JP2011051864A - GaN単結晶基板およびその製造方法、ならびにGaN系半導体デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

GaN単結晶基板およびその製造方法、ならびにGaN系半導体デバイスおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大口径で主面の面方位が(0001)および(000−1)以外で主面内における転位密度が実質的に均一であるGaN単結晶基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本GaN単結晶基板20pは、主面20pmの面積が10cm2以上であり、主面20pmの面方位が(0001)面または(000−1)面20cに対して65°以上85°以下で傾斜しており、主面20pm内における転位密度の分布が実質的に均一、たとえば主面20pm内における平均転位密度に対する転位密度のばらつきが±100%以内である。
【選択図】図1

Description

本発明は、大口径で主面の面方位が(0001)および(000−1)(すなわち{0001})以外で主面内における転位密度の分布が実質的に均一であるGaN単結晶基板およびその製造方法に関する。また、かかるGaN単結晶基板の主面上に少なくとも1層のGaN系半導体層が形成されているGaN系半導体デバイスおよびその製造方法に関する。
発光デバイス、電子デバイス、半導体センサなどに好適に用いられるIII族窒化物結晶は、通常、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法などの気相法、フラックス法などの液相法により、(0001)面の主面を有するサファイア基板または(111)A面の主面を有するGaAs基板などの主面上に結晶成長させることにより製造される。このため、通常得られるIII族窒化物結晶は、面方位が{0001}の主面を有する。
面方位が{0001}の主面を有するIII族窒化物結晶を基板としてその主面上にMQW(多重量子井戸)構造の発光層を形成させた発光デバイスは、III族窒化物結晶が有する<0001>方向の極性により、発光層内において自発分極が生じるため、発光のブルーシフトが大きくなり、また発光効率が低下する。このため、{0001}以外の面方位の主面を有するIII族窒化物結晶が要望されている。
かかる要望に答えるため、特開2008−143772号公報(以下、特許文献1という)は、{1−10X}(ここで、Xは0以上の整数)、{11−2Y}(ここで、Yは0以上の整数)および{HK−(H+K)0}(ここで、HおよびKは0以外の整数)のいずれかの面方位に対するオフ角が5°以下の面方位、具体的には{1−100}、{11−20}、{1−102}、{11−22}、{12−30}および{23−50}のいずれかの面方位の主面を有するIII族窒化物結晶の製造方法を開示する。
しかし、特許文献1に開示された製造方法を用いても、{1−100}、{11−20}または{23−50}の面方位の主面上に成長させるIII族窒化物結晶は部分的に多結晶化するため、大口径の単結晶基板が得られ難いという問題があった。また、{1−102}、{11−22}の面方位の主面上に成長させるIII族窒化物結晶の結晶成長面には、{0001}の面方位のファセット、{0001}以外の面方位のファセットが生じる。ここで、{0001}の面方位のファセットを結晶成長面として成長する部分の転位は{0001}面に垂直な方向(すなわち<0001>方向)に伝播し、{0001}以外の面方位のファセットを結晶成長面として成長する部分の転位は{0001}面に平行な方向に伝播する。成長したIII族窒化物結晶の主面における転位密度のばらつきが大きいため、かかる基板を用いた半導体デバイスの特性のばらつきが大きくなるという問題があった。
なお、特開2006−052102号公報(以下、特許公報2という)は、転位密度分布が実質的に均一なIII−V族窒化物系半導体基板(具体的にはGaN自立基板)およびその製造方法を開示する。しかし、特許公報2には、面方位が(0001)である主面を有するIII−V族窒化物系半導体基板について、結晶成長において、まず成長界面に凹凸を出しながら成長させて成長界面を平坦化し、さらに平坦化した成長界面で成長させることにより転位密度の分布が実質的に均一することは開示されているが、{0001}以外の面方位の主面を有するIII−V族窒化物系半導体基板について転位密度の分布が実質的に均一することは記載も示唆もされていない。
特開2008−143772号公報 特開2006−052102号公報
本発明は、上記問題を解決して、大口径で主面の面方位が(0001)および(000−1)以外で主面内における転位密度の分布が実質的に均一であるGaN単結晶基板およびその製造方法を提供することを目的とする。また、かかるGaN単結晶基板の主面上に少なくとも1層のGaN系半導体層が形成されている高特性で特性の分布が均一なGaN系半導体デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、主面の面積が10cm2以上であり、主面の面方位が(0001)面または(000−1)面に対して65°以上85°以下で傾斜しており、主面内における転位密度の分布が実質的に均一である、GaN単結晶基板である。ここで、主面内における転位密度のばらつきを主面内における平均転位密度に対して±100%以内とすることができる。
本発明にかかるGaN単結晶基板において、主面内における転位密度を5×106cm-2以下とすることができる。また、(0001)面または(000−1)面に対する主面の面方位の傾斜の方向を<10−10>方向とすることができる。また、(0002)面および(20−20)面もしくは(22−40)面に関するX線回折ロッキングカーブ測定におけるX線回折ピークの半値幅を主面の全面において300arcsec以下とすることができる。
また、本発明は、上記のGaN単結晶基板の製造方法であって、主面の面積が10cm2以上で、主面の面方位が(0001)面または(000−1)面に対して65°以上85°以下で傾斜しているGaN種結晶基板を準備する工程と、GaN種結晶基板の主面上にGaN単結晶を成長させる工程と、GaN単結晶をGaN種結晶基板の主面に平行な面で切り出してGaN単結晶基板を形成する工程と、を備えるGaN単結晶基板の製造方法である。
また、本発明は、上記のGaN単結晶基板と、GaN単結晶基板の主面上に形成されている少なくとも1層のGaN系半導体層と、を含むGaN系半導体デバイスである。
また、本発明は、上記のGaN単結晶基板を準備する工程と、GaN単結晶基板の主面上に少なくとも1層のGaN系半導体層を成長させる工程と、を備えるGaN系半導体デバイスの製造方法である。
本発明によれば、大口径で主面の面方位が(0001)および(000−1)以外で主面内における転位密度の分布が実質的に均一であるGaN単結晶基板およびその製造方法を提供できる。また、かかるGaN単結晶基板の主面上に少なくとも1層のGaN系半導体層が形成されている高特性で特性の分布が均一なGaN系半導体デバイスおよびその製造方法を提供できる。
