JP2007270397A - 紙用柔軟剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性を付与し、そして印刷適性に優れた紙を得ることができる紙用柔軟剤を提供すること。
【解決手段】特定の化合物(a)およびアルキルケテンダイマー(b)からなる紙用柔軟剤であって、該化合物(a)と該アルキルケテンダイマー(b)との質量比が60/40〜95/5である、紙用柔軟剤。
【選択図】なし
【解決手段】特定の化合物(a)およびアルキルケテンダイマー(b)からなる紙用柔軟剤であって、該化合物(a)と該アルキルケテンダイマー(b)との質量比が60/40〜95/5である、紙用柔軟剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、紙用柔軟剤に関する。より詳細には、紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性を付与し、そして印刷適性に優れた紙を得ることができる紙用柔軟剤に関する。
近年、製紙産業においては、書籍などの印刷物をめくりやすくするために、しなやかさを有する印刷用紙、すなわち優れた柔軟性を有する印刷用紙が求められている。さらに、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの衛生紙においても、使い心地のよいしなやかな紙が求められており、従来、多くの柔軟剤、柔軟性を有する紙の製造方法が開発されている。
特許文献1には、ジ長鎖アルキル型4級アンモニウム塩をパルプスラリーに添加する柔軟化薄葉紙の製造方法が開示され、特許文献2には、ジ長鎖アルキル型4級アンモニウム塩、グリセリン、および水または炭素数が4以下のアルコールからなる紙用柔軟剤組成物が開示され、そして特許文献3には、長鎖アルキル型4級アンモニウム塩、炭素数が8〜24の不飽和脂肪酸、および脂肪酸とペンタエリスリトールとのエステル化物からなる紙用柔軟剤が開示されている。しかし、これらの方法および柔軟剤では、紙にある程度の柔軟性を付与し得るものの、紙力が大きく低減する。
紙力低減の問題を解決するために、特許文献4には、水溶性の熱反応型ウレタン樹脂を必須成分として含有する紙の柔軟剤が開示され、そして特許文献5にはポリアルキレンイミンにアルキレンオキサイドおよび高級脂肪酸を反応させて得られる化合物を含有する紙用改質剤が開示されている。しかし、これらの柔軟剤および紙用改質剤では、紙に十分な柔軟性を付与することができない。特許文献6には、アミノアンモニウム塩からなる紙用柔軟剤が開示されている。しかしこの柔軟剤では、十分な紙力を付与することができない。
したがって、紙力を低減させずに、紙に柔軟性を付与し、そして印刷適性に優れた紙を得ることができる紙用柔軟剤は得られていない。
特開昭63−165597号公報
特開平4−100995号公報
特開平7−189171号公報
特開平6−257098号公報
特開2005−82949号公報
特開2001−355197号公報
本発明の目的は、紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性を付与し、そして印刷適性に優れた紙を得ることができる紙用柔軟剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の化合物(a)および特定のアルキルケテンダイマーを特定の割合で組み合わせることによって、上記目的を達成できる紙用柔軟剤が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
本発明の紙用柔軟剤は、以下の一般式(1)で表される化合物(a)およびアルキルケテンダイマー(b)からなる紙用柔軟剤であって、該化合物(a)と該アルキルケテンダイマー(b)との質量比は60/40〜95/5であり、該化合物(a)は、
(Aは炭素数が4〜12のジカルボン酸の残基であり、R1、R2、R5、およびR6はそれぞれ炭素数が1〜4のアルキル基であり、そしてR3およびR4はそれぞれ炭素数が2〜4のアルキレン基である)であり、該アルキルケテンダイマー(b)は、炭素数が14〜22の不飽和カルボン酸または分岐カルボン酸を60質量%以上の割合で含有するカルボン酸から得られるアルキルケテンダイマーである。
本発明の紙用柔軟剤は、紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性および印刷に適する性質を付与することができる。したがって、この柔軟剤を用いることによって、紙力を維持し、優れた柔軟性柔軟性を有し、そして印刷適性に優れた紙を得ることができる。
本発明の紙用柔軟剤は、化合物(a)(以下、a成分という場合がある)と、アルキルケテンダイマー(b)(以下、b成分という場合がある)からなる。以下、各成分および紙用柔軟剤について説明する。
(化合物(a):a成分)
化合物(a)は、以下の一般式(1):
化合物(a)は、以下の一般式(1):
(Aは炭素数が4〜12のジカルボン酸の残基であり、R1、R2、R5、およびR6はそれぞれ炭素数が1〜4のアルキル基であり、そしてR3およびR4はそれぞれ炭素数が2〜4のアルキレン基である)で表される。
