JP2023017148A - 紙密度調整剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】エピクロロヒドリンを原料に使用しなくても、紙密度を調整でき、更にサイズ性能に優れた紙密度調整剤を提供する。【解決手段】本発明の紙密度調整剤は、ポリアミンと脂肪酸を反応させて得られるアミドアミンに、ジアルキル硫酸を反応させて得られるアミドアンモニウム塩を含む紙密度調整剤であって、前記脂肪酸は、炭素数が14~22であり、前記脂肪酸の反応モル比が前記ポリアミン中の活性アミノ基に対して0.3~0.8であり、前記ジアルキル硫酸の反応モル比が前記アミドアミン中の活性アミノ基に対して0.1モル以上1モル未満であり、前記アミドアンモニウム塩は、3級以下のアンモニウム塩であり、前記紙密度調整剤は、エピクロロヒドリン及び、エピクロロヒドリン由来の化学構造を持つ化合物を実質的に含まないことを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、紙類に使用される紙密度調整剤に関する。
製紙業界は装置産業であり、基本的に製造は全て抄紙機を通じて行われる。1つの抄紙機からは通常1種類の紙しか製造できないため、顧客の要望に合わせて紙の品質を細かく変えたい場合は機械的な調整だけでは困難なケースが多い。そこで工程中に薬剤を添加することで、撥水、着色、柔軟、強度等の品質をコントロールする手法が用いられている。
近年、パルプ資源の不足、パルプ価格の高騰、地球環境保護の必要性等を背景として、パルプの使用量をできるだけ抑えるために、嵩(厚み)を増やし、原料であるパルプの使用量を低減するため、薬剤として紙密度調整剤を添加することが行われている。紙の主成分であるセルロース(β-1,4-グルコース)は分子間の水素結合で結合しているが、この部分に紙密度調整剤を吸着させて分子間の結合力を弱めることで、繊維間に空間を作って嵩を出し、密度を低くさせている。
このように紙の密度を減らし、容積を増やす目的で加えられる薬剤である紙密度調整剤として、従来、ポリアミンと脂肪酸を反応させて得られるアミドアミンとその塩が提案されている(特許文献1~4)。
特許文献1にはアミドアミンを用いた紙密度調整剤、特許文献2にはアルキル化剤として2官能性のハロゲン化アルキル等を用いてアミドアミンを4級化した4級アンモニウム塩、特許文献3、4には、アミドアミンとその酸塩、及びアルキル化剤としてメチルクロリド等の4級化剤を活性アミノ基に対して過剰量用いてアミドアミンを4級化した4級アンモニウム塩が開示されている。
従来、印刷用紙等に紙密度調整剤が使用されているが、紙密度調整剤の使用は、紙の吸水性を制御して水性インクのにじみを防止し、紙に高い筆記性や印刷性を付与するサイズ剤の効果を損なう場合もあり、紙密度の調整に加えてサイズ効果に寄与する性能も求められている。しかし、特許文献1~4の技術では、ポリアミン中の活性アミノ基に対する脂肪酸の反応モル比や、ポリアミンと脂肪酸のアミド化物であるアミドアミン中の活性アミノ基に対するアルキル化剤の反応モル比、及びアルキル化剤の種類の検討が十分でなく、いずれもサイズ性能が優れたものではなかった。特に、アミン4級化物は著しくサイズ性能を阻害し、印刷品質が劣るという問題があった。
紙密度調整剤には非イオンエステル型、ポリマー配合型など様々なタイプがあるが、エピクロロヒドリンを原料に使用しているもの、例えば、脂肪酸ポリアミドアミンにエピハロヒドリンを反応して得られる化合物や、(メタ)アクリル酸のアミノアクリルアミドにエピハロヒドリンとアルキルハライドを反応して得られる化合物など、エピクロロヒドリンを原料に使用しているものも多く、製剤中にも微量のエピクロロヒドリンが含まれている。このエピクロロヒドリンが抄造工程を経て排出される排水が河川に放出され、環境汚染につながることから、我が国では、エピクロロヒドリンが要監視項目に指定されており、今後排水基準が設けられる可能性がある。そのため、エピクロロヒドリンを使用しない紙密度調整剤が求められていた。
特許文献5には、強度低下の少ない低密度紙を得ることを目的として、ポリアミン化合物と、脂肪酸との反応で得られる化合物に、ジアルキル硫酸を反応して得られる第一のアミノ化合物と、エピハロヒドリンを反応して得られる第二のアミノ化合物との混合物、あるいはエピハロヒドリン及びジアルキル硫酸を反応して得られる第三のアミノ化合物が提案されている。