本発明にかかるGaN単結晶基板の一例を示す概略図である。 本発明にかかるGaN単結晶基板の製造方法におけるGaN種結晶基板を準備する工程の一例を示す概略図である。ここで、(A)はGaN母結晶から複数のGaN母結晶片を切り出すサブ工程を示し、(B)は複数のGaN母結晶片を横方向に互いに隣接させて配置するサブ工程を示し、(C)はGaN種結晶を成長させるサブ工程を示し、(D)はGaN種結晶基板を形成するサブ工程を示す。 本発明にかかるGaN単結晶基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。ここで、(A)はGaN種結晶基板を準備する工程を示し、(B)はGaN単結晶を成長させる工程を示し、(C)はGaN単結晶基板を形成する工程を示す。 本発明にかかるGaN単結晶基板において(0001)面または(000−1)面に対する主面の面方位の傾斜の状況を示す模式図である。ここで、(A)は主面の面方位が{20−21}の場合を示し、(B)は主面の面方位が{20−2−1}の場合を示し、(C)は主面の面方位が{22−42}の場合を示し、(D)は主面の面方位が{22−4−2}の場合を示す。 本発明にかかるGaN系半導体デバイスの一例を示すが概略断面図である。
結晶幾何学においては、結晶面の面方位を表わすために(hkl)または(hkil)などの表示(ミラー表示)が用いられる。GaN種結晶基板およびGaN単結晶基板などのIII族窒化物結晶を形成するIII族窒化物結晶などの六方晶系の結晶における結晶面の面方位は、(hkil)で表わされる。ここで、h、k、iおよびlはミラー指数と呼ばれる整数であり、i=−(h+k)の関係を有する。この面方位(hkil)の面を(hkil)面という。また、(hkil)面に垂直な方向((hkil)面の法線方向)は、[hkil]方向という。また、{hkil}は(hkil)およびそれに結晶幾何学的に等価な個々の面方位を含む総称的な面方位を意味し、<hkil>は、[hkik]およびそれに結晶幾何学的に等価な個々の方向を含む総称的な方向を意味する。
ここで、GaN種結晶およびGaN単結晶などのIII族窒化物結晶は、<0001>方向にガリウム(Ga)原子面などのIII族元素原子面および窒素(N)原子面が交互に配列するため、<0001>方向に極性を有する。本願においては、ガリウム原子面などのIII族元素原子面が(0001)面となり、窒素原子面が(000−1)面となるように、結晶軸を設定する。
[GaN単結晶基板]
(実施形態1)
図1を参照して、本発明の一実施形態であるGaN単結晶基板20pは、主面20pmの面積が10cm2以上であり、主面20pmの面方位が(0001)面または(000−1)面20cに対して65°以上85°以下で傾斜しており、主面20pm内における転位密度の分布が実質的に均一である。
本実施形態のGaN単結晶基板20pは、主面20pmの面積が10cm2以上と大口径である。また、主面20pmの面方位が(0001)面または(000−1)面20cに対して65°以上85°以下の傾斜角αを有しているため、かかるGaN単結晶基板20pを用いたGaN系半導体デバイスについて、その発光のブルーシフトが抑制され、その発光効率の低下が抑制される。かかる観点から、主面20pmの面方位は、(0001)面または(000−1)面20cに対して、70°以上80°以下の傾斜角αを有していることが好ましく、72°以上78°以下の傾斜角αを有していることがより好ましい。また、主面20pm内における転位密度の分布が実質的に均一であるため、かかるGaN単結晶基板20pを用いたGaN系半導体デバイスについて、その主面内におけるデバイス特性の分布が実質的に均一となる。
本実施形態のGaN単結晶基板20pにおいて、主面20pm内における転位密度の分布が実質的に均一であるとは、それを用いたGaN系半導体デバイスの主面内におけるデバイス特性の分布が実質的に均一になることを意味し、たとえば、主面20pm内における転位密度のばらつきがその主面20pm内における平均転位密度に対して±100%以内であることをいう。GaN系半導体デバイスの主面内におけるデバイス特性の分布をより均一にする観点から、主面20pm内における転位密度のばらつきが、その主面20pm内における平均転位密度に対して、−100〜+70%以内であることが好ましく、−100〜50%以内であることがより好ましい。ここで、GaN単結晶基板20pの主面20pm内における転位密度は、たとえば、CL(カソードルミネッセンス)法により、主面20pm内において2次元方向にそれぞれ2mmピッチで100μm×100μmの測定面積で測定することができる。
本実施形態のGaN単結晶基板20pにおいて、結晶性の高いGaN系半導体層をエピタキシャル成長させる観点から、主面20pm内における転位密度は、その最高転位密度においても、5×106cm-2以下であることが好ましく、1×106cm-2以下であることがより好ましい。
本実施形態のGaN単結晶基板20pにおいて、結晶性の高いGaN系半導体層を安定してエピタキシャル成長させる観点から、(0001)面または(000−1)面20cに対する主面20pmの面方位の傾斜の方向が<10−10>方向であることが好ましい。
本実施形態のGaN単結晶基板20pにおいて、結晶性の高いGaN系半導体層をエピタキシャル成長させる観点から、(0002)面および(20−20)面もしくは(22−40)面に関するX線回折ロッキングカーブ測定におけるX線回折ピークの半値幅が主面20pmの全面において300arcsec以下であることが好ましい。なお、X線回折ピークの半値幅は、その数値が小さいほど結晶性が高いことを意味する。
X線回折ロッキングカーブ測定における回折結晶面は、たとえば、主面20pmの面方位が{h0kl}(ここで、h、kおよびlは0以外の整数)のGaN単結晶基板20pについては(0002)面および(20−20)面とし、主面20pmの面方位が{hikl}(ここで、h、k、iおよびlは0以外の整数)のGaN単結晶基板20pについては(0002)面および(22−40)面とすることができる。GaN単結晶基板20pの主面20pmの全面におけるX線回折ロッキングカーブ測定は、たとえば主面20pm内の2次元方向に2mmの間隔で1mm2のX線照射面積で行うことができる。
[GaN単結晶基板の製造方法]
(実施形態2)
図2および図3を参照して、本発明の一実施形態であるGaN単結晶基板の製造方法は、実施形態1のGaN単結晶基板20pの製造方法であって、主面10pmの面積が10cm2以上で、主面10pmの面方位が(0001)面または(000−1)面1cに対して65°以上85°以下で傾斜しているGaN種結晶基板10pを準備する工程(図2(A)〜(D)、図3(A))と、GaN種結晶基板10pの主面10pm上にGaN単結晶20を成長させる工程(図3(B))と、GaN単結晶20をGaN種結晶基板10pの主面10pmに平行な面20u,20vで切り出してGaN単結晶基板を形成する工程(図3(C))と、を備える。本実施形態のGaN単結晶基板の製造方法は、かかる工程を備えることにより、効率的に実施形態1のGaN単結晶基板を製造することができる。
(GaN種結晶基板の準備工程)
図2を参照して、本実施形態のGaN種結晶基板を準備する工程は、特に制限はないが、たとえば、GaN母結晶から複数のGaN母結晶片を切り出すサブ工程(図2(A))と、複数のGaN母結晶片を横方向に互いに隣接させて配置するサブ工程(図2(B))と、複数のGaN母結晶片の主面上にGaN種結晶を成長させるサブ工程(図2(C))と、GaN種結晶からGaN種結晶基板を形成するサブ工程(図2(D))と、を備える。
まず、図2(A)を参照して、複数のGaN母結晶片1pを切り出すサブ工程において、GaN母結晶1から、GaN母結晶1の(0001)面または(000−1)面1cに対して65°以上85°以下の傾斜角αで傾斜している面方位{hkil}に平行な面(<hkil>方向に垂直な面)で複数のGaN母結晶片1pが切り出される。かかるサブ工程により、(0001)面または(000−1)面1cに対して65°以上85°以下の傾斜角αで傾斜している面方位の主面1pmを有する複数のGaN母結晶片1pが得られる。ここで、傾斜角αは、X線回折法により測定することができる。