上記一般式(1)において、Aは炭素数が4〜12のジカルボン酸の残基であり、このようなジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸が挙げられる。これらの中で、炭素数が6〜10のジカルボン酸が好ましい。炭素数が12を超える場合、このような化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性を付与するものの、得られる化合物の融点が高くなり、取り扱いが困難になる場合がある。
上記一般式(1)において、R1、R2、R5、およびR6の炭素数が1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などが挙げられる。これらの中で、メチル基およびエチル基が好ましい。炭素数が4を超える場合、このような化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性を付与するものの、得られる化合物の融点が高くなり、取り扱いが困難になる場合がある。
上記一般式(1)において、R3およびR4の炭素数が2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。これらの中で、プロピレン基が好ましい。
上記化合物(a)は、ジアルキルアミノアルキレンアミンと上記ジカルボン酸とを反応させて得られる。この反応は、通常の縮合反応によって行われる。上記化合物(a)は、そのまま使用することができるが、酸で中和することにより取り扱い性がよくなる。この際使用する酸としては、抄紙後の紙に残留する場合を考慮すると、蟻酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸などが好ましい。これらの酸は、化合物(a)のアミン価を測定し、該アミン価に対して当量用いられる。
(アルキルケテンダイマー(b):b成分)
アルキルケテンダイマー(b)は、紙にサイズ性(耐水性)を付与するために使用される。すなわち、サイズ性が付与されることによって、印刷適性に優れた紙が得られる。アルキルケテンダイマー(b)は、例えば、カルボン酸をリン法あるいはホスゲン法によってカルボン酸の塩化物とし、その後、3級アミンを触媒として脱塩酸することにより得られる。
アルキルケテンダイマー(b)は、紙にサイズ性(耐水性)を付与するために使用される。すなわち、サイズ性が付与されることによって、印刷適性に優れた紙が得られる。アルキルケテンダイマー(b)は、例えば、カルボン酸をリン法あるいはホスゲン法によってカルボン酸の塩化物とし、その後、3級アミンを触媒として脱塩酸することにより得られる。
上記アルキルケテンダイマー(b)の原料となるカルボン酸は、炭素数が14〜22の不飽和カルボン酸または分岐カルボン酸を60質量%以上の割合で含有するカルボン酸である。不飽和カルボン酸としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられ、分岐カルボン酸としては、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸などが挙げられる。これらの中でも、炭素数が14〜18の不飽和カルボン酸または分岐カルボン酸が好ましい。さらに、このような炭素数が14〜22の不飽和カルボン酸または分岐カルボン酸を70質量%以上の割合で含有するカルボン酸が好ましい。これらのカルボン酸は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2種以上を組み合わせて用いる場合、天然油脂由来の混合脂肪酸を用いてもよい。このような混合脂肪酸としては、例えば、大豆油脂肪酸、なたね油脂肪酸、トール油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、カカオ油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸などが挙げられる。
炭素数が22を超える不飽和カルボン酸または分岐カルボン酸を、60質量%以上の割合で含有するカルボン酸から得られるアルキルケテンダイマーを用いた場合、得られる紙用柔軟剤の粘度が高くなることによって作業性が低下するとともに、紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が不十分となる。一方、炭素数が14未満の不飽和カルボン酸または分岐カルボン酸を、60質量%以上の割合で含有するカルボン酸から得られるアルキルケテンダイマーを用いた場合、得られる紙用柔軟剤を用いた紙の印刷適性が不十分となる。さらに、炭素数が14〜22の不飽和カルボン酸または分岐カルボン酸を60質量%未満の割合で含有するカルボン酸から得られるアルキルケテンダイマーを用いた場合、得られる紙用柔軟剤を用いた紙の印刷適性が不十分となる。
(紙用柔軟剤)
本発明の紙用柔軟剤は、上記化合物(a)(a成分)および上記アルキルケテンダイマー(b成分)からなる。
