JP4694012B2 - 積層線条体及びクロス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、線条体間の結着強度が高く、強靭なクロスを得ることの可能な線条体、及び、それを用いたクロスに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系線条体は生産性に優れ、安価でることから、カーペット基布、コンテナー、土木資材等広範囲に使用されている。しかし、線条体を一方向に多数並列し、その上に直交する方向に線条体を並列してその交点を結着した布状体、いわゆるそふ(直交不織布)を形成するときは、その交点の接着力が重要となる。また、織布においても、打込み本数が少なく間隙率の大きい織布とするときは、織布の目ずれを防止するために、線条体間の結着が重要である。
【0003】
線条体間の結着を改良する方法として、ポリプロピレンの基層に、ポリプロピレンとメタロセン触媒で重合したエチレン共重合体を混合した樹脂組成物を積層することが行なわれている(開11−48418、開2000−8239)。しかし、ポリプロピレンにエチレン系共重合体を混合するときは、耐熱性が低下すると共に、クロスの剛性が大幅に低下し腰のあるクロスが得られない問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、線条体間の結着力が高く、強靭で耐熱性に優れたクロスを得ることのできる積層線条体、及び、それを用いたクロスを提供するものである。得られたクロスは、ヤーンの物性を低下させることがなく、強力に結着されると共に、経糸、緯糸のほつれが無く、目ずれの発生のないクロスを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するため鋭意検討した結果なされたもので、ポリオレフィン系重合体からなるフィルム状基層の両面に、基層より融点が10℃以上低いプロピレン系共重合体からなる表層が、熱ロールを用いた熱圧着、接着剤による接着、又は、押出しラミネートにより積層されてなる積層線条体において、表層のプロピレン系共重合体がメタロセン触媒を使用して重合され、Q値が1.5〜3.5、MFRが0.3〜50g/10分、DSCによる融解ピーク温度Tpが125℃≦Tp≦150℃の範囲を満たす積層線条体を織製又は編製し、交点を熱接着してなることを特徴とするクロスを提供するものである。
【0006】
また、本発明は、ポリオレフィン系重合体からなるフィルム状基層の両面に、基層より融点が10℃以上低いプロピレン系共重合体からなる表層が、熱ロールを用いた熱圧着、接着剤による接着、又は、押出しラミネートにより積層されてなる積層線条体において、表層のプロピレン系共重合体がメタロセン触媒を使用して重合され、Q値が1.5〜3.5、MFRが0.3〜50g/10分、DSCによる融解ピーク温度Tpが125℃≦Tp≦150℃の範囲を満たす積層線条体を縦横に交差するように多数並列し、その交点を熱接着してなることを特徴とするクロスを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明積層線条体は、ポリオレフィン系重合体からなる基層と、基層より融点が10℃以上低いプロピレン系共重合体で形成された表層が積層される。
【0008】
表層となるプロピレン系共重合体は、線条体をクロスとしたとき線条体間を接合し、あるいは、クロスを他の基材と積層する際の接合層として機能するもので、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比であるQ値が1.5〜3.5のものが使用される。ここにQ値とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)として定義され、分子量分布の尺度となるものである。Q値が小さいほど分子量分布がシャープであることを意味し、単一分子量の重合体においてはQ値は1となる。Q値としては、1.5〜3.5、好ましくは2.0〜3.3の範囲から選択される。
【0009】
また、プロピレン系共重合体は、JIS−K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定されたMFR(メルトフローレート)が、0.3〜50g/10分、好ましくは0.5〜40g/10分、さらに好ましくは1〜30g/10分とされる。MFRが上記範囲を超えると溶融張力が不足して押出成形性が不良となり、MFRが上記範囲未満では押出成形時に流動不良となって厚み変動が生じやすくなる。
【0010】
さらに、走査熱量計(DSC、Differential ScanningCalorimeter )による融解ピーク温度(TP)が、110℃≦TP≦150℃、好ましくは115℃≦TP≦140℃の範囲のものが使用される。DSCによる融解ピーク温度が110℃未満ではフィルムのベタツキが発生して延伸、あるいは、巻き取り操作の操作性が悪化し、DSCによる融解ピーク温度TPが150℃を超えると線条体間の融着性が不良となり、また、コスト高となって経済性も低下する。
【0011】
かかるプロピレン系共重合体としては、プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体、又はそれらの混合物を使用することができる。
【0012】
