JP4711648B2 - 多面体炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

多面体炭酸カルシウムの製造方法 Download PDF

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本発明は、多面体炭酸カルシウム製造方法に関し、更に詳しくは、大粒子径で、粒子の均一性、分散性に優れるとともに、平滑な粒子表面を有する多面体炭酸カルシウムの製造方法に関するものである。
炭酸カルシウムは一般に重質炭酸カルシウムと沈降製炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)の二種に大別される。重質炭酸カルシウムは、石灰石を機械的に粉砕し、該粉砕物を分級することにより、各種グレードに類別し、調製される炭酸カルシウムであり、比較的安価に製造できる特徴を有している。一方、合成炭酸カルシウムの工業的製法としては、炭酸ガス法が広く採用されている。この炭酸ガス法とは、天然に産する石灰石を焼成することにより生石灰(酸化カルシウム)と炭酸ガスを分離させ、この生石灰に水と反応させて石灰乳(水酸化カルシウムの水懸濁液)を得、この石灰乳に分離した炭酸ガスを再度、導通させ反応することにより炭酸カルシウムを得る方法である。
前者の重質炭酸カルシウムは、比較的大粒径のものが得られるが、機械的な粉砕法であるため、平滑性のある粒子面を得ることはできない。一方、後者の沈降製炭酸カルシウムは、合成法のため、表面の平滑性等は優れているが、微粒子化を目的とした製法であるためミクロンオーダー以上の大粒子径を製造することは困難である。
かかる状況下において、反応緩衝剤を含有せしめた条件下で、炭酸塩溶液とカルシウム塩溶液を混合し、特定の添加剤を添加し、水洗することにより、粒子の分散性、均一性、面の平滑性などが良好な立方体炭酸カルシウムの製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、炭酸塩溶液とカルシウム塩溶液とを混合し、特定の条件下で混合し、炭酸化を行った後、水洗することにより、粒子の分散性、均一性が良好で、白色度、熱安定性が高く、粒子径の制御が可能な立方体炭酸カルシウムの製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平7−196316号公報 特開平10−130020号公報
しかしながら、上記製法で得られる立方体炭酸カルシウムは、前記した特徴から、合成フィルム用ブロッキング防止剤、熱可塑性樹脂用光拡散剤、電子材料用研磨剤、医薬用担体等に有用であるが、製造できる粒子径範囲がサブミクロン〜数十ミクロンまでであり、数十ミクロン以上の大粒子の製造には課題を有していた。そのため、数十ミクロン以上の大粒径で粒子の分散性、均一性、面の平滑性を要求する用途への炭酸カルシウムが熱望されていた。
本発明の目的は、光学用散乱剤、スペーサー、触媒担体、医薬用担体、農薬担体、微生物担体、生体担体等の各種担体、ガラス用研磨剤、歯科用歯磨剤、電子材料用研磨剤等の各種研磨剤、高純度単結晶用途等の高度な技術分野において、大粒子径で、粒子の均一性、分散性に優れるとともに粒子表面が平滑な多面体を有する炭酸カルシウムを効率的かつ安価に得るための製造方法を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の請求項1は、(A)水溶性炭酸化合物及び(B)水溶性カルシウム化合物を親水性溶媒中で混合し、99℃以上で加熱合成することを特徴とする多面体炭酸カルシウムの製造方法を内容とする。
本発明の請求項2は、100〜180℃で加熱合成することを特徴とする請求項1記載の多面体炭酸カルシウムの製造方法を内容とする。
本発明の請求項3は、(A)水溶性炭酸化合物が一酸化炭素化合物である請求項1又は2記載の多面体炭酸カルシウムの製造方法を内容とする。
本発明の請求項4は、(A)水溶性炭酸化合物が尿素又はビウレットである請求項1〜3のいずれか1項に記載の多面体炭酸カルシウムの製造方法を内容とする。
本発明の請求項は、加熱合成後の粒子の平均粒子径が、30〜3000μmの大粒子径であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多面体炭酸カルシウムの製造方法を内容とする。
平均粒子径:レーザー回折式粒度分布計(マイクロトラック社製:FRA)における粒度 分布において、大きな粒子側から起算した重量累計50重量%のときの粒子 径(μm)。
本発明の請求項は、加熱合成後の粒子が、下記の式(x)、(y)を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の多面体炭酸カルシウムの製造方法を内容とする。
