JP6083515B2 - III 族窒化物半導体のエッチング方法およびIII 族窒化物半導体結晶の製造方法およびGaN基板の製造方法 - Google Patents
III 族窒化物半導体のエッチング方法およびIII 族窒化物半導体結晶の製造方法およびGaN基板の製造方法 Download PDFInfo
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Description
第1の実施形態について説明する。本実施形態では、Naを含む融液中でIII 族窒化物半導体をエッチングする方法について説明する。
図1は、本実施形態のIII 族窒化物半導体のエッチング方法で用いられるエッチング装置1の概略構成を示す図である。エッチング装置1は、III 族窒化物半導体V1にエッチングを施すための装置である。エッチング装置1は、チャンバー2と、供給管3と、排気管4と、を有している。チャンバー2は、内部にエッチング溶液を収容することができるようになっている圧力容器である。また、チャンバー2は、エッチングを施す対象であるIII 族窒化物半導体V1およびエッチング溶液5を収容することもできる。
図2に、エッチングの対象となるIII 族窒化物半導体V1を上からみた平面図を示す。図3は、図2のAA断面を示す断面図である。III 族窒化物半導体V1は、下地層U1の上に、マスク層M1を形成したものである。下地層U1の材質は、GaNである。下地層U1の表面は、Ga面(0,0,0,1)である。マスク層M1の材質は、AlGaNである。
マスク層のAl組成比 0.03以上 0.50以下
マスク層の厚み 2nm以上 2μm以下
次に、エッチング方法について説明する。本実施形態のエッチング方法では、III 族窒化物半導体V1をエッチング溶液5の中でエッチングする。そのため、前述したエッチング装置1のチャンバー2の内部に、III 族窒化物半導体V1およびエッチング溶液5を入れる。ここでエッチング溶液5は、少なくともナトリウム(Na)を含む融液である。
温度 600℃以上 1000℃以下
温度(より好ましい) 700℃以上 830℃以下
圧力 1MPa以上 10MPa以下
炭素の含有量 0mol%以上 1mol%以下
図4は、本実施形態のエッチング方法によりエッチングされたIII 族窒化物半導体V2を示す図である。図4に示すように、III 族窒化物半導体V2は、エッチング前より深い凹部X2が形成されている。そして、凹部X2に、ファセット面を露出させることができる。例えば、面F1は、{1,0,−1,1}面である。面F2は、{0,0,0,1}面である。
5−1.III 族窒化物半導体の凹部の形状
図3に示したIII 族窒化物半導体V1では、下地層U1の表面は平坦であった。つまり、露出箇所E1と、非露出箇所E2とは、同じ平面上にある。しかし、露出箇所E1をさらに抉ることとしてもよい。この場合については、第2の実施形態で説明する。
本実施形態では、エッチング溶液5として、Naを含む融液を用いた。エッチング溶液5は、Naに加えて、Gaを含むこととしてもよい。この場合、Gaの含有量は、5mol%以下とする。Gaの含有量が5mol%を超えると、安定なエッチングを行えない。そのため、下地層U1からGaNが溶解しても、混合融液におけるGaの含有量は、5mol%以下となるようにする必要がある。したがって、Gaが溶け出す量も考慮して、エッチング溶液のNa量を調整する必要がある。また、エッチング溶液5は、その他のIII 族金属を含有することとしてもよい。ただし、III 族金属の含有量は、5mol%以下である。
本実施形態では、下地層U1として、GaNから成る層を形成した。しかし、下地層U1として、Al組成比が0以上0.02以下の範囲内のIII 族窒化物半導体を形成してもよい。Al組成比が小さければ、エッチングにより溶解しやすいからである。ただし、下地層U1のAl組成比は、マスク層M1のAl組成比よりも小さい。下地層U1を好適に溶解させるためである。また、下地層U1は、Inを含んでいてもよい。
本実施形態では、III 族窒化物半導体V1にマスク層M1を設けることとした。しかし、必ずしもマスク層M1を設けない場合であっても、エッチングをすることができる。例えば、図5に示すように、凹部X3を有するとともにマスク層を形成していないIII 族窒化物半導体V3(図5の破線)に本実施形態のエッチングを実施することにより、凹部X4の形成されたIII 族窒化物半導体V4(図5の実線)を作製することができる。ここで、凹部X4にファセット面F3を表出させることもできる。その際の融液の温度は、表2に示したものと同じでよい。このように、III 族窒化物半導体のエッチングを行うことができる。
