JP5769986B2 - 衛生薄葉紙の製造方法 - Google Patents

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本発明は、トイレットペーパーやティシューペーパーとして好適な衛生薄葉紙の製造方法に関する。
従来、トイレットペーパーやティシューペーパーなどの衛生薄葉紙に求められる品質として、例えば「柔らかさ(風合い)」があるが、この風合い効果を高めるために、製造工程において、柔軟剤を添加する技術が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
ここで、衛生薄葉紙は、例えば、周知の湿式方法により製造される。湿式方法とは、原料から繊維(パルプ)の懸濁液である紙料を調整する紙料調整工程と、紙料から繊維を抄いて繊維ウェブとしたものを搬送しながら乾燥する抄紙工程とを有するものである。
具体的に、紙料調整工程では、図1に示すように、パルパー1において原料となるパルプを水に解させ、水に解されたパルプ原料の濃度調整を行うタンク(以下、DDR前タンク)2を介して、公知の叩解機であるダブルディスクリファイナー(以下、DDR)3に原料が送られる。このDDR3において原料に対しての叩解処理が行われ、叩解処理後の原料に対して、ミキシングタンク4、マシンタンク5、種箱6、といった各配合調整段階において、各種添加剤(例えば、歩留向上剤、乾燥紙力増強剤、定着剤等)が任意の段階で添加されることで、紙料が調整される。紙料調整後の紙料は、公知の抄紙工程、具体的には、インレット、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパート、カレンダパート等を経るなどして、衛生薄葉紙となる。
そして、衛生薄葉紙の風合い効果を高めるための柔軟剤は、一般に、紙料調整工程における種箱6において添加されていた。
WO2005/054577号公報 特開2006−283233号公報 特開2008−223161号公報 特開2006−097191号公報 特開2009−221631号公報
しかしながら、柔軟剤を種箱6において添加する方法では、次の抄紙工程に移行するまでの時間が数秒と短いため、柔軟剤が定着するまでの時間を十分に取れず、十分な風合い効果を得ることができなかった。
本発明の目的は、柔軟剤の定着率を高め、風合い効果を向上させた衛生薄葉紙を製造することである。
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、原料から繊維の懸濁液である紙料を調整する紙料調整工程と、
前記紙料から繊維を抄いて繊維ウェブとしたものを搬送しながら乾燥する抄紙工程と、
を含む衛生薄葉紙の製造方法であって、
前記紙料調整工程は、
種箱に前記原料が送られる前の段階において柔軟剤を添加する第1添加工程と、
前記種箱において柔軟剤を添加する第2添加工程と、
を含み、
前記柔軟剤の添加量は、前記第2添加工程よりも前記第1添加工程の方が多いことを特徴とする
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衛生薄葉紙の製造方法において、前記紙料調整工程は、
DDR前タンクで水に解されたパルプ原料の濃度調整を行う工程と、
ミキシングタンクで添加剤とパルプ原料を混合させる工程と、を有し、
前記第1添加工程は、
前記DDR前タンクにおいて柔軟剤を添加する工程又は前記ミキシングタンクにおいて柔軟剤を添加する工程であることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の衛生薄葉紙の製造方法において、前記柔軟剤の添加量比は、前記第2添加工程が0.3に対して、前記第1添加工程が0.5〜1.0であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、原料から繊維の懸濁液である紙料を調整する紙料調整工程と、
前記紙料から繊維を抄いて繊維ウェブとしたものを搬送しながら乾燥する抄紙工程と、
を含む衛生薄葉紙の製造方法であって、
前記紙料調整工程は、
種箱に前記原料が送られる前の段階において柔軟剤を添加する第1添加工程と、
前記種箱において柔軟剤を添加する第2添加工程と、
を含み、
前記柔軟剤の添加量比は、前記第2添加工程が0.3に対して、前記第1添加工程が0.5〜1.0であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、原料から繊維の懸濁液である紙料を調整する紙料調整工程において、種箱に原料が送られる前の段階(第1添加工程)、及び種箱(第2添加工程)において柔軟剤が添加されることで衛生薄葉紙が製造されるので、種箱(第2添加工程)においてのみ柔軟剤が添加される場合と比べ、柔軟剤の定着率を高めることができ、風合い効果を向上させることができる。
