[第一参考例]
はじめに、図1乃至図6を参照しながら、本発明の第一参考例に係る排気系取付構造10の構成について説明する。
本発明の第一参考例に係る排気系取付構造10は、例えば、乗用自動車等の車両に好適に搭載されるものであり、車両取付体としてのリアサスペンションメンバ12と、排気系14とを有して構成されている。
リアサスペンションメンバ12は、図示しないリアサスペンションを支持するものであり、車両平面視にて概略枠状に構成されている。リアサスペンションメンバ12には、車両幅方向両側に概略車両前後方向に延びる一対のサイドレール16が設けられており、この一対のサイドレール16の車両前後位置は、車両前後方向に並設されて車両幅方向に延びる一対のクロスメンバ18によって連結されている。
サイドレール16の長手方向両端側には、取付部20(合計4箇所)が設けられており、リアサスペンションメンバ12全体は、この取付部20を介して車体に取り付けられるようになっている。また、車両前方側のクロスメンバ18の車両幅方向右側には、第一支持部22が設けられており、車両後方側のクロスメンバ18の車両幅方向左側には、第二支持部24が設けられている。
一方、排気系14は、図示しない内燃機関から排出されフロントパイプ26を介して搬送された燃焼ガスを車両後方へ導いて排出するものであり、リアサスペンションメンバ12の車両上下方向下側に配置される。この排気系14には、フロントパイプ26に接続される第一パイプ28が車両前後方向に沿って延設されており、この第一パイプ28の車両後方側端部には、車両前後方向に沿って延びる第一マフラ30が接続されている。
また、この第一マフラ30の車両後方側には、車両前後方向に沿って延びる第二パイプ32が接続されており、この第二パイプ32の車両後方側には、車両幅方向に延びる第二マフラ34が接続されている。この第二マフラ34の車両幅方向両端部には、テールパイプ36がそれぞれ設けられており、このテールパイプ36は、車両前方側から後方側に向かうに従って車両幅方向外側に向いた状態から車両前後方向後側に向いた状態に湾曲し、そのテールエンドは、車両後方に向けて開口している。
第二パイプ32の第一支持部22が位置する部位には、第一ステー38が設けられており、第二マフラ34の第二支持部24が位置する部位には、第二ステー40が設けられている。第一ステー38は、第一サポートゴム42を介して第一支持部22に取り付けられ(以後、この取付部位を第一取付部46とする)、第二ステー40は、第二サポートゴム44を介して第二支持部24に取り付けられる(以後、この取付部位を第二取付部48とする)。そして、本実施形態では、後述するように、排気系14がリアサスペンションメンバ12に一体に取り付けられたときに、車両平面視にてこの二つの第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1の中央部上に排気系14全体の重心G1(車両前後方向及び車両幅方向の重心)が位置するように、第一取付部46及び第二取付部48の位置、並びに排気系14全体の重量バランスが設定されている。
次に、上記構成からなる排気系取付構造10の車体への取付方法について説明する。
リアサスペンションメンバ12の車両上下方向下側に排気系14を配置し、リアサスペンションメンバ12の第一支持部22及び第二支持部24に排気系14の第一ステー38及び第二ステー40をそれぞれ第一サポートゴム42及び第二サポートゴム44によりそれぞれ取り付けて、リアサスペンションメンバ12の車両上下方向下側に排気系14を予め取り付けた(吊り下げた)状態とする。
この状態では、車両平面視にて二つの第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1の中央部上に排気系14全体の重心G1が位置する。従って、排気系14は、第一取付部46及び第二取付部48を介してリアサスペンションメンバ12に取り付けられたときに、リアサスペンションメンバ12に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態となる(つまり第一取付部46及び第二取付部48に作用する荷重が略均等となる)。そして、この状態で、排気系14が取り付けられたリアサスペンションメンバ12を車体に取り付けて、排気系14及びリアサスペンションメンバ12を車体に一体搭載する。その後、排気系14の第一パイプ28をフロントパイプ26に接続する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
