JP4441252B2 - 凹凸状表面を有する炭酸カルシウム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は新規な、凹凸状表面を有する炭酸カルシウム及びその製造方法に関する。更に詳しくは、粒子表面がキューブ状粒子で形成される凹凸状であり、粒子の均一性や分散性が良好で、熱安定性、経時安定性にも優れた炭酸カルシウム及びその製造方法に関する。
本発明の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムは、触媒担体、医薬担体、農薬担体、微生物担体、抗菌剤、生体担体等の各種担体、吸着剤、除法剤、光拡散剤、食品添加剤、歯磨用剤、研磨材等に有用である。また、上記各種の用途を複合させることにより、更に新規な用途展開も期待される。
従来より、各種担体、吸着剤、歯科用研磨剤などの多孔質用途に使用されている粒子としては、粒子を造粒化して使用する場合や凝集化して使用する場合が多い。前者の造粒化の方法としては、水や結合剤(有機物や無機物)をバインダーとして混合造粒する方法や、粒子をスプレードライで造粒する方法など、化学反応を伴わない物理的吸着で製造する場合が一般的である(例えば、特許文献1、2参照)。また、後者の凝集化する方法としては、段数添加反応による化学的反応により凝集化する方法等が挙げられ、両者共、主な用途は物質を吸着する目的で使用される場合が多い(例えば、特許文献3参照)。
特開平2002−160918号公報 特開平6−321535号公報 特開平7−197398号公報
しかしながら、これらの方法では、粒子の強度安定性はもちろんのこと、均一性や分散性及び粒径制御の面で満足する物は得られ難く、その上、製造工程や整粒工程が複雑で、コスト高になる等の問題を抱えている。また、前記した製法は、有機物やアルカリが残存している場合が多く、例えば合成樹脂に添加する場合、樹脂が劣化しやすいなど熱安定性の面でも課題が多いとされている。従って、従来法で得られた粒子をそのまま高度な担体分野や研磨剤分野等に使用するには、思うような整粒設計ができないのが現状であった。
本発明は上記実情に鑑み、従来の造粒体や凝集体では成し得なかった、粒子径の制御が容易で、粒子の安定性や均一性及び分散性に優れ、且つ熱安定性に優れた高度な技術分野に有用な炭酸カルシウムを提供するものである。
本発明者らは、前記した課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来法の物理的造粒法や化学的凝集法とは異なる化学的製法により炭酸カルシウム粒子表面を凹凸状に形成させるとともに特定の粒度特性等を有するものが、上記課題を解決することを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1に係る請求項1は、キューブ状粒子で形成される凹凸状表面を有する粒子であって、下記の式(a)〜(d)を満足することを特徴とする凹凸状表面を有する炭酸カルシウムを内容とする。
(a) 0.5≦Dx1≦1000 (μm)
(b) 0.5≦Dxs1/Dx1≦1
(c) 0≦α≦2
(d) 0≦Tg≦2 (重量%)
但し、
Dx1 :レーザー回折式(マイクロトラックFRA)における粒度分布において、大き な粒子側から起算した重量累計50重量%平均直径(μm )
Dxs1:超音波分散後のレーザー回折式(マイクロトラックFRA)における粒度分布 において、大きな粒子側から起算した重量累計50重量%平均直径(μm )
α :凹凸状表面を有する粒子の均一性を示し、α=(d90−d10)/Dx1で 表される
d90 :レーザー回折式(マイクロトラックFRA)における粒度分布において、大き な粒子側から起算した重量累計90重量%平均直径(μm )
d10 :レーザー回折式(マイクロトラックFRA)における粒度分布において、大き な粒子側から起算した重量累計10重量%平均直径(μm )
Tg :500℃までの熱減量率。
本発明の第2に係る請求項2は、更に、下記の式(e)〜(g)を満足することを特徴とする請求項1記載の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムを内容とする。
