JP2007270398A - 紙用柔軟剤 - Google Patents

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一巌 浅倉
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Takashi Matsufuji
孝志 松藤
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Abstract

【課題】紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性およびサイズ性を付与し得る紙用柔軟剤を提供すること。
【解決手段】特定のポリアミン化合物と特定の飽和カルボン酸を反応させて得られるアミドアミン化合物に対して、尿素を反応させて得られる特定の化合物(a)、およびジアルキルアミノアルキレンアミンとジカルボン酸とを反応させて得られる特定の化合物(b)からなる紙用柔軟剤であって、該化合物(a)と該化合物(b)との質量比は50/50〜90/10である、紙用柔軟剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、紙用柔軟剤に関する。より詳細には、紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性およびサイズ性を付与し得る紙用柔軟剤に関する。
印刷物のビジュアル化およびカラー化が進むにつれて、印刷適性の向上の観点から、より優れた柔軟性を有する印刷用紙が求められている。また、書籍などの印刷物のページのめくり易さの点からも、より柔軟な印刷用紙が求められている。
従来、多くの紙用柔軟剤が開発されており、ポリエチレングリコール、尿素、第4級アンモニウム塩などが、紙の柔軟性を向上させることが知られている。しかし、これらの柔軟剤は、柔軟性の向上に効果があるものの、サイズ剤の効果を阻害することがある。さらに、これらの柔軟剤により柔軟性が向上した紙は、引張り強度(紙力)などが低減することも知られている。すなわち、従来の紙用柔軟剤は、サイズ性および紙力の低減を招くことがある。したがって、製紙産業においては、紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性およびサイズ性を付与し得る紙用柔軟剤が求められている。
特許文献1には、液体または融点が50℃以下で、かつHLBが8以下の嵩高柔軟剤と、多価アルコールおよび高級飽和脂肪酸のエステル化合物であるサイズ剤とを用いて、柔軟性およびサイズ性に優れた紙が得られることが記載され、特許文献2には、アミノアンモニウム塩からなる紙用柔軟剤が、紙力を維持しつつ紙に優れた柔軟性を付与することが記載され、特許文献3には、アクリルアミド系ポリマーが、紙力増強効果およびサイズ性向上効果を発現し得ることが記載されている。
しかし、いずれも、紙力の低減抑制、柔軟性の向上、およびサイズ性の向上のすべてを満足させることはできない。
特開2004−324024号公報 特開2001−355197号公報 特開2003−238631号公報
本発明の目的は、紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性およびサイズ性を付与することが可能な紙用柔軟剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の化合物(a)および特定の化合物(b)を特定の割合で組み合わせることによって、上記目的を達成できる紙用柔軟剤が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
本発明の紙用柔軟剤は、化合物(a)および化合物(b)からなる紙用柔軟剤であって、該化合物(a)と該化合物(b)との質量比は50/50〜90/10であり、該化合物(a)は、以下の一般式(1):
NH−(R−NH)−R (1)
(RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(1)および炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を、該ポリアミン化合物(1)のアミノ基に対して、該飽和カルボン酸のカルボキシル基が0.3〜0.8当量となるような割合で反応させて得られるアミドアミン化合物と尿素とを、該アミドアミン化合物のアミノ基に対して、該尿素が0.4〜1モルとなるような割合で反応させて得られる化合物であり、そして該化合物(b)は、以下の一般式(2):
Figure 2007270398
(Aは炭素数が4〜12のジカルボン酸の残基であり、R、R、R、およびRはそれぞれ炭素数が1〜4のアルキル基であり、そしてRおよびRはそれぞれ炭素数が2〜4のアルキレン基である)で表される化合物である。
