JP5928124B2 - 紙用添加剤 - Google Patents
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Description
(ポリアミン混合物)
本発明に用いるポリアミン化合物は、上記の式(1)で表される化合物Aを25〜60モル%、好ましくは30〜50モル%と、上記の式(2)で表される化合物Bを40〜75モル%、好ましくは50〜70モル%からなる。化合物Aと化合物Bの含有率がこれらの範囲を越えると、十分なサイズ性が得られない虞がある。
本発明に用いる化合物Aは、ピペラジン骨格に水素原子またはアミノエチル基が結合した環状の脂肪族ポリアミン化合物である。ピペラジン骨格の窒素原子に結合した水素原子およびアミノエチル基は1級または2級アミノ基であるので、カルボキシル基と縮合することが可能である。式(1)中のx+yは2〜4の整数であり、3が好ましい。これら化合物Aはそれぞれ特定の沸点を有するので、蒸留操作により分離可能である。本発明においては、式(1)で表される1種又は2種以上のポリアミン化合物Aを用いることができる。
本発明に用いる化合物Bは、1級または2級アミノ基がエチレン鎖で直鎖状に結合した脂肪族ポリアミン化合物である。化合物Bは全てのアミノ基がカルボキシル基と縮合可能である。式(2)中、zは3〜5の整数であり、4が好ましい。化合物Bはそれぞれ特定の沸点を有するので、蒸留操作により分離可能である。本発明においては、式(2)で表される1種又は2種以上のポリアミン化合物Bを用いることができる。
上記ポリアミン混合物と反応させるために、本発明においては脂肪族モノカルボン酸が用いられる。本発明に用いる脂肪族モノカルボン酸は炭素数が12〜24の脂肪酸である。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸等が挙げられる。この中で炭素数が14〜20の飽和脂肪酸が好ましい。これら脂肪族モノカルボン酸は単独または混合物を用いてもよい。
ポリオキシアルキレンポリアミン(b)は、2または3価のアルコールの脱水酸基残基にアミノプロピル基を有する炭素数2または3のオキシアルキレン基が1つ以上付加した脂肪族エーテルアミン化合物である。すなわち、式(3)中のZは2または3価のアルコールから全ての水酸基が脱離した脱水酸基残基である。2または3価のアルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの2価のアルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価のアルコールが挙げられ、好ましくはプロピレングリコールである。
式(3)中のlはオキシアルキレンの平均付加モル数であり、平均付加モル数lは1〜40であり、好ましくは1〜10である。ポリオキシプロピレンの平均付加モル数lが上記の範囲を外れる場合は、紙力低下の抑制が十分にできない虞がある。なお、オキシアルキレン基のエーテル酸素は、セルロースの水素と相互作用するのでパルプへの定着に対して有利であると考えられる。
式(3)中のmは0または1の整数、nは1〜3の整数であり、m+nは脱水酸基の数と一致する。Zは2または3価のアルコールから脱水酸基残基であるので、m+nは2または3である。したがって、mが0のときは、nは2または3であり、mが1のときは、nは1または2である。また、m+nは2であることが好ましいことから、mが0でnが2であるとき、またはmが1でnが1であるときが好ましい。
上記アミドアミン化合物(a)とポリオキシアルキレンポリアミン(b)の混合物を含む本発明の紙用添加剤は、典型的には、上記混合物を分散媒中に分散させ、分散液として使用できる。なお、分散媒としては、水または水とアルコールとの混合溶媒が好ましい。分散媒として使用されるアルコールはエタノール、プロピレングリコール、グリセリンが挙げられる。
表1および表2記載のポリアミン混合物(1〜3)と、表2記載の脂肪族モノカルボン酸を表2記載の反応モル比(対ポリアミン混合物1モル)で縮合反応させ(合成例1〜3、比較合成例1〜3)、アミドアミン化合物(a)(a−1〜a−3、a’−1〜a’−3)を得た。
表2記載のアミドアミン化合物(a)(a−1〜a−3、a’−1〜a’−3)のそれぞれについて、AOCSのTf 1b-64(indicator method)に従ってアミン価を測定し、表2に記載した。
