JP3755443B2 - 古紙再生用添加剤及び再生紙の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、古紙再生用添加剤及び再生紙の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、古紙を原料とする再生紙の嵩高性及び吸油性を向上させ得ると共に、抄紙工程における装置の汚れや再生紙の汚れを低減し得る古紙再生用添加剤、並びにこの古紙再生用添加剤を用いた再生紙の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、資源の有効利用、環境保護などの観点から古紙の再利用の重要性が増加している。古紙の再生は、通常、回収された後、離解して古紙パルプスラリーとし、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等のアルカリ剤、脱墨剤及び過酸化水素、次亜塩素酸塩等の漂白剤を添加し、古紙パルプからインキを脱離させ、次いで脱離インキをフローテーションにより古紙パルプスラリーから分離する方法が採用されている。
古紙を原料とする再生紙にはいくつかの問題点があるが、中でも嵩高性の低下は最大の問題点であった。これは、古紙のパルプ繊維はバージンパルプの繊維に比べて短繊維化しているため、再生紙の崇高性が低くなるためである。
再生紙の嵩高性を向上する方法として、パルプに架橋剤を反応させる方法が開示されている(特開平4−185791号公報、特開平4−185792号公報)。しかしながら、これらの方法は、架橋後の解繊時に繊維が短繊維化し、嵩高性の向上が十分ではない。
【0003】
また架橋剤を使用しないで、嵩高性を向上させる方法も提案されている。例えばジ長鎖アルキル型四級アンモニウム塩を含有する添加剤を使用する方法(特開昭63−165597号公報)、ジアルキル型四級アンモニウム塩及びグリセリンと水又は炭素数4以下の脂肪族アルコールを含有する添加剤を使用する方法(特開平4−100995号公報)、ラノリン及びラノリン誘導体を含有する添加剤を使用する方法(特開昭53−147803号公報)、カチオン性オリゴマーを含有する添加剤を使用する方法(特開昭63−251409号公報)、ポリアミド誘導体を含有する添加剤を使用する方法(特開昭51−38600号公報)が開示されている。
さらに脂肪酸及び脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物からなる添加剤を使用する方法(特開平11−200284号公報)、油脂又は糖アルコール系非イオン性界面活性剤を用いた添加剤を使用する方法(特開平11−200283号公報)、四級アンモニウム塩、アルキルアミン及びベタイン型両性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを併用した添加剤を使用する方法(特開平11−269799号公報)が開示されている。
しかしながら、これらの添加剤を使用する方法においては、再生紙の嵩高性の向上については充分に満足し得るものではなかった。
さらに架橋剤や添加剤を使用しない方法として、物理的に繊維を毛羽立たせ、パルプの嵩高性を向上させるといった方法がある。しかしながら、この方法も嵩高性の向上が不十分であるうえに、煩雑な操作の繰り返しが必要である。
【0004】
また古紙を原料とする再生紙では,古紙中の残インク、接着剤、樹脂等の汚れ原因物質である粘着性異物を多く含み、抄紙装置への付着、紙の汚れなどの品質低下をもたらすなどの問題が発生しやすく、これらの問題の対応も必要である。また、古紙を原料とする再生紙の有効な利用方法として、嵩高性を有すると共に、人体からの油やマシンオイル、軽油などの吸油性を求められるクレープ紙、ティッシュペーパー、人体又は機械等の油取り紙がある。再生紙の吸油性を向上させる方法として、離解機によりパルプ原料を解繊し、繊維の撚れを起こし、さらに、これに水溶性高分子フィルムを積層する方法が開示されている(特開平8−13381号公報)。しかしながら、この方法は、作業が頻雑であると共に、高分子系薬剤を多量に使用しており、再生紙が高価になるのを免れないという欠点を有している。