本発明の紙用柔軟剤はまた、化合物(a)、化合物(b)、および炭素数が12〜24の飽和カルボン酸から得られるアルキルケテンダイマー(c)からなる紙用柔軟剤であって、該化合物(a)と該化合物(b)との質量比は50/50〜90/10であり、かつ、該化合物(a)と該アルキルケテンダイマー(c)との質量比は80/20〜99/1であり、該化合物(a)は、以下の一般式(1):
NH−(R−NH)−R (1)
(RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(1)および炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を、該ポリアミン化合物(1)のアミノ基に対して、該飽和カルボン酸のカルボキシル基が0.3〜0.8当量となるような割合で反応させて得られるアミドアミン化合物と尿素とを、該アミドアミン化合物のアミノ基に対して、該尿素が0.4〜1モルとなるような割合で反応させて得られる化合物であり、そして該化合物(b)は、以下の一般式(2):
Figure 2007270398
(Aは炭素数が4〜12のジカルボン酸の残基であり、R、R、R、およびRはそれぞれ炭素数が1〜4のアルキル基であり、そしてRおよびRはそれぞれ炭素数が2〜4のアルキレン基である)で表される化合物である。
本発明の紙用柔軟剤は、紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性およびサイズ性を付与し得る。したがって、この柔軟剤を用いることによって、紙力を維持し、かつ優れた柔軟性およびサイズ性を有する紙を得ることができる。
本発明の紙用柔軟剤は、化合物(a)(以下、a成分という場合がある)および化合物(b)(以下、b成分という場合がある)からなる。あるいは、本発明の紙用柔軟剤は、上記化合物(a)、上記化合物(b)、およびアルキルケテンダイマー(c)(以下、c成分という場合がある)からなる。以下、各成分および紙用柔軟剤について説明する。
(化合物(a):a成分)
化合物(a)は、アミドアミン化合物と尿素とを反応させて得られる。まず、アミドアミン化合物について説明し、次いで化合物(a)について説明する。
(1)アミドアミン化合物
このアミドアミン化合物の製造に用いられるポリアミン化合物(1)は、以下の一般式(1):
NH−(R−NH)−R (1)
(RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)で表される。
上記一般式(1)において、RおよびRの炭素数が1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
上記一般式(1)において、Rの炭素数が1〜4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。
アミドアミン化合物の製造に用いられる飽和カルボン酸は、炭素数が10〜24の飽和カルボン酸であり、好ましくは炭素数が12〜18の飽和カルボン酸である。飽和カルボン酸の炭素数が10未満の場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果およびサイズ性向上効果が不十分となる。飽和カルボン酸の炭素数が24を超える場合、このようなアミドアミン化合物と尿素とを反応させて得られる化合物(a)は、融点が高くなり、紙用柔軟剤の取り扱いが困難になる場合がある。
このような炭素数が10〜24の飽和カルボン酸としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、テトラコサン酸などが挙げられる。
アミドアミン化合物は、上記ポリアミン化合物(1)と上記飽和カルボン酸とを、ポリアミン化合物(1)のアミノ基に対して、飽和カルボン酸のカルボキシル基が0.3〜0.8当量、好ましくは0.5〜0.7当量となるような割合で反応させて得られる。0.3当量未満の場合、このようなアミドアミン化合物と尿素とを反応させて得られる化合物(a)を用いた紙用柔軟剤は、サイズ性向上効果が不十分となる。0.8当量を超える場合、このようなアミドアミン化合物と尿素とを反応させて得られる化合物(a)を用いた紙用柔軟剤は、柔軟性向上効果が不十分となる。
アミドアミン化合物を得るための反応は、反応器中に上記ポリアミン化合物(1)と上記飽和カルボン酸とを仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら昇温し、生成する水を除去しながら数時間保持することによって行われる。
(2)化合物(a)
