JP5376231B2 - サイズ剤組成物 - Google Patents
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<1>紙の製造に使用する2−オキセタノン化合物を含有するサイズ剤組成物であって、以下の(1)〜(3)を満たすことを特徴とするサイズ剤組成物。
(1)炭素数8〜10の脂肪酸8〜20質量%、炭素数12〜18である脂肪酸が92〜80質量%である脂肪酸混合物を反応させて得られる2−オキセタノン化合物
(2)前記(1)の脂肪酸混合物のうちの不飽和脂肪酸が2質量%以下である脂肪酸混合物を反応させて得られる2−オキセタノン化合物
(3)25℃で液状である2−オキセタノン化合物
<2>上記(1)の脂肪酸混合物が水素添加反応により不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸に変換されたココヤシ油脂肪酸である前記<1>の製紙用サイズ剤組成物
を提供する。
(1)炭素数8〜10の脂肪酸8〜20質量%、炭素数12〜18である脂肪酸が92〜80質量%である脂肪酸混合物を反応させて得られる2−オキセタノン化合物
(2)前記(1)の脂肪酸混合物のうちの不飽和脂肪酸が2質量%以下である脂肪酸混合物を反応させて得られる2−オキセタノン化合物
(3)25℃で液状である2−オキセタノン化合物
本発明者らにおいて、本発明の製紙用サイズ剤組成物が優れた安定性と優れた効果を発現する理由について必ずしも十分に解明していないが、次のように推察している。
2−オキセタノン化合物の原料脂肪酸の炭素数を限定することで、2−オキセタノン化合物のアルキル基およびアルケニル基の炭素数が適切な割合で存在するために、サイズ効果が優れ、摩擦係数の低下を防ぎ、25℃で液状であるために機械的安定性が向上すると考えられる。
また、2−オキセタノン化合物の原料脂肪酸の不飽和脂肪酸を少量に限定することで、経時的な酸化によって2−オキセタノン化合物のアルケニル基が親水化され、サイズ剤組成物の分散安定性およびサイズ効果の低下を防止していると考えられる。
以上により、2−オキセタノンの水性分散液が、パルプ繊維に均一に作用することができ、優れた効果が発現されるものと考えられる。
四つ口フラスコに塩化チオニル1200gを入れ、温度を80℃(塩化チオニル還流条件)にした。次いで質量組成比がカプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸/ミリスチン酸/パルミチン酸/ステアリン酸/オレイン酸=7/7/51/18/9/8/0(不飽和脂肪酸0質量%)である水素添加ココヤシ油脂肪酸(a)205.8gを2時間かけて滴下した。その後80℃で1時間攪拌を続け、更に80℃常圧下で塩化チオニルを留去し、脂肪酸クロリド212.7gを得た。次に新たに四つロフラスコに上記脂肪酸クロリド200gおよびトルエン200mlを入れて20℃に冷却し、20℃を保ちながらトリエチルアミン108.4gを3時間かけて滴下した。滴下終了後30℃に昇温し、更に3時間反応を続けた。次に3%の希塩酸水溶液を200ml加え10分間攪拌した後、1時間静置し下層の水相を分離した後、減圧下でトルエンを留去して2−オキセタノン化合物(A)141.5gを得た。得られた2−オキセタノン化合物(A)は25℃で液状であった。
製造例1における水素添加ココヤシ油脂肪酸(a)を、カプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸/ミリスチン酸/パルミチン酸/ステアリン酸/オレイン酸=7/7/51/18/9/7/1(不飽和脂肪酸1質量%)である水素添加ココヤシ油脂肪酸(b)205.8gに変えて同様に反応し、脂肪酸クロリドを210.4g得た。次いで得られた脂肪酸クロリド200gとトリエチルアミン108.4gを用いて、製造例1と同様に反応させ2−オキセタノン化合物(B)を144.7g得た。得られた2−オキセタノン化合物(B)は25℃で液状であった。
製造例1における水素添加ココヤシ油脂肪酸(a)を、質量組成比がカプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸/ミリスチン酸/パルミチン酸/ステアリン酸/オレイン酸=7/7/51/18/9/6/2(不飽和脂肪酸2質量%)である水素添加ココヤシ油脂肪酸(c)205.8gに変えて同様に反応し、脂肪酸クロリドを211.5g得た。次いで得られた脂肪酸クロリド200gとトリエチルアミン108.4gを用いて、製造例1と同様に反応させ2−オキセタノン化合物(C)を142.3g得た。得られた2−オキセタノン化合物(C)は25℃で液状であった。
