JP2012214924A - 紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】抄紙装置の汚れを軽減し操業性を高め、高いサイズ性およびサイズ効果の立ち上がり性を有し、摩擦係数の低下のない紙の製造方法を提供すること。
【解決手段】ジアリルアミン(a1)及び(メタ)アクリルアミド(a2)を含有する重合成分(a)を重合させて得られる共重合体(A)、並びに融点が40℃以下であるケテンダイマー系サイズ剤(B)を用いて、pH6.0〜9.0でパルプスラリーを抄紙することを特徴とする紙の製造方法を用いる。
【選択図】なし
【解決手段】ジアリルアミン(a1)及び(メタ)アクリルアミド(a2)を含有する重合成分(a)を重合させて得られる共重合体(A)、並びに融点が40℃以下であるケテンダイマー系サイズ剤(B)を用いて、pH6.0〜9.0でパルプスラリーを抄紙することを特徴とする紙の製造方法を用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は紙の製造方法に関する。
従来、紙及び板紙、木質繊維等の繊維製品を製造する場合には、製品に耐水性、耐インキ性、耐にじみ性等を付与するために、サイズ剤が用いられている。このようなサイズ剤としては、一般にカルボキシル基を有するロジン又は強化ロジン(マレイン化ロジン)に代表されるロジン系サイズ剤が挙げられるが、ロジン系サイズ剤はそれ自体ではセルロース繊維に定着することが困難であるため、硫酸バンドを併用して、pH4.5〜6.5の酸性域で抄造が行われてきた。そのため、成紙の経時品質劣化が大きい、廃水処理が煩雑になる、抄造機器が腐食される等の問題や安価な填料である炭酸カルシウムを使用する場合には分解により炭酸ガスが発生するといった問題があった。
これらの問題を解決するため、近年、pH6.5〜8.0の中性領域でのサイジング方法が注目され、填料として安価な炭酸カルシウムの利用、炭酸カルシウムを含む損紙あるいは古紙の利用、抄紙系のクローズド化が行われるようになってきた。中性サイズ剤としては、ケテンダイマー系サイズ剤、置換環状ジカルボン酸無水物系サイズ剤、カチオン性不飽和単量体と疎水性不飽和単量体との共重合体等が用いられるが、使用上の簡便さ及びその優れたサイズ性からケテンダイマー系サイズ剤が広く用いられている。
ケテンダイマー系サイズ剤は、少量の添加で高いサイズ効果を示す特長を有するが、内添型製紙用薬品および塗工型製紙用薬品として使用した場合に、機械的安定性に問題があり析出物を発生させる、サイズ効果を発現するまでに時間を要するため抄紙直後にサイズ効果の管理ができない、摩擦係数を低下させるため紙が滑りやすくなるなどの問題があった。
また、ケテンダイマー系サイズ剤は、澱粉、特に、カチオン化澱粉を含む水性連続相に分散した分散液として使用されることが多いが、ケテンダイマーは水と反応しやすいため、安定な水性分散液を得ることは難しく、特に、加熱条件下で機械的衝撃が与えられた場合に分散物の安定性が損なわれ、ケテンダイマーあるいはその分解物が析出し凝集物として堆積してくる問題があった。そのため、サイズ効果を発揮するケテンダイマー有効成分が減少するためにサイズ効果も低下するといった問題があった。
ところで、サイズ効果を発現するまでに時間を要する現象は、一般に、サイズ効果の立ち上がり性と呼ばれている。サイズ効果の立ち上がり性の悪さは、サイズプレス等で表面サイズ剤を塗布する場合にその吸液量が制御できず、吸液量が増加するため断紙が起こる、塗布紙を乾燥するのに必要な熱量が増加する等の問題を引き起こす。サイズ効果の立ち上がり性を解決するために、ケテンダイマー系サイズ剤の添加量を増加することで対応しようとすると、ケテンダイマーの素材がワックス成分であるため紙の摩擦係数が低下し紙が滑り易くなる問題を引き起こす。このような問題を解決すべく、ケテンダイマー系サイズ剤を特定のカチオン性ビニルモノマーと非イオン性化合物の重合体を分散剤として用いることで、当該問題を解決する方法が提案されている。(特許文献1)しかし、当該方法によれば立ち上がり性が向上するものの、ケテンダイマー系サイズ剤の安定性の問題があった。そのため、ケテンダイマーのサイズ立ち上がり性を改良し、できるだけ少ない添加量で高いサイズ効果を発揮する紙の製造方法が望まれていた。
本発明は、抄紙装置の汚れを軽減し操業性を高め、高いサイズ性およびサイズ効果の立ち上がり性を有し、摩擦係数の低下のない紙の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題を解決すべく検討したところ、特定の重合体とケテンダイマー系サイズ剤を用いることで、前記を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、少なくとも一般式(1):
(式中、R1およびR2は、水素またはメチル基を、R3は、水素または炭素数1〜4のアルキル基を示す)で示されるジアリルアミン(a1)及び(メタ)アクリルアミド(a2)を含有する重合成分(a)を重合させて得られる共重合体(A)、並びに融点が40℃以下であるケテンダイマー系サイズ剤(B)を用いて、pH6.0〜9.0でパルプスラリーを抄紙することを特徴とする紙の製造方法。に関する。
