JP4722335B2 - 建築用外装板の塗装設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメントを主材とする外装板の基板をその裏面を下方に向けて搬送する搬送ラインと、その搬送ラインに沿って搬送される基板の裏面に防水剤を塗布する塗布ロールとを備えている建築用外装板の塗装設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
セメントを主材とする建築用外装板としては、屋根材や壁材などがあり、たとえ裏面であっても、雨水などに接触する可能性があるため、外装板の基板裏面に塗布ロールにより防水剤を塗布することが実施されている。
そのための塗装設備は、図5の(イ)、(ロ)に示すように、多数の基板1をその裏面3を下方に向けて連続的に搬送する搬送ライン4を備え、その搬送ライン4の下方に液状の防水剤6を収納する液槽5を配置し、搬送ライン4と液槽5との間に回転駆動される鉄ロール13と、絞りロール14を備えた塗布ロール15を配設し、塗布ロール15の下方部分を防水剤6に浸しながら、その塗布ロール15により各基板1の裏面3に防水剤6を塗布するように構成したものが知られている。
【0003】
この従来の装置では、塗布ロール15が、鉄心の周りに硬質のスポンジを巻き付けたスポンジ製のロールで構成され、図5の(イ)に示すように、鉄ロール13よりも搬送方向の下手側に1本だけ配設されたものや、図5の(ロ)に示すように、2本配設されたものがあるが、いずれの装置においても、塗布ロール15が、硬質のスポンジを使用した比較的硬いロールで構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、セメントを主材とする外装板の基板1においては、乾燥の状態などによって基板1に反りが生じることがあり、その反りは、図6の(イ)、(ロ)に示すように、基板1の横幅d方向に沿って生じることが多い。また、たとえ反りが生じなくても、搬送ライン4に沿って搬送される際に、その基板1が上下に振動することもある。
したがって、従来のように、塗布ロール15が硬いと、基板1に反りが生じたり、搬送時に上下に振動する場合、塗布ロール15が基板1の裏面3の全面積にわたって確実に接触せず、防水剤6の塗布むらが生じるという欠点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の欠点に着目したもので、その目的は、たとえ外装板の基板に反りがあっても、また、搬送ラインに沿っての搬送時に上下に振動しても、塗布ロールを基板裏面の全面積にわたってより一層確実に接触させ得るようにし、基板裏面への防水剤の塗布を良好に行い得る建築用外装板の塗装設備を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
請求項1の発明の特徴構成は、図1〜図4に例示するごとく、セメントを主材とする外装板の基板1をその裏面3を下方に向けて搬送する搬送ライン4と、その搬送ライン4に沿って搬送される基板1の裏面3に防水剤6を塗布する塗布ロール7,7aとを備えている建築用外装板の塗装設備であって、前記基板1の裏面3に塗布された防水剤6を均して仕上げるスポンジロールで構成された仕上げロール8が、前記搬送ライン4に設けられ、その仕上げロール8よりも前記搬送ライン4の搬送方向上手側において、前記仕上げロール8よりも柔らかい軟質の塗布ロール7,7aが設けられ、前記塗布ロールと前記仕上げ
ロールとは、その下部の一部が防水剤に浸されており、前記仕上げロール8が、その仕上げロール8の外周に接触して仕上げロール8に付着した防水剤6を絞り取る絞りロール9を備えていて、前記絞りロール9は、その横幅が前記スポンジロールの横幅よりも長く設定されているところにある。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成は、図2に例示するごとく、前記塗布ロール7と仕上げロール8が、前記搬送方向視において前記基板1の横幅dよりも長い横幅Dを有しているところにある。
【0009】
なお、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【0010】
〔作用及び効果〕