製造例1における水素添加ココヤシ油脂肪酸(a)を、カプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸/ミリスチン酸/パルミチン酸/ステアリン酸/オレイン酸=7/7/51/18/9/1/7(不飽和脂肪酸7質量%)である水素添加していないココヤシ油脂肪酸(d)205.8gに変えて同様に反応し、脂肪酸クロリドを210.6g得た。次いで得られた脂肪酸クロライド200gとトリエチルアミン108.4gを用いて、製造例1と同様に反応させ2−オキセタノン化合物(D)を140.3g得た。得られた2−オキセタノン化合物(D)は25℃で液状であった。
製造例1における水素添加ココヤシ油脂肪酸(a)を、パルチミン酸/ステアリン酸=60/40(不飽和脂肪酸0質量%)の質量比の脂肪酸混合物(e)267.0gに変え、80℃に加温して滴下する以外は同様に反応し、脂肪酸クロリドを274.2g得た。次いで得られた脂肪酸クロリド200gとトリエチルアミン85.1gを用いて、製造例1と同様に反応させ2−オキセタノン化合物(E)を152.5g得た。得られた2−オキセタノン化合物(E)は25℃でワックス状の固体であった。
製造例1における水素添加ココヤシ油脂肪酸(a)を、ラウリン酸/パルチミン酸/ステアリン酸=50/25/25(不飽和脂肪酸0質量%)の質量比の脂肪酸混合物229.9gに変え80℃に加温して滴下する以外は同様に反応し、脂肪酸クロリドを228.3g得た。次いで得られた脂肪酸クロリド200gとトリエチルアミン97.9gを用いて、製造例1と同様に反応させ2−オキセタノン化合物(F)を147.7g得た。得られた2−オキセタノン化合物(F)は25℃でワックス状の固体であった。
製造例1における水素添加ココヤシ油脂肪酸(a)を、カプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸/ミリスチン酸/パルミチン酸/ステアリン酸/オレイン酸=11/11/47/14/9/8/0(不飽和脂肪酸0質量%)の質量比の脂肪酸混合物(g)200.3gに変えて同様に反応し、脂肪酸クロリドを204.8g得た。次いで得られた脂肪酸クロリド200gとトリエチルアミン111.2gを用いて、製造例1と同様に反応させ2−オキセタノン化合物(G)を142.1g得た。得られた2−オキセタノン化合物(G)は25℃で液状であった。
2−オキセタノン化合物(A)100質量部、予め90℃で1時間糊化された5質量%のカチオン化澱粉水溶液(4級アンモニウム塩の導入により窒素原子を0.3質量%含有したカチオン化コーン澱粉)500質量部、及びナフタレンスルホン酸ナトリウム−ホルムアルデヒド縮合物の40質量%水溶液4質量部を70℃に加熱し、ホモミキサーにて予備分散させた後、同温度に保ちながら高圧吐出型ホモジナイザーに25MPaの剪断圧力で2回処理して均一に分散させた。これにイオン交換水を適宜加えて冷却した後、325メッシュの金網にてろ過して、水性分散液であるサイズ剤組成物E−1を得た。得られたサイズ剤組成物E−1は、150℃20分乾燥後の不揮発分が20.0質量%、25℃、60rpmで測定したブルックフィールド粘度が15mPa・s、pHが3.9であった。
実施例1において、2−オキセタノン化合物(A)100質量部に変えて2−オキセタノン化合物(B)100質量部を使用した以外は実施例1と同様にして製紙用サイズ剤組成物E−2を得た。得られたサイズ剤組成物E−2は、150℃20分乾燥後の不揮発分が20.0質量%、25℃、60rpmで測定したブルックフィールド粘度が15mPa・s、pHが3.9であった。
実施例1において、2−オキセタノン化合物(A)100質量部に変えて2−オキセタノン化合物(C)100質量部を使用した以外は実施例1と同様にしてサイズ剤組成物E−3を得た。得られたサイズ剤組成物E−3は、150℃20分乾燥後の不揮発分が20.0質量%、25℃、60rpmで測定したブルックフィールド粘度が14mPa・s、pHが3.9であった。
実施例1において、2−オキセタノン化合物(A)100質量部に変えて2−オキセタノン化合物(D)100質量部を使用した以外は実施例1と同様にして製紙用サイズ剤組成物E−4を得た。得られたサイズ剤組成物E−4は、150℃20分乾燥後の不揮発分が20.0質量%、25℃、60rpmで測定したブルックフィールド粘度が15mPa・s、pHが3.9であった。
実施例1において、2−オキセタノン化合物(A)100質量部に変えて2−オキセタノン化合物(E)100質量部を使用した以外は実施例1と同様にしてサイズ剤組成物E−5を得た。得られたサイズ剤組成物E−5は、150℃20分乾燥後の不揮発分が20.0質量%、25℃、60rpmで測定したブルックフィールド粘度が10mPa・s、pHが3.8であった。
