JP4779972B2 - 紙用柔軟剤 - Google Patents
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Description
また、これまで知られている柔軟剤組成物を用いて紙を製造した場合、保湿性は改良されるものの、以下の問題がある。例えば、第四級化エステルアミン化合物およびポリヒドロキシ化合物からなる柔軟剤組成物(特表平8−505663号公報)を用いた場合は、得られる紙の曲げのしなやかさが不充分であり、さらに吸水性が低い。4級アンモニウム塩およびグリセリンからなる柔軟剤組成物(特開平4−100995号公報)を用いた場合は、得られる紙の曲げのしなやかさおよび紙の保管後の保湿感が十分ではない。
本発明者らは、従来の保湿剤または紙用柔軟剤を用いて得られる紙では、高温雰囲気下に曝されると容易に保湿感が失われるという問題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、特定のアミドアミン化合物および特定の多価アルコールを特定の比率で含有する紙用柔軟剤を用いることによって、高温雰囲気下においても保湿感を維持することができ、かつ曲げのしなやかさや吸水性に優れた紙が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
本発明の紙用柔軟剤は、アミドアミン化合物および/またはその塩(a)と2〜6価の多価アルコール(b)とからなり、該アミドアミン化合物は、炭素数10〜24のカルボン酸で構成されかつ不飽和結合および/または分岐鎖を有するカルボン酸を40〜100質量%含有するカルボン酸と、
式(1):
NH2−(R1−NH)n−R2−NH2 (1)
(R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜4のアルキレン基であり、nは1〜3である)で示されるポリアミンとを、該ポリアミン1モルに対して、該カルボン酸を1.5〜2.5モル反応させて得られ、かつ該アミドアミン化合物の3級アミン価/全アミン価比が0.60〜0.99であり、そして該アミドアミン化合物および/またはその塩(a)と該多価アルコール(b)との割合が、質量比(a)/(b)で1/99〜35/65である。
従って、本発明は、次の目的を達成し得る:曲げのしなやかさ、吸水性、および保湿感に優れ、高温雰囲気下においても保湿感を維持することができる紙を得るための紙用柔軟剤を提供すること。
(アミドアミン化合物および/またはその塩:a成分)
本発明の紙用柔軟剤を構成するアミドアミン化合物および/またはその塩は、以下のカルボン酸およびポリアミンを反応させて得られるアミドアミン化合物およびその塩のうちの少なくとも一方である。本明細書においては、このようなアミドアミン化合物および/またはその塩を「アミドアミン化合物および/またはその塩(a)」、「a成分」などという場合がある。
上記アミドアミン化合物および/またはその塩(a)の原料であるカルボン酸は、炭素数10〜24のカルボン酸で構成され、かつ不飽和結合および/または分岐鎖を有するカルボン酸を40〜100質量%含有するカルボン酸である。すなわち、炭素数が10〜24の不飽和結合および/または分岐鎖を有するカルボン酸(以下、不飽和および/または分岐カルボン酸という)40〜100質量%と、炭素数が10〜24の飽和直鎖脂肪酸0〜60質量%とで構成されるカルボン酸が用いられる。
炭素数が10未満のカルボン酸を用いて得られるアミドアミン化合物またはその塩を含む紙用柔軟剤は、紙に十分な曲げのしなやかさを付与することができない。さらに得られる紙を高温雰囲気下で保管すると保湿感が失われる。炭素数が24を超えるカルボン酸を用いて得られる紙用柔軟剤は、取り扱いが困難となるだけではなく、得られる紙の吸水性が低い。
また、不飽和および/または分岐カルボン酸の含有量が40質量%未満のカルボン酸を用いて調製された紙用柔軟剤を用いても、得られる紙の曲げのしなやかさは充分ではなく、吸水性も十分ではない。