(x)α≦3
(y)β≦5(%)
但し、
α :粒子の均一分散性を示し、{α=(d90−d10)/平均粒子径}で表される 。
d90:レーザー回折式粒度分布計(マイクロトラック社製:FRA)における粒度分布 において、大きな粒子側から起算した重量累計90重量%のときの粒子径(μm )。
d10:レーザー回折式粒度分布計(マイクロトラック社製:FRA)における粒度分布 において、大きな粒子側から起算した重量累計10重量%のときの粒子径(μm )。
β :レーザー回折式粒度分布計(マイクロトラック社製:FRA)における20μm 以下の微粉量。
本発明の方法により得られる多面体炭酸カルシウムは、大粒子径であり、均一性、分散性に優れ、また平滑な粒子表面であるため、光学的な光散乱性が高く、更に単結晶であるため結晶安定性が高く、研磨剤用途や医薬用担体、高純度用途などに利用可能である。
本発明に使用する(A)の水溶性炭酸化合物としては特に限定されないが、金属炭酸塩を使用すると、炭酸化後に金属塩の除去が必要であることから、好ましくは非金属系の炭酸塩が好ましい。また、常温において水溶性カルシウム塩との反応性が低い炭酸塩の方が大粒子が得られやすく、例えば、尿素系、シュウ素系、ビウレット系等の一酸化炭素化合物が好適である。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
本発明に使用する(B)の水溶性カルシウム化合物としては特に限定されないが、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、シュウ酸カルシウム、臭化カルシウム等が例示できる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
上記(A)の水溶性炭酸化合物と(B)の水溶性カルシウム化合物を親水性溶媒中で混合し、80℃以上で加熱合成することにより、本発明の多面体炭酸カルシウムが得られる。
本発明の製造方法の好ましい条件は下記の通りである。
(反応条件)
〔1〕炭酸カルシウム濃度:0.5〜20(重量%)
〔2〕親水性溶媒 :水もしくは親水性有機溶媒
〔3〕加熱合成温度 :99〜180(℃)
〔4〕撹拌羽根周速 :0.01〜10(m/s)
〔5〕加熱合成時間 :1〜240(時間)
本発明の好ましい製造方法を具体的に説明する。
〔1〕(A)の水溶性炭酸化合物及び(B)の水溶性カルシウム化合物のモル比は、理論生成量から大きく偏らない程度で反応を行う方が生産性の面で適当である。また、〔1〕の炭酸カルシウム濃度として、通常0.5〜20重量%が適当である。
〔2〕の親水性溶媒に関して、通常水で十分であるが、親水性有機溶媒として、エタノール、メタノール等の低級アルコールを水に混合させると、炭酸カルシウム微粒子の生成が制御されやすく、本発明の目的とする均一な大粒子径を得るのに効果的である。
〔3〕の加熱合成温度は、通常99℃以上、好ましくは、99〜180℃である。炭酸カルシウムのカルサイト化を促進させることが目的である。炭酸カルシウは、反応温度が50℃以上の場合、一般的に針状や紡錘状粒子が得られやすい。一方、180℃(1MPa)を超えると、耐圧性の反応装置が必要になるなど生産コストに負荷がかかりやすいだけでなく、本発明の目的とする粒子径より小さくなりやすい。従って、より好ましくは100℃〜170℃、更に好ましくは120℃〜160℃である。尚、加熱合成温度は、上記した温度範囲なら特に温度を固定する必要はなく、加熱合成中、温度を適宜上下させても差し支えない。
〔4〕の撹拌羽根周速は特に限定されないが、加熱温度斑等を防止するためにも一定の撹拌力で撹拌することが好ましい。一定以上の撹拌力とは、反応懸濁液系全体が均一に撹拌できる程度の撹拌力で、撹拌の機構としては、パドル、タービン、プロペラ、高速インペラ、ホモミキサー等の攪拌機が例示でき、撹拌羽根周速は、通常0.01〜10m/sである。0.01m/s未満の場合、反応懸濁液を均一に混合撹拌し難く、一方、10m/sを越えると、反応装置を大型化するのに支障をきたしやすい。
〔5〕の加熱合成時間は、温度によっても異なるため一概に規定されないが、通常1〜240時間である。1時間未満の場合は、加熱による合成が完結されない可能性があり、また、歩留だけでなく粒子径及び形態において本発明の目的とする多面体粒子が得られない場合がある。一方、240時間を超えると、生産性が低下しコスト高になるため、加熱温度を高温側にして240時間を超えないようにする方が好ましい。