このように、本実施形態の排気系取付構造10において、排気系14は、車体への一体搭載の前に第一取付部46及び第二取付部48を介してリアサスペンションメンバ12に取り付けられたときに、リアサスペンションメンバ12に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態となる。従って、上述のように、排気系14をリアサスペンションメンバ12に予め取り付けた状態で、この排気系14及びリアサスペンションメンバ12を車体に一体搭載する場合でも、リアサスペンションメンバ12に対して排気系14が傾くことが抑制される。これにより、例えば、作業員の手や機械等で排気系14のバランスを保つ必要が無いので、排気系14及びリアサスペンションメンバ12を車体に一体搭載する際の取付作業性が良好となる。
また、排気系14を分割等すること無く一体でリアサスペンションメンバ12に予め取り付けることができるので、排気系14の構造を簡素化することができる。これにより、コスト、質量、作業工程の低減を図ることが可能となる。
また、リアサスペンションメンバ12と共に車体に取り付けた後の排気系14のバランスが良好であるため、排気系14の第一パイプ28とフロントパイプ26との結合用ボルトの穴ズレが小さく、排気系14の第一パイプ28とフロントパイプ26とを容易に結合することが可能となる。
また、リアサスペンションメンバ12と共に車体に取り付けた後の排気系14のバランスが良好であるため、車両としてのテールパイプ36の出口の上下左右のズレが小さく、見栄えが良好となる。
また、リアサスペンションメンバ12は、ゴムを介して車体に取り付けられるため、このゴムと、第一取付部46及び第二取付部48の第一サポートゴム42及び第二サポートゴム44とで二重防振構造を構成することができる。これにより、排気系14の振動が車体側に伝達されにくくなり、車両としての騒音振動特性が向上する。特に、第一取付部46及び第二取付部48は、アイドル回転時における排気系14全体の振動モードの節に近いため、このことによっても車両としての騒音振動特性が向上する。
また、上述のように、リアサスペンションメンバ12に対して排気系14が車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態となることにより、第一取付部46及び第二取付部48に作用する荷重が分散化される。これにより、第一取付部46及び第二取付部48の構造の簡素化が可能となり軽量化が可能となる。
また、排気系14及びリアサスペンションメンバ12の車体への一体搭載を可能とすることにより、排気系14及びリアサスペンションメンバ12を一体で納入することが可能となる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、排気系14がリアサスペンションメンバ12の車両上下方向下側に配置されるようにしたが、例えば、図2に示されるように、排気系14がリアサスペンションメンバ12の車両上下方向上側に配置されるようにしても良い。このようにすると、排気系14及びリアサスペンションメンバ12を車体に一体搭載したときには、車両後方視又は車両側面視にて排気系14が車体とリアサスペンションメンバ12との間に納められてリアサスペンションメンバ12の下側に突出しなくなるので、車両後方視又は車両側面視における車体の見栄えが向上する。なお、この場合に、第一支持部22及び第二支持部24は、図2に示されるように、サイドレール16に設けられていても良い。
また、上記実施形態では、第一取付部46及び第二取付部48が車両平面視にて車両前後方向及び車両幅方向に対して斜め方向に配置されるようになっていたが、例えば、図3に示されるように、第一取付部46及び第二取付部48を第二マフラ34の車両幅方向両側に設け、第一取付部46及び第二取付部48が車両幅方向に配置されるようにしても良い。
また、このときに、車両平面視にてこの二つの第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1の中央部上に排気系14全体の重心G1が位置するように、第一取付部46及び第二取付部48の位置、並びに排気系14全体の重量バランスが設定すれば、排気系14がリアサスペンションメンバ12に対して車両の前後及び左右に重量バランスを保つことができる。従って、排気系14が、例えば、図3に示されるように、車両幅方向中央部を挟んだ両側にテールパイプ36を備える構成(いわゆるテールデュアル出しタイプ)であっても、排気系14及びリアサスペンションメンバ12を車体に一体搭載する際に、例えば両側のテールパイプ36の出口位置が車体に対して車両幅方向にずれることを抑制できる。
また、上記実施形態では、排気系14をリアサスペンションメンバ12に第一取付部46及び第二取付部48で取り付ける、いわゆる二点サポートとしたが、図4に示されるように、排気系14をリアサスペンションメンバ12に三つ以上の取付部50で取り付けることにより、三点以上のサポートとしても良い。この場合には、例えば、図4に示されるように、車両平面視にてこの三つ以上の取付部50を結んだ線で囲まれる領域A1内に排気系14全体の重心G1が位置するようにすることにより、排気系14がリアサスペンションメンバ12に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態が確保される。