ランダム共重合体におけるコモノマーとしては、好ましくは、エチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィンであり、具体的にはエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等が使用される。前記ランダム共重合体中、プロピレンに由来する構成単位(以下、「プロピレン単位」という)の好ましい割合は、全構成単位中90〜99重量%であり、α−オレフィンに由来する構成単位(以下、「コモノマー単位」という)は1〜10重量%である。
【0013】
これらのうち、本発明で用いるプロピレン系共重合体として特に好ましいものは、プロピレンとエチレン及び/又はブテン−1とのランダム共重合体である。
【0014】
この様なプロピレン系共重合体は、メタロセン系触媒を用いて重合されたものが使用され、特に、後述する成分(a)、成分(b)、並びに、必要に応じて用いられる成分(c)からなるメタロセン系触媒の存在下で重合させることにより製造した結晶性ポリプロピレン樹脂が望ましい。
【0015】
プロピレン系共重合体をメタロセン系遷移金属化合物を含有する触媒系により重合する方法としては、例えば、Organometallics,1994,13,946−970(Hans−herbert Brintzinger et al)、Organometallics,1994,13,954(W,Spaleck et al)、Macromol,Chem,Rapid.Commun.)、14,239,(1993)(W,Kaminsky etal),Macromol,Chem,phys.に記載された方法を採用することができ、次のメタロセン系触媒を用いることができる。
【0016】
<触媒>
成分(a)
メタロセン系触媒に使用される成分(a)メタロセン系遷移金属化合物としては、下記一般式(1)に示されるものを例示することができる。
【0017】
Q(C54-a1 a)(C54-b2 b)MeXY ・・(1)
【0018】
[ここでQは二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、Meはジルコニウム、ハフニウムを表わし、X及びYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20の燐含有炭化水素基又は炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を表わす。R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、アルコキシ基、珪素含有炭化水素基、燐含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、硼素含有炭化水素基を表わし、隣接する2個のR1及びR2は、2個のR1、R2がそれぞれ結合して環を形成してもよい。a及びbは0≦a≦4、0≦b≦4を満足する整数である。ただし、R1及びR2を有する2個の五員環配位子は基Qを介して相対位置の観点において、Meを含む平面に関して非対象のものである。]
【0019】
上記一般式(I)のQは、上記のように二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、具体的には、(イ)炭素数1〜20、好ましくは1〜6の2価の炭化水素基、更に詳しくは、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基等の不飽和炭化水素基、(ロ)炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基を有するシリレン基、(ハ)炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基を有するゲルミレン基である。なお、2価のQ基の両結合手間の距離は、その炭素数の如何に関わらず、Qが鎖状の場合には4原子程度以下、就中3原子以下であることが好ましい。Qが環状基を有するものである場合には当該環状基+2原子程度以下、就中当該環状基のみであることが好ましい。従って、アルキレンの場合はエチレン及びイソプロピリデン(結合手間の距離は2原子及び1原子)が、シクロアルキレン基の場合はシクロヘキシレン(結合手間の距離がシクロヘキシレン基のみ)が、アルキルシリレンの場合は、ジメチルシリレン(結合手間の距離が1原子)が、それぞれ好ましい。
【0020】
上記化合物の具体例としては、特開平8−208733号公報に例示された化合物を挙げることができる。
【0021】
成分(b)
かかるメタロセン系遷移金属化合物は、メタロセン系遷移金属化合物を活性化する助触媒と組合されて触媒として用いられる。そのような成分(b)助触媒としては、次の成分(b−1)〜成分(b−4)から選択して用いることができる。
【0022】
成分(b−1):アルミニウムオキシ化合物、
成分(b−2):ルイス酸、
成分(b−3):成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、
成分(b−4):イオン交換性層状珪酸塩
【0023】
アルミニウムオキシ化合物(成分(b−1))は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、一種類のトリアルキルアルミニウム、または二種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる生成物を使用することができる。具体的には、
(イ)一種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られるメチルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、