特開2005-068592号公報 特開昭47-008263号公報 特開2004-285521号公報 特開2004-308095号公報 特開2008-285774号公報
しかしながら、エピクロロヒドリンを使用しているため、工場排水等における環境への影響が懸念される。また、強度低下の少ない目的であるが、サイズ性能について、十分な検討がされていなかった。特に、第一のアミノ化合物はジアルキル硫酸を過剰に用いた4級化物であるが、上記したようにアミン4級化物は著しくサイズ性能を阻害し、印刷品質が劣るという問題があった。更に第一のアミノ化合物と第二のアミノ化合物との混合物は高濃度に乳化するとペーストやゲルの性状となり、実際の使用におけるハンドリング性に難点がある。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、エピクロロヒドリンを原料に使用しなくても、紙密度を調整でき、更にサイズ性能に優れた紙密度調整剤を提供することを課題としている。
前記の課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、ポリアミンと、炭素数が特定範囲の脂肪酸を反応させて得られるアミドアミン、及びアルキル化剤としてジアルキル硫酸を用いると共に、ポリアミン中の活性アミノ基(-NH2、-NH-)に対する脂肪酸の反応モル比と、アミドアミン中の活性アミノ基に対するジアルキル硫酸の反応モル比を特定範囲とし、3級以下のアンモニウム塩であるアミドアンモニウム塩とすることで、エピクロロヒドリンを原料に使用しなくても、紙密度を調整でき、更に優れたサイズ性能を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち前記の課題を解決するために、本発明の紙密度調整剤は、ポリアミンと脂肪酸を反応させて得られるアミドアミンに、ジアルキル硫酸を反応させて得られるアミドアンモニウム塩を含む紙密度調整剤であって、
前記脂肪酸は、炭素数が14~22であり、
前記脂肪酸の反応モル比が前記ポリアミン中の活性アミノ基に対して0.3~0.8であり、
前記ジアルキル硫酸の反応モル比が前記アミドアミン中の活性アミノ基に対して0.1モル以上1モル未満であり、
前記アミドアンモニウム塩は、3級以下のアンモニウム塩であり、
前記紙密度調整剤は、エピクロロヒドリン及び、エピクロロヒドリン由来の化学構造を持つ化合物を実質的に含まないことを特徴としている。
本発明の紙密度調整剤によれば、エピクロロヒドリンを原料に使用しなくても、紙密度を調整でき、更にサイズ性能に優れている。
以下に、本発明の具体的な実施形態を説明する。
なお、本明細書において、数値範囲を規定する「~」は、以上及び以下を示す。
本発明の紙密度調整剤は、ポリアミンと脂肪酸を反応させて得られるアミドアミンに、ジアルキル硫酸を反応させて得られるアミドアンモニウム塩を含む。
本発明の紙密度調整剤において、ポリアミンは、特に限定されないが、複数のアミノ基を有する。各アミノ基は1級、2級、3級のいずれであってもよいが、1級又は2級であることが好ましい。例えば、複数のアミノ基は、2価の炭化水素基を介して連結し、両末端のアミノ基は、1級アミノ基であってもよく、1価の炭化水素基が結合した2級アミノ基であってもよい。これらの中でも、両末端のアミノ基は、1級アミノ基が好ましい。
ポリアミンにおけるアミノ基の数は、3~8が好ましく、3~5がより好ましい。2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。2価の炭化水素基は、複数の場合は各々同一でも異なる種類でもよく、その炭素数は、1~4が好ましく、2又は3がより好ましく、2が更に好ましい。末端に1価の炭化水素基を有する場合、1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。1価の炭化水素基は、複数の場合は各々同一でも異なる種類でもよく、その炭素数は、1~22が好ましく、1~10がより好ましく、1~4が更に好ましい。ポリアミンは、分岐構造や環状構造を含んでもよいが、直鎖が好ましい。ポリアミンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリアミンは、次の式(I)で表されるポリアルキレンポリアミンが好ましい。このポリアルキレンポリアミンは、アミドアンモニウム塩による紙密度の調整効果、及び乳化により調製した紙密度調整剤のハンドリング性に優れる。
