JP4729035B2 - 加圧式ランプアニール装置 - Google Patents

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Description

本発明は、加圧した状態でランプアニール処理ができる加圧式ランプアニール装置及び加圧式ランプアニール処理方法、並びに前記加圧式ランプアニール装置又は前記加圧式ランプアニール方法を用いて作製された薄膜及びその薄膜を備えた電子部品に関する。
図5は、従来のランプアニール装置を示す構成図である。ランプ30によって石英窓80越しに基板10にランプ光50を照射する。基板10は石英サセプタ90に形成された突起で保持されている。フッ化バリウム110は、パイロメータ120で温度制御する場合、測定する波長領域の光を取り込むために配置している。温度制御する場合は、ガラス基板からの輻射光がフッ化バリウム110越しにパイロメータ120に入射し、温度をモニターすることでフィードバック制御を行う。図では、フッ化バリウム110の下に照度計60が配置されているが、温度制御を行う場合は、照度計が自動的に移動し、フッ化バリウムを透過した光はパイロメータ120に到達する。
ランプアニール処理を行う場合は、基板10をチャンバー100内に導入し、ドライポンプやターボ分子ポンプで排気し、電力制御によるランプアニール処理を行う(特許文献1参照)。
特開2002−151426号公報(第27段落〜第30段落、図5)
上記従来のランプアニール装置は、減圧状態でランプアニール処理を行うものである。しかし、アニール対象物によっては加圧した状態でランプアニール処理を行うことが求められる。例えば、アニール対象物が沸点の低い材料を含む場合、減圧又は常圧でアニール処理を行うとその材料の一部が気化してしまうが、加圧状態でランプアニール処理を行えば材料の気化を抑制できる。また、アニール処理によってアニール対象物を反応させるような場合、加圧状態でランプアニール処理を行うことにより、アニール対象物を瞬時に加熱し且つ反応を促進させることが可能となる。
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、加圧した状態でランプアニール処理ができる加圧式ランプアニール装置及び加圧式ランプアニール処理方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記加圧式ランプアニール装置又は前記加圧式ランプアニール方法を用いて作製された薄膜及びその薄膜を備えた電子部品を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る加圧式ランプアニール装置は、被処理基板を導入する処理室と、
前記処理室内を加圧する加圧機構と、
前記被処理基板にランプ光を照射するランプヒータと、
を具備することを特徴とする。
上記加圧式ランプアニール装置によれば、処理室内を加圧する加圧機構を備えているため、加圧した状態でランプアニール処理を行うことができる。尚、前記ランプ光は例えば赤外線である。
本発明に係る加圧式ランプアニール装置は、処理室と、
前記処理室内に配置され、被処理基板を保持する保持部と、
前記処理室内に加圧されたガスを導入するガス導入機構と、
前記処理室内のガスを排気するガス排気機構と、
前記処理室に接して配置された透明部材と、
前記処理室の外部に配置され、前記被処理基板にランプ光が前記透明部材を通して照射されるランプヒータと、
を具備することを特徴とする。
上記加圧式ランプアニール装置によれば、加圧されたガスを導入するガス導入機構を備えているため、加圧した状態でランプアニール処理を行うことができる。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記透明部材に接して配置された白色のOリングをさらに具備することも可能である。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記処理室の内表面に形成された反射膜をさらに具備することも可能である。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記透明部材に接して配置されたOリングと、前記透明部材の表面に形成された、前記Oリングを前記ランプ光から遮るための反射膜と、をさらに具備することも可能である。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記反射膜はAl、Au、Ag、Cu、Pt、Tiからなる群から選択された一の金属を主成分とした膜によって形成されたものであることが好ましい。つまり、前記反射膜は、前記一の金属を主成分としたコーティング膜であり、例えば前記一の金属の合金や酸化物によって形成されたコーティング膜であることも可能である。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記透明部材の厚さtは、アニール処理を行う際の前記処理室内の設計圧力をP(単位:Pa)とし、前記処理室内から前記透明部材が圧力を受ける面の面積をA(単位:mm)とし、前記透明部材の曲げ応力をσb(単位:N/mm)としたときに下記式を満たすものであることを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