本発明に用いられる炭素数が10〜24のカルボン酸としては、次の化合物が挙げられる:カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸などのカルボン酸;ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、豚脂脂肪酸、大豆油脂肪酸、なたね油脂肪酸、トール油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、カカオ油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸などの天然油脂由来の混合脂肪酸、およびこれらの水素添加物などのカルボン酸。これらの中で、炭素数12〜22のカルボン酸が好ましく、炭素数14〜18のカルボン酸が特に好ましい。
上記カルボン酸は、単独であるいは2以上組合わせて用いられ、上記カルボン酸組成となるように使用される。
上記アミドアミン化合物および/またはその塩(a)の原料であるポリアミンは、以下の式(1)で示される化合物:
NH2−(R1−NH)n−R2−NH2 (1)
(R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜4のアルキレン基であり、nは1〜3である)である。
式(1)で示されるポリアミンにおいて、R1およびR2の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基などが挙げられる。1分子中に異なるRが存在していてもよく、2種以上のポリアミンを用いることも可能である。好ましいRはエチレン基またはプロピレン基である。
上記アミドアミン化合物は、上記ポリアミン1モルに対して、上記カルボン酸を1.5〜2.5モル、好ましくは1.8〜2.2モルの割合で反応させて得られる。カルボン酸が1.5モル未満の場合、紙に十分な曲げのしなやかさを付与することができない。さらに得られる紙を高温雰囲気下に保管すると保湿感が失われる。カルボン酸が2.5モルを超える場合、紙に十分な保湿感を付与することができず、得られる紙の吸水性は低い。
本発明の紙用柔軟剤に含有されるアミドアミン化合物の3級アミン価/全アミン価比は、0.6〜0.99、好ましくは0.70〜0.99である。3級アミン価/全アミン価比が0.60未満のアミドアミン化合物および/またはその塩(a)を含有する紙用柔軟剤を用いた場合、得られる紙を高温雰囲気下に保管すると保湿感が失われる。
3級アミン価/全アミン価の比が0.6〜0.99であるアミドアミン化合物は、以下のようにして得られる。式(1)の上記ポリアルキレンポリアミンとカルボン酸とを反応させると、反応混合物の酸価が仕込み時の理論酸価の約10%となるまではカルボン酸がアミノ基と反応するアミド化反応が優先的に進行し、全アミン価に対する3級アミン価の比率が0〜0.4である化合物が生成する。しかし、酸価が仕込み時の理論酸価の10%を下回ると、反応時間に対する酸価の減少が小さくなるため、通常のアミド化反応はこの段階で反応を終了させる。そしてこの段階から更に所定の条件で反応を進めると、生成したアミド化合物のアミド基とアミノ基とが脱水縮合し、3級アミン部分を有するアミド化合物が生成する。そのため、全アミン価に対する3級アミン価の比率は0.4を超えるようになる。このようにして、上記3級アミン価/全アミン価比が0.6〜0.99のアミド化合物を得ることが可能である。具体的には、そのようなアミド化合物は、例えば反応混合物の仕込み時の理論酸価の10%以下になった段階の酸価を基準として、さらに酸価がその75%以下に下がるまで反応を進めることによって得られる。このような反応(アミド化合物のアミド基とアミノ基とを脱水縮合させる反応)を進める方法は、特に限定されるものではないが、アミド化合物生成後に減圧反応を行う方法、あるいはさらに高温での反応を行う方法などが挙げられる。
上記の反応により得られるアミド化合物は、そのまま紙用柔軟剤に使用することができるが、無機酸あるいは有機酸で中和して塩として使用すると、取り扱いが容易になり使用しやすくなる。上記無機酸としては、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、イタコン酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、クエン酸、ヒドロキシ安息香酸、リンゴ酸、ヒドロキシマロン酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、サリチル酸、ヒドロキシ吉草酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリン、スルファミン酸、オクチル酸、ノナン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。これらの中で、グリコール酸、乳酸、およびグルコン酸が好ましく用いられる。
