JP4724997B2 - 含水素フッ素化炭化水素の製造方法 - Google Patents

含水素フッ素化炭化水素の製造方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、含水素フッ素化炭化水素の製造方法およびそのための装置に関する。尚、本明細書を通じて用語「含水素フッ素化炭化水素」は、炭化水素の水素原子の一部がフッ素原子で置換され、少なくとも1つの水素原子を含む化合物を意味し、塩素元素を有しても、有さなくてもよい。例えば、含水素フッ素化炭化水素は、含水素フッ素化アルカンおよび含水素フッ素化アルケンなどを意味するものである。また、原子の「一部」は1個でもよい。
【背景技術】
【0002】
従来、一般にフロンガスとして知られるクロロフルオロカーボンは、その安定性および熱的性質などにより発泡剤、洗浄剤、または冷媒などに用いられてきた。このクロロフルオロカーボンは、全ての水素が塩素またはフッ素で置換されたメタンまたはエタンなどの簡単なアルカンである。近年、クロロフルオロカーボンはオゾン層を破壊する性質を有するために規制の対象となっている。
【0003】
このため、オゾン層に対する影響の小さい、あるいは影響のない含水素フッ素化炭化水素に対する要請が高まり、その開発が進められてきている。含水素フッ素化炭化水素には、例えば2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(「HCFC−123」とも呼ぶ)および1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(「HFC−245fa」とも呼ぶ)などの含水素フッ素化アルカンが含まれる。このHCFC−123はターボ冷凍機用冷媒として、あるいは2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロエタン(「HCFC−124」とも呼ぶ)およびペンタフルオロエタン(「HCFC−125」とも呼ぶ)などの中間原料として有用な化合物である。また、HFC−245faは、オゾン層を破壊するおそれのない発泡剤などとして有用な化合物である。
【0004】
このような含水素フッ素化炭化水素を製造するために、トリクロロフルオロメタン(「CFC−11」とも呼ぶ)、ジクロロジフルオロメタン(「CFC−12」とも呼ぶ)、および1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン(「CFC−113」とも呼ぶ)などの水素原子を含まない従来のクロロフルオロカーボンの製造方法を適用することができる。この従来のクロロフルオロカーボンの製造方法としては、塩素化アルケンおよび/または塩素化アルカンをフッ素化触媒の存在下にてフッ化水素と反応させて、クロロフルオロカーボンを生じる方法が知られている。
【発明の開示】
【0005】
上記のようなクロロフルオロカーボンの製造方法においては、フッ素化触媒とフッ化水素との相互作用によって、反応混合物は腐食性を有する。このような方法を含水素フッ素化炭化水素の製造に適用して反応条件を適合させると、反応混合物は非常に強い腐蝕性を示すようになる。従って、含水素フッ素化炭化水素を製造するための反応器の材料として、従来の慣用的な装置材料、例えばステンレス系材料を用いると反応器が著しく腐蝕し、消耗することになる。このため反応器の寿命が短く、設備費が高くなるという問題がある。
【0006】
また、ハステロイB(商品名、代表組成62Ni−28Mo)、ハステロイC(商品名、代表組成54Ni−16Mo−16Cr)、インコネル(商品名、代表組成76Ni−16Cr−7Fe)、モネル(商品名、代表組成67Ni−33Cu)等の公知のニッケル系合金が、フッ素化反応器の材料としては現在汎用されており(以下、これらを「汎用材料」とも言う)、例えばWO96/01797でもこのような材料が推奨されている。しかし、実際には、本発明者等は、これらの耐食性合金を材料とする反応器を用いて含水素フッ素化炭化水素を製造したところ、ステンレス系の材料に比べると高い耐食性を示すものの、液相の反応混合物と接触する部分において反応器の激しい腐食が起こり、これらの汎用材料からなる反応器を長期に亘って工業的に使用することが実質的に不可能であることを確認した。
【0007】
このような反応器の腐食によって、腐食生成物が反応混合物中に放出され、製造プロセスおよび得られる製品の汚染を引き起こし得る。また、この腐蝕生成物(汚染物質)はフッ素化反応の反応速度を低下させ、更には、意図しない反応に関わるようになり、触媒活性を阻害するなどの影響を与えることが起こり得る。
【0008】
そこで、反応混合物の高い腐蝕性を考慮して、フッ素化反応に用いられる反応器として以下のようなものが提案されている。
(1)金、白金、パラジウム、モリブデン、レニウム、およびタングステンからなる群から選択される1種以上の耐食性金属を含む複合材からなる反応器(特表平8−50155号公報)
(2)フッ素樹脂製反応器またはフッ素樹脂をライニングした反応器(特開平7−233102号公報)
(3)アルミニウムを含む耐食金属材料を内表面に有する反応器(特開平10−120602号公報)
(4)金属製容器の内部に配置され、フッ素樹脂で少なくとも内面が覆われた反応器(WO99/26720)
【0009】
しかし、これら(1)〜(4)の反応器にはいずれも欠点があり、含水素フッ素化炭化水素の製造に用いる反応器として必ずしも最適であるとは言えない。より詳細には、(1)の場合、反応器に用いられる耐食性金属材料のうち、金、白金、パラジウム、およびレニウムは高価であるために、工業的規模の大型反応器材料には適さない。モリブデンおよびタングステンについては、溶接の際に極微量混入する不純物や、溶接熱の影響によって、接合部分が非常に脆くなり、十分な機械的強度を保てないという難点がある。またモリブデンおよびタングステンは、本質的に硬く、脆い金属であるために、加工性が非常に劣る。よって、これらの材料を用いて工業的規模で反応器を構成することは実質上不可能である。また、(2)および(4)の反応器のように樹脂を利用すると、金属材料に比べて樹脂材料の熱伝導性が低いため、反応生成物をガス化するのに必要な熱量を外部から十分に供給することが非常に困難であり、特に大容量の反応器を用いる場合には反応温度の制御が困難である。また、(3)の反応器は、無水条件では高い耐食性を示すが、少量の水の混入により反応器の腐蝕が著しく進行するため、例えば定期整備の際に水洗を実施できないなど、保守管理が極めて困難である。
【0010】
そこで、本発明の課題は、フッ化水素と1種以上のハロゲン化炭化水素とを反応原料として(以下、それぞれ「フッ化水素反応原料」および「ハロゲン化炭化水素反応原料」と呼ぶ)、フッ素化触媒の存在下で反応させて反応生成物として含水素フッ素化炭化水素を含む反応混合物を得る含水素フッ素化炭化水素の製造方法であって、上記のような従来技術の問題が改善された、経済的で、新規な製造方法ならびにそのための反応装置を提供することにある。
【0011】
本発明は、塩素化アルケンおよび含水素塩素化アルカンからなる群から選択される1種以上のハロゲン化炭化水素反応原料を、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素反応原料により、反応器内で液相でフッ素化反応させて、反応生成物として含水素フッ素化炭化水素を含む反応混合物を得る、含水素フッ素化炭化水素の製造方法であって、反応器の反応混合物と接触し得る部分の少なくとも一部が、クロム18〜20重量%、モリブデン18〜20重量%、ニオブおよびタンタルから選択される少なくとも1種の元素1.5〜2.2重量%、ならびに残部のニッケルで構成される合金材料でできている反応器を用いることを含む方法を提供する。ここで、重量%は質量%に等しい。
【0012】
尚、「ニオブおよびタンタルから選択される少なくとも1種の元素」とは、ニオブおよびタンタルのいずれか、あるいは両方を言うものであり、「1.5〜2.2重量%」の数値は、いずれか単独で存在する場合にはその含量を、両方が存在する場合にはこれらを合わせた含量を意味する。
【0013】
上記合金材料は、不可避的に混入し得る元素を含んでよい。また、この合金材料は、コバルトを1重量%以下で更に含んでよく、ならびに、鉄を1重量%以下で更に含んでよい。
【0014】
