JP4723765B2 - 複層合成樹脂シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複層合成樹脂シートに関し、さらに詳しくは、機械的強度が大きく、かつ、防音性、防滑性に優れた複層合成樹脂シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、博物館における展示物が地震等の揺れによって横ずれして破壊することを防止するために、展示物の下に防滑シートを敷くことが汎く行なわれている。
【0003】
また、防滑性シートは、荷物を運搬する際の荷崩れ防止、玄関マットの移動防止等、商品、設置物のずれ防止、あるいは、運動会、ピクニック等の際に利用されるグランドシート等における利用者の滑り事故防止等広い分野でその要請が大きくなっている。
【0004】
さらに、騒音発生機器の下敷き、作業場の仕切り等の防音シートの要請も大きくなっている。
【0005】
従来、かかる滑り防止用シートとしては、ゴム製のシートが用いられているがゴム製シートは、荷重を受けた状態では劣化が大きく、耐久性に問題があり、また、折り畳み性が悪く、特に大きな面積を持つものは、輸送時、携帯時に嵩張るために利用性が悪い問題がある。
【0006】
合成樹脂を用いた滑り防止用シートとして、フラットヤーン織布にポリオレフィンフィルムからなる保護層を形成し、その上にエチレン−アクリル酸エチル共重合体等の防滑層を形成した複層レジャーシートが提案されている(特許3079054)。
【0007】
しかし、上記レジャーシートは意匠性を重視したもので、保護層に施された印刷の透視性に重きを置いた発明であり、防滑性、防音性の点においては、本発明者の評価する限り満足し得るものではない。
【0008】
このような事情から、生産性が高く、安価で、防滑性、防音性が高く、また、回収、再生の容易な複層シートの開発が要請されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生産性に優れ、機械的強度、防滑性、防音性が高い合成樹脂複層シートを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果なされたもので、一軸延伸された熱可塑性合成樹脂線条体からなる布状体と、ポリオレフィンシート層を積層してなり、布状体とポリオレフィンシート層が下記の関係を満たすことを特徴とする複層合成樹脂シートを提供するものである。
【0011】
布状体の目付け(g/m2)<ポリオレフィンシート層目付け(g/m2)
【0012】
また、本発明は、布状体が熱可塑性合成樹脂線条体の織布、交差接合布、編布又は不織布である上記の複層合成樹脂シート、布状体が熱可塑性合成樹脂フラットヤーン又はスプリットヤーンからなる熱可塑性合成樹脂線条体を織製又は編製したものである上記の複層合成樹脂シート、ポリオレフィンシート層が、メタロセン系触媒を用いて重合された、密度0.880〜0.910のエチレン−α−オレフィン共重合体である上記の複層合成樹脂シート、布状体とポリオレフィンシート層との貼り合わせが、次のa〜eの構造である上記の複層合成樹脂シートを提供するものである。
a.布状体/ポリオレフィンシート層
b.ポリオレフィンシート層/布状体/ポリオレフィンシート層
c.布状体/ポリオレフィンシート層/布状体
d.布状体/ポリオレフィンシート層/布状体/ポリオレフィンシート層
e.布状体/ポリオレフィンシート層/布状体/ポリオレフィンシート層/布状体
【0013】
さらにまた、本発明は、防音シートとしての、上記複層合成樹脂シートの使用を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明複層合成樹脂シート1は、図1に示すように、合成樹脂製の布状体2とポリオレフィンシート層4が貼り合わされて形成される。
【0015】
本発明において布状体2とは、線条体3からなる可撓性のシート状体を総称するものとし、一軸延伸された、モノフィラ、テープ、ヤーン、スプリットヤーン、短繊維、長繊維等の線条体3a、3bを用いて、図1に示すように、平織り、綾織等の織布とし、また、図2に示すように、多数の線条体3aを一方向に並設し、その上に直交する方向に多数の線条体3bを並設して、その交点をホットメルト剤等の接着剤を用いて、あるいは熱融着によって接合した交差結合布(ソフ)を使用することができる。
【0016】
また、合成樹脂短繊維を積層した不織布、あるいは、図3(A)に示すように、編組布、あるいは、図3(B)に示すように、縦方向に小さな切れ目を多数形成した割符としてこれを拡幅したものを用いることも可能である。
【0017】
線条体3としては、図4(A)に示すように、結晶性樹脂の単層であってもよく、また、図4(B)に示すように、接合層7が基層6の片面に積層されたものとすることができ、また図4(C)に示すように、接合層7が基層6の両面に積層したものであってもよい。更に図4(D)に示すようにシースコア構造とすることもでき、図4(E)に示すようにサイドバイサイド構造とすることもできる。中でも、図4(C)に示すように、テープ状基層6の両面に低融点の接合層7を積層したものが好ましい。
【0018】
線条体3の単層体、あるいは積層体の基層を構成する合成樹脂としては、延伸効果の大きい樹脂、一般には結晶性樹脂が望ましく、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド等を用いることができる。