(e) 1≦β≦3
(f) 2≦Dx2/Dx3≦100
(g) 2≦Sw1/Sw2≦100
但し、
β :凹凸状表面を有する粒子の分散性を示し、β=Dx1/Dx2で表される
Dx2 :電子顕微鏡(SEM)で観察した、凹凸状表面を有する粒子の平均直径(μm )
Dx3 :電子顕微鏡(SEM)で観察した、凹凸状表面を有する粒子を形成している一 次粒子の平均直径(μm )
Sw1 :凹凸状表面を有する粒子の窒素吸着法によるBET比表面積値(m2/g )
Sw2 :球換算における理論比表面積値(m2/g)
球換算における理論比表面積値(Sw2)は、下記の計算式から算出される:
(1/w)/4π(d50/2)3 /3×4π(d50/2)2 =6/w・D x1=2.22/Dx1
但し、w:炭酸カルシウム比重(=2.7)。
本発明の第3に係る請求項3は、炭酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液を温度4〜50℃、攪拌羽根周速0.5〜15m/sで3〜1000分反応させ、次いで、温度30〜80℃、攪拌羽根周速0.5〜5m/sで5〜600分熟成することを特徴とする凹凸状表面を有する炭酸カルシウムの製造方法を内容とする。
本発明の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムは、粒子の分散性、熱安定性が良好で、また粒子径が幅広く制御可能で、広範且つ高度な技術分野において有用である。また、本発明の製造方法によれば、従来の物理的造粒や化学的凝集法とは全く異なった化学反応の方法で凹凸状表面を有する炭酸カルシウムを容易に製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の新規な凹凸状表面を有する炭酸カルシウム粒子は、化学的反応による合成法で、多数のキューブ状(方形状)粒子で形成される凹凸状表面を有する粒子であって、粒子表面全体にキューブ状の角張った粒子が浮き出て形成された物である。従って、例えば本発明の凹凸状表面を有する粒子は、超音波を使用して粒度(Dxs1)を測定しても、超音波を使用しないで粒度(Dx1)を測定しても、ほとんど径が変わらないのが特徴であり、従来の造粒装置を用いて吸着形成させた造粒物や化学反応により凝集化した凝集粒子とは区別される。化学反応により粒子表面を凹凸状に形成することで、従来の造粒物及び凝集粒子の機能を持たせながら、粒子の粒子径を任意に制御することができ、粒子の均一性や分散性に優れたものが得られる。また、粒子表面が凹凸状に形成しているキューブ状粒子の径も任意に制御することが可能である。
(a)式は、本発明の凹凸状表面を有する粒子を粒度分布測定装置で算出した平均直径(Dx1)であり、0.5〜1000μmであることが必要である。凹凸状表面を有する粒子が0.5μm未満の場合、粒子表面の凹凸状が形成ができず粒子自体が一つのキューブ状粒子になってしまう。1000μmを越えると、キューブ状粒子が大小バラバラになり、各種担体や研磨用途に適用する場合に悪影響を及ぼすことがある。従って、好ましくは1〜500μm、より好ましくは3〜250μm である。
尚、(a)式で算出する粒度分布測定条件は下記に示す。
下記の如く炭酸カルシウム試料と水を140mlマヨネーズ瓶に秤量したものをレーザー回折式粒度分布計(FRA:マイクトロラック社製)により測定を行う。
(粒度測定用懸濁液の配合)
(I)凹凸状表面を有する炭酸カルシウム 5g
(II)水 50g
(b)式は、前記した配合で懸濁化した液を超音波分散機にて予備分散させてから粒度分布測定装置で算出した平均径(Dxs1)を(Dx1)で除した数値が、0.5〜1であることが必要がある。0.5未満である場合、凹凸状表面を有する粒子が解砕されやすい粒子であり、従来の凝集体に近くなる。
尚、予備分散として用いる超音波分散は、一定条件で行う方が好ましく本発明で用いる超音波分散機としては、US−300T(日本精機製作所社製)を用い、電流値300μAの下、60秒間の一定条件で予備分散させる。