本発明において「反応混合物」とは、反応生成物としての含水素フッ素化炭化水素を含む反応器内に存在する液相を言い、より詳細には、反応生成物に加えて、反応原料およびフッ素化触媒を含み、場合によっては後述の反応溶媒等を含んでよい。また、反応混合物は、気体の反応原料および反応生成物等を液相に分散した状態で含んでいてもよい。
【0015】
また、本発明において「反応器の反応混合物と接触し得る部分」は、フッ素化反応の間に亘って反応混合物と常に接触するような反応器の部分である。尚、例えばフッ素化反応の条件に応じて、あるいは処理する反応原料の量等の変更(または変化)に応じて起こり得る反応混合物の体積変化(または液位変化)などにより、フッ素化反応の間に常にではないが、少なくとも一時的に反応混合物と接触するような反応器の部分が存在する場合には、そのような部分を「反応器の反応混合物と接触し得る部分」に更に含めてよい。また、反応混合物が反応中に飛散して付着する可能性のある部分を「反応器の反応混合物と接触し得る部分」に含めてよい。
【0016】
本発明によれば、反応器の反応混合物と接触し得る部分の少なくとも一部、好ましくは反応器の反応混合物と接触し得る部分の全部、例えば反応器の底面および側面部の内表面、より好ましくは反応器の内表面全体が、上記合金材料でできている反応器を用いる。このような反応器を用いると、該合金材料の高い耐食性によって、腐食による装置の劣化を低減し、触媒活性を損なうことなく長期に亘って高成績で反応を継続して実施することができる。また、該反応器を用いると、含水素フッ素化炭化水素を製造するための反応系に保守管理の際に水が混入しても、十分に高い耐食性を示すので、日常の保守管理が容易である。
【0017】
本発明の方法に用いられる反応器の合金材料としては、例えば、MAT21(商品名)などが挙げられる。MAT21の公称化学組成は、クロム19重量%、モリブデン19重量%、タンタル1.8重量%、コバルト≦1重量%、鉄≦1重量%、ならびに残部のニッケルからなり、該残部は極微量の不可避的に混入し得る元素を含む。
【0018】
この合金材料は、そのまま用いて、合金材料からなる反応器を構成しても良く、あるいは、合金材料からなる層を含む複合材の形態で用いて、反応器の少なくとも液相と接触し得る内表面を該合金材料層で構成してもよい。尚、本明細書で言う「複合材」とは、少なくとも2つの異種材料からなる層を含むもの、即ち、表面材(またはクラッド材)とその下地である母材とを含むものを言う。
【0019】
反応器に複合材を用いる場合、反応器のフッ素化反応に曝される側にある表面材を上記合金材料層とすることにより、本発明を実施することができる。一方、母材は反応混合物に曝されない(接触しない)ので、表面材のように高い耐食性が要求されない。従って、母材は、耐食性を除いた、反応器に要求される諸特性、例えば強度、溶接性、熱伝導性などを満足するもので有れば特に限定されないが、通常は鋼材またはその他の金属材料、例えば炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル基合金(またはニッケル系合金)、およびアルミニウムなどが用いられる。
【0020】
また、母材と該合金材料層(即ち表面材)との接着性などを改善するために、母材と表面材との間に適当な中間材を設けても良い。
【0021】
複合材の作製方法としては、適切な材料からなる母材と該合金材料からなる表面材とを熱間圧延、爆発接合などの方法で複合化する(またはクラッドさせる)方法が挙げられる。このようにして得られる複合材を用いて、所定の形状の反応器を構成できる。
【0022】
上述のような、耐食性の高い合金材料は、反応器材料以外にも、フッ素化反応に曝されるあらゆる装置、例えば攪拌機、配管、バルブ、チューブ等の材料として用いることもでき、また、上記反応混合物を入れて運搬および/または貯蔵するためのあらゆる容器の材料として用いることができる。反応器以外の装置等に該合金材料を用いる場合にも、該合金材料をそのまま用いてそれらを構成してもよく、あるいは、複合材の形態で構成して、反応混合物に曝される内表面が該合金材料からなるようにしてもよい。
【0023】
上記合金材料は、その表面に残留応力を生じるように加工されていることが好ましい。このような加工を上記のような合金材料からなる表面に施すと、該合金材料の耐食性を向上させることができる。ここで、金属(合金材料)表面に残留応力を生じさせる加工方法としては、具体的には、サンドブラスト法、ショットピーニング法、砥石等による研削、研磨、ジェット鏨による打撃などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0024】
あるいはまた、上記合金材料は加熱処理されていることが好ましい。このような加熱処理を上記のような合金材料に施すことによっても、該合金材料の耐食性を向上させることができる。ここで、金属(合金材料)を加熱処理する方法としては、具体的には、電気炉内での加熱、ガスバーナーによる加熱などを用いることができるが、金属を加熱することができる限り、他の方法を用いてもよい。加熱処理は金属表面を加熱するようにしてもよく、また、金属全体(即ち金属表面およびその内部)を加熱するようにしてもよい。加熱処理の条件は、用いる金属の組成によっても異なるが、例えば400〜800℃、好ましくは約500〜600℃の温度で、例えば1時間以上、好ましくは3時間以上の条件とすることができる。しかし、本発明はこれに限定されず、加熱温度および加熱時間などの条件を、用いる金属によって適切に変更することができる。
【0025】
尚、上記の金属表面に残留応力を生じさせる加工と金属の加熱処理との双方を組合せて用いることもできる。
【0026】
また、本発明に用いられるフッ素化触媒は、通常、アンチモン、ニオブ、およびタンタルからなる群から選択される1種以上の元素のハロゲン化物であり、好ましくは、塩素化物、フッ素化物、または塩素化フッ素化物である。フッ素化触媒は、異なる元素および/または異なるハロゲンを有する2種以上のハロゲン化物の混合物であってよい。例えば、5ハロゲン化アンチモン、5ハロゲン化ニオブおよび5ハロゲン化タンタルなどの5価のハロゲン化物、ならびに3ハロゲン化アンチモン、3ハロゲン化ニオブおよび3ハロゲン化タンタルなどの3価のハロゲン化物からなる群から選択される1種以上の化合物が含まれる。5価のフッ素化触媒は、例えばSbF、SbClF、SbCl、SbCl、SbClF、SbCl、NbF、NbClF、NbCl、NbCl、NbClF、TaF、TaClF、TaCl、TaCl、TaClF、およびTaClからなる群から選択される1種以上の化合物である。また、3価のフッ素化触媒は、例えばSbF、SbClF、SbCl、SbClF、NbClF、NbF、TaCl、TaF、およびTaClFからなる群から選択される1種以上の化合物である。
【0027】
フッ素化触媒は、上記のような5価のハロゲン化物に加えて、価数の異なる(即ち5価以外の)アンチモンのハロゲン化物(例えば上記のような3価のアンチモンのハロゲン化物であるSbFなど)、ならびにチタンおよびスズなどの元素のハロゲン化物の1種またはそれ以上を更に含んでいてもよい。3価のハロゲン化物や、チタンおよびスズなどの元素のハロゲン化物は、5価のハロゲン化物に比べて触媒作用が弱いが、上記のような5価のハロゲン化物にこれらのハロゲン化物、特にSbFなどのハロゲン化物を添加することにより、反応器の腐蝕を抑制することができることがこれまで明らかになっている。このような触媒作用の比較的弱いハロゲン化物を5価のハロゲン化物と共に用いて反応系に共存させて、フッ素化反応を実施してもよい。
【0028】
出発原料としては、塩素化アルケンおよび含水素塩素化アルカンからなる群から選択される1種以上のハロゲン化炭化水素反応原料が用いられる。本明細書を通じて用語「塩素化アルケン」は、アルケンの水素原子の少なくとも1つが塩素原子で置換された化合物を言い、水素原子を有しても、あるいは有さなくてもよく、フッ素原子を有しても、あるいは有さなくてもよい。また、用語「含水素塩素化アルカン」は、飽和炭化水素の水素原子の一部が塩素原子で置換され、少なくとも1つの水素原子を有する化合物を言い、フッ素原子を有しても、あるいは有さなくてもよい。これらの塩素化アルケンおよび含水素塩素化アルカンは、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4の炭素数を有する。尚、本明細書を通じて、塩素化アルケンおよび含水素塩素化アルカンには、これらの化合物の部分フッ素化物が含まれるものとして理解されるべきである。用語「部分フッ素化物」は、塩素化化合物の塩素原子の一部(全てではない)がフッ素原子で置換されたものを言う。
