JP5577105B2 - フラットヤーンクロス積層シート - Google Patents

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Description

本発明は、フラットヤーンクロス積層シートに関し、さらに詳しくは、低熱収縮で強度に優れ、接着性も良好で、柔軟且つ透明なフラットヤーンクロス積層シートに関する。
ポリオレフィンからなるフィルムやシートは、各種バッグ、カバー類、包装資材、農業用被覆材、土木シートなどの用途に、その透明性、防水性、柔軟性などの特徴を生かして広く用いられている。
しかし、用途によっては引張強度、引裂き強度、耐衝撃性、耐久性等が不足すると言う欠点があった。例えば、トラックの幌、テントシート、重量物を持ち運ぶショッピングバッグ類、電気機器類の包装袋等では、柔軟で、且つ強度、耐久性に優れた包装資材が要求される。さらにこの様な用途の中で内部が見える様な透明性を要求する分野も要求されて来た。
この様な欠点を改良する方法として、低密度ポリエチレンフィルムに高密度ポリエチレンフラットヤーンクロスを積層した農業用シート(特許文献1)が提案されているが、押出しラミネーション法で積層すると高密度ポリエチレンクロスが熱劣化を生じて強力が低下すると言う問題があった。
また、低融点樹脂成分と高融点樹脂成分からなる多層フィルムから形成したフラットヤーンを経緯糸に用いて織成された表面熱融着性メッシュクロスに、熱融着性不織布を熱融着によって積層した不織布積層材(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、高融点ポリエチレンと低融点ポリエチレンとからなるポリエチレン多層フラットヤーンクロスは、熱収縮率が大きく、ポリエチレンフィルムやポリエチレン不織布と貼り合わせると、しわやカールが発生しやすいと言う問題があった。
一方、高融点ポリプロピレンと低融点ポリプロピレンとからなるポリプロピレン多層フラットヤーンクロスは、透明性が有り、熱収縮率は小さくて良好であるが、ポリエチレンフィルムとの接着強力が弱いため、ポリプロピレンを中間層とし、ポリエチレンを外層とした多層フラットヤーンクロスとポリエチレン系フィルムとを積層すると多層フラットヤーンクロスとポリエチレン系フィルムの接着は良好であるが、中間層のポリプロピレンと表面層のポリエチレンが剥離を生じるなどの問題があった。
ポリエチレンフィルムの代わりにポリプロピレンフィルムを用いて、高融点ポリプロピレンと低融点ポリプロピレンとからなるポリプロピレン多層フラットヤーンクロスに貼り合わる場合、接着力は充分に得られるが、ポリプロピレンフィルムは、剛性が高い為に貼り合わせたフラットヤーンクロス積層シートが硬くなり、シートの柔軟性が損なわれてしまうと言う問題があった。
したがって、強度や熱収縮の優れたポリプロピレンフラットヤーンクロスに、ポリプロピレンフィルム貼り合わせても柔軟性の優れるクロスシートが求められている。
実開昭64−26956号公報 実公平5−33336号公報
本発明は、前述した従来の技術の問題点に鑑み、低熱収縮で強度に優れ、接着性も良好で、柔軟且つ透明なフラットヤーンクロス積層シートを提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するため種々の研究を重ねた結果、特定の高融点ポリプロピレンを中間層とし、特定の低融点ポリプロピレンを表面層とする積層テープヤーンを使用してフラットヤーンクロスを織成し、このフラットヤーンクロスの両面に、特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体を積層することにより、低熱収縮で強度に優れ、接着性も良好で、柔軟且つ透明なフラットヤーンクロス積層シートが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、融解ピーク温度が155〜175℃の高融点ポリプロピレン(H)からなる中間層の両面に、融解ピーク温度が115〜153℃の低融点ポリプロピレン(L)からなる表面層を積層させた複合テープヤーンを用いて織成したフラットヤーンクロスの両面に、下記(i)〜(iii)の条件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を積層したことを特徴とするフラットヤーンクロス積層シートが提供される。
(i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でエチレン含量0.3〜7wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜95wt%、第2工程で成分(A1)よりも3〜20wt%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜5wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体である
(ii)メルトフローレート(荷重2.16kg、230℃)が0.1〜30g/10分の範囲にある
(iii)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、高融点ポリプロピレン(H)が、プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体であって、MFRが0.1〜20g/10minであることを特徴とするフラットヤーンクロス積層シートが提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体であって、メルトフローレート(荷重2.16kg、230℃)が1〜50g/10minであることを特徴とするフラットヤーンクロス積層シートが提供される。
本発明のフラットヤーンクロス積層シートは、高融点ポリプロピレン中間層と、低融点ポリプロピレン表面層との積層テープヤーンを使用したフラットヤーンクロスの両面に、メタロセン系触媒により製造された特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体を積層することにより、低熱収縮で強度に優れ、接着性も良好で、柔軟且つ透明なフラットヤーンクロス積層シートとすることができる。
図1は、実施例(製造例1)で製造された本発明の基材層用のプロピレン−エチレンブロック共重合体(PP−1)のTREF溶出曲線のグラフであり、成分(A1)および(A2)の溶出量及び溶出量積算を示すグラフ図である。 実施例に使用した重合製造例−1のプロピレン−エチレンブロック共重合体の固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線を示すグラフ図である。 比較例に使用した重合製造例−3のプロピレン−エチレンブロック共重合体の温度−損失正接(tanδ)曲線を示すグラフ図である。
以下、本発明のフラットヤーンクロス積層シートの各層の構成成分及び積層シートの製造法について、詳細に説明する。
[1.高融点ポリプロピレン(H)]
本発明のフラットヤーンクロスを織成するための複合テープヤーンの中間層となる高融点ポリプロピレン(H)は、融解ピーク温度が155〜175℃、好ましくは157〜170℃、さらに好ましくは159〜165℃の範囲のプロピレン重合体である。融解ピーク温度が上記範囲を下回ると熱収縮率が大きくなり、上記範囲を上回るとフラットヤーンの延伸性が損なわれるので好ましくない。
このポリプロピレン(H)としては、プロピレン単独重合体あるいはその共重合体が挙げられ、共重合体としては、好ましくはプロピレン−エチレンランダム共重合体が挙げられる。
ポリプロピレン(H)のメルトフローレート(MFR、荷重2.16kg、230℃)としては、0.1〜20g/10min、好ましくは0.4〜10g/10min、さらに好ましくは0.7〜10g/10minの範囲である。MFRが上記範囲を下回るとフィルムの成形加工が困難となりやすく、上記範囲を上回るとフラットヤーンの延伸性が損なわれやすいので好ましくない。
[2.低融点ポリプロピレン(L)]
本発明のフラットヤーンクロスを織成するため、上記高融点ポリプロピレン(H)からなる中間層の両面に積層する表面層を形成する低融点ポリプロピレン(L)としては、融解ピーク温度が115〜153℃、好ましくは120〜150℃、さらに好ましくは125〜148℃の範囲であるプロピレン重合体を使用する。融解ピーク温度が上記範囲を下回るとフラットヤーンの表面光沢が損なわれ、上記範囲を上回るとフラットヤーンクロスの両面に積層されるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)層との接着性が損なわれるので好ましくない。
低融点ポリプロピレン(L)としては、好ましくはプロピレン以外のαオレフィンとの共重合体であるプロピレン−αオレフィンが使用され、好ましくはプロピレン−エチレンランダム共重合体、或いはプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体が挙げられる。
ポリプロピレン(L)のメルトフローレート(MFR、荷重2.16kg、230℃)としては、好ましくは1〜50g/10min、より好ましくは1.5〜30g/10min、さらに好ましくは2〜20g/10minの範囲である。MFRが上記範囲を下回るとフィルムの成形加工が困難となりやすく、上記範囲を上回ると多層成形時の層厚みが乱れやすくなるので好ましくない。
このような高融点ポリプロピレン(H)および低融点ポリプロピレン(L)は、市販のポリプロピレンの中から融解ピーク温度を満足するものを選択して使用してよく、例えば、日本ポリプロ社製の商品名「ノバテックPP」、「WINTEC」あるいは「NEWCON」等の中から上記融解ピーク温度相当のグレードのものを使用することもできる。
