JP4727842B2 - 作業車両用キャブの前窓開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業車両用キャブの前窓開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベルやクレーン車等の作業車両のキャブにおいては、作業中にオペレータが作業車両の前方直下を見下ろして作業状態等を容易に確認ができるようにするために、キャブの前面のガラス窓を上方へスライドさせながらキャブ天井の下面位置に収納することによって、前窓を開閉可能とした装置(以下、前窓開閉装置と言う。)が適用されたものが多い。そして、従来から、この前窓開閉装置を適用した作業車両では、重い前窓を上方へスライドさせる時に操作に要する力をアシストする機能を有するものがあり、例えば、バネ力を応用した巻き上げリールによって前窓の質量に抗する力を前窓に付与するか、又はモータ駆動式の巻き上げリールで前窓を引き上げるように構成した前窓開閉装置(以下、アシスト機能付前窓開閉装置と言う。)が知られている。
【0003】
例えば特開平11−173001号公報には、上記バネ式巻き上げリールを用いて構成したアシスト機能付前窓開閉装置が開示されており、以下、図11〜図12に示す同公報に記載された図により従来技術の例を説明する。
図11は従来技術による作業車両用キャブの前窓開閉装置を適用したキャブの概略斜視図で、図12は図11の要部側面図である。
【0004】
図11〜図12において、作業車両の車体3の上部にキャブ1が搭載されている。キャブ1の前面壁61と屋根62との間は円筒状で曲率半径の大きい曲面63により連結されており、前面壁61には略矩形の前窓開口60が形成されている。前窓開口60の左右両側から屋根62の下面である天井の左右両側に沿って、それぞれ湾曲したレール70L,70Rが平行して固定されている。尚、レール70L,70Rは左右対称に構成されているので、以下では右側レール70Rについてのみ説明し、左側レール70Lの説明を省略する。
【0005】
レール70Rは鉄板を曲げ加工して、略コ字型の溝が2つ略W字状に隣接して並んだ断面形状を有するダブルレール71,72を形成し、さらに曲面63に沿うように曲がりを形成している。このダブルレール71,72の内、外側のレール71をローラガイドレールとして、このレール71内に、ガラス73aと枠73bとで構成し、かつほぼ曲面63に沿う形状を有する前窓73の左右の上下にそれぞれ配設したガイドローラ74,75を転動自在に嵌め込んで、前窓73を上下方向に開閉可能としている。
【0006】
更に、内側のレール72をケーブルガイドレールとして、このレール72の後端部に、バネ(図示せず)によって巻込み勝手に付勢されたケーブルリール(以下、アシストリールと言う。)76を配設し、アシストリール76から引出したアシストケーブル77をレール72内に沿わせて布設し、該アシストケーブル77の下端部をピン82により連結装置80のリンク81の一端部に連結し、さらにリンク81の他端部を前記ガイドローラ75の回転軸75aに連結している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特開平11−173001号公報に記載の従来技術においては、キャブ1の前面壁61と屋根62との間を曲率半径の大きな曲面63で連結しており、それによって次のような問題がある。
【0008】
(1)図12において、ローラガイド用のレール71及びケーブルガイド用のレール72は共に略全長にわたって曲がった状態にあり、その結果、ケーブルガイド用のレール72の略全長にわたってその溝内壁に、アシストケーブル77が同ケーブルの張力によって押付けられた状態となるから、大きな摩擦ロスが発生して、アシストケーブル77の張力が有効に前窓73に伝わらない。
【0009】
(2)ケーブルガイド用レール72とローラガイド用レール71は一般的に、帯鋼鈑をロール成形して製作される場合が多く、その場合に加工性の良い軟鋼板を用いて製作される。このため、上記(1)の大きな磨耗ロスにより、ケーブルガイド用のレール72の内壁に磨耗が生じ易い。