【0029】
具体的には、塩素化アルケンには、好ましくは塩素化エチレン(より好ましくはテトラクロロエチレン、トリクロロエチレン)、塩素化プロペン、塩素化ブテンならびにこれらの部分フッ素化物などが含まれる。含水素塩素化アルカンには、好ましくは含水素塩素化メタン(より好ましくはジクロロメタン)、含水素塩素化エタン、含水素塩素化プロパンならびにこれらの部分フッ素化物などが含まれる。
【0030】
塩素化エチレンは、以下の一般式(1):
Cl (1)
(式中、a、bおよびcは、a+b+c=4、a≧0、b≧0、およびc≧1を満たす整数)
で表される。
【0031】
含水素塩素化メタンは、以下の一般式(2):
CHCl (2)
(式中、d、eおよびfは、d+e+f=4、d≧1、e≧0、およびf≧1を満たす整数)
で表される。
【0032】
含水素塩素化エタンは、以下の一般式(3):
Cl (3)
(式中、g、hおよびiは、g+h+i=6、g≧1、h≧0、およびi≧1を満たす整数)
で表される。
【0033】
含水素塩素化プロパンは、以下の一般式(4):
Cl (4)
(式中、j、kおよびlは、j+k+l=8、j≧1、k≧0、およびl≧1を満たす整数)
で表される。
【0034】
塩素化プロペンは、以下の一般式(5):
Cl (5)
(式中、m、nおよびoは、m+n+o=6、m≧0、n≧0、およびo≧1を満たす整数)
で表される。
【0035】
塩素化ブタジエンは、以下の一般式(6):
Cl (6)
(式中、p、qおよびrは、p+q+r=6、p≧0、q≧0、およびr≧1を満たす整数)
で表される。
【0036】
目的生成物である含水素フッ素化炭化水素は、出発原料であるハロゲン化炭化水素の塩素原子の一部または全部がフッ素原子で置換され、あるいは場合により、塩素化アルケンの少なくとも1つの二重結合にフッ素原子および水素原子が付加反応により結合して、二重結合の数が減少した、少なくとも1つの水素原子を有する化合物である。従って、フッ素化反応により生成される目的生成物は、出発原料であるハロゲン化炭化水素に依存して異なる。出発原料と好ましい目的生成物との組み合せを以下に示す。
【0037】
出発原料であるハロゲン化炭化水素反応原料が、上記の一般式(1)で表される塩素化エチレンである場合、目的生成物として好ましい含水素フッ素化炭化水素は、以下の一般式(7):
a+1b+w+1Clc−w (7)
(式中、a、b、cおよびwは、a+b+c=4、a≧0、b≧0、c≧1および0≦w≦cを満たす整数)
で表される含水素フッ素化エタンである。より詳細には、この場合の出発原料/目的物質、即ちハロゲン化炭化水素/含水素フッ素化炭化水素の好ましい組み合せには、テトラクロロエチレン/2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン、トリクロロエチレン/2−クロロ−1,1,1−トリフルオロエタン、塩素化ビニリデン/1,1,1−トリフルオロエタン、塩素化ビニル/1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリクロロエタン/1,1,1−トリフルオロエタンなどが含まれる。
【0038】
出発原料であるハロゲン化炭化水素反応原料が、上記の一般式(2)で表される含水素塩素化メタンである場合、目的生成物として好ましい含水素フッ素化炭化水素は、以下の一般式(8):
CHe+xClf−x (8)
(式中、d、e、fおよびxは、d+e+f=4、d≧1、e≧0、f≧1、および1≦x≦fを満たす整数)
で表される含水素フッ素化メタンである。より詳細には、この場合のハロゲン化炭化水素/含水素フッ素化炭化水素の好ましい組み合せには、ジクロロメタン/ジフルオロメタンなどが含まれる。
【0039】
出発原料であるハロゲン化炭化水素反応原料が、上記の一般式(3)で表される含水素塩素化エタンである場合、目的生成物として好ましい含水素フッ素化炭化水素は、以下の一般式(9):
h+yCli−y (9)
(式中、g、h、iおよびyは、g+h+i=6、g≧1、h≧0、i≧1、および1≦y≦iを満たす整数)
で表される含水素フッ素化エタンである。より詳細には、この場合のハロゲン化炭化水素/含水素フッ素化炭化水素の好ましい組み合せには、1,1,1,2−テトラクロロエタン/1,1,1−トリフルオロ−2−クロロエタンなどが含まれる。
【0040】
出発原料であるハロゲン化炭化水素反応原料が、上記の一般式(4)で表される含水素塩素化プロパンである場合、目的生成物として好ましい含水素フッ素化炭化水素は、以下の一般式(10):
k+zCll−z (10)
(式中、j、k、lおよびzは、j+k+l=8、j≧1、k≧0、l≧1、および1≦z≦lを満たす整数)
で表される含水素フッ素化プロパンである。より詳細には、この場合のハロゲン化炭化水素/含水素フッ素化炭化水素の好ましい組み合せには、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンおよびその部分フッ素化物からなる群から選択される1種以上の置換プロパン/1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンなどが含まれる。
【0041】
ここで、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンの部分フッ素化物とは、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンの塩素原子の一部がフッ素原子で置換されたものを言い、例えば、1,1,3,3−テトラクロロ−1−フルオロプロパン、1,3,3−トリクロロ−1,1−ジフルオロプロパン、3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン、3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0042】
出発原料であるハロゲン化炭化水素反応原料が、上記の一般式(5)で表される塩素化プロペンである場合、目的生成物として好ましい含水素フッ素化炭化水素は、以下の一般式(11):
m+1n+u+1Clo−u (11)
(式中、m、n、oおよびuは、m+n+o=6、m≧0、n≧0、o≧1、および0≦u≦oを満たす整数)
で表される含水素フッ素化プロパンである。より詳細には、この場合のハロゲン化炭化水素/含水素フッ素化炭化水素の好ましい組み合せには、1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロペンおよびその部分フッ素化物からなる群から選択される1種以上の置換プロペン/2,3−ジクロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン;1,3,3,3−テトラクロロプロペンおよびその部分フッ素化物(例えば1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなど)からなる群から選択される1種以上の置換プロペン/1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンなどが含まれる。
【0043】
ここで、1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロペンの部分フッ素化物とは、1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロペンの塩素原子の一部がフッ素原子で置換されたものを言い、例えば、2,3,3−トリクロロ−1,1,1−トリフルオロプロペン、1,2,3,3−テトラクロロ−1,1−ジフルオロプロペン、1,1,2,3,3−ペンタクロロ−1−フルオロプロペンなどが挙げられる。
【0044】
また、出発原料であるハロゲン化炭化水素反応原料が、上記の一般式(5)で表される塩素化プロペンである場合、目的生成物として好ましい含水素フッ素化炭化水素は、以下の一般式(11’):
m’n+u’Clo−u’ (11’)
(式中、m’、n、oおよびu’は、m’+n+o=6、m’≧1、n≧0、o≧1、および1≦u’≦oを満たす整数)