上記サブ工程において用いられるGaN母結晶1は、特に制限はなく、通常の方法、すなわち、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法などの気相法、フラックス法などの液相法により、(0001)の主面を有するサファイア基板または(111)A面の主面を有するGaAs基板などの主面上に結晶成長させることにより製造されるもので足りる。したがって、このGaN母結晶1は、特に制限はないが、通常、(0001)の主面を有する。なお、このGaN母結晶1は、転位密度を低減し結晶性を高める観点から、特開2001−102307号公報に開示されるように、結晶が成長する面(結晶成長面)にファセットを形成し、ファセットを埋め込むことなく結晶成長を行なうことを特徴とするファセット成長法により成長させることが好ましい。
また、GaN母結晶1から複数のGaN母結晶片1pを切り出す方法には、特に制限はなく、ワイヤソー、内周刃、外周刃、またはレーザなどの各種方法を用いることができる。
また、結晶性の高いGaN種結晶10を成長させる観点から、複数のGaN母結晶片1pの主面1pmおよび側面の平均粗さRaは、50nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。面の平均粗さRaとは、JIS B 0601−1994に規定する算術平均粗さRaをいい、具体的には、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から粗さ曲線までの距離(偏差の絶対値)を合計し基準長さで平均した値をいう。また、面の平均粗さRaは、AFM(分子間力顕微鏡)などを用いて測定することができる。
複数のGaN母結晶片1pの主面1pmおよび側面の平均粗さRaを、好ましくは50nm以下、より好ましくは5nm以下とするために、切り出された複数のGaN母結晶片1pは、それらの主面1pmおよび側面が研削および/または研磨されることが好ましい。研磨には、機械的研磨、CMP(化学機械的研磨)などが含まれる。
次に、図2(B)を参照して、複数のGaN母結晶片を横方向に互いに隣接させて配置するサブ工程において、切り出された複数のGaN母結晶片1pは、それらの母結晶片の主面1pmが互いに平行で、かつ、それらの母結晶片の[0001]方向が同一になるように、横方向に互いに隣接させて配置される。
複数のGaN母結晶片1pは、それらの母結晶片の主面1pmと結晶軸とのなす角度がそれらの母結晶片の主面1pm内で均一でないと、それらの母結晶片の主面1pm上に成長させるGaN種結晶の化学組成がそれらの母結晶片の主面1pmに平行な面内で不均一となるため、それらの母結晶片の主面1pmが互いに平行になるように、横方向に配置される。これらの母結晶片の主面1pmが互いに平行であれば足り、必ずしも同一平面上になくてもよい。しかし、隣接する2つのGaN母結晶片1pの主面1pm間の高低差ΔT(図示せず)は、0.1mm以下が好ましく、0.01mm以下がより好ましい。
また、複数のGaN母結晶片1pは、それら母結晶片の結晶方位を同一にしてより均一な結晶成長を図る観点から、それらの母結晶片の[0001]方向が同一になるように、横方向に配置される。また、複数のGaN母結晶片1pは、基板間に隙間があるとその隙間上に成長する結晶の結晶性が低下するため、互いに隣接させて配置される。
上記のサブ工程により、複数のGaN母結晶片1pの主面1pmが互いに平行で、かつ、それらの母結晶片の[0001]方向が同一であるように、横方向に互いに隣接して配置された、主面1pmの面方位が(0001)面または(000−1)面1cに対して65°以上85°以下の傾斜角を有する複数のGaN母結晶片1pが得られる。
次に、図2(C)を参照して、複数のGaN母結晶片1pの主面1pm上にGaN種結晶10を成長させる工程において、GaN種結晶10を成長させる方法は、特に制限はないが、GaN種結晶をエピタキシャル成長させる観点から、HVPE法、MOCVD法などの気相法、フラックス法などの液相法などが好ましく用いられる。結晶成長方法の中で、結晶成長速度が高い観点から、HVPE法であることが好ましい。
複数のGaN母結晶片1pの主面1pm上にGaN種結晶10を成長させると、GaN種結晶10の結晶成長面10gは、マクロ的に見ると複数のGaN母結晶片1pの主面1pmに平行であるが、ミクロ的に見ると複数のGaN母結晶片1pの主面1pmと平行ではない複数のファセット10fa,10fbが形成される。また、かかる複数のファセット10fa,10fbは、それらの面方位が互いに異なる。すなわち、GaN種結晶10は、面方位が互いに異なる複数のファセット10fa,10fbを結晶成長面10gとして成長する。
ここで、結晶成長面10gにおいて、ファセット10faとファセット10fbとは、面方位が互いに異なることにより、面内における結晶構成元素の配列が互いに異なるため、ファセット10faを結晶成長面として成長する部分とファセット10fbを結晶成長面として成長する部分とでは、転位の伝播方向が異なる。
このため、複数のGaN母結晶片1pの主面1pm上に成長するGaN種結晶10においては、母結晶片の主面1pmに平行な面内における転位密度にばらつきが生じる。
このとき、複数のGaN母結晶片1pの主面1pmの面方位における(0001)面または(000−1)面1cに対する傾斜が小さいと、たとえばその傾斜角αが65°より小さいと、その主面1pm上に成長するGaN種結晶10の結晶成長面10gには、面方位が(0001)または(000−1)であるファセット10faと、ファセット10faと面方位が異なるファセット10fbとが生じる。ここで、面方位が(0001)または(000−1)であるファセット10faを結晶成長面として成長する部分の転位は(0001)または(000−1)に垂直な方向(すなわち<0001>方向)に伝播し、(0001)および(000−1)以外の面方位のファセットを結晶成長面として成長する部分の転位は<0001>方向から傾斜した方向に伝播する。このため、かかる主面1pm上に成長するGaN種結晶10およびそれから得られるGaN種結晶基板10pの主面10pmにおける転位密度のばらつきが大きくなるため、かかる基板を用いた半導体デバイスの特性のばらつきが大きくなる。
また、複数のGaN母結晶片1pの主面1pmの面方位における(0001)面または(000−1)面1cに対する傾斜が大きくなり直角に近づくと、たとえばその傾斜角αが85°より大きいと、その主面1pm上に成長するGaN種結晶10の結晶成長面10gには、面方位が(0001)に対して垂直であるファセット10fbの発生が優勢となり、成長するGaN種結晶10が部分的に多結晶化して、GaN種結晶10に割れが発生する。
上記の観点から、GaN種結晶基板10pを製造するために、(0001)面または(000−1)面1cに対する複数のGaN母結晶片1pの主面1pmの面方位の傾斜角αは、65°以上85°以下であることが必要であり、70°以上80°以下であることが好ましく、72°以上78°以下であることがさらに好ましい。
次に、図2(C)および(D)を参照して、GaN種結晶10を複数のGaN母結晶片1pの主面1pmに平行な面10u,10vで切り出してGaN種結晶基板10pを形成する工程において、GaN種結晶10からGaN種結晶基板10pを切り出す方法には、特に制限はなく、ワイヤソー、内周刃、外周刃、またはレーザなどの各種方法を用いることができる。