また、図5に示されるように、排気系14をリアサスペンションメンバ12に一つの取付部52で取り付けることにより、一点サポートとしても良い。この場合には、例えば、図5に示されるように、車両平面視にてこの取付部52上に排気系14全体の重心G1が位置するようにすることにより、排気系14がリアサスペンションメンバ12に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態が確保される。また、この三点以上のサポート又は一点サポートの構成で排気系14をリアサスペンションメンバ12の車両上下方向上側に配置しても良い。
また、上記実施形態では、車両平面視にて二つの第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1の中央部上に位置する重心G1が排気系14全体の重心(車両前後方向及び車両幅方向の重心)となるように、第一取付部46及び第二取付部48の位置、並びに排気系14全体の重量バランスが設定されていたが、次のようにしても良い。すなわち、図6に示されるように、車両平面視にて二つの第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1の中央部上に排気系14の車両幅方向の重心G5のみが位置するように、第一取付部46及び第二取付部48の位置、並びに排気系14全体の重量バランスが設定されていても良い。なお、図6に示される変形例では、排気系14がリアサスペンションメンバ12の車両上下方向上側に配置されている。
そして、この場合には、第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1よりも車両前方に排気系14の車両前後方向の重心が位置し、結果として、第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1よりも車両前方に排気系14全体の重心G1(車両前後方向及び車両幅方向の重心)が位置するので、排気系14は、リアサスペンションメンバ12に対して車両前側に傾くことになる。そこで、図6に示されるように、排気系14がリアサスペンションメンバ12に対して重量バランスが保たれていない側(この場合、車両の前側)に傾いた場合に、排気系14及びリアサスペンションメンバ12が互いに当接して支持される当接支持部54(車両前側のクロスメンバ18と第二パイプ32とが干渉する部位)を設ければ、排気系14は、当接支持部54を介してリアサスペンションメンバ12に当接される(干渉する)ことにより支持される。これにより、排気系14のリアサスペンションメンバ12に対する傾きが抑制(一体搭載に支障が無い傾き内で抑制)されて、リアサスペンションメンバ12に対する排気系14の一定の取付姿勢が確保されるので、排気系14及びリアサスペンションメンバ12を車体に一体搭載する際の取付作業性が損なわれることを防止できる。
さらに、この場合に、図6に示されるように、当接支持部54が、車両平面視にて第一取付部46と第二取付部48と当接支持部54(干渉点)とを結んだ線で囲まれる領域A1内に排気系14全体の重心G1が位置するように配置されていると、三点サポートが実現されて(各サポートに対する荷重が均等に近づく)、リアサスペンションメンバ12に対して排気系14が安定し、これにより、排気系14及びリアサスペンションメンバ12を車体に一体搭載する際の取付作業性が良好となる。
なお、このときに、排気系14がリアサスペンションメンバ12に対して車両の後側に傾いた場合に、排気系14及びリアサスペンションメンバ12が互いに当接して支持される当接支持部を設けても良い。また、排気系14がリアサスペンションメンバ12に対して車両の左右片側に傾いた場合に、排気系14及びリアサスペンションメンバ12が互いに当接して支持される当接支持部を設けても良い。
また、上記実施形態では、排気系14が、第一パイプ28、第一マフラ30、第二パイプ32、第二マフラ34、テールパイプ36で構成されていたが、例えば、フロントパイプ26を含めて排気系14とし、この排気系14全体の重心G1が車両平面視にて二つの第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1の中央部上に位置するように設定されていても良い。また、その他にも、例えば、排気系14は、テールパイプ36を除き、第一パイプ28、第一マフラ30、第二パイプ32、第二マフラ34で構成され、この排気系14全体の重心G1が車両平面視にて二つの第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1の中央部上に位置するように設定されていても良い。つまり、排気系14は、リアサスペンションメンバ12に予め取り付けられる部分で定義されるものである。
