JP4486435B2 - Iii族窒化物結晶基板の製造方法、それに用いるエッチング液 - Google Patents

Iii族窒化物結晶基板の製造方法、それに用いるエッチング液 Download PDF

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本発明は、III族窒化物結晶基板の製造方法、それに用いるエッチング液、III族窒化物結晶基板、ならびにそれを用いた半導体素子に関する。
窒化ガリウム(GaN)などのIII族窒化物化合物半導体(以下、III族窒化物半導体またはGaN系半導体ともいう)は、緑色や青色、紫外光を発光する半導体素子の材料として注目されている。青色レーザダイオード(LD)は、高密度光ディスクやディスプレイに応用され、また青色発光ダイオード(LED)はディスプレイや照明などに応用される。また、紫外線LDはバイオテクノロジなどへの応用が期待され、紫外線LEDは蛍光灯の紫外線源として期待されている。
LDやLED用のIII族窒化物半導体基板(例えば、GaN基板)は、通常、気相成長によって形成されている。
近年、前記LDやLEDなどの半導体素子として、各種保持基板上に有機金属気相成長(MOCVD:Metalorganic Chemical Vapor Deposition)法やハイドライド気相成長法(HVPE)により成長させたテンプレート基板や、成長させた後、保持基板を取り除いた自立型のバルク基板が検討されている。さらに最近、サファイア基板上にMOCVD法によりGaN結晶層を成長させたのち、その上に液相エピタキシャル成長(LPE:Liquid Phase Epitaxy)法によって単結晶を成長させる方法も報告されている(例えば、特許文献1や非特許文献1参照)。
また、基板の加工方法についても様々な方法が提案されている(例えば、非特許文献2および非特許文献3参照)。
特開2002−293696号公報 日本結晶成長学会 Vol.30 (No.2) pp.96-103、2003年 アプライド フィジックス レターズ(Appl. Phys. Let.) Vol.68 No.7 pp917-919、1996年 ソリッドステート エレクトロニクス(Solid-state Electronics.) Vol.41 No.2 pp295-298、1997年
結晶成長直後のIII族窒化物結晶基板表面には、例えば、小さな穴(ピット)や凹凸(ヒロック)、ファセットとよばれる自然面等が数多く発生している。そのため、このようなIII族窒化物結晶基板を用いて半導体素子等を製造する場合、予め、その基板表面を処理する必要があった。しかしながら、III族窒化物結晶基板は硬くて脆いため、表面処理することが困難であった。
そこで、本発明の目的は、硬くて脆いIII族窒化物結晶基板の表面を処理する技術を提供することである。
前記目的を達成するために、本発明のIII族窒化物結晶基板の第1の製造方法は、III族窒化物結晶表面を表面処理する工程を含み、前記表面処理工程が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を含む融液に接触させて前記表面をメルトバックエッチングする工程および前記融液を用いてメカノケミカル研磨する工程の少なくとも一方を含む。
次に、本発明の第2の製造方法は、以下の(i)〜(iv)の工程を含む製造方法である。
(i)III族元素化合物の半導体シード層を準備する工程、
(ii)前記半導体シード層の上に、欠陥密度が前記半導体シード層よりも大きい第1の半導体層を液相成長させる工程、
(iii)前記第1の半導体層の上に、欠陥密度が前記第1の半導体層よりも小さい第2の半導体層を液相成長させる工程、および、
(iv)少なくとも前記半導体シード層および前記第1の半導体層を除去して、第2の半導体層からなる自立型のIII族窒化物結晶基板を得る工程。また、前記(iv)工程の後に、さらに、前記第2の半導体層の表面を表面処理する工程を含むことが好ましい。
次に、本発明の第3の製造方法は、以下の(I)〜(IV)の工程を含む製造方法である。
(I)III族元素化合物の半導体シード層を準備する工程、
(II)前記半導体シード層の上に、欠陥密度が前記半導体シード層よりも大きい第1の半導体層を液相成長させる工程、
(III)前記第1の半導体層の上に、欠陥密度が前記第1の半導体層よりも小さい第2の半導体層を液相成長させる工程、および、
(IV)前記第2の半導体層の表面を表面処理する工程。また、前記第2および第3の製造方法において、前記表面処理は、例えば、本発明のメルトバックエッチング、本発明のメカノケミカル研磨、機械的な加工、通常のメカノケミカル研磨等があげられ、これは単独で使用しても、併用してもよく、併用する場合、機械的な加工を行った後メカノケミカル研磨を行うことが好ましい。
本発明の製造方法によると、例えば、加工歪や加工欠陥等が抑制されたIII族窒化物結晶基板が得られる。また、本発明のIII族窒化物結晶基板を用いることによって、例えば、特性が高い半導体素子が得られる。
本発明の製造方法において、本発明のメルトバックエッチングとは、液相成長の逆の過程、すなわち、未飽和状態の融液でIII族窒化物結晶を溶解する工程を利用したエッチングのことである。このように未飽和状態の融液でIII族窒化物結晶を溶解するため、加工歪や加工欠陥が抑制された結晶を得ることができる。また、本発明の製造方法において、本発明のメカノケミカル研磨とは、機械的な加工である研磨と、化学的な加工であるエッチングとを同時に行うことであり、2つの相違する加工を同時に行うため、ダメージの低減に加えて、加工歪や加工欠陥が抑制されることはもちろんのこと、それに加えて表面の平坦性により一層優れる結晶を得ることができる。なお、以下、前記融液を使用したメルトバックエッチングは、本発明のメルトバックエッチングと、前記融液を使用したメカノケミカル研磨は、本発明のメカノケミカル研磨と、コロイダルシリカやコロイダルダイヤモンド等を用いたメカノケミカル研磨を、通常のメカノケミカル研磨ともいう。
本発明において、前記表面処理としては、例えば、加工歪除去処理、表面平坦化処理等を含む。また、本発明において、III族窒化物結晶基板とは、III族窒化物結晶のみの自立基板と支持基板上に形成されたIII族窒化物結晶基板との両方を含む。
本発明の製造方法において、前記アルカリ金属は、Na、Li、K、RbおよびCsであり、前記アルカリ土類金属は、Ca、Mg、Sr、BaおよびBeであり、これらは、1種類で使用しても2種類以上を併用してもよい。この中でも、Na、Li、Ca、Baが好ましい。
本発明の製造方法において、前記融液が、さらに、III族元素を含むことが好ましい。前記融液中のIII族元素の量を変化させることにより、融液の飽和度を調節し、エッチング速度を調節することができる。前記III族元素は、Ga、AlおよびInであり、これらは、1種類で使用しても2種類以上を併用してもよい。また、表面処理するIII族窒化物結晶に含まれるIII族元素と同じIII族元素を添加することがより好ましい。例えば、GaN基板を表面処理する場合には、Gaを含むことが好ましく、InN基板を表面処理する場合には、Inを含むことが好ましく、AlN基板を表面処理する場合には、Alを含むことが好ましい。なお、Alを含む融液を使用した場合、融液の温度が高くなる場合があるので、Alに加えて、GaおよびInの少なくとも一方を同時に添加することが好ましい。
本発明の製造方法において、前記融液が、NaとGaとを含む融液であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記融液における、III族元素のモル数(A)と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の合計のモル数(M)との関係(A/(A+M))が、下記の式(1)および(2)のいずれかを満たすことが好ましく、より好ましくは下記の式(3)および(4)のいずれかを満たすことである。