また、結晶性の高いGaN単結晶を成長させる観点から、GaN種結晶基板10pの主面10pmの平均粗さRaは、50nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。面の平均粗さRaの定義および測定方法は、上記と同様である。GaN種結晶基板10pの主面10pmの平均粗さRaを、好ましくは50nm以下、より好ましくは5nm以下とするために、切り出されたGaN種結晶基板10pは、それらの主面10pmおよび側面が研削および/または研磨されることが好ましい。研磨には、機械的研磨、CMP(化学機械的研磨)などが含まれる。
上記のサブ工程により、図2(D)および図3(A)を参照して、主面10pmの面積が10cm2以上であり、主面10pmの面方位が(0001)面または(000−1)面10cに対して65°以上85°以下で傾斜しているGaN種結晶基板10pが準備される。
なお、非常に厚いGaN母結晶が得られる場合には、上記のサブ工程に替えて、かかるGaN母結晶を、GaN母結晶の(0001)面または(000−1)面に対して65°以上85°以下の傾斜角αで傾斜している面方位{hkil}に平行な面(<hkil>方向に垂直な面)で切り出し、その主面を研削および/または研磨することにより、主面10pmの面積が10cm2以上であり、主面10pmの面方位が(0001)面または(000−1)面に対して65°以上85°以下で傾斜しているGaN種結晶基板10pが準備される。
(GaN単結晶の成長工程)
次に、図3(B)を参照して、GaN種結晶基板10pの主面10pm上にGaN単結晶20を成長させる工程において、GaN単結晶20を成長させる方法は、特に制限はないが、GaN単結晶をエピタキシャル成長させる観点から、HVPE法、MOCVD法などの気相法、フラックス法などの液相法などが好ましく用いられる。結晶成長方法の中で、結晶成長速度が高い観点から、HVPE法であることが好ましい。
GaN種結晶基板10pの主面10pm上にGaN単結晶20を成長させると、GaN単結晶20の結晶成長面20gは、マクロ的に見るとGaN種結晶基板10pの主面10pmに平行であるが、ミクロ的に見るとGaN種結晶基板10pの主面10pmと平行ではない複数のファセット20fa,20fbが形成される。また、かかる複数のファセット20fa,20fbは、それらの面方位が互いに異なる。すなわち、GaN単結晶20は、面方位が互いに異なる複数のファセット面20fa,20fbを結晶成長面20gとして成長する。
ここで、結晶成長面20gにおいて、ファセット20faとファセット20fbとは、面方位が互いに異なることにより、面内における結晶構成元素の配列が互いに異なるため、ファセット20faを結晶成長面として成長する部分とファセット20fbを結晶成長面として成長する部分とでは、転位の伝播方向が異なる。
このため、GaN種結晶基板10pの主面10pm上に成長するGaN単結晶20においては、GaN種結晶基板10pの主面10pmに平行な面内における転位密度にばらつきが生じる。
このとき、GaN種結晶基板10pの主面10pmの面方位における(0001)面または(000−1)面10cに対する傾斜が小さいと、たとえばその傾斜角αが65°より小さいと、その主面10pm上に成長するGaN単結晶20の結晶成長面20gには、面方位が(0001)または(000−1)であるファセット20faと、ファセット20faと面方位が異なるファセット20fbとが生じる。ここで、面方位が(0001)または(000−1)であるファセット20faを結晶成長面として成長する部分の転位は(0001)または(000−1)に垂直な方向(すなわち<0001>方向)に伝播し、(0001)および(000−1)以外の面方位のファセットを結晶成長面として成長する部分の転位は<0001>方向から傾斜した方向に伝播する。このため、かかる主面10pm上に成長するGaN単結晶20およびそれから得られるGaN単結晶基板20pの主面20pmにおける転位密度のばらつきが大きくなるため、かかる基板を用いた半導体デバイスの特性のばらつきが大きくなる。
また、GaN種結晶基板10pの主面10pmの面方位における(0001)面または(000−1)面10cに対する傾斜が大きくなり直角に近づくと、たとえばその傾斜角αが85°より大きいと、その主面10pm上に成長するGaN単結晶20の結晶成長面20gには、面方位が(0001)に対して垂直であるファセット20fbの発生が優勢となり、成長するGaN単結晶20が部分的に多結晶化して、GaN単結晶20に割れが発生する。
上記の観点から、主面20pmにおける転位密度の分布が実質的に均一なGaN単結晶基板20pを製造するために、GaN種結晶基板10pの主面10pmの面方位は、(0001)面または(000−1)面1cに対する傾斜角αは、65°以上85°以下であることが必要であり、70°以上80°以下であることが好ましく、72°以上78°以下であることがさらに好ましい。
(GaN単結晶基板の形成工程)
次に、図3(B)および(C)を参照して、GaN単結晶20をGaN種結晶基板10pの主面10pmに平行な面20u,20vで切り出してGaN単結晶基板20pを形成する工程において、GaN単結晶20からGaN単結晶基板20pを切り出す方法には、特に制限はなく、ワイヤソー、内周刃、外周刃、またはレーザなどの各種方法を用いることができる。
また、結晶性の高いGaN系半導体層を成長させる観点から、GaN単結晶基板20pの主面20pmの平均粗さRaは、50nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。面の平均粗さRaの定義および測定方法は、上記と同様である。GaN単結晶基板20pの主面20pmの平均粗さRaを、好ましくは50nm以下、より好ましくは5nm以下とするために、切り出されたGaN単結晶基板20pは、それらの主面20pmおよび側面が研削および/または研磨されることが好ましい。研磨には、機械的研磨、CMP(化学機械的研磨)などが含まれる。
上記の工程により、主面20pmの面積が10cm2以上であり、主面20pmの面方位が(0001)面または(000−1)面20cに対して65°以上85°以下で傾斜しており、主面20pm内における転位密度の分布が実質的に均一(たとえば、主面20pm内における転位密度のばらつきがその主面20pm内における平均転位密度に対して±100%以内)であるGaN単結晶基板20pが得られる。
[GaN系半導体デバイス]
(実施形態3)
図5を参照して、本発明の一実施形態であるGaN系半導体デバイス100は、実施形態1のGaN単結晶基板20pと、GaN単結晶基板20pの主面20pm上に形成されている少なくとも1層のGaN系半導体層130と、を含む。
本実施形態のGaN系半導体デバイス100において、GaN単結晶基板20pは、主面10pmの面積が10cm2以上であり、主面10pmの面方位が(0001)面または(000−1)面1cに対して65°以上85°以下で傾斜しており、主面10pm内における転位密度の分布が実質的に均一(たとえば、主面20pm内における転位密度のばらつきがその主面20pm内における平均転位密度に対して±100%以内)である。かかるGaN単結晶基板20p上にエピタキシャル成長により形成されているGaN系半導体層130は、その主面の面積が10cm2以上であり、その主面の面方位が(0001)面または(000−1)面に対して65°以上85°以下で傾斜しており、その主面内における転位密度の分布が実質的に均一(たとえば、主面内における転位密度のばらつきがその主面20pm内における平均転位密度に対して±100%以内)である。このため、本実施形態のGaN系半導体デバイスは、主面内におけるデバイス特性の分布が実質的に均一であり、高いデバイス特性を有する。
