本明細書は、次のような遊技機に係る発明も開示している。
(0)遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤と、遊技球を発射する遊技球発射手段と、前記遊技球発射手段から発射された遊技球を前記遊技盤の遊技領域に誘導する誘導通路とを備えた遊技機において、
前記誘導通路は、その途中箇所に、当該誘導通路を戻る遊技球をその誘導通路から遊技領域に排出する戻り球排出口と当該誘導通路を戻る遊技球を前記戻り球排出口へ導く誘導部材とを備えていることを特徴とする遊技機。
前記(0)に記載の発明によれば、遊技盤は、遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する。遊技球発射手段は、遊技球を発射する。誘導通路は、遊技球発射手段から発射された遊技球を遊技盤の遊技領域に誘導する。誘導通路の途中に備えられた戻り球排出口は、当該誘導通路を戻る遊技球を誘導通路から遊技領域に排出する。誘導通路の途中に備えられた誘導部材は、当該誘導通路を戻る遊技球を戻り球排出口へ導く。したがって、遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に到達できずに誘導通路を戻るような場合には、その戻り遊技球を、誘導通路の途中箇所に設けられた戻り球排出口から遊技領域に排出することができる。つまり、戻り遊技球が誘導通路を遊技球発射装置の方まで戻っていくことを防止でき、速やかに戻り遊技球を遊技領域に排出することができるので、戻り遊技球が次に発射された遊技球と衝突することを低減でき、遊技者が発射行為を一時止めてから発射するようにすることを低減でき、ファール球(誘導レールを逆流する遊技球)の発生に起因する遊技球の打ち込み制限を低減でき、ファール球による遊技上の利益損失を低減でき、遊技の面白味の損失を低減できる。その結果、ファール球に起因する遊技の興趣性低下を改善できる。
(1) 前記(0)に記載の遊技機において、
前記戻り球排出口は、前記誘導通路の領域を長手方向に3等分または略3等分した領域の内の中間領域に備えられていることを特徴とする遊技機。
前記(1)に記載の発明によれば、戻り球排出口は、誘導通路の領域を長手方向に3等分または略3等分した領域の内の中間領域に備えられている。したがって、誘導通路の中間領域の戻り球排出口を超えたが遊技領域まで届かずに戻ってきた遊技球を、戻り球排出口によって遊技領域に排出することができるし、このような戻り球を遊技領域に速やかに排出することで、戻り遊技球が次に発射された遊技球と衝突することをほぼ低減でき、ファール球(誘導レールを逆流する遊技球)の発生に起因する遊技球の打ち込み制限をほぼ低減でき、ファール球による遊技上の利益損失を大幅に低減でき、遊技の面白味の損失をほぼ低減できる。
(2) 前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)に記載の遊技機において、
前記戻り球排出口から排出された遊技球を前記遊技盤の所定の遊技領域へ誘導可能とする遊技球誘導手段を備えていることを特徴とする遊技機。
前記(2)に記載の発明によれば、遊技球誘導手段は、戻り球排出口から排出された遊技球を遊技盤の所定の遊技領域へ誘導可能とする。したがって、戻り球排出口から遊技球を排出させることで、遊技球を所定の遊技領域に到達させることを好適に実現することができる。
(3) 前記(2)に記載の遊技機において、
前記遊技球誘導手段は、前記遊技盤の遊技領域に配設されていることを特徴とする遊技機。
前記(3)に記載の発明によれば、遊技球誘導手段は、遊技盤の遊技領域に配設されている。したがって、戻り球排出口から排出された遊技球は、遊技領域にある遊技球誘導手段により、所定の遊技領域へ誘導可能とすることができ、また戻り球排出口以外の遊技領域を流下する遊技球が誘導部材に到達した場合においても、所定の遊技領域に誘導可能とすることができる。つまり、戻り球排出口から排出された遊技球は、所定の遊技領域へ誘導されることがより多くなり、また戻り球排出口以外から排出された遊技球においても、誘導されることがより多くなる。その結果、遊技者は遊技を面白く感じることができ、興趣性を向上させることができる。
(4) 前記(2)に記載の遊技機において、
前記遊技球誘導手段は、前記遊技盤の遊技領域とは異なる場所に配設され、遊技球が通過可能な通路部材であることを特徴とする遊技機。
前記(4)に記載の発明によれば、遊技球誘導手段は、遊技盤の遊技領域とは異なる場所に配設され、遊技球が通過可能な通路部材(例えば筒状体)である。したがって、戻り球排出口から排出された遊技球は、遊技盤を流下する遊技球に影響されることなく所定の遊技領域へ誘導可能とすることができる。つまり、戻り球排出口から排出された遊技球は、所定の遊技領域へ誘導されることがより多くなる。その結果、遊技者は遊技を面白く感じることができ、興趣性を向上させることができる。
(5) 前記(4)に記載の遊技機において、
前記通路部材はその少なくとも正面側が透明あるいは半透明となっており、
前記通路部材の正面側に透明あるいは半透明な視認部を備えていることを特徴とする遊技機。
前記(5)に記載の発明によれば、通路部材はその少なくとも正面側が透明あるいは半透明となっている。視認部は、透明あるいは半透明なものであり、通路部材の正面側に設けられている。したがって、遊技者は通路部材を通過する遊技球の挙動を、視認部を介して見ることができ、遊技を面白く感じることができる。
(6) 前記(2)から(5)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記所定の遊技領域には、特定遊技状態の場合に遊技球が入球可能な状態となる可変入賞手段が備えられ、
前記遊技球誘導手段は、前記戻り球排出口から排出された遊技球を前記可変入賞手段の方へ誘導するものであることを特徴とする遊技機。
前記(6)に記載の発明によれば、所定の遊技領域に備えられた可変入賞手段は、特定遊技状態の場合に遊技球が入球可能な状態となる。遊技球誘導手段は、戻り球排出口から排出された遊技球を可変入賞手段の方へ誘導する。したがって、遊技球誘導手段により、可変入賞手段の方に誘導されることが多くなる。つまり、特定遊技状態の場合に戻り球排出口から遊技球を排出させると可変入賞手段に入球することが多くなり、遊技者は多くの賞球を得ることができる。その結果、遊技の興趣性を向上させることができる。
(7) 前記(2)から(5)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技盤の所定の領域には、遊技球を入球または通過させる入球手段が備えられ、
前記入球手段に遊技球が入球または通過したことに基づいて、遊技者にとって有利な特定遊技状態の発生の有無を抽選する抽選手段を備え、
前記遊技球誘導手段は、前記戻り球排出口から排出された遊技球を前記入球手段の方へ誘導するものであることを特徴とする遊技機。