化合物(a)は、上述のように、上記アミドアミン化合物と尿素とを反応させて得られる。尿素は、上記アミドアミン化合物のアミン価より求められるアミノ基に対して、0.4〜1モル、好ましくは0.6〜0.9モルの割合で反応に用いられる。0.4モル未満の場合、得られる紙用柔軟剤のサイズ性向上効果が不十分となる。1モルを超える場合、使用量に見合った柔軟性向上効果およびサイズ性向上効果が得られない。この反応は、通常の縮合反応によって行われる。
上記化合物(a)は、そのまま使用することができるが、酸で中和することにより取り扱い性がよくなる。この際使用する酸としては、抄紙後の紙に残留する場合を考慮すると、蟻酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸などが好ましい。これらの酸は、化合物(a)のアミン価を測定し、該アミン価に対して当量用いられる。
(化合物(b):b成分)
化合物(b)は、以下の一般式(2):
Figure 2007270398
(Aは炭素数が4〜12のジカルボン酸の残基であり、R、R、R、およびRはそれぞれ炭素数が1〜4のアルキル基であり、そしてRおよびRはそれぞれ炭素数が2〜4のアルキレン基である)で表される化合物である。
上記一般式(2)において、Aは炭素数が4〜12のジカルボン酸の残基であり、このようなジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸が挙げられる。これらの中で、炭素数が6〜10のジカルボン酸が好ましい。炭素数が12を超える場合、このような化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性を付与するものの、得られる化合物の融点が高くなり、取り扱いが困難になる場合がある。
上記一般式(2)において、R、R、R、およびRの炭素数が1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などが挙げられる。これらの中で、メチル基およびエチル基が好ましい。炭素数が4を超える場合、このような化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性を付与するものの、得られる化合物の融点が高くなり、取り扱いが困難になる場合がある。
上記一般式(2)において、RおよびRの炭素数が2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。これらの中で、プロピレン基が好ましい。
上記化合物(b)は、ジアルキルアミノアルキレンアミンと上記ジカルボン酸とを反応させて得られる。この反応は、通常の縮合反応によって行われる。上記化合物(b)は、そのまま使用することができるが、酸で中和することにより取り扱い性がよくなる。この際使用する酸としては、抄紙後の紙に残留する場合を考慮すると、蟻酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸などが好ましい。これらの酸は、化合物(b)のアミン価を測定し、該アミン価に対して当量用いられる。
(アルキルケテンダイマー(c):c成分)
アルキルケテンダイマー(c)は、紙にさらなるサイズ性を付与するために使用される。アルキルケテンダイマー(c)は、例えば、カルボン酸をリン法またはホスゲン法によってカルボン酸の塩化物とし、その後、3級アミンを触媒として脱塩酸することにより得られる。
上記アルキルケテンダイマー(c)の原料となる飽和カルボン酸としては、炭素数が12〜24の飽和カルボン酸、好ましくは炭素数が16〜22の飽和カルボン酸である。飽和カルボン酸の炭素数が12未満の場合、サイズ性のさらなる向上効果が望めない場合がある。飽和カルボン酸の炭素数が24を超える場合、得られる紙用柔軟剤の取り扱いが困難になる場合がある。
このような飽和カルボン酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、テトラコサン酸などが挙げられる。これらの飽和カルボン酸は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(紙用柔軟剤)
本発明の紙用柔軟剤は、上記化合物(a)(a成分)および上記化合物(b)(b成分)からなる。あるいは、上記a成分、上記b成分、および上記アルキルケテンダイマー(c成分)からなる。
本発明の紙用柔軟剤において、a成分とb成分との質量比は50/50〜90/10、好ましくは65/35〜85/15である。a成分とb成分との質量比が50/50未満の場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が不十分となる。a成分とb成分との質量比が90/10を超える場合、得られる紙用柔軟剤は紙力を低下させる場合がある。
