JP2011157231A - 窒化物半導体単結晶及び窒化物半導体基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面11と、傾斜面12を有する側面14とを備える窒化物半導体からなる種結晶10の前記表面11及び側面14上に第2の窒化物半導体20を成長させる成長工程を有し、前記成長させた第2の窒化物半導体20の上面の面積が、前記種結晶10の表面11の面積よりも大きくなるように窒化物半導体を成長させる。
【選択図】図1
Description
例えば、ヘテロエピタキシャル成長させた窒化物半導体を剥離、加工することにより得られる窒化物半導体を種結晶として窒化物半導体を成長させ、窒化物半導体基板を切り出す方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4)。
特に、特許文献1では、長尺成長時のクラックの発生率を低減する方法が提案されている。
また、前記側面は、表面と連続する傾斜面と、傾斜面と連続する略垂直面とを有することが好ましい。
また、表面と傾斜面のなす角は鈍角であることが好ましい。
また、前記種結晶は、前記表面と対向する裏面の面積が前記表面の面積よりも大きく、前記第2の窒化物半導体の上面の面積は、前記裏面の面積よりも大きくなるように成長させることが好ましい。
また、前記種結晶の表面は、(000−1)面を[2−1−10]方向、[−12−10]方向、[−1−120]方向、[−2110]方向、[1−210]方向もしくは[11−20]方向に20°以下で傾斜させた面であることが好ましい。
また、前記種結晶の表面は、(000−1)面を[1−100]方向、[0−110]方向、[−1010]方向、[−1100]方向、[01−10]方向もしくは[10−10]方向に20°以下で傾斜させた面であることが好ましい。
また、前記種結晶の表面は、(000−1)面であることが好ましい。
また、前記略垂直面は、{11−20}面又は{11−20}面を10°以下で傾斜させた面であることが好ましい。
また、前記略垂直面は、{1−100}面又は{1−100}面を10°以下で傾斜させた面であることが好ましい。
また、前記傾斜面は、前記種結晶の表面をエッチングすることにより得られることが好ましい。
また、前記成長工程は、HVPE法もしくはMOCVD法により行われることが好ましい。
また、本発明の方法により得られる前記第2の窒化物半導体を前記種結晶から分離して得られる窒化物半導体基板は、主面の転位密度が1×105個/cm2以下であることが好ましい。
また、本発明の方法により得られる前記第2の窒化物半導体を前記種結晶から分離して得られる窒化物半導体基板は、キャリア濃度が1×1018/cm3以上であることが好ましい。
また、種結晶は、例えばSi、O、Mg等の不純物を含有していてもよい。
また、これらの面を所定の方向に傾斜させたオフ角を有する種結晶を用いてもよい。例えば、(000−1)面の場合、
(1)(000−1)面を[2−1−10]方向、[−12−10]方向、[−1−120]方向、[−2110]方向、[1−210]方向もしくは[11−20]方向に傾斜させたもの
(2)(000−1)面を[1−100]方向、[0−110]方向、[−1010]方向、[−1100]方向、[01−10]方向又は[10−10]方向に傾斜させたもの
(3)(000−1)面を[2−1−10]方向、[−12−10]方向、[−1−120]方向、[−2110]方向、[1−210]方向、もしくは[11−20]方向及び[1−100]方向、[0−110]方向、[−1010]方向、[−1100]方向、[01−10]方向もしくは[10−10]方向に傾斜させたもの、すなわち上記の(1)と(2)の合成の方向に傾斜させたもの
のいずれかとすることが好ましい。このようなオフ角を有する種結晶を用いることにより、第2の窒化物半導体の異常成長やピット等を低減し、表面モフォロジーを改善できる。また、拡大成長を安定して維持できるようになり、第2の窒化物半導体の大型化に有効である。オフ角の範囲は0°より大きく20°以下が好ましく、より好ましくは0°より大きく10°以下の範囲である。また、{10−10}面を20°以下の範囲で傾斜させた場合にも同様の効果を得ることができる。以下、特別に記載しない限りは、(000−1)面と上記のような(000−1)面のオフ角を有する面を包括して「(000−1)面」と記載し、{10−10}面と20°以下のオフ角を有する面についても包括して「{10−10}面」と記載する。