以上詳細に説明したように、本実施形態のIII 族窒化物半導体のエッチング方法では、下地層U1と、マスク層M1と、を有するIII 族窒化物半導体V1をNa融液中でエッチングすることとした。そのため、凹部X1に露出している露出箇所E1がエッチングされ、ファセット面が露出している凹部X2を形成することができる。また、このエッチング方法では、数十μm以上の深い凹部を形成することができる。
第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態で説明したIII 族窒化物半導体のエッチング方法を用いてGaN自立基板の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させるIII 族窒化物半導体の製造方法について説明する。
本実施形態のGaN結晶の製造に用いる製造装置の構成について説明する。半導体結晶製造装置10は、図6に示すように、圧力容器20と、反応容器11と、坩堝12と、加熱装置13と、供給管14、16と、排気管15、17と、を有している。
本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法は、次に示す工程を有する。
(A)種結晶準備工程
(A−3)マスク層形成工程
(A−4)凹部形成工程
(B)種結晶エッチング工程
(C)半導体結晶形成工程
したがって、以下、これらの工程について順に説明する。
2−1−1.(A−3)マスク層形成工程
まず、GaN基板G10を用意する。GaN基板G10は、GaN自立基板である。その転位密度は、5×106 /cm2 程度である。また、GaN基板G10は、マスク層を形成するための下地層でもある。そして、GaN基板G10の上に、マスク層140を形成する。これにより、図7に示すような積層体B11が得られる。
2−1−2−1.凹部を形成する手順
次に、図8に示すように、積層体B11に複数の凹部X11を形成する。図9は、図8のBB断面を示す断面図である。図9に示すように、マスク層140の厚みの全部およびGaN基板G10の厚みの一部を除去して、複数の凹部X11を形成する。凹部X11は、GaN基板G10の露出している箇所である。これにより、図8および図9に示すように、複数の凹部X11を形成された種結晶T10を製造する。この凹部X11の形成には、例えば、フォトリソグラフィーを用いればよい。まず、レジストのパターニングを行う。次に、ドライエッチングにより、マスク層140の厚みの全部およびGaN基板G10の厚みの一部を除去することにより、複数の凹部X11を形成する。このとき、凹部X11を形成後のマスク層140は、下地層の一部を覆うマスク部である。そして、レジストマスクを除去する。これにより、図8および図9に示す種結晶T10が得られる。その後、複数の凹部X11の形成された種結晶T10を洗浄する。
図8に示すように、凹部X11は、マスク層140の表面142の上にハニカム状に配置されている。そして、種結晶T10をマスク層140の側から見た場合に、凹部X11の形状は、六角形形状である。
次に、第1の実施形態で説明したエッチング方法を用いて、種結晶T10をエッチングする。つまり、エッチング装置1のチャンバー2に、種結晶T10およびエッチング溶液5を収容する。そして、表2に示した条件で、エッチングを行う。なお、エッチング溶液5では、Gaの濃度が5%以下である。
次に、液相エピタキシー法の一種であるフラックス法を用いて、種結晶T11の上に半導体結晶を成長させる。つまり、半導体製造装置10の内部に種結晶T11および原材料を収容する。ここで用いる原材料(フラックス)を表3に示す。ここで、Ga比は5%以上40%以下の範囲内であるとよい。また、炭素比を、0mol%以上2.0mol%以下の範囲内で変えてもよい。つまり、フラックスは、炭素を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよいが、より望ましくは、0.01mol%以上2.0mol%以下の範囲内である。なお、表3の値は、あくまで例示であり、これ以外の値であってもよい。
Ga 20g〜80g
Na 20g〜80g
C 0.01mol%〜2.0mol%(Naに対して)
温度 850℃以上 1000℃以下
圧力 3MPa以上 10MPa以下
攪拌条件 0rpm以上 100rpm以下
育成時間 20時間以上 200時間以下
3−1.GaN結晶
以上詳細に説明した本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法により、図11に示すGaN結晶B12が得られる。GaN結晶B12は、GaN基板G11と、マスク層140と、GaN層150と、非結晶部X13と、を有している。GaN層150は、GaNから成る単結晶である。
GaN層150は、底面151で、マスク層140もしくは非結晶部X13に接触している。GaN層150の底面151の一部152は、非結晶部X13に接触している。ここで、非結晶部X13に接している底面151の一部152の形状は、ほぼ六角形である。GaN層150の底面151の残部153は、マスク層140に接触している。なお、GaN層150の底面151は平坦である。なお、後述する実施例で説明するように、GaN層150の膜厚を1mm程度とすることができる。