上記高融点ポリプロピレン(H)は、これを中間層として、その上に上記低融点ポリプロピレン(L)が表面層として積層され、複合テープヤーンとされ、これを織成してフラットヤーンクロスとする。
[3.プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)]
フラットヤーンクロスの両面には、前記したとおり、(i)〜(iii)の条件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が積層される。
(i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でエチレン含量0.3〜7wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜95wt%、第2工程で成分(A1)よりも3〜20wt%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜5wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体である
(ii)メルトフローレート(MFR:荷重2.16kg、230℃)が0.1〜30g/10分の範囲にある
(iii)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する
本発明における、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、メタロセン系触媒を用いて、第1工程でエチレン含量0.3〜7wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜95wt%、第2工程で第1工程よりも3〜20wt%多くのエチレンを含むプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜5wt%、逐次重合することで得られる。
なお、このようなプロピレン−エチレンブロック共重合体は、いわゆるブロック共重合体と通称されているものであるが、成分(A1)と成分(A2)のブレンド状態にあり、双方が重合で結合しているものではない。
(1)成分(A1)について
・成分(A1)中のエチレン含量E(A1):
第1工程で製造される成分(A1)は、ベタツキを抑制し、耐熱性を発現するために、融点が比較的高く、結晶性を有するエチレン含量が0.3〜7wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体であらねばならない。エチレン含量が0.3wt%を下回ると柔軟性が不足し、エチレン含量が7wt%を超えると融点が低くなりすぎ耐熱性を悪化させるため、エチレン含量は0.3〜7wt%、好ましくは0.5〜6wt%とされる。
なお、成分(A1)は、プロピレン単独重合体でも改良された柔軟性や透明性及び耐熱性を示すが、成分(A1)がプロピレン単独重合体の場合にはフラットヤーンクロスとの接着性が得られない。
一方、成分(A1)をプロピレン−エチレンランダム共重合体とすると、成分(A1)自体の融点は低下することで耐熱性は悪化するように見えるが、充分な柔軟性を発揮するために必要な成分(A2)の量を抑制できることで、ブロック共重合体全体としての耐熱性はむしろ向上し、かつ、ベタツキやブロッキングの悪化が小さいため好ましい。
さらに融点を低下させられることで、押出しラミネーション成形等による積層時の成形温度を低下させても充分な成形安定性が得られることで、加熱による臭気の発生などが極めて少ない優れたフィルムを得ることができる。
これらの観点から、成分(A1)中のエチレン含量は、好ましくは0.5wt%以上、より好ましくは1.5wt%以上である。
・ブロック共重合体(A)中に占める成分(A1)の割合:
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)中に占める成分(A1)の割合が多過ぎると、プロピレン−エチレンブロック共重合体の柔軟性や接着性の改良効果を充分に発揮することができない。そこで成分(A1)の割合は、95wt%以下、好ましくは85wt%以下、より好ましくは70wt%以下とされる。
一方、成分(A1)の割合が少なくなり過ぎるとベタツキが増加し、耐熱性が顕著に悪化するといった問題を生じるため、成分(A1)の割合は30wt%以上、好ましくは40wt%以上である。
(2)成分(A2)について
・成分(A2)中のエチレン含量E(A2):
第2工程で製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の柔軟性と接着性を向上させるのに必要な成分である。
ここで、成分(A2)は、上記効果を充分発揮するために、特定範囲のエチレン含量であることが必要である。すなわち、本発明のブロック共重合体において、成分(A1)に対し成分(A2)の結晶性は低い方が、柔軟性改良効果が大きく、結晶性はプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含量で制御されるため、成分(A2)中のエチレン含量E(A2)は、成分(A1)中のエチレン含量E(A1)よりも3wt%以上多くないとその効果を発揮できず、好ましくは6wt%以上、より好ましくは8wt%以上、成分(A1)よりも多くのエチレンを含む。
ここで、成分(A1)と成分(A2)のエチレン含量の差をE(gap)(=E(A2)−E(A1))と定義すると、E(gap)は3wt%以上、好ましくは6wt%以上、より好ましくは8wt%以上である。
一方、成分(A2)の結晶性を下げるためにエチレン含量を増加させ過ぎると、成分(A1)と成分(A2)のエチレン含量の差E(gap)が大きくなり、マトリクスとドメインに分かれた相分離構造を取り、透明性が低下する。これは元来、ポリプロピレンはポリエチレンとの相溶性が低く、プロピレン−エチレンランダム共重合体においても、エチレン含量が異なるものの、相互の相溶性は、エチレン含量の違いが大きくなると低下するためである。E(gap)の上限については、後述する固体粘弾性測定によりtanδのピークが単一になる範囲にあればよいが、そのためにはE(gap)は20wt%以下、好ましくは、18wt%以下、より好ましくは16wt%以下の範囲とされる。
・ブロック共重合体(A)中に占める成分(A2)の割合:
成分(A2)の割合が多過ぎるとベタツキが増加しブロッキングに悪化が生じ、耐熱性の低下も顕著になるため、成分(A2)の割合は70wt%以下に抑えることが必要である。
一方、成分(A2)の割合が少なくなり過ぎると柔軟性と接着性の改良効果が得られないため、(A2)の割合は5wt%以上であることが必要であり、好ましくは15wt%以上、より好ましくは30wt%以上である。
(3)ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR)
プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)のMFR(荷重2.16kg、230℃)は、0.1〜30g/10minの範囲を取ることが必要である。MFRが低すぎると、製品の表面にシャークスキンやメルトフラクチャと呼ばれる表面荒れが発生し、透明性や外観を著しく損なう。一方で、MFRが高すぎると、成形安定性が損なわれ、耐衝撃性が低下するため好ましくない。
そこで、本発明において成分(A)のMFRは0.1〜30g/10minの範囲を取らなくてはならず、1〜20g/10minの範囲が成形安定性や製品外観、物性のバランスの観点から好適である。
なお、本発明におけるメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210 A法 条件Mに従い、試験温度:230℃、公称加重:2.16kg、ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.00mmの条件で測定されたものである。
(4)固体粘弾性による特定
・tanδ曲線のピークによる規定
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)においては、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することが必要である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が相分離構造を取る場合には、成分(A1)に含まれる非晶部のガラス転移温度と、成分(A2)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、ピークは複数となる。この場合には、透明性が顕著に悪化するという問題が生じる。
相分離構造を取っているかどうかは、固体粘弾性測定におけるtanδ曲線において判別可能であり、成形品の透明性を左右する相分離構造の回避は、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することによりもたらされる。
本発明においては、透明性を発揮するために、固体粘弾性測定におけるtanδ曲線が単一のピークを持つことが必要である。
なお、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する場合のtanδ曲線のピークの実例、及び比較のため、0℃以下に単一のピークを有しない場合のtanδ曲線の実例が、各々、図2及び図3に示されている。
図2は、後記する重合製造例−1(本願における実施例として使用するプロピレン−エチレンブロック共重合体)のtanδ曲線であり、0℃以下に単一のピークを有することが示される。