10(PA/σb)1/2≦t≦75(PA/σb)1/2
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記保持部に保持される被処理基板の表面と略垂直方向の前記処理室の長さが5mm以上100mm以下であることが好ましい。このように処理室の長さを5mm以上100mm以下と短くすることにより、処理室内に配置された被処理基板とランプヒータとの間の距離を短くでき、それによって昇温レートを上げることができる。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記ガス導入機構は、マスフローコントローラと、該マスフローコントローラの上流側と下流側の差圧を作るレギュレータと、をさらに具備することも可能である。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記ガス導入機構は、前記処理室内にシャワー状のガスを供給するものであることが好ましい。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記ガス排気機構は、前記処理室内のガスをシャワー状に排気するものであることが好ましい。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記処理室内に前記被処理基板を導入する導入口及び該導入口を開閉させる弁体を備えたゲートバルブと、前記弁体に接して配置され、前記弁体に対して前記処理室とは逆側に配置されたOリングとをさらに具備することも可能である。これにより、処理室内が加圧された場合、弁体には処理室とは逆側に押されるような力が加えられるため、この場合にOリングによって十分な気密性を確保することができる。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記ガス導入機構によって前記処理室内にガスを導入しつつ前記処理室内のガスを前記ガス排気機構によって排気することにより、前記処理室内を加圧した状態で前記被処理基板をアニール処理するように制御する制御部をさらに具備することも可能である。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール装置において、前記ガス導入機構によって前記処理室内にガスを導入しつつ前記処理室内のガスを前記ガス排気機構によって排気することにより前記処理室内を加圧した後、前記ガス導入機構及び前記ガス排気機構それぞれを停止させた状態で前記被処理基板をアニール処理するように制御する制御部をさらに具備することも可能である。
本発明に係る加圧式ランプアニール処理方法は、加圧雰囲気中で基板にランプアニール処理を行うことを特徴とする。
また、本発明に係る加圧式ランプアニール処理方法において、前記基板は、該基板に有機金属材料が塗布されたものであることも可能である。
本発明に係る薄膜は、前述した加圧式ランプアニール装置によって加圧式ランプアニール処理が施されたことを特徴とする。
本発明に係る電子部品は、前記薄膜を有することを特徴とする。
また、本発明に係る電子部品は、基板上に形成された薄膜であって、該薄膜は加圧雰囲気中でランプアニール処理が施されていることを特徴とする。
以上説明したように本発明によれば、加圧した状態でランプアニール処理ができる加圧式ランプアニール装置及び加圧式ランプアニール処理方法を提供することができる。また、他の本発明によれば、前記加圧式ランプアニール装置又は前記加圧式ランプアニール方法を用いて作製された薄膜及びその薄膜を備えた電子部品を提供することができる。
発明を実施するための形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態による加圧式ランプアニール装置の構成を示す断面図である。図2は、図1に示すチャンバー及び筐体それぞれと石英ガラスとのシール部を拡大した断面図である。この加圧式ランプアニール装置は、加圧した状態でランプアニール処理(RTA;rapid thermal anneal)を行うものである。
