JP2005219709A - 排気系構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 部品点数及び組立工数の増大を抑えつつ、系全体の荷重バランスを均等化でき、車室内振動を十分に低減できる排気系構造を提供する。
【解決手段】 排気系100は、排気系マニホールドに連接されたフロントパイプ11、触媒21,31、センターパイプ41、マフラ5、及びテールパイプ6等が連接されたものである。マフラ5にはサポートブラケットB1,B3が設けられ、触媒32にはサポートブラケットB2が設けられている。これにより、サポートブラケットB1,B2,B3を頂点として描かれる図示一点鎖線で示される仮想的な三角形領域R1aのなかに、排気系100の全体重心G1、及びマフラ5の重心Mが位置している。
【選択図】 図1





Description

本発明は、排気系構造に関する。
車両等の内燃機関に連設された排気管、マフラ、触媒等で構成される排気系を車両本体に支持する構造としては、一般に、排気系全体における適宜の箇所を、例えば6点以上の多点で荷重支持するものが用いられている。しかし、支持点数を増やせば増やす程、部品点数及び組立工数が増加してしまうと共に、車体への騒音振動の入力点が増えて車室内振動が増大してしまう傾向にある。そこで、これらの不都合を解消すべく、特許文献1及び特許文献2には、排気系を構成するフロントパイプにおける1点とマフラにおける2点を支持する構造を有する排気装置が記載されている。この排気装置は、これら3つの支持点を結ぶ三角形の平面領域内に、フロントパイプ及びマフラを含めた系の重心を位置せしめることにより、支持バランス及び支持剛性の向上を図っている。
実公昭60−13821号公報 実公昭60−12615号公報
しかし、上記従来の排気装置では、当該公報中に記載されるフロントパイプよりも前段(内燃機関側)に設けられた触媒や排気管の排気系に占める荷重割合が無視できないものと想定され、よって、排気系全体の重心(全体重心)はより内燃機関側に位置するものと推定される。その結果、3つの支持点に印加される排気系全体の荷重バランスを十分に均等化することができないおそれがある。排気系は、通常、支持点において振動吸収用のサポートゴムを介して車両に接続されているが、支持点における荷重バランスが崩れると、サポートゴム毎に伸び状態が異なってしまう。そうなると、荷重がより大きく印加された支持点における比較的伸びた状態のサポートゴムは、振動の吸収効果が低下する傾向にある。その結果、排気系のアライメント不良が生じ易くなり、また、騒音振動(NV)の増大を招いてしまい、車室内の振動レベルが悪化する傾向にある。
さらに、排気系の構成部材(部品)のなかでは、マフラが比較的大型且つ大重量であり、このようなマフラを2点で支持するようにした場合、支持位置によってはマフラ単体の荷重が偏ってしまい、やはり荷重バランスが崩れる懸念がある。こうなると、排気系のアライメント不良が更に生じ易くなると共に、騒音振動が一層増大してしまう。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、部品点数及び組立工数の増大を抑えつつ、系全体の荷重バランスを均等化でき、これにより、車室内振動を十分に低減できる排気系構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明による排気系構造は、内燃機関を有する車両に備えられており、排気管、触媒、及びマフラを含む排気系全体が3つの荷重支持点で支持されるように構成されており、平面視において、排気系の全体重心が、それら3つの荷重支持点を頂点として形成される三角形の仮想領域内に配置され、且つ、平面視において、マフラ単体の重心も、その同じ三角形の仮想領域内に配置されたものである。
なお、「平面視において」とは、水平に静止された車両に排気系が保持された状態での平面を示し、「重心が、(略)仮想的な三角形領域内に位置する」とは、その「重心」の当該平面における二次元座標位置が、当該平面における仮想的な三角形の二次元座標領域内に存在することを示す。また、マフラが複数設けられていてもよく、この場合、複数のマフラのうち最も重量が大きいもの(つまり排気系の全体荷重に最も寄与するもの)の重心が、三角形の仮想領域内に配置されていればよい。