図3は、後記する重合製造例−3(本願における比較例として使用するプロピレン−エチレンブロック共重合体)のtanδ曲線であって、0℃以下の−12℃付近と−31℃付近に複数のピークを有することが示される。
固体粘弾性測定(DMA)とは、具体的には、短冊状の試料片に特定周波数の正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで行う。ここでは周波数は1Hzを用い測定温度は−60℃から段階状に昇温し、サンプルが融解して測定不能になるまで行う。また、歪みの大きさは0.1〜0.5%程度が推奨される。
得られた応力から、公知の方法によって貯蔵弾性率と損失弾性率を求め、これの比で定義される損失正接(=損失弾性率G’’/貯蔵弾性率G’)を温度に対してプロットすると、tanδ曲線が得られ、本発明においては、0℃以下の温度領域で鋭いピークを示す。一般に0℃以下でのtanδ曲線のピークは、非晶部のガラス転移を観測するものであり、ここでは本ピーク温度をガラス転移温度Tg(℃)として定義する。
(5)成分(A1)と(A2)の各成分のエチレン含量E(A1)とE(A2)及び各成分量W(A1)とW(A2)の特定
成分(A1)と(A2)の各エチレン含量及び成分量は、重合時の物質収支(マテリアルバランス)によって特定することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、以下の分析(分別法)を用いることが望ましい。
(イ)温度昇温溶離分別法(TREF)による各成分量W(A1)とW(A2)の特定
・温度昇温溶離分別法
プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の結晶性分布を温度昇温溶離分別法(TREF)により評価する手法は、当業者によく知られているものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)
本発明におけるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、成分(A1)と(A2)各々の結晶性に大きな違いがあり、また、メタロセン系触媒を用いて製造されることで各々の結晶性分布が狭くなっていることから双方の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより精度良く分別することが可能である。
具体的な方法を図1のTREFによる溶出量及び溶出量積算を示す図を用いて説明する。
図1は、実施例(製造例1)で製造された本発明の基材層用のプロピレン−エチレンブロック共重合体(PP−1)のTREF溶出曲線のグラフである。図1の上図におけるプロット線は各温度における溶出量を示し、下図でのプロット線はその溶出量の積算を示す。TREFによって得られる溶出量曲線と、そこから求められる上記の各種の温度や量の算出の方法は、図1に例示するように行う。
o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、成分(A1)と(A2)は結晶性の違いにより各々の温度T(A1)とT(A2)にその溶出ピークを示し、その差は充分大きいため、両者の中間の温度T(A3)(={T(A1)+T(A2)}/2)において、ほぼ分離が可能である。
また、TREF測定温度の下限は、本測定に用いた装置では−15℃であるが、成分(A2)の結晶性が非常に低い或いは非晶性成分の場合には、本測定方法において、測定温度範囲内にピークを示さない場合がある(このとき測定温度下限(すなわち−15℃)において溶媒に溶解した成分(A2)の濃度は検出される。)。この場合には、T(A2)は、測定温度下限以下に存在するものと考えられるが、その値を測定することができないため、このような場合にはT(A2)を測定温度下限である−15℃と定義する。
ここで、中間の温度T(A3)までに溶出する成分の積算量をW(A2)wt%、T(A3)以上で溶出する部分の積算量をW(A1)wt%と定義すると、W(A2)は結晶性が低い或いは非晶性の成分(A2)の量とほぼ対応しており、T(A3)以上で溶出する成分の積算量W(A1)は結晶性が比較的高い成分(A1)の量とほぼ対応している。
(ロ)TREF測定方法
本発明において、TREF測定は、具体的には、次のように行う。
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/ml、BHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒である−15℃のo−ジクロロベンゼン(0.5mg/ml、BHT入り)を1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温して、溶出曲線を得る。
(ハ)各成分中のエチレン含量E(A1)とE(A2)の特定
・成分(A1)と(A2)の分離:
先のTREF測定により求めたT(A3)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(A3)における可溶成分の成分(A2)と、T(A3)における不溶成分の成分(A1)とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecukes 21 314−319(1988)に開示されたような測定方法をいい、本発明では、具体的には以下の方法を用いた。
・分別条件:
直径50mmで高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/ml)200mlを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(A3)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(A3)に保持したまま、T(A3)のo−ジクロロベンゼンを20ml/分の流速で800ml流すことにより、カラム内に存在するT(A3)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次に、10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒のo−ジクロロベンゼンを20ml/分の流速で800ml流すことにより、T(A3)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mlまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーを濾過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
13C−NMRによるエチレン含量の測定
上記分別により得られた成分(A1)と(A2)それぞれについてのエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種:日本電子(株)製 GSX−400又は同等の装置
(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules、17、1950(1984)などを参考に行えばよい。
上記条件により測定されたスペクトルの帰属は表1の通りである。表中Sααなどの記号はCarmanら(Macromolecules、10、536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 0005577105
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、及びEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules,15,1150(1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度とスペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) (1)
[PPE]=k×I(Tβδ) (2)
[EPE]=k×I(Tδδ) (3)
[PEP]=k×I(Sββ) (4)
[PEE]=k×I(Sβδ) (5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} (6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。従って、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1...(7)
である。
また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明のプロピレンランダム共重合体には少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が含まれ、それにより、表2に示す微小なピークを生じる。
Figure 0005577105
正確なエチレン含有量を求めるにはこれら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本発明のエチレン含有量は実質的に異種結合を含まないチーグラー・ナッタ系触媒で製造された共重合体の解析と同じく(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=
(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
ここでXはモル%表示でのエチレン含有量である。