さらに、拭き布の製法としてパルプの長繊維同士を機械的に積層させる方法(特開平5−214654号公報)、油取り紙の製造方法として紙の平面部にエンボス加工により、凹凸を形成させ,吸油性を向上させる方法(特開平11−322536号公報)が開示されているが、これらの方法においては、いずれも充分な吸液性を有するものは得られていないのが実情である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、古紙を原料とする再生紙の嵩高性及び吸油性を向上させると共に、抄紙工程における装置の汚れや再生紙の汚れを低減し得る古紙再生用添加剤、並びにこの古紙再生用添加剤を用いた再生紙の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のアミド誘導体と特定の物質とを所定の割合で含むものが、古紙再生用添加剤としてその目的に適合し得ること、そして、この古紙再生用添加剤を、古紙パルプに対して所定の割合で添加することにより、抄紙工程での装置の汚れを低減し得る上、嵩高性及び吸油性が良好で、かつ汚れの少ない再生紙が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
(1)(a)一般式(I)
【化2】
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキレン基、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜3の整数を示す。)
で表されるアミン化合物に対し、炭素数16〜24の不飽和脂肪族モノカルボン酸20〜100重量%を含む炭素数10〜24の脂肪族モノカルボン酸の中から選ばれる少なくとも一種を1.5〜3.3倍モルの割合で反応させて得られたアミド化物又はその塩と、(b)下記(イ)〜(ニ)の中から選ばれる少なくとも一種とを、重量比95:5ないし80:20の割合で含むことを特徴とする古紙再生用添加剤、(イ)炭素数8〜22の炭化水素基又はアシル基を1個有し、分子量200〜1,000のオキシアルキレン鎖を付加させてなる非イオン性界面活性剤、(ロ)分子量1,200〜12,000のオキシエチレンオキシプロピレン共重合体、(ハ)平均重合度300〜3,000のポリビニルアルコール、(ニ)ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、エピクロルヒドリン−アルキルアミン付加重合物、アリルアミン重合体の酸塩又は四級アンモニウム塩、及びジシアンジアミド−ホルムアルデヒド縮合物の中から選ばれる一種以上のカチオン性ポリマー、及び
(2)上記古紙再生用添加剤を、(a)成分と(b)成分との合計量が古紙パルプに対して0.03〜8重量%になるように添加することを特徴とする再生紙の製造方法、
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の古紙再生用添加剤においては、(a)成分として,脂肪族モノカルボン酸と脂肪族アミン化合物を反応させて得られたアミド化物又はその塩(アミド化物又はその塩を総称してアミド誘導体と称す。)が用いられる。前記脂肪族モノカルボン酸は、炭素数10〜24の脂肪族モノカルボン酸であり、具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸などの不飽和脂肪族カルボン酸が挙げられる。尚、前記不飽和脂肪族モノカルボン酸は、分子中の不飽和結合の数については特に制限はないが、通常不飽和結合1〜3個を有するものが用いられる。
【0009】
これらの脂肪族モノカルボン酸は、一種を単独で用いてよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよく、また、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、豚脂脂肪酸、大豆油脂肪酸、なたね油脂肪酸、トール油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、カカオ油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸等の天然油脂由来の混合脂肪酸及びこれらの水素添加物なども用いることができる。
脂肪族モノカルボン酸の炭素数が10未満では嵩高性及び吸油性の向上効果が充分に発揮されず、また24を超えると添加剤の取り扱いが困難となる。この脂肪族モノカルボン酸の好ましい炭素数は、12〜22であり、特に14〜18が好ましい。
【0010】