(c)式は、凹凸状表面を有する粒子の均一性を示し、0〜2であることが必要である。凹凸状表面を有する粒子の分散性が2を越える程不均一であると、例えば、歯磨剤として使用した場合、歯石や食物滓を取り除く効果が低下しやすい。従って、好ましくは0〜1.5、より好ましくは0〜1である。
(d)式は、凹凸状表面を有する粒子の熱安定性を意味し、熱天秤(TG−8110型、理学社製)での500℃までの重量減量が、2重量%以下であることが必要である。理由は、前記した通り、医薬品規格(日本薬局方)の適合や樹脂の添加した際の黄変劣化抑制に必要なファクターである。従って、より好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
熱減量率(Tg)は、リガク社製TG−8110型を用い、直径10mmの試料パン(白金製)に炭酸カルシウムを約100mg採取し、昇温速度15℃/分で500℃までの熱減量を測定し減量率(重量%)を求めたものである。
尚、日本薬局方の乾燥減量規格は、180℃(4時間)における減量率が1重量%以下であることから、上記熱減量率(Tg)を満足すると同時に、熱天秤を用いての180℃減量率が1%以下であることを満足することが望ましい。
本発明の凹凸状表面を有する粒子は、上記(a)〜(d)の他に、更に下記の式(e)〜(g)を満足することが好ましい。
(e) 1≦β≦3
(f) 2≦Dx2/Dx3≦100
(g) 2<Sw1/Sw2≦100
但し、
β :凹凸状表面を有する粒子の分散性を示し、β=Dx1/Dx2で表される
Dx2 :電子顕微鏡(SEM)で観察した、凹凸状表面を有する粒子の平均直径(μm )
Dx3 :電子顕微鏡(SEM)で観察した、凹凸状表面を有する粒子を形成している一 次粒子の平均直径(μm )
Sw1 :凹凸状表面を有する粒子の窒素吸着法によるBET比表面積値(m2/g )
Sw2 :球換算における理論比表面積値(m2/g)
球換算における理論比表面積値(Sw2)は、下記の計算式から算出される:
(1/w)/4π(d50/2)3 /3×4π(d50/2)2 =6/w・D x1=2.22/Dx1
但し、w:炭酸カルシウム比重(=2.7)。
(e)式は、凹凸状表面を有する粒子の分散性を示す値であり、1〜3であることが好ましい。一般的な造粒体よりも優れた特性を得るためには、粒子の分散性は重要なファクターの一つである。該粒子のβが、3を越える程の不均一であると、例えば歯磨剤として使用した場合、歯石や食物滓を取り除く研磨特性が低下しやすい。従って、より好ましくは1〜2、更に好ましくは1〜1.5である。
(f)式は、電子顕微鏡(SEM)観察写真から測定した凹凸状表面を有する粒子の平均直径(Dx2)を該凹凸状表面を有する粒子を形成している一次粒子(キューブ状粒子)の平均直径(Dx3)で除した値が、2〜100であることが好ましい。100を越えると、BET比表面積値が高くなり凝集の原因になりやすく、高度の目的用途に使用できない場合がある。2未満であると、従来の造粒体や凝集体と同様の効果が発現できない恐れがある。従って、より好ましくは2〜50、更に好ましくは5〜25である。
尚、電子顕微鏡観察写真からの平均直径の算出方法としては、座標読み取り装置(デジタイザー)を用い、粒子の長径部分に当たる端から端までを線引きし、数値化作業を行う。各粒子の数値化作業は、サンプル数5〜15個で行い、平均直径(Dx2及びDx3)を算出する。
(g)式は、凹凸状表面を有する粒子のBET比表面積値(Sw1)を該凹凸状表面を有する粒子の球換算における理論比表面積値(Sw2)で除した値であり、2以上で、100以下であることが好ましい。この数値が高い程一般的に有機物等の吸着特性が高いことを意味する。しかしながら100を越えると、結晶安定性の低下や湿気を吸いやすい等の問題により、例えば、医薬用担体に用いる場合、医薬品規格(4時間乾燥減量=1%以下)に適合しにくい。また、表面活性が高く、凝集の原因にもなるため、より好ましくは3〜80、更に好ましくは4〜60である。また、2未満となると本発明の目的である多孔質用途への効果が得られ難い。
尚、球換算における理論比表面積値(Sw2)は、下記の計算式から算出される:
(1/w)/4π(d50/2)3 /3×4π(d50/2)2 =6/w・Dx1=2.22/Dx1
但し、w:炭酸カルシウム比重(=2.7)。
