JP2007107115A - 紙用柔軟剤およびそれを用いた紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】紙の滑らかさおよび柔軟性を向上させることができる紙用柔軟剤を提供すること。
【解決手段】本発明は、特定のアミドアミン尿素縮合物(A)および特定の変性シリコーンオイル(B)からなる紙用柔軟剤であって、該アミドアミン尿素縮合物(A)と該変性シリコーンオイル(B)との質量比が、80:20〜99.9:0.1である、紙用柔軟剤を提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、特定のアミドアミン尿素縮合物(A)および特定の変性シリコーンオイル(B)からなる紙用柔軟剤であって、該アミドアミン尿素縮合物(A)と該変性シリコーンオイル(B)との質量比が、80:20〜99.9:0.1である、紙用柔軟剤を提供する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、紙用柔軟剤に関する。より詳細には、紙の柔軟性および滑らかさを向上させることの可能な紙用柔軟剤に関する。
近年、印刷物のビジュアル化およびカラー化が進んでおり、印刷適性の点から、製紙業界では、より柔軟な印刷用紙が求められている。一方、消費者からも、紙製品の品質向上(例えば、滑らかさ)の要求が高まっている。特に、印刷用紙には、例えば、本などを開いた時に自然に閉じてしまうことのないしなやかさ、紙のめくりやすさなどの点から、柔軟性だけではなく、滑らかさも要求されている。さらに、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの家庭用の紙製品には、使用感の向上の点から、滑らかさおよび柔軟性が強く要求されている。
従来、ポリエチレングリコール、尿素などが紙に柔軟性を付与することが知られており、多くの柔軟剤が開示されている。しかし、これらの柔軟剤を用いても、得られる紙の柔軟性は不十分である。さらに、紙製品の触感を高めるために、第4級アンモニウム塩を使用する方法が開示されている。しかし、この方法を用いても、得られる紙の滑らかさは不十分である。
これらの問題を解決するために、特定の第4級アンモニウム塩、炭素数8〜24の直鎖飽和もしくは不飽和脂肪酸またはその塩、および炭素数が10〜24の脂肪酸とペンタエリスリトールとのエステル化合物からなる紙用柔軟剤(特許文献1)、多価アルコールと高級不飽和および/または分岐脂肪酸とのエステル化合物を含む嵩高柔軟剤(特許文献2)、およびポリシロキサンを用いたティッシュペーパーの製造方法(特許文献3および4)が開示されている。
しかし、これらの柔軟剤および方法では、得られる紙の滑らかさと柔軟性とを同時に向上させることはできない。
特開平7−189171号公報
特開2004−324024号公報
特開平3−900号公報
特開平9−509989号公報
本発明の目的は、紙の滑らかさおよび柔軟性を向上させることができる紙用柔軟剤、ならびにそれを用いた紙の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、特定のアミドアミン尿素縮合物および特定の変性シリコーンを特定の割合で組み合わせることによって、上記目的を達成できる紙用柔軟剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の紙用柔軟剤は、アミドアミン尿素縮合物(A)および変性シリコーンオイル(B)からなる紙用柔軟剤であって、該アミドアミン尿素縮合物(A)は、アミドアミン化合物(a1)とアミドアミン化合物(a2)とを40:60〜95:5のモル比で含むアミドアミン混合物と、該アミドアミン混合物のアミノ基1モルに対して、0.1〜1モルの尿素とを反応させて得られ、該アミドアミン化合物(a1)は、下記の式(1)で示されるポリアミン化合物(1):
R1NH−(R2−NH)m−R3 (1)
(R1およびR3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、R2は炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)に、炭素数が10〜24のカルボン酸を、該ポリアミン化合物(1)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.6〜0.85モルとなるような割合で反応させて得られ、該アミドアミン化合物(a2)は、下記の式(2)で示されるポリアミン化合物(2):
R4NH−(R5−NH)n−R6 (2)
(R4およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、R5は炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である)に、炭素数が10〜24のカルボン酸を、該ポリアミン化合物(2)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.2〜0.45モルの割合となるように反応させて得られ、該変性シリコーンオイル(B)は、官能基当量10〜110KOHmg/gのアミノ変性シリコーンオイルまたはカルボキシル変性シリコーンオイルであり、そして、該アミドアミン尿素縮合物(A)と該変性シリコーンオイル(B)との質量比は、80:20〜99.9:0.1である。
R1NH−(R2−NH)m−R3 (1)
(R1およびR3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、R2は炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)に、炭素数が10〜24のカルボン酸を、該ポリアミン化合物(1)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.6〜0.85モルとなるような割合で反応させて得られ、該アミドアミン化合物(a2)は、下記の式(2)で示されるポリアミン化合物(2):