また、前記脂肪族モノカルボン酸は、炭素数16〜24の不飽和脂肪族モノカルボン酸を20〜100重量%含むので、添加剤の取り扱い性が良好になるとともに、嵩高性および吸油性改善効果も向上する。不飽和モノカルボン酸としては、炭素数16〜24のもの、例えばパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸およびこれらの不飽和モノカルボン酸を20〜100重量%含む天然の混合脂肪酸である大豆油脂肪酸、パーム油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、カカオ油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、牛脂脂肪酸、豚脂脂肪酸等が挙げられる。より好ましくは、大豆油脂肪酸、オレイン酸、エルカ酸である。
一方、前記脂肪族モノカルボン酸と反応させる脂肪族アミン化合物としては、一般式(I)
【0011】
【化3】
【0012】
で表される化合物が用いられる。
前記一般式(I)において、R1は炭素数1〜4のアルキレン基であり、その具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基が挙げられ、これらは一種又は二種以上含まれていてもよい。R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。nは1〜3の整数である。すなわち本発明における一般式(I)で表されるアミン化合物は、分子中に少なくとも3個のアミノ基を有する化合物である。このような化合物以外では、嵩高性及び吸油性の向上効果が期待できない。
【0013】
本発明において、前記脂肪族モノカルボン酸と一般式(I)で表されるアミン化合物を反応させてアミド化物を得るには、該アミン化合物に対し、脂肪族モノカルボン酸を1.5〜3.3倍モル、好ましくは1.8〜3.1倍モル用い、これらを不活性ガス雰囲気下に加熱し、生成水を反応系外に除去しながら反応させることにより、目的のアミド化物を得る方法が用いられる。
このようにして得られたアミド化物は、そのまま古紙再生用添加剤の(a)成分として使用することができるが、無機酸あるいは有機酸と反応させて塩として使用すると、取り扱いが容易になり、添加剤の(a)成分として使用し易くなる。使用する無機酸としては、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。また、有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、酪酸、シユウ酸、マロン酸、イタコン酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、クエン酸、ヒドロキシ安息香酸、リンゴ酸、ヒドロキシマロン酸、乳酸、サリチル酸、ヒドロキシ吉草酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリン、スルファミン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。これらの中では、有機酸が好ましく、その中でも蟻酸、酢酸およびプロピオン酸が特に好ましい。
塩として使用する場合、アミド化物の全アミン価を測り、全アミン価と当量の有機酸または無機酸を添加して、アミド化物の塩とするのがよい。
【0014】
本発明の古紙再生用添加剤においては、(b)成分として、下記(イ)〜(ニ)成分の中から選ばれる少なくとも一種が用いられる。
(イ)成分は、炭素数8〜22の炭化水素基又はアシル基を1個有し、分子量200〜1,000のオキシアルキレン鎖を付加させてなる非イオン性界面活性剤である。この非イオン性界面活性剤はアルキル基、アルケニル基又はアシル基の炭素数が8〜22である脂肪族アルコールあるいはアルキルフェノール、脂肪酸、ソルビタンアルキルエステル、アルキルアミン、アルカノールアミドに分子量200〜1,000のオキシアルキレン鎖を付加させたものである。ポリオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基単独又はオキシエチレン基とオキシプロピレン基とを含むものを挙げることができる。オキシエチレン基とオキシプロピレン基とを含む場合は、ランダム付加、ブロック付加のいずれであってもよい。この非イオン性界面活性剤の中で、炭化水素基又はアシル基の炭素数8〜18であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビタンモノアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミドなどが好ましい。