(ロ)二種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られるメチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。これらの中で、特に好ましいのはメチルアルモキサンおよびメチルイソブチルアルモキサンである。
【0024】
また、成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物(成分(b−3))としては、一般式(2)で表されるものが好ましい。
【0025】
[K]e+[Z]e- (2)
【0026】
ここで、Kはイオン性のカチオン成分であって、例えばカルボニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙げられる。また、それ自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イオン等も挙げられる。
【0027】
上記の一般式(2)におけるZはイオン性のアニオン成分であり、成分(a)が変換されたカチオン種に対して対アニオンとなる成分であって、例えば、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ひ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオンなどが挙げられる。
【0028】
本発明において、成分(b−4)として用いられるイオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸塩化合物であり、含有するイオンが交換可能なものをいう。大部分のイオン交換性層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、イオン交換性層状珪酸塩は特に、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
【0029】
イオン交換性層状珪酸塩としては、例えば、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチ−ブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族等を挙げることができる。
【0030】
本発明において必要に応じて用いられる成分(C)有機アルミニウム化合物は、一般式(3)で示されるものが好ましい。
【0031】
(AlR4 n3-nm (3)
【0032】
[R4は炭素数1〜20、好ましくは1〜8のアルキル基を示し、Xはハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。nは1〜3までの整数、好ましくは3であり、mは1又は2、好ましくは1である。]で示される化合物であり、これら有機アルミニウム化合物は単独或いは複数種にて使用することができる。具体的な有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等を挙げることができる。これらの中でも、トリアルキルアルミニウム及びジアルキルアルミニウムヒドリド等が好ましい。特に炭素数1〜8のトリアルキルアルミニウムを用いることが好ましい。
【0033】
触媒の調製
上記のポリプロピレン系共重合体を製造するために用いられる触媒は、上記の成分(a)、成分(b)並びに必要に応じて成分(c)を重合槽内で或いは重合槽外で、重合させるべきモノマーの存在下或いは非存在下に接触させることにより調製することができる。
【0034】
当該触媒は、微粒子状の固体を担体として用い、固体状触媒として使用することも可能である。該微粒子状の固体としては、シリカ、アルミナ等の無機の多孔質酸化物や、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン、若しくは、スチレンを主成分として生成される重合体又は共重合体等の有機化合物を挙げることができる。
【0035】
また、触媒は、オレフィンの存在下で予備重合を行なったものであってもよい。予備重合に用いられるオレフィンは、プロピレン、エチレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、スチレン、ジビニルベンゼン等が用いられるが、これらと他のオレフィンとの混合物であってもよい。
【0036】
本発明で使用する成分(a)、成分(b)、成分(c)の使用量は任意であるが、一般に成分(b)として何を選択するかで、上記成分(a)及び成分(c)の好ましい使用量の範囲が異なる。例えば、成分(b)として成分(b−1)を使用する場合、成分(b−1)中のアルミニウム原子と成分(a)中の遷移金属の原子比(Al/Me)が1〜100,000、好ましくは10〜10,000、更に好ましくは50〜5,000の範囲である。また、成分(b)として、成分(b−2)、成分(b−3)を使用する場合、成分(a)中の遷移金属と成分(b−2)、成分(b−3)のモル比で0.1〜1,000、好ましくは0.5〜100、特に好ましくは1〜50の範囲で使用される。もし、成分(c)を使用するならば使用量は対成分(a)に対するモル比で105以下、更に104以下、特に103以下の範囲が好ましい。
【0037】
<重合>