請求項1の発明の特徴構成によれば、セメントを主材とする外装板の基板の裏面に塗布された防水剤を均して仕上げる仕上げロールが、基板の搬送ラインに設けられ、その仕上げロールよりも搬送ラインの搬送方向上手側に塗布ロールが設けられているので、たとえ塗布ロールによって基板の裏面に必要量以上の防水剤を塗布しても、搬送方向下手側に位置する仕上げロールが、塗布された防水剤を均しながら防水剤の一部を除去して、基板の裏面を美麗に仕上げることになる。
そして、その塗布ロールとして、仕上げロールよりも柔らかい軟質の塗布ロールが設けられているので、たとえ基板に反りがあっても、また、搬送時に多少上下に振動しても、その柔らかい軟質の塗布ロールが、基板裏面の全面積にわたって確実に接触して、必要量以上の防水剤を塗布することになり、上述した仕上げロールの作用によって、基板裏面の全面積にわたって適量の防水剤を塗布することが可能になる。
【0011】
また、仕上げロールが、その仕上げロールの外周に接触して仕上げロールに付着した防水剤を絞り取る絞りロールを備えているので、基板裏面から除去した際に仕上げロール外周に付着した防水剤は、その絞りロールにより確実に絞り取られることになり、その後における基板裏面の仕上げを所望通りに行うことができる。
【0012】
請求項2の発明の特徴構成によれば、塗布ロールと仕上げロールが、搬送ラインの搬送方向視において基板の横幅よりも長い横幅を有しているので、基板を安定良く搬送しながら、基板裏面への防水剤の塗布と、その防水剤の均しによる仕上げとを確実に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明による建築用外装板の塗装設備につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
建築用外装板としては、屋根材や壁材などがあり、例えば、屋根材の場合であれば、図2に示すように、セメントを主材とする屋根材の基板1が、平面視において五角形に形成されている。
この五角形の基板1は、図外の表面用塗装設備により、上方に面する表面2に下塗りと上塗り塗装が施され、下方に面する裏面3にも、図1および図2に示す裏面用塗装設備により防水剤が塗布される。
【0014】
この裏面用塗装設備は、多数の基板1をその裏面3を下方に向けて連続的に搬送する搬送ライン4を備え、その搬送ライン4の下方には、図1に詳しく示すように、上方が開口した防水剤用の液槽5が配置され、液状のアクリル系あるいはシラン系などの防水剤6が収納されて、防水剤6の粘度や水位などが、図外の制御装置によってほぼ一定に維持されている。
前記搬送ライン4と液槽5の間には、その搬送ライン4に沿って、塗布ロールとしてのモールロール7と、仕上げロールとしてのスポンジロール8とが2本ずつ配設され、2本のスポンジロール8には、それぞれ絞りロール9が設けられている。
【0015】
前記モールロール7は、それぞれ鉄心10と鉄心10の周りに巻き付けられた繊維材11とで構成され、基板1の裏面3に防水剤6を十分に塗布するため、比較的柔らかく、かつ、防水剤6を十分に吸収するように構成されて、その下部の一部が防水剤6に浸されている。
スポンジロール8は、鉄心10と硬質のスポンジ12とで構成され、2本のモールロール7によって基板1の裏面3に十分に塗布された防水剤6を均して仕上げるため、モールロール7に比較してかなり硬く、かつ、このスポンジロール8も下部の一部が防水剤6に浸されている。
絞りロール9は、金属製のロールで、各スポンジロール8の搬送方向前方側に配設されて、各絞りロール9が、スポンジロール8の外周に接触してスポンジロール8に付着した防水剤6を絞り取るように構成されている。
【0016】
そして、基板1を搬送する搬送ライン4において、2本のモールロール7が、その搬送方向の上手側に配設され、絞りロール9を備えた2本のスポンジロール8が、2本のモールロール7よりも搬送方向下手側に配設されて、各モールロール7とスポンジロール8とが、図外の駆動装置により図中の矢印方向にそれぞれ回転駆動されるように構成され、絞りロール9については、スポンジロール8との接触によって回転するように遊転式に構成されている。
これらモールロール7とスポンジロール8とは、搬送ライン4の搬送方向視において、基板1の横幅dよりも長い横幅Dを有し、基板1が、各ロール7,8の横幅D内において搬送されるように構成され、絞りロール9については、その横幅がスポンジロール8の横幅Dよりも多少長くなるように構成されている。
【0017】
