JP5034766B2 - 紙用柔軟剤 - Google Patents

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Description

本発明は紙用柔軟剤に関する。
コミック本やペーパーバックなどに用いられる印刷用紙、トイレットペーパーやティシュペーパーなどの衛生紙として、日常生活において種々の用途に紙は用いられている。近年は、印刷用紙であるか衛生紙であるかを問わず、柔軟でめくりやすく、触り心地のよい紙が求められている。そのため、これまで多くの紙用柔軟剤が開発されている。
柔軟な紙を得るための紙用柔軟剤としては、例えば長鎖アルキルを有する第4級アンモニウム塩、脂肪酸及びペンタエリスリトールの脂肪酸エステルを含有する紙用柔軟剤(例えば、特許文献1参照)、アルキレンオキシドを有する非イオン性界面活性剤と長鎖アルキルを有するカチオン性界面活性剤を含有する紙用柔軟剤(例えば、特許文献2参照)、無定形シリカもしくはシリケートを配合し、耐水化剤を含む表面処理剤を塗布するという方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。更に水溶性多糖類と紙力増強剤であるアクリルアミド系ポリマーを併用し、抄紙工程における機械制御により、紙力を維持しつつ、風合のよい紙を製造する方法が試みられている(例えば、特許文献4参照)。この方法を用いると紙力は向上し、柔軟性も向上するとされている。
特開平7−189171号公報 特開2004−44058号公報 特開平10−226982号公報 特開2002−201587号公報
しかし、前述の特許文献1〜2に示されている紙用柔軟剤は紙の柔軟性を向上させるが、紙の強度を低下させる。また、特許文献3に示されているアンモニウム塩を含有する紙用柔軟剤では、紙の柔軟性を与える効果、強度低下を抑止する効果が共に不十分である。また、特許文献4に示された紙用柔軟剤では、紙の手触りや表面の均一さが著しく乱れ、高品質の紙が得られない。また、特許文献4に示された紙用柔軟剤を抄紙工程において抄紙原料であるパルプスラリー中へ添加した場合、パルプスラリーの濾水性が低下するため抄紙工程の操業性が低下し、微細繊維が流出するため製造した紙の歩留まりが低下する。
本発明は、斯かる実情に鑑み、紙の強度低下を抑制しつつ紙に柔軟性と触り心地のよさを与え、更に製造工程においてパルプスラリー中へ添加した場合の操業性がよく、紙の歩留まり低下を抑制する紙用柔軟剤を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記従来の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のアミドアミン化合物と特定のポリアクリルアミドとを組み合わせた紙用柔軟剤が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明にかかる紙用柔軟剤は、式(1)で示されるアミドアミン化合物(A)と、25℃における10%水溶液の粘度が3,000〜20,000mPa・sであるポリアクリルアミド(B)とを有し、前記アミドアミン化合物(A)と前記ポリアクリルアミド(B)との重量比(A)/(B)が70/30〜95/5である。
Figure 0005034766
なお、式中RCOは炭素数10〜24のアシル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、RおよびRは炭素数1〜4のアルキル基である。
本発明に係る紙用柔軟剤は上記アミドアミン化合物(A)の全部または一部に代えて、上記アミドアミン化合物(A)が酸により中和された塩を有していても良い。
上記の全部または一部を中和し、塩にすることで紙用柔軟剤の分散液を調製することが容易となる。
本発明の紙用柔軟剤は、抄紙工程における材料、または製造後の紙に添加することで、紙の強度の低下を抑制しつつ、紙にしなやかな手触り感を付与することができる。また、本発明に係る紙用柔軟剤を用いると抄紙工程における生産性が向上し、製品歩留まりが大きくなるため紙の製造コストを低減できる。
本発明の紙用柔軟剤は、式(1)で示されるアミドアミン化合物(A)と、25℃における10%水溶液の粘度が3,000〜20,000mPa・sであるポリアクリルアミド(B)とを有する。そこで、以下、それぞれの化合物につきまず説明し、しかる後、本発明を具体化した紙用柔軟剤および紙用柔軟剤を含有する紙の実施例を説明する。