R4NH−(R5−NH)n−R6 (2)
(R4およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、R5は炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である)に、炭素数が10〜24のカルボン酸を、該ポリアミン化合物(2)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.2〜0.45モルの割合となるように反応させて得られ、該変性シリコーンオイル(B)は、官能基当量10〜110KOHmg/gのアミノ変性シリコーンオイルまたはカルボキシル変性シリコーンオイルであり、そして、該アミドアミン尿素縮合物(A)と該変性シリコーンオイル(B)との質量比は、80:20〜99.9:0.1である。
本発明の紙の製造方法は、パルプ100質量部に対して、上記紙用柔軟剤を、0.03〜8質量部となるように添加する工程を包含する。
本発明によれば、紙の滑らかさおよび柔軟性を向上させ得る紙用柔軟剤、ならびにそれを用いた紙の製造方法が提供される。
本発明の紙用柔軟剤は、アミドアミン尿素縮合物(A)(以下、A成分という場合がある)および変性シリコーン(B)(以下、B成分という場合がある)からなる。以下、各成分、紙用柔軟剤、およびそれを用いた紙の製造方法について順次説明する。
(I)アミドアミン尿素縮合物(A)
本発明の紙用柔軟剤に用いられるアミドアミン尿素縮合物(A)は、アミドアミン化合物(a1)とアミドアミン化合物(a2)との混合物(以下、アミドアミン混合物という場合がある)と尿素とを反応させて得られる縮合反応生成物である。以下、アミドアミン化合物(a1)および(a2)、尿素、およびそれらを用いた縮合物の調製方法について説明する。
本発明の紙用柔軟剤に用いられるアミドアミン尿素縮合物(A)は、アミドアミン化合物(a1)とアミドアミン化合物(a2)との混合物(以下、アミドアミン混合物という場合がある)と尿素とを反応させて得られる縮合反応生成物である。以下、アミドアミン化合物(a1)および(a2)、尿素、およびそれらを用いた縮合物の調製方法について説明する。
(1)アミドアミン化合物(a1)
本発明の紙用柔軟剤に用いられるアミドアミン尿素縮合物(A)の原料として用いられるアミドアミン化合物(a1)は、下記の式(1)で示されるポリアミン化合物(1)に、後述の特定のカルボン酸を反応させて得られる。
R1NH−(R2−NH)m−R3 (1)
本発明の紙用柔軟剤に用いられるアミドアミン尿素縮合物(A)の原料として用いられるアミドアミン化合物(a1)は、下記の式(1)で示されるポリアミン化合物(1)に、後述の特定のカルボン酸を反応させて得られる。
R1NH−(R2−NH)m−R3 (1)
式(1)中のR1およびR3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、R2は炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である。
上記R1およびR3で示される炭素数が1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、およびイソプロピル基が挙げられる。炭素数が3を超える場合、このようなアミドアミン化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性および滑らかさを付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。
上記R2で示される炭素数が1〜4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ブチレン基などが挙げられる。炭素数が4を超える場合、このようなアミドアミン化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性および滑らかさを付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。
式(1)において、上述のように、mは2〜4である。mが4を超える場合、このようなアミドアミン化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性および滑らかさを付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。
上記アミドアミン化合物(a1)の原料として用いられるカルボン酸は、炭素数が10〜24のカルボン酸であり、好ましくは炭素数が12〜18の飽和カルボン酸である。炭素数が10〜24のカルボン酸としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、テトラコサン酸などのカルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。炭素数が10未満の場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が低下する。炭素数が24を超える場合、このようなアミドアミン化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性および滑らかさを付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。