図5を参照して、本実施形態のGaN系半導体デバイス100は、具体的には、直径50mm×厚さ500μmのGaN単結晶基板20pの一方の主面20pm上に、少なくとも1層のGaN系半導体層130として、Siがドープされた厚さ2μmのn型GaN層131、6対のIn0.01Ga0.99N障壁層およびIn0.1Ga0.9N井戸層により構成されている多重量子井戸構造を有する厚さ100nmの発光層132、Mgがドープされた厚さ20nmのp型Al0.18Ga0.82N層133およびMgがドープされた厚さ50nmのp型GaN層134が順に積層されている。また、p型GaN層134上の一部には、p側電極141である0.2mm×0.2mm×厚さ0.5μmのNi/Au電極が形成されている。また、GaN単結晶基板20pの他方の主面20pn上には、n側電極142である厚さ1μmのTi/Al電極が形成されている。
[GaN系半導体デバイスの製造方法]
(実施形態4)
図5を参照して、本発明の一実施形態であるGaN系半導体デバイス100の製造方法は、実施形態1のGaN単結晶基板20pを準備する工程と、GaN単結晶基板20pの主面20pm上に少なくとも1層のGaN系半導体層130を成長させる工程と、を備える。
本実施形態のGaN系半導体デバイス100の製造方法においては、主面20pmの面積が10cm2以上であり、主面20pmの面方位が(0001)面または(000−1)面に対して65°以上85°以下で傾斜しており、主面20pm内における転位密度の分布が実質的に均一(たとえば、主面20pm内における転位密度のばらつきがその主面20pm内における平均転位密度に対して±100%以内)であるGaN単結晶基板20p上に少なくとも1層のGaN系半導体層130をエピタキシャル成長させる。かかるエピタキシャル成長をしたGaN系半導体層130の結晶方位は、GaN単結晶基板20pの結晶方位と同じである。このため、成長したGaN系半導体層130は、その主面の面積が10cm2以上であり、その主面の面方位が(0001)面または(000−1)面に対して65°以上85°以下で傾斜しており、その主面内における転位密度の分布が実質的に均一(たとえば、主面内における転位密度のばらつきがその主面内における平均転位密度に対して±100%以内)である。このため、本実施形態のGaN系半導体デバイスの製造方法により、主面内におけるデバイス特性の分布が実質的に均一であり、高いデバイス特性を有するGaN系半導体デバイスが得られる。
実施形態1のGaN単結晶基板20p、すなわち、主面20pmの面方位が(0001)面または(000−1)面に対して65°以上85°以下で傾斜しており、主面20pm内における転位密度の分布が実質的に均一(たとえば、主面20pm内における転位密度のばらつきがその主面20pm内における平均転位密度に対して±100%以内)であるGaN単結晶基板20pを準備する工程は、たとえば、上記の実施形態2のGaN単結晶基板20pの製造方法によって行われる。
GaN単結晶基板20pの主面20pm上に少なくとも1層のGaN系半導体層130を成長させる方法は、特に制限はないが、結晶性の高いGaN系半導体層130をエピタキシャル成長させる観点から、HVPE法、MOCVD法、MBE法などが好ましく用いられる。生産性および信頼性が高い観点から、MOCVD法がより好ましく用いられる。
図5を参照して、GaN単結晶基板20p上に少なくとも1層のGaN系半導体層130を形成する工程は、たとえば、直径50mm×厚さ0.4mmのGaN単結晶基板20pの一主面20pm上に、MOCVD法により、少なくとも1層のGaN系半導体層130として、Siがドープされた厚さ2μmのn型GaN層131、6対のIn0.01Ga0.99N障壁層およびIn0.1Ga0.9N井戸層により構成されている多重量子井戸構造を有する厚さ100nmの発光層132、Mgがドープされた厚さ20nmのp型Al0.18Ga0.82N層133およびMgがドープされた厚さ50nmのp型GaN層134を順に成長させる。
さらに、p型GaN層134上の一部には、真空蒸着法により、p側電極141である厚さ0.5μmのNi/Au電極を形成する。また、GaN単結晶基板20pの他方の主面20pn上には、真空蒸着法により、n側電極142である厚さ1μmのTi/Al電極を形成する。
次に、GaN単結晶基板20p上に少なくとも1層のGaN系半導体層130が形成されたウエハを、所定の大きさにチップ分割することにより、所定の大きさの発光デバイスが得られる。
[GaN母結晶の作製]
GaN母結晶は以下のようにして作製した。直径50mmで厚さ0.8mmのGaAs基板(下地基板)の(111)A面の主面上に、フォトリソグラフィ法およびエッチングにより、直径が2μmの複数の開口部が4μmのピッチで平面的に六方稠密に配置された厚さ100nmのSiO層(マスク層)を形成した。次に、GaAs基板において複数の開口部を有するSiO層が形成された主面上に、HVPE法により、500℃で厚さ80nmのGaN低温層を成長させ、次いで、950℃で厚さ60μmのGaN中間層を成長させた後、1050℃で厚さ5mmのGaN母結晶を成長させた。次に、王水を用いたエッチングにより、上記GaN母結晶からGaAs基板を除去して、直径50mmで厚さ3mmのGaN母結晶を得た。かかるGaN母結晶の主面における転位密度を、CL(カソードルミネッセンス)法により、主面20pm内において互いに直交する2方向にそれぞれ2mmピッチで100μm×100μmの測定面積で測定した。平均転位密度は3.1×106cm-2、最低転位密度は0.7×106cm-2、最高転位密度は5.5×106cm-2であった。
(実施例1)
1.GaN種結晶基板の準備
図2(A)を参照して、GaN母結晶1の両主面である(0001)面および(000−1)面を、研削および研磨加工して、両主面の平均粗さRaを5nmとした。ここで、表面の平均粗さRaの測定は、AFMにより行なった。
次いで、図2(A)を参照して、両主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶1をその{20−21}面に平行な面(<20−21>方向に垂直な面)でスライスすることにより、{20−21}の主面を有する複数のGaN母結晶片1pを切り出した。
次いで、切り出した各GaN母結晶片1pの研削および研磨加工されていない4面を研削および研磨加工して、これら4面の平均粗さRaを5nmとした。こうして、{20−21}の主面の平均粗さRaが5nmである複数のGaN母結晶片1pが得られた。それらのGaN母結晶片1pの中には、その主面の面方位が{20−21}と完全に一致していない結晶片もあったが、かかる結晶片のいずれについても、その主面の面方位は{20−21}に対する傾斜角は±0.1°以内であった。ここで、傾斜角は、X線回折法により測定した。
次いで、図2(B)を参照して、複数のGaN母結晶片1pの{20−21}の主面1pmが互いに平行になるように、かつ、それらのGaN母結晶片1pの[0001]方向が同一になるように、横方向にそれらのGaN母結晶片1pを互いに隣接させて配置し、さらにその外周部を一部除去することにより、直径を50mmとした。