例えば、成長の速い(0001)面を表面とする種結晶上に窒化物半導体を成長させると、他の面よりも(0001)面が成長するので、成長した(0001)面の周囲の面はそれに伴った、つまり種結晶と相似形となるような成長をすることができない。具体的には、(0001)面に対して、側面を構成する{10−10}面、{10−11}面、{10−12}面、{11−20}面、{11−21}面、及び{11−22}面等は成長が相対的に遅いため(0001)面が次第に縮小する。その結果、成長した窒化物半導体の側面は基板の表面に対して傾斜して形成され種結晶よりも径が縮小した円錐台形状あるいは角錐台形状の窒化物半導体となる。
具体的には、後述するような条件で成長した場合に、(0001)面の成長速度に対する{10−10}面、{10−11}面、{10−12}面、{11−20}面、{11−21}面、{11−22}面の成長速度は、数分の1から数十分の1程度であることが観察された。
しかし、(000−1)面や{10−10}面を表面とする種結晶上に窒化物半導体を成長させると、これらの面は成長が遅いので、(000−1)面や{10−10}面の面積が拡大すると考えられる。
また、種結晶の厚みは主面間の距離で規定され、薄すぎると取り扱いが困難になるため50μm以上程度のものを用いることが好ましい。
また、傾斜面12の面積及び略垂直面13の面積は任意の割合で形成することができる。好ましくは、略垂直面13の面積が傾斜面12の面積より大きいものである。また、複数の傾斜面を有する場合も同様である。
種結晶の表面側の傾斜面12aの傾斜角度と裏面側の傾斜面12bの傾斜角度は、種結晶の表面側の傾斜面12aの傾斜角度が大きいことが好ましい。また、傾斜面12aの面積、傾斜面12bの面積及び略垂直面13の面積は任意の割合で形成することができる。好ましくは、略垂直面13の面積が傾斜面12の面積より大きいものであり、かつ、傾斜面12aの面積が傾斜面12bの面積より大きいものである。
あるいは、図5(b)に示すように、傾斜面12が、種結晶の厚み方向の側面全体にわたって設けられていてもよい。種結晶の厚みが100μm以下の場合は側面全体に設けられることが好ましい。
また、傾斜面は種結晶を表面から観察したときに、外周の長さの50%以上に設けられていることが好ましく、さらに好ましくは、種結晶の外周全体に設けられていることが好ましい。外周に部分的に設けられる場合には、連続して設けられていてもよいし、断続的に設けられていてもよい。
例えば、第2の窒化物半導体の成長前にエッチング処理を行うことで傾斜面を形成することができる。また、エッチングを行うことで、表面欠陥や表面変質層を除去することができる。あるいは、種結晶の保護の観点から、傾斜面の形成予定領域以外にマスクを形成してエッチングを行ってもよい。エッチングにより傾斜面を形成する場合、ウエットエッチング、ドライエッチングのどちらを用いてもよい。
ウエットエッチングの場合、成長前の種結晶をNaOH、KOH融液や水溶液、またはNaOH、KOHの混合融液からなるエッチング液に浸漬する方法で行うことができる。また、エッチング液として、硫酸、燐酸、塩酸、硝酸、フッ酸、やこれらの混合液またそれに過酸化水素を加えた水溶液を用いることもできる。エッチングは、水溶液の場合には室温〜100℃の温度で、NaOH、KOHの融液の場合には230℃〜400℃の温度で行うことが好ましい。また、(000−1)面を表面とする種結晶の場合には、表面である(000−1)面及びその側面を露出させてエッチング液に浸漬することより、傾斜面を設けることができる。
また、ドライエッチングの場合、気相成長装置内で成長直前にHClガス、Cl2ガス等を用いて行う方法が挙げられる。(000−1)面を表面とする種結晶の場合には、(000−1)面側からエッチングすることで、傾斜面を設けることができる。気相成長装置内でのエッチングの場合には、900〜1200℃の温度で、実施することが好ましい。エッチング雰囲気としては、特に限定されず、水素雰囲気、アンモニア雰囲気、あるいはこれらの混合雰囲気にHCl、Cl2、あるいはこれらの混合ガスが含まれていても良い。
また、機械加工の場合、ダイヤモンドの砥石等を用いて切削、研磨を行うことにより傾斜面を設けることができる。砥石または研磨面の角度を途中で変更することで図5(a)のような種結晶を得ることができる。また、機械加工にて形成した傾斜面には加工により表面欠陥や表面変質層が形成されるため、機械加工後に、これらの表面欠陥や表面変質層をウエットエッチング、ドライエッチングにて除去することが好ましい。
また、種結晶に傾斜面を設ける前に種結晶の主面を研磨加工することが好ましい。
例えば、加熱したHVPE成長装置内部に反応管を通して原料ガス及びキャリアガスを流し成長させる。