1.アミドアミン化合物(A)
アミドアミン化合物(A)は式(1)で示される。
Figure 0005034766
(式中RCOは炭素数10〜24のアシル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、RおよびRは炭素数1〜4のアルキル基である。)
式(1)中のRCOは炭素数10〜24の脂肪酸由来のアシル基である。炭素数が10未満であると、紙用柔軟剤が紙に与える「しなやかな手触り感」が不十分となる。また、炭素数が24を超えても「しなやかな手触り感」は紙に与えることができるが、炭素数の増加に見合った効果が得られず、入手も困難である。よって、RCOの炭素数10〜24であることが好ましい。このような脂肪酸としては、飽和脂肪酸である、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等、分岐脂肪酸である、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等、不飽和脂肪酸である、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸等が挙げられる。
式(1)中のRは炭素数が2〜4のアルキレン基である。この炭素数が1の化合物は、「しなやかな手触り感」が不十分となる。また炭素数が5を超えても「しなやかな手触り感」は、紙に与えることができるが、炭素数の増加に見合った効果が得られず、入手も困難である。炭素数が2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。好ましくはプロピレン基である。
式(1)中のRとRとは炭素数が1〜4のアルキル基である。同アルキル基の炭素数が4を超えても「しなやかな手触り感」は、紙に与えることができるが、炭素数の増加に見合った効果が得られず、入手も困難である。炭素数が1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基が挙げられる。
アミドアミン化合物(A)はそのまま使用することもできるが、紙用柔軟剤の分散液の調製を容易にするために、無機酸あるいは有機酸で中和して塩とすることが好ましい。無機酸としては、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、サルチル酸、ヒドロキシ吉草酸、アストラギン酸、グルタミン酸、タウリン、スルファミン酸等が挙げられる。
2.ポリアクリルアミド(B)
ポリアクリルアミド(B)はアニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドのいずれでもよい。但し、いずれのポリアクリルアミドであっても、25℃における10%水溶液の粘度が3,000〜20,000mPa・sであることが好ましい。この粘度が3,000mPa・sより小さい場合、ポリアクリルアミド(B)による微細繊維の凝集効果が不十分となり紙用柔軟剤を抄紙工程において材料に添加した場合の濾水性と、製造された紙の歩留まりとが低下する。また、この粘度が20,000mPa・sより大きい場合、微細繊維の凝集効果が大きくなり過ぎ、紙表面の均一性を低下させる。よってポリアクリルアミド(B)の25℃における10%水溶液の粘度は3,000〜20,000mPa・sであることが好ましい。なお、粘度はポリアクリルアミド(B)の10%水溶液を、25℃においてB型粘度計(ロータNo.4、30rpm)で測定した。
このような要件を満たすポリアクリルアミドのうちアニオン性ポリアクリルアミドとしては、アクリルアミドと、アクリル酸やメタクリル酸等のアニオン性モノマーとの共重合物、およびポリアクリルアミドの部分加水分解物が挙げられる。カチオン性ポリアクリルアミドとしては、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、ホフマン分解物、あるいはアクリルアミドとカチオン性モノマーの共重合物が挙げられる。ここでカチオン性モノマーとしてはジメチルアミノエチルメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジエチルアンモニウムクロライド、メタアクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタアクロイルオキシエチルアンモニウムメチルクロライド、メタアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が用いられる。両性ポリアクリルアミドとしては、アクリルアミドと上記のアニオン性モノマーおよびカチオン性モノマーの共重合物、アクリルアミドと上記のアニオン性モノマーとの共重合物のマンニッヒ変性物、ホフマン分解物が挙げられる。これらの中でもカチオン性ポリアクリルアミドまたは両性ポリアクリルアミドがしなやかな手触り感の向上および紙の強度低下抑制の観点より好ましい。