本発明の紙用柔軟剤は、上記化合物(a)(a成分)および上記アルキルケテンダイマー(b成分)からなる。
本発明の紙用柔軟剤において、a成分とb成分との質量比は60/40〜95/5、好ましくは70/30〜90/10である。質量比が60/40未満の場合は、紙用柔軟剤を調製する際の作業性が低下するおそれがある。質量比が95/5を超える場合は、得られる紙の印刷適性が不十分となるおそれがある。
アルキルケテンダイマー(c)は、アルキルケテンダイマーエマルジョンとして使用することができる。アルキルケテンダイマーエマルジョンは、通常の方法により調製することができる。アルキルケテンダイマーエマルジョンの調製は、予め過硫酸アンモニウムなどで処理したカチオン化デンプンなどの分散剤を混合し、高圧ホモジナイザーなどの乳化機を使用して行われる。
本発明の紙用柔軟剤は、その使用において特に制限はないが、以下に好適な使用例を挙げる。
(紙用柔軟剤の使用例)
パルプ100質量部に対して、上記紙用柔軟剤(化合物(a)(a成分)とアルキルケテンダイマー(b成分)との合計量)が0.03〜8質量部、好ましくは0.1〜3質量部となるように添加する。上記紙用柔軟剤が0.03質量部未満の場合、紙に十分な柔軟性を付与することができず、得られた紙の紙力が低下し、印刷適性も不十分となる。上記紙用柔軟剤が8質量部を超える場合、使用量に見合った柔軟性の向上効果などが得られず、むしろ紙のコストアップにつながり経済的に不利となる。
パルプ100質量部に対して、上記紙用柔軟剤(化合物(a)(a成分)とアルキルケテンダイマー(b成分)との合計量)が0.03〜8質量部、好ましくは0.1〜3質量部となるように添加する。上記紙用柔軟剤が0.03質量部未満の場合、紙に十分な柔軟性を付与することができず、得られた紙の紙力が低下し、印刷適性も不十分となる。上記紙用柔軟剤が8質量部を超える場合、使用量に見合った柔軟性の向上効果などが得られず、むしろ紙のコストアップにつながり経済的に不利となる。
上記パルプ(原料パルプ)としては、例えば化学パルプ(針葉樹若しくは広葉樹の晒しまたは未晒しクラフトパルプなど)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプなど)、脱墨パルプ(新聞、雑誌古紙など)などが用いられる。これらは単独で、または混合して用いることができる。
紙の製造において、紙用柔軟剤は、種々の工程において利用され得る。すなわち、抄紙工程のいずれの段階においても抄紙系に添加され得(内部添加法)、さらに抄紙工程により得られたパルプシートの表面に付与することも可能である(外部添加法)。例えば、抄紙工程におけるミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱などの工程でパルプスラリーに添加する内部添加法、あるいは、抄紙により得られたパルプシート表面に塗工するサイズプレス、ゲートロール、スプレーなどの外部添加法が採用される。
特に、内部添加法が好適に採用される。例えば、パルプと水とを含む混合物(例えば、パルプスラリー)に上記紙用添加剤を添加し、通常の方法により抄造を行なうことにより紙が得られる。
紙の製造においては、一般に紙の抄造に用いられる長網抄紙機、ツインワイヤー機、ヤンキー機などの抄紙機を使用することができる。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(合成例1:化合物(a)の合成)
撹拌機、冷却管、温度計、および窒素導入管を備えた500mL容量の4つ口フラスコに、表1に記載のアミン(ジメチルアミノプロピルアミン)204.4g(2モル)およびアジピン酸146.1g(1モル)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、撹拌しながら120〜130℃まで昇温し、生成する水を系外へ除去しながら15時間反応を行い、アミン価が342の化合物a−1を得た。
撹拌機、冷却管、温度計、および窒素導入管を備えた500mL容量の4つ口フラスコに、表1に記載のアミン(ジメチルアミノプロピルアミン)204.4g(2モル)およびアジピン酸146.1g(1モル)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、撹拌しながら120〜130℃まで昇温し、生成する水を系外へ除去しながら15時間反応を行い、アミン価が342の化合物a−1を得た。
(合成例2〜4)
表1に記載のアミン(2モル)およびジカルボン酸(1モル)を用いたこと以外は、合成例1と同様の手順で、化合物a−2〜a−4をそれぞれ得た。
表1に記載のアミン(2モル)およびジカルボン酸(1モル)を用いたこと以外は、合成例1と同様の手順で、化合物a−2〜a−4をそれぞれ得た。
(比較合成例1)
表1に記載のアミン(2モル)およびジカルボン酸(1モル)を用いたこと以外は、合成例1と同様の手順で、化合物a’−1を得た。
表1に記載のアミン(2モル)およびジカルボン酸(1モル)を用いたこと以外は、合成例1と同様の手順で、化合物a’−1を得た。
(調製例1:紙用柔軟剤の分散液の調製)
(調製例1.1)
