種結晶T10および原材料を、アルミナ製の坩堝の内部に入れる。そして、その坩堝をSUS製の内容器の内部に入れる。そして、その内容器を圧力容器の内部のターンテーブル23上に置く。そして、圧力容器を真空引きした後に、昇圧および昇温する。このときに、原料の一つである窒素ガスを反応容器11の内部に供給する。
[表2]
Ga 20g〜80g
Na 20g〜80g
C 0.01mol%〜2.0mol%(Naに対して)
ここで、この工程で用いた坩堝内の条件を表3に示す。例えば、温度は、870℃である。圧力は4MPaである。この条件下では、上記の原材料は融解し、混合融液となっている。攪拌条件は、20rpmで攪拌を行う。その際に、攪拌部材の回転方向の反転を適宜行う。このとき、種結晶T10のメルトバックが生じる。その際に圧力を調整することでメルトバック量を調整することもできる。つまり、種結晶T10の凹部X11が混合融液でエッチングされる。これにより、凹部X11は、広がってファセット面が露出する。このメルトバックにより、ファセット面が露出している種結晶T11が作製される。ファセット面のGaNは混合融液に溶解しにくい。したがって、一旦、ファセット面が露出すると、それ以上のエッチングはほとんど進行しない。メルトバックにより、ファセット面が露出している種結晶T11を図8に示す。
[表3]
温度 850℃以上 1000℃以下
圧力 3MPa以上 10MPa以下
攪拌条件 0rpm以上 100rpm以下
育成時間 20時間以上 200時間以下
そして、加圧等によりフラックスが飽和した後に、混合融液中で図8に示す種結晶T11からGaN層150が成長し始める。このときGaN層150は、マスク層140の表面144を基点として横方向および上方向に成長する。そして、表面144から成長するGaN層150は、凹部X12の開口部側を部分的に埋める。しかし、凹部X12を完全に埋めることはない。一方、斜面G13、143とからは、GaNはほとんど成長しない。ファセット面からの半導体層の成長速度が遅いことと、窒素(N)が凹部X12に供給されにくいこと、凹部X12が十分に深いこと、が理由として挙げられる。そのため、図1に示すように、GaN層150は、凹部X12のファセット面を埋めることなく、成長することができる。育成時間は、表3に示すように、20時間以上200時間以下の範囲内である。
6.変形例
6−1.III 族窒化物半導体結晶
本実施形態では、GaN層150を形成することとした。しかし、GaNに限らず、他のIII 族窒化物半導体結晶を製造する際にも適用することができる。つまり、AlX InY Ga(1-X-Y) N(0≦X,0≦Y,X+Y≦1)を製造することができる。この場合には、III 族金属とNaとを少なくとも含む混合融液中で半導体結晶を成長させることとすればよい。
6−2.マスク層
本実施形態では、マスク層140としてAlGaN層を用いた。しかし、これ以外のAlを含有する層を用いてもよい。ただし、Al組成比が0.02以上1.00以下の範囲内のIII 族窒化物半導体であるとよい。融液中で溶解しにくいためである。
6−3.下地層の材質
本実施形態では、下地層として、GaN基板G10を用いた。しかし、下地層として、Al組成比が0以上0.02以下の範囲内のIII 族窒化物半導体を形成してもよい。Al組成比が小さければ、エッチングにより溶解しやすいからである。ただし、下地層のAl組成比は、マスク層のAl組成比よりも小さい。下地層を好適に溶解させるためである。また、下地層は、Inを含んでいてもよい。
6−4.下地層の構造
本実施形態では、GaN基板G10を下地層とした。しかし、GaN基板の上にさらにGaN層を形成することしてもよい。その場合には、GaN基板の上に形成したGaN層を下地層とみることができる。また、GaN基板およびその上のGaN層を合わせた2層を下地層とみることもできる。
6−5.凹部の形状
本実施形態では、円錐形状の凹部X11を有する種結晶T10を用いることとした。しかし、図9に示すように、六角錐内面形状の凹部X11aをレーザーにより形成した種結晶T10aを用いてもよい。その場合には、この六角錐の各面は、ファセット面に近い面である。そのため、半導体結晶形成工程において、ファセット面を表出させやすい。そして、より短い時間でファセット面が表出する。ただし、レーザーによる微細加工を行う必要があるため、レーザー照射工程のサイクルタイムは比較的長い。または、円錐形状、六角錐形状に限らず、その他の形状であってもよい。例えば、四角錐形状や三角錐形状、円筒形状等が挙げられる。もちろん、ファセット面に近い形状であることが望ましい。
6−6.レーザーの強度分布