【0010】
(3)キャブをスポット溶接で製作する際に一般的に、コスト抑制と美観向上の目的で、ケーブルガイド用のレール72及びローラガイド用のレール71も同時に、キャブ内壁にスポット溶接されることが多い。従って、上記(2)によって、ケーブルガイド用レール72の溝内壁が磨耗した場合に、部品交換が非常に困難であると言う問題が生じる。
【0011】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、摩擦ロスを軽減し、耐磨耗性を向上し、部品交換を容易にできる作業車両用キャブの前窓開閉装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、キャブの前面壁から天井に亘って左右側面に設けられ、前窓のガイドローラ、及びアシストリール(26)の付勢力により前窓(16)の開閉をアシストするアシストケーブル(27)をガイドして、前窓を開閉自在としたガイドレールを有する作業車両用キャブの前窓開閉装置において、キャブの前面壁に略平行する略直線状の前部ガイドレールと、天井に略平行する略直線状の上部ガイドレールと、その両者を繋ぐ曲線状のコーナー部ガイドレールとに分割して構成され、それらを長手方向に連接してなる構成としている。
【0013】
第1発明によると、次の作用及び効果が得られる。
(1)前部ガイドレールと上部ガイドレールは共に略直線状としたことによって、アシストケーブルが両ガイドレールの溝内壁に押付けられることが無いから、アシストケーブルと両ガイドレールとの間で摩擦力は発生せず、従って摩擦ロスも磨耗も発生しない。これによって、前部ガイドレールと上部ガイドレールは共に、通常の軟鋼板製のロール成形品として製作でき、キャブにスポット溶接で取着することによって、コストの抑制と美観の向上を図ることができる。
(2)また、コーナー部ガイドレールは曲線状であるから、該ガイドレールのケーブルレーン内壁にはアシストケーブルの張力によってアシストケーブルとの摩擦力が発生するので、他の前部ガイドレール及び上部ガイドレールよりも磨耗し易いが、それぞれに分割構成されているために、コーナー部ガイドレールをボルト等によって着脱可能に取付けることによって、磨耗時にはコーナー部ガイドレールのみを交換すれば良いから、部品交換が極めて容易となる。従って、メンテナンス性を向上できる。
【0014】
第2発明は、第1発明において、前記コーナー部ガイドレールのケーブルレーンに、耐摩耗性及び/又は潤滑性を有する摺動部材を設けた構成としている。
【0015】
第2発明によると、上記第1発明における作用、効果に加えて、以下の作用、効果が得られる。
(1)コーナー部ガイドレールは曲線状であるから、そのケーブルレーン内壁には、アシストケーブルの張力によってアシストケーブルとの摩擦力が発生するが、上記溝内壁のアシストケーブルと当接する面に耐摩耗性及び/又は潤滑性を有する摺動部材を設けることにより、摩擦力及び磨耗量を低減できる。
(2)上記(1)の方法によれば、コーナー部ガイドレールの母材部は成形の容易な材料を任意に選択することが可能となるから、母材部を例えばプラスチックのモールド成形品又は射出成形品とし、成形の際に上記摺動部材を埋め込んで配設することができる。又同様に母材部を溶融点の低い金属製のダイカスト成形品とし、成形の際に上記摺動部材を埋め込んで配設することができる。
これらの結果、ガイドレールの摩擦ロスを軽減し、耐磨耗性を向上できる。
【0016】
第3発明は、第1発明において、前記コーナー部ガイドレールのケーブルレーンにケーブルガイドローラを配設した構成としている。
【0017】
第3発明によると、上記第1発明における作用、効果に加えて、次の作用及び効果が得られる。
コーナー部ガイドレールのケーブルレーンに、コーナー部の丸みの形状に略沿ってケーブルガイドローラを配設することによって、アシストケーブルは該ケーブルガイドローラ上を移動するからケーブルレーン内壁との摩擦を生じない。従って、作業車両の重い前窓をアシストする為の大きな張力を有するアシストケーブルをも、極めて低い摩擦ロスで円滑にガイドできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態について、図1〜図8を参照して詳述する。