図1に示すように、加圧式ランプアニール装置はAl製のチャンバー1を有している。チャンバー1の肉厚は従来の減圧式ランプアニール装置に比べて厚く形成されている。このチャンバー1の内表面1aには表面処理が施されている。つまり、チャンバー1のない表面1aには反射膜が形成されている。具体的な表面処理としては、Auメッキ処理又はシュウ酸アルマイト処理を用いることが可能である。これにより、チャンバー1の内表面1aにはAuメッキ膜又はシュウ酸アルマイト膜が形成され、このAuメッキ膜又はシュウ酸アルマイト膜でランプ光を反射させることができる。その結果、昇温レートを上げることができる。また、消費電力を少なくすることができる。また、チャンバー1は図示せぬ冷却機構によって水冷されるように構成されている。
尚、本実施の形態では、前記表面処理としてAuメッキ処理又はシュウ酸アルマイト処理を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、Al、Au、Ag、Cu、Pt、Tiからなる群から選択された一の金属を主成分としたコーティング膜を用いることも可能である。
チャンバー1内には被処理基板としてのウエハ2を載置する載置台3が設けられている。載置台3はランプ光が透過する材料、例えば石英で形成されている。載置台3の上方には石英ガラス4が配置されている。この石英ガラス4は、略円柱部4aとその上部の周囲に形成された鍔部4bから構成されている。石英ガラスの略円柱部4aは、チャンバー内が加圧されるために従来の減圧式ランプアニール装置に比べて厚く形成されている。
石英ガラスの略円柱部4aの厚さの決定方法について説明する。
設計圧力(例えば使用圧力×1.2倍)をP(単位:Pa)とし、圧力を受ける面の面積をA(単位:mm)とし、石英ガラスの曲げ応力をσb(単位:N/mm)とした場合の石英ガラスの厚さtは、下記式(1)を満たすことが好ましい。
10(PA/σb)1/2≦t≦75(PA/σb)1/2・・・(1)
石英ガラス4の上にはランプヒータ5が配置されており、このランプヒータ5は金属製の筐体6の内部に配置されている。筐体6の上部には排気ダクト7が接続されており、この排気ダクト7は筐体6内の熱を排気するものである。
図2に示すように、石英ガラスの鍔部4bの上部と筐体6との間には白色のOリング58が配置されており、筐体6とチャンバー1との間には黒色のOリング59が配置されている。これらのOリング58,59は処理室55内の気密性を保持するものである。白色のOリング58を用いる理由は、例えば黒色のOリングを用いるとランプヒータ5からのランプ光61によってOリングが融けてしまうが、白色のOリングを用いるとランプ光61によってOリングが融けることを抑制できるからである。尚、ここでは白色のOリングを用いているが、これに限定されるものではなく、石英ガラスの鍔部4bの少なくとも一部に表面処理を施すことにより黒色などの色の付いたOリングを用いることも可能である。具体的には、ランプヒータ5のランプ光61からOリングを遮光するように石英ガラスの鍔部4bにAuメッキ処理などの表面処理を行う。これにより、ランプ光やその反射光を表面処理したAuメッキ膜などの反射膜によって反射させることができ、その結果、Oリングが融けるのを抑制することができる。
前記載置台3の下方に位置するチャンバー1の下部には窓が設けられており、この窓にはフッ化カルシウム8が配置されている。フッ化カルシウム8の下方には放射温度計9が配置されている。フッ化カルシウム8は、放射温度計9で被処理基板の温度を測定するために、測定する波長領域の光(波長5μmの赤外線)を取り込むために配置している。
チャンバー1内に形成される処理室55は狭い方が好ましい。その理由は、所定の圧力まで加圧するのに必要な時間を短くすることができるからである。また、処理室55内の高さ11は低い方が好ましい。その理由は、処理室55内に配置されたウエハ2とランプヒータ5との間の距離を短くでき、それによって昇温レートを上げることができるからである。具体的な処理室55内の高さ11としては、例えば6インチウエハを被処理基板とした場合、5mm以上100mm以下が好ましく、5mm以上50mm以下がより好ましく、22mm程度がさらに好ましい。
チャンバー1内の処理室55は加圧ライン(加圧機構)12に接続されている。加圧ライン12は、アルゴンガスによる加圧ライン、酸素ガスによる加圧ライン及び窒素ガスによる加圧ラインを有している。
アルゴンガスによる加圧ラインはアルゴンガス供給源13を備え、このアルゴンガス供給源13は第1配管を介して逆止弁14に接続されており、この逆止弁14は第2配管を介して不純物を除去するためのフィルタ17に接続されている。このフィルタ17は第3配管を介してバルブ23に接続されており、第3配管は圧力計20に接続されている。バルブ23は第4配管を介してレギュレータ26に接続されており、このレギュレータ26は第5配管を介してマスフローコントローラ31に接続されている。レギュレータ26は、ガスの圧力を徐々に上げることによりマスフローコントローラ31の上流側と下流側の差圧を所定圧に設定するものである。マスフローコントローラ31は第6配管を介してバルブ34に接続されており、このバルブ34は第7配管を介して加熱ユニット37に接続されている。加熱ユニット37は、プロセスを安定させるためにガス温度を一定(例えば40〜50℃程度)にするものである。加熱ユニット37は第8配管51を介してチャンバー1内の処理室55に接続されている。