本発明によれば、抄紙装置の汚れを軽減し操業性を高め、高いサイズ性およびサイズ効果の立ち上がり性を有し、摩擦係数の低下のない紙の製造方法を提供することができる。
本発明の紙の製造方法は、少なくとも一般式(1):
(式中、R1およびR2は、水素またはメチル基を、R3は、水素または炭素数1〜4のアルキル基を示す)で示されるジアリルアミン(a1)(以下、(a1)成分という)及び(メタ)アクリルアミド(a2)(以下、(a2)成分という)を含有する重合成分(a)(以下、(a)成分という)を重合させて得られる共重合体(A)(以下、(A)成分という)、並びに融点が40℃以下であるケテンダイマー系サイズ剤(B)(以下、(B)成分という)を用いて、pH6.0〜9.0でパルプスラリーを抄紙することを特徴とする。
(a1)成分としては、前記一般式(1)で表わされるものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、たとえば、ジアリルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルエチルアミン、ジアリルブチルアミン、ジメタリルアミンなどが挙げられる。ジアリルアミンの塩としては、前記ジアリルアミンの塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸、又はギ酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸の塩が挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
(a2)成分としては、アクリルアミド及びメタクリルアミドを用いることができる。なお、(a)成分には必要に応じてその他の不飽和単量体(a3)を含有してもよい。その他の不飽和単量体としては、アニオン性単量体(a3−1)(以下、(a3−1)成分という。)、カチオン性単量体(a3−2)(以下、(a3−2)成分という。)、ノニオン性単量体(a3−3)(以下、(a3−3)成分という。)等を含有してもよい。
(a3−1)成分としては、アニオン性官能基を有し、ラジカル重合性官能基を1つ有する単量体であれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。アニオン性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(−SO3H)、リン酸基(−H2PO4)などが挙げられる。具体的には、カルボキシル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のα、β−不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸等のα、β−不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。スルホン酸基(−SO3H)含有単量体としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。リン酸基(−H2PO4)含有モノマーとしては、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフエート、3−(メタ)アクリロイロキシプロピルアシッドホスフエートなどが挙げられる。なお、これらのアニオン性官能基は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩類やアンモニアやアミン類によるアンモニウム塩といった塩となっていてもよい。これらの単量体は1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、α、β−不飽和モノカルボン酸、α、β−不飽和ジカルボン酸およびこれらの塩が、サイズ効果を大きく向上させる点で好ましい。
(a3−2)成分としては、カチオン性官能基を有し、ラジカル重合性官能基を1つ有する単量体であって、(a1)成分以外のものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。カチオン性官能基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基などが挙げられる。これらの具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルアミン等が挙げられる。なお、これらのカチオン性官能基は、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸などの無機酸あるいは有機酸の塩類となっていてもよい。また、3級アミノ基は、一部または全部が4級化剤で4級アンモニウムイオンとされていてもよい。4級化剤としては、たとえば、メチルクロライド、メチルブロマイド等のアルキルハライド、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド等のアリールアルキルハライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、エピクロロヒドリン、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジルトリアルキルアンモニウムクロライド、スチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。これらのモノマーは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