MOCVD法においては、原料ガスとしては、例えば、GaNを成長させる場合、トリメチルガリウム及びアンモニアを用いる。キャリアガスとしては、水素及び/又は窒素を用いることができる。原料ガスの供給量については、特に限定されないが、1時間で0.1〜10μm程度成長するよう原料ガス供給量を調整することが好ましい。成長温度としては、900〜1200℃程度が好ましい。成長時の圧力は、適宜調整することができるが、0.01〜0.1MPa程度に調整することが好ましい。
さらに、絶縁性の第2の窒化物半導体を作製するためには、塩化鉄等がドーパント原料として選択される。
第2の窒化物半導体は、成長を進めるにしたがって上面の面積が大きくなる。例えば、直径もしくは対角長が50mm程度の種結晶を用いた場合に、成長厚み500μm程度成長させると、直径もしくは対角長が1〜5mm程度拡大する。成長側面22と種結晶の裏面とで構成される角度は鈍角となっており、略一定の角度で成長させることができる。具体的には100°以上180°未満である。成長側面の端部22aは、図2に示すように種結晶の裏面側端部に位置していてもよいし、傾斜面の端部に位置していてもよいし、略垂直面の途中に位置していてもよい。
得られた第2の窒化物半導体の断面を観察したところ、[000−1]と略垂直な方向に線状の転位が観察された。本発明のように、(000−1)面を成長表面とする場合には、転位が[000−1]に対し略垂直な方向に伸びていることで、第2の窒化物半導体上面の転位密度を減少させていると考えられる。
尚、不純物を選択することで、絶縁性の第2の窒化物半導体も容易に得ることができる。
<実施例1>
(000−1)面を[11−20]方向に1°傾斜させたオフ角を有する直径50mm、厚み1mmの円柱形のGaN基板を準備する。CLマップ測定により求めたこのGaN基板の主面の転位密度は1×106個/cm2である。このGaN基板の(000−1)面を研磨し、1030℃の反応炉内において(000−1)面側から水素−アンモニア混合雰囲気中でHClガスの分圧100Paの条件でガスエッチングを1時間行う。これにより、種結晶において表面と傾斜面で構成される傾斜角度が150°であり、表面の直径が49.5mm、裏面の直径が50mm、厚さ0.95mmの図1に示すような種結晶10が得られる。
続いて、1030℃で20日間、HVPE法により種結晶の(000−1)面側に成長を行う。これにより、図2に示すような成長厚み約10mmのGaN単結晶からなる第2の窒化物半導体20が得られる。
得られた第2の窒化物半導体20は、その上面21が(000−1)面、成長側面22が{10−11}面で構成された逆六角錐台形状であり、種結晶の表面11及び裏面15よりも第2の窒化物半導体の上面21の面積が大きくなっている。
種結晶の表面直上に形成された第2の窒化物半導体の上面の転位密度をCLマップ法で測定すると、1×105個/cm2であり、種結晶の転位密度に対して約1桁低減している。さらに、種結晶の表面よりも面積が拡大している領域の第2の窒化物半導体20の上面の転位密度は1×104個/cm2である。
なお、種結晶10と第2の窒化物半導体20の界面(図2中の点線部分)で切断し、第2の窒化物半導体のみを切り出す。続いて、図3に示すように、第2の窒化物半導体の上面21と平行な方向にワイヤーソーで12枚に分割し、外周加工および両面研磨を行い31a、31b、31cを含むGaNよりなる窒化物半導体基板31を作成する。
完成した窒化物半導体基板31は、直径50〜60mmであり、その主面は、{0001}面である。また、第2の窒化物半半導体の上面に近い側の31cは、31a及び31bよりもその直径が大きくなっている。このように、本実施例によれば、窒化物半導体を拡大成長させることができ、種結晶の表面よりも大きい主面を有する窒化物半導体基板を得ることができる。
本実施例では、実施例1で使用し、第2の窒化物半導体を分離した種結晶の(000−1)面側を研磨した後、実施例1と同様の条件で傾斜面を形成し、これを種結晶とする。それ以外は、実施例1と同様の方法で第2の窒化物半導体を成長させ、窒化物半導体基板を得る。
本実施例では、実施例1と同程度の品質の第2の窒化物半導体及び窒化物半導体基板を得ることができる。本実施例の方法を繰り返すことで種結晶の再利用が可能であり、窒化物半導体基板の製造コストを下げることができる。
本実施例では、実施例1及び実施例2で使用した種結晶の(000−1)面側を研磨し、表面とする。表面である(000−1)面及びその側面を露出させた状態で、250℃のKOH−NaOH融液中で10分間エッチング処理を行う。これにより、表面と傾斜面で構成される傾斜角度が150°であり、表面の直径が49.8mm、裏面の直径が50mm、厚さ0.99mmの図1に示すような種結晶10が得られる。それ以外は実施例1と同様にして第2の窒化物半導体を成長させる。
