JP4715819B2 - 紙用柔軟剤 - Google Patents

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本発明は紙用柔軟剤、同紙用柔軟剤を用いた製紙方法、および同紙用柔軟剤を含む紙に関する。
コミック本やペーパーバックなどに用いられる印刷用紙、トイレットペーパーやティシュペーパーなどの衛生紙として、日常生活において種々の用途に紙は用いられている。近年は、印刷用紙であるか衛生紙であるかを問わず、柔軟でめくりやすく、触り心地のよい紙が求められている。そのため、これまで多くの紙用柔軟剤が開発されている。
柔軟な紙を得るための紙用柔軟剤としては、例えばジ長鎖アルキル型第4級アンモニウム塩及びグリセリンと水または炭素数4以下の脂肪族アルコールを含有する柔軟剤(例えば、特許文献1参照)、長鎖アルキルを有する第4級アンモニウム塩、脂肪酸及びペンタエリスリトールの脂肪酸エステルを含有する紙用柔軟剤(例えば、特許文献2参照)、アルキレンオキシドを有する非イオン性界面活性剤と長鎖アルキルを有するカチオン性界面活性剤を含有する紙用柔軟剤(例えば、特許文献3参照)が知られている。
また、例えば特許文献4には紙の強度を低下させないで紙に柔軟性を与える柔軟剤として、アミノアンモニウム塩を用いた紙用柔軟剤が紹介されている。
特開平4−100995号公報 特開平7−189171号公報 特開2004−44058号公報 特開2001−355197号公報
しかしながら、前述の特許文献1〜3に示されている長鎖アルキルを有するカチオン性物質を含有する紙用柔軟剤は、紙の柔軟性を向上させるが、一方で紙の強度を低下させる。また、特許文献4に示されているアンモニウム塩を含有する紙用柔軟剤においても、紙の強度の低下を十分に防止できたとはいえないのが実情である。
本発明は、斯かる実情に鑑み、紙の強度低下を抑制しつつ、紙に柔軟性と触り心地のよさを与える紙用柔軟剤を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記従来の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のエステル化率であるエステル化合物と特定のアミドアミン化合物とを組み合わせた紙用柔軟剤が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係る紙用柔軟剤は、炭素数12〜24の脂肪酸と3〜6価の多価アルコールとによるエステル化合物であって、そのエステル化率が10〜60%のエステル化合物(a)と、式(1)で示される化合物(b)とを有する。上記エステル化合物(a)と上記化合物(b)との重量比(a)/(b)は95/5〜55/45である。
Figure 0004715819
(式中Aは炭素数4〜12であるジカルボン酸の残基であり、R、R、RおよびRは炭素数1〜4のアルキル基であり、RおよびRは炭素数2〜4のアルキレン基である。)
エステル化合物(a)の合成に用いられる上記脂肪酸の炭素数が12以上であり、且つ上記多価アルコールの価数が3〜6であり、且つエステル化合物(a)のエステル化率が10〜60%であり、且つ上記エステル化合物(a)と上記化合物(b)との重量比(a)/(b)が55/45以上である。そのためこの紙用柔軟剤は十分な曲げのしなやかさと表面の滑らかさを紙に与えることができる。ここでエステル化率とは多価アルコールの水酸基がエステル化された割合を示す。
一方、化合物(b)を構成するAは炭素数が4以上のジカルボン酸の残基であり、且つRとRとRとRとは炭素数が1以上のアルキル基であり、且つRとRとは炭素数2〜4のアルキレン基であり、且つ上記エステル化合物(a)と上記化合物(b)との重量比(a)/(b)が95/5以下である。そのためこの紙用柔軟剤は紙の強度の低下を抑制することができる。
更にエステル化合物(a)の合成に用いられる上記脂肪酸の炭素数が24以下であり、且つ化合物(b)を構成するAは炭素数が12以下のジカルボン酸の残基であり、且つRとRとRとRとは炭素数が4以下のアルキル基である。
本発明に係る紙用柔軟剤は上記化合物(b)の全部または一部に換えて、前記化合物(b)が酸により中和された塩を有していても良い。
化合物(b)の全部または一部を中和し、塩にすることで紙用柔軟剤の分散液を調製することが容易となる。
本発明に係る紙用柔軟剤によれば、紙の強度低下を抑制しつつ、紙に曲げのしなやかさと表面の滑らかさを付与することができる。
本発明の紙用柔軟剤は、エステル化合物(a)と、式(1)で示される化合物(b)とを有する。そこで、以下、それぞれの化合物につきまず説明し、しかる後、本発明を具体化した紙用柔軟剤および紙用柔軟剤を含有する紙の実施例を説明する。