本実施形態では、レーザー径の中心で最も強度の高いガウシアン型のレーザー(図5のL1)を用いることとした。しかし、レーザー照射径の中心と、レーザー照射径の周辺とで、レーザー強度にほとんど変化のないトップハット型のレーザー(図5のL2)を用いてもよい。また、レーザー照射径の中心のレーザー強度がレーザー照射径の周辺におけるレーザー強度よりも低いレーザー(図5のL3)であっても、そのレーザーを走査することにより、本実施形態の凹部を形成することができる。ただし、ガウシアン型のレーザーであることが好ましいことに変わりない。
7.本実施形態のまとめ
以上詳細に説明したように、本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法では、フラックス法に用いる種結晶T10として、レーザーにより複数の凹部X11を規則的に配置して形成したものを用いることとした。そして、マスク層140の表面144から半導体結晶を成長させることとした。そのため、凹部X12には半導体結晶が形成されず、非結晶部X13が形成される。非結晶部X13の上部のGaN層150には、非結晶部X13の下の半導体層からの転位(格子欠陥)は引き継がれない。つまり、形成されるGaN結晶の転位密度は十分に低い。したがって、結晶性に優れたIII 族窒化物半導体結晶を形成することができる。
なお、本実施形態は単なる例示にすぎない。したがって当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。実際には、種結晶に形成される凹部の数は図に示したものに比べてもっと多い。ただし、規則的に凹部が形成されていることに変わりない。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態では、種結晶として、サファイア基板にGaN層を形成したものを用いる。それ以外の点は、第1の実施形態と同じである。したがって、第1の実施形態と異なる点を説明する。
1.III 族窒化物半導体結晶
1−1.GaN結晶
図10に、本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法により製造されるGaN結晶C20の断面構造を示す。GaN結晶C20は、種結晶T21と、GaN層250と、を有している。そして、種結晶T21と、GaN層250との間の位置には、非結晶部X23が形成されている。
種結晶T21は、サファイア基板S20と、低温バッファ層220と、GaN層230と、マスク層240と、を有している。サファイア基板S20には、斜面S24が形成されている。この斜面S24は、後述するように、レーザーにより形成されたものである。この斜面S24は、非結晶部X23と接している。つまり、斜面S24には、低温バッファ層220は形成されていない。
GaN層250は、平坦な底面251を有している。GaN層250は、底面251で、マスク層240もしくは非結晶部X23に接触している。GaN層250の底面251の一部252は、非結晶部X23に接触している。ここで、非結晶部X23に接している底面251の一部252の形状は、ほぼ六角形である。GaN層250の底面251の残部253は、マスク層240に接触している。なお、GaN層250の底面251は平坦である。
また、非結晶部X23は、サファイア基板S20と接触しており、この接触箇所には、GaN層230や低温バッファ層220が存在しない。そのため、低温バッファ層220がない箇所、すなわち斜面S24からは、半導体層は成長しない。
本実施形態のGaN結晶C20は、図11に示すように、GaN層250を種結晶T21から容易に分離することができる。
2.種結晶
本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法に用いる種結晶T20について説明する。種結晶T20は、図12に示すように、サファイア基板S20と、低温バッファ層220と、GaN層230と、マスク層240と、を有している。サファイア基板S20は、c面サファイア基板である。低温バッファ層220は、GaNもしくはAlNから成る層である。GaN層230は、マスク層240を形成するための下地層である。マスク層240は、フラックスによるメルトバックをほとんど受けない層である。
また、種結晶T20には、多数の凹部X21が形成されている。凹部X21は、レーザーにより形成された非貫通孔である。凹部X21は、第1の実施形態の凹部X11と同じように、円錐内面の形状に近い形状をしている。凹部X21は、サファイア基板S20の斜面S24と、低温バッファ層220の斜面223と、GaN層230の斜面233と、マスク層240の斜面243と、にわたって連続的に形成されている。ただし、これらの斜面がサファイア基板S20の主面となす角の角度のそれぞれは、必ずしも同程度であるわけではない。また、サファイア基板S20については、レーザーによる加工を行わなくともよい。また、凹部X21は、ハニカム状に配置されている。その他の点については、凹部X21は、第1の実施形態の凹部X11と同様である。