Figure 2023017148000001
式中、Rは炭素数1~4のアルキレン基を示し、nは1~3の整数を示す。Rが2つ以上の場合、これらは同一でもよく異なる種類であってもよい。
アルキレン基Rとして、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。好ましくは、Rはエチレン基である。式(I)で表されるポリアルキレンポリアミンとして、具体的には、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
本発明の紙密度調整剤において、脂肪酸は、炭素数が14~22である。炭素数の下限は、好ましくは16以上である。炭素数の上限は、好ましくは20以下である。炭素数がこの範囲であると、アミドアンモニウム塩による紙密度の調整効果とサイズ性能に優れる。
脂肪酸は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。好ましくは、直鎖状である。脂肪酸は、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。好ましくは、飽和脂肪酸である。脂肪酸は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
脂肪酸として、具体的には、例えば、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸等が挙げられる。また、天然油脂由来の混合脂肪酸及びその水素添加物等が挙げられる。
本発明の紙密度調整剤は、脂肪酸の反応モル比がポリアミン中の活性アミノ基に対して0.3~0.8である。好ましくは、0.4~0.8であり、より好ましくは0.5~0.8である。当該モル比がこの範囲であると、アミドアンモニウム塩による紙密度の調整効果とサイズ性能に優れる。また、乳化により調製した紙密度調整剤のハンドリング性にも優れる。
ポリアミンと脂肪酸との反応は、例えば、水等の溶媒中で、必要に応じて触媒を用いて行い、脱水によりアミド化してアミドアミンが生成する。反応温度は、特に限定されないが、反応の効率等を考慮すると180~210℃が好ましい。この反応において、アミドアミンの一部が、アミドとそれに隣接するアミンがイミダゾリン化して環化物となる場合があるが、冷却し水を添加して所定時間攪拌する等の手段により開環することが好ましい。ジアルキル硫酸との反応に用いるアミドアミンは、全アミン価に対する3級アミン価の比率が0.8以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.3以下であることが更に好ましく、0.1以下であることが最も好ましい。
本発明の紙密度調整剤において、ジアルキル硫酸は、アミドアミンのアミノ基を3級以下でカチオン化する。ジアルキル硫酸は、アルキル基の炭素数が好ましくは1~5、より好ましくは1~3である。炭素数がこの範囲であると、アミドアンモニウム塩による紙密度の調整効果とサイズ性能、ハンドリング性に優れる。ジアルキル硫酸は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ジアルキル硫酸としては、特に限定されないが、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸、ジイソプロピル硫酸等が挙げられる。これらの中でも、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸が好ましい。