で表される含水素フッ素化プロペンである。より詳細には、この場合のハロゲン化炭化水素/含水素フッ素化炭化水素の好ましい組み合せには、1,3,3,3−テトラクロロプロペン/(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよび/または1,3,3,3−テトラフルオロプロペン);ならびに1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン/1,1,1,3−テトラフルオロプロペンなどが含まれる。
【0045】
出発原料であるハロゲン化炭化水素反応原料が、上記の一般式(6)で表される塩素化ブタジエンである場合、目的生成物として好ましい含水素フッ素化炭化水素は、以下の一般式(12):
p+1q+v+1Clr−v (12)
(式中、p、q、rおよびvは、p+q+r=6、p≧0、q≧0、r≧1、および0≦v≦rを満たす整数)
で表される含水素フッ素化ブテンである。より詳細には、この場合のハロゲン化炭化水素/含水素フッ素化炭化水素の好ましい組み合せには、1,1,2,3,4,4−ヘキサクロロブタジエン/2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブテンなどが含まれる。
【0046】
反応原料であるハロゲン化炭化水素およびフッ化水素ならびにフッ素化触媒の量については、任意の好適な量を用いることができる。反応原料として供給するハロゲン化炭化水素に対するフッ化水素のモル比は、化学量論比以上、即ちフッ化水素が過剰な状態であるのが好ましい。一般に、反応器効率および未反応フッ化水素の回収時のロスを考慮して、1〜10倍モル、特に1〜5倍モルの範囲のハロゲン化炭化水素に対するフッ化水素の供給モル比が好ましい。
【0047】
また、フッ素化触媒の量については、特に限定されないが、フッ素化触媒が、反応器内に存在するフッ化水素とフッ素化触媒の合計100モルに対して0〜10モル(但しゼロを含まない)、好ましくは0.1〜5モルの割合、あるいは25〜90モル、好ましくは30〜80モルの割合で反応器内に存在することが好ましい。フッ素化触媒の濃度をこのような範囲にすると、反応器の腐蝕が著しく抑制され、反応器を長期に亘って使用することが可能となる。尚、フッ素化触媒の濃度とは、フッ化水素とフッ素化触媒の合計に対するフッ素化触媒のモル濃度を言うものとする。
【0048】
反応原料およびフッ素化触媒に加えて、フッ素化反応は、一般的に、反応溶媒の存在下で実施される。高い選択率で目的生成物を得るためには、反応原料であるフッ化水素をハロゲン化炭化水素反応原料に対して過剰に存在させて、フッ化水素を反応原料としてだけでなく、溶媒としても用いることが特に好ましい。
【0049】
特に、フッ素化触媒として5ハロゲン化アンチモンを用いる場合、5ハロゲン化アンチモンが、反応器内に存在するフッ化水素と5ハロゲン化アンチモンの合計100モルに対して3モル以下(但しゼロは含まない)、好ましくは0〜2モル(但しゼロは含まない)の割合、あるいは30モル以上、好ましくは40〜80モルの割合で反応器内に存在することが好ましい。この場合、フッ化水素は、上記のようにフッ素化反応における反応溶媒としても機能する。5ハロゲン化アンチモンの濃度をこのような範囲に限定することにより、反応器の腐蝕が抑制され、かつ実プロセス上有効な反応速度を得ることができる。尚、5ハロゲン化アンチモンの濃度とは、フッ化水素と5ハロゲン化アンチモンの合計に対する5ハロゲン化アンチモンのモル濃度を言うものであり、フッ素化触媒として5ハロゲン化アンチモンを用いる場合のフッ素化触媒の濃度と同じである。
【0050】
フッ化水素およびハロゲン化炭化水素反応原料は、液相および気相のいずれで供給してもよいが、フッ素化反応は液相で進行することが好ましい。このフッ素化反応は、通常は常圧または加圧下にて行われる。反応圧力、即ち反応器内の圧力は、ゲージ圧で好ましくは0〜20kgf/cm(0〜1.96MPa)、より好ましくは5〜15kgf/cm(0.49〜1.47MPa)である。反応温度、即ち反応混合物の温度は、0〜175℃が好ましく、より好ましくは20〜120℃である。これらの反応圧力および温度は例示にすぎず、本発明を上記の範囲に限定することを意図するものではない。
【0051】
本発明の方法は、連続式およびバッチ式のいずれで実施することも可能である。
【0052】
本発明の別の要旨においては、含水素フッ素化炭化水素の製造方法に好適に用いられる反応装置であって、クロム18〜20重量%、モリブデン18〜20重量%、ニオブおよびタンタルから選択される少なくとも1種の元素1.5〜2.2重量%、ならびに残部のニッケルで構成される合金材料によって、少なくとも液相と接触し得る部分ができている反応器を含む装置が提供される。
【0053】
本発明の反応装置は、上記反応器の他に、ジャケット式熱交換器ならびに撹拌機または混合機を、それぞれ必要に応じて備えていてもよい。
【0054】
本発明は以下の態様1〜23を含むものとする。
(態様1) 塩素化アルケンおよび含水素塩素化アルカンからなる群から選択される1種以上のハロゲン化炭化水素反応原料を、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素反応原料により、反応器内で液相でフッ素化反応させて、反応生成物として含水素フッ素化炭化水素を含む反応混合物を得る、含水素フッ素化炭化水素の製造方法であって、反応器の反応混合物と接触し得る部分の少なくとも一部が、クロム18〜20重量%、モリブデン18〜20重量%、ニオブおよびタンタルから選択される少なくとも1種の元素1.5〜2.2重量%、ならびに残部のニッケルで構成される合金材料でできている反応器を用いることを含む方法。
(態様2) 反応器の少なくとも反応混合物と接触し得る部分の実質的に全部が、上記合金材料でできている反応器を用いることを含む、態様1に記載の方法。
(態様3(a)) 上記合金材料が、その表面に残留応力を生じるように加工されている、態様1または2に記載の方法。
(態様3(b)) 上記合金材料が加熱処理されている、態様1、2、および3(a)のいずれかに記載の方法。
(態様4) 合金材料がコバルトを1重量%以下で更に含む、態様1〜3のいずれかに記載の方法。
(態様5) 合金材料が鉄を1重量%以下で更に含む、態様1〜4のいずれかに記載の方法。
(態様6) フッ素化触媒が、5ハロゲン化アンチモン、5ハロゲン化ニオブおよび5ハロゲン化タンタル、ならびに3ハロゲン化アンチモン、3ハロゲン化ニオブおよび3ハロゲン化タンタルからなる群から選択される1種以上の化合物を含む、態様1〜5のいずれかに記載の方法。
(態様7) フッ素化反応が反応溶媒の存在下で実施され、フッ化水素が、反応原料としてだけでなく溶媒としても作用する、態様1〜6のいずれかに記載の方法。
(態様8) フッ素化触媒として5ハロゲン化アンチモンを用い、5ハロゲン化アンチモンが、反応器内に存在するフッ化水素と5ハロゲン化アンチモンの合計100モルに対して3モル以下または30モル以上の割合で反応器内に存在する、態様6に記載の方法。
(態様9) ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(1):
Cl (1)
(式中、a、bおよびcは、a+b+c=4、a≧0、b≧0、およびc≧1を満たす整数)
で表される塩素化エチレンである、態様1〜8のいずれかに記載の方法。
(態様10) ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(2):
CHCl (2)
(式中、d、eおよびfは、d+e+f=4、d≧1、e≧0、およびf≧1を満たす整数)
で表される含水素塩素化メタンである、態様1〜8のいずれかに記載の方法。
(態様11) ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(3):
Cl (3)
(式中、g、hおよびiは、g+h+i=6、g≧1、h≧0、およびi≧1を満たす整数)
で表される含水素塩素化エタンである、態様1〜8のいずれかに記載の方法。
(態様12) ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(4):
Cl (4)
(式中、j、kおよびlは、j+k+l=8、j≧1、k≧0、およびl≧1を満たす整数)
で表される含水素塩素化プロパンである、態様1〜8のいずれかに記載の方法。
(態様13) ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(5):
Cl (5)
(式中、m、nおよびoは、m+n+o=6、m≧0、n≧0、およびo≧1を満たす整数)
で表される塩素化プロペンである、態様1〜8のいずれかに記載の方法。