上記アミドアミン化合物(a1)は、上記式(1)で示されるポリアミン化合物(1)と上記カルボン酸とを、ポリアミン化合物(1)のアミノ基1モルに対して、カルボン酸のカルボキシル基が0.6〜0.85モル、好ましくは0.6〜0.75モルとなるような割合で反応させることによって得られる。0.6モル未満の場合および0.85モルを超える場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が低下する。
アミドアミン化合物(a1)は、カルボキシル基とアミノ基とを縮合反応させることによって得られる。反応は、例えば、反応器中にポリアミン化合物(1)と上記混合カルボン酸とを仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら昇温し、生成する水を除去しながら数時間加熱することによって行われる。
(2)アミドアミン化合物(a2)
本発明の紙用柔軟剤に用いられるアミドアミン尿素縮合物(A)の原料として用いられるアミドアミン化合物(a2)は、下記の式(2)で示されるポリアミン化合物(2)に、後述の特定のカルボン酸を反応させて得られる。
R4NH−(R5−NH)n−R6 (2)
本発明の紙用柔軟剤に用いられるアミドアミン尿素縮合物(A)の原料として用いられるアミドアミン化合物(a2)は、下記の式(2)で示されるポリアミン化合物(2)に、後述の特定のカルボン酸を反応させて得られる。
R4NH−(R5−NH)n−R6 (2)
式(2)中のR4およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、R5は炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である。
上記R4およびR6で示される炭素数が1〜3のアルキル基としては、上記式(1)のR1およびR3と同様のアルキル基が挙げられる。炭素数が3を超える場合、このようなアミドアミン化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性および滑らかさを付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。
上記R5で示される炭素数が1〜4のアルキレン基としては、上記式(1)のR2と同様のアルキレン基が挙げられる。炭素数が4を超える場合、このようなアミドアミン化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性および滑らかさを付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。
式(2)において、上述のように、nは2〜4である。nが4を超える場合、このようなアミドアミン化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性および滑らかさを付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。
上記アミドアミン化合物(a2)を得るために用いられるカルボン酸は、炭素数が10〜24のカルボン酸であり、好ましくは炭素数が12〜18の飽和カルボン酸である。炭素数が10〜24のカルボン酸としては、上記アミドアミン化合物(a1)に用いられるカルボン酸と同様のカルボン酸が挙げられる。炭素数が10未満の場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が低下する。炭素数が24を超える場合、このようなアミドアミン化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性および滑らかさを付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。
上記アミドアミン化合物(a2)は、上記式(2)で示されるポリアミン化合物(2)と上記カルボン酸とを、ポリアミン化合物(2)のアミノ基1モルに対して、カルボン酸のカルボキシル基が0.2〜0.45モル、好ましくは0.3〜0.45モルとなるような割合で反応させることによって得られる。0.2モル未満の場合および0.45モルを超える場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が低下する。
アミドアミン化合物(a2)は、ポリアミン化合物(2)とカルボン酸とを用い、上記アミドアミン化合物(a1)を得る場合と同様の反応を行うことによって得られる。
(3)アミドアミン尿素縮合物(A)
本発明の紙用柔軟剤に用いられるアミドアミン尿素縮合物(A)は、上記アミドアミン化合物(a1)およびアミドアミン化合物(a2)と、尿素とを反応させて得られる縮合反応生成物である。この縮合物は、一般的な縮合反応により、得ることができる。
本発明の紙用柔軟剤に用いられるアミドアミン尿素縮合物(A)は、上記アミドアミン化合物(a1)およびアミドアミン化合物(a2)と、尿素とを反応させて得られる縮合反応生成物である。この縮合物は、一般的な縮合反応により、得ることができる。
このアミドアミン混合物は、アミドアミン化合物(a1)とアミドアミン化合物(a2)とを40:60〜95:5のモル比で含み、好ましくは45:55〜70:30のモル比で含む。モル比が40:60未満の場合および95:5を超える場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が低下する。
アミドアミン混合物と反応させる尿素の量は、アミドアミン混合物のアミノ基1モルに対して、0.1〜1モル、好ましくは0.3〜0.7モルである。尿素の量が0.1モル未満の場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が低下する場合がある。さらに、1モルを超えても、紙に柔軟性および滑らかさを付与するものの得られるアミドアミン尿素縮合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。