【0019】
中でも加工性と経済性から高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。特に、線条体3としては、高密度ポリエチレンが好ましく、高密度ポリエチレンとしては、密度が0.930〜0.970、好ましくは0.940〜0.960、MFRが0.1〜10.0g/10分、好ましくは0.3〜3.0のものが好ましい。
【0020】
接合層7は、線条体3が布状とされた後、線条体3間を接合し、あるいは、布状体2とポリオレフィンシート層4間を接合するもので、基層6を構成する合成樹脂より融点が低く熱融着性の優れた合成樹脂が用いられる。
【0021】
具体的には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66のポリアミド等を用いることができ、基層の合成樹脂との関係で基層より低融点の合成樹脂が選択される。
【0022】
また、ポリオレフィンを極性単量体で変性した変性ポリオレフィンを単独で、あるいは、ベースとなるポリオレフィンに配合することによって極性単量体由来の単位を導入することも望ましい方法である。
【0023】
基層6あるいは接合層7として用いられる合成樹脂には、目的に応じて各種の添加剤を添加することができる。
【0024】
具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;含臭素有機系、メラミン系、リン酸系、燐酸エステル系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤;有機顔料;無機顔料;無機充填剤、有機充填剤;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等が挙げられる。
【0025】
これら添加剤は、適宜組み合わせて、基層6や接合層7の材料組成物を製造するいずれかの工程で配合される。添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを作製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0026】
線条体3として積層体が使用される場合、積層フラットヤーン、又は、スプリットヤーンの成形材料となる積層フィルムを成形する手段としては、予め基層6となるフイルムと接合層7となるフイルムを形成してドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて複層化する手段や、基層6となるフイルムの表面に接合層7となる合成樹脂をコーティングする方法、予め形成した基層6となるフイルムに接合層7を押出ラミネートする方法、あるいは、多層共押出法によって積層フイルムとして押出成形するなどの公知の手段から適宜選択して用いればよいが、成形の容易さやコスト面、並びに、製品の各層間の接着性及び光透過性の点では、多層共押出法によって基層6と接合層7の積層体を一段で得る方法が好ましい。シースコア構造、あるいは、サイドバイサイド構造については共押出法によるのが一般的である。
【0027】
また、延伸して線条体3とする手段としては、基層6となるフイルムを一軸方向に延伸した後接合層7となる合成樹脂を積層し、これをテープ状にスリットしてもよく、あるいは、基層6と接合層7が積層された積層フィルムをスリットする前、又は、スリットした後、一軸方向に延伸することによって得ることもできる。延伸倍率は通常3〜10倍程度とされる。
【0028】
一軸延伸フラットヤーンの形状はなんらの制限はなく目的に応じて任意に設定することができるが、一般的には、75〜10000デシテックス、糸幅が0.3〜30mmの範囲が好ましい。こうして得られた一軸延伸フラットヤーンは、縦方向に小さな切れ目を入れてスプリットヤーンとすることもできる。スプリットヤーンとすることによって風合い、手触りを改良することができる。
【0029】
また、線条体3としては、延伸されたモノフィラメントを使用することもでき、さらに、不織布とするときは短繊維、あるいは、長繊維を使用することができる。また、短繊維を紡績して得られた撚糸を使用することも可能である。
【0030】
得られた一軸延伸テープ等の線条体3は、平織、綾織、斜文おり、畦織、二重織、ラッセル編、トリコット編等に織製、あるいは編成し、あるいは、多数の線条体3aを並列し、その上に交差するように線条体3bを配設して交差結合布とした布状体2を用いることができる。また、編組することによって布状体2とすることができ、さらに、短繊維、あるいは長繊維を用いて不織布として使用することもできる。布状体2は、必要に応じて線条体3の交点を接合することができる。
【0031】
線条体3の交点を接合する方法としては、ホットメルト型接着剤で接着することができ、また、線条体3が接合層7を有するときは熱ロールを用いて熱圧着することにより接合することができる。
【0032】
布状体2の目付けは、目的に応じて任意に設定し得るが、一般には、15〜1000g/m2、好ましくは50〜500g/m2とされる。
【0033】
こうして得られた織布、あるいは、短繊維あるいは長繊維の不織布からなる布状体2は、ポリオレフィンシート層4と積層される。
【0034】