本発明の紙用柔軟剤が、a成分、b成分、およびc成分からなる場合、a成分とb成分との質量比は50/50〜90/10、好ましくは65/35〜85/15であり、かつa成分とc成分との質量比は80/20〜99/1、好ましくは85/15〜95/5である。
本発明の紙用柔軟剤は、その使用において特に制限はないが、以下に好適な使用例を挙げる。
(紙用柔軟剤の使用例)
パルプ100質量部に対して、上記紙用柔軟剤を上記a成分と上記b成分との合計量が0.03〜8質量部、好ましくは0.1〜5質量部となるように添加する。上記a成分と上記b成分との合計量が0.03質量部未満の場合、紙に十分な柔軟性を付与することができない。上記a成分と上記b成分との合計量が8質量部を超える場合、使用量に見合った柔軟性およびサイズ性の向上効果が得られず、むしろ紙のコストアップにつながり、経済的に不利となる。
上記パルプ(原料パルプ)としては、例えば化学パルプ(針葉樹もしくは広葉樹の晒しまたは未晒しクラフトパルプなど)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプなど)、脱墨パルプ(新聞、雑誌古紙など)などが用いられる。これらは単独で、または混合して用いることができる。
紙の製造において、紙用柔軟剤は、種々の工程において利用され得る。すなわち、抄紙工程のいずれの段階においても抄紙系に添加され得(内部添加法)、さらに抄紙工程により得られたパルプシートの表面に付与することも可能である(外部添加法)。例えば、抄紙工程におけるミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱などの工程でパルプスラリーに添加する内部添加法、あるいは、抄紙により得られたパルプシート表面に塗工するサイズプレス、ゲートロール、スプレーなどの外部添加法が採用される。
特に、内部添加法が好適に採用される。例えば、パルプと水とを含む混合物(例えば、パルプスラリー)に上記紙用添加剤を添加し、通常の方法により抄造を行なうことにより紙が得られる。
紙の製造においては、一般に紙の抄造に用いられる長網抄紙機、ツインワイヤー機、ヤンキー機などの抄紙機を使用することができる。
本発明の紙用柔軟剤を用いて得られる紙としては、例えば、新聞用紙、印刷用紙、記録用紙、包装用紙、板紙、ライナー、中芯などの段ボール用紙、壁紙、襖紙原紙、裏打ち紙などの紙製品、トイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの衛生紙が挙げられる。これらの中でも、特に印刷用紙が好適である。
(合成例1:化合物(a)の合成)
(合成例1.1)
撹拌機、冷却管、温度計、および窒素導入管を備えた500mL容量の4つ口フラスコに、表1に記載のポリアミン化合物(1)(ジエチレントリアミン)51.6g(0.5モル)およびステアリン酸213g(0.75モル)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、撹拌しながら180〜190℃まで昇温し、生成する水を系外へ除去しながら3時間反応を行い、アミン価が167のアミドアミン化合物を得た。次いで、さらにこのアミドアミン化合物のアミノ基に対して0.5モルの尿素を仕込み、窒素雰囲気下、160〜170℃で撹拌し、アンモニアを系外へ除去しながら1時間反応させて、アミン価が116の化合物a−1を得た。
(合成例1.2〜1.4)
表1に記載のポリアミン化合物(1)、飽和カルボン酸、および尿素を、表1に記載のモル比で用いたこと以外は、合成例1.1と同様の手順で、化合物a−2〜a−4をそれぞれ得た。ここで、表1に記載のカルボン酸の当量とは、ポリアミン化合物(1)のアミノ基に対する飽和カルボン酸のカルボキシル基の当量のことをいい、尿素のモル比とは、ポリアミン化合物(1)と飽和カルボン酸とから得られるアミドアミン化合物のアミン価より求められるアミノ基に対する尿素のモル数のことをいう。
(比較合成例1.1〜1.5)
表1に記載のポリアミン化合物(1)、カルボン酸、および尿素を、表1に記載のモル比で用いたこと以外は、合成例1.1と同様の手順で、化合物a’−1〜a’−5をそれぞれ得た。ここで、表1に記載のカルボン酸の当量とは、ポリアミン化合物(1)のアミノ基に対する飽和カルボン酸のカルボキシル基の当量のことをいい、尿素のモル比とは、ポリアミン化合物(1)と飽和カルボン酸とから得られるアミドアミン化合物のアミン価より求められるアミノ基に対する尿素のモル数のことをいう。
Figure 2007270398
(合成例2:化合物(b)の合成)
(合成例2.1)