次いで、図2(C)を参照して、上記の複数のGaN母結晶片1pの{20−21}の主面1pmを10体積%の塩化水素ガスと90体積%の窒素ガスの混合ガス雰囲気下、800℃で2時間処理した後、その主面1pm上に、HVPE法により、結晶成長温度1050℃で、GaN種結晶10を、成長速度80μm/hrで50時間成長させた。
次いで、図2(C)、(D)および図3(A)を参照して、上記のGaN種結晶10を複数のGaN母結晶片1pの{20−21}の主面1pmに平行な面10u,10vでスライスすることにより、主面10pmの面方位が{20−21}であり直径50mmで厚さが0.5mmのGaN種結晶基板10pが得られた。かかるGaN種結晶基板10pは、さらに主面10pmを研削および研磨加工して、主面10pmの平均粗さRaを5nmとした。かかるGaN種結晶基板10pの{20−21}の主面10pmは、(0001)面に対して75°の傾斜角αを有する。
上記のようにして形成されたGaN種結晶基板10pの主面10pm内における転位密度を、CL(カソードルミネッセンス)法により、主面10pm内において中央から外周に向かって互いに直交する2方向にそれぞれ2mmピッチの測定点から外周部の測定点を除いた400の測定点で100μm×100μmの測定面積で測定した。平均転位密度は1.5×106cm-2、最低転位密度は1.0×106cm-2、最高転位密度は3.5×106cm-2であった。したがって、主面内における平均転位密度に対する転位密度のばらつきは、−33%〜+133%と大きかった。これは、複数のGaN母結晶片1pを用いてGaN種結晶基板10pを準備したため、GaN種結晶基板10pにおいて、GaN母結晶片1pの隣接部分上に成長したGaN種結晶基板10pの部分の転位密度が高くなったことによるものと考えられる。
2.GaN単結晶の成長
図3(B)を参照して、上記のGaN種結晶基板10pの(20−21)の主面10pmを10体積%の塩化水素ガスと90体積%の窒素ガスの混合ガス雰囲気下、800℃で2時間処理した後、その主面10pm上に、HVPE法により、結晶成長温度1050℃で、GaN単結晶20を、成長速度80μm/hrで50時間成長させた。
次いで、図3(B)および(C)を参照して、上記のGaN単結晶20をGaN種結晶基板10pの{20−21}の主面10pmに平行な面20u,20vでスライスすることにより、主面20pmの面方位が{20−21}であり直径50mmで厚さが0.5mmのGaN単結晶基板20pが得られた。かかるGaN単結晶基板20pは、さらに主面20pmを研削および研磨加工して、主面20pmの平均粗さRaを5nmとした。図4(A)を参照して、かかるGaN単結晶基板20pの{20−21}の主面20pmは、(0001)面に対して75°の傾斜角αを有する。
上記のようにして形成されたGaN単結晶基板20pの主面20pm内における転位密度を、CL法により、主面20pm内において中央から外周に向かって互いに直交する2方向にそれぞれ2mmピッチの測定点から外周部の測定点を除いた400の測定点で100μm×100μmの測定面積で測定した。平均転位密度は5.4×105cm-2、最低転位密度は2.9×105cm-2、最高転位密度は7.5×105cm-2であった。したがって、主面内における平均転位密度に対する転位密度のばらつきは、−46.3%〜+38.9%であった。
また、GaN単結晶基板20pの主面20pm内の全面において、(0002)面および(22−40)面を回折結晶面とするX線回折ロッキングカーブ測定におけるX線回折ピークの半値幅は30arcsec〜100arcsecと小さく、GaN単結晶基板20pの主面20pmにおける結晶性は高かった。ここで、X線回折ロッキングカーブ測定は、フィリップ社製X’Pert Pro MRDを用いて、主面20pmにおいて中央から外周に向かって互いに直交する2方向にそれぞれ2mmピッチの測定点から外周部の測定点を除いた400の測定点で1mm2のX線照射面積で測定した。
4.GaN系半導体デバイスの製造
次に、上記のGaN単結晶基板20p(直径50mm×厚さ0.4mm)の一方の主面20pm上に、MOCVD法により、少なくとも1層のGaN系半導体層130として、Siがドープされた厚さ2μmのn型GaN層131(キャリア濃度:2×1018cm-3)、6対のIn0.01Ga0.99N障壁層およびIn0.1Ga0.9N井戸層により構成される多重量子井戸構造を有する厚さ100nmの発光層132、Mgがドープされた厚さ20nmのp型Al0.18Ga0.82N層133(キャリア濃度:3×107cm-2)およびMgがドープされた厚さ50nmのp型GaN層134(キャリア濃度:1×1018cm-3)を順に成長させた。
次に、真空蒸着法により、p型GaN層134上の互いに直交する2方向に1mmのピッチで、p側電極141として0.2mm×0.2mm×厚さ0.5μmのNi/Au電極を形成した。また、真空蒸着法により、GaN単結晶基板20pの他方の主面20pn上には、n側電極142として厚さ1μmのTi/Al電極を形成した。
次に、各p側電極が各チップの中心部に位置するように、GaN単結晶基板20p上に上記の少なくとも1層のGaN系半導体層130が形成されたウエハを、GaN単結晶基板20pの主面20pm内におけるキャリア濃度および比抵抗の分布を測定していない外周部を除いて、1mm×1mmの複数のチップ、すなわちGaN系半導体デバイスに分割(チップ化)した。こうして得られたGaN系半導体デバイス100は、発光ピーク波長が450nmのLED(発光ダイオード)であった。
上記のようにして製造されたLED(GaN系半導体デバイス100)の主面における輝度を、輝度測定積分球を用いて、上記のチップ化した1600個のLEDについて測定した。実施例1のLEDで得られた平均輝度を平均相対輝度1.0として、各実施例の平均相対輝度および相対輝度の標本分散を表現した。平均相対輝度は1.0と大きく、相対輝度の標本分散は0.12と小さかった。結果を表1にまとめた。
(実施例2)
GaN種結晶基板10pの準備において、両主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶1をその{20−2−1}面に平行な面(<20−2−1>方向に垂直な面)でスライスすることにより、{20−2−1}の主面を有する複数のGaN母結晶片1pを切り出して、それらの主面を研削および研磨してそれらの主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶片1pを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、主面10pmの面方位が{20−2−1}であるGaN種結晶基板10pおよび主面20pmの面方位が{20−2−1}であるGaN単結晶基板20pを形成した。図4(B)を参照して、かかるGaN単結晶基板20pの{20−2−1}の主面20pmは、(000−1)面に対して75°の傾斜角αを有する。
得られたGaN種結晶基板10pの主面10pm内における転位密度について、平均転位密度は1.1×106cm-2、最低転位密度は7.8×105cm-2、最高転位密度は2.4×106cm-2であった。したがって、主面内における平均転位密度に対する転位密度のばらつきは、−29%〜+118%と大きかった。
これに対して、得られたGaN単結晶基板20pの主面20pm内における転位密度について、平均転位密度は3.2×105cm-2、最低転位密度は0.0×105cm-2、最高転位密度は4.2×105cm-2であった。したがって、主面内における平均キャリア濃度に対するキャリア濃度のばらつきは、−100%〜+31.3%と小さかった。また、GaN単結晶基板20pの主面20pm内の全面において、(0002)面および(22−40)面を回折結晶面とするX線回折ロッキングカーブ測定におけるX線回折ピークの半値幅は30arcsec〜100arcsecと小さく、GaN単結晶基板20pの主面20pmにおける結晶性は高かった。