3.紙用柔軟剤
紙用柔軟剤は、アミドアミン化合物(A)とポリアクリルアミド化合物(B)とからなる。このときエステル化合物(A)と化合物(B)との重量比(A)/(B)が95/5を超えると紙用柔軟剤を使用した紙の強度の低下を十分に抑制できない。また紙用柔軟剤を抄紙工程において添加した場合の濾水性と、製造された紙の歩留まりとが低下する。重量比70/30未満の場合には、紙に十分に手触りのしなやかさを与えられない。したがって、重量比(A)/(B)は70/30〜95/5であることが必要となる。また、紙用柔軟剤は、分散媒中に分散させ、紙用柔軟剤の分散液として使用しても良い。なお、分散媒としては水が好ましい。アミドアミン化合物(A)は、紙用柔軟剤分散液の調製を容易とするために、無機酸あるいは有機酸で中和して塩とすることが好ましい。
4.紙用柔軟剤を含有する紙の製造
紙用柔軟剤を含有する紙は抄紙工程のいずれかの段階で上記紙用柔軟剤を抄紙原料に添加することにより製造される。
紙用柔軟剤はパルプ100重量部に対して0.03〜8重量部添加することが好ましく、0.10〜4重量部添加することが更に好ましい。0.03重量部未満の添加では紙に十分に手触りのしなやかさを与えられず、8重量部以上添加しても紙の手触りのしなやかさの向上効果が鈍くなる。
使用するパルプの種類は特に限定されない。例えば化学パルプ(針葉樹または広葉樹の晒しまたは未晒しのクラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカパルプ、ケミサーモメカパルプ等)、脱墨パルプ(新聞や雑誌の古紙等)等が使用でき、これらを単独で使用しても混合して使用しても良い。
紙用柔軟剤の添加は抄紙工程のいずれの段階で行なっても良い。例えば、ミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱等の工程で紙用柔軟剤を内部添加する方法をとることができる。パルプと水とを含む混合物(例えばパルプスラリー)中にこの紙用柔軟剤および必要に応じて後述する他の添加剤を添加し、得られた混合物を用いて通常の方法により抄紙を行なうことにより、製造工程の煩雑化を招かずに紙用柔軟剤を含有する紙を製造できる。この抄紙方法は特に限定されず、長網抄紙機、ツインワイヤー機、ヤンキー機等あらゆる抄紙機が使用できる。
一方、抄紙工程により得られたパルプシートの表面にこの紙用柔軟剤を塗工する外部添加法をとることもできる。外部添加法としてはサイズプレス、ゲートロール、スプレー等の方法が挙げられる。
なお、抄紙工程において一般的に使用される各種添加剤を、本形態にかかる紙用柔軟剤と併用することも可能である。これら添加剤としては各種増強剤やサイズ剤、濾水性、歩留まり向上剤、その他の内添加剤が挙げられる。
本発明を実施例および比較例により更に具体的に説明する。
なお、シート強度の評価は裂断長により行った。裂断長とは、紙の一端を固定懸垂した際、自重で切れるときの長さをあらわしたものである。紙の強度は、裂断長が大きいほど強くなる。
〔紙用柔軟剤の製造例等〕
まず、アミドアミン化合物(A)の合成例および紙用柔軟剤を使用した紙の製造例を示す。
(アミドアミン化合物(A)の合成方法)
本発明を構成するアミドアミン化合物(A)の例として化合物a−1〜a−4およびその比較対象となる化合物a−5を合成した。なお、これら化合物の詳細については表1に示している。
・a−1の合成
表1に示した脂肪酸とジアルキルアミノアルキレンアミンとを用いて、化合物a−1を下記に示す合成方法で合成した。この化合物a−1は、式(1)中のRCOとしてオレイン酸由来物、Rのアルキレン基としてプロピレン基、RとRのアルキル基としてメチル基を有する。