ここで、凹部X21におけるサファイア基板S20の主面と垂直な軸方向と、GaN層230の斜面233とのなす角の角度は、30°程度であるとよい。この角の角度は、15°以上60°以下の範囲内であるとよい。この範囲内であるときに、後述するように、フラックス法による結晶成長の際に、GaN層230のファセット面が表出しやすいからである。
3.III 族窒化物半導体結晶の製造方法
本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法は、次に示す工程を有する。
(A)種結晶準備工程
(A−1)低温バッファ層形成工程
(A−2)下地層形成工程
(A−3)マスク層形成工程
(A−4)レーザー照射工程(凹部形成工程)
(C)半導体結晶形成工程
したがって、以下、これらの工程について順に説明する。
3−1.(A)種結晶準備工程
3−1−1.(A−1)低温バッファ層形成工程
まず、成長基板であるサファイア基板S20に、低温バッファ層220を形成する(図12参照)。サファイア基板S20は、c面サファイアである。そして、サファイア基板S20上に低温バッファ層220を成長させる。成長させる方法として、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD法)と、ハイドライド気相エピタキシー法(HVPE法)と、分子線エピタキシー法(MBE)と、液相エピタキシー法等がある。これらのいずれを用いてもよい。低温バッファ層220は、GaNから成る層である。または、AlNから成る層であってもよい。
3−1−2.(A−2)下地層形成工程
次に、低温バッファ層220の上に、GaN層230を形成する(図12参照)。このGaN層230は、下地層である。ここで、GaN層230の厚みは、1.5μm以上30μm以下の範囲内であるとよい。なお、この下地層形成工程では、有機金属気相成長法(MOCVD法)と、ハイドライド気相エピタキシー法(HVPE法)と、分子線エピタキシー法(MBE)と、液相エピタキシー法とのうち、いずれを用いてもよい。
3−1−3.(A−3)マスク層形成工程
そして、GaN層230の上に、マスク層240を形成する(図12参照)。ここで形成するマスク層240のAl組成比および厚みは、表1に示したものと同じでよい。この段階では、凹部X21は形成されていない。そのため、低温バッファ層220と、GaN層230と、マスク層240とは、いずれも平坦な層である。
3−1−4.(A−4)レーザー照射工程(凹部形成工程)
次に、サファイア基板S20に、低温バッファ層220と、GaN層230と、マスク層240とを形成した積層体に、マスク層240の側からレーザーを照射することにより凹部X21を形成する。その際に、マスク層240と、GaN層230と、低温バッファ層220とを抉るとともに、サファイア基板S20の一部をも削る。これにより、サファイア基板S20の斜面S24が形成される。また、斜面223、233、243も同時に形成される。この凹部の形状および配置は、第1の実施形態の凹部X11と同様に円錐内面に近い形状である(図3および図4参照)。この複数の凹部X21をレーザーを照射することにより形成し、図12に示す種結晶T20が製造される。
3−2.(C)半導体結晶形成工程
次に、液相エピタキシー法の一種であるフラックス法により、種結晶T20上に半導体結晶の層を成長させる。ここで用いる原材料は、表2に示したものでよい。また、フラックス法で用いる条件は、表3に示したものでよい。
昇温昇圧により、凹部X21がメルトバックを受けてGaN層230等のファセット面が表出する。これにより、少なくとも一部が露出している凹部X22が形成される。すなわち、円錐形状であった凹部X21が六角錐形状の凹部X22となる。
そして、フラックスが飽和した後に、マスク層240の表面244上の種結晶を基点として、GaN層250が成長する。また、凹部X22の内部には、GaNが形成されない。そして、マスク層240の上部から、横方向および上方向にGaN層250が成長する。ここで、凹部X22を埋めないように、GaN層250が形成される。そのため、凹部X22の内部には、GaNが形成されない。そして、凹部X22は、フラックスの成分で満たされた非結晶部X23となる。これにより、図10に示すGaN結晶C20が製造される。
4.製造されたIII 族窒化物半導体結晶
GaN結晶C20は、GaN層250を有している。GaN層250の性質は、第1の実施形態で説明したGaN層150とほぼ同じである。GaN層250の転位密度の値は、1×105 /cm2 以下である。さらに、このGaN層250では、転位密度が全面にわたって均一である。複数の非結晶部X23が、規則的に配置されているからである。また、種結晶T21とGaN層250との間の分離性については、サファイア基板S20からの応力があるため、第1の実施形態のGaN層150よりも分離しやすい。