合成例1で得られた化合物a−1(a成分)、表2に記載のカルボン酸(オレイン酸、NAA−34:日本油脂株式会社製)を原料とするアルキルケテンダイマーb−1(b成分)、酢酸、およびイオン交換水を用いて、紙用柔軟剤の分散液を以下のようにして調製した。
(調製例1.1)
合成例1で得られた化合物a−1(a成分)、表2に記載のカルボン酸(オレイン酸、NAA−34:日本油脂株式会社製)を原料とするアルキルケテンダイマーb−1(b成分)、酢酸、およびイオン交換水を用いて、紙用柔軟剤の分散液を以下のようにして調製した。
まず、1Lのビーカーに、アルキルケテンダイマーb−1を140g、予め過硫酸アンモニウムで処理されたカチオンデンプンの10質量%水溶液を105g、およびイオン交換水を455g仕込んだ。次いで、80℃に昇温した後、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5000rpmの条件下、5分間処理し、さらに加圧乳化機(マントンゴーリン、APV GAULIN,INC.社製)を用いて、40MPaの条件下、2回処理して、20質量%のアルキルケテンダイマーb−1のエマルジョンを調製した。
これとは別に、300mL容量のビーカーに、イオン交換水を138.1g、酢酸(化合物a−1のアミン価に対して1当量に相当)を5.9g、および化合物a−1を16g仕込んだ。次いで、70℃で30分間撹拌し、化合物a−1の10質量%分散液を得た。次いで、この分散液に、上記のアルキルケテンダイマーb−1のエマルジョンを20gおよびイオン交換水を20g添加し、70℃で15分間撹拌して紙用柔軟剤の分散液を調整した(分散液Iとする)。この分散液I中には、紙用柔軟剤(すなわち、a成分およびb成分)が10質量%含有されている。
(調製例1.2〜1.4)
表1に記載の化合物(a)および表2にアルキルケテンダイマー(b)を表3に記載の質量比で用い、そして表3に記載の酸を表3に記載の中和当量となるように用いたこと以外は、調製例1.1と同様の手順で、紙用柔軟剤の分散液II〜IVをそれぞれ得た。
表1に記載の化合物(a)および表2にアルキルケテンダイマー(b)を表3に記載の質量比で用い、そして表3に記載の酸を表3に記載の中和当量となるように用いたこと以外は、調製例1.1と同様の手順で、紙用柔軟剤の分散液II〜IVをそれぞれ得た。
(調製例1.5)
表1に記載の化合物(a)および表2にアルキルケテンダイマー(b)を表3に記載の質量比で用いたこと以外は、調製例1.1と同様の手順で、紙用柔軟剤の分散液Vを得た。
表1に記載の化合物(a)および表2にアルキルケテンダイマー(b)を表3に記載の質量比で用いたこと以外は、調製例1.1と同様の手順で、紙用柔軟剤の分散液Vを得た。
(比較調製例1.1〜1.5)
表1に記載の化合物(a)および表2にアルキルケテンダイマー(b)を表3に記載の質量比で用い、そして表3に記載の酸を表3に記載の中和当量となるように用いたこと以外は、調製例1.1と同様の手順で、紙用柔軟剤の分散液VI〜Xをそれぞれ得た。
表1に記載の化合物(a)および表2にアルキルケテンダイマー(b)を表3に記載の質量比で用い、そして表3に記載の酸を表3に記載の中和当量となるように用いたこと以外は、調製例1.1と同様の手順で、紙用柔軟剤の分散液VI〜Xをそれぞれ得た。
(実施例1:紙用柔軟剤の評価)
1.手すきシートの製造
フリーネスが400mLであるLBKP(広葉樹晒パルプ)を、離解機(熊谷理研株式会社製)を用いて離解し、パルプを1質量%含有するパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー400g(パルプ量4g)を500mL容量のビーカーに入れ、上記紙用柔軟剤の分散液Iを予め10倍に希釈した希釈液2g(パルプ100質量部に対して紙用柔軟剤の量が0.5質量部)を添加した。次いで、径4.5cmのタービン羽根により、250rpmにて1分間撹拌した。撹拌後、105gのパルプスラリーを用いて、TAPPIスタンダードシートマシン(安田精機株式会社製)により抄紙した。抄紙後、油圧プレス機(安田精機株式会社製)を用いて0.35Mpaで5分間プレスし、ドラム式ドライヤー(安田精機株式会社製)により105℃で2分間乾燥し、坪量約50g/m2の手すきシートを得た。この手すきシートを、さらに温度23℃および湿度50%の恒温恒湿室に17時間保管して調湿した。
1.手すきシートの製造
フリーネスが400mLであるLBKP(広葉樹晒パルプ)を、離解機(熊谷理研株式会社製)を用いて離解し、パルプを1質量%含有するパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー400g(パルプ量4g)を500mL容量のビーカーに入れ、上記紙用柔軟剤の分散液Iを予め10倍に希釈した希釈液2g(パルプ100質量部に対して紙用柔軟剤の量が0.5質量部)を添加した。次いで、径4.5cmのタービン羽根により、250rpmにて1分間撹拌した。撹拌後、105gのパルプスラリーを用いて、TAPPIスタンダードシートマシン(安田精機株式会社製)により抄紙した。抄紙後、油圧プレス機(安田精機株式会社製)を用いて0.35Mpaで5分間プレスし、ドラム式ドライヤー(安田精機株式会社製)により105℃で2分間乾燥し、坪量約50g/m2の手すきシートを得た。この手すきシートを、さらに温度23℃および湿度50%の恒温恒湿室に17時間保管して調湿した。