[一実施形態]
次に、図7乃至図9を参照しながら、本発明の一実施形態に係る排気系取付構造60の構成について説明する。
本発明の一実施形態に係る排気系取付構造60は、本発明の第一参考例に係る排気系取付構造10のリアサスペンションメンバ12及び排気系14に代えて、リアサスペンションメンバ62及び排気系64を備えたものである。
本発明の一実施形態に係る排気系取付構造60において、リアサスペンションメンバ62は、車両平面視にて概略枠状に構成されている。リアサスペンションメンバ62には、車両幅方向両側に概略車両前後方向に延びる一対のサイドレール66が設けられており、この一対のサイドレール66の車両前後位置は、車両前後方向に並設されて車両幅方向に延びる一対のクロスメンバ68によって連結されている。
サイドレール66の長手方向両端側には、取付部70(合計4箇所)が設けられており、リアサスペンションメンバ62全体は、この取付部70を介して車体に取り付けられるようになっている。また、車両前方側のクロスメンバ68の車両幅方向右側には、第一支持部72が設けられており、車両後方側のクロスメンバ68の車両幅方向左側には、第二支持部74が設けられている。
一方、排気系64は、リアサスペンションメンバ62の車両上下方向下側に配置される。この排気系64には、フロントパイプ76に接続される第一パイプ78が車両前後方向に沿って延設されており、この第一パイプ78の車両後方側端部には、車両前後方向に沿って延びる第一マフラ80が接続されている。
また、この第一マフラ80の車両後方側には、車両前後方向に沿って延びる第二パイプ82が接続されており、この第二パイプ82の車両後方側には、車両幅方向に延びる第二マフラ84が接続されている。この第二マフラ84は、車両平面視にてリアサスペンションメンバ62の枠内に配置される。また、第二マフラ84の車両幅方向両端部には、車両前後方向に延びるテールパイプ86が設けられており、このテールパイプ86のテールエンドは、車両後方に向けて開口している。
第二マフラ84の第一支持部72が位置する部位には、第一ステー88が設けられており、第二マフラ84の第二支持部74が位置する部位には、第二ステー90が設けられている。第一ステー88は、第一サポートゴム92を介して第一支持部72に取り付けられ(以後、この取付部位を第一取付部96とする)、第二ステー90は、第二サポートゴム94を介して第二支持部74に取り付けられる(以後、この取付部位を第二取付部98とする)。そして、本実施形態では、後述するように、排気系64がリアサスペンションメンバ62に一体に取り付けられたときに、車両平面視にてこの二つの第一取付部96及び第二取付部98を結んだ線L2の中央部上に排気系64全体の重心G2(車両前後方向及び車両幅方向の重心)が位置するように、第一取付部96及び第二取付部98の位置、並びに排気系64全体の重量バランスが設定されている。
次に、上記構成からなる排気系取付構造60の車体への取付方法について説明する。
リアサスペンションメンバ62の車両上下方向下側に排気系64を配置すると共に、車両平面視にてリアサスペンションメンバ62の枠内に第二マフラ84を配置し、リアサスペンションメンバ62の第一支持部72及び第二支持部74に排気系64の第一ステー88及び第二ステー90をそれぞれ第一サポートゴム92及び第二サポートゴム94によりそれぞれ取り付けて、リアサスペンションメンバ62の車両上下方向下側に排気系64を予め取り付けた(吊り下げた)状態とする。
この状態では、車両平面視にて二つの第一取付部96及び第二取付部98を結んだ線L2の中央部上に排気系64全体の重心G2が位置する。従って、排気系64は、第一取付部96及び第二取付部98を介してリアサスペンションメンバ62に取り付けられたときに、リアサスペンションメンバ62に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態となる(つまり第一取付部96及び第二取付部98に作用する荷重が略均等となる)。そして、この状態で、排気系64が取り付けられたリアサスペンションメンバ62を車体に取り付けて、排気系64及びリアサスペンションメンバ62を車体に一体搭載する。その後、排気系64の第一パイプ78をフロントパイプ76に接続する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
このように、本実施形態の排気系取付構造60において、排気系64は、車体への一体搭載の前に第一取付部96及び第二取付部98を介してリアサスペンションメンバ62に取り付けられたときに、リアサスペンションメンバ62に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態となる。従って、上述のように、排気系64をリアサスペンションメンバ62に予め取り付けた状態で、この排気系64及びリアサスペンションメンバ62を車体に一体搭載する場合でも、リアサスペンションメンバ62に対して排気系64が傾くことが抑制される。これにより、例えば、作業員の手や機械等で排気系64のバランスを保つ必要が無いので、排気系64及びリアサスペンションメンバ62を車体に一体搭載する際の取付作業性が良好となる。