本発明の紙密度調整剤は、ジアルキル硫酸の反応モル比がアミドアミン中の活性アミノ基に対して0.1モル以上1モル未満である。好ましくは、0.1~0.8であり、より好ましくは0.15~0.75である。当該モル比がこの範囲であると、アミドアンモニウム塩による紙密度の調整効果とサイズ性能に優れる。また、乳化により調製した紙密度調整剤のハンドリング性にも優れる。ジアルキル硫酸の反応モル比が0.1モル以上であると、アミドアンモニウム塩のカチオン性が増し、パルプに静電吸着することで低密度化効果が向上する。ジアルキル硫酸の反応モル比が1モル未満であると、4級化せず適度な疎水性が付与され、アミドアンモニウム塩によるサイズ性能に優れる。
アミドアミンとジアルキル硫酸との反応は、例えば、必要に応じて水等の溶媒を用いて行い、アミンをアルキル化し3級以下の塩とすることで、アミドアンモニウム塩が生成する。アミドアミンの溶液へジアルキル硫酸を滴下してもよい。反応温度は、特に限定されないが、反応の効率等を考慮すると110~130℃が好ましい。
本発明の紙密度調整剤は、アミドアンモニウム塩が、3級以下のアンモニウム塩である。3級以下のアンモニウム塩であると、適度な疎水性が付与され、アミドアンモニウム塩によるサイズ性能に優れる。またカチオン化することでパルプへの静電吸着が促進され紙密度の調整効果が向上する。
本発明において、3級以下のアンモニウム塩であるアミドアンモニウム塩には、次の(1)~(4)が包含される。
(1)分子内の全ての塩構造が3級アンモニウム塩であるアミドアンモニウム塩
(2)分子内の全ての塩構造が3級アンモニウム塩及び2級アンモニウム塩であるアミドアンモニウム塩
(3)上記(1)と(2)の混合物
(4)上記(1)と(2)のいずれかのアミドアンモニウム塩と、分子内の全ての塩構造が2級アンモニウム塩であるアミドアンモニウム塩との混合物
(5)分子内の全ての塩構造が2級アンモニウム塩であるアミドアンモニウム塩
本発明の紙密度調整剤は、エピクロロヒドリン及び、エピクロロヒドリン由来の化学構造を持つ化合物を実質的に含まない。この実施形態の紙密度調整剤は、エピクロロヒドリンを原料に使用せずとも、アミドアンモニウム塩による紙密度の調整効果に優れ、更にサイズ性能に優れる。従来のエピクロロヒドリンを原料に使用した紙密度調整剤には、製剤中にも微量のエピクロロヒドリンが含まれていた。このエピクロロヒドリンが抄造工程を経て排出される排水が河川に放出され、環境汚染につながることから、我が国では、エピクロロヒドリンが要監視項目に指定されているが、この実施形態の紙密度調整剤によれば、今後排水基準が設けられても当該基準を満たし、環境問題に対応可能な紙密度調整剤を提供できる。
ここで、実質的に含まないとは、次のことを指す。
エピクロロヒドリンは、紙密度調整剤中の含有量が、3ppm以下、好ましくは0.3ppm以下、より好ましくは0.03ppm以下であり、更に好ましくはエピクロロヒドリンを含まない。
エピクロロヒドリン由来の化学構造を持つ化合物は、紙密度調整剤中の含有量が、110ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下であり、更に好ましくは当該化合物を含まない。エピクロロヒドリン由来の化学構造を持つ化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミンと脂肪酸を反応させて得られるアミドアミンに、少なくともエピクロロヒドリンを反応させて得られるアミドアンモニウム塩、(メタ)アクリル酸のアミノアクリルアミドにエピハロヒドリンとアルキルハライドを反応させて得られる化合物等が挙げられる。
好ましい実施形態において、本発明の紙密度調整剤は、アミドアンモニウム塩の全アミン価が5~120である。好ましくは、全アミン価が7~100であり、より好ましくは10~90である。
全アミン価は、後記の実施例欄に記載の方法で測定することができる。
アミドアンモニウム塩の全アミン価は、1以上であると3級以下の塩であり、4級化しない。全アミン価が5以上であると、適度な疎水性が付与され、アミドアンモニウム塩によるサイズ性能に優れる。全アミン価が120以下であると、アミドアンモニウム塩のカチオン性が増し、パルプに静電吸着することで紙密度の調整効果が向上する。
本発明の紙密度調整剤の剤型は特に限定されず、例えば、アミドアンモニウム塩をそのまま固体又は液状で用いることができ、あるいは、水や有機溶媒に乳化、分散又は溶解して用いることができる。