(態様14) ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(6):
Cl (6)
(式中、p、qおよびrは、p+q+r=6、p≧0、q≧0、およびr≧1を満たす整数)
で表される塩素化ブタジエンである、態様1〜8のいずれかに記載の方法。
(態様15) ハロゲン化炭化水素反応原料がテトラクロロエチレンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタンである、態様9に記載の製造方法。
(態様16) ハロゲン化炭化水素反応原料がトリクロロエチレンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が2−クロロ−1,1,1−トリフルオロエタンである、態様9に記載の方法。
(態様17) ハロゲン化炭化水素反応原料がジクロロメタンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素がジフルオロメタンである、態様10に記載の方法。
(態様18) ハロゲン化炭化水素反応原料が1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンおよびその部分フッ素化物からなる群から選択される1種以上の置換プロパンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンである、態様12に記載の方法。
(態様19) ハロゲン化炭化水素反応原料が1,3,3,3−テトラクロロプロペンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンである、態様13に記載の方法。
(態様20) ハロゲン化炭化水素反応原料が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンである、態様13に記載の方法。
(態様21) ハロゲン化炭化水素反応原料が1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロペンおよびその部分フッ素化物からなる群から選択される1種以上の置換プロペンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が2,3−ジクロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンである、態様13に記載の方法。
(態様22) ハロゲン化炭化水素反応原料が1,1,2,3,4,4−ヘキサクロロブタジエンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブテンである、態様14に記載の方法。
(態様23) クロム18〜20重量%、モリブデン18〜20重量%、ニオブおよびタンタルから選択される少なくとも1種の元素1.5〜2.2重量%、ならびに残部のニッケルで構成される合金材料によって、少なくとも液相と接触し得る部分ができている反応器を含む、態様1〜22のいずれかに記載の含水素フッ素化炭化水素の製造方法に用いられる反応装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
本発明の1つの実施形態について以下に説明する。この実施形態においては、クロム18〜20重量%、モリブデン18〜20重量%、ニオブおよびタンタルから選択される少なくとも1種の元素1.5〜2.2重量%、ならびに残部のニッケルで構成される合金材料として、MAT21(商品名)を用いる。
【0056】
フッ素化反応を実施する反応器として、複合材で構成されたタイプの、MAT21のみからなる内表面を有するものを使用する。この反応器は、当業者に公知の適切な金属加工方法によって作製され得る(例えば、特表平8−501551号を参照のこと)。例えば、上述の任意の適切な材料からなるシート状母材の片面上にMAT21を爆発接合することによって形成された複合材を、圧延などにより所定の形状を有するパーツに成形し、表面材(MAT21)が反応器の内側に位置するように、これらのパーツを溶接などにより組み立て、これにより、MAT21のみからなる内表面を有する反応器を作製することができる。
【0057】
上記の反応装置の外部には、反応混合物に熱を供給して、反応生成物を含むフラクションをガス化するために、ジャケット式熱交換器が取り付けられている。また、反応効率を向上させるために、反応器内部に撹拌機または混合機を備え、反応混合物を撹拌または混合することができる。
【0058】
このような反応装置を用いて含水素フッ素化炭化水素を製造する方法を以下に説明する。最初に、フッ素化触媒を上述の反応器に予め仕込み、液状フッ化水素(HF)反応原料と、ハロゲン化炭化水素反応原料とを導入管などを通して反応器内に供給する。フッ化水素反応原料およびハロゲン化炭化水素反応原料は、液体または気体のいずれの形態で供給してもよいが、フッ素化反応が液相で進行することが好ましい。
【0059】
このようにして導入したフッ化水素とハロゲン化炭化水素とを、反応器内でフッ素化触媒の存在下でフッ素化反応させて、反応生成物として含水素フッ素化炭化水素を含む反応混合物を得る。このフッ素化反応により生じた反応生成物を少なくとも含む反応混合物に、例えばジャケット式熱交換器を用いて熱を供給して、反応生成物を含むフラクションをガス化して取り出す。これにより目的の反応生成物である含水素フッ素化炭化水素を得ることができる。
【0060】
この実施態様においては、反応混合物への熱供給は、ジャケット式熱交換器から放出される熱を反応器に熱伝導させて、反応混合物へ伝えることによって行われる。従って、反応器は、上記のような熱伝導率の高い金属材料を用いることが好ましい。
【0061】
また、反応生成物を含むフラクションを液状物の形態で反応器から取り出し、その後、この液状物を分液等の操作に付して目的物である含水素フッ素化炭化水素を液状物からより高い純度で分離して得ることができる。
【0062】
フッ素化反応自体は既知であり、その反応条件(温度、圧力、ならびに触媒および反応原料の供給量など)については当業者が容易に選択することができる。例えば、「ADVANCES IN FLUORINE CHEMISTRY vol. 3」(1963年)などを参照されたい。
【0063】
本発明の反応装置は、含水素フッ素化炭化水素の製造方法を実施するために好適に用いられるが、これに限定されるものではなく、反応混合物が非常に高い腐蝕性を有するような他の反応を実施するためにも使用することができる。
【実施例】
【0064】
(実施例1)
本実施例では、MAT21のみからなる内表面を有する、容量500mlのオートクレーブを反応器として用いた。この反応器内に、フッ素化触媒としてSbCl30g(0.1mol)を、ならびに液状フッ化水素200ml(10mol)を予め導入した。この液状フッ化水素は、反応原料であるが、反応において反応溶媒としての役割も果たす。このとき、フッ素化触媒(本実施例では5ハロゲン化アンチモンの一つであるSbCl)は、フッ化水素100モルに対して1モルで、従って、フッ化水素とフッ素化触媒(5ハロゲン化アンチモン)の合計100モルに対して約1モルで反応器内に存在する。
【0065】
反応器内の反応混合物の温度、即ち反応温度を80℃とし、反応器内の圧力、即ち反応圧力を1.1MPa(ゲージ圧)に保ちながら、液状フッ化水素を反応器およびその内容物の重量が一定になるように(即ち液面が一定になるように)その量を調節しつつ、平均的には16.7g/時間で、ハロゲン化炭化水素反応原料として液状1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを30g/時間で、それぞれの導入口より供給して液相フッ素化反応を進行させた。
【0066】
以上のようにして、反応器の上方に設けた出口部からガス状の反応生成物を含むフラクション(未反応のHFおよび副生成物であるHClを含む)を得た。このフラクションは、含水素フッ化炭化水素(約18g/時間に対応)を含み、含水素フッ化炭化水素中、主生成物として99モル%以上の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンが含まれ、副生成物として微量(1モル%未満)の3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパンおよび3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパンが含まれていた。