上記の方法により、多面体炭酸カルシウムが得られる。多面体粒子の面数は、各用途により異なるため特に限定されるものでないが、通常、4〜12の面数であると、面を有効利用しやすいので好ましい。12面を超えると球状に近づくため、面の有効性が低下する傾向があり、一方、4面未満では多面体の効果が不十分となる傾向がある。従って、立方形や菱面形を有するカルサイト型炭酸カルシウムが好適である。
本発明の方法で製造される多面体炭酸カルシウムの平均粒子径は、特に限定されないが、上記した分野での使用に好適な平均粒子径としては、通常、30〜3000μmの範囲である。3000μmを超えた粒子の作製も可能であるが、粒子の分布幅は広くなりやすく、天然炭酸カルシウムを分級したもとの差が少なくなり、高度な技術分野には利用出来ない場合がある。従って、より好ましくは50〜1000μm、更に好ましくは80〜500μmの範囲である。
本発明の方法で得られる多面体炭酸カルシウムは、本発明の目的とする物性を備え、本発明の目的とする用途において一層適合させるためには、下記の式(x)、(y)を満足することが好ましい。
(x)α≦3
(y)β≦5(%)
但し、
α :粒子の均一分散性を示し、{α=(d90−d10)/平均粒子径}で表される 。
d90:レーザー回折式粒度分布計(マイクロトラック社製:FRA)における粒度分布 において、大きな粒子側から起算した重量累計90重量%のときの粒子径(μm )。
d10:レーザー回折式粒度分布計(マイクロトラック社製:FRA)における粒度分布 において、大きな粒子側から起算した重量累計10重量%のときの粒子径(μm )。
β :レーザー回折式粒度分布計(マイクロトラック社製:FRA)における20μm 以下の微粉量。
上記(x)、(y)を満足する多面体炭酸カルシウムは、上記好ましい条件を満足する製造方法により得ることができる。
本発明の方法で得られる多面体炭酸カルシウムは、粒子の分散性や安定性を高めるため、表面処理剤で表面処理(被覆)することが可能である。
表面処理量に関しては、BET比表面積によって左右されるため、一概に規定されないが、通常0.01〜10重量%である。表面処理量が0.01重量%未満の場合、乾燥・粉末化の際、未処理面同士で2次凝集を形成するため分散不良の原因となりやすい。一方、10重量%を超えると、表面処理剤過多による表面処理剤の遊離が起きやすい。
使用できる表面処理剤としては、特に限定されないが、通常、水溶性界面活性剤や水溶性安定化剤、表面改質剤が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ組み合わせて用いられる。
水溶性界面活性剤としては、例えば、マレイン酸−オレフィン(炭素数が4〜8)共重合体の塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム等)、マレイン酸−スチレン共重合体の塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム等)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等の重合物(オリゴマー);ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリ縮合物、メラミンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物等の重縮合物;リグニンスルホン酸ナトリウム等の天然物(誘導体);ポリアクリル酸の塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム等)、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム等)等のカルボン酸系重合物;トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等の縮合系無機物;その他、上記以外の一般的なアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル、(HLBが8以上の)ショ糖脂肪酸エステル等で表される非イオン性活性剤等が例示できる。
また、水溶性安定化剤としては、加工澱粉、CMC、HEC、MC、HPC、ゼラチン、プルラン、アルギン酸、グアーガム、ローカストガム、キサンタンガム、ペクチン、カラギーナン、アラビアガム、ガディガム等の天然系・半合成水溶性高分子系;ポリビニルアルコール、アクリル酸系ポリマー、エチレンイミン系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー等の合成系水溶性高分子等が例示できる。