【0019】
先ず図1〜図4を参照して、第1実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用したキャブの側面断面図、図2は図1のM−M断面図、図3は第1実施形態の要部側面図、及び図4は図3のN−N断面図である。なお、図9〜10と同一の構成要素には同一の符合を付して以下での説明を省略する。
【0020】
先ず図1において、キャブ1の前面壁11と、屋根12と、この両者間を連結し、小さい曲率半径を有する曲面部13の内側に沿って、左右内壁2L,2R上に対称に左右のガイドレール20L,20Rが配設されている。ガイドレール20L,20Rは互いに対称に構成されているので、以下は図1に示された右側ガイドレール20Rについて説明し、左側ガイドレール20Lの説明は省略する。
【0021】
ガイドレール20Rは、屋根12の裏面である天井に略平行な略直線状の上部ガイドレール21と、前面壁11に略平行な略直線状の前部ガイドレール23と、曲面部13の曲線に沿って曲線状に形成されたコーナー部ガイドレール40と、端部ガイドレール24とに分割構成され、それらを長手方向に連接して取付けられている。ガイドレール20Rの溝には、ガラス16aと枠16bとを有する前窓16の左右側面の上下端部にそれぞれ回動自在に取付けられたガイドローラ17,18が嵌め込まれており、前窓16はガイドレール20R(及びガイドレール20L)に沿って、手動で上下に開閉可能となっている。尚、図1では説明の為に、前窓16は開閉途上の状態を示している。
【0022】
また、上部ガイドレール21の後端部近傍には、コイル状に巻き癖を付与した図示しない帯鋼バネ(所謂コンスタントスプリング)を用いて常に巻込み勝手に付勢されたケーブルリール(以下、アシストリールと言う。)26を配設し、アシストリール26から引張り出したアシストケーブル27をガイドレール20Rの溝内に沿って這わせている。アシストケーブル27の先端部は、連結装置30を介して前窓16の下側ガイドローラ18の軸に連結されている。これにより、アシストケーブル27を介してアシストリール26がオペレータによる前窓16の開操作(プルアップ)をアシストするように構成されている。尚、アシスト装置としては上記のようなバネ式のアシストリールに限定されず、例えば図示しない操作スイッチの操作信号に応じてモータで駆動する動力駆動式アシストリールでも構わない。
【0023】
次に図2において、上部ガイドレール21の断面略コ字状の溝21aの内部には、ガイドローラ17,18が転動するための走行レーン21bが形成され、またこの走行レーン21bと溝21aの奥壁21dとの間には、アシストケーブル27を這わせるケーブルレーン21cが該走行レーン21bに沿って形成されている。これにより、溝21a内にガイドローラ17,18とアシストケーブル27を配設可能としている。
【0024】
尚、他のガイドレール40,23の溝においても、ガイドレール21の溝21aと同一の断面形状としており、同様にして走行レーン及びケーブルレーン(共に図示しない。)が夫々形成されているが説明を省略する。
【0025】
上記のような簡単な断面構造であるから、コーナー部ガイドレール40のレール曲げ半径を小さくすることが可能であり、これによりコーナー部ガイドレール40をコンパクトにし、製作容易な上部ガイドレール21及び前部ガイドレール23を長くして、コスト低減と美観向上を図ることができる。
【0026】
次に図3〜図4において、コーナー部ガイドレール40はボルト49によってキャブ1の右内壁2Rに着脱可能に取着されている。又、コーナー部ガイドレール40は母材部を合成樹脂の成形品で製作されており、成形の際に、その溝40a内部のケーブルレーン40cの底面に摺動部材41が埋め込まれている。この摺動部材41は、帯鋼板41aと、該帯鋼板41aの上面に耐摩耗性を有する摺動材料を燒結成形した燒結層の微細空隙にオイルを含浸させた潤滑性のある含油燒結層41bとで構成されている。尚、摺動部材41は上記に限らず、例えば焼入れ鋼板製の摺動部材等、他の摺動に適した材料であってもよい。