前記(7)に記載の発明によれば、遊技盤の所定の領域に備えられた入球手段は、遊技球を入球または通過させる。抽選手段は、入球手段に遊技球が入球または通過したことに基づいて、遊技者にとって有利な特定遊技状態の発生の有無を抽選する。遊技球誘導手段は、戻り球排出口から排出された遊技球を入球手段の方へ誘導する。したがって、遊技球誘導手段により、入球手段の方に誘導されることが多くなる。つまり、戻り球排出口から遊技球を排出させることで、入球手段に多くの遊技球を入球させ、抽選手段での抽選を多く行うことができ、可変入賞手段が遊技球を入球可能な状態となる可能性が高かくなる。その結果、遊技の興趣性を向上させることができる。
(8) 前記(6)に記載の遊技機において、
前記可変入賞手段に遊技球が入球可能な状態である場合に、前記遊技球発射手段から発射された遊技球が、前記誘導通路の出力端から前記戻り球排出口までの間に到達するように前記遊技球発射手段を制御する発射強度制御手段を備えていることを特徴とする遊技機。
前記(8)に記載の発明によれば、発射強度制御手段は、可変入賞手段に遊技球が入球可能な状態である場合に、遊技球発射手段から発射された遊技球が、誘導通路の出力端から戻り球排出口までの間に到達するように遊技球発射手段を制御する。したがって、抽選手段での抽選結果が、可変入賞手段に遊技球が入球可能な状態である場合に、遊技球発射手段から発射したすべて遊技球を戻り球排出口から排出させることができ、可変入賞手段に多くの遊技球を入球可能となる。つまり、遊技者は多くの賞球を得ることができ、遊技を面白く感じることができる。その結果、興趣性を向上させることができる。
(9) 前記(7)に記載の遊技機において、
前記抽選手段は、
前記可変入賞手段を特定遊技状態に移行するか否かを抽選するための乱数を発生させる乱数発生手段と、
前記入球手段に遊技球が入球または通過したことに基づいて、前記乱数発生手段で発生させた乱数のうちの一の乱数を記憶する乱数記憶手段と、
前記乱数記憶手段に記憶された乱数に基づいて前記可変入賞手段に遊技球が入球または通過したことに基づいて手段を特定遊技状態に移行するか否かを決定する決定手段と、
を備えている
ことを特徴とする遊技機。
前記(9)に記載の発明によれば、乱数発生手段は、可変入賞手段を特定遊技状態に移行するか否かを抽選するための乱数を発生させる。乱数記憶手段は、入球手段に遊技球が入球または通過したことに基づいて、乱数発生手段で発生させた乱数のうちの一の乱数を記憶する。決定手段は、乱数記憶手段に記憶された乱数に基づいて可変入賞手段を特定状態に移行するか否かを決定する。したがって、抽選手段は、入球手段に遊技球が入球または通過したことに基づいて、特定遊技状態に移行するか否かを抽選することを好適に実現できる。
(10) 前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)から(9)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記戻り球排出口よりも上部の前記誘導通路に配設され、前記遊技球発射手段から発射された遊技球が前記誘導通路の出力端から遊技領域に進入しないように前記誘導通路の出力側を閉鎖する閉鎖状態と、前記遊技球発射手段から発射された遊技球が前記誘導通路の出力端から遊技領域に進入できる状態である開放状態とに可変する可動部材を備え、
前記可動部材を前記閉鎖状態または前記開放状態のいずれにするのかを制御する可動部材制御手段を備えていることを特徴とする遊技機。
前記(10)に記載の発明によれば、可動部材は、戻り球排出口よりも上部の誘導通路に備えられ、遊技球発射手段から発射された遊技球が誘導通路の出力端から遊技領域に進入しないように誘導通路の出力側を閉鎖する閉鎖状態と、遊技球発射手段から発射された遊技球が誘導通路の出力端から遊技領域に進入できる状態である開放状態とに可変するものである。可動部材制御手段は、可動部材を閉鎖状態または開放状態のいずれにするのかを制御する。したがって、可動部材制御手段により、可動部材を閉鎖状態と開放状態とにすることができる。つまり、遊技球発射手段から発射された遊技球のうち、誘導通路の出力端から遊技領域に進入する強さで発射された遊技球は、誘導通路内を閉鎖する閉鎖状態において、誘導通路途中の戻り球排出口から遊技領域に進入する場合と、誘導通路内を開放する開放状態において、誘導通路の出力端から遊技領域に進入する場合とがあり、それぞれ遊技領域に到達する場所が異なり、さらに遊技領域で遊技球が流下する経路が異なり、この異なる経路による遊技球の打ち込みを楽しむことができる。その結果、興趣性を向上させることができる。
(11) 前記(10)に記載の遊技機において、
遊技者により操作可能な操作手段を備え、
前記可動部材制御手段は、前記操作手段での操作に基づいて、前記可動部材を閉鎖状態と開放状態とに駆動する制御を行うことを特徴とする遊技機。
前記(11)に記載の発明によれば、操作手段は、遊技者により操作可能である。可動部材制御手段は、操作手段での操作に基づいて、可動部材を閉鎖状態と開放状態とに駆動する制御を行う。したがって、遊技者が操作手段を操作することで、可動部材を閉鎖状態と開放状態とに駆動させることができる。つまり、遊技者は遊技の状態などを考慮し、操作手段の操作を行うことで、可動部材を閉鎖状態または開放状態に駆動させ、遊技者にとってより有利な遊技状態を得ることができ、積極的に遊技に参加することができる。その結果、遊技の興趣性を向上させることができる。
(12) 前記(10)に記載の遊技機において、
前記可動部材制御手段は、前記可変入賞手段に遊技球を入球可能な状態である場合に、前記可動部材を閉鎖状態にする制御を行うことを特徴とする遊技機。
前記(12)に記載の発明によれば、可変入賞手段に遊技球を入球可能な状態である場合に、可動部材制御手段は、可動部材を閉鎖状態にする制御を行う。したがって、可変入賞手段に遊技球を入球可能な状態とする場合に、遊技球発射手段から発射したすべて遊技球を戻り球排出口から排出させることができ、可変入賞手段に多くの遊技球を入球可能となる。つまり、遊技者は多くの賞球を得ることができ、遊技を面白く感じることができる。その結果、興趣性を向上させることができる。
(13) 前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)から(12)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機。
前記(13)に記載の遊技機によれば、ファール球(誘導レールを逆流する遊技球)に起因する遊技の興趣性低下を改善できるパチンコ機を提供できる。なお、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技用媒体としての球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特定遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞手段(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の各種の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