5.変形例
5−1.凹部の深さ
本実施形態では、レーザーにより、サファイア基板S20まで達するとともに、サファイア基板S20の一部をも削った凹部X21を形成することとした。しかし、サファイア基板S20に達しない程度の凹部を形成することとしてもよい。
5−2.サファイア基板
本実施形態では、c面サファイア基板S20を用いることとした。a面サファイア基板等、その他のサファイア基板を用いることができる。
5−3.その他の変形例
本実施形態においても、第1の実施形態で説明した全ての変形例を適用することができる。
6.本実施形態のまとめ
以上詳細に説明したように、本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法では、フラックス法に用いる種結晶T20として、レーザーにより複数の凹部X21を規則的に配置して形成したものを用いることとした。そして、マスク層240の表面244から半導体結晶を成長させることとした。そのため、凹部X22には半導体結晶が形成されず、非結晶部X23が形成される。非結晶部X23の上部のGaN層250には、非結晶部X23の下の半導体層からの転位(格子欠陥)は引き継がれない。つまり、形成されるGaN結晶の転位密度は十分に低い。したがって、結晶性に優れたIII 族窒化物半導体結晶を形成することができる。
なお、本実施形態は単なる例示にすぎない。したがって当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。実際には、種結晶に形成される凹部の数は図に示したものに比べてもっと多い。ただし、規則的に凹部が形成されていることに変わりない。
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。本実施形態では、レーザーで凹部を形成した後に、エッチング処理を実施してファセット面を予め露出させることに特徴がある。第1の実施形態では、フラックス法を用いた半導体結晶形成工程で生じるメルトバックによりファセット面を表出させることとした。本実施形態では、半導体結晶形成工程の前に、エッチング工程を別途実施することにより、ファセット面を表出させる。それ以外の点は、第1の実施形態と同じである。したがって、第1の実施形態と異なる点を説明する。
1.エッチング装置
図13は、本実施形態のIII 族窒化物半導体のエッチング方法で用いられるエッチング装置1の概略構成を示す図である。エッチング装置1は、種結晶T10(図3および図4参照)にエッチングを施すための装置である。エッチング装置1は、チャンバー2と、供給管3と、排気管4と、を有している。チャンバー2は、内部にエッチング溶液を収容することができるようになっている圧力容器である。また、チャンバー2は、エッチングを施す対象である種結晶T10およびエッチング溶液5を収容することもできる。
供給管3は、チャンバー2の内部にガスを供給するためのものである。排気管4は、チャンバー2の内部からガスを排気するためのものである。供給管3および排気管4に設けられた弁(図示しない)によりチャンバー2の内部の圧力の制御等を行う。
また、図13に示したエッチング装置1以外にも、第1の実施形態で説明した半導体結晶製造装置10(図6参照)を用いてもよい。内部に種結晶T10およびエッチング溶液5を収容するとともに、容器内の温度や圧力を調整することができるものであれば、その他のものを用いることができる。
2.エッチング方法
次に、エッチング方法について説明する。本実施形態のエッチング方法では、種結晶T10(図3および図4参照)をエッチング溶液5の中でエッチングする。そのため、前述したエッチング装置1のチャンバー2の内部に、種結晶T10およびエッチング溶液5を入れる。ここでエッチング溶液5は、少なくともナトリウム(Na)を含む融液である。
このエッチングの際のチャンバー2の内部の温度条件や圧力条件を表4に示す。また、この融液中には、わずかに炭素(C)を含有させるとよい。その炭素の含有率も表4に示す。チャンバー2の内部に圧力をかけることにより、融液の蒸発を防止する。なお、エッチングを実施する時間は、0.5時間以上10時間以内の範囲内である。ただし、これは、あくまで目安である。また、供給するガスは、ArまたはN2 である。