【0067】
上記の条件にて120時間運転した後に反応を停止し、反応器(オートクレーブ)内表面を観察したところ腐食は認められなかった。反応終了後、反応液をサンプリングし、これを滴定分析および原子吸光分析した結果、フッ素化触媒の濃度が反応初期の濃度と実質的に同等に維持されていたことが確認された。
【0068】
(実施例2)
実施例1で用いたものと同様の反応器を用いた。以下、特に記載しない限り実施例1と同様であり、後続の実施例3〜5についても同様とする。
【0069】
フッ素化触媒としてTaCl36g(0.1mol)を、ならびに実施例1と同じく液状フッ化水素200ml(10mol)を予め導入した。このとき、フッ素化触媒(本実施例ではTaCl)は、フッ化水素100モルに対して1モルで、従って、フッ化水素とフッ素化触媒の合計100モルに対して約1モルで反応器内に存在する。次に、実施例1と同じく反応温度を80℃とし、反応圧力を1.1MPa(ゲージ圧)に保ちながら、液状フッ化水素を反応器およびその内容物の重量が一定になるように(即ち液面が一定になるように)その量を調節しつつ、平均的には39.2g/時間で、ハロゲン化炭化水素反応原料として液状1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロペンを34.5g/時間で供給して液相フッ素化反応を進行させた。
【0070】
以上のようにして、含水素フッ化炭化水素(約27.5g/時間に対応)を含むフラクションを得た。このフラクションには、含水素フッ化炭化水素中、主生成物として99モル%以上の2,3−ジクロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンが含まれ、副生成物として微量(1モル%未満)の2,3,3−トリクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパンが含まれていた。
【0071】
上記の条件にて120時間運転した後に反応を停止し、反応器(オートクレーブ)内表面を観察したところ腐食は認められなかった。反応終了後、反応液をサンプリングし、これを滴定分析および原子吸光分析した結果、フッ素化触媒の濃度が反応初期の濃度と実質的に同等に維持されていたことが確認された。
【0072】
(実施例3)
実施例1と同じく、フッ素化触媒としてSbCl30g(0.1mol)を、ならびに液状フッ化水素200ml(10mol)を予め導入した。このとき実施例1と同じく、フッ素化触媒(本実施例では5ハロゲン化アンチモンの一つであるSbCl)は、フッ化水素とフッ素化触媒(5ハロゲン化アンチモン)の合計100モルに対して約1モルで反応器内に存在する。次に、実施例1と同じく反応温度を80℃とし、反応圧力を1.1MPa(ゲージ圧)に保ちながら、液状フッ化水素を反応器およびその内容物の重量が一定になるように(即ち液面が一定になるように)その量を調節しつつ、平均的には11.1g/時間で、ハロゲン化炭化水素反応原料として液状トリクロロエチレン18.2g/時間で供給して液相フッ素化反応を進行させた。
【0073】
以上のようにして、含水素フッ化炭化水素(約15.9g/時間に対応)を含むフラクションを得た。このフラクションには、含水素フッ化炭化水素中、主生成物として99モル%以上の2−クロロ−1,1,1−トリフルオロエタンが含まれ、副生成物として微量(1モル%未満)の1,2−ジクロロ−1,1−ジフルオロエタンが含まれていた。
【0074】
上記の条件にて120時間運転した後に反応を停止し、反応器(オートクレーブ)内表面を観察したところ腐食は認められなかった。反応終了後、反応液をサンプリングし、これを滴定分析および原子吸光分析した結果、フッ素化触媒の濃度が反応初期の濃度と実質的に同等に維持されていたことが確認された。
【0075】
(実施例4)
実施例1と同じく、フッ素化触媒としてSbCl30g(0.1mol)を、ならびに液状フッ化水素200ml(10mol)を予め導入した。このとき実施例1と同じく、フッ素化触媒(本実施例では5ハロゲン化アンチモンの一つであるSbCl)は、フッ化水素とフッ素化触媒(5ハロゲン化アンチモン)の合計100モルに対して約1モルで反応器内に存在する。次に、反応温度を100℃とし、反応圧力を1.5MPa(ゲージ圧)に保ちながら、液状フッ化水素を反応器およびその内容物の重量が一定になるように(即ち液面が一定になるように)その量を調節しつつ、平均的には14.8g/時間で、ハロゲン化炭化水素反応原料として液状テトラクロロエチレンを23.0g/時間で供給して液相フッ素化反応を進行させた。
【0076】
以上のようにして、含水素フッ化炭化水素(約19.8g/時間に対応)を含むフラクションを得た。このフラクションには、含水素フッ化炭化水素中、主生成物として99モル%以上の2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタンが含まれ、副生成物として微量(1モル%未満)の2,3−ジクロロ−1,1−ジフルオロエタンが含まれていた。
【0077】
上記の条件にて120時間運転した後に反応を停止し、反応器(オートクレーブ)内表面を観察したところ腐食は認められなかった。反応終了後、反応液をサンプリングし、これを滴定分析および原子吸光分析した結果、フッ素化触媒の濃度が反応初期の濃度と実質的に同等に維持されていたことが確認された。
【0078】
(実施例5)
実施例1と同じく、フッ素化触媒としてSbCl30g(0.1mol)を、ならびに液状フッ化水素200ml(10mol)を予め導入した。このとき実施例1と同じく、フッ素化触媒(本実施例では5ハロゲン化アンチモンの一つであるSbCl)は、フッ化水素とフッ素化触媒(5ハロゲン化アンチモン)の合計100モルに対して約1モルで反応器内に存在する。次に、反応温度を100℃とし、反応圧力を1.1MPa(ゲージ圧)に保ちながら、液状フッ化水素を反応器およびその内容物の重量が一定になるように(即ち液面が一定になるように)その量を調節しつつ、平均的には22.0g/時間で、ハロゲン化炭化水素反応原料として液状1,1,2,3,4,4−ヘキサクロロブタジエンを36.2g/時間で供給して液相フッ素化反応を進行させた。
【0079】
以上のようにして、含水素フッ化炭化水素(約26.9g/時間に対応)を含むフラクションを得た。このフラクションには、含水素フッ化炭化水素中、主生成物として98モル%以上の2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブテンが含まれ、副生成物として微量(2モル%未満)のフッ素化が進行していないブテン類が含まれていた。
【0080】
上記の条件にて120時間運転した後に反応を停止し、反応器(オートクレーブ)内表面を観察したところ腐食は認められなかった。反応終了後、反応液をサンプリングし、これを滴定分析および原子吸光分析した結果、フッ素化触媒の濃度が反応初期の濃度と実質的に同等に維持されていたことが確認された。
【0081】
(比較試験)
この比較試験においては、数種類のニッケル系合金(MAT21、ハステロイB2、ハステロイC22、モネル400、およびインコネル600)について、これら材料からなるテストピースを用いて浸漬試験を行った。この試験により、それらの合金が、含水素フッ素化炭化水素を製造するための反応器材料として適切か否かを評価した。
【0082】
尚、用いた合金材料の化学成分(重量%)は、およそ以下の通りである。ここで、不可避に混入される微量元素については無視するものとした。
MAT21:Cr 19%、Mo 19%、Nb 0%、Ta 1.8%、
Co≦1%、Fe≦1%、およびNi残部。
ハステロイB2:Cr≦1%、Mo 26〜30%、Fe≦2%、
Mn≦1%、Co≦1%、およびNi残部。
ハステロイC22:Cr 20〜22.5%、Mo 12.5〜14.5%、
W 2.5〜3.5%、Fe 2.0〜6.0%、
Co≦2.5%、およびNi残部。
モネル400:Fe≦2.5%、Cu 28〜34%、Ni 63%以上。
インコネル600:Cr 14〜17%、Fe 6〜10%、
およびNi 72%以上。
【0083】
評価は、以下の式より算出されるテストピースの腐食速度に基づいて行うものとした。
【数1】
Figure 0004724997