実施例のパチンコ機を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の概略正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤30の正面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠12と、この外枠12の一側部に開閉可能に支持された内枠14とを備えている。
図1に示すように、内枠14の開閉軸線Jは、パチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル16)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線Jを軸心にして内枠14が前方側に十分に開放できるようになっている。
内枠14は、大別すると、その最下部に取り付けられた球皿ユニット18と、この球皿ユニット18よりも上側の範囲で内枠14の左側の上下方向の開閉軸線Jを軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット20と、この前面枠セット20が閉じられた状態で対向する位置にある樹脂ベース(図示省略)と、この樹脂ベースの後側に取り付けられる遊技盤30とを備えている。
球皿ユニット18は、内枠14に対してネジ等の締結具により固定されている。この球皿ユニット18の前面側には、球皿22と遊技球発射ハンドル16と押しボタンスイッチ17とが設けられている。球皿22は、球皿ユニット18のほぼ中央部に設けられており、賞球払い出しされた遊技球Bが球皿22内に貯留可能になっており、また、排出口19より排出された遊技球Bが球皿22内に貯留可能になっている。これらの遊技球Bを一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置40の方へ導出するための球受皿である。
遊技球発射ハンドル16は、球皿22よりも右方で手前側に突出して配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル16の操作に応じて、遊技球発射装置40によって遊技球Bが後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。
具体的には、遊技球発射装置40は、遊技者による操作を受ける遊技球発射ハンドル16と、この遊技球発射ハンドル16の操作量に応じた強さで動作するアクチュエータ42と、アクチュエータ42によって駆動されるハンマ44とを備えている。アクチュエータ42によって駆動されるハンマ44が遊技球Bを打ちつけることにより、遊技球Bを発射する。
押しボタンスイッチ17は、球皿ユニット18の左側部に配設され、遊技者がこの押しボタンスイッチ17を押すことで、後述する可動板61を閉鎖状態または開放状態にいずれかの状態に変化させる。また、この実施例では、一度、押しボタンスイッチ17を押すことで状態が変化し、再度、押しボタンスイッチ17が操作されるまで状態を保持するようになっている。なお、上述したように、押しボタンスイッチ17を押すたびに状態が変化するものではなく、押しボタンスイッチ17を押している間についてのみ、可動板61が閉鎖状態に移行し、この閉鎖状態を保持し、押しボタンスイッチ17を押すことを止めると同時に、開放状態に移行し、開放状態を保持するなど、種々の動作を行うようにしてもよい。
なお、遊技球発射装置40として、遊技球Bをハンマ44で打撃するタイプの構成を採用しているが、遊技球Bを電磁方式で射出する電磁式遊技球射出装置など、種々の方式の遊技球発射装置を採用してもよい。
排出口19は、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bが遊技領域31に到達せず、後述する誘導通路60を戻って来た遊技球B(ファール球)を球皿22に排出するためのものである。なお、上述した押しボタンスイッチ17は、本発明における操作手段に相当する。上述した遊技球発射装置40が本発明における遊技球発射手段に相当する。
内枠14は、外形が矩形状の樹脂ベースを主体に構成されており、樹脂ベースの中央部には略円形状の窓孔24が形成されている。樹脂ベースの後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース(内枠14)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分(後述する遊技領域31)が樹脂ベースの窓孔24を通じて内枠14の前面側に露出した状態となっている。
図2に示すように、遊技盤30は、遊技球B(図1に示す)が転動可能な遊技領域31を備えており、この遊技領域31に、一般入賞口(図示省略)、可変入賞装置32、第1の始動口33(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等が備えられている。これらの一般入賞口、可変入賞装置32、第1の始動口33(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通孔にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33に遊技球Bが入球し、当該入球が図示省略した検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、球皿22へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球Bはこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球Bの落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。なお、上述した第1の始動口33は、本発明における入球手段に相当する。
可変表示装置ユニット35は、第1の始動口33に遊技球が入球したことに基づいて、識別情報としての第1図柄(例えば特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置45と、第2の始動口34に遊技球が通過したことに基づいて、第2図柄(例えば普通図柄)を変動表示する第2図柄表示装置46とを備えている。