また、本実施形態に係る排気系取付構造60では、排気系64に備えられた第二マフラ84が、車両平面視にてリアサスペンションメンバ62の枠内に配置されている。従って、排気系64の中でも重量物である第二マフラ84が車両平面視にてリアサスペンションメンバ62の枠内に収められることで、排気系64及びリアサスペンションメンバ62を合わせた構造体全体の重心がリアサスペンションメンバ62の枠内に位置するようになる。これにより、排気系64及びリアサスペンションメンバ62の搬送が容易となり、排気系64及びリアサスペンションメンバ62を車体に一体搭載する際の取付作業性がさらに良好となる。
また、排気系64の中で重量物である第二マフラ84をリアサスペンションメンバ62の枠内でバランス良くサポートできるため、排気系64のリアサスペンションメンバ62へのサポート点数を減らすことができる。これにより、コスト、質量を低減させることができる。また、排気系64のリアサスペンションメンバ62へのサポート点数を減らすことにより、排気系64から車体側への振動入力部の数が減少するため、これにより、騒音振動特性が向上する。
また、リアサスペンションメンバ62のうち、車両前方側のクロスメンバ68が車両前進時に第二マフラ84を保護する機能を果たすことも可能となる。同様に、リアサスペンションメンバ62のうち、車両後方側のクロスメンバ68が車両後退時に第二マフラ84を保護する機能を果たすことも可能となる。さらに、リアサスペンションメンバ62のうち、一対のサイドレール66と第二マフラ84との車両幅方向の隙間を狭くすれば、車両側面衝突時に一対のサイドレール66が第二マフラ84によって車両幅方向に支持される。従って、第二マフラ84を車両側面衝突時における強度部材として利用することも可能となる。
また、その他にも、本実施形態の上記構成によれば、本発明の第一参考例と同様の作用を奏することができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、排気系64がリアサスペンションメンバ12の車両上下方向下側に配置されるようにしたが、上記第一参考例と同様に、排気系64がリアサスペンションメンバ62の車両上下方向上側に配置されるようにしても良い。
また、上記実施形態では、排気系64をリアサスペンションメンバ62に第一取付部96及び第二取付部98で取り付ける、いわゆる二点サポートとしたが、図8に示されるように、排気系64をリアサスペンションメンバ62に三つ以上の取付部100で取り付けることにより、三点以上のサポートとしても良い。この場合には、例えば、図8に示されるように、車両平面視にてこの三つ以上の取付部100を結んだ線で囲まれる領域A2内に排気系64全体の重心G2が位置するようにすることにより、排気系64がリアサスペンションメンバ62に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態が確保される。
また、図9に示されるように、排気系64をリアサスペンションメンバ62に一つの取付部102で取り付けることにより、一点サポートとしても良い。この場合には、例えば、図9に示されるように、車両平面視にてこの取付部102上に排気系64全体の重心G2が位置するようにすることにより、排気系64がリアサスペンションメンバ62に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態が確保される。
また、上記実施形態では、排気系64が、第一パイプ78、第一マフラ80、第二パイプ82、第二マフラ84、テールパイプ86で構成されていたが、例えば、フロントパイプ76を含めて排気系64とし、この排気系64全体の重心G2が車両平面視にて二つの第一取付部96及び第二取付部98を結んだ線L2の中央部上に位置するように設定されていても良い。また、その他にも、例えば、排気系64は、テールパイプ86を除き、第一パイプ82、第一マフラ80、第二パイプ82、第二マフラ84で構成され、この排気系64全体の重心G2が車両平面視にて二つの第一取付部96及び第二取付部98を結んだ線L2の中央部上に位置するように設定されていても良い。つまり、排気系64は、リアサスペンションメンバ62に予め取り付けられる部分で定義されるものである。
[第二参考例]
次に、図10乃至図12を参照しながら、本発明の第二参考例に係る排気系取付構造120の構成について説明する。
本発明の第二参考例に係る排気系取付構造120は、本発明の第一参考例に係る排気系取付構造10のリアサスペンションメンバ12及び排気系14に代えて、リアサスペンションメンバ122及び排気系124を備えると共に、プロペラシャフト123を備えたものである。