0≦A/(A+M)≦0.10 ・・・(1)
0.9≦A/(A+M)≦0.999 ・・・(2)
0≦A/(A+M)≦0.05 ・・・(3)
0.95≦A/(A+M)≦0.999・・・(4)
本発明の製造方法において、前記融液が、さらに、研磨砥粒を含む融液であることが好ましい。研磨砥粒を含むことにより、砥粒による機械的な加工と、アルカリ金属等によるエッチングとを同時に行うことができ、加工歪や加工欠陥が抑制され、より一層平坦性に優れるIII族窒化物結晶基板を、より一層効率よく製造できる。
本発明の製造方法において、前記研磨砥粒は、例えば、アルミナ、ダイヤモンド、SiC、GaN、AlN等があげられる。
本発明の製造方法において、前記研磨砥粒の粒径は、例えば、0.01μm〜2μmであり、好ましくは0.05μm〜0.5μmである。
本発明の製造方法において、メルトバックエッチングを行う場合、前記融液の温度は、例えば、400℃〜900℃であることが好ましく、より好ましくは600℃〜850℃である。また、本発明の製造方法において、本発明のメカノケミカル研磨を行う場合、前記融液の温度は、例えば、80℃〜200℃であることが好ましく、より好ましくは100℃〜150℃である。本発明のメカノケミカル研磨において、メルトバックエッチングよりも比較的低温の融液により行うことが可能であるのは、機械的な加工圧を同時に利用しながら表面加工を行うため、結晶表面に非常に不安定な面(例えば、ダングリングボンド等)を多く持つ面が露出する結果、加工温度を下げても機能するものと推察されるが、本発明はこれに制限されない。
本発明の製造方法において、例えば、N2ガス、NH3ガス、H2ガス、Heガス、Arガス等を含む雰囲気下で、表面処理を行うことが好ましい。この中でも、N2ガス、H2ガスがより好ましい。また、特に本発明のメカノケミカル研磨を行う場合、高純度の不活性気体を含む不活性雰囲気下(例えば、グローブボックス等)で行うことがより好ましい。前記不活性気体としては、例えば、窒素、Ar、He等があげられ、この中でも、比較的安価で,かつ反応性の低い窒素が好ましい。
本発明の製造方法において、前記雰囲気圧力は、例えば、1atm(1×1.013×105Pa)〜10atm(10×1.013×105Pa)である。
このように、本発明の製造方法によると、III族窒化物結晶表面の凹凸を、例えば、±5μm以下、好ましくは±2μm以下、より好ましくは±0.5μm以下にできる。なお、前記結晶表面の凹凸とは、主に基板のそりによる量を差し引いた正味の結晶表面の凹凸量である。ここで、基板の反り量を考慮しないのは、露光時のサンプル固定方法によって、基板の反りは、ある程度補正可能であることによる。なお、III族窒化物結晶表面の凹凸は、例えば、光の干渉を利用した干渉計やフラットネステスタ、機械式の表面粗さ計、原子間力顕微鏡(AFM)等で計測できる。また、前記サンプル固定方法としては、例えば、真空吸着があげられる。
本発明の製造方法において、前記表面処理工程に先立って、III族窒化物結晶を機械的に加工する工程もしくはメカノケミカル研磨する工程の少なくとも一方を行うことが好ましい。前記加工方法としては、例えば、ダイヤモンド研磨、ダイヤモンド研削、スライス加工等があげられる。前記メカノケミカル研磨としては、例えば、本発明のメカノケミカル研磨、研磨クロスとSiO2系スラリ(コロイダルシリカ)またはダイヤモンド系スラリ(コロイダルダイヤモンド)等とを使用した通常のメカノケミカル研磨があげられる。
本発明の製造方法の表面処理工程において、前記III族窒化物結晶表面の変質層を除去することが好ましい。前記変質層とは、機械的な加工等により、歪みや応力の残った非常に結晶欠陥の多い層である。
本発明の製造方法において、使用するIII族窒化物結晶は特に制限されず、例えば、液相成長や気相成長等により成長させた結晶や、液相成長や気相成長等により成長させたバルク結晶をスライスしたものを使用してもよい。また、本発明の製造方法において、予め、気相成長および液相成長の少なくとも一方の方法により前記III族窒化物結晶を成長させる工程を含んでいてもよい。前記気相成長としては、例えば、MOCVD法、HVPE法、昇華法等があげられ、前記液相成長としては、例えば、メルト法、フラックス法、LPE法、チョクラルスキー法等があげられる。
本発明の製造方法において、気相成長により成長させたIII族窒化物結晶を表面処理する場合、本発明のメルトバックエッチング、本発明のメカノケミカル研磨、あるいは通常のメカノケミカル研磨と本発明のメルトバックエッチングとを併用することがより好ましい。また、液相成長により成長させたIII族窒化物結晶を表面処理する場合、III族窒化物結晶の機械的強度が気相成長で成長させたものより強固となる傾向があり、通常のメカノケミカル研磨のみでも可能である。しかし、より好ましくは本発明のメルトバックエッチング、本発明のメカノケミカル研磨もしくは通常のメカノケミカル研磨と本発明のメルトバックエッチングとを併用することである。
本発明の製造方法において、前記液相成長が、窒素を含む雰囲気下において、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムからなる群から選択される少なくとも一つのIII族元素と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方と、窒素とを含む融液中若しくは融液表面でIII族窒化物結晶を成長させる方法であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記アルカリ金属は、Na、Li、K、RbおよびCsであり、前記アルカリ土類金属は、Ca、Mg、Sr、BaおよびBeであり、これらは、1種類で使用しても2種類以上を併用してもよい。この中でも、III族窒化物結晶に対する溶解度と反応性の面から、Na、Li、Ca、Baが好ましい。前記窒素を含む雰囲気は、例えば、N2ガス、NH3ガス等を含む雰囲気があげられる。
本発明の製造方法において、III族元素化合物の半導体シード層を準備し、前記半導体シード層の上にIII族窒化物結晶を成長させることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記液相成長が、第1段階と第2段階との2段階で行われ、第1段階が、前記半導体シード層の上に、欠陥密度が前記半導体シード層よりも大きい第1の半導体層を形成する工程であり、第2段階が、前記第1の半導体層の上に、欠陥密度が前記第1の半導体層よりも小さい第2の半導体層を形成する工程であることが好ましい。このように、半導体シード層表面をメルトバックさせながら欠陥密度が大きい第1の半導体層(高欠陥層)を形成し、そして、第2の半導体層を成長させることで、より一層品質に優れる第2の半導体層を形成できる。
なお、本発明において、「欠陥」とは、結晶構造の欠陥であれば、特に制限されない。前記「欠陥」には、例えば、不純物の混入による欠陥、結晶格子欠陥などが含まれる。前記不純物は、例えば、結晶の製造に使用する、坩堝、反応容器、その他の部材等の構成材料成分に由来するもの、液相法に使用する融液の材料成分に由来するものなどがある。前記結晶格子欠陥には、例えば、転位(線欠陥)が含まれ、前記転位には、例えば、刃状転位および螺旋転位などが含まれる。例えば、GaN結晶においては、結晶格子欠陥としては、例えば、GaやNの欠陥などがある。本発明における欠陥のうち、不純物の混入による欠陥などは、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry:二次イオン質量分析)などの不純物分析や、フォトルミネッセンス(PL)評価などによる光学評価などにより測定でき、また転位などは透過型電子顕微鏡(TEM)による観察などにより測定できる。