酸素ガスによる加圧ラインは、アルゴンガスによる加圧ラインと同様に構成されている。詳細には、酸素ガスによる加圧ラインは酸素ガス供給源29を備え、この酸素ガス供給源29は第1配管を介して逆止弁15に接続されており、この逆止弁15は第2配管を介して不純物を除去するためのフィルタ18に接続されている。このフィルタ18は第3配管を介してバルブ24に接続されており、第3配管は圧力計21に接続されている。バルブ24は第4配管を介してレギュレータ27に接続されており、このレギュレータ27は第5配管を介してマスフローコントローラ32に接続されている。マスフローコントローラ32は第6配管を介してバルブ35に接続されており、このバルブ35は第7配管を介して加熱ユニット37に接続されている。加熱ユニット37は第8配管51を介してチャンバー1内の処理室55に接続されている。
窒素ガスによる加圧ラインは、アルゴンガスによる加圧ラインと同様に構成されている。詳細には、窒素ガスによる加圧ラインは窒素ガス供給源38を備え、この窒素ガス供給源38は第1配管を介して逆止弁16に接続されており、この逆止弁16は第2配管を介して不純物を除去するためのフィルタ19に接続されている。このフィルタ19は第3配管を介してバルブ25に接続されており、第3配管は圧力計22に接続されている。バルブ25は第4配管を介してレギュレータ28に接続されており、このレギュレータ28は第5配管を介してマスフローコントローラ33に接続されている。マスフローコントローラ33は第6配管を介してバルブ36に接続されており、このバルブ36は第7配管を介して加熱ユニット37に接続されている。加熱ユニット37は第8配管51を介してチャンバー1内の処理室55に接続されている。
また、チャンバー1内の処理室55は圧力調整ラインに接続されている。この圧力調整ライン及び前記加圧ライン12によってチャンバー1内の処理室を所定の圧力(例えば1MPa未満)に加圧できるようになっている。前記圧力調整ラインは可変バルブ39を備えており、この可変バルブ39の一方側は第9配管52を介してチャンバー内の処理室に接続されている。第9配管52は圧力計40に接続されており、この圧力計40によって処理室55内の圧力を測定できるようになっている。可変バルブ39の他方側は第10配管に接続されている。
また、チャンバー1内の処理室55は安全ラインに接続されている。この安全ラインは、処理室55内が異常に加圧され過ぎてある一定の圧力以上になった時に処理室内を大気圧まで下げるためのものである。安全ラインは開放バルブ41を備えている。この開放バルブ41の一方側は第9配管52を介してチャンバー内の処理室55に接続されており、開放バルブ41の他方側は第10配管に接続されている。開放バルブ41はある一定の圧力がかかるとガス流れるようになっている。
また、チャンバー1内の処理室55は大気開放ラインに接続されている。この大気開放ラインは、正常に加圧された処理室55内を大気圧に戻すものである。大気開放ラインは開放バルブ42を備えている。この開放バルブ42の一方側は第9配管52を介してチャンバー内の処理室55に接続されており、開放バルブ42の他方側は第10配管に接続されている。開放バルブ42は、処理室55内を大気圧に戻すために該処理室内のガスを徐々に流すようになっている。
また、チャンバー1内の処理室55は減圧状態から大気圧に戻すラインに接続されている。このラインは、処理室55内が減圧状態(真空状態)となっている場合に、減圧状態から大気圧に戻すものである。前記ラインはリークバルブ43を備えている。このリークバルブ43の一方側は第9配管52を介してチャンバー内の処理室55に接続されており、リークバルブ43の他方側は第11配管を介して逆止弁44に接続されている。この逆止弁44は第12配管を介して窒素ガス供給源45に接続されている。つまり、前記ラインは、窒素ガス供給源45から逆止弁44、リークバルブ43を介して処理室55内に窒素ガスを徐々に導入することにより処理室内を大気圧に戻すようになっている。
また、チャンバー1内の処理室55は、該処理室内を減圧状態にするための真空排気ラインに接続されている。この真空排気ラインはバルブ69を有しており、このバルブ69の一端は配管を介して処理室内に接続されている。バルブ69の他端は配管を介して真空ポンプ70に接続されている。この真空排気ラインは、例えば加圧RTAを行う前に一度真空排気を行う場合などに使用される。