式中、腐蝕減量は、テストピースの試験前重量より試験後重量を差し引いた値であり、これは、予め秤量した各テストピースをそれぞれ以下に詳述する試験1〜3に付し、得られたテストピースをゴム板で軽くこすって腐食生成物を除去し、水およびアセトンによる超音波洗浄後、該テストピースを秤量することによって求められる。
【0084】
(試験1)
四フッ化エチレン樹脂(PTFE)で内面がライニングされたハステロイC製オートクレーブ(容量1リットル)内に、約30mm×10mm×3mmのテストピースを、該テストピースがフッ素化反応の間に反応混合物中に完全に浸漬するように取り付けた。このオートクレーブ内にフッ素化触媒としてSbCl60g(0.2mol)を、ならびに液状フッ化水素400ml(20mol)を導入した。このとき、フッ素化触媒(本試験では5ハロゲン化アンチモンの一つであるSbCl)は、フッ化水素100モルに対して1モルで、従って、フッ化水素とフッ素化触媒(5ハロゲン化アンチモン)の合計100モルに対して約1モルで反応器内に存在する。その後、反応温度を80℃とし、反応圧力を1.1MPa(ゲージ圧)に保ちながら、液状フッ化水素を反応器およびその内容物の重量が一定になるように(即ち液面が一定になるように)その量を調節しつつ、平均的には33.4g/時間で、ハロゲン化炭化水素反応原料として液状1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを60g/時間で、それぞれの導入口より供給して液相フッ素化反応を進行させた。
【0085】
以上のようにして、ガス状の反応生成物を含むフラクション(未反応のHFおよび副生成物であるHClを含む)を得た。このフラクションは、含水素フッ化炭化水素(約36g/時間に対応)を含み、含水素フッ化炭化水素中、主生成物として99モル%以上の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンが含まれ、副生成物として微量(1モル%未満)の3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパンおよび3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパンが含まれていた。
【0086】
上記の条件にて120時間運転した後に反応を停止て、テストピースを回収した。各材料について上記の手順で試験を行って、上述のようにテストピースの腐食速度を求めた。結果を表1に示す。尚、各テストピースについて、反応終了後に反応液をサンプリングし、これを滴定分析および原子吸光分析した結果、フッ素化触媒の濃度が反応初期の濃度と実質的に同等に維持されていたことが確認された。
【0087】
(試験2)
試験1で用いたものと同様のオートクレーブに、試験1と同じサイズのテストピースを同様にして取り付けた。このオートクレーブ内に、フッ素化触媒としてTaCl72g(0.2mol)を、液状フッ化水素400ml(20mol)を導入した。このとき、フッ素化触媒(本試験ではTaCl)は、フッ化水素100モルに対して1モルで、従って、フッ化水素とフッ素化触媒の合計100モルに対して約1モルで反応器内に存在する。次に、試験1と同じく反応温度を80℃とし、反応圧力を1.1MPa(ゲージ圧)に保ちながら、液状フッ化水素を反応器およびその内容物の重量が一定になるように(即ち液面が一定になるように)その量を調節しつつ、平均的には78.4g/時間で、ハロゲン化炭化水素反応原料として液状1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロペンを69.0g/時間で供給して液相フッ素化反応を進行させた。
【0088】
以上のようにして、含水素フッ化炭化水素(約55.0g/時間に対応)を含むフラクションを得た。このフラクションには、含水素フッ化炭化水素中、主生成物として99モル%以上の2,3−ジクロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンが含まれ、副生成物として微量(1モル%未満)の2,3,3−トリクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパンが含まれていた。
【0089】
上記の条件にて120時間運転した後に反応を停止て、テストピースを回収した。各材料について上記の手順で試験を行って、上述のようにテストピースの腐食速度を求めた。結果を表1に示す。尚、各テストピースについて、反応終了後に反応液をサンプリングし、これを滴定分析および原子吸光分析した結果、フッ素化触媒の濃度が反応初期の濃度と実質的に同等に維持されていたことが確認された。
【0090】
(試験3)
試験1で用いたものと同様のオートクレーブに、試験1と同じサイズのテストピースを同様にして取り付けた。このオートクレーブ内に、フッ素化触媒としてSbCl60g(0.2mol)を、液状フッ化水素400ml(20mol)を導入した。このとき、フッ素化触媒(本試験では5ハロゲン化アンチモンの一つであるSbCl)は、フッ化水素100モルに対して1モルで、従って、フッ化水素とフッ素化触媒(5ハロゲン化アンチモン)の合計100モルに対して約1モルで反応器内に存在する。次に、反応温度を100℃とし、反応圧力を1.5MPa(ゲージ圧)に保ちながら、液状フッ化水素を反応器およびその内容物の重量が一定になるように(即ち液面が一定になるように)その量を調節しつつ、平均的には29.6g/時間で、ハロゲン化炭化水素反応原料として液状テトラクロロエチレンを46.0g/時間で供給して液相フッ素化反応を進行させた。
【0091】
以上のようにして、含水素フッ化炭化水素(約39.6g/時間に対応)を含むフラクションを得た。このフラクションには、含水素フッ化炭化水素中、主生成物として99モル%以上の2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタンが含まれ、副生成物として微量(1モル%未満)の2,3−ジクロロ−1,1−ジフルオロエタンが含まれていた。
【0092】
上記の条件にて120時間運転した後に反応を停止て、テストピースを回収した。各材料について上記の手順で試験を行って、上述のようにテストピースの腐食速度を求めた。結果を表1に示す。尚、各テストピースについて、反応終了後に反応液をサンプリングし、これを滴定分析および原子吸光分析した結果、フッ素化触媒の濃度が反応初期の濃度と実質的に同等に維持されていたことが確認された。
【0093】
【表1】
Figure 0004724997
【0094】
表1より、本発明の実施に好適に用いられる組成を有する合金であるMAT21(商品名)の腐食速度は、他のハステロイ、モネル、およびインコネルなどの汎用材料に比べて極めて小さかった。従って、実施例1〜5の結果と同じく、クロム18〜20重量%、モリブデン18〜20重量%、ニオブおよびタンタルから選択される少なくとも1種の元素1.5〜2.2重量%、ならびに残部のニッケルで構成される合金材料として適している事がわかった。
【0095】
(加熱処理試験)
この試験においては、種々の条件で加熱処理を施したテストピースおよび加熱なしのテストピースの浸漬試験を行い、加熱処理が腐蝕速度に及ぼす影響を確認した。この試験においては、いずれもMAT21からなるテストピースを用い、加熱条件以外は同じ条件とし、加熱したテストピースは、その全体(表面およびその内部)を加熱するようにした。
【0096】
まず、上述の試験1と同じサイズのMAT21からなるテストピースを以下の表2に示す加熱条件でそれぞれ加熱処理したもの(加熱なしを含む)を、試験1で用いたものと同様のオートクレーブに同様にして取り付けた。このオートクレーブ内に、フッ素化触媒としてSbCl60g(0.2mol)を、液状フッ化水素400ml(20mol)を導入した。このとき、フッ素化触媒(本試験では5ハロゲン化アンチモンの一つであるSbCl)は、フッ化水素100モルに対して1モルで、従って、フッ化水素とフッ素化触媒(5ハロゲン化アンチモン)の合計100モルに対して約1モルで反応器内に存在する。次に、反応温度を100℃とし、反応圧力を1.5MPa(ゲージ圧)に保ちながら、液状フッ化水素を反応器およびその内容物の重量が一定になるように(即ち液面が一定になるように)その量を調節しつつ、平均的には29.6g/時間で、ハロゲン化炭化水素反応原料として液状テトラクロロエチレンを46.0g/時間で供給して液相フッ素化反応を進行させた。
【0097】