アミドアミン尿素縮合物は、酸塩にすることによって水への分散性が向上する。酸塩にするために用いる酸は、無機酸および有機酸が挙げられる。
無機酸としては、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、イタコン酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、クエン酸、ヒドロキシ安息香酸、リンゴ酸、ヒドロキシマロン酸、乳酸、グルコン酸、グリコール酸、サリチル酸、ヒドロキシ吉草酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリン、スルファミン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。これらの中では有機酸が好ましく、その中でも蟻酸、酢酸、およびプロピオン酸が特に好ましい。
(II)変性シリコーンオイル(B)
本発明の紙用柔軟剤に用いられる変性シリコーンオイル(B)は、アミノ変性シリコーンオイルまたはカルボキシル変性シリコーンオイルであり、それらの官能基当量は、いずれも10〜110KOHmg/gである。変性シリコーンオイル(B)の官能基当量は、好ましくは20〜65KOHmg/g、より好ましくは40〜65KOHmg/gである。そのような変性シリコーンオイルとしては、市販の変性シリコーンオイルが用いられ得る。アミノ変性シリコーンオイルおよびカルボキシル変性シリコーンオイルは、上述のようにいずれか一方または両者を組み合わせて用いられ、さらに、アミノ変性シリコーンオイルおよびカルボキシル変性シリコーンオイルは、その各々が1種または2種以上の混合物であってもよい。本明細書において、「アミノ変性シリコーンオイルの官能基当量」とは、アミノ変性シリコーンオイル1gを中和するために必要な過塩素酸と当量の水酸化カリウムのmg数のことをいい、「カルボキシル変性シリコーンオイルの官能基当量」とは、カルボキシル変性シリコーンオイル1gを中和するために必要な水酸化カリウムのmg数のことをいう。官能基当量が10KOHmg/g未満の場合、得られる紙用柔軟剤のパルプへの定着性が低下し、最終的に得られる紙の滑らかさが不十分となる。110KOHmg/gを超える場合、得られる紙がべたつき感を有し、滑らかさが不十分となる。
本発明の紙用柔軟剤に用いられる変性シリコーンオイル(B)は、アミノ変性シリコーンオイルまたはカルボキシル変性シリコーンオイルであり、それらの官能基当量は、いずれも10〜110KOHmg/gである。変性シリコーンオイル(B)の官能基当量は、好ましくは20〜65KOHmg/g、より好ましくは40〜65KOHmg/gである。そのような変性シリコーンオイルとしては、市販の変性シリコーンオイルが用いられ得る。アミノ変性シリコーンオイルおよびカルボキシル変性シリコーンオイルは、上述のようにいずれか一方または両者を組み合わせて用いられ、さらに、アミノ変性シリコーンオイルおよびカルボキシル変性シリコーンオイルは、その各々が1種または2種以上の混合物であってもよい。本明細書において、「アミノ変性シリコーンオイルの官能基当量」とは、アミノ変性シリコーンオイル1gを中和するために必要な過塩素酸と当量の水酸化カリウムのmg数のことをいい、「カルボキシル変性シリコーンオイルの官能基当量」とは、カルボキシル変性シリコーンオイル1gを中和するために必要な水酸化カリウムのmg数のことをいう。官能基当量が10KOHmg/g未満の場合、得られる紙用柔軟剤のパルプへの定着性が低下し、最終的に得られる紙の滑らかさが不十分となる。110KOHmg/gを超える場合、得られる紙がべたつき感を有し、滑らかさが不十分となる。
(III)紙用柔軟剤
本発明の紙用柔軟剤は、上記アミドアミン尿素縮合物(A成分)および上記変性シリコーンオイル(B成分)からなり、該A成分と該B成分との質量比は、80:20〜99.9:0.1である。質量比は、好ましくは85:15〜95:5である。質量比が80:20未満の場合、製紙工程における作業性が低下する。質量比が99.9:0.1を超える場合、得られる紙用柔軟剤の滑らかさの向上効果が不十分となる。
本発明の紙用柔軟剤は、上記アミドアミン尿素縮合物(A成分)および上記変性シリコーンオイル(B成分)からなり、該A成分と該B成分との質量比は、80:20〜99.9:0.1である。質量比は、好ましくは85:15〜95:5である。質量比が80:20未満の場合、製紙工程における作業性が低下する。質量比が99.9:0.1を超える場合、得られる紙用柔軟剤の滑らかさの向上効果が不十分となる。
本発明の紙用柔軟剤は、そのまま使用してもよく、分散液として使用してもよい。分散液の調製方法は、例えば、水または水溶性有機溶媒と上記紙用柔軟剤(すなわち、アミドアミン尿素縮合物(A)および変性シリコーンオイル(B))とを仕込み、撹拌することによって行われる。必要に応じて、上述のように無機酸または有機酸を用いて、アミドアミン尿素縮合物(A)の未反応のアミン部分と塩を形成させてもよい。
(IV)紙の製造方法
本発明の紙の製造方法は、通常の紙の製造工程において、上記紙用柔軟剤を使用することを特徴とする。紙用柔軟剤の量は、パルプ100質量部に対して、0.03〜8質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。紙用柔軟剤の量が0.03質量部未満の場合、得られる紙の柔軟性が不十分となる。紙用柔軟剤の量が8質量部を超える場合、使用量に見合った効果の向上はなく、むしろ紙のコストアップにつながり経済的に不利となる。