また、ブロック共重合体全体のエチレン含量E(W)は、上記より測定された成分(A1)と(A2)それぞれのエチレン含量E(A1)とE(A2)及びTREFより算出される各成分の重量比率W(A1)とW(A2)wt%から以下の式により算出される。
E(W)={E(A1)×W(A1)+E(A2)×W(A2)}/100 (wt%)
[4.プロピレン−エチレンブロック重合体(A)の製造方法]
(1)メタロセン系触媒
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を製造する方法は、メタロセン系触媒の使用を必須とするものである。
プロピレン−エチレンブロック共重合体において、分子量及び結晶性分布が広いとベタツキやブリードアウトが悪化することは当業者に広く知られるところであるが、本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体においても、ベタツキ及びブリードアウトを抑制するため、かつ、シート成形において充分な透明性を発揮するために、分子量及び結晶性分布を狭くできるメタロセン系触媒を用いて重合されることが必要であり、チーグラー・ナッタ系触媒では本発明の優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体が得られないのは、後記する実施例と比較例との対比からも明らかである。
メタロセン系触媒の種類は、本発明の性能を有する共重合体を生成できる限りは、特に限定はされるものではないが、本発明の要件を満たすために、例えば、下記に示すような成分(a)と(b)及び必要に応じて使用する成分(c)からなるメタロセン系触媒を用いることが好ましい。
成分(a):一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物
成分(b):下記(b−1)〜(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分
(b−1)有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体
(b−2)成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体
(b−3)固体酸微粒子
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
成分(c):有機アルミニウム化合物。
・成分(a)
成分(a)としては、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物を使用することができる。
Q(C−aR)(C−bR)MeXY ...(1)
(ここで、Qは、2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を示し、Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる金属原子を示し、X及びYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。R、Rは、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基を示す。a 及びb は置換基の数である。)
詳しくは、Qは、2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を表し、例えば、2価の炭化水素基、シリレン基ないしはオリゴシリレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基或いはオリゴシリレン基、又は炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基などが例示される。この中でも好ましいものは2価の炭化水素基と炭化水素基を置換基として有するシリレン基である。
X及びYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、このうちで好ましいものとしては、水素、塩素、メチル、イソブチル、フェニル、ジメチルアミド、ジエチルアミド基などを例示することができる。X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。
とRは、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基を表す。炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基などが例示される。また、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基などを典型的な例として例示できる。これらの中で、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが特に好ましい。ところで、隣接したRとRは、結合して環を形成してもよく、この環上に炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基からなる置換基を有していてもよい。
Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの中から選ばれる金属原子であり、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
以上において記載した成分(a)の中で、本発明のプロピレン−エチレンブロック重合体(A9の製造に好ましいものは、炭化水素置換基を有するシリレン基、ゲルミレン基或いはアルキレン基で架橋された置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換フルオレニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物であり、特に好ましくは、炭化水素置換基を有するシリレン基、或いはゲルミレン基で架橋された2,4−位置換インデニル基、2,4−位置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物である。
非限定的な具体例としては、
ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(2−メチルベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス{2−イソプロピル−4−(3,5−ジイソプロピルフェニル)インデニル}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(2−プロピル−4−フェナントリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロビフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリドなどがあげられる。
これらの具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も好適な化合物として例示される。
なお、触媒成分は本発明の重要要素ではないので、煩雑な列記を避け、代表的な例示に限定しているが、これにより本発明の有効範囲が制限されることが無いのは自明のことである。
・成分(b)
成分(b)としては、上述した成分(b−1)〜成分(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分を使用する。これらの各成分は公知のものであり、公知技術の中から適宜選択して使用することができる。その具体的な例示や製造方法については、特開2002−284808公報、特開2002−53609号公報、特開2002−69116号公報、特開2003−105015号公報などに詳細な例示がある。
ここで、成分(b−1)、成分(b−2)に用いられる微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。
また、成分(b)の非限定的な具体例としては、成分(b−1)として、メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン、ブチルボロン酸アルミニウムテトライソブチルなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−2)として、トリフェニルボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−3)として、アルミナ、シリカアルミナ、塩化マグネシウムなどを、成分(b−4)として、モンモリロナイト、ザコウナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライトなどのスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などが挙げられる。これらは、混合層を形成しているものでもよい。
上記成分(b)の中で特に好ましいものは、成分(b−4)のイオン交換性層状珪酸塩であり、さらに好ましい物は、酸処理、アルカリ処理、塩処理、有機物処理などの化学処理が施されたイオン交換性層状珪酸塩である。
・成分(c)
必要に応じて成分(c)として用いられる有機アルミニウム化合物の例は、
一般式 AlR3−a
(式中、Rは、炭素数1から20の炭化水素基、Xは、水素、ハロゲン、アルコキシ基、aは0<a≦3の数)
で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム又はジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他に、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類なども使用できる。
これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
・触媒の形成
触媒の形成は、成分(a)と成分(b)及び必要に応じて成分(c)を接触させて触媒とする。その接触方法は特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。
(i)成分(a)と成分(b)を接触させる
(ii)成分(a)と成分(b)を接触させた後に成分(c)を添加する
(iii)成分(a)と成分(c)を接触させた後に成分(b)を添加する
(iv)成分(b)と成分(c)を接触させた後に成分(a)を添加する
(v)三成分を同時に接触させる
・成分量
本発明で使用する成分(a)と(b)及び(c)の使用量は任意である。例えば、成分(b)に対する成分(a)の使用量は、成分(b)1gに対して、好ましくは0.1μmol〜1,000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。成分(b)に対する成分(c)の使用量は、成分(b)1gに対し、好ましくは遷移金属の量が0.001〜100μmol、特に好ましくは0.005〜50μmolの範囲である。したがって、成分(a)に対する成分(c)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは10−5〜50、特に好ましくは10−4〜5の範囲内である。
・予備重合
本発明の触媒は、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すことが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にプロピレンを使用することが好ましい。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的に或いは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。予備重合の温度と時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(b)に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
(2)製造方法
・逐次重合
本発明のプロピレン−エチレンブロック重合体(A)を製造するに際しては、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を逐次重合することが前述した理由により必要である。
逐次重合を行う際には、バッチ法と連続法のいずれを用いることも可能であるが、一般的には生産性の観点から連続法を用いることが望ましい。
バッチ法の場合には時間と共に重合条件を変化させることにより単一の反応器を用いて成分(A1)と成分(A2)を個別に重合することが可能である。本発明の効果を阻害しない限り、複数の反応器を並列に接続して用いてもよい。
連続法の場合には成分(A1)と成分(A2)を個別に重合する必要から2個以上の反応器を直列に接続した製造設備を用いる必要があるが、本発明の効果を阻害しない限り成分(A1)、成分(A2)のそれぞれについて複数の反応器を直列及び/又は並列に接続して用いてもよい。
・重合プロセス
重合プロセス(重合方法)は、スラリー法、バルク法、気相法など任意の重合方法を用いることができる。バルク法と気相法の中間的な条件として超臨界条件を用いることも可能であるが、実質的には気相法と同等であるため、特に区別することなく気相法に含める。
低結晶性或いは非晶性であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は炭化水素などの有機溶媒や液化プロピレンに溶け易いため、成分(A2)の製造に際しては気相法を用いることが望ましい。
結晶性であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)の製造に対してはどのプロセスを用いても特に問題はないが、比較的結晶性の低い成分(A1)を製造する場合には、付着などの問題を避けるために気相法を用いることが望ましい。
したがって、連続法を用いて、まず結晶性のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)をバルク法もしくは気相法にて重合し、引き続き低結晶性或いは非晶性のプロピレン−エチレンランダム共重合体エラストマー成分(A2)を気相法にて重合することが最も望ましい。
・その他の重合条件
重合温度は、通常用いられている温度範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜100℃の範囲を用いることができる。
重合圧力は、選択するプロセスによって差異が生じるが、通常用いられている圧力範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0より大きく200MPaまで、より好ましくは0.1MPa〜50MPaの範囲を用いることができる。この際、窒素などの不活性ガスを共存させることもできる。
第一工程で成分(A1)、第二工程で成分(A2)の逐次重合を行う場合、第二工程にて系中に重合抑制剤を添加することが望ましい。プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造する場合には、第二工程のエチレン−プロピレンランダム共重合を行う反応器に重合抑制剤を添加すると、得られるパウダーの粒子性状(流動性など)やゲルなどの製品品質を改良することができる。この手法については各種技術検討がなされており、一例として特公昭63−54296号、特開平7−25960号、特開2003−2939号などの各公報を例示することができる。本発明にも当該手法を適用することが望ましい。
(3)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の各成分の制御方法
本発明のポリプロピレン系フィルムに用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体の各成分は、以下のように制御され、本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体に必要とされる構成要件を満たすよう製造することができる。
・成分(A1)について
結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)については、そのエチレン含量E(A1)とその溶出ピーク温度T(A1)を制御する必要がある。
本発明では、E(A1)を所定の範囲に制御するためには、第1工程における重合槽に供給するプロピレンとエチレンの量比を、適宜調整すればよい。供給比率と得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含量の関係は、用いるメタロセン触媒の種類によって異なるが、供給比率の調整により必要とするエチレン含量E(A1)を有する成分(A1)を製造することができる。例えば、E(A1)を0〜7wt%に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0〜0.3の範囲、好ましくは0〜0.2の範囲とすればよい。
このとき、成分(A1)は結晶性分布が狭く、T(A1)はE(A1)の増加に伴い低下する。
そこで、T(A1)が本発明の範囲を満たすようにするためには、E(A1)とこれらの関係を把握し、目標とする範囲を取るよう調整する。
・成分(A2)について
低結晶性或いは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)については、そのエチレン含量E(A2)とその溶出ピークT(A2)を制御する必要がある。
本発明では、E(A2)を所定の範囲に制御するためには、E(A1)と同様に、第二工程におけるプロピレンに対するエチレンの供給量比を制御すれば良い。
例えば、E(A2)を5〜20wt%に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0.01〜5の範囲、好ましくは0.05〜2の範囲とすればよい。このとき、成分(A2)もエチレン含量の増加に伴い若干結晶性分布の増加が見られるものの、成分(A1)と同様に、T(A2)はE(A2)の増加に伴い低下する。
そこでT(A2)が本発明の範囲を満たすようにするためには、E(A2)とT(A2)との関係を把握し、E(A2)を所定の範囲になるように制御すればよい。
・W(A1)とW(A2)について
成分(A1)の量W(A1)と成分(A2)の量W(A2)は、成分(A1)を製造する第一工程の製造量と成分(A2)の製造量の比を変化させることにより制御することができる。例えば、W(A1)を増やしてW(A2)を減らすためには、第一工程の製造量を維持したまま第二工程の製造量を減らせばよく、それは、第二工程の滞留時間を短くしたり、重合温度を下げたり、重合抑制剤の量を増やしたりすることにより容易に制御することができる。その逆も又同様である。
実際に条件を設定する際には、活性減衰を考慮する必要がある。すなわち、本発明にて実施するエチレン含有量E(A1)及びE(A2)の範囲においては、一般にエチレン含有量を高くするためにプロピレンに対するエチレン供給量比を高くすると重合活性が高くなり、同時に活性減衰が大きくなる傾向にある。したがって、第二工程の活性を維持するために第一工程の重合活性を抑制する必要があり、具体的には、 第一工程にて生産量W(A1)を下げ、必要に応じて、重合温度を下げる及び/又は重合時間(滞留時間)を短くする、或いは第二工程にてエチレン含有量E(A2)を上げ、生産量W(A2)を上げ、必要に応じて、重合温度を上げる及び/又は重合時間(滞留時間)を長くするような方法で条件を設定すればよい。