本発明の製造方法において、前記第2の半導体層の転位密度は、0を超え1×106cm-2以下とすることができ、その不純物密度は、例えば、1ppm〜10ppmとすることができる。また、前記第1の半導体層の転位密度が、前記半導体シード層および第2の半導体層の転位密度よりも、100倍以上大きいことが好ましく、前記第1の半導体層の転位密度は、1×108cm-2以上であることが好ましい。
本発明の製造方法において、さらに、前記半導体シード層および高欠陥層である前記第1の半導体層の少なくとも一方を除去して、第2の半導体層からなる自立型のIII族窒化物結晶基板を得る工程を含むことが好ましい。前記除去方法は特に制限されず、例えば、機械的な研削、各種研磨、メルトバックエッチング等があげられる。
本発明の製造方法において、前記半導体シード層が、支持基板上に形成されていることが好ましい。前記支持基板としては、例えば、表面が(111)面であるGaAs基板、表面が(111)面であるSi基板、表面が(0001)面であるサファイア基板、表面が(0001)面であるSiC基板などが使用できる。この中で、表面が(0001)面であるサファイア基板や表面が(0001)面であるSiC基板が好ましい。
本発明のIII族窒化物結晶基板は、前記本発明の製造方法により得られるIII族窒化物結晶基板である。
本発明の半導体素子は、III族窒化物結晶基板を用いて形成された半導体素子であって、前記III族窒化物結晶基板が、前記本発明のIII族窒化物結晶基板である。本発明の半導体素子の種類は、特に制限されず、例えば、レーザダイオード、発光ダイオードであってもよい。
本発明のエッチング液は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を含む融液であるエッチング液であって、前記エッチング液において、III族元素のモル数(A)と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の合計のモル数(M)との関係(A/(A+M))が、下記の式(1)および(2)のいずれかを満たすことが好ましく、より好ましくは下記の式(3)および(4)のいずれかを満たすことである。
0≦A/(A+M)≦0.10 ・・・(1)
0.9≦A/(A+M)≦0.999 ・・・(2)
0≦A/(A+M)≦0.05 ・・・(3)
0.95≦A/(A+M)≦0.999・・・(4)
本発明において、前記エッチング液が、エッチングするIII族窒化物結晶に含まれるIII族元素と同じIII族元素を添加することがより好ましい。例えば、GaN基板をエッチングする場合には、Gaを含むことが好ましく、InN基板をエッチングする場合には、Inを含むことが好ましく、AlN基板をエッチングする場合には、Alを含むことが好ましい。なお、Alを含むエッチング液を使用した場合、エッチング液の温度が高くなる場合があるので、Alに加えて、GaおよびInの少なくとも一方を同時に添加することが好ましい。
本発明において、前記エッチング液が、NaとGaとを含むエッチング液であることが好ましい。
本発明において、前記エッチング液が、さらに、研磨砥粒を含むことが好ましい。前記研磨砥粒は、例えば、アルミナ、ダイヤモンド、GaN、SiC、AlN等があげられる。前記研磨砥粒の粒径は、例えば、0.01μm〜2μmであり、好ましくは0.05μm〜0.5μmである。
次に、本発明の実施形態について説明する。
(実施形態1)
実施形態1は、半導体シード層と第1の半導体層と第2の半導体層とを有するIII族窒化物結晶基板の表面を機械的に加工する加工工程と、前記加工した表面を、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を含む融液に接触させて、メルトバックエッチングすることによる表面処理工程とを含む製造方法である。
まず、支持基板上に、例えば、MOCVD等の気相成長法によって、種結晶となる半導体シード層(組成式AlsGatIn1-s-tN(ただし、0≦s≦1、0≦t≦1、s+t≦1))を成長させる。
次に、その上に、組成式AlmGanIn1-m-nN(ただし、0≦m≦1、0≦n≦1、m+n≦1)で表される第1の半導体層を液相成長により成長させ、さらにその上に、組成式AlxGayIn1-x-yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)で表される第2の半導体層を液相成長により成長させる。
以下に、液相成長による第1および第2の半導体層の形成方法の一例を説明する。
まず、窒素を含む雰囲気下(好ましくは100atm(100×1.013×105Pa)以下の加圧雰囲気下)において、Ga、AlおよびInから選ばれる少なくとも一つのIII族元素と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方と、窒素とを含む融液に、前記半導体シード層の表面を接触させる。これにより、前記半導体シード層の表面を一旦メルトバックさせ、半導体シード層よりも転位密度が大きい第1の半導体層(高欠陥層)を成長させる。この第1の半導体層(高欠陥層)には液相成長のフラックスとして使用するアルカリ金属やアルカリ土類金属も取り込まれやすく、さらにIII族元素も窒化物としてではなく、金属元素として取り込まれる場合がある。前記第1の半導体層の転位密度は、例えば、108cm-2以上であり、好ましくは109cm-2〜1014cm-2である。また、第1の半導体層は、第2の半導体層と比較しても転位密度が高い層である。
次に、第1の半導体層の成長に引き続いて第2の半導体層を成長させる。すなわち、前記融液に半導体シード層を接触させたままの状態(同じ雰囲気下)で、第1および第2の半導体層を一連の工程で形成できる。具体的には窒素を含む雰囲気下(好ましくは100atm(100×1.013×105Pa)以下の加圧雰囲気下)において、例えば、第1の半導体層は、最初に未飽和の状態の融液を用い、その後融液を過飽和の状態に移行させることによって形成できる。そして、その過飽和の融液を用いて引き続き結晶成長を行うことによって、第2の半導体層を形成できる。未飽和の状態の融液と接触した半導体シード層が一度融解することによって、転位密度が高い第1の半導体層が形成される。第1の半導体層の厚みは、成長条件によって適宜設定することができるが、例えば、1μm〜200μmである。また、過飽和の状態の融液と接触している第1の半導体層上に、転位密度が低い第2の半導体層が形成される。
このように高欠陥層となる第1の半導体層を形成させて、第2の半導体層を形成することにより、第2の半導体層は、第1の半導体層よりも転位密度を小さくできる。その転位密度は、例えば、1×106cm-2以下であり、アルカリ金属等の不純物濃度は、例えば、1ppm〜10ppm以下とできる。なお、転位密度が小さい第2の半導体層を形成するにあたって、必ずしも第1の半導体層を形成する必要があるわけでもない。例えば、種結晶となる基板として比較的転位密度が大きな基板を使用し、その基板をメルトバックさせることなく第2の半導体層を成長させることによっても、転位密度が小さい第2の半導体層を形成できる。
液相成長において、窒素を含む雰囲気としては、例えば、N2ガスやNH3ガスを含む雰囲気を適用できる。アルカリ金属には、Na、Li、K、RbおよびCsから選ばれる少なくとも一つまたはそれらの混合物を用いることができる。なお、融液は、アルカリ土類金属単独、もしくはアルカリ金属とアルカリ土類金属との混合物でもよい。アルカリ土類金属としては、例えば、Ca、Mg、Sr、BaおよびBeから選ばれる少なくとも一つまたはそれらの混合物を用いることができる。これらは、通常、フラックスとして機能する。アルカリ金属やアルカリ土類金属の他にIII族元素もフラックスとしての作用をもつ。また、窒素は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方と、III族元素との混合融液に溶解している。