プロピレン系共重合体の製造は、プロピレン単独、或いは、プロピレンとエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィンとを混合してメタロセン触媒と接触させることにより行なわれる。反応系中の各モノマーの量比は、各モノマーを一定の混合比で供給することも便利であるし、また、経時的に一定である必要はなく、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。また、共重合反応比を考慮してモノマーのいずれかを分割添加することもできる。
【0038】
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を取り得る。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる重合法、あるいは、実質的に溶媒を用いず各モノマーを実質的にガス状に保つ気相法等を採用することができる。
【0039】
また、連続重合、回分式重合にも適用できる。スラリー重合の場合には、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独或いは混合物を用いることができる。重合温度は−78〜160℃、好ましくは0〜150℃であり、その際に分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。重合圧力は0〜90kg/cm2・G、好ましくは0〜60kg/cm2・G、特に好ましくは1〜50kg/cm2・Gが適当である。
【0040】
基層を形成するポリオレフィン系樹脂としては、表層を形成するプロピレン系共重合体の融点より10℃以上高い融点を有するものが使用される。このようなポリオレフィン系樹脂としてはプロピレン単独重合体が好ましく、また、プロピレンと6重量%以下、好ましくは4重量%以下のα−オレフィンとの共重合体を用いることができる。
【0041】
表層を形成するプロピレン系共重合体、及び、基層を形成するポリオレフィン系樹脂には、発明の効果を損なわない程度で、適宜、各種の添加剤を配合することができる。具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アルカリ土類金属塩のカルボン酸塩系等の塩素補足剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;ヒドラジン系、アミン、アシド系等の金属不活性剤;含臭素有機系、リン酸系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤;有機顔料;無機顔料;無機充填剤;有機充填剤;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等があげられる。
【0042】
基層と表層が積層された積層線条体1としては、図1(A)に示すように、フィルム状基層2の片面に表層3が形成されたものであってもよく、また、図1(B)に示すように、基層2の両面に表層3、3が形成されたものであってもよい。
【0043】
さらに、線条体の断面形状は必ずしも方形である必要はなく、例えば、筋入りとしてもよく、モノフィラメントダイを用いて成形された断面円形あるいは楕円形のモノフィラメント状体であってもよい。その場合は、図1(C)に示すように、シースコア構造、図1(D)に示すように、サイドバイサイド構造とすることができる。
【0044】
積層線条体1を形成する積層フィルムを得る方法としては、自体公知の手段によって行なうことができ、基層となるポリオレフィン系樹脂フィルム上に表層となるプロピレン系共重合体フィルムを重ねて熱ロールを用いて熱圧着する方法、あるいは両フィルムをホットメルト剤等の接着剤によって接着する方法、延伸前の、あるいは、延伸された基層フィルム上に表層樹脂をフィルム状に押出して押出しラミネートする方法、表層樹脂と基層樹脂を共押出しする方法によって行なうことができる。
【0045】
得られた積層フィルムは、必要に応じてテープ状に裁断した後、延伸操作に付される。延伸操作としては、例えば、熱風循環オーブン、熱ロール、熱板等を用いて、一段でもしくは二段以上の多段で、引取り方向へ2.5〜10.0倍に延伸し、更に熱風循環式オーブン、熱ロール、熱板等を用いて60〜160℃の温度下に、0〜15%の弛緩熱処理が施される。
【0046】
押出時の材料温度は、200〜280℃前後、冷却固化後の肉厚は30〜500μm前後、テープ状体の裁断幅は1〜30mm程度が望ましく、これらの工程を経て得られる積層線条体は、50〜10000デシテックス、糸幅が0.3〜20mm、肉厚が15〜100μm程度が望ましい。なお、表層は基層の片面、又は両面に積層することができ、両面に積層されるときは、肉厚構成比が外層:芯材:外層=5:90:5〜25:50:25程度とされる。表層の厚みは、基層である延伸テープの表裏で異なっていてもよく、時には芯材や外層を各々複層構造としてもよい。
【0047】
こうして形成された積層線条体1をクロス4とする方法としては、上記積層線条体1を経糸および緯糸の少なくとも一部に用いて、図2(A)、(B)に示すように、織製し、必要に応じてその経緯交差部を熱接着してクロス4とすることができる。また、編製することによってクロス4とすることもできる。さらに、図3に示すように積層線条体1を縦・横あるいは斜め(図示せず)に並列し、その交点を結着することによってそふとして、あるいは、図4に示すように、スプリット加工を施した幅広のウェブを拡幅し積層した割繊維不織布としてクロス4とすることもできる。
【0048】