前記筐体6及びランプヒータ5それぞれは配管を介してドライエアー供給源46に接続されている。ドライエアー供給源46からドライエアーを筐体内及びランプヒータ内に導入することにより、筐体内及びランプヒータ内に溜まる熱を排気ダクト7から排気することができる。
図3は、図1に示す加圧式ランプアニール装置をチャンバー内で切断した平面図である。チャンバー1内の処理室55の平面形状は略円形である。加圧ライン12から導入されるアルゴンガス、酸素ガス及び窒素ガスそれぞれは、ウエハ2の表面と略平行方向にシャワー状に分散させながらウエハ2上に供給されるようになっている。このウエハ上に供給されたガスは、ウエハ2の表面と略平行方向に並べられた複数のシャワー状ガス通路48から排気されるようになっている。詳細には、前記第8配管51はシャワー状ガス通路47に接続されており、前記第9配管52はシャワー状ガス通路48に接続されている。シャワー状ガス通路47,48はチャンバー1に形成されている。このようにガスをシャワー状に分散させながら流し、且つシャワー状ガス通路48を通して排気することにより、ウエハ2上に均一性よくガスを供給することが可能となる。
チャンバー1の一方側にはゲートバルブ49が配置されており、このゲートバルブ49の近傍にはウエハを搬送する搬送ロボット53が配置されている。搬送ロボット53の近傍にはウエハを収容するカセット54が配置されている。ゲートバルブ49を開いた状態で、チャンバー内の処理室55にウエハ2を搬送ロボット53により搬入、搬出するようになっている。
図4は、図3に示すゲートバルブの一部及び搬送ロボットを示す断面図である。ゲートバルブ49はバルブ本体49aを有しており、このバルブ本体49aには開口部49bが設けられている。この開口部(導入口)49bは、ウエハ2を導入するためのものであってチャンバー内の処理室55とチャンバー外部とを繋ぐように形成されている。バルブ本体49aの内部には弁体49cが配置されており、この弁体49cを矢印のように上下移動させることで開口部49bの開閉を行うことができる。弁体49cとバルブ本体49aとの間にはOリング56が配置されており、このOリング56によって処理室55内の気密性を保持できるようになっている。
Oリング56は開口部49b内において処理室55とは逆側(即ちチャンバー外部側)に位置している。その理由は、処理室55内が加圧された場合、弁体49cにはチャンバー外部側に押されるような力が加えられるため、この場合にもOリング56によって十分な気密性を確保できるからである。
次に、電子部品を作製する方法の一例として、上記加圧式ランプアニール装置を用いて有機金属材料の一例であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)強誘電体キャパシタを作製する方法について説明する。
まず、6インチのシリコンウエハ上に熱酸化法によりシリコン酸化膜(SiO膜)を形成し、このシリコン酸化膜上に下部電極を形成する。次いで、この下部電極上にゾルゲル法によりPZT膜を塗布し、このPZT膜上に上部電極を形成する。
この後、上記加圧式ランプアニール装置を用いて酸素雰囲気中で600℃、1分間のRTA処理を行う。以下、詳細に説明する。
図3及び図4に示すゲートバルブ49の開口部を開き、搬送ロボット53により前記シリコンウエハを処理室55内に導入し、図1に示す載置台3上に前記シリコンウエハを載置する。次いで、ゲートバルブ49の開口部を閉じ、加圧ライン12の酸素ガス供給源29から第1配管、逆止弁15、第2配管、フィルタ18、第3配管、バルブ24、第4配管、レギュレータ27、第5配管、マスフローコントローラ32、第6配管、バルブ35、第7配管、加熱ユニット37、第8配管51を通して酸素ガスを処理室55内に導入する。これと共に、圧力調整ラインの可変バルブ39を徐々に閉じていくことにより、処理室55内を酸素雰囲気としながら徐々に加圧する。そして、処理室55内は1MPa未満の所定の圧力まで加圧され、その圧力で維持される。
次に、ランプヒータ5から石英ガラス4を通してランプ光をシリコンウエハに照射する。これにより、PZT膜が600℃まで急速に加熱され、600℃の温度で1分間保持される。その結果、PZTと酸素が素早く反応され、PZT膜が結晶化される。
次いで、ランプヒータ5を停止させることにより、PZT膜は急速に冷却される。次いで、加圧ライン12の酸素供給源からの酸素の供給を停止し、大気開放ラインの開放バルブ42を開き、処理室55内を大気圧に戻す。
上記RTA処理によれば、加圧状態でアニール処理を行うため、PZT中の沸点の低い材料が気化されるのを抑制できると共に、PZTと酸素との反応を促進させることができる。また、PZT膜を瞬時に600℃まで昇温するため、PZT膜中の酸素欠陥の発生を抑制でき、結晶性の良いPZT膜を作製することができる。