1.エステル化合物(a)
エステル化合物(a)は炭素数12〜24の脂肪酸と3〜6価の多価アルコールとによるエステル化合物であって、そのエステル化率が10〜60%のエステル化合物である。
炭素数12未満の脂肪酸を用いると紙表面の滑らかさが不十分となる。また、炭素数24を超えても紙に滑らかさを与えることができるが、炭素数の増加に見合った効果が得られず、入手も困難となる。よって炭素数が12〜24であることが好ましい。このような脂肪酸としては、飽和脂肪酸である、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等、分岐脂肪酸である、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等、不飽和脂肪酸である、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸等が挙げられる。またこれらのうち、表面の滑らかさ向上の観点より、炭素数14〜18の脂肪酸がより好ましい。
多価アルコールについては、2価以下の場合および7価以上の場合のいずれにおいても十分な曲げのしなやかさおよび表面の滑らかさが得られない。よって価数が3〜6であることが好ましい。このような多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、ソルビタン、マンニトール等が挙げられる。またこれらのうち、取り扱いの容易性の観点より、価数3〜4の多価アルコールがより好ましい。
エステル化合物(a)のエステル化率が10%未満の場合および60%を超える場合には、曲げのしなやかさおよび紙表面の滑らかさがいずれも十分に得られない。よってエステル化率が10%〜60%となるように調製することが好ましい。更に好ましくは20%〜50%に調製することである。
ここでエステル化率とは、多価アルコールの水酸基のうち、エステル化された水酸基の割合を示す。具体的には、エステル化合物のケン化価、酸価および水酸基価から、以下の式によりエステル化率を求める。
エステル化率[%]=(ケン化価−酸価)/(ケン化価−酸価+水酸基価)×100
エステル化合物(a)は、上記脂肪酸と上記多価アルコールとを混合し、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温し、生成水を反応系外へ除去しながら反応させることにより製造する。
2.化合物(b)
化合物(b)は式(1)で示される。
Figure 0004715819
(式中Aは炭素数4〜12であるジカルボン酸の残基であり、R、R、RおよびRは炭素数1〜4のアルキル基であり、RおよびRは炭素数2〜4のアルキレン基である。)
式(1)中のAは炭素数4〜12であるジカルボン酸の残基である。炭素数が4未満であると、紙の強度低下を十分に抑制できない。また、炭素数が12以上であっても、紙に滑らかさを与えることはできるが、炭素数の増加に見合った効果が得られない。よって、残基Aの炭素数は4〜12であることが好ましい。このようなジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スべリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。またこれらのうち、紙の強度低下の抑制の観点より、炭素数6〜10のジカルボン酸がより好ましい。
式(1)中のR、R、RおよびRはアルキル基である。この炭素数が4を超えても、紙に滑らかさを与えることはできるが、炭素数の増加に見合った効果が得られず、入手も困難となる。よって炭素数は1〜4であることが好ましい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基が挙げられる。またこれらのうち、メチル基とエチル基とがより好ましい。
式(1)中のRとRとはアルキレン基である。この炭素数が1の化合物は、滑らかさが不十分となる。また5以上であっても、紙に滑らかさを与えることはできるが、炭素数の増加に見合った効果が得られず、入手も困難となる。炭素数が2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
化合物(b)は上記ジカルボン酸(例えばアジピン酸)とジアルキルアミノアルキレンアミン(例えばジエチルアミノプロピルアミン)を混合し、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温し、生成水を反応系外へ除去しながら反応させることにより製造する。