上記クロスを形成する方法としては、サーキュラー織機、スルザー型織機、ウォータージェット型織機など公知の織機を用いて織製することができる。その織り組織としては、平織、綾織、からみ織など種々の形状が適用される。上記編布を形成する方法としては、横編み、縦編みいずれでもよく、具体的にはトリコット編、ミラニーズ編、ラッセル編等が挙げられる。上記クロスは、仕様に応じて熱風、加熱ロールや熱板等により縦糸と横糸の交差部を熱接着することにより、本願発明の織編布又は不織布を得ることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明はかかる構成からなるから、線条体間を融着したときの結着力が高く、強靭で耐熱性に優れた線条体クロスを得ることができる。したがって、本発明によって得られるクロスは、ヤーンの物性を低下させることなく強靭となると共に経糸、緯糸のほつれが無く、目ずれの発生のないクロスとなる。
【0050】
【実施例】
実施例1
基層を形成する合成樹脂として、プロピレン単独重合体(日本ポリケム社製)と、表層を形成する合成樹脂として、メタロセン系触媒を用いて重合されたプロピレン共重合体(Q値=2.8、融解ピーク温度(Tp)=125、MFR=2.0、日本ポリケム社製)とを溶融押出機を用いて、インフレーション成形法によって共押出しして基層を中心とする三層の積層フィルムを成形した。
【0051】
得られたフィルムを温度125℃の熱板上で6倍に延伸した後、温度130℃の熱風循環式オーブン内で5%の弛緩熱処理を行ない、得られた延伸フィルムをレザーを用いてにスリットしてワインダーに巻き取った。
【0052】
得られたフラットヤーン状の積層線条体は、厚み比は表層/基層/表層=1/8/1、総厚さは37μm、幅は10mmであった。
【0053】
得られた積層線条体2枚を重ね、表1に示すように、130℃〜150℃のヒートシールバーを用いて、荷重2.0Kg/cm2で10秒間押圧して、ヒートシール面積1cm2のヒートシール部を形成した。得られた試料端部の非ヒートシール部の積層線条体をそれぞれを引張り試験機でニップして、引張り速度100mm/minで、90度ピール試験を行なった。その結果は、表1の通りであった。
【0054】
比較例1
表層を形成する合成樹脂としてチーグラー系触媒を用いて重合したプロピレン単独重合体(Q値=4.5、融解ピーク温度(Tp)=135、MFR=7.0、日本ポリケム社製X−1804)を用いた他は実施例1と同様の実験を行なった。その結果は、表1の通りであった。
【0055】
実施例2
基層を形成する合成樹脂として、プロピレン単独重合体(日本ポリケム社製)と、表層を形成する合成樹脂としてメタロセン系触媒を用いて重合されたプロピレン共重合体(Q値=2.8、MFR=2.0、融解ピーク温度(Tp)=125℃、日本ポリケム社製)とを溶融押出機を用いて、インフレーション成形法によって共押出しして基層を中心とする三層の積層フィルムを成形した。
【0056】
得られたフィルムを温度125℃の熱板上で6倍に延伸した後、温度130℃の熱風循環式オーブン内で5%の弛緩熱処理を行ない、得られた延伸フィルムをレザーを用いてスリットしてワインダーに巻き取った。
【0057】
得られたフラットヤーン状の積層線条体は、厚み比は表層/基層/表層=1/8/1、総厚さは37μm、糸幅は5mmであった。
【0058】
これを打込み本数タテ×ヨコ=5本×5本で平織してクロスを作成した後、温度150℃、荷重1.0Kg/cm2で20秒間押圧して積層線条体の縦横交点を熱接合した。
【0059】
得られたクロスの同列に位置する布目に引張り試験機のフックを掛けて、引張り速度200mm/minで引張り試験を行なった。その結果は、表2の通りであった。
【0060】
比較例2
表層を形成する合成樹脂としてチーグラー系触媒を用いて重合したプロピレン共重合体(Q値=4.5、融解ピーク温度(Tp)=135℃、MFR=6.0日本ポリケム社製X−1804)を用いた他は実施例2と同様の実験を行なった。その結果は、表2の通りであった。
【0061】
【表1】
Figure 0004694012
【0062】
【表2】
Figure 0004694012

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の線条体の例を示す縦断面図
【図2】(A)は本発明のクロスの例を示す平面図、(B)はその縦断面図
【図3】本発明のクロスの他の例を示す縦断面図
【図4】本発明のクロスの他の例を示す平面図
【符号の説明】
1:積層線条体
2:基層
3:表層
4:クロス

Claims (2)

  1. ポリオレフィン系重合体からなるフィルム状基層の両面に、基層より融点が10℃以上低いプロピレン系共重合体からなる表層が、熱ロールを用いた熱圧着、接着剤による接着、又は、押出しラミネートにより積層されてなる積層線条体において、表層のプロピレン系共重合体がメタロセン触媒を使用して重合され、Q値が1.5〜3.5、MFRが0.3〜50g/10分、DSCによる融解ピーク温度Tpが125℃≦Tp≦150℃の範囲を満たす積層線条体を織製又は編製し、交点を熱接着してなることを特徴とするクロス。
  2. ポリオレフィン系重合体からなるフィルム状基層の両面に、基層より融点が10℃以上低いプロピレン系共重合体からなる表層が、熱ロールを用いた熱圧着、接着剤による接着、又は、押出しラミネートにより積層されてなる積層線条体において、表層のプロピレン系共重合体がメタロセン触媒を使用して重合され、Q値が1.5〜3.5、MFRが0.3〜50g/10分、DSCによる融解ピーク温度Tpが125℃≦Tp≦150℃の範囲を満たす積層線条体を縦横に交差するように多数並列し、その交点を熱接着してなることを特徴とするクロス。
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