本実施例でも、実施例1と同程度の品質の第2の窒化物半導体を得ることができ、種結晶の表面よりも大きい主面を有する窒化物半導体基板を得ることができる。
実施例1で得られる第2の窒化物半導体の(000−1)面を研磨し、略垂直面が{10−10}面で、主面の対角線の長さ60mmの六角柱状に加工し、実施例1と同様の条件で傾斜面を形成し、これを種結晶とする。これにより、表面と傾斜面で構成される傾斜角度が150°であり、表面の対角長が59.5mm、裏面の対角長が60mm、厚さ0.4mmの種結晶10が得られる。それ以外は、実施例1と同様の方法で、第2の窒化物半導体を成長させ、窒化物半導体基板を作製する。
本実施例で得られた第2の窒化物半導体は、その上面21が(000−1)面、成長側面22が{10−11}面で構成された逆六角錐台形状であり、実施例1乃至3と同程度の品質の第2の窒化物半導体及び窒化物半導体基板を得ることができる。また、本実施例では、直径が65mmと、実施例1と比較してより大きな主面を有する窒化物半導体基板を得ることができる。
実施例1で得られた窒化物半導体基板のうち、直径60mmのものを実施例1と同様の条件で傾斜面を形成し、種結晶とする。これにより、表面と傾斜面で構成される傾斜角度が150°であり、表面の直径が59.5mm、裏面の直径が60mm、厚さ0.4mmの種結晶10が得られる。それ以外は、実施例1と同様の方法で、第2の窒化物半導体を成長させ、窒化物半導体基板を作製する。
本実施例で得られた第2の窒化物半導体は、実施例4よりも、拡大成長する領域を大きくすることができる。また、本実施例では、直径が65mmと、実施例1と比較してより大きな主面を有する窒化物半導体基板を得ることができる。
本実施例では、略垂直面が、{11−20}面となるように種結晶を作製する以外は、実施例4と同様である。
本実施例で得られた第2の窒化物半導体は、その上面21が(000−1)面、成長側面22が{10−11}面で構成された逆六角錐台形状であり、実施例1乃至5と同程度の品質のものを得ることができる。また、本実施例では、種結晶より拡大成長した領域を実施例5よりも大きくすることができる。
本実施例では、{0001}面を主面とし、(000−1)面を[11−20]方向に2°のオフ角を有している直径50mm、厚み1.5mmの円柱形のGaN基板を準備する。CLマップ測定により求めたこのGaN基板の主面の転位密度は1×106個/cm2である。このGaN基板の(000−1)面を研磨し表面とする。表面である(000−1)面及びその側面を露出させた状態で、KOHとNaOHがモル比1:1の250℃の融液中で30分間エッチング処理を行う。これにより表面と傾斜面で構成される傾斜角度が150°であり、表面の直径が49.5mm、裏面の直径が50mm、厚さ1mmの図1に示すような種結晶10が得られる。
続いて、MOCVD反応炉内のサセプター上に、種結晶10を配置する。成長炉内を圧力60kPaにコントロールしながら、N2及びH2の混合ガスをキャリアガス、NH3、TMGを原料ガスとして、1200℃の温度で、30日間、MOCVD法により種結晶の(000−1)面側に成長を行い、成長厚み約5mmの第2の窒化物半導体を成長する。その後、原料ガスの供給を停止し、キャリアガス雰囲気中で室温まで降温し、反応炉から取り出す。これにより、図2に示すような第2の窒化物半導体20が得られる。
得られた第2の窒化物半導体は、その上面21が(000−1)面、成長側面22が{10−11}面で構成された逆六角錐台形状であり、種結晶の表面11及び裏面15よりも第2の窒化物半導体上面21面積が大きくなっている。また、種結晶の表面直上に形成された第2の窒化物半導体の上面の転位密度をCLマップ法で測定すると、1×105個/cm2であり、種結晶の転位密度に対して約1桁低減している。さらに、種結晶表面よりも面積が拡大している領域の第2の窒化物半導体の上面における転位密度は1×104個/cm2である。
なお、種結晶10と第2の窒化物半導体20の界面(図2中の点線部分)で切断し、第2の窒化物半導体のみを切り出す。図3に示すように、第2の窒化物半導体の上面21と平行な方向にワイヤーソーで6枚に分割し、外周加工および両面研磨を行い窒化物半導体基板を作成する。
完成した窒化物半導体基板は、直径50〜60mmであり、主面は、{0001}面である。
本実施例では、第2の窒化物半導体の成長時に、ドーピングガスとしてSiH4を添加する以外は実施例7と同様にして第2の窒化物半導体を成長させ、窒化物半導体基板を作製する。
本実施例では、実施例7と同様の第2の窒化物半導体及び窒化物半導体基板を得ることができる。得られた第2の窒化物半導体のキャリア濃度を測定すると、n型で1×1019/cm3であり、導電性の窒化物半導体基板を作製することができる。