ポリオレフィンシート層4を形成する樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の単独重合体、あるいはこれらを主成分とする共重合体を用いることができる。特にメタロセン触媒を用いて重合されたポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、ホリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体を使用することである。メタロセン触媒は、防滑性、防音性に優れたポリオレフィンの製造が容易となる。特に、ポリオレフィンシート層は、密度0.880〜0.910のエチレン−α−オレフィン共重合体であることが好ましい。
【0035】
本発明ポリオレフィンシート層4は、下記式の関係を維持するように基層に積層される。
【0036】
布状体の目付け(g/m2)<ポリオレフィンシート層の目付け(g/m2)
好ましくは、
布状体の目付け(g/m2)×1.2<ポリオレフィンシート層の目付け(g/m2)×1.2
さらに好ましくは、
布状体の目付け(g/m2)×1.4<ポリオレフィンシート層の目付け(g/m2)
特に好ましくは、
布状体の目付け(g/m2)×2.0<ポリオレフィンシート層の目付け(g/m2)
とされる。
【0037】
布状体2の目付けがポリオレフィンシート層4の目付けを上回るときは、防滑性、防音性が低下し、荷物の運搬等において荷崩れが発生し易くなる。
【0038】
ポリオレフィンシート層4として、ポリエチレン系重合体を用いるときは、密度が0.880〜0.910g/cm3、好ましくは、0.885〜0.907g/cm3 、曲げ剛性が100〜1500Kg/cm2のものが適当である。密度が低くなると機械的強度が低下し、また、高くなると合成樹脂シート1の柔軟性が低下する。
【0039】
線条体3を形成するポリオレフィン、あるいは、ポリオレフィンシート層4を形成するポリオレフィンとしては、メタロセン触媒を用いて得られた重合体が好ましく、ポリオレフィンを製造するためのメタロセン触媒としては、シクロペンタジエニル又はその誘導体と遷移金属化合物から構成されるメタロセン(成分a)と、成分aを活性化する助触媒(成分b)から構成され、メタロセン(成分a)は、例えば次の一般式(1)、(2)で表せる化合物を用いることができる。
【0040】
成分(a−1) (C5H5-aR1 a)(C5H5-bR2 b)MXY (1)
成分(a−2) Q(C5H4-aR1 a)(C5H4-bR2 b)MXY (2)
【0041】
上記の一般式(1)、(2)において、Qは二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を表す。Mは周期律表第4〜6族遷移金属を表し、中でもチタン、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
【0042】
XおよびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基又は炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を示す。
【0043】
R1およびR2はそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2個のR1または2個のR2がそれぞれ結合してC4〜C10環を形成して、例えば、フルオレニル基、インデニル基、アズレニル基を形成していてもよい。aおよびbは、0≦a≦5、0≦b≦5を満足する整数である。
【0044】
2個の共役五員環配位子の間を架橋する結合性基Qは、例としてアルキレン基、アルキリデン基、シリレン基、ゲルミレン基等が挙げられる。これらは水素原子がアルキル基、ハロゲン等で置換されたものであってもよい。
【0045】
助触媒成分(成分b)としては、次の化合物を使用することができる。
【0046】
成分(b−1):アルミニウムオキシ化合物、
成分(b−2):ルイス酸、
成分(b−3):成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換するこ とが可能なイオン性化合物、あるいは、
成分(b−4):イオン交換性層状珪酸塩
【0047】
アルミニウムオキシ化合物(成分(b−1))は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、一種類のトリアルキルアルミニウム、または二種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる生成物を使用することができる。
【0048】
また、成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物(成分(b−3))としては、一般式(3)で表されるものが好ましい。
【0049】
[K]e+[Z]e- (3)
【0050】
ここで、Kはイオン性のカチオン成分であって、例えばカルボニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙げられる。また、それ自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イオン等も挙げられる。
【0051】