表2記載のアミドアミン化合物(a)(a−1〜a−3、a’−1〜a’−3)と表3記載のポリオキシアルキレンポリアミン(b)(b−1、b−2)を表4記載の割合で配合した分散液(1〜10)をそれぞれ調製し、順次、実施例1〜6及び比較例1〜4とした。分散液の調製に際しては、各々のアミドアミン化合物(a)およびポリオキシアルキレンポリアミン(b)のアミン価に対して1当量に相当する量の酢酸をイオン交換水に加え、アミドアミン化合物(a)の酢酸塩とポリオキシアルキレンポリアミン(b)の酢酸塩の和として1.0質量%となるように分散させた。なお、比較例4の分散液(10)にはポリオキシアルキレンポリアミン(b)を加えなかった。
ポリオキシアルキレンポリアミン(b)の代わりにヘキサメチレンジアミンを用いた以外は実施例1と同様に調製し、分散液(11)とした。
上記で得られた紙用添加剤の分散液(実施例1〜6および比較例1〜5)を用いて、以下のようにして手すきシートを製造した。得られた手すきシートについて、サイズ性、柔軟性(曲げ剛度)、層間強度を評価した。
フリーネスが440mLであるLBKP(広葉樹晒パルプ)を1質量%含有するパルプスラリーを調製した。 このパルプスラリーをビーカーに400g(パルプ量4g)とり、予め糊化したカチオン化でんぷん(王子コーンスターチ(株)製:エースK−100)を有効分として対パルプ1質量%、上記分散液を有効分として対パルプ0.5質量%添加して、タービン羽根にて1分間攪拌した。その後、100gのパルプスラリーを用いてTAPPIスタンダードシートマシン((株)安田精機製作所製)により抄紙し、油圧プレス機((株)安田精機製作所製)で0.35MPa、5分間プレス後、ドラム式ドライヤー(株)安田精機製作所製)により105℃、2分の乾燥を行い、坪量50g/m2の手すきシートを3枚調製した。この手すきシートを恒温恒湿室(温度23℃、湿度50%)にて17時間調湿させた。
JIS P8122:2004に準じて、手すきシートのステキヒトサイズ度(以下、サイズ度という。)を各例で6回測定し、サイズ度の合計を求め、表5にまとめて示した。サイズ性の評価は、本発明の紙用添加剤を含む分散液の代わりに、ADKサイズ剤(ニューペルハード73G、日油(株)製)を対パルプ0.1質量%含む分散液を添加した手すきシートのサイズ度を6回測定し、その合計値である60秒を基準に判定した。なお、無添加の手すきシートのサイズ度の合計値は0秒であった。
サイズ度の合計が60秒未満:×(サイズ性が不十分である。)
調湿した手すきシートの曲げ剛度を純曲げ試験機(カトーテック(株)製、KES−FB2)にて測定した。各例で6回の測定を行い、曲げ剛度の平均値を求めた。上記分散液を添加しない場合を基準とし、柔軟性を以下の基準に従って評価した。その評価を同じく表5にまとめて記載した。なお、上記分散液を添加しない場合の曲げ剛度は4.6×10−5N・m2/mであった。
対ブランク曲げ剛度が80%以上:×(柔軟性が不十分である。)
調湿した手すきシートの層間強度をインターナルボンドテスター(熊谷理機工業(株)製、TAPPI−T569準拠)にて測定した。各例で6回の測定を行い、層間強度の平均値を求めた。上記分散液を添加しない場合を基準とし、層間強度を以下の基準に従って評価した。その評価を同じく表5にまとめて記載した。なお、上記分散液を添加しない場合の層間強度は0.20N・mであった。
対ブランク層間強度が60%未満:×(層間強度が不十分である。)
本発明の紙用添加剤を使用した実施例1〜6は、いずれもサイズ度が60秒以上かつ対ブランク曲げ剛度が80%未満、対ブランク層間強度が60%以上であり、層間強度の低下を抑えつつ、紙に十分なサイズ性と良好な柔軟性が得られた。
Claims (1)
- 式(1)で表される化合物A25〜60モル%、式(2)で表される化合物B40〜75モル%からなるポリアミン混合物1モルに対し、炭素数12〜24の脂肪族モノカルボン酸2〜5モルを反応させて得られるアミン価40〜220mgKOH/gのアミドアミン化合物(a)と、式(3)で表されるポリオキシアルキレンポリアミン(b)とを含んでなり、アミドアミン化合物(a)100質量部に対してポリオキシアルキレンポリアミン(b)を5〜40質量部含んでなる紙用添加剤。
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