紙密度調整剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分を含んでもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、溶媒、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等が挙げられる。
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、有機溶媒等が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、低級アルコール、グリコール類、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。乳化する場合には、溶媒は、水又は、水及びそれと相溶する有機溶媒の混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、アンモニア、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。乳化する場合には、界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
好ましい実施形態において、本発明の紙密度調整剤は、pHが3~8である。pHがこの範囲であると、アミドアンモニウム塩を高濃度に含有しても、乳化により調製した紙密度調整剤を常温で低粘度の液状とすることができ、ペースト状やゲル状のものに比べてハンドリング性に優れる。pHが3未満であると、紙が変色や劣化を起こしやすくなるおそれがある。また、調製した紙密度調整剤が常温時に増粘してペースト状やゲル状のものになりやすいため、ハンドリング性も悪くなるおそれがある。pHが8を超えると、紙密度調整剤の密度低下効果やサイズ性能が十分に発揮されないおそれがある。
pHを上記の範囲とするために、塩基を用いることが好ましい。塩基としては、特に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化塩等が挙げられる。
紙密度調整剤におけるアミドアンモニウム塩の含有量は、10~40質量%が好ましく、15~35質量%がより好ましい。当該含有量が10質量%以上であると、多量に添加せずともアミドアンモニウム塩による紙密度の調整効果とサイズ性能が得られる。当該含有量が40質量%以下であると、乳化により調製した紙密度調整剤を常温で低粘度の液状とすることができ、ペースト状やゲル状のものに比べてハンドリング性に優れる。
本発明の紙密度調整剤を用いた紙類の製造方法について説明する。
紙類の原料や製紙方法等は特に限定されない。原料のパルプとしては、例えば、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独又は任意の割合で混合したものが挙げられる。また、紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。
紙類としては、特に限定されないが、例えば、非塗工印刷用紙、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙、軽量コート紙等)、微塗工印刷用紙、特殊印刷用紙等の印刷用紙;コピー用紙、インクジェット用紙、ノーカーボン紙、感光紙、感熱紙等の情報用紙;新聞用紙;未晒し包装紙、晒し包装紙等の包装用紙;ティッシュペーパー、トイレットペーパー等の衛生用紙;雑種紙;板紙、ライナー、中芯等のダンボール用紙;壁紙、襖紙原紙やその裏打ち紙等が挙げられる。
これらの中でも、サイズ性能が求められる印刷用紙、情報用紙に好適に用いることができる。
紙類を製造する際には、原料のパルプに、本発明の紙密度調整剤を添加する。特に、内部添加法が好ましく適用され、パルプと水とを含む混合物(例えば、パルプスラリー)に紙密度調整剤及び必要に応じて他の添加剤を添加し、得られた混合物を用いて通常の方法により抄造を行うことにより紙が得られる。