製造した化合物(b)は上述したエステル化合物(a)と共にそのまま使用することができるが、水に分散させて使用しても良い。この際、酸で中和して塩とすることにより紙用柔軟剤の分散液を調製することが容易となる。使用する酸としては、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸、リン酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、サリチル酸、ヒドロキシ吉草酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリン、スルファミン酸などが好ましい。これらのうち、より好ましくは蟻酸、酢酸、グリコール酸、乳酸およびグルコン酸である。酸で中和する場合は、化合物(b)のアミン価を測り、アミン価に等量の酸を添加する。
3.紙用柔軟剤の製造
紙用柔軟剤は、エステル化合物(a)と化合物(b)とからなる。このときエステル化合物(a)と化合物(b)との重量比(a)/(b)が95/5を超えると柔軟剤を使用した紙の強度低下を抑制できず、55/45未満の場合は紙表面の滑らかさの向上が十分でない。したがって重量比(a)/(b)は95/5〜55/45が好ましく、更に好ましくは90/10〜65/35である。紙用柔軟剤は分散液中に分散して使用しても良い。なお、分散媒としては水が好ましい。
4.紙用柔軟剤を含有する紙の製造
紙用柔軟剤を含有する紙は抄紙工程のいずれかの段階で上記紙用柔軟剤を添加することにより製造される。
紙用柔軟剤はパルプ100質量部に対して0.03〜8重量部添加することが好ましく、0.10〜4重量部添加することが更に好ましい。0.03重量部未満の添加では紙の曲げのしなやかさおよび表面の滑らかさの向上が十分でなく、8重量部以上添加しても曲げのしなやかさおよび表面の滑らかさの向上効果が鈍くなる。
使用するパルプの種類は特に限定されない。例えば化学パルプ(針葉樹または広葉樹の晒しまたは未晒しのクラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカパルプ、ケミサーモメカパルプ等)、脱墨パルプ(新聞や雑誌の古紙等)等が使用でき、これらを単独で使用しても混合して使用しても良い。
紙用柔軟剤の添加は抄紙工程のいずれの段階で行なっても良い。例えば、ミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱等の工程で紙用柔軟剤を内部添加する方法をとることができる。パルプと水とを含む混合物(例えばパルプスラリー)中にこの紙用柔軟剤および必要に応じて他の添加剤を添加し、得られた混合物を用いて通常の方法により抄造を行なうことにより、製造工程の煩雑化を招かずに紙用柔軟剤を含有する紙を製造できる。この抄造方法は特に限定されず、長網抄紙機、ツインワイヤー機、ヤンキー機等あらゆる抄紙機が使用できる。
一方、抄紙工程により得られたパルプシートの表面にこの紙用柔軟剤を塗工することもできる。これら外部添加法としてはサイズプレス、ゲートロール、スプレー等の方法が挙げられる。
本発明を実施例および比較例により更に具体的に説明する。
なお、シート強度の評価は裂断長により行った。裂断長とは、紙の一端を固定懸垂した際、自重で切れるときの長さをあらわしたものである。紙の強度は、裂断長が大きいほど強くなる。
〔紙用柔軟剤の製造例等〕
まず、エステル化合物(a)、化合物(b)の合成例、紙用柔軟剤、および紙用柔軟剤を使用した紙の製造例を示す。
(エステル化合物(a)の合成例とその比較例)
エステル化合物(a)の例として化合物a−1〜a−4を、比較例として化合物a’−1〜a’−3を合成した。なお、これら化合物の詳細については表1に示している。
・a−1の合成
脂肪酸としてステアリン酸、多価アルコールとしてソルビタンを使用した。
攪拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500ml容量の4つ口フラスコにステアリン酸198.8g(0.7モル)およびソルビタン114.8g(0.7モル)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら180〜190℃まで昇温し、生成水を反応系外へ除去しながら5時間反応させ、酸価2.0、水酸基価358.7、ケン化価130.9のエステル化合物a−1を得た。
・a−2の合成
脂肪酸としてオレイン酸、多価アルコールとしてペンタエリスリトールを使用した。