・ガラス転移温度Tgについて
本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)では、段落0025において記述したガラス転移温度Tgは、単一のピークを持つ必要がある。Tgが単一のピークを持つためには、成分(A1)中のエチレン含有量E(A1)と成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)の差の[E]gapすなわちE(A2)−E(A1)を20wt%以下、好ましくは18wt%、より好ましくは16wt%以下にし、実際の測定においてTgが単一のピークとなる範囲までE(gap)を小さくすればよい。
結晶性の共重合体成分(A1)のエチレン含有量E(A1)に応じて、低結晶性或いは非晶性の共重合体成分(A2)のエチレン含量E(A2)を適正範囲に入るよう、成分(A2)の重合時のプロピレンに対するエチレンの供給重量比を設定することで、所定の[E]gapを有する重合体を得ることが可能である。
また、本発明のような相分離構造を取らないブロック共重合体のTgは、成分(A1)中のエチレン含有量E(A1)と成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)、及び両成分の量比の影響を受ける。本発明においては、成分(A2)の量は5〜70wt%であるが、この範囲においてTgは成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)の影響をより強く受ける。すなわち、Tgは非晶部のガラス転移を反映するものであるが、本発明のブロック共重合体成分(A)において成分(A1)は結晶性を持ち比較的非晶部が少ないのに対し、成分(A2)は低結晶性或いは非晶性であり、そのほとんどが非晶部であるためである。
したがって、Tgの値は、ほぼE(A2)によって制御され、E(A2)の制御法は前述したとおりである。
・メルトフローレート(MFR)について
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)では、透明性を維持するために結晶性の共重合体成分(A1)と低結晶性或いは非晶性の共重合体エラストマー成分(A2)が相溶性していることを必須とするため、成分(A1)の粘度[η]A1、成分(A2)の粘度[η]A2、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)全体の粘度[η]Wの間には、見かけ上の粘度の混合則が概ね成立する。すなわち、
Log[η]W={W(A1)×Log[η]A1+W(A2)×Log[η]A2}/100
が概ね成立する。一般にMFRと[η]の間には一定の相関があるから、最初に柔軟性や耐熱性などの観点から、[η]A2、W(A1)、W(A2)を設定しておけば、上記の式に従って[η]A1を変化させることによって、MFRを自在に制御することができる。
・付加的成分(添加剤)
本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)には、柔軟性の向上、耐衝撃性の向上を目的にエチレン−α−オレフィン共重合体やスチレン−ブタジエン共重合体成分等の軟質ポリマーを配合しても良い。配合量の目安はおおよそ0〜30wt%であり、30wt%を超えると透明性が悪化し易くなる。
このようなエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンとプロピレン、ブテン、ヘキセン、酢酸ビニール等との共重合体であり、エチレン含有量が95〜60wt%であることが好ましい。エチレン含有量が95wt%を超えると柔軟性、耐衝撃性の向上効果が見られなくなり易く、60wt%を下回ると透明性が悪化しやすい。
また、スチレン−ブタジエン共重合体としては、水添スチレン系熱可塑性エラストマー等が柔軟性、耐衝撃性の向上効果が良好であり好ましい。
[5.フラットヤーンクロス]
(1)フラットヤーンクロス積層シートの製造方法
本発明に用いられるフラットヤーンクロスの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の各種方法が採用できるが、以下の方法を好ましく挙げることができる。
先ず、複合テープヤーンは、好ましくは、押出機2台がフィードブロック又はマルチマニホールドを用いて連結された多層フィルム成形ダイスを用いて、Tダイ法またはインフレーション法にて、中間層は高融点ポリプロピレン(H)からなり、両外層は低融点ポリプロピレン(L)からなる多層フィルムを成形し、一旦冷却固化した後、所定幅にスリットした後に延伸し、次いで熱処理して複合テープヤーンを形成する。
延伸の際の延伸倍率は、好ましくは3〜12倍、より好ましくは5〜10倍である。延伸倍率がこの範囲を下回ると基布の強度が不十分となりやすく、この範囲を上回ると加熱処理による熱収縮が大きくなりやすく、好ましくない。
複合テープヤーンの単糸繊度は、好ましくは100〜2,000デニール、より好ましくは300〜1,000デニールである。
また、複合テープヤーンとしては、テープヤーンにスプリット加工を施したスプリットヤーンである場合も包含する。スプリットヤーンを形成する方法は、上記テープヤーンと同様にテープを成形後、やすり、針、刃等を植え込んだロールを高速度で回転させ、上記テープを傷つけるか又は切り目を入れ、延伸と同時に微細に割る公知の方法により形成することができる。
複合テープヤーンは、高融点ポリプロピレン(H)層と低融点ポリプロピレン(L)層とからなる3層の積層体であり、(H)層/(L)層の構成比(重量%比)としては、好ましくは95/5〜60/40、より好ましくは90/10〜70/30である。
(H)層の構成比が上記を下回ると積層体の充分な強度が得られにくく、(L)層の構成比が上記を下回ると、交点における溶着効果が不充分となりやすく、好ましくない。
(2)フラットヤーンクロス積層シートの製造方法
本発明においては、複合テープヤーンを経糸および/または緯糸として用いて、織編成してフラットヤーンクロスを形成する。本発明における複合テープヤーンのクロスとしては、複合テープヤーンを経緯糸に用いて織成した織布、および複合テープヤーンをほぼ平行に経緯に並べて配置し重ね合わせて交点を複合テープヤーンの外側に設けられた低融点ポリプロピレン(L)により溶着して形成した積層不織布を包含するものである。
織布の織組織としては、特に限定されるものではないが、高強力で熱収縮の異方性を防止するために平織、綾織、模紗織、もじり織、からみ織などが好ましい。上記織布および積層不織布の打ち込み密度は5〜24本/インチが好ましく、密な組織であっても良いし粗目を有する組織であっても良い。
織布および積層不織布の経緯の交点が複合テープヤーンの外側に設けられた低融点ポリプロピレン(L)により溶着されるが、低融点ポリプロピレン(L)の融点は中間層を形成する高融点ポリプロピレン(H)より低融点であるために、溶着時に中間層が熱劣化を生じることもなく熱溶着が可能である。したがって、熱収縮率も低く、しわやカールの発生の少ない強化積層体が得られる。低融点ポリプロピレン(L)の融点は、中間層を形成する高融点ポリプロピレン(H)より、少なくとも10℃以上低いことが好ましい。
本発明において、上記クロスに積層するプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)フィルムは、予め形成しておいたフィルムを積層するドライラミネーション法などもあるが、成形性が容易で接着性の良好な押出しラミネーションが好ましく用いられる。押出しラミネーション法により設けられる層の厚みは用途により異なるが、片面に20〜200μmの範囲で多用される。
本発明に使用する、高融点ポリプロピレン、低融点ポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリオレフィン樹脂用配合剤として使用される公知の核剤、酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤といった各種添加剤が配合されていてもよい。これら添加剤の配合量は、一般に0.0001〜3重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。
以下において、本発明をより具体的にかつ明確に説明するために、本発明を実施例及び比較例との対照において説明し、本発明の構成の要件の合理性と有意性を実証する。
なお、実施例及び比較例で用いた評価方法及び使用樹脂は、以下の通りである。
[諸物性の測定方法]
1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210 A法 条件Mに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃
公称加重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.00mm
2)TREF
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)を1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
〔装置〕
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm 表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:チノー社製デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル
光路長1.5mm、窓形状2φ×4mm長丸、合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製SSC−3461ポンプ
〔測定条件〕
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)
試料濃度:5mg/ml
試料注入量:0.1ml
溶媒流速:1ml/分
3)固体粘弾性測定
試料は、下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。
測定温度は−60℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
〔試験片の作成〕
規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
成形機:東洋機械金属社製TU−15射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から 80,80,160,200,200,200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
射出圧力:800kgf/cm
保持圧力:800kgf/cm
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅30mm 長さ90mm)
4)融解ピーク温度
セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度をTmとした(単位:℃)。昇温時の吸熱曲線の面積からdHmを求めた。
5)エチレン含有量の算出
先において詳述した方法による。
〔製造例(PP−1)/プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の製造〕
[重合製造例1]
予備重合触媒の調製
(珪酸塩の化学処理)
10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=25μm 粒度分布=10〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。
(珪酸塩の乾燥)
先に化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。仕様、乾燥条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状 内径50mm 加温帯550mm(電気炉)
かき上げ翼付き回転数:2rpm
傾斜角:20/520
珪酸塩の供給速度:2.5g/分
ガス流速:窒素 96リットル/時間
向流乾燥温度:200℃(粉体温度)
(触媒の調製)
撹拌及び温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で充分置換した。ここに、乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1,160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で攪拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2,000mlに調製した。
次に、先に調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71ML)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。平行して、(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム2,180mg(0.3mM)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)33.1mlを加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して5,000mlに調製した。
(予備重合/洗浄)
続いて、槽内温度を40℃昇温し、温度が安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄みを2,400mlデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71ML)のヘプタン溶液9.5ml、さらに混合ヘプタンを5600ml添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5600ml除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23mモル/リットル、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71ML)のヘプタン溶液を170ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。触媒1g当たりポリプロピレンを2.0g含む予備重合触媒が得られた。
(第一工程)
第一工程では、内容積0.4mの攪拌装置付き液相重合槽を用いてプロピレン−エチレンランダム共重合を実施した。液化プロピレンと液化エチレン、トリイソブチルアルミニウムをそれぞれ90kg/時、4.2kg/時、21.2g/時で連続的に供給した。水素供給量は第一工程のMFRが目標の値となるように調節した。さらに、上記の予備重合触媒を、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)、6.9g/時となるように供給した。また、重合温度が45℃となるように重合槽を冷却した。
第一工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合を分析したところ、BD(嵩密度)は0.46g/cc、MFRは2.0g/10分、エチレン含有量は3.7wt%であった。
(第二工程)
第二工程では、内容積0.5mの攪拌式気相重合槽を用いてプロピレン−エチレンランダム共重合を実施した。第一工程の液相重合槽より重合体粒子を含んだスラリーを連続的に抜き出し、液化プロピレンをフラッシングした後、窒素で昇圧して気相重合槽へ連続的に供給した。
重合槽は温度が80℃、プロピレンとエチレンと水素の分圧の合計が1.5MPaとなるように制御した。その際にプロピレンとエチレンと水素の分圧の合計に占めるプロピレンとエチレン及び水素の濃度は、それぞれ66.97vol%、32.99vol%、420volppmとなるように制御した。
さらに、活性抑制剤としてエタノールを気相重合槽に供給した。エタノールの供給量は、気相重合槽に供給される重合体粒子に随伴して供給されるTIBA中のアルミニウムに対して、0.3mol/molとなるようにした。
こうして得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体(PP−1)を分析したところ、活性は8.7kg/g−触媒、BDは0.41g/cc、MFRは2.0g/10分、エチレン含有量は8.7wt%であった。
(造粒)
重合製造例1で得られたブロック共重合体パウダーにブレンダーにより、酸化防止剤、中和剤、滑剤を添加し、充分に撹拌混合した。
酸化防止剤:
テトラキス[メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガノックス1010)0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガホス168) 0.10重量部
中和剤:
ステアリン酸カルシウム(日本油脂社製カルシウムステアレートG) 0.05重量部
滑剤:オレイン酸アミド(日本精化社製ニュートロン) 0.05重量部
添加剤を加えた共重合体パウダーをヘンシェルミキサーにより750rpmで1分間室温にて高速混合した後、スクリュ口径30mmの池貝製作所社製PCM二軸押出機にて、スクリュ回転数200rpm、吐出量10kg/hr、押出機温度190℃で溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を、冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mmで長さ約3mmに切断することによりプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の原料ペレット(PP−1)を得た。
(分析)
得られたPP−1ペレットを用いて、TREF、エチレン含量、DSC、GPC、固体粘弾性の測定を行った。
測定により得られた各データを表1に示す。
得られた測定結果からPP−1はプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)として全ての要件を満たすといえる。
TREF測定結果として、図1にそのTREF溶出曲線のグラフを示した。
また、固体粘弾性測定結果について、図2に温度に対する貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’と損失正接tanδの変化を示すグラフを示した。
〔製造例PP−2〕
[重合製造例2]
重合製造例1と同様にして重合条件を変化させプロピレン−エチレンブロック共重合体を製造した。重合条件及び重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーを用いて、製造例PP−1と同様の添加剤配合、造粒条件により、PP−2を得た。各種分析結果を表4に示す。
〔製造例PP−3〕
[重合製造例3]