本実施形態のエッチング方法では、マスク層140はほとんど溶解せずに、下地層であるGaN基板G10が溶解する。つまり、GaN基板G10の露出箇所をエッチングすることとなる。一方、マスク層140は、Na融液にほとんど解けない。しかし実際には、マスク層140は、斜面141の側からわずかにエッチングを受ける。このサイドエッチングの量は、温度が高いほど大きい。そのため、Na融液の温度を830℃以下とすることが望ましい。さらに望ましくは、Na融液の温度は、700℃以上830℃以下の範囲内である。この温度範囲内でエッチングした場合には、より綺麗なファセット面が表出する。なお、炭素を添加することで、GaNのエッチング量が増大する。表4に示す程度に炭素(C)を含有するNa融液におけるGaNの溶解度は、炭素を含有しないNa融液におけるGaNの溶解度に比べて高かった。
[表4]
温度 600℃以上 1000℃以下
温度(より好ましい) 700℃以上 830℃以下
圧力 1MPa以上 10MPa以下
炭素の含有量 0mol%以上 1mol%以下
3.エッチング後の種結晶
エッチングを実施した種結晶T11は、六角錐内面の形状をしている凹部X12(図8および図9参照)を有している。ここで、GaN基板G11の斜面G13は、ファセット面である。例えば、{1,0,−1,1}面が挙げられる。ただし、実際には、完全なファセット面が表出することは稀であり、多数の小さなファセット面が階段状に表出することが多い。
このようにファセット面が露出すると、その露出したファセット面の溶解速度は遅い。したがって、エッチングの途中で一旦ファセット面が露出すると、その後エッチングが継続して行われたとしても、ファセット面が消失することはまずない。また、エッチングの深さは、開口部の幅と、エッチング時間で制御することができる。例えば、100μm程度のエッチングを実施することもできる。
4.III 族窒化物半導体結晶の製造方法
本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法は、次に示す工程を有する。
(A)種結晶準備工程
(A−3)マスク層形成工程
(A−4)レーザー照射工程(凹部形成工程)
(B)種結晶エッチング工程
(C)半導体結晶形成工程
したがって、種結晶エッチング工程以外の工程については、既に説明したので、(B)種結晶エッチング工程について説明する。
4−1.(B)種結晶エッチング工程
本実施形態のエッチング方法を用いて、種結晶T10をエッチングする。つまり、エッチング装置1のチャンバー2に、種結晶T10およびエッチング溶液5を収容する。そして、表4に示した条件で、エッチングを行う。なお、エッチング溶液5では、Gaの濃度が5%以下である。
この工程におけるエッチング溶液5中では、エッチングにより、凹部X11の内側面として露出しているGaN基板G10がエッチング溶液5に溶解する。一方、マスク層140は、エッチング溶液5に溶解しにくい。ただし、マスク層140の下地層であるGaN基板G10が溶けるため、マスク層140も横方向からゆっくり溶ける。これにより、凹部X11は、大きくなる。具体的には、横方向にわずかに広がる。このように、種結晶T10はエッチングされ、GaN基板G10のファセット面が露出する。これにより、図8および図9に示す種結晶T11が作製される。
凹部X11は、エッチングを受けて、図9に示す凹部X12となる。凹部X12は、斜面G13と、斜面143と、を有している。これらの斜面G13、143は、{1,0,−1,1}面に相当する面である。
この後、ファセット面が表出している種結晶T11を用いて、半導体結晶形成工程を実施する。本実施形態では、エッチング工程を別途実施するため、第1の実施形態および第2の実施形態よりもファセット面を露出させやすい。したがって、非結晶部をより形成しやすい。
5.変形例
5−1.エッチング溶液
本実施形態では、エッチング溶液5として、Naを含む融液を用いた。エッチング溶液5は、Naに加えて、Gaを含むこととしてもよい。この場合、Gaの含有量は、5mol%以下とする。Gaの含有量が5mol%を超えると、安定なエッチングを行えない。そのため、GaN層230からGaNが溶解しても、混合融液におけるGaの含有量は、5mol%以下となるようにする必要がある。そのため、Gaが溶け出す量も考慮して、エッチング溶液のNa量を調整する必要がある。
5−2.マスク層形成工程
本実施形態では、マスク層形成工程を実施した。しかし、マスク層を形成することなく、レーザー照射工程により凹部を形成して種結晶を作製し、その種結晶に種結晶エッチング工程を実施することとしてもよい。この場合には、図14に示すGaN結晶C30が得られる。GaN結晶C30は、種結晶T31に、非結晶部X33およびGaN層350が形成されたものである。GaN基板G31の斜面G33は、ファセット面あるいはファセット面に近い面である。種結晶T31は、エッチングされたものである。そのため、GaN層350を成長させる基点となる面G34は、エッチングされた面である。
6.本実施形態のまとめ