また、柔軟剤の添加量は、第2添加工程よりも第1添加工程の方が多いこととなり、第2添加工程においてのみ柔軟剤が添加される場合と比べ、柔軟剤の定着率を高めることができ、風合い効果を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、DDR前タンク又はミキシングタンクにおいて柔軟剤が添加されることとなり、従来の製造工程を利用して柔軟剤を添加することができるので、容易に柔軟剤の定着率を高めることができる。
請求項に記載の発明によれば、柔軟剤の添加量比は、第2添加工程が0.3に対して、第1添加工程が0.5〜1.0であることとなり、第2添加工程においてのみ柔軟剤が添加される場合と比べ、確実に柔軟剤の定着率を高めることができ、風合い効果を向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、原料から繊維の懸濁液である紙料を調整する紙料調整工程において、種箱に原料が送られる前の段階(第1添加工程)、及び種箱(第2添加工程)において柔軟剤が添加されることで衛生薄葉紙が製造されるので、種箱(第2添加工程)においてのみ柔軟剤が添加される場合と比べ、柔軟剤の定着率を高めることができ、風合い効果を向上させることができる。
また、柔軟剤の添加量比は、第2添加工程が0.3に対して、第1添加工程が0.5〜1.0であることとなり、第2添加工程においてのみ柔軟剤が添加される場合と比べ、確実に柔軟剤の定着率を高めることができ、風合い効果を向上させることができる。
衛生薄葉紙の製造に係る紙料調整工程について示した図である。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態に係る衛生薄葉紙は、例えば、ティシューペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、クレープ紙等に適用可能なものである。
本実施形態に係る衛生薄葉紙を構成する原紙は、原料パルプを主原料とする薄葉紙用抄紙原料により製造できる。その原料パルプは、特に限定されるものではなく、衛生薄葉紙の具体的な用途に応じて適宜の原料パルプを選択し、また適宜配合して使用することができる。
原料パルプを例示すれば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、またそれらの未漂白パルプ、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
特に、原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合配合割合としては、NBKP:LBKP=30:70〜50:50がよく、特に、NBKP:LBKP=40:60が望ましい。
原料パルプ等の原料は、例えば、公知の抄紙工程、具体的には、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパート、サイズプレス、カレンダパート等を経るなどして薄葉紙とする。抄紙に際しては、例えば、分散剤、苛性ソーダ、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動変性剤、歩留向上剤などの適宜の薬品を添加することができる。
また、本実施形態に係る衛生薄葉紙は、例えば、全体として高級感等を演出する効果を得るために、地色が白色に限らず薄いピンクやブルーであってもよく、或いは着色されないパルプ自体の色が現出したものであってもよい。なお、薄葉紙自体の地色の調整は、技術に従って着色した抄紙原料を用いて抄紙するなど既知の技術により達成できる。
また、本実施形態に係る衛生薄葉紙の米坪は、その用途によって適宜調整することができるが、米坪は10〜30g/mの範囲内にあるものを使用するのが望ましい。米坪が10g/m未満では、柔らかさの向上の観点からは好ましいものの、使用に耐えうる十分な強度を適正に確保することが困難となる。逆に、米坪が30g/mを超えると紙全体が硬くなるとともに、ゴワ付き感が生じてしまい肌触りが悪くなる。なお、坪量の測定方法としては、例えば、JIS P8124に準じた方法等が挙げられる。
また、本実施形態に係る衛生薄葉紙に添加される柔軟剤の代表例は、界面活性剤系の柔軟剤であり、その柔軟剤としては、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性イオン界面活性剤のなかから適宜選択して使用することができる。アニオン系界面活性剤としては、カルボン酸塩系、スルホン酸塩系、硫酸エステル塩系、燐酸エステル塩系などを使用することができる。特に、アルキル燐酸エステル塩が好ましい。
非イオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノステアレート、ジエチレングリコールモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレート、プロピレングリコールモノステアレートなどの多価アルコールモノ脂肪酸エステル、N−(3−オレイロシキ−2−ヒドロキシプロピル)ジエタノールアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビット密ロウ、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどを使用することができる。
カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、アミン塩、又はアミンなどを使用することができる。柔軟剤としては、このカチオン界面活性剤を使用するのが望ましい。
また、両性イオン界面活性剤としては、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体、又は複素環式第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体などを使用することができる。
次に、本実施形態に係る衛生薄葉紙の製造方法について説明する。
本実施形態に係る衛生薄葉紙は、従来の湿式方法により製造されるものである(図1参照)。即ち、この製造方法にあっては、原料から繊維(パルプ)の懸濁液である紙料を調整する紙料調整工程と、紙料から繊維を抄いて繊維ウェブとしたものを搬送しながら乾燥する抄紙工程と、を経て製造される。
そして、本実施形態に係る衛生薄葉紙は、紙料調整工程において、原料に対して、二回に分けて柔軟剤が添加されて製造されるようになっている。具体的には、種箱に原料が送られる前の段階で柔軟剤を添加する第1添加工程、及び種箱において柔軟剤を添加する第2添加工程と、を含んでいる。ここで、種箱に原料が送られる前の段階とは、例えば、DDR前タンク2、ミキシングタンク4、マシンタンク5などである。
即ち、紙料調整工程では、まず、パルパー1により原料となるパルプを水に解させる。
次に、水に解されたパルプ原料の濃度調整をDDR前タンク2にて行う。この工程で柔軟剤を添加することもできる。
そして、DDR3によりパルプ原料を叩解させることで繊維同士を絡めあわせ、紙力強度を調整する。
DDR3にて紙力強度が調整されたパルプ原料は、ミキシングタンク4において柔軟剤や保湿剤と混合される。
ミキシングタンク4において混合された原料は、マシンタンク5で一時貯留される。
最後に、種箱6において、各種添加剤(例えば、歩留向上剤、乾燥紙力増強剤、定着剤等)や柔軟剤が添加され、紙料の調整が行われる。
なお、本実施形態では、柔軟剤を二回に分けて添加するようにしているが、柔軟剤の添加量は、種箱(第2添加工程)よりも種箱に原料が送られる前の段階(第1添加工程)の方が多いことが望ましい。より具体的には、柔軟剤の添加量比は、第2添加工程が0.3に対して、第1添加工程が0.5〜1.0であることが望ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例にあっては、衛生薄葉紙としてトイレットペーパーを用いた。また、柔軟剤としてアミド系カチオン性柔軟剤を使用した。
(柔軟剤定着率の測定)
以下の実施例1〜3、比較例1〜3の条件でトイレットペーパーを製造し、各トイレットペーパーの柔軟剤定着率を測定した。
<実施例1>
Aライン内で、ミキシングタンクにおいて柔軟剤を1.0kg/t、種箱において柔軟剤を0.3kg/t、合わせて1.3kg/tの柔軟剤を添加して、トイレットペーパーを製造した。
<比較例1>
Aライン内で、種箱において1.2kg/tの柔軟剤を添加して、トイレットペーパーを製造した。
<実施例2>
Bライン内で、DDR前タンクにおいて柔軟剤を1.0kg/t、種箱において柔軟剤を0.3kg/t、合わせて1.3kg/tの柔軟剤を添加して、トイレットペーパーを製造した。
<比較例2>
Bライン内で、種箱において1.0kg/tの柔軟剤を添加して、トイレットペーパーを製造した。
<実施例3>
Cライン内で、DDR前タンクにおいて柔軟剤を0.5kg/t、種箱において柔軟剤を0.3kg/t、合わせて0.8kg/tの柔軟剤を添加して、トイレットペーパーを製造した。
<比較例3>