本発明の第二参考例に係る排気系取付構造120において、リアサスペンションメンバ122は、車両平面視にて概略枠状に構成されている。リアサスペンションメンバ122には、車両幅方向両側に概略車両前後方向に延びる一対のサイドレール126が設けられており、この一対のサイドレール126の車両前後位置は、車両前後方向に並設されて車両幅方向に延びる一対のクロスメンバ128によって連結されている。サイドレール126の長手方向両端側には、取付部130(合計4箇所)が設けられており、リアサスペンションメンバ122全体は、この取付部130を介して車体に取り付けられるようになっている。
プロペラシャフト123は、図示しないトランスミッション装置の動力をディファレンシャル装置に伝達するものであり、車両前後方向に沿って形成されている。このプロペラシャフト123は、車両前後方向に離間した二箇所の位置に配置されたブラケット129,131(車両取付体)によって車体に支持される。車両前方側のブラケット129には、第一支持部132が設けられており、車両後方側のブラケット131には、第二支持部134が設けられている。
一方、排気系124は、リアサスペンションメンバ122及びプロペラシャフト123の車両上下方向下側に配置される。この排気系124には、フロントパイプ136に接続される第一パイプ138が車両前後方向に沿って延設されており、この第一パイプ138の車両後方側端部には、車両前後方向に沿って延びる触媒140が接続されている。また、この触媒140の車両後方側には、湾曲した第二パイプ142が接続されており、この第二パイプ142の車両後方側には、車両前後方向に延びるマフラ144が接続されており、このマフラ144の車両後方側には、車両前後方向に延びる第三パイプ146が接続されている。
第一パイプ138の第一支持部132が位置する部位には、第一ステー148が設けられており、マフラ144の第二支持部134が位置する部位には、第二ステー150が設けられている。第一ステー148は、第一サポートゴム152を介して第一支持部132に取り付けられ(以後、この取付部位を第一取付部156とする)、第二ステー150は、第二サポートゴム154を介して第二支持部134に取り付けられる(以後、この取付部位を第二取付部158とする)。そして、本実施形態では、後述するように、排気系124がプロペラシャフト123に一体に取り付けられたときに、車両平面視にてこの二つの第一取付部156及び第二取付部158を結んだ線L3の中央部上に排気系124全体の重心G3(車両前後方向及び車両幅方向の重心)が位置するように、第一取付部156及び第二取付部158の位置、並びに排気系124全体の重量バランスが設定されている。
なお、排気系124の第三パイプ146の車両後方側には、排気系166のパイプ168が接続されるようになっており、このパイプ168の車両後方側には、マフラ170及びテールパイプ172が接続されている。
次に、上記構成からなる排気系取付構造120の車体への取付方法について説明する。
リアサスペンションメンバ122を車体に取り付けた後、プロペラシャフト123の車両上下方向下側に排気系124を配置し、プロペラシャフト123のブラケット129,131に設けられた第一支持部132及び第二支持部134に排気系124の第一ステー148及び第二ステー150をそれぞれ第一サポートゴム152及び第二サポートゴム154によりそれぞれ取り付けて、プロペラシャフト123の車両上下方向下側に排気系124を予め取り付けた(吊り下げた)状態とする。
この状態では、車両平面視にて二つの第一取付部156及び第二取付部158を結んだ線L3の中央部上に排気系124全体の重心G3が位置する。従って、排気系124は、第一取付部156及び第二取付部158を介してプロペラシャフト123に取り付けられたときに、プロペラシャフト123のブラケット129,131に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態となる(つまり第一取付部156及び第二取付部158に作用する荷重が略均等となる)。そして、この状態で、排気系124が取り付けられたプロペラシャフト123を車体に取り付けて、排気系124及びプロペラシャフト123を車体に一体搭載する。その後、排気系124の第一パイプ138をフロントパイプ136に接続すると共に、排気系166を車体に取り付けて排気系124の第三パイプ146を排気系166のパイプ168に接続する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