本実施例では、厚みが2.5mmである以外は実施例7で用いたものと同様のGaN基板を準備し、{0001}面を研磨し、主面が{0001}面、略垂直面が{11−20}面で、主面の対向する1組の2辺の長さが50mmかつ2辺の距離が5mmの六角柱状に加工し、これを種結晶とする。このGaN基板の(000−1)面及びその略垂直面を露出させた状態で、KOHとNaOHがモル比1:1の250℃の融液中で30分間エッチング処理を行う。これによりGaN基板は{0001}面及び{11−20}面全面がエッチングされ、表面と傾斜面で構成される傾斜角度が150°であり、表面の対角長が49.5mm、裏面の対角長が50mmかつ2辺の距離が5mm、厚さ2mmの種結晶が得られる。それ以外は、実施例7と同様の方法で、第2の窒化物半導体を成長させる。
得られた第2の窒化物半導体は、その上面21が(000−1)面で構成された逆六角錐台形であり、特に種結晶の{11−20}面に成長した部分が板状に発達している。また、第2の窒化物半導体の上面の転位密度をCLマップ法で測定すると種結晶の{11−20}面上に板状に発達した部分は1×104個/cm2程度であり、種結晶の転位密度よりも減少している。
本実施例は、{10−10}面を主面とする種結晶を用いる。具体的には、GaN基板の{10−10}面を研磨し、その際に機械加工によって傾斜面12を形成し、その後、KOHとNaOHがモル比1:1の250℃の融液中で30分間エッチング処理を行うことで、種結晶において表面と傾斜面で構成される傾斜角度が135°であり、表面の直径が48mm、裏面の直径が50mm、厚さ1mmの種結晶が得られる。
その後、実施例1の方法で第2の窒化物半導体の成長を行い、窒化物半導体基板を作製する。
本実施例では、実施例1と同様の第2の窒化物半導体及び窒化物半導体基板を得ることができる。
本実施例は、種結晶の表面として、(000−1)面が[11−20]方向に10°傾斜したものを用いる以外は実施例1と同様である。本実施例では、実施例1と同等の品質の第2の窒化物半導体が得られる。
本実施例は、種結晶の表面として、(000−1)面が[10−10]方向に1°傾斜したものを用いる以外は実施例1と同様である。本実施例では、実施例1と同等の品質の第2の窒化物半導体及び窒化物半導体基板が得られる。
本実施例は、種結晶の表面として、(000−1)面が[11−20]方向及び[10−10]方向に1°傾斜したものを用いる以外は実施例1と同様である。本実施例では、実施例1と同等の品質の第2の窒化物半導体及び窒化物半導体基板が得られる。
本実施例は、図5(b)のような種結晶を用いる。具体的には、厚さが80μmである点以外は、実施例1と同様のGaN基板を用いて同様の条件でエッチングを行う。得られる種結晶は、図5(b)に示すように、側面全体が傾斜したものである。
その後、実施例1と同様に第2の窒化物半導体を成長させることで、実施例1と同等の品質の第2の窒化物半導体及び窒化物半導体基板を得ることができる。
本比較例では、第2の窒化物半導体を成長させる前にエッチングしない以外は実施例1と同様にして第2の窒化物半導体を成長させる。
その結果、得られた第2の窒化物半導体の表面は粗面となっており、対角線の長さが1〜5mm程度の六角板状、六角柱状及び六角錐状の混在したGaNの雑晶が上面に形成されていた。また、第2の窒化物半導体は多結晶化していたため、種結晶や窒化物半導体基板として用いることができなかった。得られた第2の窒化物半導体の断面を観察したところ、種結晶との境界付近を基点に転位が多量に発生していた。
実施例8で得られた窒化物半導体基板31を用いて図4に示すような窒化物半導体レーザ素子30を作製する。
具体的には、実施例8で得られた窒化物半導体基板31の(0001)面上に、MOCVD装置を用いてSiをドープしたAlGaNを2.5μm、アンドープのGaNを170nmの膜厚で成長させn型窒化物半導体層とする。
続いて、SiをドープしたIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層を14nm、アンドープのIn0.07Ga0.93Nよりなる井戸層を8nmの膜厚で成長させ、この障壁層、井戸層を2回繰り返して積層し、最後に障壁層を形成して、総膜厚58nmの多重量子井戸(MQW)からなる活性層を成長させる。
続いて、MgをドープしたAlGaN層を10nm、アンドープGaN層を0.15μmの膜厚で成長させる。さらに、アンドープAlGaN層を2.5nm、MgドープGaN層を2.5nmを繰り返して、総膜厚0.45μmの超格子層を成長させる。最後に、MgドープしたGaN層を15nmの膜厚で成長させ、p型窒化物半導体層とする。