Cライン内で、種箱において1.0kg/tの柔軟剤を添加して、トイレットペーパーを製造した。
柔軟剤定着率の測定結果を表1に示す。
Figure 0005769986
[評価]
Aライン内では、表1(A)に示すように、実施例1において、柔軟剤定着率が46%のトイレットペーパーが得られた。一方、比較例1において、柔軟剤定着率が33%のトイレットペーパーが得られた。
Bライン内では、表1(B)に示すように、実施例2において、柔軟剤定着率が100%のトイレットペーパーが得られた。一方、比較例2において、柔軟剤定着率が80%のトイレットペーパーが得られた。
Cライン内では、表1(C)に示すように、実施例3において、柔軟剤定着率が100%のトイレットペーパーが得られた。一方、比較例3において、柔軟剤定着率が70%のトイレットペーパーが得られた。
以上のように、いずれのラインにおいても、種箱に原料が送られる前の段階(第1添加工程)、及び種箱(第2添加工程)で柔軟剤を添加した場合(実施例1〜3)の方が、種箱(第2添加工程)においてのみ柔軟剤を添加した場合(比較例1〜3)よりも、柔軟剤定着率が高いことが分かった。
また、各実施例は、いずれも柔軟剤の添加量が種箱(第2添加工程)よりも種箱に原料が送られる前の段階(第1添加工程)の方が多くなっていることから、柔軟剤の添加量は、第2添加工程よりも第1添加工程の方が多いことが望ましいことが分かった。
特に、各実施例において、種箱(第2添加工程)での柔軟剤の添加量は0.3kg/tであり、種箱に原料が送られる前の段階(第1添加工程)での柔軟剤の添加量は0.5〜1.0kg/tであることから、より好ましい柔軟剤の添加量比は、第2添加工程が0.3に対して、第1添加工程が0.5〜1.0であることが分かった。
(実使用評価結果)
以下の実施例4〜7、比較例4,5の条件で製造されたトイレットペーパーを試験者に実際に使用させ、柔らかさ、ふんわり感、肌触りの良さ、パリパリ感のなさ、の4項目で評価させたうえで、総合的な満足度を評価させた。なお、評価は全て5段階評価で行われ、各試験者による評価の平均値を、それぞれの項目の評価値として算出した。ここで、評価値が大きいほど、各項目における効果が優れているものとする。
<実施例4>
ミキシングタンクにおいて柔軟剤を1.0kg/t、種箱において柔軟剤を0.3kg/t、合わせて1.3kg/tの柔軟剤を添加するとともに、保湿剤を0.5kg/t添加して製造したトイレットペーパーを使用した。なお、使用したトイレットペーパーの紙力強度は縦が292cN、横が87cNであった。
<実施例5>
ミキシングタンクにおいて柔軟剤を1.0kg/t、種箱において柔軟剤を0.3kg/t、合わせて1.3kg/tの柔軟剤を添加するとともに、保湿剤を0.5kg/t添加して製造したトイレットペーパーを使用した。なお、使用したトイレットペーパーの紙力強度は縦が302cN、横が81cNであった。
<実施例6>
ミキシングタンクにおいて柔軟剤を1.0kg/t、種箱において柔軟剤を0.3kg/t、合わせて1.3kg/tの柔軟剤を添加するとともに、保湿剤を0.5kg/t添加して製造したトイレットペーパーを使用した。なお、使用したトイレットペーパーの紙力強度は縦が304cN、横が88cNであった。
<実施例7>
ミキシングタンクにおいて柔軟剤を1.0kg/t、種箱において柔軟剤を0.3kg/t、合わせて1.3kg/tの柔軟剤を添加するとともに、保湿剤を0.5kg/t添加して製造したトイレットペーパーを使用した。なお、使用したトイレットペーパーの紙力強度は縦が272cN、横が80cNであった。
<比較例4>
種箱において0.5kg/tの柔軟剤を添加するとともに、保湿剤を2.5kg/t、助剤を0.5kg/t添加して製造したトイレットペーパーを使用した。なお、使用したトイレットペーパーの紙力強度は縦が286cN、横が90cNであった。
<比較例5>
種箱において1.3kg/tの柔軟剤を添加するとともに、保湿剤を1.5kg/t添加して製造したトイレットペーパーを使用した。なお、使用したトイレットペーパーの紙力強度は縦が223cN、横が62cNであった。
試験者による実使用評価結果を表2に示す。
Figure 0005769986
[評価]
比較例4では、柔らかさが2.3、ふんわり感が2.3、肌触りの良さが2.3、パリパリ感のなさが2.5の評価値が得られ、総合評価が2.3であった。
比較例5では、柔らかさが2.7、ふんわり感が2.7、肌触りの良さが2.9、パリパリ感のなさが2.7の評価値が得られ、総合評価が2.8であった。
これら比較例4,5の総合評価の平均値は、2.55であった。
実施例4では、柔らかさが3.3、ふんわり感が3.2、肌触りの良さが3.5、パリパリ感のなさが3.3の評価値が得られ、総合評価が3.3であった。