このように構成された排気系構造においては、排気系全体が3つの荷重支持点で支持されるので、より多点による支持構造に比して、部品点数及び組立工数が少なくて済む。また、車両への振動の入力箇所が、より多点で支持する構造に比して少なくされる。さらに、より多点で支持する構造に比して、支持されていない部位をより薄い部材厚としても十分な強度が確保される。
またさらに、排気管、触媒、及びマフラを含めた排気系の全体重心が、平面視において、3つの荷重支持点を頂点として形成される仮想的な三角形領域内に位置するので、各荷重支持点に印加される荷重が均等化される。しかも、排気系を構成する部材(部品)のなかでも、重量が大きい傾向にあるマフラの重心(単体重心)が、その同じ仮想的な三角形領域内に位置するので、各支持点に均等化された荷重バランスが更に良好となり、且つ、その状態がより良く保持される。
また、従来は、車両の内燃機関の運転に起因する共振周波数及びその近傍周波数の振動を低減すべく、マフラ等にダイナミックダンパを取り付ける傾向にあったが、本発明の排気系構造を採用すれば、排気系の全体荷重及びマフラ荷重が十分に均等化されて支持されることにより騒音振動が格段に低減されるので、ダイナミックダンパを用いなくともよい。さらに、マフラが車両の前後方向の略中央部に配置される排気系では、排気系の全体重心が、マフラからマフラ近傍の触媒寄りに位置することが多くなり得る。この場合、本発明を用いれば、ホイールベースの相違によって排気系全長が変化しても、支持点を増やすことなく、必要最小限の3点支持で荷重を十分に均等化した支持が可能となる。
本発明の排気系構造によれば、排気系全体を必要最小限の3つの支持点で支持すると共に、これら支持点を頂点として形成される仮想的な三角形領域内に、排気系全体及びマフラの両方の重心が位置するように構成されるので、部品点数及び組立工数の増大を抑えつつ、系全体の荷重バランスを均等化でき、これにより、車室内振動を十分に低減することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同一要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
図1(A)は、本発明による排気系構造の好適な第一実施形態を示す平面図であり、図1(B)は、同側面図である。排気系100(排気系構造)は、車両に備わる内燃機関としてのV型エンジンに設けられる2つの排気系マニホールド(何れも図示せず)に接続されるものである。排気系100は、一方の排気系マニホールドに連接されたフロントパイプ11、触媒21,31、及びセンターパイプ41、並びに、他方の排気系マニホールドに連接されたフロントパイプ12、触媒22,32、及びセンターパイプ42を有している。また、センターパイプ41,42の後方端には、マフラ5及びテールパイプ6が連接されている。
さらに、マフラ5におけるセンターパイプ41寄りの部位、及びその略対角線上に位置するテールパイプ6寄りの部位には、サポートブラケットB1,B3が設けられており、触媒32には、サポートブラケットB2が設けられている。各サポートブラケットB1,B2,B3は、図示しないサポートゴムを介して車体に接続されており、サポートブラケットB1,B2,B3とサポートゴムとの接続部位が、本発明における3つの荷重支持点として機能し、排気系100全体が車両に保持されている。またさらに、テールパイプ6の後方端部には、ぶれ止め用の補助ブラケットVが設けられており、サポートゴムを介して車両に接続されている。なお、サポートブラケットB1,B2,B3が存在する状態では、この補助ブラケットVは荷重支持に殆ど寄与せず、荷重支持点は、3つのサポートブラケットB1,B2,B3におけるサポートゴムとの接続点とされている。
また、排気系100では、平面視において(つまり図1(A)において)、サポートブラケットB1,B2,B3を頂点として描かれる図示一点鎖線で示される仮想的な三角形領域R1aのなかに、排気系100の全体重心G1、及びマフラ5の重心Mが位置している。