撹拌機、冷却管、温度計、および窒素導入管を備えた500mL容量の4つ口フラスコに、表2に記載のアミン(ジエチルアミノプロピルアミン)130.2g(2モル)およびスベリン酸174.2g(1モル)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、撹拌しながら120〜130℃まで昇温し、生成する水を系外へ除去しながら15時間反応を行い、アミン価が282の化合物b−1を得た。
(合成例2.2〜2.5)
表2に記載のアミン(2モル)およびジカルボン酸(1モル)を用いたこと以外は、合成例2.1と同様の手順で、化合物b−2〜b−5をそれぞれ得た。
(比較合成例2)
表2に記載のアミン(2モル)およびジカルボン酸(1モル)を用いたこと以外は、合成例2.1と同様の手順で、化合物b’−1を得た。
Figure 2007270398
(調製例1:紙用柔軟剤の分散液の調製)
(調製例1.1)
1Lのビーカーに、710gのイオン交換水、64gの化合物a−1、16gの化合物b−1、および10gの酢酸(化合物a−1と化合物b−1とのアミノ基に対して0.8当量に相当)を仕込んだ。次いで、80℃に昇温し、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5000rpmで5分間撹拌した。次いで、加圧乳化機(マントンゴーリン、APV GAULIN,INC.社製)を用いて、40MPaの条件下、2回処理して、a成分とb成分との質量比が80/20の紙用柔軟剤の分散液を調製した(分散液Iとする)。この分散液I中には、a成分とb成分とが合計で10質量%含有されている。
(調製例1.2〜1.7)
表3に記載の化合物(a)および化合物(b)を表3に記載の質量比で用い、そして表3に記載の酸を、表3に記載の中和当量となるように用いたこと以外は、調製例1.1と同様の手順で、紙用柔軟剤の分散液II〜VIIをそれぞれ得た。
(調製例1.8)
1Lのビーカーに、516.9gのイオン交換水、54gの化合物a−1、18gの化合物b−3、および11.1gの酢酸(化合物a−1と化合物b−3とのアミノ基に対して1当量に相当)、8gのアルキルケテンダイマー(c)(原料脂肪酸はラウリン酸)、および予め過硫酸アンモニウムで処理されたカチオンデンプン(HI−CAT260、Roquette Italia S.p.A社製)の10質量%水溶液200gを仕込んだ。次いで、80℃に昇温し、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5000rpmで5分間撹拌した。次いで、加圧乳化機(マントンゴーリン、APV GAULIN,INC.社製)を用いて、40MPaの条件下、2回処理して、化合物a−1と化合物b−3との質量比が75/25、かつ化合物a−1とアルキルケテンダイマー(c)との質量比が87/13の紙用柔軟剤の分散液を調製した(分散液VIIIとする)。この分散液VIII中には、化合物a−1と化合物b−1とが合計で9質量%含有されている。
(調製例1.9〜1.11)
表3に記載の化合物(a)、化合物(b)、およびアルキルケテンダイマー(c)を表3に記載の質量比で用い、そして表3に記載の酸を、表3に記載の中和当量となるように用いたこと以外は、調製例1.8と同様の手順で、紙用柔軟剤の分散液IX〜XIをそれぞれ得た。
(比較調製例1.1、1.3、および1.5)
表4に記載の化合物(a)、化合物(b)、およびアルキルケテンダイマー(c)を表4に記載の質量比で用い、そして表4に記載の酸を、表4に記載の中和当量となるように用いたこと以外は、調製例1.8と同様の手順で、紙用柔軟剤の分散液XII、XIV、およびXVIをそれぞれ得た。
(比較調製例1.2、1.4、1.6、および1.7)
表4に記載の化合物(a)および化合物(b)を表4に記載の質量比で用い、そして表4に記載の酸を、表4に記載の中和当量となるように用いたこと以外は、調製例1.1と同様の手順で、紙用柔軟剤の分散液XIII、XV、XVII、およびXVIIIをそれぞれ得た。
Figure 2007270398
Figure 2007270398
(実施例1:紙用柔軟剤の評価)
1.手すきシートの製造
フリーネスが400mLであるLBKP(広葉樹晒パルプ)を、離解機(熊谷理研株式会社製)を用いて離解し、パルプを1質量%含有するパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー100g(パルプ量1g)を200mL容量のビーカーに入れ、上記紙用柔軟剤の分散液Iを0.05g(パルプ100質量部に対して化合物a−1と化合物b−1との合計量が0.5質量部)、1質量%硫酸アルミニウム水溶液0.1g(パルプ100質量部に対して0.1質量部)、および糊化した1質量%カチオン化デンプン(エースK−100、王子コーンスターチ株式会社製)を1g(パルプ100質量部に対して1質量部)添加した。次いで、径4.5cmのタービン羽根により、250rpmにて1分間撹拌した。撹拌後、TAPPIスタンダードシートマシン(安田精機株式会社製)により抄紙した。抄紙後、油圧プレス機(安田精機株式会社製)を用いて0.35Mpaで5分間プレスし、ドラム式ドライヤー(安田精機株式会社製)により105℃で2分間乾燥し、坪量約50g/mの手すきシートを3枚製造した。この手すきシートを、さらに温度23℃および湿度50%の恒温恒湿室に17時間保管して調湿した。