第1図柄表示装置45は、液晶表示装置として構成されており、表示制御装置130(図示省略)により表示内容が制御される。第1図柄表示装置45には、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして第1図柄表示装置45に可変表示されるようになっている。なお本実施の形態では、第1図柄表示装置45(液晶表示装置)は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備える。可変表示装置ユニット35には、第1図柄表示装置45を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。また、遊技球Bが第1の始動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ48にて点灯表示されるようになっている。なお、第1図柄変動の保留ランプ48は、第1図柄表示装置45の一部で変動表示される構成としているが、複数のランプの点灯を切り換えることにより変動表示される構成であっても良い。
第2図柄表示装置46は、第2図柄用の表示部と第2図柄変動の保留ランプとを有し、遊技球Bが第2の始動口34を通過する毎に表示部による表示図柄(普通図柄)が変動し、その変動表示が所定図柄で停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球Bが第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ49にて点灯表示されるようになっている。なお、第2図柄表示装置46の表示部は、第1図柄表示装置45(液晶表示装置)の一部で変動表示される構成としているが、複数のランプの点灯を切り換えることにより変動表示される構成であっても良い。第2図柄変動の保留ランプ49は、第1図柄表示装置45の一部で変動表示される構成としているが、複数のランプの点灯を切り換える等の構成としても良い。
可変入賞装置32は、通常は遊技球Bが入球(入賞)できない又は入球し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球Bが入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっている。より詳しくは、第1の始動口33に対し遊技球Bが入球すると第1図柄表示装置45で図柄が変動表示され、その停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組合せとなった場合に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32の大入賞口が所定の開放状態となり、遊技球Bが入球しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入球を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数繰り返し開放される。なお、上述した可変入賞装置32は本発明における可変入賞手段に相当する。
図1に示す遊技球発射装置40は、パチンコ機10の裏面側(背面側)に設けられている。具体的には、遊技球発射装置40は、球皿ユニット18の背面側に設けられている。つまり、遊技盤30の遊技領域31の面よりも背後側に遊技球発射装置40が設けられている。
また、図1,図2に示すように、遊技盤30には、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bを遊技盤30の遊技領域31の上部へ誘導する誘導通路60が取り付けられており、遊技球発射ハンドル16の回動操作に伴い発射された遊技球Bは、誘導通路60を通過して遊技領域31の方に誘導されるようになっている。誘導通路60は、例えば、樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)であり、内レール51と外レール52とにより構成されている。詳細には、誘導通路60は、これら内レール51と外レール52とが遊技球Bが通過可能な所定間隔を隔てて並行する部分(遊技盤30の向かって左側の部分)により構成されている。なお、誘導通路60は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。なお、この誘導通路60を金属製などとしてもよい。
内レール51は、遊技盤30において外レール52より内側にあるレールであり、上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成されている。また、内レール51は、遊技盤30の左側に形成する誘導通路60の領域を長手方向に3等分した領域の内の中間領域に、誘導通路60を戻る遊技球Bをその誘導通路60から遊技領域に排出する戻り球排出口62と当該誘導通路60を戻る遊技球Bを戻り球排出口62へ導く誘導部材63とを備えている。なお、戻り球排出口62と誘導部材63とは、誘導通路60の領域を長手方向に3等分した領域の内の中間領域に備えるようにしたが、誘導通路60の領域を長手方向に略3等分した領域の内の中間領域に備えるようにしてもよい。
戻り球排出口62は、内レール51の一部に開けられた遊技球Bを排出することが可能な排出口である。また、誘導部材63は、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bが誘導通路60の入力端側から出力端側へは通過可能であるが、誘導通路60の出力端側から入力端側へは通過不可能となっており、出力端側から流下(逆流)してきた遊技球Bを戻り球排出口62に導き、遊技領域に排出される構成となっている。
また、内レール51は、誘導通路60の出力端(戻り球排出口62よりも上部の位置)に、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bが誘導通路60の出力端から遊技領域に進入しないように誘導通路60の出力側を閉鎖する閉鎖状態と、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bが誘導通路60の出力端から遊技領域31に進入できる状態である開放状態とに可変する可動板61を備えている。なお、図1,図2に示す可動板16は、開放状態である。
可動板61は、誘導通路60の出力側を閉鎖する閉鎖状態においては、遊技球Bを遊技領域31に出力させない材質(例えば、遊技球の衝突により変形しないプラスチック材、ゴム材など)である。つまり、可動板61は、上述した誘導部材63とは異なる材質を用いたものである。また、可動部材駆動部65により駆動されることで、閉鎖状態と開放状態との状態を実現するものである。なお、戻り球排出口62よりも上部の位置である誘導通路60の出力端に配設されていたが、誘導通路60の出力端以外の戻り球排出口62よりも上部の誘導通路60に配設されるようにしてもよい。なお、上述した可動板61は本発明における可動部材に相当する。
また、パチンコ機10は、遊技者により操作可能な押しボタンスイッチ17を備え、この押しボタンスイッチ17での操作に基づいて、後述する可動部材制御部64により可動部材駆動部65を制御し、この可動部材駆動部65により可動板61が動作する構成となっている。