このように構成された排気系100においては、排気系100の全体が3つの荷重支持点で車両に接続されて保持されるので、より多くの荷重支持点による支持構造を有する排気系に比して、部品点数及び組立工数を軽減できる。よって、車両の軽量化及びコストダウンを図ることができる。また、より多点で支持する構造に比して、車両への騒音振動等の振動の入力箇所(入力点数)を低減できる。よって、車室内の振動及び騒音レベルを軽減することが可能となる。さらに、より多点で支持する構造に比して、フロントパイプ11,12、センターパイプ41,42、テールパイプ6等の部材厚(板厚)をより薄くしても、十分な機械強度及び構造強度を担保できる。よって、更なる軽量化及びコストダウンを実現できる。
またさらに、排気系100の全体重心G1が、平面視において、サポートブラケットB1,B2,B3を頂点として形成される仮想的な三角形領域R1a内に位置するので、各サポートブラケットB1,B2,B3及びそれに接続された各サポートゴムに印加される荷重が均等化される。よって、一部の荷重支持点への局所的な荷重集中を防止できるので、サポートゴムによる所望の振動吸収効果を良好に発現させることができる。したがって、排気系100のアライメント不良の発生を抑止できる。また、騒音振動の増大を十分に抑制できるので、車室内の振動レベルの悪化を更に防止することができる。
さらにまた、排気系100の構成部材のなかでも、重量が大きく全体荷重への寄与が比較的大きいマフラ5の重心Mが、同じく仮想的な三角形領域R1a内に位置するので、各サポートブラケットB1,B2,B3に均等化された荷重バランスが更に良好となり、且つ、その状態をより良く保持できる。したがって、排気系100の振動が更に低減され、車室内の騒音及び振動レベルを一層低減でき、静粛性の更なる向上を実現できる。
加えて、このように騒音及び振動レベルを十分に低減できるので、従来必要であったダイナミックダンパを削減できる。よって、排気系100を一層軽量化できると共に、部材コスト及び組立工数をより低減することが可能となる。
図2(A)は、本発明による排気系構造の好適な第二実施形態を示す平面図であり、図2(B)は、同側面図である。排気系200(排気系構造)は、センターパイプ41,42の代わりに、それらよりも直管部位が長尺なセンターパイプ43,44を備えること以外は、図1(A)及び(B)に示す排気系100と同様に構成されたものである。より具体的には、排気系200を備える車両のホイールベースが、排気系100を備える車両のそれよりも大きくされている。
なお、図示においては、3つのサポートブラケットを頂点として画成される仮想的な三角形領域R2aの範囲が、三角形領域R1aと異なるため、触媒32に設けられた支持サポートを符号B4で表している。この排気系200においても、排気系200の全体重心G2及びマフラ5の重心Mが、その仮想的な三角形領域R2a内に位置するように構成されている。
また、図3(A)は、本発明による排気系構造の好適な第三実施形態を示す平面図であり、図3(B)は、同側面図である。排気系300(排気系構造)は、センターパイプ43,44の代わりに、それらよりも直管部位が更に長尺なセンターパイプ45,46を備えること以外は、図2(A)及び(B)に示す排気系200と同様に構成されたものである。より具体的には、排気系300を備える車両のホイールベースが、排気系100,200を備える車両のそれらよりも大きくされている。
なお、同図においても、3つのサポートブラケットを頂点として画成される仮想的な三角形領域R3aの範囲が、三角形領域R1a,R2aと異なるため、触媒32に設けられた支持サポートを符号B5で表している。この排気系300においても、全体重心G3及びマフラ5の重心Mが、その仮想的な三角形領域R3a内に位置するように構成されている。
これらの排気系200,300は、排気系100と同様に、全体荷重が十分に均等化された構造を有しており、同様な振動低減効果を発現することができる。なお、重複説明を避けるため、ここでの詳述は省略する。また、このようにホイールベースひいてはセンターパイプの長さが変化して排気系の全長が異なる車両では、全体重心G1〜G3が図示の如く変化するが、いずれの場合にも、それら重心G1〜G3及びマフラの重心Mが、仮想的な三角形領域R1a,R2a,R3a内に位置するように構成される。よって、本発明によれば、ホイールベースの違いによって荷重支持点を増やすことなく、排気系100,200,300全体を3つの荷重支持点によって支持できる利点がある(換言すれば、汎用性に優れる。)