【0027】
図1〜図4における上記構成において、次の作用と効果が得られる。
(1)上部ガイドレール21と前部ガイドレール23は共に略直線状としたことによって、アシストケーブル27がこれらのガイドレール21,23の溝内壁に押付けられることが無いから、前記アシストケーブル27とアシストガイドレール21,23との間で摩擦力は発生しない。従って、摩擦ロスも磨耗も発生しない。これによって、上部ガイドレール21と前部ガイドレール23は共に、通常の軟鋼鈑のロール成形品として、キャブにスポット溶接で取着することによって、コストの抑制と美観の向上を図ることができる。
【0028】
(2)コーナー部ガイドレール40は曲線状であるから、このガイドレール40のケーブルレーン40cの底面にはアシストケーブル27の張力Tによって該ケーブル27との摩擦力が発生するが、ケーブルレーン40cの底面の表面には摺動部材41が設けられているから、摩擦力及び磨耗量を大幅に低減することができる。これにより、コーナー部ガイドレール40の母材部は成形の容易な材料を任意に選択することが可能となるから、母材部をプラスチック等樹脂の成形品として、コストを抑制できる。又、母材部を溶融点の低い金属製のダイカスト成形品としてもよい。
【0029】
(3)コーナー部ガイドレール40をボルトによって着脱可能に取付けているから、摺動部材41が磨耗した時にはこのコーナー部ガイドレール40のみを交換すればよい。それによって、部品交換が極めて容易となる。
これらの結果、摩擦ロスの軽減、耐磨耗性の向上、及び部品交換の容易化を実現できる。
【0030】
次に図5〜図6を参照して、第2実施形態を説明する。図5は第2実施形態の要部側面図であり、図6は図5のP−P断面図である。尚、図1〜4と同一の構成要素には同一の符合を付して以下での説明を省略する。
【0031】
図5〜図6において、コーナー部ガイドレール40はボルト49によってキャブ1の右内壁2Rに着脱可能に取着されている。又、コーナー部ガイドレール40は母材部がプラスチックの成形品で製作されており、成形の際に、溝40a内のケーブルレーン40cの底面に所定の間隔で複数の穴45を設け、この穴45にケーブルガイドローラ42を嵌め込んでピン43とスナップリング44とで回動自在に取着している。尚、その際に、ケーブルガイドローラ42の外周上面が、ケーブルレーン40cの底面よりも上方に出るようにしている。
尚、本実施形態では、コーナー部ガイドレール40の丸みの形状に沿って複数個の小径のケーブルガイドローラ42を配列設置した例で示したが、コーナー部の丸みの形状に相当する大きなケーブルガイドローラを配設するようにしてもよいことは勿論である。
【0032】
図5〜図6における上記構成においては、前記第1実施形態における作用と効果に加えて、次の作用と効果が得られる。
ガイドケーブル27は、ケーブルガイドローラ42上を移動するからケーブルレーン40cの上面と接することはない。従って、摩擦及び磨耗を極めて少なくすることができる。これにより、作業車両の大きくて重い前窓16をアシストする為の大きな張力Tを有するアシストケーブル27をも、極めて低い摩擦ロスで円滑にガイドすることができる。また、バネ式アシストリール26に換えて動力駆動式巻き上げリールを用いると、アシストケーブル27を介して前窓16の全質量を巻上げる前窓自動開閉機構に効果的に適用できる。
【0033】
次に図7〜図8を参照して、第3実施形態を説明する。本実施形態は、前実施形態と比べてケーブルレーンの構成が異なり、ここではコーナー部ガイドレールのみを図示して説明する。図7は本実施形態のコーナー部ガイドレールの側面図であり、図8は図7のU−U断面図である。尚、図1〜6と同一の構成要素には同一の符合を付して以下での説明を省略する。
【0034】