【0015】
(ロ)成分は、分子量1,200〜12,000のオキシエチレンオキシプロピレン共重合体であって、このものはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとを共重合させて得られたものであり、オキシエチレン鎖を10〜80重量%の範囲で含むブロック又はランダム共重合体が好ましく、特にオキシエチレン鎖を35〜80重量%の範囲で含むブロック共重合体が好適である。
(ハ)成分は、平均重合度300〜3,000のポリビニルアルコールであって、このポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルのケン化物であり、好ましくは平均重合度が1,500〜3,000、ケン化度が70〜99モル%のものである。
(ニ)成分は、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、エピクロルヒドリン−アルキルアミン付加重合物、アリルアミン重合体の酸塩又は四級アンモニウム塩及びジシアンジアミド−ホルムアルデヒド縮合物の中から選ばれる一種以上のカチオン性ポリマー、好ましくは重量平均分子量5,000〜200,000のカチオン性ポリマーである。
【0016】
本発明の古紙再利用添加剤における前記(a)成分と(b)成分の含有割合は、重量比で99:1ないし60:40の範囲で選定される。この割合が上記範囲を逸脱すると所望の性能を有する古紙再生用添加剤が得られず、本発明の目的が達せられない。該(a)成分と(b)成分の好ましい含有割合は、重量比で95:5ないし80:20の範囲で選定される。
本発明の古紙再生用添加剤は、水に分散して分散液とすることで古紙パルプへの添加が容易となる。
また本発明の添加剤は、製紙工程において一般的に使用される添加薬剤、例えばポリアクリルアミド、植物グァム等の紙力増強剤、アルキルケテンダイマー、ロジン等のサイズ剤、ポリエチレンイミン、カチオン化ポリマー等の濾水性・歩留まり向上剤等と併用することも可能である。
【0017】
また、本発明の再生紙の製造方法によれば、前述の古紙再生用添加剤を、(a)成分と(b)成分との合計量が古紙パルプに対して0.03〜8重量%、好ましくは0.1〜5重量%になるように添加することにより、抄紙工程での装置の汚れを低減し得る上、嵩高性及び吸油性が良好で、かつ汚れの少ない再生紙を容易に製造することができる。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
合成例1
攪拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500ミリリットル容量の4つ口フラスコに、ステアリン酸284.5g(1モル)およびジエチレントリアミン51.5g(0.5モル)を仕込み、窒素雰囲気下、180〜190℃で攪拌した。水を系外へ除去しながら、3時間反応を行い、全アミン価76.8のアミド化物を得た。
【0019】
合成例2〜14
第1表に示す化合物を用いて、合成例1と同様に合成を行い、アミド化物(a−1)〜(a−14)を合成した。
【0020】
【表1】
【0021】
(注)
1)古紙再生用添加剤分散液調製時におけるアミド化物の形態(遊離又は塩)を示す。
なお、合成に用いた大豆油脂肪酸、オレイン酸、エルカ酸の脂肪酸組成(重量%)は、下記のとおりである。
大豆油脂肪酸:パルミチン酸(11.6%)、ステアリン酸(4.2%)、オレイン酸(33.3%)、リノール酸(42.2%)、リノレイン酸(7.2%)、その他(1.5%)
オレイン酸:パルミチン酸(2.0%)、ステアリン酸(1.5%)、パルミトレイン酸(2.0%)、オレイン酸(91.0%)、リノール酸(2.0%)、その他(1.5%)
エルカ酸:ステアリン酸(0.4%)、リノール酸(0.4%)、リノレイン酸(2.7%)、アラキン酸(0.4%)、ベヘン酸(1.0%)、エルカ酸(90.4%)、リグノセリン酸(2.0%)、その他(2.7%)
【0022】
参考例1
(1)添加剤分散液の調製