このように、本実施形態の排気系取付構造120において、排気系124は、車体への一体搭載の前に第一取付部156及び第二取付部158を介してプロペラシャフト123に取り付けられたときに、プロペラシャフト123に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態となる。従って、上述のように、排気系124をプロペラシャフト123に予め取り付けた状態で、この排気系124及びプロペラシャフト123を車体に一体搭載する場合でも、プロペラシャフト123に対して排気系124が傾くことが抑制される。これにより、例えば、作業員の手や機械等で排気系124のバランスを保つ必要が無いので、排気系124及びプロペラシャフト123を車体に一体搭載する際の取付作業性が良好となる。
また、排気系124を分割等すること無く一体でプロペラシャフト123に予め取り付けることができるので、排気系124の構造を簡素化することができる。これにより、コスト、質量、作業工程の低減を図ることが可能となる。
また、プロペラシャフト123と共に車体に取り付けた後の排気系124のバランスが良好であるため、排気系124の第一パイプ138とフロントパイプ136との結合用ボルトの穴ズレが小さく、排気系124の第一パイプ138とフロントパイプ136とを容易に結合することが可能となる。
また、プロペラシャフト123と共に車体に取り付けた後の排気系124のバランスが良好であるため、この排気系124に接続される排気系166の位置ズレも抑制できる。これにより、車両としてのテールパイプ172の出口の上下左右のズレが小さく、見栄えが良好となる。
また、第一取付部156及び第二取付部158は、アイドル回転時における排気系124全体の振動モードの節に近いため、このことによっても車両としての騒音振動特性が向上する。
また、排気系124及びプロペラシャフト123の車体への一体搭載を可能とすることにより、排気系124及びプロペラシャフト123を一体で納入することが可能となる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、排気系166をリアサスペンションメンバ122と別工程で独立して車体に取り付けたが、上記第一参考例又は一実施形態の如く排気系166をリアサスペンションメンバ122に予め取り付けた状態とし、排気系166が取り付けられたリアサスペンションメンバ122を車体に取り付けて、排気系166及びリアサスペンションメンバ122を車体に一体搭載するようにしても良い。
また、プロペラシャフト123、リアサスペンションメンバ122及び排気系124,166の全てを予め取り付けた状態とし、このプロペラシャフト123、リアサスペンションメンバ122及び排気系124,166を車体に一体搭載するようにしても良い。
また、上記実施形態では、排気系124をプロペラシャフト123に第一取付部156及び第二取付部158で取り付ける、いわゆる二点サポートとしたが、図11に示されるように、排気系124をプロペラシャフト123に三つ以上の取付部160で取り付けることにより、三点以上のサポートとしても良い。この場合には、例えば、図11に示されるように、車両平面視にてこの三つ以上の取付部160を結んだ線で囲まれる領域A3内に排気系124全体の重心G3が位置するようにすることにより、排気系124がプロペラシャフト123に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態が確保される。
また、図12に示されるように、排気系124をリアサスペンションメンバ122に一つの取付部162で取り付けることにより、一点サポートとしても良い。この場合には、例えば、図12に示されるように、車両平面視にてこの取付部162上に排気系124全体の重心G3が位置するようにすることにより、排気系124がプロペラシャフト123に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれた状態が確保される。
また、上記実施形態では、排気系124が、第一パイプ138、触媒140、第二パイプ142、マフラ144、第三パイプ146で構成されていたが、例えば、フロントパイプ136及び排気系166の少なくとも一方を含めて排気系124とし、この排気系124全体の重心G3が車両平面視にて二つの第一取付部156及び第二取付部158を結んだ線L3の中央部上に位置するように設定されていても良い。また、その他にも、例えば、排気系124は、第一パイプ138を除き、触媒140、第二パイプ142、マフラ144、第三パイプ146で構成され、この排気系124全体の重心G3が車両平面視にて二つの第一取付部156及び第二取付部158を結んだ線L3の中央部上に位置するように設定されていても良い。つまり、排気系124は、プロペラシャフト123に予め取り付けられる部分で定義されるものである。
[第三参考例]
次に、図13,図14を参照しながら、本発明の第三参考例に係る排気系取付構造180の構成について説明する。