本発明の紙の製造方法は、通常の紙の製造工程において、上記紙用柔軟剤を使用することを特徴とする。紙用柔軟剤の量は、パルプ100質量部に対して、0.03〜8質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。紙用柔軟剤の量が0.03質量部未満の場合、得られる紙の柔軟性が不十分となる。紙用柔軟剤の量が8質量部を超える場合、使用量に見合った効果の向上はなく、むしろ紙のコストアップにつながり経済的に不利となる。
パルプ(原料パルプ)としては、例えば化学パルプ(針葉樹もしくは広葉樹の晒しまたは未晒しクラフトパルプなど)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプなど)、脱墨パルプ(新聞、雑誌古紙など)などが用いられる。これらは単独でまたは任意の割合で混合して利用することができる。
本発明の紙用柔軟剤は、紙の製造における種々の工程において利用され得る。すなわち、水とパルプとが共存する抄紙工程のいずれの段階においても添加され得る。特に、均一にパルプ原料に添加し得るミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱などの工程で、パルプスラリーに添加するのが好ましい。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(合成例1.1:アミドアミン化合物(a1)の合成)
撹拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500mL容量の4つ口フラスコに、オレイン酸282.0g(1モル)および表1の合成例1.1に記載のポリアミン化合物(1)52.1g(0.36モル)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、撹拌しながら180〜190℃まで昇温し、生成する水を系外へ除去しながら3時間反応を行い、全アミン価が76.1のアミドアミン化合物a1−1を得た。
撹拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500mL容量の4つ口フラスコに、オレイン酸282.0g(1モル)および表1の合成例1.1に記載のポリアミン化合物(1)52.1g(0.36モル)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、撹拌しながら180〜190℃まで昇温し、生成する水を系外へ除去しながら3時間反応を行い、全アミン価が76.1のアミドアミン化合物a1−1を得た。
(合成例1.2〜1.5:アミドアミン化合物(a1)の合成)
表1に記載のカルボン酸およびポリアミン化合物(1)を、表1に記載のモル数となるように用いたこと以外は、合成例1.1と同様の手順でそれぞれアミドアミン化合物a1−2〜a1−5を得た。
表1に記載のカルボン酸およびポリアミン化合物(1)を、表1に記載のモル数となるように用いたこと以外は、合成例1.1と同様の手順でそれぞれアミドアミン化合物a1−2〜a1−5を得た。
(比較合成例1.1および1.2:アミドアミン化合物(a1)の合成)
表1に記載のカルボン酸およびポリアミン化合物(1)を、表1に記載のモル数となるように用いたこと以外は、合成例1.1と同様の手順でそれぞれアミドアミン化合物a1−6およびa1−7を得た。
表1に記載のカルボン酸およびポリアミン化合物(1)を、表1に記載のモル数となるように用いたこと以外は、合成例1.1と同様の手順でそれぞれアミドアミン化合物a1−6およびa1−7を得た。
(合成例2.1:アミドアミン化合物(a2)の合成)
撹拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500mL容量の4つ口フラスコに、ステアリン酸284.0g(1モル)および表2の合成例2.1に記載のポリアミン化合物(2)104.3g(0.71モル)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、撹拌しながら180〜190℃まで昇温し、生成する水を系外へ除去しながら3時間反応を行い、全アミン価が281.4のアミドアミン化合物a2−1を得た。
撹拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500mL容量の4つ口フラスコに、ステアリン酸284.0g(1モル)および表2の合成例2.1に記載のポリアミン化合物(2)104.3g(0.71モル)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、撹拌しながら180〜190℃まで昇温し、生成する水を系外へ除去しながら3時間反応を行い、全アミン価が281.4のアミドアミン化合物a2−1を得た。
(合成例2.2〜2.5:アミドアミン化合物(a2)の合成)
表2に記載のカルボン酸およびポリアミン化合物(2)を、表2に記載のモル数となるように用いたこと以外は、合成例2.1と同様の手順でそれぞれアミドアミン化合物a2−2〜a2−5を得た。
表2に記載のカルボン酸およびポリアミン化合物(2)を、表2に記載のモル数となるように用いたこと以外は、合成例2.1と同様の手順でそれぞれアミドアミン化合物a2−2〜a2−5を得た。
(比較合成例2.1および2.2:アミドアミン化合物(a2)の合成)
表2に記載のカルボン酸およびポリアミン化合物(2)を、表2に記載のモル数となるように用いたこと以外は、合成例2.1と同様の手順でそれぞれアミドアミン化合物a2−6およびa2−7を得た。
表2に記載のカルボン酸およびポリアミン化合物(2)を、表2に記載のモル数となるように用いたこと以外は、合成例2.1と同様の手順でそれぞれアミドアミン化合物a2−6およびa2−7を得た。
(合成例3.1:アミドアミン尿素縮合物(A)の合成)