攪拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500ml容量の4つ口フラスコにオレイン酸280.5g(1.0モル)およびペンタエリスリトール68.0g(0.5モル)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら230〜240℃まで昇温し、生成水を反応系外へ除去しながら5時間反応させ、酸価1.5、水酸基価170.2、ケン化価169.2のエステル化合物a−2を得た。
・a−3およびa−4の合成
表1に示す脂肪酸と多価アルコールを表1に示したモル比で仕込み、上記a−1およびa−2の合成と同様に反応させて化合物a−3およびa−4を得た。
・a’−1〜a’−5の合成
表1に示す脂肪酸と多価アルコールを表1に示したモル比で仕込み、上記a−1およびa−2の合成と同様に反応させて化合物a’−1〜a’−3を得た。
Figure 0004715819
(化合物(b)の合成例)
化合物(b)の例として化合物b−1〜b−4を合成した。なお、これら化合物の詳細については表2に示している。
・b−1の合成
ジカルボン酸としてアジピン酸、ジアルキルアミノアルキレンアミンとしてジエチルアミノプロピルアミンを使用した。
攪拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500ml容量の4つ口フラスコにアジピン酸131.5g(0.9モル)およびジエチルアミノプロピルアミン234.0g(2.0モル)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら120〜130℃まで昇温し、生成水を反応系外へ除去しながら15時間反応させ、アミン価298.8の化合物b−1を得た。得られた化合物b−1は式(1)中のAがアジビン酸残基、R、R、R、Rのアルキル基がエチル基、RおよびRのアルキレン基がプロピレン基である。
・b−2〜b−4の合成
表2に示す脂肪酸と多価アルコールを上記b−1の合成と同様に反応させて化合物b−2〜b−4を得た。
Figure 0004715819
(紙用柔軟剤の製造例)
紙用柔軟剤の実施例として紙用柔軟剤1〜6を製造し、比較例として紙用柔軟剤7〜13を製造した。なお、これら紙用柔軟剤および本発明の要件を満たさない紙用柔軟剤の詳細については表3に示す。
Figure 0004715819
・紙用柔軟剤1の製造
エステル化合物(a)として化合物a−1、化合物(b)としてb−1を使用した。
攪拌機を備えた200ml容量のビーカーにイオン交換水を158.3g、化合物a−1を1.36g、b−1を0.24g、酢酸を0.08g(b−1のアミン価に対して1.0当量に相当)仕込み、攪拌しながら70℃まで昇温し、30分攪拌し、紙用柔軟剤1の分散液を得た。
・紙用柔軟剤2〜6および紙用柔軟剤7〜13の製造
エステル化合物(a)と化合物(b)とを、表3に示した質量比で仕込み、上記紙用柔軟剤1の製造と同様にして紙用柔軟剤2〜6の分散液および紙用柔軟剤7〜13の分散液を得た。なお、紙用柔軟剤2には酢酸を使用せず、紙用柔軟剤6には酢酸に換えて蟻酸(b−4のアミン価に対して1.0当量に相当)を使用した。また、紙用柔軟剤7〜11にはエステル化合物(a)に換えて、それぞれa’−1〜a’−5を使用し、紙用柔軟剤12には化合物(b)を使用しなかった。
(紙の製造例)
本発明の紙用柔軟剤の例として紙用柔軟剤1〜6を製造し、比較例として紙用柔軟剤7〜13を製造した。なお、これら紙用柔軟剤の詳細については表3に示している。
フリーネスが430mlであるLBKP(広葉樹晒パルプ)を離解機(熊谷理研株式会社製)で離解し、パルプを1質量パーセント含有するパルプスラリーを調製した。このパルプスラリーを500ml容量のビーカーに400g(パルプ質4g)入れ、紙用柔軟剤の分散液を2.0g(有効成分として対パルプ0.5質量%)添加して、外径4.5cmのタービン羽根により、250rpmで1分間攪拌した。この攪拌後のスラリー57gを、TAPPIスタンダードマシン(安田精機株式会社製)により抄紙し、油圧プレス機(安田精機株式会社製)により0.35MPaで5分間プレスした後、ドラム式ドライヤー(安田精機株式会社製)により105℃で2分の乾燥を行い、秤量30g/mの紙を製造した。この紙を温度23℃、湿度50%に調節した恒温恒湿室に17時間入れ、調湿した。
この調湿後の紙を以下単にシートと呼び、上記工程において紙用柔軟剤1〜13をそれぞれ添加したシートをそれぞれシート1〜13、紙用柔軟剤を添加していないシートをシート0とする。
〔評価方法および評価結果〕
続いて、紙用柔軟剤および紙用柔軟剤を含有する紙の評価方法および評価結果を説明する。
(評価方法)
・曲げのしなやかさの評価