塩を形成させるために使用する酸の量は、上記反応により得られた生成物の全アミン価を測定し、目的に応じて必要な量を決定する。全アミン価と当量の無機酸または有機酸を添加してアミド化合物の塩とすることが好ましい。
(2〜6価の多価アルコール:b成分)
本発明の紙用柔軟剤を構成する2〜6価の多価アルコール(以下、「多価アルコール(b)」、「b成分」などという場合がある)としては、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。高温雰囲気下に保管した後の紙の保湿感を高める目的で、1分子中に水酸基数/炭素数が0.6〜1.0の多価アルコールを使用することが好ましく、上記のうちでも特にプロピレングリコール、グリセリン、またはジグリセリンが好ましく用いられる。7価以上の多価アルコールを含有する紙用柔軟剤を用いても、十分な曲げのしなやかさを有する紙が得られない。
(紙用柔軟剤)
本発明の紙用柔軟剤は、上記アミドアミン化合物および/またはその塩(a)(a成分)と2〜6価の多価アルコール(b)(b成分)とからなり、a成分とb成分との割合が、質量比(a成分/b成分)で1/99〜35/65である。この割合は、好ましくは1/99〜25/75である。a成分/b成分が1/99未満の紙用柔軟剤では、十分な曲げのしなやかさを有する紙が得られず、該紙を高温雰囲気下に保管すると保湿感が失われる。35/65を超える紙用柔軟剤では、充分な保湿感を有する紙が得られない。
本発明の紙用柔軟剤は、紙の製造において使用される。詳細には、紙の製造工程において、パルプ原料100質量部に対して、上記a成分とb成分との合計量が0.03〜8質量部の割合となるように上記紙用柔軟剤を添加することが、しなやかに曲がり、吸水性に優れた紙が得られる点および経済的な点から好ましい。上記原料パルプとしては、化学パルプ(針葉樹または広葉樹の晒しまたは未晒しクラフトパルプなど)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプなお)、脱墨パルプ(新聞、雑誌古紙など)などが挙げられる。これらの原料パルプは、単独でまたは任意の割合で混合して利用することができる。
また、本発明の紙用柔軟剤は、製紙工程において一般的に使用される各種添加薬剤、例えば、ポリアクリルアミド、植物グァムなどの紙力増強剤;アルキルケテンダイマー、ロジンなどのサイズ剤;ポリエチレンイミン、カチオン化ポリマーなどの濾水性・歩留り向上剤;硫酸バンド、塩化ナトリウム、アルミン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ラテックスなどの内添助剤;ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などを必要に応じて併用することができる。
本発明の紙用柔軟剤は、長網抄紙機、ツインワイヤー機、ヤンキー機等のあらゆる抄紙機で使用することができる。さらに、ミキシングテスト、マシンチェスト、種箱などの工程でパルプスラリーに添加する内部添加、および抄紙されたパルプシートに塗工するサイズプレス、ゲートロールなどの外部添加のいずれの場合も添加可能である。
特に、外部添加法、中でも塗布が好適に採用される。紙用柔軟剤は、パルプ繊維間および/またはパルプシート(紙)の表面に塗布することができる。例えば、本発明の紙用柔軟剤を原料パルプに塗布した後に2枚重ねの加工(抄紙工程)を行ってもよく、2枚重ねの加工(抄紙工程)を行った後に得られたパルプシートに塗布してもよい。具体的な塗布方法としては、転写印刷方式、コーター、スプレーなどが挙げられる。好ましくは転写印刷方式である。
本発明の紙用柔軟剤を用いることによって得られる紙は、しなやかに曲がり、吸水性に優れている。このような紙は、特にトイレットペーパー、ちり紙、フェイシャルティッシュ、京花紙、ペーパーナプキン、ペーパータオル、ワイパー、生理用紙、おむつ用紙などのような衛生薄葉紙に好適に用いられる。
オレイン酸A:パルミチン酸(2.0%)、ステアリン酸(1.5%)、パルミトレイン酸(2.0%)、オレイン酸(91.0%)、リノール酸(2.0%)、その他(1.5%);
エルカ酸A:ステアリン酸(0.4%)、リノール酸(0.4%)、リノレン酸(2.7%)、アラキン酸(0.4%)、ベヘン酸(1.0%)、エルカ酸(90.4%)、リグノセリン酸(2.0%)、その他(2.7%);