液相成長工程において、融液は、例えば、材料を坩堝に投入して加熱することによって調製できる。融液を調製したのち、前記融液を過飽和の状態とすることによって半導体結晶を成長させる。材料の溶融および結晶成長は、例えば、温度が700℃〜1100℃で、圧力が10atm(10×1.013×105Pa)〜100atm(100×1.013×105Pa)で行うことができる。
このようにして得られたIII族窒化物結晶基板は、結晶成長直後の状態では、その表面に、種結晶となる半導体シード層とは別の面方位の凹凸(ピット、ヒロック、ファセット等)が形成され、その大きさは、例えば、±10μm〜±数十μmであり、時にはミリメータオーダにも達する場合がある。したがって、表面処理工程なしでは、デバイス化等の際に素子パターンなどを形成するための露光工程を問題なく行うことが困難である。したがって、第2の半導体層の表面を処理する必要がある。
以下、メルトバックエッチングにより表面を処理する方法の一例を説明する。
まず、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を坩堝に配置し、その坩堝を電気炉内で加熱して融液を作成する。この融液に窒化物結晶の表面を接触させることにより、その表面をメルトバックエッチングする。エッチングにおける雰囲気ガスとしては、例えば、N2ガス、NH3ガス、H2ガス等があげられる。前記アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Csがあげられ、前記アルカリ土類金属としては、Ca、Sr、Ba、Beがあげられ、1種類でも2種類以上を使用してもよい。また、前記融液はIII族元素を含んでもよく、III族元素を加えることにより融液の未飽和度を調整して、エッチング速度を調整することができる。ここで、アルカリ金属やアルカリ土類金属はエッチング速度を速めるエッチャント(フラックス)としての作用が大きい特徴がある。前記エッチング液(融液)の組成としては、III族元素のモル数(A)と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の合計のモル数(M)との関係(A/(A+M))が、下記の式(1)および(2)のいずれかを満たすことが好ましく、より好ましくは下記の式(3)および(4)のいずれかを満たすことである。
0≦A/(A+M)≦0.10 ・・・(1)
0.9≦A/(A+M)≦0.999 ・・・(2)
0≦A/(A+M)≦0.05 ・・・(3)
0.95≦A/(A+M)≦0.999・・・(4)
前記融液の温度としては、例えば、400℃〜900℃、また雰囲気の圧力としては、例えば、1atm(1×1.013×105Pa)〜10atm(10×1.013×105Pa)で行うことが好ましい。これは、1atm(1×1.013×105Pa)未満であると、フラックスとして用いるアルカリ金属等の蒸発を制御することが困難であり、10atm(10×1.013×105Pa)を超えると、融液中で結晶成長が開始するおそれがある。
本実施形態では、液相成長により得られた結晶を用いたが、本発明のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を含む融液を用いたメルトバックエッチングは、液相成長により得られた結晶だけでなく、気相成長により得られた結晶においても、加工歪や加工欠陥が抑制された、平坦性に優れる表面加工が実現できる。
(実施形態2)
実施形態2は、実施形態1のメルトバックエッチングに代えて、本発明のメカノケミカル研磨により表面処理を行う一例である。
前記実施形態1の本発明のメルトバックエッチングの場合と同様にして、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を含む融液を準備する。前記融液が、III族元素を含むことが好ましく、前記融液の組成としては、例えば、III族元素のモル数(A)と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の合計のモル数(M)との関係(A/(A+M))が、下記の式(1)および(2)のいずれかを満たすことが好ましい。
0≦A/(A+M)≦0.10 ・・・(1)
0.9≦A/(A+M)≦0.999 ・・・(2)
このような組成であれば、より一層低い温度で本発明のメカノケミカル研磨を行うことができる。また、使用する研磨砥粒としては、例えば、比較的硬く、アルカリ金属等との反応性の低いアルミナ、ダイヤモンドおよびSiC等が使用できる。また、GaNおよびAlN等の表面処理を行うIII族窒化物結晶と硬度が同程度の研磨砥粒ならびに同一組成の研磨砥粒等も使用できる。本発明のメカノケミカル研磨は、使用する融液中の酸素や水分との反応性が高いので、例えば、N2ガスや希ガス等で置換した雰囲気下(例えば、グローブボックス等)で行うことが好ましい。酸素や水分があると、アルカリ金属やアルカリ土類金属は、金属ではなく酸化物や水酸化物となり、本来期待されたエッチング効果が発揮できなくなり、その結果、十分な表面処理効果を得ることが困難になる場合があるからである。使用する研磨クロスは、従来公知のものが使用でき、その中でも、アルカリ金属やアルカリ土類金属との反応性が低いものが好ましい。また、従来公知の研磨機が使用できる。処理温度としては、低温で行うことが好ましく、例えば、前記融液の粘度を下げるために、80℃〜200℃が好ましいが、これには制限されない。また、公知の研磨機の一部に加熱機を組み込み、研磨温度を高くすることもできる。Na−LiやNa−Ga系の融液とダイヤモンド砥粒とを用いた場合、例えば、10分間あたり0.05μm〜1μmの速度で、加工変質層のない、さらに、本発明のメルトバックエッチングよりも表面平坦性に優れるGaN結晶を得ることができる。
(実施形態3)
実施形態3は、実施形態1において、さらに、支持基板側から少なくとも半導体シード層および第1の半導体層を除去し、III族窒化物結晶基板を製造する方法の一例である。
実施形態1のように、種結晶となる半導体シード層と、低欠陥層である第2の半導体層との間に、高欠陥層である第1の半導体層が形成されている場合、この高欠陥層ではキャリア濃度が大きく異なることや、不純物を多く含む場合が多いため、デバイス化に際して除去することが好ましい場合がある。特に半導体レーザ等では基板の裏面から電極をとることがあり、その場合、キャリア濃度や欠陥量(不純物量を含む)の著しく異なる部分が存在することによってデバイス性能や信頼性を劣化させる場合があるからである。すなわち、支持基板側から、少なくとも半導体シード層および第1の半導体層、好ましくは第2の半導体層の一部までを除去すればよい。除去方法としては、特に制限されず、例えば、機械的な研削、各種研磨、メルトバックエッチング等があげられる。
さらに、前記除去により露出した第2の半導体層の表面を、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を含む融液に接触させることによって、その表面をメルトバックエッチングやメカノケミカル研磨を行ってもよい。
本発明のIII族窒化物結晶基板は、表面にファセット、ピット、ヒロック等の凹凸がほとんど無く平坦で、かつ研磨傷や加工歪が少ないため、より一層性能に優れる半導体素子を形成できる。すなわち、本発明のIII族窒化物結晶基板上にはレーザダイオードやトランジスタなどの半導体素子を作製できる。
(実施形態4)
実施形態4は、気相成長により成長させたIII族窒化物結晶基板表面をメルトバックエッチングにより処理する方法の一例である。