また、図4(A)は、本発明による排気系構造の好適な第四実施形態を示す平面図であり、図4(B)は、同側面図である。排気系400(排気系構造)は、テールパイプ6の代わりに、補助マフラ7が設置されたテールパイプ61,62を有すること以外は、図1(A)及び(B)に示す排気系100と同様に構成されたものである。補助マフラ7は、マフラ5よりも軽量であり、排気系100の全体荷重への寄与はマフラ5の方が大きく、排気系400の全体重心G4は、全体重心G1よりも若干テール側に変化する。この場合にも、全体重心G4及びマフラ5の重心は、3つのサポートブラケットを頂点とする仮想的な三角形領域R1a内に位置するので、排気系100同様の優れた振動低減効果が奏される。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば、本発明は、内燃機関としてV型エンジン以外のエンジンを備える車両にも適用可能である。また、V型エンジンを備えるものに対しては、マフラ5の前段部において、両バンク側を支持する構成(排気系100,400のサポートブラケットB1,B2、排気系200のサポートブラケットB1,B4、排気系300のサポートブラケットB1,B5)が好ましい。この場合、触媒32ではなく触媒31にサポートブラケットB2,B4,B5を設け、サポートブラケットB1をマフラ5の図示手前側(センターパイプ42,44,46側)に設け、サポートブラケットB3をマフラ5の図示奥側に設けてもよい。
また、ぶれ止め用の補助ブラケットVは必ずしも取り付けなくてもよい。さらに、各排気系100,200,300,400においてサポートブラケットB3を削除してもよい。この場合、ぶれ止め用の補助ブラケットVが、サポートブラケットに代わる荷重支持点として機能する。そのとき、3つの荷重支持点を頂点として形成される仮想的な領域は、図示破線で示す三角形領域R1b,R2b,R3bとなり、いずれの場合も、排気系の全体重心G1,G2,G3,G4、及びマフラの重心Mがそれら三角形領域R1b,R2b,R3b内に位置するように構成できる。
本発明による排気系構造は、部品点数及び組立工数の増大を抑えつつ、系全体の荷重バランスを均等化でき、これにより、車室内振動を十分に低減できるので、内燃機関に接続された排気系等を備える車両等の機器、動機、設備等に広く利用することができる。
図1(A)は、本発明による排気系構造の好適な第一実施形態を示す平面図であり、図1(B)は、同側面図である。 図2(A)は、本発明による排気系構造の好適な第二実施形態を示す平面図であり、図2(B)は、同側面図である。 図3(A)は、本発明による排気系構造の好適な第三実施形態を示す平面図であり、図3(B)は、同側面図である。 図4(A)は、本発明による排気系構造の好適な第四実施形態を示す平面図であり、図4(B)は、同側面図である。
符号の説明
5…マフラ、6,61,62…テールパイプ、7…補助マフラ、11,12…フロントパイプ、21,22,31,32…触媒、41,42,43,44,45,46…センターパイプ、100,200,300,400…排気系(排気系構造)、B1,B2,B3,B4,B5…サポートブラケット(荷重支持点)、G1,G2,G3,G4…全体重心、M…マフラの重心、R1a,R2a,R3a,R1b,R2b,R3b…三角形領域、V…補助ブラケット。

Claims (1)

  1. 内燃機関を有する車両に備えられており、排気管、触媒、及びマフラを含む排気系全体が3つの荷重支持点で支持されるように構成されており、
    平面視において、前記排気系の全体重心が、前記3つの荷重支持点を頂点として形成される三角形の仮想領域内に位置しており、且つ、
    平面視において、前記マフラの重心も、前記3つの荷重支持点を頂点として形成される三角形の仮想領域内に位置する、
    排気系構造。



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