以上詳細に説明したように、本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法では、フラックス法に用いる種結晶T11として、レーザーにより複数の凹部X11を規則的に配置して形成した後に、エッチングを実施したものを用いることとした。そして、マスク層140の表面142から半導体結晶を成長させることとした。そのため、凹部X12の内部には半導体結晶が形成されず、非結晶部X13が形成される。非結晶部X13の上部のGaN層150には、非結晶部X13の下の半導体層からの転位(格子欠陥)は引き継がれない。つまり、形成されるGaN結晶の転位密度は十分に低い。したがって、結晶性に優れたIII 族窒化物半導体結晶を形成することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。本実施形態では、第2の実施形態で説明したサファイア基板を備える種結晶を用い、第3の実施形態で説明した種結晶エッチング工程を実施することに特徴がある。それ以外の点は、第1の実施形態と同じである。したがって、第1の実施形態と異なる点を説明する。
1.III 族窒化物半導体結晶の製造方法
本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法は、次に示す工程を有する。
(A)種結晶準備工程
(A−1)低温バッファ層形成工程
(A−2)下地層形成工程
(A−3)マスク層形成工程
(A−4)レーザー照射工程(凹部形成工程)
(B)種結晶エッチング工程
(C)半導体結晶形成工程
そのため、(A)種結晶準備工程により、凹部X21を有する種結晶T20を作製する(図12参照)。そして、その種結晶T20に(B)種結晶エッチング工程を実施して、ファセット面に近い面を露出させて、六角錐内面形状の凹部X22を有する種結晶T11を作製する(図12参照)。そして、(C)半導体結晶形成工程により、半導体結晶を成長させる。これにより、図10に示すGaN結晶C20を製造することができる。また、マスク層を形成しないで、GaN結晶を製造することもできる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態から第4の実施形態までに説明したIII 族窒化物半導体結晶の製造方法を用いたGaN基板の製造方法について説明する。
1.III 族窒化物半導体結晶の製造方法
本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法は、第1の実施形態から第4の実施形態までで説明した各工程に加えて、次に示す工程を有する。
(D)半導体結晶分離工程
1−1.半導体結晶分離工程
前述したように、非結晶部X13、X23の形成されたGaN結晶では、GaN層150、250が成長基板から剥離しやすい。非結晶部X13、X23があるために、下地層との密着強度が低いからである。そこで、図2および図11で示したように、GaN結晶と、成長基板とを分離する。また、膨張係数の差を利用して、加熱冷却を利用してもよい。
なお、実際には、マスク層140、240や非結晶部X13、X23の一部がGaN結晶に付着したままとなることも起こりうる。その場合であっても、底面151、251を削れば問題ない。
2.本実施形態のまとめ
以上詳細に説明したように、本実施形態のGaN基板の製造方法は、第1の実施形態から第4の実施形態までのいずれかの方法を用いて形成されたGaN結晶を成長基板から取り外してGaN自立基板とする方法である。
1.実施例1
1−1.種結晶
実施例1について説明する。本実施例では、第3の実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法を用いた。そのため、c面GaN自立基板を用いた。GaN自立基板の直径は、2インチ(50.8mm)であった。GaN自立基板の上に、i−GaN層を1μm成長させた後に、AlGaN層を100nm成長させた。このAlGaN層のAl組成比は、0.05であった。
次に、レーザー加工により、種結晶に円錐形状の凹部をハニカム状に形成した(図3、図4参照)。その際に波長355nmのYAGレーザーを用いた。種結晶の表面における凹部の直径は、300μmであった。その凹部の深さは、260μmであった。円錐形状の凹部の頂角は、ほぼ60°であった。
1−2.エッチング
次に、エッチング装置の内部に、Na30gと、炭素(C)80mgと、を収容した。このときのフラックスにおける炭素比は、0.5mol%であった。装置の真空引きを行った後に昇圧、昇温してエッチングを実施した。温度は、750℃であった。圧力は、3MPaであった。適宜反転しつつ、20rpmで撹拌を行った。エッチングを実施した時間は、2時間であった。エッチング装置の内部に供給したガスは窒素であった。これにより、エッチング済みの種結晶が得られた。
1−3.育成