攪拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500ml容量の4つ口フラスコにオレイン酸252.0g(0.9モル)およびジメチルアミノプロピルアミン91.8g(0.9モル)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら180〜190℃まで昇温し、生成水を反応系外へ除去しながら15時間反応させ、アミン価149のアミドアミン化合物a−1を得た。
・a−2の合成
表1に示した脂肪酸とジアルキルアミノアルキレンアミンとを用いて、化合物a−1と同様の方法で化合物a−2を合成した。この化合物a−1は、式(1)中のRCOとしてミリスチン酸由来物、Rにかかるアルキレン基としてエチレン基、RとRにかかるアルキル基としてメチル基を有する。
・a−3の合成
表1に示した脂肪酸とジアルキルアミノアルキレンアミンとを用いて、化合物a−1と同様の方法で化合物a−3を合成した。なお、式(1)中のRCOの由来物として使用した混合脂肪酸はミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸をそれぞれ2%、31%、66%、1%の重量割合で混合したものである。
・a−4
表1に示した脂肪酸とジアルキルアミノアルキレンアミンとを用いて、化合物a−1と同様の方法で化合物a−4を合成した。
・a−5
表1に示した脂肪酸とジアルキルアミノアルキレンアミンとを用いて、化合物a−1と同様の方法で化合物a−5を合成した。なお、式(1)中のRCOの由来物として使用した2−エチルヘキサン酸由来物は炭素数8であり、本発明のRCOの要件を満たさない。
Figure 0005034766
(化合物(B))
本発明の紙用柔軟剤を構成するポリアクリルアミド化合物(B)の例として化合物b−1〜b−3、および、その比較対象となる化合物b−4とb−5とを以下の表2に示す。ここで、b−4(星光PMC株式会社製;スターガムKX-12)は10%水溶液の25℃における粘度が1200 mPa・sであって、3000mPa・s以下であるため本発明を構成するポリアクリルアミド化合物(B)の要件を満たしていない。また、b−5(三晶株式会社製;エムコガムCSAA)は主成分がグアーガムであり、本発明を構成するポリアクリルアミド化合物(B)ではない。
Figure 0005034766
(紙用柔軟剤の製造例)
紙用柔軟剤の実施例として紙用柔軟剤1〜5を製造し、比較例として紙用柔軟剤6〜10を製造した。なお、これら紙用柔軟剤の詳細については表3に示す。
・実施例1の紙用柔軟剤の製造
アミドアミン化合物(A)として化合物a−1、ポリアクリルアミド化合物(B)としてb−1を使用した。
攪拌機を備えた200ml容量のビーカーにイオン交換水を141.5g、アミドアミン化合物a−1を16.0g、酢酸2.5g(a−1のアミン価に対して1.0当量に相当)定量し、70℃に昇温しながら30分攪拌し、アミドアミン化合物a−1の10%分散液を得た。更にポリアミド化合物b−1を、表3に示すように質量比で17.8g添加し、攪拌しながら70℃まで昇温し、30分攪拌し、紙用柔軟剤1の分散液を得た。
・実施例2〜5の紙用柔軟剤および比較例6〜10の紙用柔軟剤の製造
アミドアミン化合物(A)とポリアクリルアミド化合物(B)とを、表3に示した質量比で仕込み、上記実施例1の紙用柔軟剤1の分散液の製造と同様にして実施例2〜5の紙用柔軟剤2〜5の分散液および比較例6〜10の紙用柔軟剤6〜10の分散液を得た。なお、実施例4の紙用柔軟剤4の分散液および比較例6の紙用柔軟剤6の分散液には酢酸を使用せず、比較例8および9の紙用柔軟剤8,9には酢酸に代えて蟻酸(a−1およびa−2のアミン価に対して1.0当量に相当)を使用した。また、比較例6の紙用柔軟剤6の分散液はアミドアミン化合物(A)を使用しなかった。
(紙の製造例)
実施例1〜5の紙用柔軟剤を使用した紙、および比較例6〜10の紙用柔軟剤を使用した紙を製造した。
フリーネスが430mlであるLBKP(広葉樹晒パルプ)を離解機(熊谷理研株式会社製)で離解し、パルプを1質量パーセント含有するパルプスラリーを調製した。このパルプスラリーを500ml容量のビーカーに400g(パルプ質4g)入れ、紙用柔軟剤1〜10を2.0g(有効成分として対パルプ0.5質量%)添加して、外径4.5cmのタービン羽根により、250rpmで1分間攪拌した。この攪拌後のスラリー105gを、TAPPIスタンダードマシン(安田精機株式会社製)により抄紙し、油圧プレス機(安田精機株式会社製)により0.35MPaで5分間プレスした後、ドラム式ドライヤー(安田精機株式会社製)により105℃で2分の乾燥を行い、坪量60g/mの紙を製造した。この紙を温度23℃・湿度50%に調節した恒温恒湿室に17時間入れ、調湿した。