パルプと紙の製造工程は一般に、木材およびチップを機械力や化学薬品で処理してパルプを得るパルプ製造工程、回収古紙を離解・脱墨・水洗・漂白して脱墨パルプを得る古紙脱墨パルプ化工程、得られたパルプの洗浄・精選工程、漂白工程、各種薬品を添加して紙料を調成する調成工程、抄紙工程、湿紙水分を除去するプレス工程、そして乾燥工程等があるが、抄紙工程前の任意の箇所であってよく、各チェストやそれらをつなぐ配管内に、薬剤をそのまま、あるいは予め希釈したものを添加すればよい。例えば、パルプを含む工程水と接する各工程に付帯する配管、ポンプ、貯留タンク等の設備に添加することができる。例えば、製紙工程において目的に応じた性質を紙製品に与えるための設備等である、パルパー、リファイナー、原料チェスト、ミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱、ファンポンプ等において、薬剤を添加して行うことができる。各薬剤の添加場所は、抄紙工程前のパルプスラリーが攪拌されている場所であれば特に限定されないが、ミキシングチェスト、マシンチェスト等に添加すると、これに備えられた撹拌機で十分に混合できる。また、チェストに直接添加するだけでなく、チェストの配管入口や出口等から薬剤を添加してもよい。
紙の製造に使用するパルプへの、本発明の紙密度調整剤の添加量は、特に限定されないが、パルプ100質量部を基準として、0.3~1.0質量部が好ましい。
抄紙工程においては、その低密度化の性能を損なわない程度に、他の薬剤を添加することができる。
他の薬剤としては、例えば、染料、顔料、蛍光増白剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の脱墨剤;硫酸アルミニウム、ポリアクリルアミド等のポリマー類、デンプン類等の歩留向上剤;ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、カチオン化デンプン等の濾水向上剤;乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤等の紙力増強剤;ポリアクリルアミド等の粘剤;ロジン石鹸、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ポリビニルアルコール等のサイズ剤;タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム等の填料;塩素、有機臭素化合物、有機硫黄化合物等のスライムコントロール剤;界面活性剤、キレート剤、硫酸バンド等のピッチコントロール剤;シリコン系等の消泡剤;陰イオンを持つ塩類等が抄紙系内に累積するのを抑制する凝結剤等が挙げられる。
また、低密度化する目的は特に限定されず、コスト低減、パルプ使用量の節減の他、例えば、印刷適性、ボリューム感、風合い、手触り等の柔軟性等であってもよい。
以上に、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。
なお、アミドアンモニウム塩は、原料のモル比に応じて複数の構造が取り得、通常は不特定の混合物であることから、本発明の特徴を、物の構造又は特性により直接特定することは困難であるか過大な負担を要し、他に、当該特徴を構造上又は特性上、明確かつ簡潔に特定する文言も存在しない。従って本発明を製造方法で特定した。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)化合物の合成
(化合物Aの合成)
反応容器に、ジエチレントリアミン、ステアリン酸を仕込み、窒素雰囲気下で徐々に過熱昇温し、180~210℃にて4時間脱水反応した。反応終了後、120℃まで冷却後水を添加して1時間攪拌することでイミダゾリン化した環化物を開環し、更に120℃前後を維持しながらジメチル硫酸又はジエチル硫酸を滴下し、滴下終了後1時間半反応してアミドアンモニウム塩の化合物Aを得た。
(化合物B~Pの合成)
表1に示した脂肪酸、ポリアミン、及びジアルキル硫酸を所定のモル比とし、上記化合物Aの合成と同様の操作を行い、化合物B~Pを得た。化合物B~Oはアミドアンモニウム塩であり、化合物Pはジアルキル硫酸を反応させないアミドアミンである。
化合物A~Pの全アミン価は、化合物A~Pを100mLの無水中性エタノールで溶解後、N/10塩酸(アルコール性)をセットした自動滴定装置により測定した。その結果を表1に示す。
(2)紙密度調整剤の調製