2.評価
得られた手すきシートについて、(1)柔軟性(曲げ剛度)、(2)紙力(引張り強度)、および(3)印刷適性(サイズ度)を評価した。
得られた手すきシートについて、(1)柔軟性(曲げ剛度)、(2)紙力(引張り強度)、および(3)印刷適性(サイズ度)を評価した。
(1)柔軟性の評価(曲げ剛度)
純曲げ試験機(KES−FB2、カトーテック株式会社製)を用いて、手すきシートの縦方向および横方向の曲げ剛度をそれぞれ測定してその平均値を求めた。任意に選んだ10名による官能評価の結果、曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m未満の場合、7名以上の被験者が柔軟であると評価した。したがって、曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m未満の場合、柔軟性が良好な手すきシートであると評価した。結果を表4に示す。
純曲げ試験機(KES−FB2、カトーテック株式会社製)を用いて、手すきシートの縦方向および横方向の曲げ剛度をそれぞれ測定してその平均値を求めた。任意に選んだ10名による官能評価の結果、曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m未満の場合、7名以上の被験者が柔軟であると評価した。したがって、曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m未満の場合、柔軟性が良好な手すきシートであると評価した。結果を表4に示す。
(評価基準)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m未満:柔軟性が良好である(○)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m以上:柔軟性が不十分である(×)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m未満:柔軟性が良好である(○)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m以上:柔軟性が不十分である(×)
(2)紙力の評価(引張り強度)
手すきシートを120×15mmに裁断し、引張圧縮試験機SV−201−0−SH(株式会社今田製作所製)を用いて、紙を引き離すときの引張り強さを測定した。そして、JIS P8113に準じて以下の式から裂断長を計算した。次いで、紙用柔軟剤無添加(ブランク)の場合の手すきシートの裂断長を同様の手順で求めた。そして、ブランクの場合の手すきシートの裂断長に対する紙用柔軟剤を添加して得られた手すきシートの裂断長の割合(ブランクとの比)を、以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
手すきシートを120×15mmに裁断し、引張圧縮試験機SV−201−0−SH(株式会社今田製作所製)を用いて、紙を引き離すときの引張り強さを測定した。そして、JIS P8113に準じて以下の式から裂断長を計算した。次いで、紙用柔軟剤無添加(ブランク)の場合の手すきシートの裂断長を同様の手順で求めた。そして、ブランクの場合の手すきシートの裂断長に対する紙用柔軟剤を添加して得られた手すきシートの裂断長の割合(ブランクとの比)を、以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
(評価基準)
ブランクとの比が95%以上 :引張り強度が非常に良好である(◎)
ブランクとの比が85%以上95%未満:引張り強度が良好である(○)
ブランクとの比が85%未満 :引張り強度が不十分である(×)
ブランクとの比が95%以上 :引張り強度が非常に良好である(◎)
ブランクとの比が85%以上95%未満:引張り強度が良好である(○)
ブランクとの比が85%未満 :引張り強度が不十分である(×)
(3)印刷適性の評価(サイズ度)
JIS P8122に準じて、手すきシートのステキヒトサイズ度を測定し、サイズ性を以下のようにして評価した。結果を表4に示す。
JIS P8122に準じて、手すきシートのステキヒトサイズ度を測定し、サイズ性を以下のようにして評価した。結果を表4に示す。
(評価基準)
サイズ度が30秒以上 :サイズ性が非常に良好である(◎)
サイズ度が15秒以上30秒未満:サイズ性が良好である(○)
サイズ度が15秒未満 :サイズ性が不十分である(×)
サイズ度が30秒以上 :サイズ性が非常に良好である(◎)
サイズ度が15秒以上30秒未満:サイズ性が良好である(○)
サイズ度が15秒未満 :サイズ性が不十分である(×)
(実施例2〜5)
紙用柔軟剤の分散液II〜Vを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で手すきシートを製造し、上記(1)〜(3)の評価を行った。結果を表4に示す。