シート1〜13の曲げのしなやかさについて、女性評価者10人が各シートを触り、シート0との比較において以下の基準でそれぞれ点数をつけ、その合計点が30点以上を良好(○)、30点未満を不十分(×)と評価した。但し、評価者10人のうち3名以上が1をつけた場合、合計点数にかかわらず不十分(×)と評価した。
点数 曲げのしなやかさ
5 非常にしなやかである。
4 しなやかである。
3 ややしなやかである。
2 シート0と同等。
1 硬い。
・表面の滑らかさの評価
シート1〜13のシート表面の滑らかさについて、女性評価者10人が各シートを触り、シート0との比較において以下の基準でそれぞれ点数をつけ、その合計点が30点以上を良好(○)、30点未満を不十分(×)と評価した。但し、評価者10人のうち3名以上が1をつけた場合、合計点数にかかわらず不十分(×)と評価した。
点数 表面の滑らかさ
5 非常に滑らかである。
4 滑らかである。
3 やや滑らかである。
2 シート0と同等。
1 シート0に比べて粗い。
・シート強度
各シートより120×15mmの試験片を3枚ずつ裁断する。この試験片を両端から引張ることにより破断するまでの引張り強度を引張圧縮試験機(株式会社今田製作所製SV−201−0−SH)で測定し、JIS P 8113に準じて測定し以下の式より裂断長を計算した。
裂断長(km)=(引張り強度×1000)/(9. 81×試験片の幅(mm)×試験片の坪量(g/m2))
3枚の試験片について同じ操作を行い、平均値を求めた。
更に各シートの裂断長をシート0の断裂長で除してその比を求め、以下の基準で評価した。
比率 強度
90%以上 非常に良好
80%以上90%未満 良好
80%未満 不十分
(評価分析)
以上の評価方法を用いた評価の結果を表3に示す。表3より以下のことが確認できる。
(1)本発明に係る紙用柔軟剤の効果の確認
本発明に係る紙用柔軟剤を使用した実施例(シート1〜6)は、使用していない比較例(シート0)に比較して、いずれも曲げのしなやかさおよび表面の滑らかさが向上している。また、紙の強度も比較例(シート0)に比べ、いずれも80%以上の強度を維持している。
更にエステル化合物(a)の化合物(b)に対する重量比が大きい実施例(シート1とシート2)は、同重量比が小さい実施例(例えばシート5とシート6)に対して曲げのしなやかさや表面の滑らかさがより増しているが、紙の強度はやや劣る。これらの効果と不利益を考慮するとエステル化合物(a)の化合物(b)に対する重量比は90/10〜65/35がより好ましい。
脂肪酸として、直鎖飽和脂肪酸であるステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸および不飽和脂肪酸であるオレイン酸を使用し、多価アルコールとしてソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ソルビトールを用い、その組み合わせによりa−1〜a−4のエステル化合物(a)を製造し、シート1〜6に用いた。そのいずれも曲げのしなやかさと表面の滑らかさとを十分に向上させ紙の強度の低下を有効に抑制している。したがって、炭素数12〜24の脂肪酸であれば、エステル合物(a)の製造に用いられること、および、価数3〜6のアルコールであれば、その種類にかかわらずエステル化合物(a)の製造に用いられることが推認される。
また式(1)中の炭素数4〜12であるジカルボン酸の残基Aにアジピン酸残基、コハク酸残基、セバシン酸残基、ドデカン二酸残基を用い、炭素数1〜4のアルキル基RとRとRとRとにエチル基またはメチル基を用い、炭素数2〜4のアルキレン基RとRとにエチレン基またはプロピレン基を用い、これらの組み合わせによりb−1〜b−4の化合物(b)を製造し、シート1〜6に添加した。そのいずれも曲げのしなやかさと表面の滑らかさとを十分に向上させ紙の強度の低下を有効に抑制している。したがって、上記AおよびR、R、R、R、R、Rの組み合わせであれば、その種類にかかわらず化合物(b)の製造に用いられることが推認される。
(2)実施例と比較例との効果の比較
シート7はエステル化合物(a)に換えて、脂肪酸の炭素数が8であるカプリル酸を用いたエステル化合物a’−1を有する紙用柔軟剤7を使用している。本発明の実施例(シート1〜6)に比較して、表面の滑らかさの向上が不十分である。したがって表面の滑らかさを十分に向上させるためには炭素数が12以上の脂肪酸を用いたエステル化合物(a)を用いることが好ましい。