支持基板上に、組成式AlsGatIn1-s-tN(ただし、0≦s≦1、0≦t≦1、s+t≦1)で表される半導体層を、気相成長法により成長させた場合、結晶成長直後の状態では、ヒロックやピット等により、基板表面に比較的大きな凹凸が発生する。しかしながら、気相成長により成長させたIII族窒化物結晶基板の場合、通常の研磨のみでは加工歪や加工欠陥が除去できないため、通常、結晶成長直後状態(As-grown状態)でデバイス作製のための基板として利用される。しかし、前記液相成長により成長させた結晶基板の場合と同様に、基板表面の凹凸は、後のデバイス化の際の露光工程等で問題となる。したがって、結晶表面の凹凸を、例えば、±5μm以下とするための表面処理を施すことが必要となる。気相成長により成長させた結晶の場合、本発明のメルトバックエッチング、通常のメカノケミカル研磨と本発明のメルトバックエッチングとのを併用、あるいは本発明のメカノケミカル研磨により、加工歪や加工欠陥を除去し、結晶表面を平坦化できる。
(実施形態5)
実施形態5は、バルク結晶をスライス加工することにより、ウェハ状のIII族窒化物結晶基板を加工する一例である。
まず、液相成長や気相成長により得られたバルク結晶をスライス加工することにより、ウェハ状のIII族窒化物結晶基板を得る。前記液相成長としては、例えば、LPE成長、メルト成長、フラックス成長、チョクラルスキー成長等があげられ、前記気相成長としては、例えば、HVPE成長、昇華成長等があげられる。スライス加工によって露出した基板表面は、スライスにより表面が非常に粗くなるため、基板表面を機械的な加工である研磨または研削により鏡面加工する。鏡面加工した後、機械的な加工により形成された変質層を本発明のメルトバックエッチングや、通常のメカノケミカル研磨と本発明のメルトバックエッチングとの併用により除去することで、より一層平坦なIII族窒化物結晶基板を得られる。
(実施形態6)
以下に、電界効果トランジスタを作製する一例について説明する。電界効果トランジスタの構造を図8に模式的に示す。基板には、フラックスを用いた液相成長により得られるノンドープのGaN基板111を用いることができる。液相成長により得られるGaN基板111は、電気抵抗が、例えば、1010Ω以上で絶縁体に近い特性を示す。このGaN基板111上に、MOCVD法によってGaN層112とAlGaN層113とを形成する。さらに、この上にソース電極114、ゲート電極115およびドレイン電極116を形成する。ゲート電極115へ電圧を印加することによって、GaN層112とAlGaN層113との界面に形成される2次元電子ガス濃度117を制御し、トランジスタとしての動作を行わせる。特に、本発明のメルトバックエッチング、本発明のメカノケミカル研磨および通常のメカノケミカル研磨と本発明のメルトバックエッチングの併用により基板111の表面の欠陥や加工歪を減らすことが可能であり、その結果、MOCVDによって転位密度の小さなGaN層112とAlGaN層113を形成できる。そのため、絶縁性も高く、トランジスタ動作時のリーク電流を低減することができ、高周波特性の優れた電界効果トランジスタを実現できる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1は、支持基板上に種結晶となる半導体シード層を形成し、この上に液相成長により成長させた第1の半導体層の表面であって、ファセットやピット等による凹凸が発生した表面を、通常のメカノケミカル研磨により処理する一例である。以下、図2を用いて説明する。
図2は、III族窒化物結晶基板表面を処理する工程の一例を示す断面図である。図2(a)に示すように、支持基板10上に、半導体シード層12として、MOCVD法によりGaN膜を形成した(厚み4μm)。具体的には、支持基板10には、表面がC面であるサファイア基板を使用し、支持基板10の温度が、1020℃〜1100℃となるようにサファイア基板10を加熱し、トリメチルガリウム(TMG)とNH3とを支持基板10上に供給した。
次に、半導体シード層12上に、液相成長により第1の半導体層16を成長させた。具体的には、窒素雰囲気中(好ましくは100atm(100×1.013×105Pa)以下の加圧雰囲気下)において、ガリウムとナトリウムと窒素とを含む融解液に半導体シード層12を接触させ、半導体シード層12上にGaN層(第1の半導体層)16を成長させた。このようにして、支持基板10上に半導体シード層12と第1の半導体層16とが形成されたIII族窒化物結晶基板を得た。
得られたIII族窒化物結晶基板表面を目視および光学顕微鏡により観察したところ、ピット、ヒロック、ファセット等による凹凸が発生していた。
次に、得られたIII族窒化物結晶基板表面に、ダイヤモンド、SiC、アルミナ等の砥粒を用いて機械的な加工を施すことにより、表面処理を施した。そして、SiO2系スラリと研磨クロスとを使用して、前記加工表面に通常のメカノケミカル研磨を施し、前記表面の加工歪を除去した。このようにして、表面が平坦で、かつ鏡面のIII族窒化物結晶基板が得られた。得られたIII族窒化物結晶基板表面の凹凸は、光学的干渉計で測定した結果、±4μm以下であった。また、表面粗さをAFMにより測定し、そのRMS(root mean square:二乗平均平方根)を算出したところ、約2nmであった。
また、結晶成長直後と通常のメカノケミカル研磨加工後において、III族窒化物結晶基板表面のPL強度を、励起波長325nmのHe-Cdレーザを用いて測定した。その結果、それらの比(PLa/PLb)が0.5倍〜1倍であり、加工歪も比較的小さく押さえられていることが分かった。メルトバックエッチングを施すことなく、通常のメカノケミカル研磨のみでも加工変質層が小さく押さえられているのは、液相成長により成長させた結晶の方が、硬くて緻密な結晶が得られるためであると考えられる。
なお、通常のメカノケミカル研磨による加工歪のさらなる低減と再現性の向上には、本発明のメルトバックエッチングが有効であった。
実施例2は、実施例1と同様の条件下で、III族窒化物結晶基板をバルク状に成長させ、それをスライスしてウェハ状の基板を得て、その基板表面を通常のメカノケミカル研磨と本発明のメルトバックエッチングとにより処理する一例である。
図3は、III族窒化物結晶基板をスライスして、ウェハ状の基板を製造する工程の一例を示す断面図である。まず、実施例1と同様にして、半導体シード層上に厚み5mmのGaN層(第1の半導体層)26を成長させ、そして、第1の半導体層26を、300μmの厚みにスライスしてウェハ状の基板27を得た。基板27のスライス面は、結晶成長直後よりも大きな凹凸が発生した粗雑な表面であった。
次に、基板27の表面を、ダイヤモンドまたはSiC、アルミナなどの砥粒を用いた機械的な加工を施すことにより、ほぼ平坦にした。そして、この機械的加工により、基板27の表面に形成された変質層を、通常のメカノケミカル研磨と本発明のメルトバックエッチングにより除去した。なお、通常のメカノケミカル研磨は実施例1と同様にして行った。
以下、本発明のメルトバックエッチングの方法を説明する。
アルカリ金属を含む融液である本発明のエッチング液を使用し、前記結晶表面に本発明のメルトバックエッチングを行った。図6に、本実施例で使用するエッチング装置を示す。
図6のエッチング装置50は、電気炉53とヒーター70とを備え、電気炉53内には、窒化物基板52が配置されるスライダー51と坩堝54とが配置されている。坩堝54には、未飽和の融液であるエッチング液60が配置されている。雰囲気ガスとして、窒素ガスを使用し、エッチング液として、アルカリ金属(NaもしくはNa-Li系)100に対して金属Gaを0〜10モル%添加した融液(フラックス)を使用した。このようにGaを添加して、未飽和度の大きさを調整することで、より一層加工歪のない、表面平坦性に優れる表面を有するIII族窒化物結晶基板を得ることができる。また、メルトバックエッチング条件は、エッチング液の温度を600℃〜900℃、窒素圧力を1atm(1×1.013×105Pa)〜5atm(5×1.013×105Pa)とした。そして、スライダー51を図中の矢印B方向に移動させることによって、III族窒化物結晶基板52を電気炉53の低温部に移動させることで、エッチングを終了させた。また、エッチングの再現性を向上するために、図中の矢印Aで示すように、エッチング液60を配置した坩堝54を電気炉53全体とともに、例えば、±20°で揺動することによって、エッチング液中に窒素ガスを均一に溶解することが可能となりエッチング液全体の未飽和度を均一にすることができる。