2.評価
得られた手すきシートについて、(1)柔軟性(曲げ剛度)、(2)柔軟性(容量)、(3)紙力、および(4)サイズ性を評価した。
(1)柔軟性の評価(曲げ剛度)
純曲げ試験機(KES−FB2、カトーテック株式会社製)を用いて、得られた3枚の手すきシートの曲げ剛度を、縦方向および横方向についてそれぞれ測定してその平均値を求めた。得られた平均値を以下の基準で評価した。女性10名による官能評価の結果、曲げ剛度が4.41×10−5N・m/m未満の場合、7名以上の女性が柔軟であると評価した。したがって、曲げ剛度が4.41×10−5N・m/m未満の場合、柔軟性が良好な手すきシートであると評価した。結果を表5に示す。
(評価基準)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m/m未満:柔軟性が良好である(○)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m/m以上:柔軟性が不十分である(×)
(2)柔軟性の評価(容量)
手すきシートの坪量をJIS P8124に準じて測定した。さらに厚みをJIS式紙圧測定機MEI−10(シチズン時計株式会社製)を用いて、手すきシート1枚につき10ヶ所測定し、10ヶ所の厚みの平均を手すきシートの厚みとした。得られた坪量および厚みの測定値を用いて以下の式からシート容量を求めた。3枚の平均を求めて、以下の基準で評価した。結果を表5に示す。
シート容量(cm/g)=厚み(μm)/坪量(g/m
(評価基準)
容量が1.60cm/g以上:柔軟性が良好である(○)
容量が1.60cm/g未満:柔軟性が不十分である(×)
(3)紙力の評価
手すきシートから120×15mmの試験片を作製し、引張圧縮試験機SV−201−0−SH(株式会社今田製作所製)を用いて、紙を引き離すときの引張り強さを測定した。そして、JIS P8113に準じて以下の式から裂断長を計算し、3枚の平均を求めた。次いで、紙用柔軟剤無添加(ブランク)の場合の手すきシートの裂断長を同様の手順で求めた。そして、ブランクの場合の手すきシートの裂断長に対する紙用柔軟剤を添加して得られた手すきシートの裂断長の割合(ブランクとの比)を、以下の基準で評価した。結果を表5に示す。
Figure 2007270398
(評価基準)
ブランクとの比が80%以上:紙力が良好である(○)
ブランクとの比が80%未満:紙力が不十分である(×)
(4)サイズ性の評価
JIS P8122に準じて、手すきシートのステキヒトサイズ度を測定した。次いで、3枚の手すきシートのステキヒトサイズ度の平均値を求め、以下の基準で評価した。結果を表5に示す。
(評価基準)
サイズ度が30秒以上 :サイズ性が非常に良好である(◎)
サイズ度が20秒以上30秒未満:サイズ性が良好である(○)
サイズ度が20秒未満 :サイズ性が不十分である(×)
(実施例2〜11)
紙用柔軟剤の分散液II〜XIを、表5に記載の割合で用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で手すきシートを製造し、上記(1)〜(4)の評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例1)
紙用柔軟剤の分散液を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で手すきシートを製造し、上記(1)〜(4)の評価を行った。結果を表6に示す。
(比較例2〜8)
紙用柔軟剤の分散液XII〜XVIIIを、表6に記載の割合で用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で手すきシートを製造し、上記(1)〜(4)の評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 2007270398
Figure 2007270398
表5に示すように、実施例1〜11の紙用柔軟剤の分散液I〜XIを用いた場合、いずれの紙(手すきシート)も、紙力を維持しつつ、優れた柔軟性およびサイズ性を有することがわかる。