本実施形態のGaN結晶B12には、非結晶部X13がある。そのため、GaN基板G10からGaN層150を成長させる際に、GaN層150の底面151の一部152から転位が延びることはない。すなわち、下地層からの転位の一部は引き継がれない。ただし、マスク層140からの転位は、引き継がれることとなる。このように、下地層からの転位の一部を引き継がないため、GaN層150の結晶性はよい。具体的には、GaN層150の転位密度の値は、1×105 /cm2 以下である。さらに、このGaN層150では、転位密度が全面にわたって均一である。形成した複数の凹部X11が、規則的に配置されているからである。
本実施形態のGaN結晶B12では、GaN層150を、GaN基板G10から容易に分離することができる。これは、種結晶の反り等に起因する応力が種結晶T11とGaN層150との境界面に集中するからである。育成の降温時に自然剥離することもある。また、育成終了後、軽い衝撃を加えることで剥離させることもできる。分離後のGaN層150および種結晶T11を図12に示す。このように、GaN層150と、GaN基板G11とは、剥離しやすい。成長基板とGaN層150との間に、非結晶部X13があるためである。
4−1.III 族窒化物半導体結晶
本実施形態では、GaN層150を形成することとした。しかし、GaNに限らず、他のIII 族窒化物半導体結晶を製造する際にも適用することができる。つまり、AlX InY Ga(1-X-Y) N(0≦X,0≦Y,X+Y≦1)を製造することができる。
本実施形態では、種結晶エッチング工程および半導体結晶形成工程を別々の装置を用いて行うこととした。しかし、例えば、半導体結晶製造装置10により、これらの工程を連続して行うこととしてもよい。その場合には、エッチング溶液5に、Gaを含有させることにより、実施することができる。また、種結晶エッチング工程が終了した後に、Gaのみをエッチング溶液5に添加することにより、これらの工程を連続して実施することができる。
本実施形態では、六角形形状の凹部X11を形成した種結晶T10を用いることとした。凹部X11の形状は、別の形状であってもよい。例えば、その他の多角形や円形であってもよい。ただし、エッチングにより、ファセット面を露出させやすい面であるとよい。
以上詳細に説明したように、本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法では、フラックス法に用いる種結晶T10として、凹部X11が形成されているものを用いることとした。そして、半導体結晶をマスク層140の上から成長させることとした。そのため、凹部X12には半導体結晶が形成されず、非結晶部X13が形成される。非結晶部X13の上部のGaN層150には、非結晶部X13の下の半導体層からの転位は引き継がれない。つまり、形成されるGaN結晶の転位密度は十分に低い。したがって、結晶性に優れたIII 族窒化物半導体結晶を形成することができる。
第3の実施形態について説明する。本実施形態では、成長基板として、サファイア基板上に形成したGaNテンプレートを用いる。それ以外の点は、第2の実施形態と同じである。したがって、第2の実施形態と異なる点を説明する。
本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法は、次に示す工程を有する。
(A)種結晶準備工程
(A−1)低温バッファ層形成工程
(A−2)下地層形成工程
(A−3)マスク層形成工程
(A−4)凹部形成工程
(B)種結晶エッチング工程
(C)半導体結晶形成工程
したがって、以下、これらの工程について順に説明する。
1−1−1.(A−1)低温バッファ層形成工程
まず、成長基板であるサファイア基板S20に、低温バッファ層220を形成する(図13参照)。サファイア基板S20は、c面サファイアである。そして、サファイア基板S20上に低温バッファ層220を成長させる。成長させる方法として、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD法)と、ハイドライド気相エピタキシー法(HVPE法)と、分子線エピタキシー法(MBE)と、液相エピタキシー法等がある。これらのいずれを用いてもよい。低温バッファ層220は、GaNから成る層である。または、AlNから成る層であってもよい。
次に、低温バッファ層220の上に、GaN層230を形成する(図13参照)。このGaN層230は、下地層である。ここで、GaN層230の厚みは、1.5μm以上30μm以下の範囲内であるとよい。なお、この下地層形成工程では、有機金属気相成長法(MOCVD法)と、ハイドライド気相エピタキシー法(HVPE法)と、分子線エピタキシー法(MBE)と、液相エピタキシー法とのうち、いずれを用いてもよい。