外レール52は、遊技盤30の左側下部から左側上部を経由し、遊技盤30の右側上部に配設された、所定以上の勢いで発射された遊技球Bを跳ね返すための返しゴム54まで略円環状に形成されている。また、外レール52の内側面は、主に遊技球Bと接触する面となっており、遊技球Bの通過をより滑らかなものとするために、遊技球Bとの摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状のステンレス製の金属帯としての摺動プレートが取付けられている。
これら内レール51と外レール52とにより、遊技球発射装置40から発射され、戻り球排出口62を備えた箇所を通過したが、誘導通路60の出力端から出力されず遊技領域31に到達しない遊技球Bを、誘導部材63により戻り球排出口62に導き遊技領域31に排出するような構成となっている。
次に、遊技盤30の遊技領域31について説明する。図2に示すように、遊技領域31を、遊技盤30の正面から見て、内レール51及び外レール52によって囲まれる領域のうち、内レール51と外レール52との並行部分である誘導通路60の領域を除いた領域としている。従って、遊技領域31と言った場合には誘導通路60部分は含まないため、遊技領域31の向かって左側限界位置は外レール52によってではなく内レール51によって特定される。同様に、遊技領域31の向かって右側限界位置は内レール51によって特定される。また、遊技領域31の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域31の上側限界位置は外レール52によって特定される。
また、遊技領域31には、戻り球排出口62から排出された遊技球Bを遊技盤30の所定の遊技領域(例えば、可変入賞装置32の大入賞口)へ誘導可能とする誘導板70および誘導釘71を備えている。誘導板70および誘導釘71は、遊技領域31の左側下部に配設され、戻り球排出口62から可変入賞装置32の大入賞口の方に配列されている。さらに詳細には、誘導板70は、戻り球排出口62に接するように配設された板状部材であり、戻り球排出口62から排出された遊技球Bが板状部材上を転動することが可能となっている。また、誘導釘71は、複数個の釘により構成され、板状部材上を転動した遊技球Bが、この複数個の釘により可変入賞装置32の大入賞口に誘導されることを可能としている。
なお、戻り球排出口62から排出された遊技球Bを誘導板70および誘導釘71により、可変入賞装置32の大入賞口の方に誘導するようになっているが、誘導板70および誘導釘71のどちらか一方だけで誘導するようにしてもよい。なお、上述した誘導板70および誘導釘71は本発明における遊技球誘導手段に相当する。
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図3を用いて説明する。図3は、本パチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。当該パチンコ機10は、主制御装置100と、払出制御装置110と、発射制御装置120と、表示制御装置130と、電源装置140などを備えている。以下、これらの装置を詳細に説明する。
パチンコ機10の主制御装置100は、パチンコ機10の主たる制御を行うものであり、払出制御装置110、表示制御装置130などを制御する。さらに、主制御装置100は、これらの制御を行うためのCPU101と、当該CPU101により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM102と、当該ROM102内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM103と、時間計数や同期を図る場合などに使用されるタイマ回路と、主制御装置100以外の装置とデータの送受信を行うデータ送受信回路などを含む主基板を備えている。
RAM103は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置140からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM103には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリアが設けられている。
さらに、主制御装置100の詳細な構成について、図3を用いて説明する。図3は、パチンコ機10の主制御装置100などの構成を示すブロック図である。主制御装置100は、第1の始動口33(図2に示す)に遊技球Bが入球したことに基づいて、遊技者にとって有利な遊技状態である特定遊技状態(大当たり状態)となるか否かを抽選する抽選部104と、押しボタンスイッチ17での操作に基づいて、誘導通路60に備えられた可動板61を閉鎖状態または開放状態のいずれにするのかを制御する可動部材制御部64とを有している。なお、第1の始動口33は、遊技球Bを入球させることで、抽選部104で抽選を行うようになっていたが、第1の始動口33を遊技球Bが通過することで、抽選部104で抽選を行うようにしてもよい。
抽選部104は、乱数発生部105と乱数記憶部106と決定部107とにより構成されている。乱数発生部105は、0〜676までの値をとり得る大当たり乱数カウンタC1(特定遊技状態となるか否かを決定するための第1乱数群)の値(第1乱数)を発生させるものである。乱数記憶部106(大当たり乱数カウンタバッファ)は、第1の始動口33に遊技球Bが入球する毎に、大当たり乱数カウンタC1の値を保留球格納エリアに記憶するものである。決定部107は、この保留球格納エリアに記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が当たり値であるか否かを決定するものである。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば「0」〜「676」の範囲内で順に「1」ずつ加算され、最大値(つまり「676」)に達した後「0」に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜676)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で綴り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球Bが第1の始動口33に入球したタイミングでRAM103の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の個数は2個で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の個数は10個で、その値は 「67,131,199,289,337,401,463,523,601,661」である。なお、高確率時とは、予め定められた確率変動図柄によって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる「確変」の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない時をいう。