上記の一般式(3)におけるZはイオン性のアニオン成分であり、成分(a)が変換されたカチオン種に対して対アニオンとなる成分であって、例えば、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ひ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオンなどが挙げられる。
【0052】
本発明において、成分(b−4)として用いられるイオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸塩化合物であり、含有するイオンが交換可能なものをいう。
【0053】
大部分のイオン交換性層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、イオン交換性層状珪酸塩は特に、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
【0054】
イオン交換性層状珪酸塩としては、例えば、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチ−ブンサイト等のスメクタイト族、バ−ミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族等を挙げることができる。
【0055】
また、積層されるエチレン−α−オレフィン共重合体にも極性単量体に由来する単位を導入することが好ましく、エチレン−α−オレフィン−極性単量体三元共重合体、あるいは、極性単量体変性ポリオレフィンを添加することすることによって極性単量体に由来する単位を導入することができる。
【0056】
変性ポリオレフィンの製造法としては、前述の方法を使用することができ、変性する不飽和カルボン酸、そのエステル、又は、その酸無水物の量は、ポリオレフィン100重量部に対し、好ましくは0.01重量部〜20重量部であり、より好ましくは0.1重量部〜10重量部である。0.01重量部以下では、接着強度の改良効果が少なく、30重量部以上では刺激臭が強くなる場合がある。
【0057】
変性ポリオレフィンの添加量は、エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対し、好ましくは0.5重量部〜20重量部であり、より好ましくは1.0重量部〜15重量部である。
【0058】
また、これらポリオレフィン層には、必要に応じて各種の添加剤を配合することができ、具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;含臭素有機系、リン酸系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤;有機顔料;無機顔料;無機充填剤、有機充填剤;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等が挙げられる。
【0059】
布状体2とポリオレフィンシート層4との貼り合わせは、目的に応じて各種の構成をとることができ、たとえば、布状体2の片面にポリオレフィンシート層4が積層され、あるいは、布状体2の両面にポリオレフィンシート層4が積層される。また、さらに積層数を増加することにより防滑、防音効果を向上することができ、たとえば、次ぎの構造とすることができる。
【0060】
a.布状体/ポリオレフィンシート層
b.ポリオレフィンシート層/布状体/ポリオレフィンシート層
c.布状体/ポリオレフィンシート層/布状体
d.布状体/ポリオレフィンシート層/布状体/ポリオレフィンシート層
e.布状体/ポリオレフィンシート層/布状体/ポリオレフィンシート層
/布状体
【0061】
表面をポリオレフィンシート層で形成するときは、防滑性の高いシートを得ることができ、また、表面を布状体で形成するときは、風合いの優れたシートを得ることができる。
【0062】
布状体2とポリオレフィンシート層4との貼り合わせは自体公知の手段によって行なうことができ、布状体2の上にポリオレフィンシート層4を重ねて熱ロールを用いて熱圧着する方法、エチレン−α−オレフィン共重合体をフィルム状に押出して押出しラミネートする方法、ポリオレフィンシート層4をホットメルト剤等の接着剤によって接着することによって行なうこともできる。
【0063】
ポリオレフィンシート層4の厚さは目的に応じて任意に選択し得るが、一般には、各層が30〜700μm、好ましくは50〜500μm、さらに好ましくは60〜300μm程度とされる。
【0064】
本発明複層合成樹脂シートは、各種の材料と組み合わせることによって各種の機能を付与することができ、布状体2又はポリオレフィンシート層4に印刷することによって装飾性、情報性を付与することができ、アルミニウム等を蒸着あるいは金属箔を接合することによって遮光性を付与することもできる。
【0065】
また、複層合成樹脂シート1の片面又は両面の少なくとも一部に粘着層を設け、あるいはシートに直径1〜20mmの孔を穿設することによって敷設あるいは張設を容易にすることもできる。
【0066】
さらに、ポリオレフィンシート層4に無機充填材を添加することによって防音性、風合いを向上することができ、また、発泡させ、あるいは、エンボスすることによって風合い、感触性の優れたシートを得ることもでき、壁材等として使用するに適したものとなる。
【0067】
本発明複層合成樹脂シート1は、防水性、耐水性、撥水性、遮水性、防滑性、弾力性、断熱性、防振性に優れ、多目的に使用することができる。