そして、GaN層230の上に、マスク層240を形成する(図13参照)。ここで形成するマスク層240のAl組成比および厚みは、表1に示したものと同じでよい。
次に、フォトリソグラフィーおよびICPによるドライエッチングを行い、凹部X21を形成する。これにより、図13に示すような種結晶T20が製造される。凹部X21の形状および配置は、第2の実施形態の凹部X11と同様である(図8および図9参照)。ここで、凹部X21は、マスク層240を貫通するとともに、GaN層230の厚みの一部を抉る非貫通孔である。この凹部X21の開口部の開口幅W7は、第2の実施形態の幅W1と同じである(図9参照)。凹部X21における六角形の一辺の長さも、凹部X11の場合と同様である。凹部X21の深さD4は、第2の実施形態の深さD1と同じである(図9参照)。凹部X21と、それと隣り合う凹部X21との間の間隔W8は、第2の実施形態の間隔W2と同じである(図9参照)。もちろん、これらは、異なる値を用いてもよい。
次に、第1の実施形態で説明したエッチング方法を用いて、種結晶T20をエッチングする。つまり、エッチング装置1のチャンバー2に、種結晶T20およびエッチング溶液5を収容する。そして、表2に示した条件で、エッチングを行う。これにより、図14に示す種結晶T21が作製される。種結晶T21では、凹部X22が大きく成長している。ここで、斜面233は、{1,0,−1,1}面に相当する面である。
次に、液相エピタキシー法の一種であるフラックス法により、種結晶T21上に半導体結晶の層を成長させる。ここで用いる原材料は、表3に示したものでよい。また、フラックス法で用いる条件は、表4に示したものでよい。
GaN結晶B22は、GaN層250を有している。GaN層250の性質は、第2の実施形態で説明したGaN層150とほぼ同じである。GaN層250の転位密度の値は、1×105 /cm2 以下である。さらに、このGaN層250では、転位密度が全面にわたって均一である。形成した複数の凹部X21が、規則的に配置されているからである。また、非結晶部X23についても、第2の実施形態の非結晶部X13とほぼ同じである。また、図16に示すように、種結晶T21とGaN層250との間の分離性については、サファイア基板S20からの応力があるため、第2の実施形態のものよりも分離しやすい。
本実施形態においても、第2の実施形態で説明した全ての変形例を適用することができる。
以上詳細に説明したように、本実施形態のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法では、フラックス法に用いる種結晶T20として、凹部X21が形成されているものを用いることとした。そして、半導体結晶をマスク層240の上から成長させることとした。そのため、凹部X22には半導体結晶が形成されず、非結晶部X23が形成される。非結晶部X23の上部のGaN層250には、非結晶部X23の下の半導体層からの転位は引き継がれない。つまり、形成されるGaN結晶の転位密度は十分に低い。したがって、結晶性に優れたIII 族窒化物半導体結晶を形成することができる。
第4の実施形態について説明する。本実施形態では、第2の実施形態および第3の実施形態で説明したIII 族窒化物半導体結晶の製造方法を用いたGaN基板の製造方法について説明する。
前述したように、非結晶部X13、X23の形成されたGaN結晶では、GaN層150、250が成長基板から剥離しやすい。非結晶部X13、X23があるために、下地層との密着強度が低いからである。そこで、図12および図16で示したように、GaN結晶と、成長基板とを分離する。また、膨張係数の差を利用して、加熱冷却を利用してもよい。
以上詳細に説明したように、本実施形態のGaN基板の製造方法は、第2の実施形態もしくは第3の実施形態で形成されたGaN結晶を成長基板から取り外してGaN自立基板とする方法である。また、この分離行程の後に、研磨等の工程を実施してもよい。
1−1.種結晶
実施例1について説明する。本実施例では、第2の実施形態のように、c面GaN自立基板を用いた。GaN自立基板の直径は、2インチ(50.8mm)であった。GaN自立基板の上に、i−GaN層を1μm成長させた後に、AlGaN層を100nm成長させた。このAlGaN層のAl組成比は、0.05であった。フォトリソグラフィー工程により、レジストのパターニングを実施し、ICPによりAlGaN層とi−GaN層をエッチングして、複数の凹部を形成した。凹部の深さは、1μmであった。マスク層の幅を20μmとした。凹部の形状は、六角形形状であった。エッチング前の六角形の一辺の長さは、20μmであった。