本発明の方法によれば、エッチング速度は、例えば、0.05μm/分〜0.5μm/分とすることができ、このように速い速度で、III族窒化物結晶基板の表面の凹凸を、例えば、±5μm以下(ほぼ鏡面状態)とすることができた。なお、前記非特許文献3(Solid-state Electronics. Vol41 No2 pp295-298(1997))には、Gaの割合が100%の溶液を使用してエッチングする方法が記載されているが、本発明によるとアルカリ金属等の融液をエッチング液と使用しているため、前記非特許文献3に記載されている速度よりも、数倍から数十倍程度速いエッチング速度で、III族窒化物結晶基板の表面をほぼ鏡面状態とすることができる。
このように、通常のメカノケミカル研磨と本発明のメルトバックエッチングとを併用する方法は、基板の裏面やスライス面を含むすべての結晶表面に適応できるといえる。以上のようにして得られたIII族窒化物結晶基板は、表面が平坦で、欠陥が少ないため、この基板を用いて半導体レーザや電子デバイスを作製した場合、製造装置内へのフラックスの拡散低減や、リーク電流の低減などデバイス特性の向上が見られた。なお、本実施例では、第1の半導体層を厚く成長させたが、以下の実施例3に示すように第1の半導体層を薄く成長させ、第2の半導体層の厚みが数ミリメートル程度となるように厚く成長させたものを使用することもできる。
実施例3は、支持基板上に、半導体シード層、第1および第2の半導体層の3つの層が形成され、第1の半導体層および第2の半導体層を液相成長により成長させたIII族窒化物結晶基板の表面を通常のメカノケミカル研磨により処理する一例である。
以下、図4を用いて説明する。図4は、基板上に3つの半導体層が形成されたIII族窒化物結晶基板表面を、通常のメカノケミカル研磨により処理する工程の一例を示す断面図である。
まず、実施例1と同様にして、支持基板10上に半導体シード層12を形成した。次に、GaN融液中で、半導体シード層12上に、高欠陥層(第1の半導体層)34およびLPE層(第2の半導体層)36を形成した。具体的には、窒素雰囲気下(好ましくは100atm(100×1.013×105Pa)以下の加圧雰囲気下)において、ガリウムとナトリウムと窒素とを含む融液に半導体シード層12の表面を接触させることにより成長させた。なお、高欠陥層34は、例えば、前記融液の温度をLPE層36の成長温度よりも高温にし、その後、成長温度まで下げることによって形成できる。また、別の方法では、雰囲気ガスである窒素ガス圧力をLPE層36の成長条件よりも低圧にし、その後高圧にすることで形成できる。すなわち、未飽和状態の融液を用いてシード層を溶解させ、その後、融液を過飽和状態にしてGaN層を成長させることで、高欠陥層34を形成できる。そして、引き続き融液を過飽和状態で維持することによって、高欠陥層34上にLPE層16を成長させる。これにより、低転位のLPE層を容易に成長できた。
次に、支持基板10、半導体シード層12、第1の半導体層(高欠陥層)34、ならびに第2の半導体層(LPE層)36の一部を、ダイヤモンド研削により除去し、高品質のIII族窒化物結晶基板37を得た。高欠陥層34は、LPE成長時のフラックス成分であるNaの取り込みや欠陥密度が多いため、キャリア濃度が大きく相違することや、不純物を含む場合が多い。さらに、特に裏面に電極を形成する構造のレーザ素子の場合、電極特性が不安定になる場合や、リーク電流が増加する場合がある。その場合、第1の半導体層(高欠陥層)34は、除去することが好ましい。
次に、III族窒化物結晶基板37の結晶成長面(すなわち、ダイヤモンド研削面とは反対側の表面)を平坦にするために、SiC砥粒を用いた機械的加工を施した。そして、SiO2(粒径0.05μm)を砥粒として用い、実施例1と同様にして、通常のメカノケミカルエ研磨を施し、前記結晶成長面が鏡面であるIII族窒化物結晶基板を得た。
得られたIII族窒化物結晶基板の表面は、スクラッチ傷の少ない鏡面状態であり、その基板表面の凹凸は±3μm以下であった。また、結晶成長直後のPL強度(PLb)と通常のメカノケミカル研磨加工後の(PLa)とを測定した結果、それらの比(PLa/PLb)は、0.5〜1倍であり、加工歪も小さく押さえられていることが分かった。メルトバックエッチングを施すことなく、通常のメカノケミカル研磨のみでも加工変質層が小さく押さえられているのは、液相成長により成長させた結晶の方が、硬くて緻密な結晶が得られるためであると考えられる。
実施例4は、気相成長により成長させたIII族窒化物結晶基板の表面を、通常のメカノケミカル研磨とメルトバックエッチングとにより処理する例である。以下、図5を用いて説明する。
図5は、通常のメカノケミカル研磨とメルトバックエッチングとによりIII族窒化物結晶基板表面を処理する工程の一例を示す断面図である。図5(a)に示すように、支持基板10として、表面が(0001)面のサファイア基板を使用し、前記支持基板10上に、MOCVDにより厚み8μmのIII族窒化物結晶(シード層)を成長させ、さらにその上に、HVPEによりIII族窒化物結晶20(厚み30μm)を成長させた。結晶成長直後の状態では、前記表面に、ヒロックによる凹凸が目視により観測され、また、多くのピットが顕微鏡観察により観測された。
次に、前記III族窒化物結晶基板に、通常のメカノケミカル研磨を施した。通常のメカノケミカル研磨には、SiO2系スラリと研磨クロスとを使用した。その結果、III族窒化物結晶基板の表面には、多くのスクラッチ傷が観察された。また、結晶成長直後のPL強度(PLb)と通常のメカノケミカル研磨加工後の(PLa)とを測定した結果、加工歪の目安となるそれらの比(PLa/PLb)が、0.1倍〜0.3倍であり、結晶成長直後の状態に十分回復せず、加工歪を十分に除去することができなかった。実施例1とは異なり、通常のメカノケミカル研磨のみで加工歪や加工欠陥が完全に除去できないのは、詳細は不明であるが結晶の製造方法の相違によるものと推察される。すなわち、気相成長で成長した結晶は、一般的に成長速度が速く、結晶欠陥が多いため、通常のメカノケミカル研磨では十分に加工歪や加工欠陥を除去できないと考えられる。
次に、前記通常のメカノケミカル研磨したサンプルを、実施例2と同様にしてメルトバックエッチングを行った。本発明の方法によれば、エッチング速度は、例えば、0.05μm/分〜0.5μm/分とすることができ、このように速い速度で、III族窒化物結晶基板20の表面の凹凸を、例えば、±5μm以下(ほぼ鏡面状態)とすることができた。なお、前記非特許文献3(Solid-state Electronics. Vol41 No2 pp295-298(1997))には、Gaの割合が100%の溶液を使用してエッチングする方法が記載されているが、本発明によると、前記非特許文献3に記載されている速度よりも、数倍から数十倍程度速いエッチング速度で、III族窒化物結晶基板の表面をほぼ鏡面状態とすることができる。
得られたIII族窒化物結晶基板の表面のPL強度を測定した結果、結晶成長直後のPL強度(PLb)とメルトバックエッチング加工後の(PLa)との比(PLa/PLb)は、0.5倍〜1倍であった。これは、加工歪をほとんど除去することができたといえる。また、表面の凹凸は±5μm程度であることから、これは、表面平坦性に優れ、半導体素子等に使用できるといえる。
これらの結果より、メルトバックエッチングによると、加工歪や加工欠陥が抑制され、表面平坦性に優れるIII族窒化物結晶基板が得られる。したがって、本発明のメルトバックエッチングは、表面の最終仕上げに最適であるといえる。
実施例5は、気相成長により成長させたIII族窒化物結晶からなるバルク基板の表面を、通常のメカノケミカル研磨と本発明のメルトバックエッチングとにより処理する例である。以下、図1を用いて説明する。