重合製造例1において、第二工程を行わずに第一工程のみを行った点以外は重合製造例1と同様にして重合を実施し、プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造を行った。重合条件及び重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーを用いて、製造例PP−1と同様の添加剤配合、造粒条件により、PP−3を得た。各種分析結果を表4に示す。
〔製造例PP−4〕
[重合製造例4]
(固体触媒成分の調製)
充分に窒素置換したフラスコに、脱水および脱酸素したn−ヘプタン2,000ミリリットルを導入し、次いでMgClを2.6モル、Ti(O−n−Cを5.2モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を320ミリリットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタンを4,000ミリリットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で1.46モル導入した。次いでn−ヘプタン25ミリリットルにSiCl2.62モルを混合して30℃において30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでn−ヘプタン25ミリリットルにフタル酸クロライド0.15モルを混合して、70℃において30分間でフラスコへ導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでTiCl11.4molを導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して固体成分(A1)を得た。この固体成分のチタン含有量は2.0wt%であった。
次いで、撹拌及び温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で充分置換し、ここへ、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5,000ミリリットル導入して上記で合成した固体成分(A1)を100グラム導入し、SiCl0.875molを導入して90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに(CH=CH)Si(CH0.15mol、(t−C)(CH)Si(OCH0.075mol及びAl(C0.4molを順次導入して30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分を得た。このもののチタン含有量は、1.8wt%であった。
(予備重合)
撹拌および温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で十分置換した。ここへ、上記で調製した固体触媒成分のn−ヘプタンスラリーを固体触媒成分として100g導入し、更にn−ヘプタンを導入して液レベルを5000ミリリットルに調整した。次に、槽内温度を15℃に調節し、トリエチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液(10wt%)をAl(Cとして0.1mol添加した。その後、プロピレンを50g/時間の速度で2時間供給して予備重合を行った。予備重合終了後、残モノマーをパージし、固体触媒をn−ヘプタンで充分に洗浄した。洗浄終了後、減圧乾燥を行い、予備重合触媒を得た。この予備重合触媒中には、触媒1g当たり2.0gのポリプロピレンが含まれていた。
(重合)
こうして得られた予備重合触媒を用い、かつ、トリイソブチルアルミニウムの代わりにトリエチルアルミニウムを10g/時で連続的に供給し、更に、表3に示す重合条件を用いた以外は重合製造例1と同様にしてプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造を行った。重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーを用いて、製造例PP−1と同様の添加剤配合、造粒条件により、PP−4を得た。各種分析結果を表4に示す。
Figure 0005577105
Figure 0005577105
(実施例1)
高融点ポリプロピレンとして日本ポリプロ社製商品名ノバテックPP「FY6H」(チーグラー・ナッタ系触媒で製造したプロピレン単独重合体、MFR=1.9g/10min、融解ピーク温度=161℃)を中間層とし、その両面に低融点ポリプロピレンとして日本ポリプロ社製商品名WINTEC「WFW4」(メタロセン系触媒で製造したプロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR=7g/10min、融解ピーク温度=135℃)を用いて両外層とした3層フィルム(層比率1/8/1)を幅2.5mm、8mmにスリットした後に延伸温度150℃で6倍延伸し、140℃で熱処理を行って単糸繊度400d(デニール、以下同じ)と800dの2種類の複合テープヤーンを得た。
このテープヤーンについてJIS−Z1533に準拠して、引張強度及び120℃の熱収縮率を測定した。結果を表5に示す。
上記400dのテープヤーンを経糸として15本/インチの打込密度で、800dの複合テープヤーンを緯糸として15本/インチの打込密度で平織した後目止め加工を施して目付け量80g/m2の織布を製造した。
このようにして得られた織布の両面に、プロピレン−エチレンブロック共重合体PP−1を用いて、押出ラミネーション法で厚さ50μのラミネート層を形成しヤーンクロス積層シートを得た。
このヤーンクロス積層シートについて評価を行った結果を表5に示す。
〔ヤーンクロス積層シート評価方法〕
1)柔軟性
ヤーンクロス積層シートを縦20cm、横20cmの正方形に切断し、縦方向10cm部分が机の端から出て垂れ下がる様に固定した時に、机から5cm以上垂れ下がるものを柔軟性良好、5cm未満を柔軟性不良とした。
2)透明性
ヤーンクロス積層シートを縦3cm、横3cmの正方形に切断し、JISーK7136に準拠してHAZE(ヘーズ)を測定した。
3)ヤーンクロスとラミネート層との接着性
ヤーンクロス積層シートを手で揉んでラミネート層が剥がれないかを評価した。
10回揉んでも剥がれないものを接着良好、10回未満で剥がれたものを接着不良とした。
[比較例1〜3]
実施例1のPP−1を表5に示す如く変えた以外は実施例1と同様に操作して、評価を行った。
結果を表5に示す。
[比較例4]
実施例1のテープヤーン表面層を無くした以外は実施例1と同様に操作して、評価を行った。
結果を表5に示す。
Figure 0005577105
本発明のフラットヤーンクロス積層シートは、特定の高融点ポリプロピレンを中間層とし、特定の低融点ポリプロピレンを表面層とする積層テープヤーンを使用してフラットヤーンクロスを織成し、このフラットヤーンクロスの両面に、特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体を積層することにより、低熱収縮で強度に優れ、接着性も良好で、柔軟且つ透明であるので、各種バッグ、カバー類、包装資材、農業用被覆材、土木シートなどの用途、さらに引張強度、引裂き強度、耐衝撃性、耐久性等が要求されるトラックの幌、テントシート、重量物を持ち運ぶショッピングバッグ類、電気機器類の包装袋等に、さらには、内部が見える様な透明性を要求する分野にも好適に広く使用することができ、産業上の利用性は非常に高いものがある。

Claims (3)

  1. 融解ピーク温度が155〜175℃の高融点ポリプロピレン(H)からなる中間層の両面に、融解ピーク温度が115〜153℃の低融点ポリプロピレン(L)からなる表面層を積層させた複合テープヤーンを用いて織成したフラットヤーンクロスの両面に、下記(i)〜(iii)の条件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を積層したことを特徴とするフラットヤーンクロス積層シート。
    (i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でエチレン含量0.3〜7wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜95wt%、第2工程で成分(A1)よりも3〜20wt%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜5wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体である
    (ii)メルトフローレート(荷重2.16kg、230℃)が0.1〜30g/10分の範囲にある
    (iii)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する
  2. 高融点ポリプロピレン(H)が、プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体であって、MFRが0.1〜20g/10minであることを特徴とする請求項1のフラットヤーンクロス積層シート。
  3. 低融点ポリプロピレン(L)が、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体であって、メルトフローレート(荷重2.16kg、230℃)が1〜50g/10minである請求項1または2に記載のフラットヤーンクロス積層シート。
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