この塗装設備によれば、多数の基板1が、搬送ライン4に沿って連続的に搬送され、その搬送方向上手側において、2本のモールロール7により各基板1の裏面3に防水剤6が塗布される。
各モールロール7は、柔らかくて防水剤6を十分に吸収するように構成されているので、図3の(イ)と(ロ)に示すように、たとえ基板1が反っていても、その基板1の裏面3の全面に接触して防水剤6を十分に、換言すると、基板1の裏面3の全面にわたって必要量以上の防水剤6を塗布することになる。
そして、図3の(ハ)と(ニ)に示すように、搬送方向下手側において、2本のスポンジロール8が各基板1の裏面3に作用して、必要量以上に塗布された防水剤6の一部を取り除くとともに、全体を均して裏面3を仕上げることになり、スポンジロール8の外周に付着した防水剤6は、各スポンジロール8の外周に接触する絞りロール9によって絞り取られることになる。
【0018】
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、2本のモールロール7と2本のスポンジロール8を使用した例を示したが、モールロール7とスポンジロール8の使用本数については適宜変更が可能であり、1本以上のモールロール7と1本以上のスポンジロール8を使用して実施することもできる。
また、モールロール7とスポンジロール8の横幅Dを基板1の横幅dよりも長くした例を示したが、これらモールロール7やスポンジロール8を基板1の横幅dよりも短い単位ロールで構成することもできる。
【0019】
例えば、モールロール7を例にとって説明すると、図4に示すように、搬送ライン4の平面視において、基板1の横幅dよりも短い横幅d1を有する3本の単位モールロール7aを搬送ライン4の搬送方向に直交する方向に、かつ、搬送ライン4の搬送中心線を中心として左右対称になるように配設して実施することもでき、単位モールロール7aの本数については、特に3本に限らず、2本あるいは4本以上の単位モールロール7aで構成することができる。
ただし、その場合には、各単位モールロール7aの端部どうしが、搬送ライン4の搬送方向視において互いに重複するように、かつ、単位モールロール7aの全横幅が、先の実施形態におけるモールロール7の横幅Dと同じ長さ、つまり、基板1の横幅dよりも長くなるように構成する必要がある。
【0020】
(2)先の実施形態では、塗布ロールの一例として、鉄心10の周りに繊維材11を巻き付けたモールロール7を示したが、例えば、鉄心10に軟質のスポンジを巻き付けたスポンジロールにより塗布ロールを構成することもでき、塗布ロールや仕上げロールの具体的な構成については、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】建築用外装板の塗装設備の縦断側面図
【図2】建築用外装板の塗装設備の平面図
【図3】建築用外装板の塗装設備の作用を示す要部の正面図
【図4】別の実施形態による建築用外装板の塗装設備の平面図
【図5】従来の建築用外装板の塗装設備を示す平面図
【図6】従来の建築用外装板の塗装設備の作用を示す正面図
【符号の説明】
1 基板
3 基板の裏面
4 搬送ライン
6 防水剤
7,7a 塗布ロール
8 仕上げロール
9 絞りロール
D 塗布ロールと仕上げロールの横幅
d 基板の横幅
Claims (2)
- セメントを主材とする外装板の基板をその裏面を下方に向けて搬送する搬送ラインと、その搬送ラインに沿って搬送される基板の裏面に防水剤を塗布する塗布ロールとを備えている建築用外装板の塗装設備であって、
前記基板の裏面に塗布された防水剤を均して仕上げるスポンジロールで構成された仕上げロールが、前記搬送ラインに設けられ、その仕上げロールよりも前記搬送ラインの搬送方向上手側において、前記仕上げロールよりも柔らかい軟質の塗布ロールが設けられ、前記塗布ロールと前記仕上げロールとは、その下部の一部が防水剤に浸されており、前記仕上げロールが、その仕上げロールの外周に接触して仕上げロールに付着した防水剤を絞りとる絞りロールを備えていて、前記絞りロールは、その横幅が前記スポンジロールの横幅よりも長く設定されている建築用外装板の塗装設備。 - 前記塗布ロールと仕上げロールが、前記搬送方向視において前記基板の横幅よりも長い横幅を有している請求項1に記載の建築用外装板の塗装設備。
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