尚、上記実施の形態では、加圧ライン12によって処理室55内に酸素ガスを導入しつつ処理室55内のガスを排気することにより、処理室55内を加圧した状態で被処理基板をアニール処理しているが、加圧ライン12によって処理室55内にガスを導入しつつ処理室55内のガスを排気することにより処理室55内を加圧した後、バルブ35及び可変バルブ39それぞれを停止させ、処理室55内を加圧した状態で被処理基板をアニール処理することも可能である。また、これらの制御は、図示せぬ制御部によって行われる。
次に、上記加圧式ランプアニール装置によるランプアニール処理実験及びその結果について説明する。
図6は、上記加圧式ランプアニール装置によってランプアニール処理を施すウエハ2を示す平面図である。参照符号62〜65は、ウエハ2にランプアニール処理を施した際にウエハ2の表面上の温度を測定した位置を示すものである。ウエハ2の直径は150mmであり、測定位置62と測定位置65との間の距離は140mmである。
図7は、600℃の温度、酸素ガスによって0.9MPaの圧力で加圧式ランプアニール処理を施した際のウエハ上の測定位置62〜65それぞれの温度と時間の関係を示すグラフである。
図7によれば、ヒーターを予備加熱する為にオンした際の測定位置63の温度が41.0℃であり、RTA(実プロセス)を行う為にヒーターをオンした際の測定位置63の温度が86.9℃であり、実プロセスの昇温レートが107℃/秒であり、600℃になるまで約4.8秒要し、600℃まで昇温された直後のオーバーシュート67が4.5℃であった。
図8は、700℃の温度、酸素ガスによって0.9MPaの圧力で加圧式ランプアニール処理を施した際のウエハ上の測定位置62〜65それぞれの温度と時間の関係を示すグラフである。
図8によれば、ヒーターを予備加熱する為にオンした際の測定位置63の温度が99.5℃であり、RTA(実プロセス)を行う為にヒーターをオンした際の測定位置63の温度が144.5℃であり、実プロセスの昇温レートが110.1℃/秒であり、700℃まで昇温された直後のオーバーシュート67が4.7℃であった。
図9は、900℃の温度、酸素ガスによって0.9MPaの圧力で加圧式ランプアニール処理を施した際のウエハ上の測定位置62〜65それぞれの温度と時間の関係を示すグラフである。
図9によれば、ヒーターを予備加熱する為にオンした際の測定位置63の温度が49.2℃であり、RTA(実プロセス)を行う為にヒーターをオンした際の測定位置63の温度が90.3℃であり、実プロセスの昇温レートが158.5℃/秒であり、900℃まで昇温された直後のオーバーシュート67が2.8℃であった。その後の測定位置62〜65における均熱は、1分後が±10.35℃であり、5分後が±6.70℃であり、10分後が±4.15℃であった。ヒーターオフ66の後の降温レートが42.4℃/秒であった。ヒーターをオフした後311秒経過した時68の温度が100℃であった。
上記実験結果から、前記加圧式ランプアニール装置によって加圧式ランプアニール処理を行うことができることが確認された。
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、前記ランプとしては、種々のランプ光源を用いることが可能であり、ハロゲンランプを光源として用いても良いし、ランプメタルハライドランプや高圧水銀ランプなどのUVランプを光源として用いても良い。
また、上記実施の形態では、PZT強誘電体キャパシタを作製する方法について説明しているが、他の電子部品を作製することに本発明を適用することも可能である。
本発明の実施の形態による加圧式ランプアニール装置の構成を示す断面図である。 図1に示すチャンバー及び筐体それぞれと石英ガラスとのシール部を拡大した断面図である。 図1に示す加圧式ランプアニール装置をチャンバー内で切断した平面図である。 図3に示すゲートバルブの一部及び搬送ロボットを示す断面図である。 従来のランプアニール装置を示す構成図である。 ランプアニール処理を施すウエハを示す平面図である。 加圧式ランプアニール処理を施した際のウエハ上の測定位置62〜65それぞれの温度と時間の関係を示すグラフである。 加圧式ランプアニール処理を施した際のウエハ上の測定位置62〜65それぞれの温度と時間の関係を示すグラフである。 加圧式ランプアニール処理を施した際のウエハ上の測定位置62〜65それぞれの温度と時間の関係を示すグラフである。
符号の説明
1…チャンバー
1a…チャンバーの内表面
2…ウエハ
3…載置台
4…石英ガラス
4a…略円柱部
4b…鍔
5…ランプヒータ
6…筐体
7…排気ダクト
8…フッ化カルシウム
9…放射温度計
10…基板
11…処理室内の高さ
12…加圧ライン
13…アルゴンガス供給源
14〜16…逆止弁
17〜19…フィルタ
20〜22…圧力計
23〜25…バルブ
26〜28…レギュレータ
29…酸素ガス供給源
30…ランプ
31〜33…マスフローコントローラ
34〜36…バルブ
37加熱ユニット