図7〜図8において、コーナー部ガイドレール50には、前窓16のガイドローラ17,18が転動するためのローラガイドレール58と、アシストケーブル27を這わせるケーブルガイドレール59とが上下に平行に配設されている。又、コーナー部ガイドレール50は母材部をプラスチックの成形品で製作されており、成形の際に、ケーブルガイドレール59のレール面兼ケーブルレーン59cに摺動部材51が埋め込まれている。該摺動部材51は、帯鋼板51aと、この帯鋼板51aの上面に耐摩耗性を有する摺動材料を燒結成形した燒結層にオイルを含浸させた潤滑性のある含油燒結層51bとで構成されている。
他のガイドレール21,23も上記と同様にローラガイドレール58とケーブルガイドレール59とが上下に平行に配設されているが、ケーブルガイドレール59のケーブルレーン59cには摺動部材51が設けられていない。
【0035】
本実施形態の構成により、次の作用と効果が得られる。
(1)本実施形態における各ガイドレール50,21,23には、ローラガイドレール58とケーブルガイドレール59とが上下に平行に配設されているから、前述の従来技術の項に示したようなローラガイドレールとケーブルガイドレールとをそれぞれ上下に平行に有する断面略W字状のガイドレールにも容易に適用することができ、汎用的に用いることができる。これにより、多くの作業車両用キャブに容易に適用して、前記第1実施形態と同様の作用と効果を得ることができる。
【0036】
次に図9〜図10を参照して、第4実施形態を説明する。図9は本実施形態のコーナー部ガイドレールの側面図であり、図10は図9のV−V断面図である。尚、図1〜8と同一の構成要素には同一の符合を付して以下での説明を省略する。
【0037】
図9〜図10において、コーナー部ガイドレール50には、ローラガイドレール58とケーブルガイドレール59とが上下に平行に配設されている。更に、ケーブルガイドレール59の底面には、両端にアシストケーブル27の先端部に転動自在に取付けられた連結装置30のケーブルガイド用のパイロットローラ(図示せず)が転動するためのレール面59b,59bが形成され、中央部にケーブルレーン59cが形成されている。また、コーナー部ガイドレール50は母材部をプラスチックの成形品で製作されており、成形の際にケーブルレーン59cに沿って所定の間隔で複数の穴55を設け、この穴55内にケーブルガイドローラ52を嵌め込んでピン53とスナップリング54で回動自在に取付けている。
【0038】
このとき、ケーブルガイドローラ52の外周上面が、ケーブルレーン59cの底面よりも上方に出るように、且つレール面59b,59bよりも下方にあるように取付けてある。これによって、ケーブル27の張力による摩擦力がケーブルレーン59cにかかることが無く、また、ケーブルガイドローラ52が、レール面59cを通過するパイロットローラ(図示せず)に干渉することがないようにしている。
【0039】
他のガイドレール21,23も上記と同様にローラガイドレール58とケーブルガイドレール59とが上下に平行に配設されているが、ケーブルガイドレール59のケーブルレーン59cにはケーブルガイドローラ52が設けられていない。
【0040】
本実施形態の構成により、次の作用と効果が得られる。
(1)本実施形態における各ガイドレール50,21,23には、ローラガイドレール58とケーブルガイドレール59とが上下に平行に配設されているから、前述の従来技術の項に示したようなローラガイドレールとケーブルガイドレールとをそれぞれ上下に平行に有する断面略W字状のガイドレールにも容易に適用することができ、汎用的に用いることができる。これにより、多くの作業車両用キャブに容易に適用して、前記第1実施形態と同様の作用と効果を得ることができる。
【0041】
以上説明したように、本発明によると、ガイドレールを略直線状の前部ガイドレール(前壁部)、上部ガイドレール(天井部)、及び曲線状のコーナー部ガイドレールにより分割構成し、長手方向に連接して取付けるようにした。これにより、アシストケーブルとの摩擦力が小さく、通常の軟鋼板製のロール成形品にて製作でき、かつ直線的なので製作コストの安い部分と、磨耗し易いので耐摩耗性及び/又は潤滑性を有する摺動部材、ローラ等を設け、かつ曲線状なので製作コストの高い部分とに分けて、製作及び取付けが可能となる。従って、コストの高いコーナー部ガイドレールのみの着脱が容易となり、全体のコストを抑制でき、かつ万一磨耗した時の部品交換が非常に容易である。