(a3−3)成分としては、(a3−1)成分及び(a3−2)成分以外のラジカル重合性官能基を1つ有する単量体であれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、たとえば、炭素数1〜8のアルコール等のアルコール類とアクリル酸もしくはメタクリル酸とのエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、スチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル等が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
また、(a)成分には必要に応じて架橋性単量体(a3−4)(以下、(a3−4)成分という。)を用いることもできる。(a3−4)成分は、ラジカル重合性官能基を少なくとも2つ有するものであれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン・エチレンオキサイド付加物トリアクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ビスアクリルアミド酢酸、N,N’−ビスアクリルアミド酢酸メチル、N,N−ベンジリデンビスアクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルサクシネート、ジアリルアクリルアミド、ジビニルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、N,N−ジアリルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルクロレンデート、グリシジル(メタ)アクリレート等の2官能単量体、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、N,N−ジアリルアクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルトリメリテート等の3官能単量体、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラアリルピロメリテート、N,N,N’,N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、テトラアリルアミン塩、テトラアリルオキシエタン等の4官能単量体等が挙げられる。
(A)成分は(a1)成分及び(a2)成分を必須成分とする重合成分を重合して得られる。(a1)成分及び(a2)成分の使用量は、通常、(a1)成分が1〜50モル%、(a2)成分が50〜99モル%である。(a3)成分の使用量は、通常、0〜5モル%である。(a3)成分を使用する場合には、(a3−1)〜(a3−4)成分は、(a1)成分を1〜50モル%、(a2)成分を50〜98.9モル%、(a3−1)成分を0〜4モル%、(a3−2)成分を0〜4モル%、(a3−3)成分を0〜3モル%、(a3−4)成分を0〜1モル%使用することができる。なお、(a1)成分、(a2)成分、(a3)成分を用いることが、紙への歩留まりが向上し良好なサイズ効果が得られる点で好ましく、(a1)成分を2〜30モル%、(a2)成分を69.9〜97.9モル%、(a3)成分を0.1〜3モル%とすることが、更に良好なサイズ効果が得られる点で好ましい。
(A)成分は、(a)成分を重合させることにより得られる。(a)成分の重合法は特に限定されず、公知のラジカル重合法を採用することができる。
このようにして得られた(A)成分は、25℃における15%水溶液粘度が300〜30000mPa・sである。
本発明で用いられる(B)成分としては、融点(JIS K−7121「プラスチックの転移温度測定方法」に基づく示差走査熱量測定(DSC)により測定した)が40℃以下のアルキルケテンダイマー、アルケニルケテンダイマーを使用することができる。具体的には、たとえば、一般式(2):
(式中、R4及びR5は炭素数6〜30の飽和炭化水素基又は炭素数6〜30の不飽和炭化水素基であり、R4及びR5は、同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる化合物を用いることができる。一般式(2)において、R4又はR5の炭化水素基は、例えば、へキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル等のアルキル基、オクテニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、エイコセニル等のアルケニル基、オクチルフェニル、ノニルフェニル、ドデシルフェニル等の置換フェニル基、ノニルシクロヘキシル等の置換シクロアルキル基、フェニルエチル等のアラルキル基などである。R4、R5は直鎖状の炭化水素に限定されるものではなく、分岐状のものや環状のものであってもよい。