次に、半導体結晶製造装置の内部に、種結晶を収容した。また、原材料として、Gaを30g、Naを30g、炭素(C)を80mg、半導体結晶製造装置の内部に収容した。そして、窒素ガスを供給しつつ、昇温、昇圧した。装置内部の温度は、870℃であった。圧力は、4MPaであった。適宜反転しつつ、20rpmで撹拌を行った。GaN結晶を育成を30時間かけて行った。
1−4.GaN結晶
これにより、GaN結晶が得られた。非結晶部X13に相当する部分が形成されていることを確認した。そのため、成長させたGaN層は、種結晶から容易に分離することができた。成長させたGaN層の膜厚は、0.9mmであった。得られた結晶の転位密度は、1×105 /cm2 以下であった。
図15は、レーザーにより凹部を形成した種結晶の表面を示す顕微鏡写真である。図15に示すように、円錐形状の凹部が形成されている。なお、図15の左下に、長さ20μmを表すバーを示す。
図16は、レーザーにより凹部を形成した種結晶についてエッチングを施した後の顕微鏡写真である。多数の細かいファセット面が表出している。
1…エッチング装置
10…半導体結晶製造装置
G10、G11…GaN基板
140、240…マスク層
150、250…GaN層
220…低温バッファ層
T10、T11、T21、T22…種結晶
X11、X12、X21、X22…凹部
X13、X23…非結晶部

Claims (19)

  1. 下地層の上にAlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)から成るマスク層を形成するマスク層形成工程と、
    前記マスク層に向けてレーザーを照射することにより前記下地層の少なくとも一部を露出させる複数の凹部を形成して種結晶とするレーザー照射工程と、
    III 族金属とNaとを少なくとも含む混合融液中で前記マスク層の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させる半導体結晶形成工程と、
    を有すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  2. 請求項1に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
    前記半導体結晶形成工程では、
    前記凹部をIII 族窒化物半導体で埋めることなく、前記マスク層から前記III 族窒化物半導体結晶を成長させること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
    前記半導体結晶形成工程では、
    前記凹部と、前記III 族窒化物半導体結晶の底面とにより囲まれた非結晶部を形成すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
    前記レーザー照射工程では、
    複数の前記凹部をハニカム状に配置して形成すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
    前記レーザー照射工程では、
    前記凹部の形状を円錐内面の形状とすること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
    前記レーザー照射工程では、
    前記凹部の形状を六角錐内面の形状とすること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
    前記半導体結晶形成工程では、
    前記下地層のファセット面を露出させること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  8. 請求項7に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
    前記半導体結晶形成工程では、
    少なくとも{1,0,−1,1}面を露出させること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  9. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
    前記レーザー照射工程により前記凹部を形成した前記種結晶をエッチングするエッチング工程を有し、
    前記エッチング工程は、
    少なくともNaを含む融液中でエッチングすることにより前記下地層のファセット面を露出させる工程であり、
    前記半導体結晶形成工程では、
    前記エッチング工程を実施した前記種結晶の前記マスク層の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  10. 請求項9に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