また、かかるGaN単結晶基板20pを用いて、実施例1と同様にして、GaN系半導体デバイスであるLEDを製造した。製造されたLED(GaN系半導体デバイス100)の主面における輝度について、平均相対輝度は1.2と大きく、相対輝度の標本分散は0.11と小さかった。結果を表1にまとめた。
(実施例3)
GaN種結晶基板10pの準備において、両主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶1をその{22−42}面に平行な面(<22−42>方向に垂直な面)でスライスすることにより、{22−42}の主面を有する複数のGaN母結晶片1pを切り出して、それらの主面を研削および研磨してそれらの主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶片1pを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、主面10pmの面方位が{22−42}であるGaN種結晶基板10pおよび主面20pmの面方位が{22−42}であるGaN単結晶基板20pを形成した。図4(C)を参照して、かかるGaN単結晶基板20pの{22−42}の主面20pmは、(0001)面に対して73°の傾斜角αを有する。
得られたGaN種結晶基板10pの主面10pm内における転位密度について、平均転位密度は1.6×106cm-2、最低転位密度は1.2×106cm-2、最高転位密度は3.9×106cm-2であった。したがって、主面内における平均転位密度に対する転位密度のばらつきは、−25%〜+144%と大きかった。
これに対して、得られたGaN単結晶基板20pの主面20pm内における転位密度について、平均転位密度は6.9×105cm-2、最低転位密度は3.5×105cm-2、最高転位密度は9.8×105cm-2であった。したがって、主面内における平均キャリア濃度に対するキャリア濃度のばらつきは、−49.3%〜+42.0%と小さかった。また、GaN単結晶基板20pの主面20pm内の全面において、(0002)面および(20−20)面を回折結晶面とするX線回折ロッキングカーブ測定におけるX線回折ピークの半値幅は30arcsec〜100arcsecと小さく、GaN単結晶基板20pの主面20pmにおける結晶性は高かった。
また、かかるGaN単結晶基板20pを用いて、実施例1と同様にして、GaN系半導体デバイスであるLEDを製造した。製造されたLED(GaN系半導体デバイス100)の主面における輝度について、平均相対輝度は0.9と大きく、相対輝度の標本分散は0.14と小さかった。結果を表1にまとめた。
(実施例4)
GaN種結晶基板10pの準備において、両主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶1をその{22−4−2}面に平行な面(<22−4−2>方向に垂直な面)でスライスすることにより、{22−4−2}の主面を有する複数のGaN母結晶片1pを切り出して、それらの主面を研削および研磨してそれらの主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶片1pを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、主面10pmの面方位が{22−4−2}であるGaN種結晶基板10pおよび主面20pmの面方位が{22−4−2}であるGaN単結晶基板20pを形成した。図4(D)を参照して、かかるGaN単結晶基板20pの{22−4−2}の主面20pmは、(000−1)面に対して73°の傾斜角αを有する。
得られたGaN種結晶基板10pの主面10pm内における転位密度について、平均転位密度は2.2×106cm-2、最低転位密度は1.4×106cm-2、最高転位密度は5.5×106cm-2であった。したがって、主面内における平均転位密度に対する転位密度のばらつきは、−36%〜+150%と大きかった。
これに対して、得られたGaN単結晶基板20pの主面20pm内における転位密度について、平均転位密度は8.9×105cm-2、最低転位密度は3.8×105cm-2、最高転位密度は1.5×106cm-2であった。したがって、主面内における平均キャリア濃度に対するキャリア濃度のばらつきは、−57.3%〜+68.5%と小さかった。また、GaN単結晶基板20pの主面20pm内の全面において、(0002)面および(20−20)面を回折結晶面とするX線回折ロッキングカーブ測定におけるX線回折ピークの半値幅は30arcsec〜100arcsecと小さく、GaN単結晶基板20pの主面20pmにおける結晶性は高かった。
また、かかるGaN単結晶基板20pを用いて、実施例1と同様にして、GaN系半導体デバイスであるLEDを製造した。製造されたLED(GaN系半導体デバイス100)の主面における輝度について、平均相対輝度は0.86と大きく、相対輝度の標本分散は0.14と小さかった。結果を表1にまとめた。
(比較例1)
GaN種結晶基板10pの準備のために、両主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶1をその{10−10}面に平行な面(<10−10>方向に垂直な面)でスライスすることにより、{10−10}の主面を有する複数のGaN母結晶片1pを切り出して、それらの主面を研削および研磨してそれらの主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶片1pを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、GaN種結晶10を成長させた。GaN種結晶10は、部分的に多結晶化して、多結晶化部分を起点として割れていた。したがって、GaN種結晶基板が得られず、GaN単結晶基板および系半導体デバイスを製造できなかった。結果を表1にまとめた。
(比較例2)
GaN種結晶基板10pの準備のために、両主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶1をその{11−20}面に平行な面(<11−20>方向に垂直な面)でスライスすることにより、{11−20}の主面を有する複数のGaN母結晶片1pを切り出して、それらの主面を研削および研磨してそれらの主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶片1pを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、GaN種結晶10を成長させた。GaN種結晶10は、部分的に多結晶化して、多結晶化部分を起点として割れていた。したがって、GaN種結晶基板が得られず、GaN単結晶基板およびGaN系半導体デバイスを製造できなかった。結果を表1にまとめた。
(比較例3)