本発明の第三参考例に係る排気系取付構造180は、本発明の第一参考例に係る排気系取付構造10に対して、第一取付部46及び第二取付部48の位置、並びに排気系14全体の重量バランスを変更したものである。従って、本発明の第三参考例に係る排気系取付構造180において、本発明の第一参考例に係る排気系取付構造10と同一の機能を有する部材については同一符号を用いることとしてその構造の詳細の説明は省略する。
ここで、上記第一参考例に係る排気系取付構造10では、車両平面視にて二つの第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1の中央部上に排気系14全体の重心G1が位置するように、第一取付部46及び第二取付部48の位置、並びに排気系14全体の重量バランスが設定されていたが、本発明の第三参考例に係る排気系取付構造180では、車両平面視にて二つの第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1の中央部上から外れた位置に排気系14全体の重心G1が位置するように、第一取付部46及び第二取付部48の位置、並びに排気系14全体の重量バランスが設定されている。つまり、本発明の第三参考例に係る排気系取付構造180では、排気系14がリアサスペンションメンバ12に一体に取り付けられたときに、排気系14が、リアサスペンションメンバ12に対して車両の前後及び左右に重量バランスが保たれていない状態となる。
なお、後に詳述するように、排気系14がリアサスペンションメンバ12に取付部を介して取り付けられたときに、リアサスペンションメンバ12に対して排気系14の重量バランスが保たれていないことによりリアサスペンションメンバ12に対して傾いた場合でも、排気系14は、当接支持部54(車両後側のクロスメンバ18と第二パイプ32とが干渉する部位)を介してリアサスペンションメンバ12に当接されることにより支持される構成となっている。
次に、上記構成からなる排気系取付構造180の車体への取付方法について説明する。
リアサスペンションメンバ12の車両上下方向下側に排気系14を配置し、リアサスペンションメンバ12の第一支持部22及び第二支持部24に排気系14の第一ステー38及び第二ステー40をそれぞれ第一サポートゴム42及び第二サポートゴム44によりそれぞれ取り付けて、リアサスペンションメンバ12の車両上下方向下側に排気系14を予め取り付けた(吊り下げた)状態とする。
なお、この状態では、車両平面視にて二つの第一取付部46及び第二取付部48を結んだ線L1の中央部上から外れた位置に排気系14全体の重心G1が位置する。従って、排気系14は、リアサスペンションメンバ12に対して排気系14の重量バランスが保たれていない状態となっているので、リアサスペンションメンバ12に対して傾く(この場合、一例として車両前方に傾く)ことになる。
そこで、本実施形態では、排気系14がリアサスペンションメンバ12に対して重量バランスが保たれていない側に傾いた場合でも、排気系14を当接支持部54を介してリアサスペンションメンバ12に当接させる(干渉させる)ことにより支持する。これにより、排気系14のリアサスペンションメンバ12に対する傾きが抑制(一体搭載に支障が無い傾き内で抑制)されて、リアサスペンションメンバ12に対する排気系14の一定の取付姿勢が確保される。そして、この状態で、排気系14が取り付けられたリアサスペンションメンバ12を車体に取り付けて、排気系14及びリアサスペンションメンバ12を車体に一体搭載する。その後、排気系14の第一パイプ28をフロントパイプ26に接続する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
このように、本実施形態の排気系取付構造180において、車体への一体搭載の前に排気系14がリアサスペンションメンバ12に対して重量バランスが保たれていない側に傾いた場合でも、排気系14及びリアサスペンションメンバ12が互いに当接して支持される。これにより、排気系14のリアサスペンションメンバ12に対する傾きが抑制されて、リアサスペンションメンバ12に対する排気系の一定の取付姿勢が確保されるので、排気系14及びリアサスペンションメンバ12を車体に一体搭載する際の取付作業性が良好となる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、排気系14がリアサスペンションメンバ12の車両上下方向下側に配置されるようにしたが、排気系14がリアサスペンションメンバ12の車両上下方向上側に配置されるようにしても良い。
また、上記実施形態では、排気系14をリアサスペンションメンバ12に第一取付部46及び第二取付部48で取り付ける、いわゆる二点サポートとしたが、排気系14をリアサスペンションメンバ12に三つ以上の取付部で取り付けることにより、三点以上のサポートとしても良い。また、排気系14をリアサスペンションメンバ12に一つの取付部で取り付けることにより、一点サポートとしても良い。