実施例5では、柔らかさが3.5、ふんわり感が3.5、肌触りの良さが3.5、パリパリ感のなさが3.5の評価値が得られ、総合評価が3.3であった。
実施例6では、柔らかさが3.2、ふんわり感が3.1、肌触りの良さが3.3、パリパリ感のなさが3.2の評価値が得られ、総合評価が3.4であった。
実施例7では、柔らかさが3.4、ふんわり感が3.4、肌触りの良さが3.3、パリパリ感のなさが3.3の評価値が得られ、総合評価が3.3であった。
これら実施例4〜7の総合評価の平均値は、3.33であった。
以上のように、実施例4〜7と比較例4,5を比較したところ、全ての項目において、実施例4〜7のトイレットペーパーの評価が高いことが分かった。即ち、種箱に原料が送られる前の段階(第1添加工程)、及び種箱(第2添加工程)で柔軟剤を添加した場合(実施例4〜7)の方が、種箱(第2添加工程)においてのみ柔軟剤を添加した場合(比較例4,5)よりも、使用者の満足度が高く、柔軟剤定着率を高めることが風合い効果の向上に寄与することが分かった。
このように、本実施形態に係る衛生薄葉紙の製造方法によれば、原料から繊維の懸濁液である紙料を調整する紙料調整工程において、種箱に原料が送られる前の段階(第1添加工程)、及び種箱(第2添加工程)において柔軟剤が添加されることで衛生薄葉紙が製造されるので、種箱(第2添加工程)においてのみ柔軟剤が添加される場合と比べ、柔軟剤の定着率を高めることができ、風合い効果を向上させることができる。
また、本実施形態に係る衛生薄葉紙の製造方法によれば、DDR前タンク又はミキシングタンクにおいて柔軟剤が添加されることとなり、従来の製造工程を利用して柔軟剤を添加することができるので、容易に柔軟剤の定着率を高めることができる。
また、本実施形態に係る衛生薄葉紙の製造方法によれば、柔軟剤の添加量は、第2添加工程よりも第1添加工程の方が多いこととなり、第2添加工程においてのみ柔軟剤が添加される場合と比べ、柔軟剤の定着率を高めることができ、風合い効果を向上させることができる。
また、本実施形態に係る衛生薄葉紙の製造方法によれば、柔軟剤の添加量比は、第2添加工程が0.3に対して、第1添加工程が0.5〜1.0であることとなり、第2添加工程においてのみ柔軟剤が添加される場合と比べ、確実に柔軟剤の定着率を高めることができ、風合い効果を向上させることができる。
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
1 パルパー
2 DDR前タンク
3 DDR
4 ミキシングタンク
5 マシンタンク
6 種箱

Claims (4)

  1. 原料から繊維の懸濁液である紙料を調整する紙料調整工程と、
    前記紙料から繊維を抄いて繊維ウェブとしたものを搬送しながら乾燥する抄紙工程と、
    を含む衛生薄葉紙の製造方法であって、
    前記紙料調整工程は、
    種箱に前記原料が送られる前の段階において柔軟剤を添加する第1添加工程と、
    前記種箱において柔軟剤を添加する第2添加工程と、
    を含み、
    前記柔軟剤の添加量は、前記第2添加工程よりも前記第1添加工程の方が多いことを特徴とする衛生薄葉紙の製造方法。
  2. 前記紙料調整工程は、
    DDR前タンクで水に解されたパルプ原料の濃度調整を行う工程と、
    ミキシングタンクで添加剤とパルプ原料を混合させる工程と、を有し、
    前記第1添加工程は、
    前記DDR前タンクにおいて柔軟剤を添加する工程又は前記ミキシングタンクにおいて柔軟剤を添加する工程であることを特徴とする請求項1に記載の衛生薄葉紙の製造方法。
  3. 前記柔軟剤の添加量比は、前記第2添加工程が0.3に対して、前記第1添加工程が0.5〜1.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生薄葉紙の製造方法。
  4. 原料から繊維の懸濁液である紙料を調整する紙料調整工程と、
    前記紙料から繊維を抄いて繊維ウェブとしたものを搬送しながら乾燥する抄紙工程と、
    を含む衛生薄葉紙の製造方法であって、
    前記紙料調整工程は、
    種箱に前記原料が送られる前の段階において柔軟剤を添加する第1添加工程と、
    前記種箱において柔軟剤を添加する第2添加工程と、
    を含み、
    前記柔軟剤の添加量比は、前記第2添加工程が0.3に対して、前記第1添加工程が0.5〜1.0であることを特徴とする衛生薄葉紙の製造方法。
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