撹拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた1L容量の4つ口フラスコに、上記アミドアミン化合物a1−1を309.8g(0.35モル)およびアミドアミン化合物a2−1を77.8g(0.15モル)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、撹拌しながら110〜120℃まで昇温した。次いで、この反応混合物(全アミン価が117.3のアミドアミン混合物)に、尿素を24.0g(0.4モル)加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら160〜170℃まで昇温した。アンモニアを系外へ除去しながら1時間反応を行い、全アミン価が61.0のアミドアミン尿素縮合物A−1を得た。
撹拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた1L容量の4つ口フラスコに、上記アミドアミン化合物a1−1を309.8g(0.35モル)およびアミドアミン化合物a2−1を77.8g(0.15モル)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、撹拌しながら110〜120℃まで昇温した。次いで、この反応混合物(全アミン価が117.3のアミドアミン混合物)に、尿素を24.0g(0.4モル)加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら160〜170℃まで昇温した。アンモニアを系外へ除去しながら1時間反応を行い、全アミン価が61.0のアミドアミン尿素縮合物A−1を得た。
(合成例3.2〜3.5:アミドアミン尿素縮合物(A)の合成)
表3に記載のアミドアミン化合物(a1)、アミドアミン化合物(a2)、および尿素を、表3に記載のモル比となるように用いたこと以外は、合成例3.1と同様の手順で、それぞれアミドアミン尿素縮合物A−2〜A−5を得た。
表3に記載のアミドアミン化合物(a1)、アミドアミン化合物(a2)、および尿素を、表3に記載のモル比となるように用いたこと以外は、合成例3.1と同様の手順で、それぞれアミドアミン尿素縮合物A−2〜A−5を得た。
(比較合成例3.1〜3.6:アミドアミン尿素縮合物(A)の合成)
表3に記載のアミドアミン化合物(a1)、アミドアミン化合物(a2)、および尿素を、表3に記載のモル比となるように用いたこと以外は、合成例3.1と同様の手順で、それぞれアミドアミン尿素縮合物A’−1〜A’−6を得た。
表3に記載のアミドアミン化合物(a1)、アミドアミン化合物(a2)、および尿素を、表3に記載のモル比となるように用いたこと以外は、合成例3.1と同様の手順で、それぞれアミドアミン尿素縮合物A’−1〜A’−6を得た。
(調製例4.1:紙用柔軟剤の分散液の調製)
1L容量のビーカーに、イオン交換水を625.9g、酢酸を4.07g(アミドアミン尿素縮合物のアミン価に対して1.05倍モル当量に相当)、上記アミドアミン尿素縮合物A−1を66.5g、そして表4に記載の変性シリコーンオイルB−1を3.5g仕込んだ。この混合物を、80℃まで昇温し、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5000rpmで5分間撹拌し、アミドアミン尿素縮合物A−1と変性シリコーンオイルB−1との質量比が、95/5の紙用柔軟剤を10質量%の割合で含有する分散液1を得た。
1L容量のビーカーに、イオン交換水を625.9g、酢酸を4.07g(アミドアミン尿素縮合物のアミン価に対して1.05倍モル当量に相当)、上記アミドアミン尿素縮合物A−1を66.5g、そして表4に記載の変性シリコーンオイルB−1を3.5g仕込んだ。この混合物を、80℃まで昇温し、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5000rpmで5分間撹拌し、アミドアミン尿素縮合物A−1と変性シリコーンオイルB−1との質量比が、95/5の紙用柔軟剤を10質量%の割合で含有する分散液1を得た。
(調製例4.2〜4.9:紙用柔軟剤の分散液の調製)
表3に記載のアミドアミン尿素縮合物(A)および表4に記載の変性シリコーンオイル(B)を、表5に記載の質量比となるように用い、表5に記載の酸をアミドアミン尿素縮合物(A)のアミン価に対して1.05倍モル当量となるように添加したこと以外は、調製例4.1と同様の手順で操作し、それぞれ紙用柔軟剤を10質量%の割合で含有する分散液2〜9を得た。
表3に記載のアミドアミン尿素縮合物(A)および表4に記載の変性シリコーンオイル(B)を、表5に記載の質量比となるように用い、表5に記載の酸をアミドアミン尿素縮合物(A)のアミン価に対して1.05倍モル当量となるように添加したこと以外は、調製例4.1と同様の手順で操作し、それぞれ紙用柔軟剤を10質量%の割合で含有する分散液2〜9を得た。
(比較調製例4.1〜4.8:紙用柔軟剤の分散液の調製)
表3に記載のアミドアミン尿素縮合物(A)および表4に記載の変性シリコーンオイル(B)を、表5に記載の質量比となるように用い、表5に記載の酸をアミドアミン尿素縮合物(A)のアミン価に対して1.05倍モル当量となるように添加したこと以外は、調製例4.1と同様の手順で操作し、それぞれ紙用柔軟剤を10質量%の割合で含有する分散液10〜17を得た。
表3に記載のアミドアミン尿素縮合物(A)および表4に記載の変性シリコーンオイル(B)を、表5に記載の質量比となるように用い、表5に記載の酸をアミドアミン尿素縮合物(A)のアミン価に対して1.05倍モル当量となるように添加したこと以外は、調製例4.1と同様の手順で操作し、それぞれ紙用柔軟剤を10質量%の割合で含有する分散液10〜17を得た。
(実施例1)
1.手すきシートの製造