38…窒素ガス供給源
39…可変バルブ
40…圧力計
41,42…開放バルブ
43…リークバルブ
44…逆止弁
45…窒素ガス供給源
46…ドライエアー供給源
47,48…シャワー状ガス通路
49…ゲートバルブ
50…ランプ光
51…第8配管
52…第9配管
53…搬送ロボット
54…カセット
55…処理室
56,58,59…Oリング
60…照度計
61…ランプ光
62〜65…測定位置
66…ヒーターオフ
67…オーバーシュート
68…ヒーターをオフした後311秒経過した時
69…バルブ
70…真空ポンプ
80…石英窓
90…石英サセプタ
100…チャンバー
110…フッ化バリウム
120…パイロメータ

Claims (11)

  1. 処理室と、
    前記処理室内に配置され、被処理基板を保持する保持部と、
    前記処理室内に加圧されたガスを導入するガス導入機構と、
    前記処理室内のガスを排気するガス排気機構と、
    前記処理室に接して配置された透明部材と、
    前記処理室の外部に配置され、前記被処理基板にランプ光が前記透明部材を通して照射されるランプヒータと、
    前記透明部材に接して配置されたOリングと、
    前記透明部材の表面に形成された、前記Oリングを前記ランプ光から遮るための反射膜と、
    を具備することを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
  2. 請求項において、前記処理室の内表面に形成された反射膜をさらに具備することを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
  3. 請求項1又は2において、前記反射膜はAl、Au、Ag、Cu、Pt、Tiからなる群から選択された一の金属を主成分とした膜によって形成されたものであることを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、前記透明部材の厚さtは、アニール処理を行う際の前記処理室内の設計圧力をP(単位:Pa)とし、前記処理室内から前記透明部材が圧力を受ける面の面積をA(単位:mm)とし、前記透明部材の曲げ応力をσb(単位:N/mm)としたときに下記式を満たすものであることを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
    10(PA/σb)1/2≦t≦75(PA/σb)1/2
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、前記保持部に保持される被処理基板の表面と略垂直方向の前記処理室の長さが5mm以上100mm以下であることを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項において、前記ガス導入機構は、マスフローコントローラと、該マスフローコントローラの上流側と下流側の差圧を作るレギュレータと、をさらに具備することを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項において、前記ガス導入機構は、前記処理室内にシャワー状のガスを供給するものであることを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項において、前記ガス排気機構は、前記処理室内のガスをシャワー状に排気するものであることを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項において、前記処理室内に前記被処理基板を導入する導入口及び該導入口を開閉させる弁体を備えたゲートバルブと、前記弁体に接して配置され、前記弁体に対して前記処理室とは逆側に配置されたOリングとをさらに具備することを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項において、前記ガス導入機構によって前記処理室内にガスを導入しつつ前記処理室内のガスを前記ガス排気機構によって排気することにより、前記処理室内を加圧した状態で前記被処理基板をアニール処理するように制御する制御部をさらに具備することを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
  11. 請求項1乃至9のいずれか一項において、前記ガス導入機構によって前記処理室内にガスを導入しつつ前記処理室内のガスを前記ガス排気機構によって排気することにより前記処理室内を加圧した後、前記ガス導入機構及び前記ガス排気機構それぞれを停止させた状態で前記被処理基板をアニール処理するように制御する制御部をさらに具備することを特徴とする加圧式ランプアニール装置。
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