実施例1において、2−オキセタノン化合物(A)100質量部に変えて2−オキセタノン化合物(F)100質量部を使用した以外は実施例1と同様にしてサイズ剤組成物E−6を得た。得られたサイズ剤組成物E−6は、150℃20分乾燥後の不揮発分が20.0質量%、25℃、60rpmで測定したブルックフィールド粘度が14mPa・s、pHが3.9であった。
実施例1において、2−オキセタノン化合物(A)100質量部に変えて2−オキセタノン化合物(G)100質量部を使用した以外は実施例1と同様にして製紙用サイズ剤組成物E−7を得た。得られたサイズ剤組成物E−7は、150℃20分乾燥後の不揮発分が20.0質量%、25℃、60rpmで測定したブルックフィールド粘度が16mPa・s、pHが3.9であった。
実施例1〜3と比較例1〜4に示した各サイズ剤組成物E−1〜7について、粘度安定性、機械的安定性、製紙用内添サイズ剤組成物としてのサイズ効果、製紙用表面サイズ剤組成物としてのサイズ効果、摩擦係数およびサイズ度の経時変化、を下記のようにして評価した。
高温安定性は32℃の恒温槽中に1週間保存後のサイズ剤組成物E−1〜7の粘度変化を観察した。なお、次の基準で○、△、×で判断した。○は粘度変化が無く、安定である。△はやや増粘するが、使用可能である。×は増粘や分離が著しく、使用不可能である。結果を表1に示した。
40℃に保温したLBKP(CSF414)のパルプスラリー(2.4%)の攪拌下に、炭酸カルシウムを対パルプ10%、硫酸バンドを対パルプ0.5%、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー株式会社製、CATO304)を対パルプ0.5%、サイズ剤組成物を対パルプ0.08%、歩留まり剤(星光PMC株式会社製、RD7153)を対パルプ0.02%順次添加した。薬品を添加した後のパルプスラリーの温度は40℃、pHは7.5であった。薬品添加後のパルプスラリーをノーブルアンドウッド社製抄紙機にて抄紙し、ロールプレスで搾水後にドラムドライヤーで100℃80秒の乾燥処理を行った。得られた坪量65g/m2の手抄き紙を23℃、RH50%の条件で24時間調湿した後、ステキヒトサイズ度(JISP−8122)を測定した。また、経時的なサイズ度の低下を確認するため、23℃、RH50%の条件で1か月調湿を行った手すき紙についてもステキヒトサイズ度を測定した。なお前記の添加率はパルプ絶乾重量に対する固形分重量比であり、ステキヒトサイズ度は値が高いほど良好であることを示す。結果を表2に示す。
市販の酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、王子エースA)を濃度15%になるように水で希釈し、90℃で糊化を行い、これに実施例、比較例のサイズ剤組成物をそれぞれ加え、酸化澱粉 12%、サイズ剤組成物 0.2%になるように添加した塗工液を未塗工のコート原紙(坪量68g/m2)に、サイズプレス機にて両面塗工し、ドラムドライヤー(80℃、30秒)にて乾燥した。乾燥後、23℃、RH50%の条件に24時間調湿した後、静摩擦係数(滑り角度(静摩擦係数):JIS P−8147に準拠)、ステキヒトサイズ度(JISP−8122)を測定した。また、経時的なサイズ度の低下を確認するため、23℃、RH50%の条件で1か月調湿を行った手すき紙についてもステキヒトサイズ度を測定した。なお、静摩擦係数、ステキヒトサイズ度は、何れも、値が高いほど良好であることを示し、静摩擦係数が高いと紙が滑りやすくないことを示す。結果を表3に示した。
実施例、比較例で得たサイズ剤組成物50gをマーロン法安定度試験において、20kgの荷重下、回転速度1000rpmで5分間攪拌し、この時生じた325メッシュ金網不通過の固形分重量を測定した。この重量が多いほど、粕発生量が多いこととなり、機械的安定性が不良である事を示す。なお、試験温度は、表面サイジングにおいて汚れが問題となる温度である40℃で行った。結果を表3に示す。
Claims (1)
- 紙の製造に使用する2−オキセタノン化合物を含有するサイズ剤組成物であって、以下の(1)〜(3)を満たすことを特徴とするサイズ剤組成物。
(1)炭素数8〜10の脂肪酸8〜20質量%、炭素数12〜18である脂肪酸が92〜80質量%である脂肪酸混合物を反応させて得られる2−オキセタノン化合物であって、前記脂肪酸混合物が水素添加反応により不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸に変換されたココヤシ油脂肪酸である2−オキセタノン化合物
(2)前記(1)の脂肪酸混合物のうちの不飽和脂肪酸が2質量%以下である脂肪酸混合物を反応させて得られる2−オキセタノン化合物
(3)25℃で液状である2−オキセタノン化合物
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