表面改質剤としては、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤、ナフテン酸に代表される脂環族カルボン酸、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸に代表される樹脂酸及びこれらの不均化ロジン、水添ロジン、2量体ロジン、3量体ロジンに代表される変成ロジン、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸に代表される飽和脂肪酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リシノール酸に代表される不飽和脂肪酸、繊維素化合物、シロキサン化合物等が例示できる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
実施例1
1000Lの水溶媒が仕込まれた反応タンクに、1500モルの尿素と1500モルの硝酸カルシウムを添加撹拌し水溶液を調製した。次いで撹拌羽根周速1.5m/s、加熱合成温度150℃の条件下で24時間加熱合成した。尚、終了後のpHは7.5、炭酸カルシウム濃度は11.5重量%であった。
以上のようにして調製された炭酸カルシウム水懸濁液を遠心脱水機を用いて脱水水洗したところ、電気伝導度150μS/cmで平行に達したため水洗を終了し、固形分濃度80重量%まで濃縮し、箱形乾燥機(105℃)にて24時間乾燥し、平均粒子径75μmの多面体炭酸カルシウム粉体を調製した。
表1に得られた粉体の各物性と調製条件を記載する。また、図1にSEM写真(100倍)を示す。
実施例2
1000Lの水溶媒が仕込まれた反応タンクに、500モルの尿素と500モルの塩化カルシウムを添加撹拌し水溶液を調製した。次いで撹拌羽根周速0.5m/s、加熱合成温度150℃の条件下で24時間加熱合成した。尚、終了後のpHは7.4、炭酸カルシウム濃度は4.4重量%であった。以上のようにして調製された炭酸カルシウム水懸濁液を遠心脱水機を用いて脱水水洗したところ、電気伝導度150μS/cmで平行に達したため水洗を終了し、固形分濃度80重量%まで濃縮し、箱形乾燥機(105℃)にて24時間乾燥し、平均粒子径180μmの多面体炭酸カルシウム粉体を調製した。
表1に得られた粉体の各物性と調製条件を記載する。また、図2にSEM写真(100倍)を示す。
実施例3
1000Lの水溶媒が仕込まれた反応タンクに、50モルのビウレットと50モルの塩化カルシウムを添加撹拌し水溶液を調製した。次いで撹拌羽根周速0.5m/s、加熱合成温度99℃の条件下で100時間加熱合成した。尚、終了後のpHは7.3、炭酸カルシウム濃度は0.5重量%であった。以上のようにして調製された炭酸カルシウム水懸濁液を遠心脱水機を用いて脱水水洗したところ、電気伝導度150μS/cmで平行に達したため水洗を終了し、固形分濃度80重量%まで濃縮し、箱形乾燥機(105℃)にて24時間乾燥し、平均粒子径500μmの多面体炭酸カルシウム粉体を調製した。
表1に得られた粉体の各物性と調製条件を記載する。
比較例1
加熱合成温度を60℃に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、平均粒子径30μmの棒状炭酸カルシウム粉体を調製した。
表1に得られた粉体の各物性と調製条件を記載する。また、図3にSEM写真(100倍)を示す。
比較例2
液温20℃の水酸化カルシウム濃度0.53モル/Kに懸濁した400Lを、液温20℃、撹拌羽根周速2m/s、(ピュア)炭酸ガス流量240L/分の条件下で炭酸化反応をpH8になるまで行ったところ、25分後に反応が終了した。尚、終了時の懸濁液濃度は38℃で、炭酸カルシウム濃度は5.2重量%であった。得られた炭酸カルシウム懸濁液をろ過・乾燥・粉砕し炭酸カルシウム粉体を得た。この合成炭酸カルシウムの平均粒子径は電子顕微鏡で調べたところ、0.04μmであった。該炭酸カルシウム粉体を混合造粒機(SEG200、(株)セイシン社製)に添加し、1500回転で撹拌しながら水を120gを徐々に添加し5分間撹拌を行い造粒した後120℃で12時間乾燥し、平均粒子径250μmの球状造粒炭酸カルシウム粉体を調製した。
表1に得られた粉体の各物性と調製条件を記載する。
応用実施例1
実施例1で調製した粉体を用い、オピオイド鎮痛剤として一般的な塩酸モルヒネを選び、下記組成に基づき鎮痛用経鼻剤を調製した。
尚、参考例として、塩酸モルヒネ2.0mgをカプセルに封入したものを用いた。
下記の方法でキャリア性の評価を行い、その結果を表2に示す。
「配合」
塩酸モルヒネ(三共社製) 2.0mg
試料(実施例1) 47.5mg
プラネタリーミキサーにて5分間複合した後、減圧乾燥にて粉末化した後、
滑沢剤としてステアリン酸カルシウムを0.5mg添加し経鼻剤を調製した。
<キャリア性評価>