本発明の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムの好ましい製造方法としては、例えば、水溶性カルシウム源と水溶性炭酸源との反応において、反応温度4〜50℃、撹拌羽根周速0.5〜15m/s、反応時間3〜1000分間の条件下で反応を行い、次いで、熟成温度30〜80℃、攪拌羽根周速0.5〜5m/s、熟成時間5〜600分の条件下で熟成を行うことにより、反応中あるいは反応終了直後はバテライト型結晶の粒子が生成し、その後、安定なカルサイト型構造に転位するに伴い、凹凸状表面を有する炭酸カルシウムを製造することができる。
前記した製造方法は、凹凸状表面を有する粒子を製造するには十分であるが、さらに安定的に粒子径を制御した凹凸状表面を有する粒子を調製するためには、反応・熟成条件を調整、選択する方が好ましい。好ましい反応・熟成条件は下記の通りである。
(反応条件)
(1)反応温度 :4〜50(℃)
(2)反応時間 :3〜1000(分)
(3)撹拌羽根周速 :0.5〜15(m/s)
(4)炭酸カルシウム濃度 :1〜30(重量%)
(熟成条件)
(5)熟成温度 :30〜80(℃)
(6)熟成時間 :5〜600(分)
(7)撹拌羽根周速 :0.5〜5(m/s)
本発明の好ましい反応・熟成条件を具体的に説明する。
先ず、カルシウム源の種類としては、不溶性カルシウムを除けば特に限定するものでなく、水溶性カルシウムもしくは難溶性カルシウムどちらも使用可能である。具体的には、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、シュウ酸カルシウム、臭化カルシウム等が例示でき、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられるが、不安定なバテライト型結晶を作製するには溶解性が高い方が通常好ましく、塩化カルシウムや硝酸カルシウムが使用しやすい。
また、炭酸源としては、例えば、炭酸ガスや炭酸アルカリ金属塩及びアンモニウム塩等が例示でき、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられるが、炭酸ガスは炭酸塩よりも溶解性が劣るため、炭酸塩を使用した方が前記した理由により好ましい。
尚、モル比は、理論生成量から大きく偏らない程度で反応を行う方が、生産性の面で好ましい。
次に、反応条件について説明する。
(1)の反応温度は、温度が低い方がバテライト型結晶粒子を作製しやすいだけでなく、形成するキューブ状の一次粒子の平均直径(Dx3)も小さくなりやすく、通常4〜50℃の範囲が望ましい。50℃を越えると、バテライトより結晶安定性が高いアラゴナイト型結晶もしくはカルサイト型結晶が生成しやすいため、本発明の凹凸状表面を有する粒子が得られ難い。4℃未満の場合、キューブ状の一次粒子の平均直径(Dx3)が小さくなりすぎて、結晶安定性に支障を来しやすい。また、エネルギー負荷が高くコスト高になりやすい。従って、より好ましくは7〜40℃、更に好ましくは10〜35℃である。
(2)の反応時間は、凹凸状表面を有する粒子の制御において重要なファクターの一つであり、通常反応時間を長くすると大きな粒子が得られやすい。また、反応開始初期の結晶核形成で結晶形態がほぼ決まるため、3〜1000分の間で反応を終了させる方が好ましい。反応時間が3分未満の場合、均一な凹凸粒子が得られ難い。一方、1000分を越えて反応させると、粒子径のバラツキが大きくなりやすい。従って、より好ましくは5〜500分、更に好ましくは10〜250分である。
(3)の撹拌羽根周速は、撹拌力に相当するファクターであり、通常0.5〜15m/sである。撹拌力が強力なほど凹凸状表面を有する粒子は小さくなりやすいが、15m/sを越えると、反応装置を大型化するのに支障をきたしやすく、0.5m/s未満の場合、懸濁液が均一に混合し難いため、より好ましくは1〜10m/s、更に好ましくは2〜7m/sである。また、撹拌の機構としては、パドル、タービン、プロペラ、高速インペラ、ホモミキサー等の攪拌機が使用できる。特に、タービン類等は懸濁液を散らす形状をしており、良好なバテライト型結晶が得られやすい。また、容器に邪魔板を取り付けた方が好ましい。