次に、エッチング装置の内部に、Na30gと、炭素(C)80mgと、を収容した。このときのフラックスにおける炭素比は、0.5mol%であった。装置の真空引きを行った後に昇圧、昇温してエッチングを実施した。温度は、750℃であった。圧力は、3MPaであった。適宜反転しつつ、20rpmで撹拌を行った。エッチングを実施した時間は、2時間であった。エッチング装置の内部に供給したガスは窒素であった。これにより、エッチング済みの種結晶が得られた。
次に、半導体結晶製造装置の内部に、種結晶を収容した。また、原材料として、Gaを30g、Naを30g、炭素(C)を80mg、半導体結晶製造装置の内部に収容した。そして、窒素ガスを供給しつつ、昇温、昇圧した。装置内部の温度は、870℃であった。圧力は、3MPaであった。適宜反転しつつ、20rpmで撹拌を行った。GaN結晶の育成を30時間かけて行った。
これにより、GaN結晶が得られた。非結晶部X13に相当する部分が形成されていることを確認した。そのため、成長させたGaN層は、種結晶から容易に分離することができた。成長させたGaN層の膜厚は、0.9mmであった。得られた結晶の転位密度は、1×105 /cm2 以下であった。この場合における、断面写真を図17に示す。図17に示すように、深さ15μm程度の凹部が形成されている。
実施例2について説明する。実施例1との違いは、六角形の一辺の長さである。実施例2における六角形の一辺の長さは、62μmであった。なお、実施例2では、エッチングのみで留めており、半導体結晶まで作製していない。この場合における凹部の写真を図18に示す。エッチングによりファセット面が表れていることが分かる。
比較例1について説明する。実施例2との違いは、エッチング溶液5のGaの含有量を20mol%としたことである。この場合における、断面写真を図19に示す。図19に示すように、深さ3μm程度の凹部が形成されている。そして、エッチングにより、ファセット面が表出していない。
実施例3について説明する。実施例2との違いは、エッチングの際の温度である。実施例3における温度は、870℃であった。この場合における凹部の写真を図20に示す。図20に示すように、ファセット面は表出していないが、深さ30μm程度の凹部を形成することができた。温度が低いほど、N面の溶解を防止することができ、安定したエッチングを実施することができると考えられる。
10…半導体結晶製造装置
F1…ファセット面
U1、U2…下地層
M1、M2…マスク層
V1、V2…III 族窒化物半導体
G10、G11…GaN基板
140、240…マスク層
150、250…GaN層
220…低温バッファ層
T10、T11、T21、T22…種結晶
X1、X2、X3、X4、X11、X12、X21、X22…凹部
X13、X23…非結晶部
Claims (16)
- III 族窒化物半導体のエッチング方法において、
前記III 族窒化物半導体の上にAlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)から成るマスク層を部分的に形成するIII 族窒化物半導体準備工程と、
少なくともNaを含む融液中で前記III 族窒化物半導体をエッチングするエッチング工程と、
を有し、
前記エッチング工程では、
前記少なくともNaを含む融液中のIII 族金属濃度を5mol%以下として、
前記III 族窒化物半導体準備工程で準備した前記マスク層を形成された前記III 族窒化物半導体をエッチングすること
を特徴とするIII 族窒化物半導体のエッチング方法。 - 請求項1に記載のIII 族窒化物半導体のエッチング方法において、
前記エッチング工程では、
前記少なくともNaを含む融液の温度を600℃以上1000℃以下の範囲内とすること
を特徴とするIII 族窒化物半導体のエッチング方法。 - 下地層の上にAlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)から成るマスク層を形成して、前記下地層の一部が前記マスク層で覆われた箇所と、前記下地層の残部が前記マスク層に覆われていない露出箇所と、を有する種結晶を準備する種結晶準備工程と、
前記露出箇所に露出している前記下地層を少なくともNaを含む融液中でエッチングするエッチング工程と、
III 族金属とNaとを少なくとも含む混合融液中で前記種結晶の上にIII 族窒化物半導体結晶を成長させる半導体結晶形成工程と、
を有し、
前記エッチング工程では、
前記少なくともNaを含む融液中のIII 族金属濃度を5mol%以下とすること
を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 請求項3に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
前記エッチング工程では、
前記少なくともNaを含む融液の温度を600℃以上1000℃以下の範囲内とすること
を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 請求項4に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