これに対して、表6に示すように、比較例1では、紙用柔軟剤を用いていないため、柔軟性およびサイズ性に優れた紙が得られなかった。比較例2では、化合物(a)の原料として不飽和カルボン酸(オレイン酸)を用いたため、サイズ性に優れた紙が得られなかった。比較例3では、化合物(a)の調製において、ポリアミン化合物(1)のアミノ基に対する飽和カルボン酸のカルボキシル基の当量が本発明の範囲より小さい(0.2当量)ため、サイズ性に優れた紙が得られなかった。比較例4では、化合物(a)の調製において、ポリアミン化合物(1)のアミノ基に対する飽和カルボン酸のカルボキシル基の当量が本発明の範囲より大きい(0.9当量)ため、柔軟性に優れた紙が得られなかった。比較例5では、化合物(a)の調製において、アミドアミン化合物のアミノ基に対する尿素のモル数が本発明の範囲より小さい(0.2モル)ため、サイズ性に優れた紙が得られなかった。比較例6では、化合物(a)の調製において、アミドアミン化合物のアミノ基に対する尿素のモル数が本発明の範囲より大きい(1.2モル)ため、柔軟性に優れた紙が得られなかった。比較例7では、化合物(b)の代わりに別の化合物(化合物(b)の一般式(2)において、R、R、R、およびRが水素、そしてRおよびRがエチレン基である化合物)を用いたため、柔軟性に優れた紙が得られなかった。比較例8では、化合物(a)と化合物(b)との質量比が本発明の範囲より小さい(30/70)ため、柔軟性およびサイズ性に優れた紙が得られなかった。
本発明によれば、紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性およびサイズ性を付与することが可能な紙用柔軟剤が提供される。この紙用柔軟剤を用いると、紙力を維持しつつ、優れた柔軟性およびサイズ性を有する紙を得ることができる。得られた紙は、新聞用紙、印刷用紙、記録用紙、包装用紙、板紙、ライナー、中芯などの段ボール用紙、壁紙、襖紙原紙、裏打ち紙などの紙製品、トイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの衛生紙などに至るまで各種分野の紙として広く利用される。

Claims (2)

  1. 化合物(a)および化合物(b)からなる紙用柔軟剤であって、
    該化合物(a)と該化合物(b)との質量比が50/50〜90/10であり、
    該化合物(a)が、以下の一般式(1):
    NH−(R−NH)−R (1)
    (RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(1)および炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を、該ポリアミン化合物(1)のアミノ基に対して、該飽和カルボン酸のカルボキシル基が0.3〜0.8当量となるような割合で反応させて得られるアミドアミン化合物と尿素とを、該アミドアミン化合物のアミノ基に対して、該尿素が0.4〜1モルとなるような割合で反応させて得られる化合物であり、そして
    該化合物(b)が、以下の一般式(2):
    Figure 2007270398
    (Aは炭素数が4〜12のジカルボン酸の残基であり、R、R、R、およびRはそれぞれ炭素数が1〜4のアルキル基であり、そしてRおよびRはそれぞれ炭素数が2〜4のアルキレン基である)で表される化合物である、紙用柔軟剤。
  2. 化合物(a)、化合物(b)、および炭素数が12〜24の飽和カルボン酸から得られるアルキルケテンダイマー(c)からなる紙用柔軟剤であって、
    該化合物(a)と該化合物(b)との質量比が50/50〜90/10であり、かつ、該化合物(a)と該アルキルケテンダイマー(c)との質量比が80/20〜99/1であり、
    該化合物(a)が、以下の一般式(1):
    NH−(R−NH)−R (1)
    (RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(1)および炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を、該ポリアミン化合物(1)のアミノ基に対して、該飽和カルボン酸のカルボキシル基が0.3〜0.8当量となるような割合で反応させて得られるアミドアミン化合物と尿素とを、該アミドアミン化合物のアミノ基に対して、該尿素が0.4〜1モルとなるような割合で反応させて得られる化合物であり、そして
    該化合物(b)が、以下の一般式(2):
    Figure 2007270398
    (Aは炭素数が4〜12のジカルボン酸の残基であり、R、R、R、およびRはそれぞれ炭素数が1〜4のアルキル基であり、そしてRおよびRはそれぞれ炭素数が2〜4のアルキレン基である)で表される化合物である、紙用柔軟剤。
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