図1は、通常のメカノケミカル研磨と本発明のメルトバックエッチングとによりIII族窒化物結晶基板表面を処理する工程の一例を示す断面図である。図1(a)に示すように、HVPEにより得られた、表面にスクラッチ傷等を有する自立型のバルク基板11(厚み300μm)に、まず、通常のメカノケミカル研磨を施した。通常のメカノケミカル研磨は、実施例1の方法と同様にした。次に、実施例4に使用したエッチング液と同じものを使用して本発明のメルトバックエッチングを行い、図1(b)に示すようにその表面を処理して、自立型のIII族窒化物結晶半導体基板17を得た。メルトバックエッチング条件は、エッチング液の温度を700℃〜800℃、雰囲気ガスとして窒素ガスを使用し、窒素圧力を1atm(1×1.013×105Pa)〜5atm(5×1.013×105Pa)とした。このような条件下で、エッチングを10分間行い、エッチング量は0.05μm〜2μmであった。
通常のメカノケミカル研磨による加工後および本発明のメルトバックエッチングによる加工後に、それぞれ、III族窒化物結晶基板表面の凹凸を測定した。その結果、通常のメカノケミカル研磨による加工後の表面凹凸が±3μmであるのに対し、本発明のメルトバックエッチング加工後の表面凹凸は±5μmと、若干増加した。
次に、III族窒化物結晶基板表面における、通常のメカノケミカル研磨による加工後のPL強度(PLK)と本発明のメルトバックエッチングによる加工後のPL強度(PLB)とを測定した。その結果、それらの比(PLB/PLK)は、1.5倍〜3倍であり、増加していることが分かった。
次に、得られたIII族窒化物結晶基板を用いて、SIMSを行った。その結果、エッチング液としてNaがIII族窒化物結晶基板にほとんど取り込まれていないことが分かった。
以上のSIMSの結果より、前記PL強度の増加は、通常のメカノケミカル研磨により除去できなかった加工歪が、本発明のメルトバックエッチングにより除去されたことを示しているといえる。
これらの結果より、本発明のメルトバックエッチングによると、加工歪や加工欠陥のないIII族窒化物結晶基板が得られるため、本発明のメルトバックエッチングは、表面の最終仕上げに最適であるといえる。なお、加工歪や加工欠陥をより一層抑制し、さらに平坦性を向上させるためには、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を含み融液を用いた本発明のメカノケミカル研磨を用いることも可能であった。
実施例6では、前記実施例で得られる基板を用いて半導体レーザを作製した。半導体レーザ90の構造を図7に示す。
まず、前記実施例で得られるGaN結晶からなる基板91上に、キャリア密度が5×1018cm-3以下になるようにSiをドープしたn形GaNからなるコンタクト層92を形成した。基板91は、LPE法によるサファイア上にIII族窒化物結晶が形成された基板またはIII族窒化物結晶からなる自立型の基板を使用した。ここで、LPE成長によって形成された基板は比較的加工しやすいので、基板の加工方法としては通常のメカノケミカル研磨を用いた。次に、コンタクト層92上に、n形Al0.07Ga0.93Nからなるクラッド層93とn形GaNからなる光ガイド層94とを形成した。次に、Ga0.8In0.2Nからなる井戸層(厚み約3nm)とGaNからなるバリア層(厚み6nm)とによって構成された多重量子井戸(MQW)を活性層95として形成した。次に、p形GaNからなる光ガイド層96とp形Al0.07Ga0.93Nからなるクラッド層97と、p形GaNからなるコンタクト層98とを形成した。これらの層は公知の方法で形成できる。半導体レーザ90はダブルへテロ接合型の半導体レーザであり、MQW活性層におけるインジウムを含む井戸層のエネルギーギャップが、アルミニウムを含むn形およびp形クラッド層のエネルギーギャップよりも小さい。一方、光の屈折率は、活性層95の井戸層が最も大きく、以下、光ガイド層、クラッド層の順に小さくなる。
コンタクト層98の上部には、幅が2μm程度の電流注入領域を構成する絶縁膜99を形成した。p形のクラッド層97の上部およびp形のコンタクト層98には、電流狭窄部となるリッジ部を形成した。
p形のコンタクト層98の上側には、コンタクト層98とオーミック接触するp側電極100を形成した。n形のコンタクト層92の上側には、コンタクト層92とオーミック接触するn側電極101を形成した。
作製した半導体レーザのデバイス評価を行った。得られた半導体レーザに対して、p側電極とn側電極との間に順方向の所定の電圧を印加すると、MQW活性層にp側電極から正孔、n側電極から電子が注入され、MQW活性層において再結合し光学利得を生じて、発振波長404nmでレーザ発振を起こした。LPEで作製した結晶基板を用いた場合、気相成長で成長した結晶基板と比べて加工が容易であるため、気相成長で作製した基板に通常のメカノケミカル研磨を施して用いた場合に比べて基板の表面欠陥を少なくすることが可能であった。この結果、レーザの発振閾値電流を約10%程度小さくする事が可能であった。さらに、基板加工の方法として本発明のメルトバックエッチングを用いた場合、閾値電流のばらつきが小さくなる事が観測された。
なお、本実施例では、GaN単結晶基板を用いて半導体レーザを作製したが、基板上に作製する光デバイスの使用波長に対して吸収の少ない基板を供給することが望ましい。そのため、紫外線領域の半導体レーザや発光ダイオード用基板としては、Alが多く含まれ短波長域の光吸収が少ないAlxGa1-xN(0≦x≦1)単結晶を本願発明の加工方法によって加工した基板を用いることが好ましい。これによって、従来より閾値電流が小さく、かつそのばらつきの小さな紫外光用レーザや発光ダイオードを実現することも可能である。ここでは、基板91に不純物を施していない場合について説明したが、n形不純物を添加し、図9に示すように基板91側にn側電極を形成してもよい。
本発明のIII族窒化物結晶半導体基板は、例えば、レーザダイオード、発光ダイオード、電界効果トランジスタ等の様々な半導体装置に適用可能である。
図1は、本発明の製造方法の一例を示す工程図である。 図2は、本発明の製造方法のその他の一例を示す工程図である。 図3は、本発明の製造方法のその他の一例を示す工程図である。 図4は、本発明の製造方法のその他の一例を示す工程図である。 図5は、本発明の製造方法のその他の一例を示す工程図である。 図6は、本発明の製造方法に用いられる製造装置の一例の構成図である。 図7は、本発明の半導体素子の一例の構成を示す断面図である。 図8は、本発明の半導体素子のその他の一例の構成を示す断面図である。 図9は、本発明の半導体素子のその他の一例の構成を示す断面図である。
符号の説明
10 支持基板
11、17 自立型基板
12 半導体シード層
16、26 第2の半導体層
27 ウェハ
20 III族窒化物結晶
34 第1の半導体層
50 エッチング装置
51 スライダー
52 III族窒化物結晶基板
53 電気炉
54 坩堝
60 エッチング液(フラックス)
70 ヒーター
A 回転方向
B 移動方向
90 レーザ
91 GaN基板
92 n型GaN層
93、97 クラッド層
94、96 光ガイド層
95 活性層
98 コンタクト層
99 絶縁膜
100、101 電極
111 GaN基板
112 GaN層
113 AlGaN層
114 ソース
115 ゲート
116 ドレイン
117 2次元電子ガス濃度

Claims (26)

  1. III族窒化物結晶基板の製造方法であって、III族窒化物結晶表面を表面処理する工程を含み、前記表面処理工程が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方と、III族元素と、研磨砥粒とを含む融液に接触させて前記表面をメルトバックエッチングする工程および前記融液を用いてメカノケミカル研磨する工程の少なくとも一方を含むIII族窒化物結晶基板の製造方法。