また、コーナー部ガイドレールのケーブルレーンの、アシストケーブルと当接する部位に、摺動部材を設けたり、又はケーブルガイドローラを回動自在に取付けるようにしたので、アシストケーブルとの摺動抵抗が減少して円滑に開閉操作ができると共に、摩擦力によるコーナー部ガイドレールの磨耗が減少して耐久性を向上できる。さらに、種々の形状の作業車両用キャブやガイドレールにも容易に適用可能で汎用性が高い。以上の結果、摩擦ロスの軽減、耐磨耗性の向上及び部品交換の容易化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したキャブの側面断面図である。
【図2】図1のM−M断面図である。
【図3】第1実施形態のコーナー部ガイドレールの側面図である。
【図4】図3のN−N断面図である。
【図5】第2実施形態のコーナー部ガイドレールの側面図である。
【図6】図5のP−P断面図である。
【図7】第3実施形態のコーナー部ガイドレールの側面図である。
【図8】図7のU−U断面図である。
【図9】第4実施形態のコーナー部ガイドレールの側面図である。
【図10】図9のV−V断面図である。
【図11】従来技術によるキャブの概略斜視図である。
【図12】従来技術による前窓開閉装置の要部側面図である。
【符号の説明】
1…キャブ、2R…右内壁、11…前面壁、12…屋根、13…曲面、16…前窓、17…ガイドローラ、18…ガイドローラ、20R…右ガイドレール、21…上部ガイドレール、23…前部ガイドレール、26…アシストリール、27…アシストケーブル、40…コーナー部ガイドレール、41…摺動部材、41a…帯鋼鈑、41b…含油燒結層、42…ケーブルガイドローラ、50…コーナー部ガイドレール、51…摺動部材、51a…帯鋼鈑、51b…含油燒結層、52…ケーブルガイドローラ、58…ローラガイドレール、59…ケーブルガイドレール。
Claims (4)
- キャブ(1)の前面壁(11)から天井に亘って左右側面に設けられ、前窓(16)のガイドローラ(17,18)と、前記前窓(16)の下端部に連結されるとともにアシストリール(26)の付勢力により前窓(16)の開閉をアシストするアシストケーブル(27)とをガイドして、前窓(16)を開閉自在としたガイドレールを有する作業車両用キャブの前窓開閉装置において、
前記ガイドレールは、キャブ(1)の前面壁(11)に略平行する略直線状の前部ガイドレール(23)と、天井に略平行する略直線状の上部ガイドレール(21)と、その両者を繋ぐ曲線状のコーナー部ガイドレール(40,50)とに分割して構成され、それらを長手方向に連接してなり、
前記コーナー部ガイドレール(40,50)は、前記アシストケーブル(27)が摺動されるケーブルレーン(40c,59c)を有し、前記前部ガイドレール(23)と前記上部ガイドレール(21)から独立して着脱可能に前記キャブ(1)の内壁(2)に取り着けられる、
ことを特徴とする作業車両用キャブの前窓開閉装置。 - 請求項1記載の作業車両用キャブの前窓開閉装置において、
前記コーナー部ガイドレール(40,50)の前記ケーブルレーン(40c,59c)に、耐摩耗性及び/又は潤滑性を有する摺動部材(41,51)を設けた
ことを特徴とする作業車両用キャブの前窓開閉装置。 - 請求項1記載の作業車両用キャブの前窓開閉装置において、
前記コーナー部ガイドレール(40,50)の前記ケーブルレーン(40c,59c)にケーブルガイドローラ(42,52)を配設した
ことを特徴とする作業車両用キャブの前窓開閉装置。 - 請求項1記載の作業車両用キャブの前窓開閉装置において、
前記前部ガイドレール(23)と前記上部ガイドレール(21)とは、前記キャブ(1)の内壁(2)に固着されている、
ことを特徴とする作業車両用キャブの前窓開閉装置。
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