得られた窒化物半導体を成長させたウェハを反応容器から取り出し、最上層の表面に、所定の形状のマスクを介して、ストライプ状のSiO2よりなる保護膜を形成し、RIE(反応性イオンエッチング)を用い、p型半導体層の途中までエッチングを行い、幅2.0μmのストライプ状のリッジを形成する。
続いて、リッジの表面以外の窒化物半導体層の表面に、ZrO2膜を1000nm形成する。
p型半導体層のリッジ最表面に、ストライプ状のNi/Au/Ptを順に形成し、p側電極とする。p側電極上にp側パッド電極を形成する。一方、Ti/Pt/Auを順に形成してなるn側電極を、窒化物半導体基板31の裏面に形成する。
その後、窒化物半導体基板31を劈開してバー状とし、そのバーの劈開面に共振面を作製する。共振面作製後、さらに共振面に垂直な方向でバー状のウェハを切断して窒化物半導体レーザ素子とする。
以上のようにして得られた窒化物半導体レーザ素子は、良好な寿命特性を示す。
Claims (13)
- 表面と、傾斜面を有する側面とを備える窒化物半導体からなる種結晶の前記表面及び側面上に第2の窒化物半導体を成長させる成長工程を有し、前記成長させた第2の窒化物半導体の上面の面積が、前記表面の面積よりも大きくなるように窒化物半導体を成長させる窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 前記側面は、表面と連続する傾斜面と、傾斜面と連続する略垂直面とを有する請求項1に記載の窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 表面と傾斜面のなす角は鈍角である請求項1又は2に記載の窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 前記種結晶は、前記表面と対向する裏面の面積が前記表面の面積よりも大きく、前記窒化物半導体の上面の面積は、前記裏面の面積よりも大きくなるように前記第2の窒化物半導体を成長させる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 前記種結晶の表面は、(000−1)面を[2−1−10]方向、[−12−10]方向、[−1−120]方向、[−2110]方向、[1−210]方向もしくは[11−20]方向に20°以下で傾斜させた面である請求項1乃至4のいずれか1項の窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 前記種結晶の表面は、(000−1)面を[1−100]方向、[0−110]方向、[−1010]方向、[−1100]方向、[01−10]方向もしくは[10−10]方向に20°以下で傾斜させた面である請求項1乃至5のいずれか1項の窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 前記種結晶の表面は、(000−1)面である請求項1乃至4のいずれか1項の窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 前記略垂直面は、{11−20}面又は{11−20}面を10°以下で傾斜させた面である請求項2乃至7のいずれか1項に記載の窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 前記略垂直面は、{1−100}面又は{1−100}面を10°以下で傾斜させた面である請求項2乃至7のいずれか1項に記載の窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 前記傾斜面は、前記種結晶の表面をエッチングすることにより得られる請求項1乃至9のいずれか1項に記載の窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 前記成長工程は、HVPE法もしくはMOCVD法により行われる請求項1乃至10のいずれか1項に記載の窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 請求項1乃至11の方法により得られる前記第2の窒化物半導体を前記種結晶から分離して得られる窒化物半導体基板であって、主面の転位密度が1×105個/cm2以下である窒化物半導体基板。
- 請求項1乃至11の方法により得られる前記第2の窒化物半導体を前記種結晶から分離して得られる窒化物半導体基板であって、キャリア濃度が1×1018/cm3以上である窒化物半導体基板。
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