大豆油脂肪酸:パルミチン酸(11.6%)、ステアリン酸(4.2%)、オレイン酸(33.3%)、リノール酸(42.2%)、リノレン酸(7.2%)、その他(1.5%);および
牛脂脂肪酸:ミリスチン酸(3.0%)、パルミチン酸(24.8%)、ステアリン酸(16.1%)、ミリストレイン酸(1.5%)、パルミトレイン酸(4.7%)、オレイン酸(41.8%)、リノール酸(3.9%)、リノレン酸(1.0%)、その他(3.2%)。
(合成例1:アミドアミン化合物およびその塩(a)の調製)
攪拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、オレイン酸A285.0g(1.0モル)およびジエチレントリアミン51.5g(0.5モル)を仕込み、窒素雰囲気下、180℃まで昇温し、水を系外へ除去しながら180℃で2時間反応を行った。この反応物は、酸価6.2、全アミン価89.5、および3級アミン価33.2であった。さらに、180℃、20Torrの減圧条件下で5時間の脱水反応を行い、酸価4.1、全アミン価88.3、3級アミン価76.6(3級アミン価/全アミン価=0.87)であるアミドアミン化合物を得た。このアミドアミン化合物319gに70質量%のグリコール酸水溶液54.5gを加えて攪拌し、アミドアミン化合物塩を得た。得られたアミドアミン化合物およびその塩を表1に示す。
(合成例2〜10)
オレイン酸Aの代わりに、表1に示すカルボン酸を1.0モル用いたことおよびジエチレントリアミンの代わりに表1に示すポリアミンを0.5モル用いたこと以外は、合成例1と同様の操作を行い、アミドアミン化合物を得た。さらに得られたアミドアミン化合物の全アミン価と当量になるように表1に示す酸を加えて攪拌し、アミドアミン化合物塩を得た。得られたアミドアミン化合物およびその塩を表1にまとめて示す。
(合成例11)
攪拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、エルカ酸A290.0g(0.90モル)およびジエチレントリアミン44.3g(0.43モル)を仕込み、窒素雰囲気下、180℃まで昇温し、水を系外へ除去しながら180℃で2時間反応を行い、アミドアミン化合物を得た。このアミドアミン化合物は、酸価7.1、全アミン価70.1、および3級アミン価20.6(すなわち、3級アミン価/全アミン価=0.29)であった。このアミドアミン化合物318.1gに90質量%の乳酸水溶液39.8gを加えて攪拌し、アミドアミン化合物塩を得た。得られたアミドアミン化合物およびその塩を表1に示す。
(実施例1:紙用柔軟剤の調製および評価)
攪拌機、冷却管、温度計を備えた4つ口フラスコにグリセリン110g、プロピレングリコール40gを仕込み50℃で15分撹拌した。その後、アミドアミン化合物塩a−1を50g仕込み、さらに50℃で15分撹拌して柔軟剤Aを得た。
これとは別に、小型傾斜短網抄紙機((株)大昌鉄工所製)を用いてLBKP(広葉樹晒パルプ)からなる坪量20g/m2の紙を抄造した。この紙を乾燥後、20cm×20cmに裁断し、これを試験紙とした。
表面が平滑であるガラス板に上記柔軟剤Aを均一に塗りつけ、柔軟剤Aの塗布面に上記試験紙(乾燥質量0.793g)を1枚置き、試験紙の上から金属棒を転がして力を加えて柔軟剤Aを試験紙に転写した。転写後の試験紙の質量は、0.817gであった。柔軟剤A転写前後の試験紙の重量差から塗布量を求めた。上記と同様の作業を行い、柔軟剤A塗布紙を40枚調製した。このうちの20枚を室温(23℃)、湿度50%の恒温恒湿室にて48時間保管し(室温保存塗布紙とする)、残りの20枚を45℃の恒温槽にて48時間保管した(高温保存塗布紙とする)。これらの塗布紙について、以下の評価を行った。結果を表2に併せて示す。
(1)曲げのしなやかさの評価
室温保存塗布紙を16枚重ねた後、純曲げ試験機(カトーテック(株)製KES−FB2)を用いて縦方向および横方向の曲げ剛度を測定し、その平均値を求めた。得られた平均値から以下の基準で評価を行った。
曲げ剛度0.98×10−5N・m2/m未満:しなやかさが良好である(○)、
曲げ剛度0.98×10−5N・m2/m以上:しなやかさが不十分である(×)。
(2)保湿感の評価
10名の女性をパネラーとして、20枚を重ねた室温保存塗布紙および20枚を重ねた試験紙をそれぞれ片手で握り、保湿感について、以下の基準で採点してもらった。