オクタデシルケテンダイマー、ヘキサデシルケテンダイマー、テトラデシルケテンダイマー、ドデシルケテンダイマーなどが挙げられる。なお、ケテンダイマーは異なる脂肪酸の混合物を二量化したものでもよい。(B)成分としては、炭素数6〜22のアルキル基を有する脂肪酸または炭素数6〜22のアルケニル基を有する脂肪酸から誘導されたものが、エマルジョンの機械的安定性が良好であり良好なサイズ効果を示す点から好ましい。なお、軟化点を40℃以下とするには、他の添加物を併用してもよい。軟化点を調整する際に用いる添加物としては、パラフィンオイル、ショ糖エステル、トリメリット酸トリエステル、脂肪酸トリグリセライド、脂肪酸アミド等が挙げられる。通常、(B)成分は公知の方法で乳化して、乳化物として使用してもよい。(B)成分の乳化法は、特に限定されず公知の方法によればよく、例えば、各種公知の界面活性剤の存在下、ケテンダイマーを分散させることにより得られる。分散に用いる方法としては、強制乳化、反転乳化、溶剤乳化等の方法が挙げられるが、高圧ホモジナイザーを使用する強制乳化法が好ましい。乳化に用いる乳化分散剤としては、例えば、カチオン化澱粉、リグニンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等が挙げられる。乳化分散剤の使用量は特に限定されないが、通常、乳化対象物であるケテンダイマー100重量部に対し、固形分重量比で5〜100重量%程度用いる。
(A)成分と(B)成分の使用量は特に限定されないが、通常、共重合体(A)とケテンダイマー(B)との固形分重量比(A/B)が0.5/9.5〜8.5/1.5程度とすることが、最もサイズ効果が向上するため好ましい。
本発明の紙の製造方法で用いるパルプスラリーの原料パルプとしては特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、クラフトパルプあるいはサルファイトパルプ等の晒あるいは未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプあるいはサーモメカニカルパルプ等の晒あるいは未晒高収率パルプ、新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙あるいは脱墨古紙等の古紙パルプ等が挙げられる。
紙中には(A)成分、(B)成分以外に、必要に応じて、通常使用される程度の製紙用薬品として、澱粉、各種変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ポリアミドポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、ポリアクリルアミド共重合体等の紙力増強剤、歩留り向上剤、染料、蛍光染料、スライムコントロール剤、消泡剤等の紙及び板紙の製造で使用される添加剤を使用することができる。パルプスラリーに添加する場合の(A)成分、(B)成分の添加量は絶乾パルプ重量に対して、固形分換算で0.005〜0.5%が好ましい。
また、(A)成分及び(B)成分は、紙中に添加せずに抄紙した紙に塗工してもよい。塗工は、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、キャレンダー等を用いて行えばよい。なお、必要に応じて、(A)成分、(B)成分以外に、澱粉、水溶性セルロース(カルボキシメチルセルロース)、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリルアミド共重合体、染料、コーティングカラー、防滑剤等を塗布してもよい。塗工する場合の(A)成分、(B)成分の塗布量(固形分)は、0.0005〜0.5g/m2が好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
合成例1(ジアリルアミン/アクリルアミド共重合物の製造)
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応装置に、イオン交換水1330.0部、ジアリルアミン7.8部(0.08モル)を仕込んだ後、35%希硫酸にてpHを7に調整した。窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、70℃まで加熱しイオン交換水過硫酸アンモニウム3.5部添加し、次いで、70℃で50%アクリルアミド水溶液549.4部(3.92モル)を2時間かけて添加し、70℃で2時間保温した。重合終了後、イオン交換水を加え、不揮発分15.5%、pH3.7、粘度(25℃)3600 mPa・sのアクリルアミド共重合体(A)を得た。
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応装置に、イオン交換水1330.0部、ジアリルアミン7.8部(0.08モル)を仕込んだ後、35%希硫酸にてpHを7に調整した。窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、70℃まで加熱しイオン交換水過硫酸アンモニウム3.5部添加し、次いで、70℃で50%アクリルアミド水溶液549.4部(3.92モル)を2時間かけて添加し、70℃で2時間保温した。重合終了後、イオン交換水を加え、不揮発分15.5%、pH3.7、粘度(25℃)3600 mPa・sのアクリルアミド共重合体(A)を得た。