  2. 前記表面処理工程に先立って、III族窒化物結晶を機械的に加工する工程もしくはメカノケミカル研磨する工程の少なくとも一方を含む請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記III族窒化物結晶が、バルク結晶をスライスしたものである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記アルカリ金属が、Na、Li、K、RbおよびCsからなる群から選択される少なくとも一つであり、前記アルカリ土類金属が、Ca、Mg、Sr、BaおよびBeからなる群から選択される少なくとも一つである請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記III族元素が、Ga、AlおよびInからなる群から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記融液が、NaとGaとを含む請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記融液において、III族元素のモル数(A)と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の合計のモル数(M)との関係(A/(A+M))が、下記の式(1)および(2)のいずれかを満たす請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
    0<A/(A+M)≦0.10 ・・・(1)
    0.9≦A/(A+M)≦0.999 ・・・(2)
  8. 前記研磨砥粒が、アルミナ、ダイヤモンド、SiC、GaNおよびAlNからなる群から選択される少なくとも一つである請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記表面処理工程において、N2ガス、NH3ガスおよびH2ガスからなる群から選択される少なくとも一つを含む雰囲気下で行う請求項1から8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記雰囲気圧力が、1atm(1×1.013×105Pa)〜10atm(10×1.013×105Pa)である請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記メルトバックエッチングに使用する融液の温度が、400℃〜900℃である請求項1から10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記表面処理工程が、III族窒化物結晶表面の変質層を除去する工程を含む請求項1から11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 前記表面処理工程において、前記III族窒化物結晶表面の凹凸を±5μm以下にする請求項1から12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 予め、気相成長および液相成長の少なくとも一方の方法により前記III族窒化物結晶を成長させる工程を含む請求項1から13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 前記液相成長が、窒素を含む雰囲気下において、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムからなる群から選択される少なくとも一つのIII族元素と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方と、窒素とを含む融液中若しくは融液表面でIII族窒化物結晶を成長させる方法である請求項14に記載の製造方法。
  16. III族元素化合物の半導体シード層を準備し、前記半導体シード層の上にIII族窒化物結晶を成長させる請求項15に記載の製造方法。
  17. 前記液相成長が、第1段階と第2段階との2段階で行われ、第1段階が、前記半導体シード層の上に欠陥密度が前記半導体シード層よりも大きい第1の半導体層を形成する工程であり、第2段階が、前記第1の半導体層の上に欠陥密度が前記第1の半導体層よりも小さい第2の半導体層を形成する工程である請求項16に記載の製造方法。
  18. さらに、少なくとも前記第1の半導体層を除去して、第2の半導体層からなる自立型のIII族窒化物結晶基板を得る工程を含む請求項17に記載の製造方法。
  19. さらに、前記半導体シード層を除去する工程を含む請求項16または17に記載の製造方法。
  20. 前記半導体シード層が、支持基板上に形成されている請求項16から19のいずれかに記載の製造方法。
  21. アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方と、III族元素と、研磨砥粒とを含む融液であるエッチング液であって、前記エッチング液において、III族元素のモル数(A)と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の合計のモル数(M)との関係(A/(A+M))が、下記の式(1)および(2)のいずれかを満たす、III族窒化物結晶をエッチングするためのエッチング液。
    0<A/(A+M)≦0.10 ・・・(1)
    0.9≦A/(A+M)≦0.999 ・・・(2)
  22. NaとGaとを含む請求項21に記載のエッチング液。
  23. 前記研磨砥粒が、アルミナ、ダイヤモンド、SiC、GaNおよびAlNからなる群から選択される少なくとも一つである請求項21または22に記載のエッチング液。
  24. III族窒化物結晶基板の製造方法であって、
    (i)III族元素化合物の半導体シード層を準備する工程と、
    (ii)前記半導体シード層の上に、欠陥密度が前記半導体シード層よりも大きい第1の半導体層を液相成長させる工程と、
    (iii)前記第1の半導体層の上に、欠陥密度が前記第1の半導体層よりも小さい第2の半導体層を液相成長させる工程と、
    (iv)少なくとも前記半導体シード層および前記第1の半導体層を除去して、第2の半導体層からなる自立型のIII族窒化物結晶基板を得る工程と、
    (v)得られた前記III族窒化物結晶基板の表面を表面処理する工程とを含み、
    前記表面処理工程が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とIII族元素と研磨砥粒とを含む融液に、前記III族窒化物結晶基板の表面を接触させて前記表面をメルトバックエッチングする工程、および、前記融液を用いて前記III族窒化物結晶基板の表面をメカノケミカル研磨する工程の少なくとも一方を含む製造方法。
  25. III族窒化物結晶基板の製造方法であって、
    (I)III族元素化合物の半導体シード層を準備する工程、
    (II)前記半導体シード層の上に、欠陥密度が前記半導体シード層よりも大きい第1の半導体層を液相成長させる工程、
    (III)前記第1の半導体層の上に、欠陥密度が前記第1の半導体層よりも小さい第2の半導体層を液相成長させる工程、および、
    (IV)前記第2の半導体層の表面を表面処理する工程を含み、
    前記表面処理が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とIII族元素と研磨砥粒とを含む融液を用いたメルトバックエッチング、および、前記融液を用いたメカノケミカルの少なくとも一方である製造方法。
  26. 前記半導体シード層が、支持基板上に形成されている請求項25に記載の製造方法。
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