前記エッチング工程では、
前記少なくともNaを含む融液の温度を700℃以上830℃以下の範囲内とすること
を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
前記種結晶準備工程は、
前記下地層の上に前記AlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)から成る前記マスク層を形成するマスク層形成工程と、
前記マスク層の厚みの全部および前記下地層の厚みの一部を除去することにより前記下地層を露出させて複数の凹部を形成する凹部形成工程と、
を有すること
を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 請求項6に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
前記凹部形成工程では、
前記凹部を六角形形状とするとともにハニカム構造で配置して形成すること
を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 請求項3から請求項7までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
前記マスク層は、
Al組成比が0.02以上1.00以下の範囲内のIII 族窒化物半導体であること
を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 請求項3から請求項8までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
前記下地層は、
Al組成比が0以上0.02以下の範囲内のIII 族窒化物半導体であり、
前記下地層のAl組成比は、前記マスク層のAl組成比よりも小さいこと
を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 請求項3から請求項9までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
前記エッチング工程では、
前記下地層のファセット面を露出させること
を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 請求項10に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
前記半導体結晶形成工程では、
前記下地層の前記ファセット面を埋めないように、前記マスク層から前記半導体結晶を成長させること
を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 請求項11に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
前記半導体結晶形成工程では、
前記ファセット面と、前記III 族窒化物半導体結晶の底面とで、囲まれた非結晶部を形成すること
を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 請求項3から請求項12までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体結晶の製造方法において、
前記エッチング工程では、
前記下地層の{1,0,−1,1}面を露出させること
を特徴とするIII 族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 下地層の上にAlX InY Ga(1-X-Y) N(0<X,0≦Y,X+Y≦1)から成るマスク層を形成して、前記下地層の一部が前記マスク層で覆われた箇所と、前記下地層の残部が前記マスク層に覆われていない露出箇所と、を有する種結晶を準備する種結晶準備工程と、
前記露出箇所に露出している前記下地層を少なくともNaを含む融液中でエッチングするエッチング工程と、
GaとNaとを少なくとも含む混合融液中で前記種結晶の上にGaN結晶を成長させる半導体結晶形成工程と、
前記GaN結晶を前記種結晶から取り外す半導体結晶分離工程と、
を有し、
前記エッチング工程では、
前記少なくともNaを含む融液中のIII 族金属濃度を5mol%以下とすること
を特徴とするGaN基板の製造方法。 - 請求項14に記載のGaN基板の製造方法において、
前記エッチング工程では、
前記少なくともNaを含む融液の温度を600℃以上1000℃以下の範囲内とすること
を特徴とするGaN基板の製造方法。 - 請求項14または請求項15に記載のGaN基板の製造方法において、
前記エッチング工程では、
前記下地層のファセット面を露出させること
を特徴とするGaN基板の製造方法。
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