雄性アカゲザル(体重3.35〜4.05kg)を1群3匹を用い、上記組成物50mgを経鼻投与し、投与後0〜240分後に採血し、血漿中のモルヒネ量を、液体クロマトグラフィー質量分析システム(LC−MS/MS)法より測定した。
表2の結果から明らかなように、本発明の製造方法で得られた多面体炭酸カルシウムをキャリアとして用いた鎮痛用経鼻剤は、微粉が少ないため肺への吸入性が低いことはもちろんのこと、速やかな吸収性と持続性が得られることが確認できた。
応用実施例2
実施例2、比較例2で調製した粉体を下記組成に基づきミキサーにて複合した後、歯磨組成物を調製した。下記の方法でブラッシング評価を行い、その結果を表3に示す。
(配合)
各試料(実施例2、比較例2) 20重量部
研磨剤無配合練り歯磨剤 100重量部
<ブラッシング評価>
(1)粒子の安定性
上記歯磨組成物をシャーレに取り出し、水を添加し50重量%溶液を作製した。歯ブラシを用いて荷重700gで30秒間ブラッシングを行い、ブラッシング後の歯磨組成物中の粒子の粒度を測定した。さらに、荷重700gで150秒間ブラッシングを行った後の歯磨組成物中の粒子の粒度を測定した。測定結果を表3に示す。
(2)食物滓・歯垢除去感、ツルツル感
上記歯磨組成物を男女50名の健常者をパネラーとして選定し、下記に示すようブラッシング直後のザラツキ感を伴う食物滓・歯垢除去感と、ブラッシングを続けるにつれて歯表面のツルツル感に関して調べ、4段階判定の平均値で示した。結果を表3に示す。
(食物滓・歯垢除去感)
4:歯と歯の隙間にある食物滓や歯垢の除去感が強く感じられる。
3:歯と歯の隙間にある食物滓や歯垢の除去感が感じられる。
2:歯と歯の隙間にある食物滓や歯垢の除去感が多少感じられる。
1:歯と歯の隙間にある植物滓や歯垢の除去感が感じられない。
(ツルツル感)
4:ブラッシング前と比べ、非常にツルツルしており後味が良い。
3:ブラッシング前と比べ、ツルツル感があり後味も悪くない。
2:ブラッシング前と比べ、ツルツル感は感じられないが後味は悪くない。
1:ブラッシング前と比べ、ツルツル感は感じられず後味も悪い。
表3の結果から明らかなように、本発明の方法で得られる多面体炭酸カルシウムは、食物滓や歯垢などの汚れ掻き取除去効果に優れるだけでなく、ブラッシングを繰り返すことにより、粒子表面の凹凸粒子が細部の汚れを隈無く除去すると同時に、歯の表面のツルツル感も発現できる優れた歯磨作用を発揮することが確認できた。
叙上のとおり、本発明の方法によれば、大粒子径で、粒子の均一性、分散性に優れるとともに、平滑な粒子表面を有する多面体炭酸カルシウムを提供することができる。
実施例1で得られた粒子のSEM写真である。 実施例2で得られた粒子のSEM写真である。 比較例1で得られた粒子のSEM写真である。

Claims (6)

  1. (A)水溶性炭酸化合物及び(B)水溶性カルシウム化合物を親水性溶媒中で混合し、99℃以上で加熱合成することを特徴とする多面体炭酸カルシウムの製造方法。
  2. 100〜180℃で加熱合成することを特徴とする請求項1記載の多面体炭酸カルシウムの製造方法。
  3. (A)水溶性炭酸化合物が一酸化炭素化合物である請求項1又は2記載の多面体炭酸カルシウムの製造方法。
  4. (A)水溶性炭酸化合物が尿素又はビウレットである請求項1〜3のいずれか1項に記載の多面体炭酸カルシウムの製造方法。
  5. 加熱合成後の粒子の平均粒子径が、30〜3000μmの大粒子径であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多面体炭酸カルシウムの製造方法。
    平均粒子径:レーザー回折式粒度分布計(マイクロトラック社製:FRA)における粒度 分布において、大きな粒子側から起算した重量累計50重量%のときの粒子 径(μm)。
  6. 加熱合成後の粒子が、下記の式(x)、(y)を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の多面体炭酸カルシウムの製造方法。
    (x)α≦3
    (y)β≦5(%)
    但し、
    α :粒子の均一分散性を示し、{α=(d90−d10)/平均粒子径}で表される 。
    d90:レーザー回折式粒度分布計(マイクロトラック社製:FRA)における粒度分布 において、大きな粒子側から起算した重量累計90重量%のときの粒子径(μm )。
    d10:レーザー回折式粒度分布計(マイクロトラック社製:FRA)における粒度分布 において、大きな粒子側から起算した重量累計10重量%のときの粒子径(μm )。
    β :レーザー回折式粒度分布計(マイクロトラック社製:FRA)における20μm 以下の微粉量。
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