1リットル容量のビーカーに、アミド化物(a−1)60gの全アミン価当量の蟻酸3.8gを水355.12gに溶解した蟻酸水溶液中にアミド化物(a−1)60g及び第2表に示す化合物(b−1)6.38gを75℃で混合し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)で、5000rpmで5分間処理した後、加圧乳化機(APV社製マントンゴーリン)により、40MPaで2回処理し、アミド化物(a−1)15重量%、化合物(b−1)1.5重量%を含む古紙再生用添加剤分散液No.1を425.3g調製した。
【0023】
(2)パルプスラリーの調製
水道水1リットルと脱墨古紙パルプ50.0gを2リットル容量の離解機(熊谷理研(株)製パルパー)中に仕込み、15分間離解を行い、パルプスラリーを得た。さらに、300ミリリットル容量のビーカー中、水道水で、1.0重量%パルプスラリーを調製した。
【0024】
(3)抄紙
上記(2)で得られたパルプスラリー120gに対して、上記(1)で得られた古紙再生用添加剤分散液No.1(固形分16.5重量%)を0.04g(添加剤対パルプ0.5重量%)添加し、300ミリリットル容量のビーカー中、径4.5cmのタービン羽根により、250rpmで2分間撹拌した。その後、坪量約60g/m2となるようにシートマシン(安田精機(株)製TAPPIスタンダードシートマシン)により抄紙し、プレス機(安田精機(株)製油圧プレス機)により、0.35MPaで5分間プレス後、ドラム式ドライヤー(安田精機(株)製ドライヤー)により105℃、80秒間の乾燥を行い、再生紙を得た。
【0025】
(4)再生紙の評価
(4−1)嵩高性
坪量と厚さより求めた密度により評価した。坪量はJIS P 8124に従って求め、厚さは得られた再生紙を4枚重ね合わせ、JIS式紙圧測定機(シチズン時計(株)製 MEI−10)により異なる10箇所の厚さを測定し、その平均値より求めた。なお嵩高性の向上は、ブランクに対する密度の低下率で評価した。密度は小さくなるほど嵩高性は良好であり、ブランク(比較例9)を100%とした時の密度を用いて、下記の基準で評価を行った。
密度95.0%未満:○ 効果良好
密度95.0%以上:× 効果低い
【0026】
再生紙の吸油性の評価は、ブランク(比較例9)に対する吸油量増加値により行った。詳細は、作製した再生紙を5.5×100mmの紙片に加工し、温度23℃,相対湿度50%で、混合油(軽油:鉱物油重量比=80:20)30ミリリットルの入った100ミリリットル容量ビーカーに下端から5mm浸漬させ、1分後に紙片が吸い上げた量(液面から、浸透した液の上端までの距離(mm))を測定し、ブランクに対する吸油量の増加率で評価した。吸油量は大きくなるほど吸油性は良好であり、下記式および基準で評価を行った。
吸油量増加率(%)=[〔サンプルの吸油量(mm)−ブランク吸油量(mm)〕/ブランク吸油量(mm)]×100
吸油量増加率10%以上 :○ 効果良好
吸油量増加率10%未満 :× 効果低い
これらの結果を第3表に示す。
【0027】
(5)汚れ付着評価
粘着テープからクロロホルムにより粘着成分を抽出し、抽出された粘着成分をクロロホルム+プロピレングリコール+水(体積比2:2:1)の混合溶媒にて固形分2重量%に調整し、人工汚れとした。
厚さ1mmのポリエチレンシートを2×2cmに切りとり、105℃にて1時間乾燥後、デシケーター中で放冷し、秤量した(重量▲1▼)。
5重量%硫酸アルミニウム水溶液でpH4.5に調整した1.0重量%パルプスラリー300gを300ミリリットル容量のビーカー中に入れ、径4.5cmのタービン羽根により300rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。昇温後、古紙再生用添加剤分散液No.1を0.6g(対パルプ2.0重量%)添加し、さらに30分間撹拌後、人工汚れを5ミリリットル添加し、あらかじめ秤量したポリエチレンシートをパルプスラリー中に3枚入れ、3時間攪拌した。3時間後、ポリエチレンシートを取出し、水ですすいだ後105℃にて1時間乾燥後、デシケーターにて放冷し、ポリエチレンシートの重量(重量▲2▼)を測定し、下記の式により汚れ付着量を求めた。
汚れ付着量(mg)=重量▲2▼−重量▲1▼
汚れ付着量(mg)を求め、その値により下記の基準で評価を行った。
5mg未満 :○効果有り
5mg以上 :×効果なし
この結果を第3表に示す。
【0028】
実施例1〜5、比較例1〜9、参考例1〜6及び参考比較例1〜6
(1)添加剤分散液の調製
第3表に示す種類のアミド化物(a)(第1表に記載)と化合物(b)(第2表に記載)とを、第3表に示す割合で用い、参考例1(1)と同様にして、古紙再生用添加剤分散液No.2〜No.24を調製した。