合成例2〜12(ジアリルアミン/アクリルアミド共重合物の製造)
合成例1において、各成分の種類および使用割合を表1記載のものに変更したほかは、合成例1と同様の方法により重合体(A)を得た。なお、アクリル酸、イタコン酸を使用する場合は50%アクリルアミド水溶液に添加した後に10%水酸化ナトリウム水溶液を添加しpH7に調整し、また、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレートを併用する場合は50%アクリルアミド水溶液に中和に必要な35%希硫酸を添加した後にN,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレートを添加しpH7で合成を行った。結果を表1に示す。
合成例1において、各成分の種類および使用割合を表1記載のものに変更したほかは、合成例1と同様の方法により重合体(A)を得た。なお、アクリル酸、イタコン酸を使用する場合は50%アクリルアミド水溶液に添加した後に10%水酸化ナトリウム水溶液を添加しpH7に調整し、また、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレートを併用する場合は50%アクリルアミド水溶液に中和に必要な35%希硫酸を添加した後にN,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレートを添加しpH7で合成を行った。結果を表1に示す。
合成例13(ケテンダイマー系サイズ剤の調製)
融点が37℃であるケテンダイマー(ミリスチン酸50%、パルミチン酸50%の混合物を原料としたもの)80部と予め90℃で1時間糊化された10%カチオン化澱粉糊液(窒素含有率0.50〜0.60%、酸化澱粉をグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドにてカチオン変性したもの)185部、アニオン性分散剤(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、花王(株)製)の40%水溶液3.75部および水131.25部を仕込み、70〜80℃に加熱し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)で予備分散させた後、同温度にて25MPaの条件下に高圧ホモジナイザー(APV.GAULIN社製)に2回通して分散させた。直ちに25℃まで冷却し、濃度調整のための水を更に加え、不揮発分20.5%、粘度12.5mPa・s(25℃)、pH3.5(25℃)、平均粒子径0.7μmのケテンダイマー系サイズ剤(B)を得た。なお各測定値は以下の測定法による。
融点が37℃であるケテンダイマー(ミリスチン酸50%、パルミチン酸50%の混合物を原料としたもの)80部と予め90℃で1時間糊化された10%カチオン化澱粉糊液(窒素含有率0.50〜0.60%、酸化澱粉をグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドにてカチオン変性したもの)185部、アニオン性分散剤(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、花王(株)製)の40%水溶液3.75部および水131.25部を仕込み、70〜80℃に加熱し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)で予備分散させた後、同温度にて25MPaの条件下に高圧ホモジナイザー(APV.GAULIN社製)に2回通して分散させた。直ちに25℃まで冷却し、濃度調整のための水を更に加え、不揮発分20.5%、粘度12.5mPa・s(25℃)、pH3.5(25℃)、平均粒子径0.7μmのケテンダイマー系サイズ剤(B)を得た。なお各測定値は以下の測定法による。
合成例14、15(ケテンダイマー系サイズ剤の調製)
合成例13において、ケテンダイマーの種類を表2に示すように変え、合成例13と同様の方法によりケテンダイマー系サイズ剤(B)を得た。結果を表2に示す。
合成例13において、ケテンダイマーの種類を表2に示すように変え、合成例13と同様の方法によりケテンダイマー系サイズ剤(B)を得た。結果を表2に示す。
(試験方法)
(機械的安定性試験)
ケテンダイマー系サイズ剤の調製で得たサイズ剤50gを40℃に加熱した後に、試験用容器に入れ、荷重98N、回転数1000rpmにて5分間マーロン式安定性試験を行った。生成した凝集物を350メッシュ金網にて濾別して全固形分に対する析出量を測定し百分率で表した。その結果を表−2に示した。使用機器はMARON(新星産業(株)製)。
(機械的安定性試験)
ケテンダイマー系サイズ剤の調製で得たサイズ剤50gを40℃に加熱した後に、試験用容器に入れ、荷重98N、回転数1000rpmにて5分間マーロン式安定性試験を行った。生成した凝集物を350メッシュ金網にて濾別して全固形分に対する析出量を測定し百分率で表した。その結果を表−2に示した。使用機器はMARON(新星産業(株)製)。
(吸水度試験〔コッブ法〕)
JIS P−8140に準拠して、コッブ値(g/m2)を測定した。水との接触時間は2分間とし、数値が小さいほど良好なサイズ度を表す。