反応容器に、化合物Aを20g仕込み、80℃に加熱して溶融しアミド化合物Aの合計量が15質量%となるように水を添加し、Na2CO3を加えpH調整を行い、乳化状の紙密度調整剤を得た。アミド化合物B~Pについても同様の条件で紙密度調整剤を得た。これらのpHを表2に示す。
(3)抄紙
広葉樹晒しクラフトパルプをジュースミキサーにて1分攪拌し0.75%パルプスラリー(フリーネス560ml)を調製した。このパルプスラリーを、回転数調整付モーター攪拌器にて撹拌しながら、紙密度調整剤中のアミド化合物量として対パルプ0.5質量%になるように紙密度調整剤を添加し、1分間撹拌した。次に、角型シートマシーン[熊谷理機工業(株)製]にて坪量60g/m2となるように抄紙し、プレスにより14.7kMPaで3分間プレスしたのち、ドラム式乾燥機にて105℃で2分間乾燥して低密度紙を得た。
(4)嵩高効果の評価
調湿した手すきシートの厚さをJIS紙厚測定機TM-600(熊谷理機工業(株))により異なる10箇所の厚さを測定し、その平均値より求めた。手すきシートの坪量と厚さから求めた密度により嵩高効果を評価した。嵩高効果は、ブランクに対する密度の比である嵩高率により以下の基準で評価した。
密度=手すきシートの坪量(g/m2)/手すきシートの厚さ(μm)
嵩高率=(手すきシートの密度/ブランクの密度)×100
評価基準
×:嵩高率が100%以下 嵩高効果なし
△:嵩高率が101~103% 嵩高効果が弱い
〇:嵩高率が104~106% 嵩高効果あり
◎:嵩高率が107%以上 嵩高効果良好
(5)サイズ性の評価
調湿した手すきシートのステキヒトサイズ度をJIS P 8122:2007に準じて測定し、小数第1位以下を四捨五入し、以下の基準で評価した。
×:ステキヒトサイズ度が0s サイズ性なし
△:ステキヒトサイズ度が1~3s サイズ性が弱い
〇:ステキヒトサイズ度が4~9s サイズ性あり
◎:ステキヒトサイズ度が10s以上 サイズ性良好
評価の結果を表2に示す。
Figure 2023017148000002
Figure 2023017148000003
表1及び表2より、ポリアミンと脂肪酸を反応させて得られるアミドアミンにジアルキル硫酸を反応させた、脂肪酸の炭素数、ポリアミン中の活性アミノ基に対する脂肪酸の反応モル比、アミドアミン中の活性アミノ基に対するジアルキル硫酸の反応モル比が所定範囲であるアミドアンモニウム塩を含む本発明の紙密度調整剤を用いて抄紙を行った実施例1~11の低密度紙は、比較例1~5の低密度紙と比較して、嵩高率とサイズ性能が良好である。すなわちエピクロロヒドリンを原料に使用しなくても、紙密度を調整でき、更にサイズ性能に優れる紙密度調整剤が得られた。これに対して比較例1、2はアミドアミン中の活性アミノ基に対するするジアルキル硫酸の反応モル比が高く、比較例3はポリアミン中の活性アミノ基に対する脂肪酸の反応モル比が低く、比較例4は脂肪酸の炭素数が少なく、比較例5はジアルキル硫酸を反応させないアミドアミンであるが、これらはいずれも実施例1~11に比べてサイズ性能に劣る。
紙密度調整剤の性状については、pHを調整した実施例1~11の紙密度調整剤はいずれも常温で低粘度の液状であり、アミドアンモニウム塩を高濃度に含有してもハンドリング性が良好であった。比較例5のアミドアミンは10質量%で水に溶解しない沈殿物が発生した。

Claims (3)

  1. ポリアミンと脂肪酸を反応させて得られるアミドアミンに、ジアルキル硫酸を反応させて得られるアミドアンモニウム塩を含む紙密度調整剤であって、
    前記脂肪酸は、炭素数が14~22であり、
    前記脂肪酸の反応モル比が前記ポリアミン中の活性アミノ基に対して0.3~0.8であり、
    前記ジアルキル硫酸の反応モル比が前記アミドアミン中の活性アミノ基に対して0.1モル以上1モル未満であり、
    前記アミドアンモニウム塩は、3級以下のアンモニウム塩であり、
    前記紙密度調整剤は、エピクロロヒドリン及び、エピクロロヒドリン由来の化学構造を持つ化合物を実質的に含まない紙密度調整剤。
  2. 前記アミドアンモニウム塩は、全アミン価が5~120である請求項1に記載の紙密度調整剤。
  3. 前記紙密度調整剤は、pHが3~8である請求項1又は2に記載の紙密度調整剤。
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