また、アクリルアミド−アミノアクリレート共重合体(分子量約2百万)を用い、参考例1(1)と同様にして古紙再生用添加剤分散液No.25を調製した。
(2)パルプスラリーの調製
参考例1(2)と同様にして、1.0重量%のパルプスラリーを調製した。
(3)抄紙
第3表に示す古紙再生用添加剤分散液No.2〜No.25を、第3表に示す添加量でパルプスラリーに加えた以外は、参考例1(3)と同様にして抄紙し、再生紙を作製した。なお、比較例9は、古紙再生用添加剤分散液を使用しなかったこと以外は、参考例1(3)と同様にして抄紙し、再生紙を作製した。
(4)再生紙の評価
参考例1(4)と同様にして、再生紙の嵩高性及び吸油性の評価を行った。結果を第3表に示す。
(5)汚れ付着評価
参考例1(5)と同様にして、汚れ付着の評価を行った。結果を第3表に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
比較例1、2及び参考比較例1〜5は、アミド化物(a)のみであり、嵩高性及び吸油性は向上するが、汚れ付着性の改善効果は向上しない。
また、比較例3,4及び参考比較例4,5は、アミド化物(a)のみであり、汚れ付着性の改善効果は向上せず、しかも、参考比較例4は、一般式(I)で示される化合物の構造が異なるため、嵩高性および吸油性が向上しない。比較例3及び4は、一般式(I)で示される化合物がアミノ基を2つしか有していないので、嵩高性及び吸油性が向上しない。参考比較例5は、脂肪族モノカルボン酸及び一般式(I)で示される化合物の反応モル比が、1.5倍モルより少ないので、得られたアミド化物を使用しても、嵩高性及び吸油性が向上しない。
【0033】
参考比較例6は、アミド化物(a)及び化合物(b)が用いられており、付着性の改善効果は向上したが、アミド化物(a)における脂肪族モノカルボン酸のアルキル鎖長が本発明の範囲より短いので、嵩高性及び吸油性が向上しない。
比較例5〜7は、化合物(b)のみであり、汚れ付着性の改善効果は向上したが、嵩高性及び吸油性は向上しない。比較例8は、本発明で使用したアミド化物(a)及び化合物(b)とは異なるカチオン性ポリマーが用いられているので、嵩高性、吸油性及び汚れ付着性の改善効果は、いずれも向上しない。
第1表に示したように使用するアミド化物が3つ以上のアミノ基をもつ化合物から得られたものであることが重要であり、本発明の古紙再生用添加剤は、古紙を原料とする再生紙の嵩高性及び吸油性を向上させることが分かる。また、本発明の古紙再生用添加剤は、汚れの付着性低減効果を向上させることも分かる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の古紙再生用添加剤は、古紙を原料とする再生紙の嵩高性及び吸油性を向上させることができる。また、本発明の再生紙の製造方法によれば、抄紙工程での汚れ原因物質である粘着性異物の装置への付着を防止又は改善し、嵩高性及び吸油性に優れる再生紙を得ることができる。
Claims (2)
- (a)一般式(I)
で表されるアミン化合物に対し、炭素数16〜24の不飽和脂肪族モノカルボン酸20〜100重量%を含む炭素数10〜24の脂肪族モノカルボン酸の中から選ばれる少なくとも一種を1.5〜3.3倍モルの割合で反応させて得られたアミド化物又はその塩と、(b)下記(イ)〜(ニ)の中から選ばれる少なくとも一種とを、重量比95:5ないし80:20の割合で含むことを特徴とする古紙再生用添加剤。
(イ)炭素数8〜22の炭化水素基又はアシル基を1個有し、分子量200〜1,000のオキシアルキレン鎖を付加させてなる非イオン性界面活性剤
(ロ)分子量1,200〜12,000のオキシエチレンオキシプロピレン共重合体
(ハ)平均重合度300〜3,000のポリビニルアルコール
(ニ)ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、エピクロルヒドリン−アルキルアミン付加重合物、アリルアミン重合体の酸塩又は四級アンモニウム塩、及びジシアンジアミド−ホルムアルデヒド縮合物の中から選ばれる一種以上のカチオン性ポリマー - 請求項1記載の古紙再生用添加剤を、(a)成分と(b)成分との合計量が古紙パルプに対して0.03〜8重量%になるように添加することを特徴とする再生紙の製造方法。
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