上記で得られた紙用柔軟剤の分散液1を用いて、下記のようにして手すきシートを製造した。
1.手すきシートの製造
上記で得られた紙用柔軟剤の分散液1を用いて、下記のようにして手すきシートを製造した。
フリーネスが400mLであるLBKP(広葉樹晒パルプ)を、離解機(熊谷理研株式会社製)を用いて離解し、パルプを1質量%含有するパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー100gを200mL容量のビーカーに入れた。次いで、このビーカーに上記紙用柔軟剤の分散液1を0.1g(パルプ100質量部に対して紙用柔軟剤1質量部)、1質量%硫酸アルミニウム水溶液を0.1g(パルプ100質量部に対して0.1質量部)、および予め1質量%に希釈して糊化したカチオン化デンプン(王子コーンスターチ株式会社製、エースK−100)を1g(パルプ100質量部に対して1質量部)添加して、直径4.5cmのタービン羽根により、250rpmにて1分間撹拌した。次いで、TAPPIスタンダードシートマシン(安田精機株式会社製)により抄紙した。次いで、油圧プレス機(安田精機株式会社製)を用いて、0.35Mpaで5分間プレスした後、ドラム式ドライヤー(安田精機株式会社製)により105℃で2分間乾燥し、坪量50g/m2の手すきシートを製造した。この手すきシートをさらに温度23℃および湿度50%の恒温恒湿室に17時間保管して調湿した。
2.紙用柔軟剤の評価
得られた手すきシートについて、(1)柔軟性(曲げ剛度)、(2)柔軟性(容量)、および(3)滑らかさについて、下記の方法によって評価した。
得られた手すきシートについて、(1)柔軟性(曲げ剛度)、(2)柔軟性(容量)、および(3)滑らかさについて、下記の方法によって評価した。
(1)柔軟性(曲げ剛度)
得られた手すきシートについて、純曲げ試験機(KES−FB2、カトーテック株式会社製)を用いて、縦方向および横方向の曲げ剛度を測定し、その平均値を求めた。得られた平均値を下記の基準で評価した。
得られた手すきシートについて、純曲げ試験機(KES−FB2、カトーテック株式会社製)を用いて、縦方向および横方向の曲げ剛度を測定し、その平均値を求めた。得られた平均値を下記の基準で評価した。
(評価基準)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m未満:柔軟性が良好である(○)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m以上:柔軟性が不十分である(×)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m未満:柔軟性が良好である(○)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m2/m以上:柔軟性が不十分である(×)
(2)柔軟性(容量)
調湿した手すきシートの坪量をJIS P8124に準じて測定し、さらに手すきシートの厚さを、JIS式紙圧測定機(シチズン時計株式会社製、MEI−10)を用いて測定した。次いで、下記の式によって手すきシートの容量を求めた。得られた容量を下記の基準で評価した。
容量(cm3/g)=厚さ(μm)/坪量(g/m2)
調湿した手すきシートの坪量をJIS P8124に準じて測定し、さらに手すきシートの厚さを、JIS式紙圧測定機(シチズン時計株式会社製、MEI−10)を用いて測定した。次いで、下記の式によって手すきシートの容量を求めた。得られた容量を下記の基準で評価した。
容量(cm3/g)=厚さ(μm)/坪量(g/m2)
(評価基準)
1.60cm3/g以上:柔軟性が良好である(○)
1.60cm3/g未満:柔軟性が不十分である(×)
1.60cm3/g以上:柔軟性が良好である(○)
1.60cm3/g未満:柔軟性が不十分である(×)
(3)滑らかさ
上記の製造方法と同様の手順で、坪量20g/m2の手すきシートを製造し、調湿した。次いで、評価者10名に、両手を十分に石鹸洗浄させた。洗浄後、得られた手すきシートを触らせて、なめらかさを下記の基準で評価させ、10名の平均点を求めた。平均点が5点を◎、4点を○、3点以下を×として示し、4点以上(○および◎)の場合、紙の滑らかさを向上させる柔軟剤であると評価した。
上記の製造方法と同様の手順で、坪量20g/m2の手すきシートを製造し、調湿した。次いで、評価者10名に、両手を十分に石鹸洗浄させた。洗浄後、得られた手すきシートを触らせて、なめらかさを下記の基準で評価させ、10名の平均点を求めた。平均点が5点を◎、4点を○、3点以下を×として示し、4点以上(○および◎)の場合、紙の滑らかさを向上させる柔軟剤であると評価した。
(評価基準)
滑らかさが非常に良好 :5点
滑らかさ良好 :4点
滑らかさが普通 :3点
滑らかさが柔軟剤未使用と同等 :2点
滑らかさが柔軟剤未使用よりも悪い:1点
滑らかさが非常に良好 :5点
滑らかさ良好 :4点
滑らかさが普通 :3点
滑らかさが柔軟剤未使用と同等 :2点
滑らかさが柔軟剤未使用よりも悪い:1点
これらの結果を表6に示す。
(実施例2〜9)
上記実施例1で用いた紙用柔軟剤の分散液1の代わりに、表6に記載の紙用柔軟剤の分散液2〜9を、表6に記載の添加量で用いたこと以外は、上記実施例1と同様の手順で手すきシートを製造した。得られた手すきシートについて、上記の方法によって、(1)柔軟性(曲げ剛度)、(2)柔軟性(容量)、および(3)滑らかさを評価した。結果を表6に示す。
上記実施例1で用いた紙用柔軟剤の分散液1の代わりに、表6に記載の紙用柔軟剤の分散液2〜9を、表6に記載の添加量で用いたこと以外は、上記実施例1と同様の手順で手すきシートを製造した。得られた手すきシートについて、上記の方法によって、(1)柔軟性(曲げ剛度)、(2)柔軟性(容量)、および(3)滑らかさを評価した。結果を表6に示す。