5点:試験紙に比べて非常にしっとりしている、
4点:試験紙に比べてしっとりしている、
3点:試験紙に比べてややしっとりしている、
2点:試験紙とかわらない、
1点:しっとり感がない。
得られた点数の平均点を以下の基準で評価した。
平均点が3.0点以上:保湿感に優れる(○)、
平均点が3.0未満:保湿感が劣る(×)。
なお、上記と同様にして、高温保存塗布紙についても保湿感を評価した。
(3)吸水性の評価
室温保存塗布紙を10cm×10cmに裁断し、40枚重ねにして4角をステープラで留めた。この40枚重ねた室温保存塗布紙を85℃で8分間乾燥し、常温まで放冷した後、水面に落として完全に水にぬれるまでの時間を測定した。得られた測定値を以下の基準で評価した。
吸水時間10秒未満:吸水性が良好である(○)、
吸水時間10秒以上:吸水性が不充分である(×)。
(実施例2〜6)
表2に示す化合物を表2に示す割合で配合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、柔軟剤を得た(それぞれ柔軟剤B〜Fとする)。各柔軟剤を用いて、実施例1と同様にして、塗布紙を調製し、上記(1)〜(3)の評価を行った。結果を表2に併せて示す。
(比較例1〜9)
表3に示す化合物を表3に示す割合で配合したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、柔軟剤を得た(それぞれ柔軟剤G〜Nとする)。各柔軟剤を用いて、実施例1と同様にして、塗布紙を調製し、評価を行った(比較例1〜8とする)。なお、柔軟剤を塗布しない試験紙についても実施例1と同様にして20枚を室温23℃、湿度50%の恒温恒湿室で24時間保管し、20枚を45℃の恒温槽に24時間保管後、上記(1)〜(3)の評価を行った(比較例9とする)。結果を表3に併せて示す。
これに対して、表3を参照すると、多価アルコール(b成分)のみ含有する比較例1の柔軟剤では、得られる紙の曲げのしなやかさが不十分であり、高温雰囲気に保管すると保湿感が低下した。アミドアミン化合物塩(a成分)のみ含有する比較例2の柔軟剤では、得られる紙の保湿感が十分でなかった。比較例3〜6の柔軟剤は、含有されるアミドアミン化合物塩が本発明の範囲を満たさないため、以下の点で問題があった。すなわち、比較例3では、原料カルボン酸の炭素数が小さいために、得られる紙の曲げのしなやかさが不十分であり、この紙を高温雰囲気下に保管すると保湿感が低下した。比較例4では、原料カルボン酸の不飽和結合または分岐鎖の割合が本発明の範囲を満たさないために、得られる紙の曲げのしなやかさおよび吸水性が不十分であり、高温雰囲気下で保管すると、保湿感が低下した。比較例5は原料カルボン酸とポリアルキレンポリアミンとのモル比が本発明の範囲よりも小さいために、得られる紙の曲げのしなやかさが不十分であり、高温雰囲気下に保管すると保湿感が低下した。比較例6は原料カルボン酸とポリアルキレンポリアミンのモル比が本発明の範囲よりも大きいために、得られる紙の吸水性が低下した。比較例7はアミドアミン化合物塩の3級アミン価/全アミン価比が本発明の範囲よりも小さいために、得られる紙を高温雰囲気下に保管すると保湿感が低下した。比較例8はa成分/b成分の割合が本発明の範囲を外れるために、得られる紙の保湿性が充分でなかった。
Claims (1)
- アミドアミン化合物および/またはその塩(a)と2〜6価の多価アルコール(b)とからなる紙用柔軟剤であって、
該アミドアミン化合物は、炭素数10〜24のカルボン酸で構成されかつ不飽和結合および/または分岐鎖を有するカルボン酸を40〜100質量%含有するカルボン酸と、
式(1):
NH2−(R1−NH)n−R2−NH2 (1)
(R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜4のアルキレン基であり、nは1〜3である)で示されるポリアミンとを、該ポリアミン1モルに対して、該カルボン酸を1.5〜2.5モル反応させて得られ、
かつ該アミドアミン化合物の3級アミン価/全アミン価比が0.60〜0.99であり、そして
該アミドアミン化合物および/またはその塩(a)と該多価アルコール(b)との割合が、質量比(a)/(b)で1/99〜35/65である、紙用柔軟剤。
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