この調湿後の紙を以下単にシートと呼び、上記工程において紙用柔軟剤1〜10の分散液を使用して製造したシートをそれぞれシート1〜10とする。
〔評価方法および評価結果〕
続いて、紙用柔軟剤を含有する紙の評価方法および評価結果を説明する。
(評価方法)
・しなやかな手触り感の評価
シート1〜10の手触り感について、評価者10人が各シートを触り、以下の基準でそれぞれ点数をつけ、その合計点が30点以上を良好(○)、30点未満を不十分(×)と評価した。但し、評価者10人のうち3名以上が1点をつけた場合、合計点数にかかわらず不十分(×)と評価した。
点数 しなやかな手触り感
5 しなやかな手触り感が非常に良好。
4 しなやかな手触り感が良好。
3 ややしなやかな手触り感がある。
2 紙用柔軟剤未添加の場合と同等。
1 しなやかな手触り感が紙用柔軟剤未添加の場合より悪い。
・シート強度
各シートより120×15mmの試験片を3枚ずつ裁断する。この試験片を両端から引張ることにより破断するまでの引張り強度を引張圧縮試験機(株式会社今田製作所製SV−201−0−SH)で測定し、JIS P 8113に準じて測定し以下の式より裂断長を計算した。
裂断長(km)=(引張り強度×1000)/(9. 81×試験片の幅(mm)×試験片の坪量(g/m2))
3枚の試験片について同じ操作を行い、平均値を求めた。
更に各シートの裂断長をシート6の断裂長で除してその比を求め、以下の基準で評価した。
90%以上 強度良好 :○
90%未満 強度不十分 :×
・濾水性の評価
上述した紙の製造例と同様に、フリーネスが430mlであるLBKP(広葉樹晒パルプ)を離解機(熊谷理研株式会社製)で離解し、パルプを0.5質量%含有するパルプスラリーを調製した。内径10.1cm、高さ15.2cm、50メッシュのダイナミックドレネイジャー(Paper Research Materials inc.製)のジャーにこのパルプスラリー500gを取り入れ、パルプの有効成分に対して0.5重量%紙用柔軟剤を添加した。ジャー内で回転数1000rpmで1分間攪拌した後、ジャー内を攪拌しながら、濾水採取口のコックを30秒開いて濾水を採取し、その重量を測定し、以下の基準で評価した。
濾水量450g以上 濾水性良好 :○
濾水量450g未満 濾水性不十分:×
・歩留まり性の評価
濾水性評価で採取した濾水を、あらかじめ重量を測定した濾紙(JIS P 3801に規定される5種A)で濾過し、同濾紙を105℃で2時間乾燥した後、濾紙重量を再度測定した。濾過前後の濾紙の重量差より濾水中の固形分重量を求めた。
濾水中の固形分重量300mg未満 歩留まり良好 :○
濾水中の固形分重量300mg以上 歩留まり不十分:×
(評価分析)
以上の評価方法を用いた評価の結果を表3に示す。表3より以下のことが判る。
Figure 0005034766
・本発明に係る紙用柔軟剤の効果の確認
本発明に係る紙用柔軟剤を使用した実施例のシート1〜5は、しなやかな手触り感、紙の強度、濾水性、歩留まり性いずれも良好である。
・アミドアミン化合物(A)と前記ポリアクリルアミド(B)との重量比(A)/(B)について。
アミドアミン化合物(A)と前記ポリアクリルアミド(B)との重量比(A)/(B)はシート6を最小としてシート9、シート4、シート5、シート2、シート1、シート3の順に大きくなっている。また、シートの強度はほぼこの順に低下している。このことより、アミドアミン化合物(A)が多くなるほどしなやかな手触り感は大きくなる一方でシートの強度が低下することが判る。特に同重量比(A)/(B)95/5(シート3)においての強度はブランク(シート6)比92.5%であり、重量比(A)/(B)が95/5を超えると、紙の強度が不十分(×)となることが推量される。よって重量比(A)/(B)は95/5以下であることが好ましい。また逆に更に重量比(A)/(B)が70/30以下である例(シート9、シート6)はしなやかな手触り感が不十分であることが判る。よって重量比(A)/(B)は70/30以上であることが好ましい。
・式(1)中のアシル基(RCO)について。