JIS P−8140に準拠して、コッブ値(g/m2)を測定した。水との接触時間は2分間とし、数値が小さいほど良好なサイズ度を表す。
(ステキヒトサイズ度)
JIS P−8122に準拠して、ステキヒトサイズ度(秒)を測定した。数値が大きいほど良好なサイズ度を表す。
JIS P−8122に準拠して、ステキヒトサイズ度(秒)を測定した。数値が大きいほど良好なサイズ度を表す。
(すべり角度〔傾斜方法〕)
JIS P−8147の傾斜方法に準拠して静摩擦係数を測定した。すべり角度が小さいほど滑りやすい。
JIS P−8147の傾斜方法に準拠して静摩擦係数を測定した。すべり角度が小さいほど滑りやすい。
(平均粒子径)
レーザー回折・散乱法による粒子径測定装置LASER DIFFRACTION PARTICLE SIZE ANALYZER SALD−2000J((株)島津製作所製)で測定した。
レーザー回折・散乱法による粒子径測定装置LASER DIFFRACTION PARTICLE SIZE ANALYZER SALD−2000J((株)島津製作所製)で測定した。
(pH)
ガラス電極pHメーター((株)堀場製作所製)を用い、塗工液の温度を40℃に調整して測定した。
ガラス電極pHメーター((株)堀場製作所製)を用い、塗工液の温度を40℃に調整して測定した。
(粘度)
サンプルの温度25℃とし、ブルック・フィールド粘度計を使用して粘度を測定した。
サンプルの温度25℃とし、ブルック・フィールド粘度計を使用して粘度を測定した。
実施例1〜16、比較例1〜4
段ボール古紙(灰分12%含有)をパルプ濃度2.0%になる量の水道水を加えビーターを用いて380mlカナディアン・スタンダード・フリーネスまで叩解した。叩解したパルプスラリーを更に水道水で希釈しパルプ濃度1.0%に調整した。このパルプスラリーに5%水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.8とした後、対パルプ固形分に対し硫酸バンド0.5%、ケテンダイマー系サイズ剤(B)を固形分として0.1%、合成例1〜12で得られた重合体(A)を表2に記載の添加量となるように順次添加した。抄紙機(Tappi Standard Sheet Machine(角型))で、坪量90g/m2となるように抄紙した。手抄きした湿紙を線圧5.5kg/cm、送り速度2m/minの条件のロールプレス機で脱水した。湿紙の乾燥は、回転式ドライヤーを用いて80℃で150秒間の条件で行った。得られた試験紙の乾燥直後、および、恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿した後のコッブサイズ度を測定した。その結果を表3に示した。
段ボール古紙(灰分12%含有)をパルプ濃度2.0%になる量の水道水を加えビーターを用いて380mlカナディアン・スタンダード・フリーネスまで叩解した。叩解したパルプスラリーを更に水道水で希釈しパルプ濃度1.0%に調整した。このパルプスラリーに5%水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.8とした後、対パルプ固形分に対し硫酸バンド0.5%、ケテンダイマー系サイズ剤(B)を固形分として0.1%、合成例1〜12で得られた重合体(A)を表2に記載の添加量となるように順次添加した。抄紙機(Tappi Standard Sheet Machine(角型))で、坪量90g/m2となるように抄紙した。手抄きした湿紙を線圧5.5kg/cm、送り速度2m/minの条件のロールプレス機で脱水した。湿紙の乾燥は、回転式ドライヤーを用いて80℃で150秒間の条件で行った。得られた試験紙の乾燥直後、および、恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿した後のコッブサイズ度を測定した。その結果を表3に示した。
実施例17〜30、比較例5〜6
晒クラフトパルプ(L−BKP)をパルプ濃度2.0%になる量の水道水を加えビーターを用いて450mlカナディアン・スタンダード・フリーネスまで叩解した。叩解したパルプスラリーを更に水道水で希釈しパルプ濃度1.0%に調整した。このパルプスラリーにパルプ固形分に対し炭酸カルシウム10%、硫酸バンド0.5%、カチオン化澱粉(王子エースK100N)0.7%、ケテンダイマー系サイズ剤0.1%、合成例1〜12で得られた重合体(A)を表2に記載の添加量と歩留剤(パーコール47)0.01%になるように順次添加した。抄紙機(Tappi Standard Sheet Machine(丸型))で、坪量70g/m2となるように抄紙した。手抄きした湿紙を線圧5.5kg/cm、送り速度2m/minの条件のロールプレス機で脱水した。湿紙の乾燥は、回転式ドライヤーを用いて60℃で180秒間の条件で行った。得られた試験紙の乾燥直後、および、得られた試験紙を恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿した後のステキヒトサイズ度を測定した。その結果を表4に示した。なお、填料に炭酸カルシウムを使用しているため抄紙pHは8.5と一定である。