(4)の炭酸カルシウム濃度は、(3)の撹拌羽根周速と同様、粒子径制御のファクターの一つであり、濃度が高いと一般的に粒子は大きくなりやすい。しかしながら、高濃度になり過ぎると粒子が歪みやすく、凹凸状表面を有する粒子の分散性や均一性に悪影響を及ぼしやすい。従って、好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは3〜15重量%の濃度範囲である。
次に、熟成条件について説明する。熟成とは、反応終了直後に生成しているバテライト型結晶から、カルサイト型結晶に転位させて凹凸状表面を有する粒子化させるためのものであり、従って、ある程度転位しやいすように加熱して熟成をすることが好ましい。従って、(5)の熟成温度は、通常30〜80℃で行う。また、熟成を行うことで、未反応の残存イオン等が無くなりやすく、造粒体同士の凝集粒子が解れやすい等の効果もあり、有効な手段である。
(6)の熟成時間とは、カルサイト型結晶へ転位するまでの時間であり、通常5〜600分のである。熟成時間が5分未満の場合、熟成による効果が得られにくい。600分を越えると、時間を費やすだけでそれ異常の分散効果は得られ難く、コスト高に繋がりやすい。従って、より好ましくは15〜300分、更に好ましくは30〜180分である。
(7)の熟成中の撹拌羽根周速(撹拌力)は、反応時と異なり、粒子径や形態制御の目的ではなく、系の均一撹拌が主目的であるため、通常0.5〜5m/sの範囲であれば十分である。5m/sを越えると、粒子の形状や均一性が不揃いになる可能性がある。0.5m/sでは均一攪拌が不十分となる場合がある。
上記方法で化合・熟成を行った後に、スラリー中に含まれるアルカリ金属イオン等の夾雑イオンをろ過水洗することが望ましい。また、ろ液の電気伝導度は特に限定されるもにでないが、通常1000μS/cm以下である。より好ましくは500μS/cm以下、更に好ましくは200μS/cm以下である。水洗方法に関しては特に制限はなく、シックナー、オリバー、ロータリーフィルター、フィルタープレス等を用い、水洗・濃縮を行うことができる。
本発明の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムの結晶形態は、特に限定されるものでなく、バテライト型、アラゴナイト型、カルサイト型等のいずれでも、また2種以上の混合物でもよいが、製造過程において、バテライト構造から安定なカルサイト化に転位する際に表面を凹凸状に形成することから、主成分はカルサイト型である方が好ましい。
また粒子形状は、球状、板状、角状、針状、棒状、紡錘状等が挙げられるが、形状安定性が高い球状であることが通常である。
本発明の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムは、粒子の分散性や安定性等を高めるため、表面処理剤で表面処理(コーティング)することが可能である。
表面処理量は、BET比表面積(Sw1)によって左右されるため、特に限定されるのもではないが、通常0.1〜5重量%である。表面処理量が0.1重量%未満の場合、造粒体粒子が小さいと乾燥・粉末化の際、未処理面同士で2次凝集を形成するため分散不良の原因となりやすい。5重量%を越えると、表面処理剤過多による表面処理剤の遊離が起きやすい。
使用される表面処理剤としては、特に限定するものでないが、通常、水溶性界面活性剤や水溶性安定化剤、表面改質剤を用いることができる。
水溶性界面活性剤としては、例えば、マレイン酸−オレフィン(炭素数が4〜8)共重合体)の塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム等、マレイン酸−スチレン共重合体の塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム等)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等の重合物(オリゴマー)、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリ縮合物、メラミンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物等の重縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム等の天然物(誘導体)、ポリアクリル酸の塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム等)、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム等)等のカルボン酸系重合物、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等の縮合系無機物、その他、上記以外の一般的なアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル、(HLBが8以上の)ショ糖脂肪酸エステル等で表される非イオン性活性剤等が例示できる。
また、水溶性安定化剤としては、加工澱粉、CMC、HEC、MC、HPC、ゼラチン、プルラン、アルギン酸、グアーガム、ローカストガム、キサンタンガム、ペクチン、カラギーナン、アラビアガム、ガディガム等の天然系・半合成水溶性高分子系、ポリビニルアルコール、アクリル酸系ポリマー、エチレンイミン系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー等の合成系水溶性高分子等が例示できる。
表面改質剤としては、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤、ナフテン酸に代表される脂環族カルボン酸、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸に代表される樹脂酸及びこれらの不均化ロジン、水添ロジン、2量体ロジン、3量体ロジンに代表される変成ロジン、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸に代表される飽和脂肪酸及びその塩(ナトリウム、カリウム等)、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リシノール酸に代表される不飽和脂肪酸及びその塩(ナトリウム、カリウム等)、繊維素化合物、シロキサン化合物等が例示できる。
上記表面処理剤は、それぞれ単独又は必要に応じ、2種以上組み合わせて使用される。
本発明の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムは、従来の物理的吸着の造粒体と比較して、粒子の分散性、熱安定性が良好であるばかりではなく、粒子径(Dx1)が0.5〜1000μmと幅広く制御可能な化学反応的に得られるものであり、触媒担体、医薬担体、農薬担体、微生物担体、抗菌剤、生体担体等の各種担体、吸着剤、徐放体、光拡散剤、食品添加剤、歯磨用剤、研磨材、プラスチックス、ゴム、製紙、製紙、シーリン材、ブロッキング防止剤、インク用体質顔料、塗料用顔料、化粧料等のあらゆる用途に広く使用することができる。特に、経口・経鼻・経肺等の各種医薬担体(キャリア)、医薬用制酸剤、歯科用歯磨剤等の高機能性分野に有用である。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
尚、以下の記載において、「部」は特に断らない限り「重量部」を意味する。
実施例1
濃度0.8モル/Lの炭酸カリウム溶液を500L、濃度0.8モル/Lの塩化カルシウム溶液を500Lをそれぞれ別のタンクに溶解した。該溶液を、共に液温18℃に調整した後、塩化カルシウム溶液を炭酸カリウム溶液に、滴下供給量34L/分、撹拌羽根収束4m/sの条件下で炭酸化反応を行ったところ、15分後に滴下を終了した。尚、終了時のpHは8.5、炭酸カルシウム濃度は3.8重量%であった。
炭酸化反応後、そのままの濃度で、液温60℃、撹拌羽根収束1m/sの条件下で120分間熟成を行った。熟成終了後のpHは8.4であった。
以上のようにして調製された炭酸カルシウム水懸濁液を遠心脱水機を用いて脱水水洗したところ、電気伝導度200μS/cmで平衡に達したため水洗を終了し、固形分濃度65%重量まで濃縮し、箱形乾燥機(105℃)にて24時間乾燥し、炭酸カルシウム粉体を調製した。表1に得られた粉体の各物性と調製条件を記載する。また、図1にSEM写真(1万倍)を示す。