紙用柔軟剤の分散液II〜Vを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で手すきシートを製造し、上記(1)〜(3)の評価を行った。結果を表4に示す。
(比較例1)
紙用柔軟剤の分散液を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で手すきシートを製造し、上記(1)〜(3)の評価を行った。結果を表4に示す。
紙用柔軟剤の分散液を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で手すきシートを製造し、上記(1)〜(3)の評価を行った。結果を表4に示す。
(比較例2〜6)
紙用柔軟剤の分散液VI〜Xを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で手すきシートを製造し、上記(1)〜(3)の評価を行った。結果を表4に示す。
紙用柔軟剤の分散液VI〜Xを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で手すきシートを製造し、上記(1)〜(3)の評価を行った。結果を表4に示す。
表4に示すように、実施例の紙用柔軟剤の分散液I〜Vを用いた場合は、いずれの紙(手すきシート)も、紙力を維持しつつ、優れた柔軟性および印刷適性を有することがわかる。
これに対して、比較例1では、紙用柔軟剤を用いていないため、得られた紙の柔軟性および印刷適性は不十分であった。比較例2では、不飽和カルボン酸(オレイン酸)を25質量%しか含有しない混合カルボン酸を原料とするアルキルケテンダイマーを用いたため、得られた紙の柔軟性が不十分であった。比較例3では、炭素数が14未満の分岐カルボン酸(2−エチルヘキサン酸、炭素数8)を原料とするアルキルケテンダイマーを用いたため、得られた紙の印刷適性が不十分であった。比較例4では、炭素数が22を超える不飽和カルボン酸(セラコレイン酸、炭素数24)を原料とするアルキルケテンダイマーを用いたため、得られた紙の柔軟性が不十分であった。比較例5では、化合物(a)の代わりにジエチレントリアミンとセバシン酸とからなるアミドアミン化合物を用いたため、得られた紙の柔軟性が不十分であった。比較例6では、化合物(a)とアルキルケテンダイマー(b)との質量比が40/60で、本発明の範囲(60/40〜95/5)を満たさないため、得られた紙の柔軟性が不十分であった。
本発明によれば、紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性を付与し、そして印刷適性に優れた紙を得ることができる紙用柔軟剤が提供される。本発明の紙用柔軟剤を用いると、紙力を維持しつつ、柔軟性および印刷適性に優れた紙を得ることができる。本発明の紙用柔軟剤を用いて得られた紙は、製本用紙、新聞用紙、印刷・情報用紙、ダンボール原紙、板紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンタオルなど各種分野の紙として広く利用される。
Claims (1)
- 化合物(a)およびアルキルケテンダイマー(b)からなる紙用柔軟剤であって、
該化合物(a)と該アルキルケテンダイマー(b)との質量比が60/40〜95/5であり、
該化合物(a)が、以下の一般式(1):
該アルキルケテンダイマー(b)が、炭素数が14〜22の不飽和カルボン酸または分岐カルボン酸を60質量%以上の割合で含有するカルボン酸から得られるアルキルケテンダイマーである、紙用柔軟剤。
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JP2006099020A JP2007270397A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | 紙用柔軟剤 |
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JP (1) | JP2007270397A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116082179A (zh) * | 2023-04-10 | 2023-05-09 | 山东大学 | 基于内源性二羧酸的可电离脂质及其制备方法与应用 |
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2006
- 2006-03-31 JP JP2006099020A patent/JP2007270397A/ja active Pending
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CN116082179A (zh) * | 2023-04-10 | 2023-05-09 | 山东大学 | 基于内源性二羧酸的可电离脂质及其制备方法与应用 |
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