晒クラフトパルプ(L−BKP)をパルプ濃度2.0%になる量の水道水を加えビーターを用いて450mlカナディアン・スタンダード・フリーネスまで叩解した。叩解したパルプスラリーを更に水道水で希釈しパルプ濃度1.0%に調整した。このパルプスラリーにパルプ固形分に対し炭酸カルシウム10%、硫酸バンド0.5%、カチオン化澱粉(王子エースK100N)0.7%、ケテンダイマー系サイズ剤0.1%、合成例1〜12で得られた重合体(A)を表2に記載の添加量と歩留剤(パーコール47)0.01%になるように順次添加した。抄紙機(Tappi Standard Sheet Machine(丸型))で、坪量70g/m2となるように抄紙した。手抄きした湿紙を線圧5.5kg/cm、送り速度2m/minの条件のロールプレス機で脱水した。湿紙の乾燥は、回転式ドライヤーを用いて60℃で180秒間の条件で行った。得られた試験紙の乾燥直後、および、得られた試験紙を恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿した後のステキヒトサイズ度を測定した。その結果を表4に示した。なお、填料に炭酸カルシウムを使用しているため抄紙pHは8.5と一定である。
実施例31〜44、比較例7〜9
段ボール古紙(灰分12%含有)をパルプ濃度2.0%になる量の水道水を加えビーターを用いて380mlカナディアン・スタンダード・フリーネスまで叩解した。叩解したパルプスラリーを更に水道水で希釈しパルプ濃度1.0%に調整した。このパルプスラリーに5%水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.8とした後、対パルプ固形分に対し硫酸バンド0.5%を添加した。抄紙機(Tappi Standard Sheet Machine(角型))で、坪量90g/m2となるように抄紙した。手抄きした湿紙を線圧5.5kg/cm、送り速度2m/minの条件のロールプレス機で脱水した。湿紙の乾燥は、回転式ドライヤーを用いて100℃で150秒間の条件で行った。次に、この原紙に、重合体(A)の濃度を0.003〜0.03%、ケテンダイマー系サイズ剤(B)の濃度を0.03%にした混合液をバーコーターを用いて塗工した後、105℃の回転式ドラムドライヤーに1分間通して乾燥させて塗工紙を得た。得られた試験紙の乾燥直後のコッブサイズ度、および、得られた試験紙を恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿した後の紙質効果を測定した。結果を表5に示す。なお、表5中、成分(A)及び成分(B)の量は付着量の固形分量を示す。
段ボール古紙(灰分12%含有)をパルプ濃度2.0%になる量の水道水を加えビーターを用いて380mlカナディアン・スタンダード・フリーネスまで叩解した。叩解したパルプスラリーを更に水道水で希釈しパルプ濃度1.0%に調整した。このパルプスラリーに5%水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.8とした後、対パルプ固形分に対し硫酸バンド0.5%を添加した。抄紙機(Tappi Standard Sheet Machine(角型))で、坪量90g/m2となるように抄紙した。手抄きした湿紙を線圧5.5kg/cm、送り速度2m/minの条件のロールプレス機で脱水した。湿紙の乾燥は、回転式ドライヤーを用いて100℃で150秒間の条件で行った。次に、この原紙に、重合体(A)の濃度を0.003〜0.03%、ケテンダイマー系サイズ剤(B)の濃度を0.03%にした混合液をバーコーターを用いて塗工した後、105℃の回転式ドラムドライヤーに1分間通して乾燥させて塗工紙を得た。得られた試験紙の乾燥直後のコッブサイズ度、および、得られた試験紙を恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿した後の紙質効果を測定した。結果を表5に示す。なお、表5中、成分(A)及び成分(B)の量は付着量の固形分量を示す。
Claims (5)
- 前記共重合体(A)が、ジアリルアミン(a1)1〜50モル%、(メタ)アクリルアミド(a2)50〜99モル%及びその他の不飽和単量体(a3)を0〜5モル%含有するものである請求項1または2に記載の紙の製造方法。
- 前記その他の不飽和単量体(a3)が、α、β−不飽和モノカルボン酸、α、β−不飽和ジカルボン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体である、請求項1または2に記載の紙の製造方法。
- ケテンダイマー(B)が、炭素数6〜22のアルキル基またはアルケニル基を有する脂肪酸から誘導されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の紙の製造方法。
- 共重合体(A)とケテンダイマー(B)との固形分重量比(A/B)が0.5/9.5〜8.5/1.5である、請求項1〜4のいずれかに記載の紙の製造方法。
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2011
- 2011-03-31 JP JP2011080468A patent/JP2012214924A/ja active Pending
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