実施例2
アンモニアの濃度が3モル/L、硝酸カルシウムの濃度が1.5モル/Lになるよう500Lが入ったタンクに上記2種類の化合物を溶解した。溶解後、該溶液を液温20℃に調整後、撹拌羽根収束3m/s、(ピュア)炭酸ガス流量300L/分の条件下でpH8まで炭酸化反応を行ったところ、68分後に反応が終了した。尚、終了時の炭酸カルシウム濃度は11.5重量%であった。
炭酸化反応後、そのままの濃度で、温度60℃、撹拌羽根収束1m/sの条件下で60分間熟成を行った。熟成終了後のpHは8.4であった。
以上のようにして調製された炭酸カルシウム水懸濁液を遠心脱水機を用いて脱水水洗したところ、電気伝導度200μS/cmで平衡に達したため水洗を終了し、固形分濃度70重量%まで濃縮し、箱形乾燥機(105℃)にて24時間乾燥し、炭酸カルシウム粉体を調製した。表1に得られた粉体の各物性と調製条件を記載する。
実施例3
濃度2.0モル/Lの炭酸水素アンモニウム溶液を500L、濃度1.0モル/Lの塩化カルシウム溶液を500Lそれぞれ別のタンクに溶解した。該溶液を、共に液温24℃に調整した後、塩化カルシウム溶液を炭酸水素アンモニウム溶液に、滴下供給量2L/分、撹拌羽根収束2m/sの条件下で炭酸化反応を行ったところ、277分後に滴下を終了した。尚、終了時のpHは8.5、炭酸カルシウム濃度は4.3重量%であった。
炭酸化反応後、そのままの濃度で、液温60℃、撹拌羽根収束1m/sの条件下で30分間熟成を行った。熟成終了後のpHは7.8であった。
以上のようにして調製された炭酸カルシウム水懸濁液を遠心脱水機を用いて脱水水洗したところ、電気伝導度200μS/cmで平行に達したため水洗を終了し、固形分濃度85%重量まで濃縮し、箱形乾燥機(105℃)にて24時間乾燥し、炭酸カルシウム粉体を調製した。表1に得られた粉体の各物性と調製条件を記載する。
比較例1
濃度1.35モル/Lの水酸化カルシウム懸濁液5Lを、液温15℃に調整後、撹拌羽根周速5m/s、(ピュア)炭酸ガス流量50L/分の条件下で炭酸化反応を行うと同時に、濃度1.35モル/L(液温22℃)の水酸化カルシウム25LをpH12〜12.5に保持されるように連続的に添加した。最終的にpH7になるまで炭酸化したところ、25分後に反応が終了した。尚、終了時の懸濁液温度40℃で、炭酸カルシウム濃度は12.5重量%であった。
以上のようにして調製された凝集化した炭酸カルシウム水懸濁液を遠心脱水機を用いて脱水し、固形分濃度80重量%まで濃縮した後、箱形乾燥機(105℃)にて24時間乾燥し、炭酸カルシウム粉体を調製した。表1に得られた粉体の各物性と調製条件を記載する。
比較例2
反応温度60℃で炭酸化反応を行った以外は実施例2と同様の製造方法で調製した。表1に得られた粉体の各物性と調製条件を記載する。
比較例3
液温20℃の水酸化カルシウム濃度0.53モル/Kに懸濁した400Lを、液温20℃、撹拌羽根周速2m/s、(ピュア)炭酸ガス流量240L/分の条件下で炭酸化反応をpH8になるまで行ったところ、25分後に反応が終了した。尚、終了時の懸濁液濃度は38℃で、炭酸カルシウム濃度は5.2重量%であった。得られた炭酸カルシウム懸濁液をろ過・乾燥・粉砕し炭酸カルシウム粉体を得た。この合成炭酸カルシウムの平均粒子径は電子顕微鏡で調べたところ、0.04μmであり、また該炭酸カルシウム粉体を混合造粒機(SEG200、(株)セイシン社製)に添加し、1500r.p.m.で撹拌しながら水を120gを徐々に添加し5分間撹拌を行い、造粒後120℃で12時間乾燥し、球状の造粒炭酸カルシウム粉体を調製した。表1に得られた粉体の各物性と調製条件を記載する。
応用実施例1、応用比較例1
実施例1、比較例1で調製した粉体をアニオン性抗菌剤であるピロクトンオラミンと複合した系(試料1)と、ブランク(試料2)を用い、下記組成に基づき、粘膜用抗菌剤組成物を調製し、ピロクトンオラミンの滞留性を下記の方法で評価した。表2に滞留性評価の結果を示す。
「試料1」
試料(実施例1、比較例1の粉体) 40部