【0068】
例えば、風呂の床敷きマットとして使用するときは、床面とのフィット性に優れ、折り曲げに対しても耐え,耐久性に優れると共に撥水性がよく汚れが少ない効果が得られる。
【0069】
また、表面の傷付きが少なく、防滑性に優れているから床養生シートとしても好適である。さらにまた、断熱性、防滑性に優れているから冷凍食品の輸送函としても優れたシートが得られる。
【0070】
その他、テーブルクロス、戸棚、食器棚の中敷、フロアマット、洗面台付近の床敷等の下底用品として、また、建築壁材、天井材等の建築材として、あるいは、車両内装シート、機械、装置の下敷き、作業場の仕切り、屋外雨除幕等として好適なシートがえられる。
【0071】
【発明の効果】
本発明複層合成樹脂シートは、布状体の表面にポリオレフィンシート層を積層したから、強靭で機械的強度、耐久性に優れ、多目的に使用可能な実用価値の大きな複層合成樹脂シートを得ることができる。
【0072】
【実施例】
(評価方法)
1.保護性能
住宅用フロアパネルの上に各複層合成樹脂シートを敷き、1mの高さからペンチを自然落下させフロア面のキズの発生を評価した。
【0073】
2.防音性
新築住宅のフロアに各複層合成樹脂シートを敷き、3ヶ月間、作業中の歩行音発生の有無について実用評価を行なった。
【0074】
○:室内に歩行音が響くことはない
×:室内に歩行音が響く
【0075】
3.床面との密着性(防滑性)
新築住宅のフロアに各複層合成樹脂シートを敷き、その上で3ヶ月間作業をし、その状態を観察した。
【0076】
○:シートのずれなし、作業者の危険なし
×:シートのずれ発生、作業者の危険心配
【0077】
4.耐久性
3ヶ月後のシートの磨耗状態を目視評価
【0078】
(実施例1、2、比較例1)
メタロセン触媒を用いて製造された高密度ポリエチレン(日本ポリケム社製HY−433、密度0.950、MFR0.5)を溶融押出機を用いて、インフレーション成形法によってフィルムを成形し、得られたフィルムをレザーを用いて21mm幅にスリットした。次いで、温度100〜120℃の熱板上で7倍に延伸した後、温度125℃の熱風循環式オーブン内で6%の弛緩熱処理を行なった。
【0079】
得られた延伸フィルムに長さ7mmの切れ込みを横方向に0.25mmのずれをもって形成することによって開繊してワインダーに巻き取った。得られたスプリットヤーンの繊度は1000デシテックス、糸幅は6mmであった。
【0080】
上記のスプリットヤーンを用いて、スルーザー織機で平織して織布とした。織布の織り込み本数は、タテ18本/25.4mm、ヨコ18本/25.4mmとした。
【0081】
こうして得られた織布の両面に、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体(日本ポリケム社製KC650、密度0.888、MFR10)を溶融押出機を用いてフィルム状に押出し、押出しラミネーションを行なった。得られた合成樹脂シートの目付けは、織布140g/m2、エチレン−α−オレフィン共重合体層を180g/m2、170g/m2、130g/m2の3種類として、表1に示す複層合成樹脂シートを得た。その複層合成樹脂シートを評価した結果は表1に示す通りであった。
【0082】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明複層合成樹脂シートの例を示す(A)は平面図、(B)は縦断面図
【図2】本発明複層合成樹脂シートの他の例を示す縦断面図
【図3】本発明複層合成樹脂シートに使用される布状体の他の例を示す平面図
【図4】線条体の例を示す縦断面図
【符号の説明】
1:複層合成樹脂シート
2:布状体
3:線条体
4:ポリオレフィンシート層
6:基層
7:接合層
Claims (6)
- 一軸延伸された熱可塑性合成樹脂線条体からなる、目付けが50〜500g/m 2 の布状体と、ポリオレフィンシート層を積層してなり、布状体とポリオレフィンシート層が下記の関係を満たすことを特徴とする複層合成樹脂シート。
布状体の目付け(g/m2)<ポリオレフィンシート層の目付け(g/m2) - 布状体が、熱可塑性合成樹脂線条体の織布、交差接合布、又は、編布であることを特徴とする請求項1に記載の複層合成樹脂シート。
- 布状体が、熱可塑性合成樹脂フラットヤーン又はスプリットヤーンからなる熱可塑性合成樹脂線条体を織製又は編製したものであることを特徴とする請求項1に記載の複層合成樹脂シート。
- ポリオレフィンシート層が、メタロセン系触媒を用いて重合された、密度0.880〜0.910のエチレン−α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複層合成樹脂シート。
- 布状体とポリオレフィンシート層との貼り合わせが、以下のa〜eの構造であることを特徴とする請求項1〜4に記載の複層合成樹脂シート。
a.布状体/ポリオレフィンシート層
b.ポリオレフィンシート層/布状体/ポリオレフィンシート層
c.布状体/ポリオレフィンシート層/布状体
d.布状体/ポリオレフィンシート層/布状体/ポリオレフィンシート層
e.布状体/ポリオレフィンシート層/布状体/ポリオレフィンシート層/布状体 - 防音シートとしての、請求項1〜5に記載の複層合成樹脂シートの使用。
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