なお、乱数発生部105および決定部107は、主制御装置100のCPU101の一機能であり、乱数記憶部106は、主制御装置100のRAM103の一機能である。なお、上述した抽選部104は、本発明における抽選手段に相当する。
可動部材制御部64は、押しボタンスイッチ17からの押しボタンスイッチが押されたことを示す信号に基づいて、可動板61が閉鎖状態または開放状態のいずれかの状態に変化するように可動部材駆動部65を動作させる制御を行う。なお、上述した可動部材制御部64は、本発明における可動部材制御手段に相当する。
次に、払出制御装置110は、主制御装置100からの制御に基づいて、払出モータにより賞球や貸し球の払出を行うための払出制御を行う払出制御基板を備えている。この払出制御基板は、演算装置であるCPUと、当該CPUにより実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROMと、ワークメモリ等として使用されるRAMとを有している。
発射制御装置120は、発射モータによる遊技球Bの発射を許可又は禁止するための発射制御を行う発射制御基板を備えている。発射モータは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置110から発射許可信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル16をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、遊技球発射ハンドル16の操作量に応じた強度で遊技球Bが発射される。
表示制御装置130は、主制御装置100からの制御に基づいて、第1図柄表示装置45における第1図柄の変動表示の制御や音声ランプ制御装置150における音声やランプ表示の制御などを行う表示制御基板を備えている。この表示制御基板は、CPUと、ROM(プログラムROM)と、ワークRAMと、ビデオRAMと、キャラクタROMと、画像コントローラなどを有している。なお、音声ランプ制御装置150は、表示制御装置130により制御されるようになっているが、主制御装置100により制御されるようにしてもよい。
表示制御装置130のCPUは、主制御装置100から送信される各種コマンドに基づいて第1図柄表示装置45の表示を制御する。ROMは、そのCPUにより実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAMは、CPUによる各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
次に、電源装置140は、パチンコ機10の各部に電力を供給するための電源部と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路と、RAM消去スイッチに接続されてなるRAM消去スイッチ回路とを備えている。電源部は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置100や払出制御装置110等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆部するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置100や払出制御装置110等に対して供給する。なお、発射制御装置120に対しては払出制御装置110を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の遊技についての一連の流れについて図4〜図6を用いて説明する。図4は、遊技球Bが誘導通路60を通過し遊技領域31に誘導されることを示す説明図である。図5は、遊技球Bが誘導通路60の出力端から遊技領域31に誘導されない場合を示す説明図である。図6は、可動板61が閉鎖状態である場合を示す説明図である。
まず遊技者は、遊技球発射装置40の遊技球発射ハンドル16を回転操作することにより、遊技球Bを発射させる。次に、図4に示すように、発射された遊技球Bは、誘導通路60の誘導部材63、可動板61が配設された場所を通過して遊技領域31の方に誘導される。この遊技領域31に到達した遊技球Bのうち、種々の経路をたどり第1の始動口33に入球するものがある。この第1の始動口33に入球した遊技球Bは、主制御装置100の抽選部104で遊技者にとって遊技者にとって有利な遊技状態である特定遊技状態(大当たり状態)となるか否かを抽選する。
さらに、主制御装置100の抽選部104での抽選結果が大当たり状態となった場合、主制御装置100は、この大当たり状態になったことを示す信号(コマンド)を表示制御装置130に出力する。表示制御装置130は、この大当たり状態を示す信号の入力に基づいて第1図柄表示装置45に大当たり状態になったことを示す表示させる制御を行う。
また、第1図柄表示装置45で大当たり状態になったことを示す表示がされた直後に、主制御装置100が可変入賞装置32を制御することで、可変入賞装置32の大入賞口が開き、遊技球Bが入球可能な状態(大当たり状態)となる。
ここで、上述したように遊技者は、遊技球発射装置40の遊技球発射ハンドル16を回転操作することにより遊技球Bを発射させ、遊技領域31の方に誘導されるように打ち込むことができるが、例えば、遊技球発射ハンドル16を回転させる量が少なかったために、遊技球Bが発射される強度が弱く、図5に示すように、誘導部材63が配設された誘導通路60の場所を越えたが誘導通路60の出力端から出力されず遊技領域31に到達しなかった場合に、一度誘導通路60を戻り、誘導通路60に配設された誘導部材63により戻り球排出口62に導かれ、この戻り球排出口62から遊技領域31に排出する。
次に、図6に示すように、誘導通路60の出力端に備えられた可動板61は、通常、開放状態(図6に示す一点鎖線で示す可動板61の状態)である。ここで、遊技者が球皿ユニット18に配設された押しボタンスイッチ17を押すことで、この押しボタンスイッチ17は、押されたことを示す操作信号が可動部材制御部64に出力する。可動部材制御部64は、可動板61が開放状態から閉鎖状態(図6に示す実線で示す可動板61の状態)に移行する動作を行うように可動部材駆動部65を制御し、可動部材駆動部65の動作に基づいて可動部61が閉鎖状態になる。
この可動部61が閉鎖状態で、遊技球発射装置40から発射された強度が、誘導通路60の出力端から出力される強度である場合は、遊技球Bは、可動板61で跳ね返され、誘導通路60の出力端からは出力されず、一度誘導通路60を戻り、誘導通路60に配設された誘導部材63により戻り球排出口62に導かれ、この戻り球排出口62から遊技領域31に排出させることもできる。
さらに、図6に示すように、戻り球排出口62から排出された遊技球Bは、誘導板70と誘導釘71とにより影響を受けながら遊技領域31を転動し、可変入賞装置32の大入賞口の方に誘導され大入賞口に入球し易くなる。