シート8は、多価アルコールの価数が2であるポリエチレングリコールを用いたエステル化合物a’−2を有する紙用柔軟剤8を使用した比較例であり、シート9は多価アルコールの価数が8であるポリグリセリンを用いたエステル化合物a’−3を有する紙用柔軟剤9を使用した比較例である。本発明の実施例(シート1〜6)に比較して、曲げのしなやかさと表面の滑らかさとの向上が不十分である。したがって曲げのしなやかさと表面の滑らかさとを十分に向上させるためには価数が3〜6の多価アルコールを用いたエステル化合物(a)を用いることが好ましい。
シート10は、エステル化率が10%〜60%のエステル化合物(a)に換えて、エステル化率が2.6%のエステル化合物を用いたエステル化合物a’−4を有する紙用柔軟剤10を使用した比較例であり、シート11はエステル化率が98.8%のエステル化合物a’−5を有する紙用柔軟剤11を使用した比較例である。シート10およびシート11では、本発明の実施例(シート1〜6)に比較して、曲げのしなやかさと表面の滑らかさとの向上が不十分である。したがって曲げのしなやかさと表面の滑らかさとを十分に向上させるためにはエステル化率が10%〜60%のエステル化合物(a)を用いることが好ましい。
シート12はエステル化合物(a)と化合物(b)との重量比が100/0である紙用柔軟剤12を使用した比較例である。本発明の実施例(シート1〜6)に比較して、シート12では、紙の強度低下が著しい。したがって強度低下を有効に抑制するためにはエステル化合物(a)と化合物(b)との重量比が95/5以下であることが必要であり、90/10以下であることが好しい。
シート13はエステル化合物(a)と化合物(b)との重量比が35/65である紙用柔軟剤13を使用した比較例である。本発明の実施例(シート1〜6)に比較して、シート13では、表面の滑らかさの向上が不十分である。したがって表面の滑らかさを十分に向上させるためにはエステル化合物(a)と化合物(b)との重量比が55/45以上であることが必要であり、65/35以上であることが好しい。
(3)その他の事項について
・中和用の酸について
シート6に添加した紙用柔軟剤6は中和用の酸として酢酸に換えて蟻酸を使用した。その場合においても、曲げのしなやかさと表面の滑らかさとは十分に向上しており、且つ紙の強度低下を有効に抑制している。よって中和用の酸の種類は紙用柔軟剤の効力に影響しないことが推認される。
またシート2に添加した紙用柔軟剤2は中和用の酸を使用していない。その場合においても、曲げのしなやかさと表面の滑らかさとは十分に向上しており、且つ紙の強度低下を有効に抑制している。よって中和用の酸の有無も紙用柔軟剤の効力に影響しないことが推認される。すなわち、化合物(b)が酸により中和された塩であれ、化合物(b)であれ、いずれかが必要量紙用柔軟剤中に含まれておれば、紙の曲げのしなやかさおよび表面の滑らかさの改善効果や紙の強度低下の抑制効果には差がないことが推認される。
但し、化合物(b)は酸で中和し、塩とすることで紙用柔軟剤の分散液を調製することが容易となる。
・分子構造と取り扱い容易性との関係について
式(1)中のジカルボン酸の残基Aの炭素数が12を超えても紙に滑らかさを与えることはできるが、炭素数の増加に見合った効果が得られず、入手も困難となる。よってジカルボン酸の残基Aの炭素数は12以下であることが好ましい。またR、R、R、Rの炭素数についても同様の理由で4以下であることが好ましい。
本発明によれば紙の製造工程、または製造後の紙に添加することで、紙の強度の低下を抑制しつつ、紙に優れた曲げのしなやかさと、表面の滑らかさを付与することができる紙用柔軟剤および同紙用柔軟剤を用いた製紙方法および同紙用柔軟剤を含有する紙が提供される。同柔軟剤を用いて製造された紙は製本用紙、新聞用紙、印刷・情報用紙、ダンボール用紙、板紙、ティシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンタオル等各種分野に広く利用されうる。

Claims (2)

  1. 炭素数12〜24の脂肪酸と3〜6価の多価アルコールとによるエステル化合物であって、そのエステル化率が10〜60%のエステル化合物(a)と、
    式(1)で示される化合物(b)とを有し、
    前記エステル化合物(a)と前記化合物(b)との重量比(a)/(b)が95/5〜55/45である紙用柔軟剤。
    Figure 0004715819
    式中Aは炭素数4〜12であるジカルボン酸の残基であり、R、R、RおよびRは炭素数1〜4のアルキル基であり、RおよびRは炭素数2〜4のアルキレン基である。)
  2. 請求項1に記載の化合物(b)の全部または一部に換えて、前記化合物(b)が酸により中和された塩を有する紙用柔軟剤。
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