(比較例1)
紙用柔軟剤を用いなかったこと以外は、上記実施例1と同様の手順で手すきシートを製造した。得られた手すきシートについて、上記の方法によって、(1)柔軟性(曲げ剛度)、(2)柔軟性(容量)、および(3)滑らかさを評価した。結果を表6に示す。
紙用柔軟剤を用いなかったこと以外は、上記実施例1と同様の手順で手すきシートを製造した。得られた手すきシートについて、上記の方法によって、(1)柔軟性(曲げ剛度)、(2)柔軟性(容量)、および(3)滑らかさを評価した。結果を表6に示す。
(比較例2〜9)
上記実施例1で用いた紙用柔軟剤の分散液1の代わりに、表6に記載の紙用柔軟剤の分散液10〜17を、表6に記載の添加量で用いた以外は、上記実施例1と同様の手順で手すきシートを製造した。得られた手すきシートについて、上記の方法によって、(1)柔軟性(曲げ剛度)、(2)柔軟性(容量)、および(3)滑らかさを評価した。結果を表6に示す。
上記実施例1で用いた紙用柔軟剤の分散液1の代わりに、表6に記載の紙用柔軟剤の分散液10〜17を、表6に記載の添加量で用いた以外は、上記実施例1と同様の手順で手すきシートを製造した。得られた手すきシートについて、上記の方法によって、(1)柔軟性(曲げ剛度)、(2)柔軟性(容量)、および(3)滑らかさを評価した。結果を表6に示す。
表6に示すように、実施例1〜9で用いた紙用柔軟剤は、いずれも手すきシートに滑らかさを付与し、かつ優れた柔軟性を付与していることがわかる。
これに対して、比較例1では、紙用柔軟剤を用いなかったため、得られた紙は、滑らかさおよび柔軟性のいずれも不十分であった。比較例2では、アミドアミン化合物(a1)の代わりに、炭素数が8のカルボン酸(2−エチルヘキサン酸)を原料とするアミドアミン化合物から得られる紙用柔軟剤を用いているため、柔軟性が不十分であった。比較例3では、アミドアミン化合物(a1)の代わりに、アミノ基1モルに対するカルボキシル基のモル数が0.95モルであるアミドアミン化合物を原料とする紙用柔軟剤を用いているため、柔軟性が不十分であった。比較例4では、アミドアミン化合物(a1)とアミドアミン化合物(a2)とのモル比が30/70の紙用柔軟剤を用いているため、柔軟性が不十分であった。比較例5では、アミドアミン化合物(a2)の代わりに、炭素数が8のカルボン酸(カプリル酸)を原料とするアミドアミン化合物から得られる紙用柔軟剤を用いているため、柔軟性が不十分であった。比較例6では、アミドアミン化合物(a2)の代わりに、アミノ基1モルに対するカルボキシル基のモル数が0.1モルであるアミドアミン化合物を原料とする紙用柔軟剤を用いているため、柔軟性が不十分であった。比較例7では、アミドアミン化合物(a1)とアミドアミン化合物(a2)とのモル比が98/2の紙用柔軟剤を用いているため、柔軟性が不十分であった。比較例8では、変性シリコーンオイルの官能基当量が4KOHmg/gである紙用柔軟剤を用いているため、滑らかさが不十分であった。比較例9では、アミドアミン尿素縮合物(A)と変性シリコーンオイル(B)との質量比が65/35である紙用柔軟剤を用いているため、柔軟性が不十分であった。
本発明によれば、紙の滑らかさを向上させ、かつ柔軟性も向上させることができる紙用柔軟剤が提供される。この紙用柔軟剤を用いると、優れた滑らかさと柔軟性とを有する紙を得ることができる。得られた紙は、製本用紙、新聞用紙、印刷・情報用紙、ダンボール原紙、板紙など各種分野の紙として広く利用される。
Claims (2)
- アミドアミン尿素縮合物(A)および変性シリコーンオイル(B)からなる紙用柔軟剤であって、
該アミドアミン尿素縮合物(A)が、アミドアミン化合物(a1)とアミドアミン化合物(a2)とを40:60〜95:5のモル比で含むアミドアミン混合物と、該アミドアミン混合物のアミノ基1モルに対して、0.1〜1モルの尿素とを反応させて得られ、
該アミドアミン化合物(a1)が、下記の式(1)で示されるポリアミン化合物(1):
R1NH−(R2−NH)m−R3 (1)
(R1およびR3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、R2は炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)に、炭素数が10〜24のカルボン酸を、該ポリアミン化合物(1)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.6〜0.85モルとなるような割合で反応させて得られ、
該アミドアミン化合物(a2)が、下記の式(2)で示されるポリアミン化合物(2):
R4NH−(R5−NH)n−R6 (2)
(R4およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、R5は炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である)に、炭素数が10〜24のカルボン酸を、該ポリアミン化合物(2)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.2〜0.45モルの割合となるように反応させて得られ、
該変性シリコーンオイル(B)が、官能基当量10〜110KOHmg/gのアミノ変性シリコーンオイルまたはカルボキシル変性シリコーンオイルであり、そして、
該アミドアミン尿素縮合物(A)と該変性シリコーンオイル(B)との質量比が、80:20〜99.9:0.1である、紙用柔軟剤。 - パルプ100質量部に対して、請求項1に記載の紙用柔軟剤を、0.03〜8質量部となるように添加する工程を包含する、紙の製造方法。
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