上述したように実施例1のパチンコ機10によれば、遊技球Bが打ち込まれる遊技領域31を有する遊技盤30と、遊技球Bを発射する遊技球発射装置40と、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bを遊技盤30の遊技領域31に誘導する誘導通路60とを備えた遊技機において誘導通路60は、その途中箇所に、当該誘導通路60を戻る遊技球Bをその誘導通路60から遊技領域31に排出する戻り球排出口62と当該誘導通路60を戻る遊技球Bを戻り球排出口62へ導く誘導部材63とを備えているので、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bが遊技領域31に到達できずに誘導通路60を戻るような場合には、その戻り遊技球Bを、誘導通路60の途中箇所に設けられた戻り球排出口62から遊技領域31に排出することができる。つまり、戻り遊技球Bが誘導通路60を遊技球発射装置40の方まで戻っていくことを防止でき、速やかに戻り遊技球Bを遊技領域31に排出することができるので、戻り遊技球Bが次に発射された遊技球Bと衝突することを低減でき、遊技者が発射行為を一時止めてから発射するようにすることを低減でき、ファール球(誘導レールを逆流する遊技球)の発生に起因する遊技球Bの打ち込み制限を低減でき、ファール球による遊技上の利益損失を低減でき、遊技の面白味の損失を低減できる。その結果、ファール球に起因する遊技の興趣性低下を改善できる。
また、戻り球排出口62は、誘導通路60の領域を長手方向に3等分または略3等分した領域の内の中間領域に備えられているので、誘導通路60の中間領域の戻り球排出口62を超えたが遊技領域31まで届かずに戻ってきた遊技球Bを、戻り球排出口62によって遊技領域31に排出することができるし、このような戻り球を遊技領域31に速やかに排出することで、戻り遊技球Bが次に発射された遊技球Bと衝突することをほぼ低減でき、ファール球(誘導レールを逆流する遊技球)の発生に起因する遊技球Bの打ち込み制限をほぼ低減でき、ファール球による遊技上の利益損失を大幅に低減でき、遊技の面白味の損失をほぼ低減できる。
また、誘導板70,誘導釘71は、遊技盤30の遊技領域31に配設されているので、戻り球排出口62から排出された遊技球Bは、遊技領域31にある誘導板70,誘導釘71により、所定の遊技領域31へ誘導可能とすることができ、また戻り球排出口62以外の遊技領域31を流下する遊技球Bが誘導部材63に到達した場合においても、所定の遊技領域31に誘導可能とすることができる。つまり、戻り球排出口62から排出された遊技球Bは、所定の遊技領域31へ誘導されることがより多くなり、また戻り球排出口62以外から排出された遊技球Bにおいても、誘導されることがより多くなる。その結果、遊技者は遊技を面白く感じることができ、興趣性を向上させることができる。
また、所定の遊技領域31には、特定遊技状態の場合に遊技球Bが入球可能な状態となる可変入賞装置32が備えられ、誘導板70,誘導釘71は、戻り球排出口62から排出された遊技球Bを可変入賞装置32の方へ誘導するものであるので、誘導板70,誘導釘71により、可変入賞装置32の方に誘導されることが多くなる。つまり、特定遊技状態(大当たり状態)の場合に戻り球排出口62から遊技球Bを排出させると可変入賞装置32に入球することが多くなり、遊技者は多くの賞球を得ることができる。その結果、遊技の興趣性を向上させることができる。
また、抽選部104は、可変入賞装置32を特定遊技状態に移行するか否かを抽選するための乱数を発生させる乱数発生部105と、第1の始動口33に遊技球が入球したことに基づいて、乱数発生部105で発生させた乱数のうちの一の乱数を記憶する乱数記憶部106と、乱数記憶部106に記憶された乱数に基づいて可変入賞装置32を特定遊技状態に移行するか否かを決定する決定部107と、を備えているので、抽選部104は、第1の始動口33に遊技球が入球したことに基づいて、特定遊技状態に移行するか否かを抽選することを好適に実現できる。
また、戻り球排出口62よりも上部の誘導通路60に配設され、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bが誘導通路60の出力端から遊技領域31に進入しないように誘導通路60の出力側を閉鎖する閉鎖状態と、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bが誘導通路60の出力端から遊技領域31に進入できる状態である開放状態とに可変する可動板61を備え、可動板61を閉鎖状態または開放状態のいずれにするのかを制御する可動部材制御部64を備えているので、可動部材制御部64により、可動板61を閉鎖状態と開放状態とにすることができる。つまり、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bのうち、誘導通路60の出力端から遊技領域31に進入する強さで発射された遊技球Bは、誘導通路60内を閉鎖する閉鎖状態において、誘導通路60途中の戻り球排出口62から遊技領域31に進入する場合と、誘導通路60内を開放する開放状態において、誘導通路60の出力端から遊技領域31に進入する場合とがあり、それぞれ遊技領域31に到達する場所が異なり、さらに遊技領域31で遊技球Bが流下する経路が異なり、この異なる経路による遊技球Bの打ち込みを楽しむことができる。その結果、興趣性を向上させることができる。
また、遊技者により操作可能な押しボタンスイッチ17を備え、可動部材制御部64は、押しボタンスイッチ17での操作に基づいて、可動板61を閉鎖状態と開放状態とに駆動する制御を行うので、遊技者が押しボタンスイッチ17を操作することで、可動板61を閉鎖状態と開放状態とに駆動させることができる。つまり、遊技者は遊技の状態などを考慮し、押しボタンスイッチ17の操作を行うことで、可動板61を閉鎖状態または開放状態に駆動させ、遊技者にとってより有利な遊技状態を得ることができ、積極的に遊技に参加することができる。その結果、遊技の興趣性を向上させることができる。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例について、可変入賞装置32に遊技球Bが入球可能な状態である場合に、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bが、誘導通路60の出力端から戻り球排出口62までの間に到達するように遊技球発射装置40を制御する発射強度制御部41を備えるようにしてもよい。
具体的に図7を用いて説明する。図7は、発射強度制御部41を備えた構成のブロック図である。図7に示すように主制御装置100は、発射強度制御部41を備えている。この発射強度制御部41は、主制御装置100の抽選部104での抽選結果が特定遊技状態(大当たり状態)であることに基づいて、遊技球発射装置40の制御を行い、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bが、誘導通路60の出力端から戻り球排出口62までの間に到達するような構成となっている。