炭素数14の直鎖飽和脂肪酸であるミリスチン酸由来のアシル基(a−2)、炭素数18の不飽和脂肪酸であるオレイン酸由来のアシル基(a−1)、炭素数22の直鎖不飽和脂肪酸であるエルカ酸由来のアシル基(a−4)、さらにはミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸の混合脂肪酸由来のアシル基(a−3)、であってもアシル基(RCO)の炭素数が10〜24の範囲内にあれば、本発明にかかる紙用柔軟剤に使用するアミドアミン化合物に用い得ることが、シート1〜4の各評価結果がいずれの評価項目も満たしていることより判る。一方、アシル基(RCO)の炭素数が10未満すなわち炭素数8の脂肪酸である2−エチルヘキサン酸由来のアシル基(a−5)を用いたシート7の「しなやかな手触り感」の評価が不十分(×)であることより、本発明にかかる紙用柔軟剤に用いるアミドアミン化合物(A)中のアシル基(RCO)の炭素数は10〜24が好ましい。
・式(1)中のR、R、Rについて。
炭素数2〜4のアルキレン基Rにエチレン基またはプロピレン基を用い、炭素数1〜4のアルキル基RとRとにエチル基またはメチル基を用い、アシル基RCOとして、上述の脂肪酸由来物を用い、これらの組み合わせにより製造した化合物a−1〜a−4はいずれも本発明にかかる紙用柔軟剤に使用するアミドアミン化合物に用い得ることが、シート1〜4の各評価結果がいずれの評価項目も満たしていることより判る。
・ポリアクリルアミド化合物(B)について。
本発明にかかるポリアクリルアミド化合物(B)の要件を満たした化合物b−1〜b−3はいずれも本発明にかかる紙用柔軟剤に使用するアミドアミン化合物に用い得ることが、シート1〜4の各評価結果がいずれの評価項目も満たしていることより判る。
一方、主成分がグアーガムであり、本発明にかかるポリアクリルアミド化合物(B)の要件を満たしていない化合物を使用すると、紙の強度低下を十分に抑制することができないことがシート10のシート強度の評価より判る。またポリアクリルアミド化合物であっても、10%水溶液の25℃における粘度が1200mPa・sであって、3000mPa・s以下であるポリアクリルアミド化合物を用いた場合も紙の強度低下を十分に抑制することができないことがシート8のシート強度の評価より判る。逆に同条件の粘度が20,000 mPa・s以上であると紙表面の均一性をそこなう恐れがある。よって本発明にかかるポリアクリルアミド化合物は10%水溶液の25℃における粘度が3000mPa・s〜20,000mPa・sでなくてはならない。
・中和用の酸について
またシート4に添加した紙用柔軟剤は中和用の酸を使用していない。その場合においても、各評価基準は満たしており、シートの品質上問題が使用時ないことがわかる。よって中和用の酸の有無も紙用柔軟剤の効力に影響しないことが推認される。すなわち、化合物(A)が酸により中和された塩であれ、化合物(A)自体であれ、いずれかが必要量だけ紙用柔軟剤中に含まれておれば、本発明にかかる紙用柔軟剤としての効力を有することが推認される。
但し、化合物(A)は酸で中和し、塩とすることで紙用柔軟剤の分散液を調製する際に容易となる。
本発明によれば紙の製造工程、または製造後の紙に添加することで、紙の強度の低下を抑制しつつ、紙にしなやか手触り感を付与することができる紙用柔軟剤が提供される。また、同柔軟剤を用いると抄紙工程において歩留まりが大きくなり、紙の製造コストを低減できる。

Claims (2)

  1. 式(1)で示されるアミドアミン化合物(A)と、25℃における10%水溶液の粘度が3,000〜20,000mPa・sであるポリアクリルアミド(B)とを有し、
    前記アミドアミン化合物(A)と前記ポリアクリルアミド(B)との重量比(A)/(B)が70/30〜95/5である紙用柔軟剤。
    Figure 0005034766
    (式中RCOは炭素数10〜24のアシル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、RおよびRは炭素数1〜4のアルキル基である。)
  2. 請求項1に記載のアミドアミン化合物(A)の全部または一部に代えて、前記アミドアミン化合物(A)が酸により中和された塩を有する紙用柔軟剤。
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