    前記エッチング工程では、
    少なくともNaを含む融液の温度を600℃以上1000℃以下の範囲内とすること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
    前記マスク層は、
    Al組成比が0.02以上1.00以下の範囲内のIII 族窒化物半導体であること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  12. 請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
    前記下地層は、
    Al組成比が0以上0.02以下の範囲内のIII 族窒化物半導体であり、
    前記下地層のAl組成比は、前記マスク層のAl組成比よりも小さいこと
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  13. 基板に成長させた半導体層に向けてレーザーを照射することにより前記半導体層に複数の凹部を形成して種結晶とするレーザー照射工程と、
    前記レーザー照射工程により複数の前記凹部を形成した前記種結晶をエッチングするエッチング工程と、
    III 族金属とNaとを少なくとも含む混合融液中で前記種結晶の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させる半導体結晶形成工程と、
    を有し、
    前記エッチング工程は、
    少なくともNaを含む融液中でエッチングすることにより前記半導体層のファセット面を露出させる工程であり、
    前記半導体結晶形成工程では、
    前記エッチング工程を実施した前記種結晶の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。
  14. 下地層の上にAlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)から成るマスク層を形成するマスク層形成工程と、
    前記マスク層に向けてレーザーを照射することにより前記下地層の少なくとも一部を露出させる複数の凹部を形成して種結晶とするレーザー照射工程と、
    GaとNaとを少なくとも含む混合融液中で前記マスク層の上にGaN結晶を成長させる半導体結晶形成工程と、
    前記GaN結晶を前記種結晶から取り外す半導体結晶分離工程と、
    を有すること
    を特徴とするGaN基板の製造方法。
  15. 基板に成長させた半導体層に向けてレーザーを照射することにより前記半導体層に複数の凹部を形成して種結晶とするレーザー照射工程と、
    GaとNaとを少なくとも含む混合融液中で前記種結晶の上にGaN結晶を成長させる半導体結晶形成工程と、
    前記GaN結晶を前記種結晶から取り外す半導体結晶分離工程と、
    を有すること
    を特徴とするGaN基板の製造方法。
  16. 請求項15に記載のGaN基板の製造方法において、
    下地層の上にAlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)から成るマスク層を形成するマスク層形成工程を有し、
    前記レーザー照射工程では、
    前記マスク層に向けてレーザーを照射することにより前記下地層の少なくとも一部を露出させること
    を特徴とするGaN基板の製造方法。
  17. 請求項14から請求項16までのいずれか1項に記載のGaN基板の製造方法において、
    前記レーザー照射工程では、
    複数の前記凹部をハニカム状に配置して形成すること
    を特徴とするGaN基板の製造方法。
  18. 請求項14から請求項17までのいずれか1項に記載のGaN基板の製造方法において、
    前記レーザー照射工程では、
    前記凹部の形状を円錐内面の形状とすること
    を特徴とするGaN基板の製造方法。
  19. 請求項14から請求項18までのいずれか1項に記載のGaN基板の製造方法において、
    前記レーザー照射工程により前記凹部を形成した前記種結晶をエッチングするエッチング工程を有し、
    前記エッチング工程は、
    少なくともNaを含む融液中でエッチングすることにより前記半導体層のファセット面を露出させる工程であり、
    前記半導体結晶形成工程では、
    前記エッチング工程を実施した前記種結晶の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させること
    を特徴とするGaN基板の製造方法。
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