以上のようにして、含水素フッ化炭化水素(約39.6g/時間に対応)を含むフラクションを得た。このフラクションには、含水素フッ化炭化水素中、主生成物として99モル%以上の2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタンが含まれ、副生成物として微量(1モル%未満)の2,3−ジクロロ−1,1−ジフルオロエタンが含まれていた。
【0098】
上記の条件にて120時間運転した後に反応を停止て、テストピースを回収した。各テストピースについて上記の手順で試験を行って、上述のようにテストピースの腐食速度を求めた。結果を表2に示す。尚、各テストピースについて、反応終了後に反応液をサンプリングし、これを滴定分析および原子吸光分析した結果、フッ素化触媒の濃度が反応初期の濃度と実質的に同等に維持されていたことが確認された。
【0099】
【表2】
Figure 0004724997
【0100】
表2より、本発明の実施に好適に用いられる組成を有する合金であるMAT21(商品名)に関しては、加熱処理を行ったテストピースの腐食速度は、加熱処理を行わなかったテストピースのもの以下の値であった。500℃で1時間、500℃で3時間、600℃で3時間の加熱を行ったテストピースの腐食速度は、加熱処理を行わなかったテストピースのものより小さかった。従って、上記のような合金材料(ここではMAT21)からなる表面に加熱処理を施すことによっても、該合金材料の耐食性を向上させることができる事がわかった。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、汎用材料に比べて耐食性に極めて優れた反応器を用いる含水素フッ素化炭化水素の製造方法を提供する。この反応器は、汎用材料と同等の加工性を有し、日常の保守管理が容易であるという利点を有する

Claims (23)

  1. 塩素化アルケンおよび含水素塩素化アルカンからなる群から選択される1種以上のハロゲン化炭化水素反応原料を、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素反応原料により、反応器内で液相でフッ素化反応させて、反応生成物として含水素フッ素化炭化水素を含む反応混合物を得る、含水素フッ素化炭化水素の製造方法であって、反応器の反応混合物と接触し得る部分の少なくとも一部が、クロム18〜20重量%、モリブデン18〜20重量%、ニオブおよびタンタルから選択される少なくとも1種の元素1.5〜2.2重量%、ならびに残部のニッケルで構成される合金材料でできている反応器を用いることを含む方法。
  2. 反応器の少なくとも反応混合物と接触し得る部分の実質的に全部が、上記合金材料でできている反応器を用いることを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 上記合金材料が、その表面に残留応力を生じるように加工されている、請求項1に記載の方法。
  4. 上記合金材料が加熱処理されている、請求項1に記載の方法。
  5. 合金材料がコバルトを1重量%以下で更に含む、請求項1に記載の方法。
  6. 合金材料が鉄を1重量%以下で更に含む、請求項1に記載の方法。
  7. フッ素化触媒が、5ハロゲン化アンチモン、5ハロゲン化ニオブおよび5ハロゲン化タンタル、ならびに3ハロゲン化アンチモン、3ハロゲン化ニオブおよび3ハロゲン化タンタルからなる群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項1に記載の方法。
  8. フッ素化反応が反応溶媒の存在下で実施され、フッ化水素が、反応原料としてだけでなく溶媒としても作用する、請求項1に記載の方法。
  9. フッ素化触媒として5ハロゲン化アンチモンを用い、5ハロゲン化アンチモンが、反応器内に存在するフッ化水素と5ハロゲン化アンチモンの合計100モルに対して3モル以下または30モル以上の割合で反応器内に存在する、請求項7に記載の方法。
  10. ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(1):
    Cl (1)
    (式中、a、bおよびcは、a+b+c=4、a≧0、b≧0、およびc≧1を満たす整数)
    で表される塩素化エチレンである、請求項1に記載の方法。
  11. ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(2):
    CHCl (2)
    (式中、d、eおよびfは、d+e+f=4、d≧1、e≧0、およびf≧1を満たす整数)
    で表される含水素塩素化メタンである、請求項1に記載の方法。
  12. ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(3):
    Cl (3)
    (式中、g、hおよびiは、g+h+i=6、g≧1、h≧0、およびi≧1を満たす整数)
    で表される含水素塩素化エタンである、請求項1に記載の方法。
  13. ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(4):
    Cl (4)
    (式中、j、kおよびlは、j+k+l=8、j≧1、k≧0、およびl≧1を満たす整数)
    で表される含水素塩素化プロパンである、請求項1に記載の方法。
  14. ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(5):
    Cl (5)
    (式中、m、nおよびoは、m+n+o=6、m≧0、n≧0、およびo≧1を満たす整数)
    で表される塩素化プロペンである、請求項1に記載の方法。
  15. ハロゲン化炭化水素反応原料が以下の一般式(6):
    Cl (6)
    (式中、p、qおよびrは、p+q+r=6、p≧0、q≧0、およびr≧1を満たす整数)
    で表される塩素化ブタジエンである、請求項1に記載の方法。
  16. ハロゲン化炭化水素反応原料がテトラクロロエチレンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタンである、請求項10に記載の方法。
  17. ハロゲン化炭化水素反応原料がトリクロロエチレンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が2−クロロ−1,1,1−トリフルオロエタンである、請求項10に記載の方法。
  18. ハロゲン化炭化水素反応原料がジクロロメタンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素がジフルオロメタンである、請求項11に記載の方法。
  19. ハロゲン化炭化水素反応原料が1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンおよびその部分フッ素化物からなる群から選択される1種以上の置換プロパンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンである、請求項13に記載の方法。
  20. ハロゲン化炭化水素反応原料が1,3,3,3−テトラクロロプロペンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンである、請求項14に記載の方法。
  21. ハロゲン化炭化水素反応原料が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンである、請求項14に記載の方法。
  22. ハロゲン化炭化水素反応原料が1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロペンおよびその部分フッ素化物からなる群から選択される1種以上の置換プロペンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が2,3−ジクロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンである、請求項14に記載の方法。
  23. ハロゲン化炭化水素反応原料が1,1,2,3,4,4−ヘキサクロロブタジエンであり、反応により生成する含水素フッ素化炭化水素が2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブテンである、請求項15に記載の方法。
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