GaN種結晶基板10pの準備において、両主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶1をその{10−11}面に平行な面(<10−11>方向に垂直な面)でスライスすることにより、{10−11}の主面を有する複数のGaN母結晶片1pを切り出して、それらの主面を研削および研磨してそれらの主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶片1pを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、主面10pmの面方位が{10−11}であるGaN種結晶基板10pおよび主面20pmの面方位が{10−11}であるGaN単結晶基板20pを形成した。かかるGaN単結晶基板20pの{10−11}の主面20pmは、(0001)面に対して62°の傾斜角αを有する。
得られたGaN種結晶基板10pの主面10pm内における転位密度について、平均転位密度は4.0×106cm-2、最低転位密度は2.2×106cm-2、最高転位密度は9.5×106cm-2であった。したがって、主面内における平均転位密度に対する転位密度のばらつきは、−45%〜+138%と大きかった。
また、得られたGaN単結晶基板20pの主面20pm内における転位密度について、平均転位密度は3.2×106cm-2、最低転位密度は1.1×106cm-2、最高転位密度は7.5×106cm-2であった。したがって、主面内における平均キャリア濃度に対するキャリア濃度のばらつきは、−65.7%〜+134%と大きかった。また、GaN単結晶基板20pの主面20pm内の全面において、(0002)面および(22−40)面を回折結晶面とするX線回折ロッキングカーブ測定におけるX線回折ピークの半値幅は120arcsec〜350arcsecと大きく、GaN単結晶基板20pの主面20pmにおける結晶性は低かった。
また、かかるGaN単結晶基板20pを用いて、実施例1と同様にして、GaN系半導体デバイスであるLEDを製造した。製造されたLED(GaN系半導体デバイス100)の主面における輝度について、平均相対輝度は0.55と小さく、相対輝度の標本分散は0.35と大きかった。結果を表1にまとめた。
(比較例4)
GaN種結晶基板10pの準備において、両主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶1をその{11−22}面に平行な面(<11−22>方向に垂直な面)でスライスすることにより、{11−22}の主面を有する複数のGaN母結晶片1pを切り出して、それらの主面を研削および研磨してそれらの主面の平均粗さRaを5nmとしたGaN母結晶片1pを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、主面10pmの面方位が{11−22}であるGaN種結晶基板10pおよび主面20pmの面方位が{11−22}であるGaN単結晶基板20pを形成した。かかるGaN単結晶基板20pの{11−22}の主面20pmは、(0001)面に対して58°の傾斜角αを有する。
得られたGaN種結晶基板10pの主面10pm内における転位密度について、平均転位密度は4.7×106cm-2、最低転位密度は2.8×106cm-2、最高転位密度は9.8×106cm-2であった。したがって、主面内における平均転位密度に対する転位密度のばらつきは、−40%〜+109%と大きかった。
また、得られたGaN単結晶基板20pの主面20pm内における転位密度について、平均転位密度は4.6×106cm-2、最低転位密度は2.2×106cm-2、最高転位密度は9.3×106cm-2であった。したがって、主面内における平均キャリア濃度に対するキャリア濃度のばらつきは、−52.2%〜+102%と大きかった。また、GaN単結晶基板20pの主面20pm内の全面において、(0002)面および(20−20)面を回折結晶面とするX線回折ロッキングカーブ測定におけるX線回折ピークの半値幅は120arcsec〜350arcsecと大きく、GaN単結晶基板20pの主面20pmにおける結晶性は低かった。
また、かかるGaN単結晶基板20pを用いて、実施例1と同様にして、GaN系半導体デバイスであるLEDを製造した。製造されたLED(GaN系半導体デバイス100)の主面における輝度について、平均相対輝度は0.41と小さく、相対輝度の標本分散は0.31と大きかった。結果を表1にまとめた。
Figure 2011051864
表1から明らかなように、主面の面方位が(0001)面または(000−1)面に対して65°以上85°以下で傾斜しており、主面内における転位密度の分布が実質的に均一(主面内における平均転位密度に対する転位密度のばらつきが±100%以内)であるGaN単結晶基板を用いることにより、主面における平均発光強度が大きく発光強度の分布が実質的に均一(主面内における平均相対輝度に対する相対輝度の標本分散が0.2以下と平均発光強度に対する発光強度のばらつきが小さい)であるGaN系半導体デバイスが得られた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
1 GaN母結晶、1c,10c,20c (0001)面または000(000−1)面、1p GaN母結晶片、1pm,10pm,20pm,20pn 主面、10 GaN種結晶、10g,20g 結晶成長面、10p GaN種結晶基板、20 GaN単結晶、10fa,10fb,20fa,20fb ファセット、20p GaN単結晶基板、10u,10v,20u,20v 平行な面、100 GaN系半導体デバイス、130 GaN系半導体層、131 n型GaN層、132 発光層、133 p型Al0.18Ga0.82N層、134 p型GaN層、141 p側電極、142 n側電極。

Claims (8)

  1. 主面の面積が10cm2以上であり、
    前記主面の面方位が(0001)面または(000−1)面に対して65°以上85°以下で傾斜しており、
    前記主面内における転位密度の分布が実質的に均一である、GaN単結晶基板。
  2. 前記主面内における転位密度のばらつきが前記主面内における平均転位密度に対して±100%以内である請求項1に記載のGaN単結晶基板。
  3. 前記主面内における転位密度が5×106cm-2以下である請求項1または請求項2に記載のGaN単結晶基板。
  4. 前記(0001)面または(000−1)面に対する前記主面の面方位の傾斜の方向が<10−10>方向である請求項1から請求項3までのいずれかに記載のGaN単結晶基板。
  5. (0002)面および(20−20)面もしくは(22−40)面に関するX線回折ロッキングカーブ測定におけるX線回折ピークの半値幅が前記主面の全面において300arcsec以下である請求項1から請求項4までのいずれかに記載のGaN単結晶基板。
  6. 請求項1のGaN単結晶基板の製造方法であって、
    主面の面積が10cm2以上で、前記主面の面方位が(0001)面または(000−1)面に対して65°以上85°以下で傾斜しているGaN種結晶基板を準備する工程と、
    前記GaN種結晶基板の前記主面上にGaN単結晶を成長させる工程と、
    前記GaN単結晶を前記GaN種結晶基板の前記主面に平行な面で切り出して前記GaN単結晶基板を形成する工程と、を備えるGaN単結晶基板の製造方法。
  7. 請求項1のGaN単結晶基板と、前記GaN単結晶基板の前記主面上に形成されている少なくとも1層のGaN系半導体層と、を含むGaN系半導体デバイス。
  8. 請求項1のGaN単結晶基板を準備する工程と、
    前記GaN単結晶基板の前記主面上に少なくとも1層のGaN系半導体層を成長させる工程と、を備えるGaN系半導体デバイスの製造方法。
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