さらに、詳細には、発射強度制御部41は、抽選部104での抽選結果が特定遊技状態(大当たり状態)であることに基づいて、遊技球発射装置40のアクチュエータ42に、遊技球発射装置40から発射された遊技球Bが、誘導通路60の出力端から戻り球排出口62までの間に到達するような強度でハンマ44を駆動するように制御を行う。また、発射強度制御部41は、遊技者による遊技球発射ハンドル16の回転操作による回転操作量を示す信号をアクチュエータ42に出力することを停止するように制御する。
したがって、抽選部104での抽選結果が、可変入賞装置32に遊技球Bが入球可能な状態(大当たり状態)である場合に、遊技者が遊技球発射ハンドル16の回転操作を行うことで、強制的に遊技球発射装置40から発射された遊技球Bが、誘導通路60の出力端から戻り球排出口62までの間に到達することになり、遊技球発射装置40から発射したすべて遊技球Bを戻り球排出口62から排出させることができ、可変入賞装置32に多くの遊技球Bを入球可能となる。つまり、遊技者は多くの賞球を得ることができ、遊技を面白く感じることができる。その結果、興趣性を向上させることができる。なお、上述した発射強度制御部41は、本発明における発射強度制御手段に相当する。
(2)上述した実施例では、誘導板70,誘導釘71は、戻り球排出口62から排出された遊技球Bを可変入賞装置32の方へ誘導するものであったが、遊技盤30の所定の領域には、遊技球Bを入球または通過させる第1の始動口33が備えられ、第1の始動口33に遊技球Bが入球または通過したことに基づいて、遊技者にとって有利な特定遊技状態の発生の有無を抽選する抽選部104を備え、誘導板70,誘導釘71は、戻り球排出口62から排出された遊技球Bを第1の始動口33の方へ誘導するものであるようにしてもよい。したがって、誘導板70,誘導釘71により、第1の始動口33の方に誘導されることが多くなる。つまり、特定遊技状態の場合に戻り球排出口62から遊技球Bを排出させると第1の始動口33に入球することが多くなり、遊技者は多くの賞球を得ることができる。その結果、遊技の興趣性を向上させることができる。
(3)上述した実施例では、誘導板70,誘導釘71は、戻り球排出口62から排出された遊技球Bを可変入賞装置32の方へまたは第1の始動口33に誘導するものであったが、誘導板70,誘導釘71は、戻り球排出口62から排出された遊技球Bを、遊技領域31の中央下部に備えられた、遊技領域31を流下した遊技球を最終的に遊技領域31から排出するためのアウト口36(図1,図2に示す)の方に誘導されるものであってもよい。
(4)上述した実施例では、遊技者が押しボタンスイッチ17を操作することで、可動部材制御部64により、可動板61を閉鎖状態と開放状態とに制御するようにしていたが、可動部材制御部64は、可変入賞装置32に遊技球Bを入球可能な状態である場合に、押しボタンスイッチ17での操作を無効にし、可動板61を閉鎖状態にする制御を行うようにしてもよい。したがって、可変入賞装置32に遊技球Bを入球可能な状態とする場合に、遊技球発射装置40から発射したすべて遊技球Bを戻り球排出口62から排出させることができ、可変入賞装置32に多くの遊技球Bを入球可能となる。つまり、遊技者は多くの賞球を得ることができ、遊技を面白く感じることができる。その結果、興趣性を向上させることができる。
(5)上述した実施例では、遊技球誘導手段としての誘導板70,誘導釘71は、遊技盤30の遊技領域31に配設されていたが、遊技球誘導手段を、遊技盤30の遊技領域31とは異なる場所に配設され、遊技球Bが通過可能な通路部材であるようにしてもよい。
具体的には、通路部材は、遊技盤30の裏側に配設された筒状体であり、この筒状体は、全体が透明であり、筒状体の中を遊技球が通過可能となっている。また、通路部材の正面側に透明な視認窓を備え、遊技盤30の正面側から視認窓を介して通路部材を通過する遊技球Bの挙動を見ることができる構成となっている。
さらに、詳細には、通路部材は、戻り球排出口62から排出された直後の遊技球Bが到達する遊技領域31に、遊技球を入球させるための入力口を有し、また入力口から入力された遊技球Bを出力する出力口を可変入賞装置32の大入賞口に入球可能な遊技領域31に配設されている。
戻り球排出口62から排出された遊技球Bは、遊技盤30の裏面側に配設された筒状体の入力口から入力し、可変入賞装置32の大入賞口に入球可能な遊技領域31に配設された出力口から出力されるので、遊技盤30を流下する遊技球Bに影響されることなく所定の遊技領域31(可変入賞装置32の大入賞口に入球可能な遊技領域31)へ誘導可能とすることができる。つまり、戻り球排出口62から排出された遊技球Bは、可変入賞装置32の大入賞口に入球可能な遊技領域31へ誘導されることがより多くなる。その結果、遊技者は遊技を面白く感じることができ、興趣性を向上させることができ、遊技者は通路部材を通過する遊技球Bの挙動を、視認部を介して見ることができ、遊技を面白く感じることができる。
なお、通路部材を遊技盤30の裏面側に配設するようにしたが、遊技盤30の表面側と裏面側との間、つまり、遊技盤30自体に配設するようにしてもよい。また、この通路部材はその少なくとも正面側が透明あるいは半透明とし、通路部材の正面側に半透明な視認窓を備えているようにしてもよい。また、通路部材は、筒状体以外の遊技球Bが通過可能な通路部材、例えばコイル状の通路などであってもよい。また、通路部材の出力口を可変入賞装置32の大入賞口に入球可能な遊技領域31以外の所定の遊技領域31に配設するようにしてもよい。
(6)上述した実施例では、特定遊技状態を大当たり状態としているが、大当たり状態以外の遊技者にとって有利な状態である特定遊技状態(例えば、小当たり状態)としてもよい。
(7)上述した実施例では、図6に示すように、遊技盤30にある可動板61の先端側(誘導通路60の出力端側)が内レール51側から外レール52側に移動することで、可動板61の開放状態から閉鎖状態に状態を変化させるようにしていたが、可動板61を誘導通路60の戻り球排出口62から誘導通路60の出力端側までの遊技盤面に存在させるか否かにより、開放状態と閉鎖状態との状態を変えるようにしてもよい。
詳細には、誘導通路60の出力端に位置する場所に、遊技盤30の表側(遊技領域側)と裏側との間を可動板61が移動可能な孔を遊技盤30に設け、さらに、可動板61は可動部材駆動部65としてのソレノイドに接続され、可動部材制御部64からの制御により、誘導通路60の入力端側からの遊技球Bを誘導通路60の出力端側から遊技領域31に出力させないように、この孔から可動板61が遊技盤30の表側に移動した状態を閉鎖状態とする。また、誘導通路60の入力端側からの遊技球Bを誘導通路60の出力端側から遊技領域31に出力させるように、この孔から可動板61が遊技盤30の裏側に移動した状態(遊技盤面から出ていない状態)を開放状態とする。
なお、可動板61は、誘導通路60を構成する内レール51と外レール52との中間点を頂点とする誘導通路60の出力端側に向かって凸状となる緩やかに湾曲した形状となっており、遊技球Bをスムーズに跳ね返えさせることができるようになっている。