ピロクトンオラミン 4部
上記材料をプラネタリーミキサーにて複合後、減圧乾燥にて粉末化した後、ピロクトンオラミンが50ppmとなるように、下記組成を6°DH硬水の塩化カルシウム溶液に分散させ、試験液1を調製した。
ソルビット 6.2部
プロピレングリコール 1.2部
ラウリル硫酸ナトリウム 0.6部
「試料2」
ピロクトンオラミンが50ppmとなるように、下記組成を6°DH硬水の塩化カルシウム溶液に分散させ、試験液2を調製した。
試料 なし
ピロクトンオラミン 4.0部
ソルビット 6.2部
プロピレングリコール 1.2部
ラウリル硫酸ナトリウム 0.6部
塩化カルシウム
<ピロクトンオラミン滞留性評価>
各試験液3gをコラーゲンコートフラスコ(岩城硝子社製)に入れて35℃で5分間シェーカー混合後、試験液を回収した。塩化カルシウム3°DH硬水を洗浄液とし、この洗浄液3gをコラーゲンコートフラスコに入れて35℃で3分間シェーカー混合後、洗浄液を回収した。該洗浄操作を計3回行った。回収した試験液及び洗浄液の重量とピロクトンオラミン濃度を測定してピロクトンオラミン量を求め、仕込ピロクトンオラミン量から試験液及び洗浄液のピロクトンオラミン滞留量を算出した。なお、ピロクトンオラミン濃度は常法により測定した。
表2の結果から明らかなように、本発明の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムを用いた試験液1のピラクトンオラミンのコラーゲンへの滞留性が著しく高いことが確認できた。
応用実施例2、応用比較例2
実施例2、比較例2で調製した粉体を用い、従来より一般的に使用されているを下記組成に基づき、ミキサーにて複合後、減圧乾燥させ制酸剤組成物を調製し、フラックス評価を下記の方法で行なった。表3にフラックス評価の結果を示す。
(原料配合)
試料(実施例2、比較例2の粉体) 920部
ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート 80部
アルミニウムゲル 50部
メタ珪酸アルミン酸マグネシウム 50部
アルジオキサ 20部
カルメロースカルシウム 10部
精製白糖 85部
<フラックス評価>
上記配合で作製した試料各1gを37℃で撹拌中の0.1N塩酸水溶液50mlの中に入れ、10分後より1N塩酸水溶液2mlを10分毎に加えていきpHを記録した。試験中は試験液の温度37℃に保った。尚、pH値で3以下で胃痛、5以上で異常発酵、反動的胃酸分泌の発生があるとされる。
表3の結果から明らかなように、本発明の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムは、至適pH維持時間が長く、またpH5未満を維持することができ、反動的胃酸分泌の問題がない良好な制酸作用を発揮した。
応用実施例3、応用比較例3
実施例3、比較例3で調製した粉体を下記組成に基づき、ミキサーにて複合後、歯磨組成物を調製し、ブラッシング評価を下記の方法で行なった。表4にブラッシング評価の結果を示す。
(原料配合)
試料(実施例3、比較例3の粉体) 20部
研磨剤無配合練り歯磨剤 100部
<ブラッシング評価>
1.粒子の安定性
上記歯磨組成物をシャーレに取り出し、水を添加し50重量%溶液を作製した。歯ブラシを用いて荷重700gで30秒間ブラッシングを行い、ブラッシング後の歯磨組成物中の粒子の粒度分布を測定した。さらに荷重700gで150秒間ブラッシングを行った後の歯磨組成物中の粒子の粒度分布を測定した。粒度結果を表4に示す。
2.使用感、汚れ除去効果
上記配合で調製した歯磨組成物を男女50名の健常者をパネラーとして選定し、下記に示すようブラッシング直後のザラツキ感を伴う食物滓・歯垢除去感と、ブラッシングを続けるにつれて得られる歯表面のツルツル感に関して4段階判定の平均値で評価した。結果を表4に示す。
(食物滓・歯垢除去感)
4:歯と歯の隙間にある食物滓や歯垢の除去感が良く感じられる。
3:歯と歯の隙間にある食物滓や歯垢の除去感が感じられる。
2:歯と歯の隙間にある食物滓や歯垢の除去感が多少感じられる。
1:歯と歯の隙間にある植物滓や歯垢の除去感が感じられない。
(ツルツル感)
4:ブラッシング前と比べ、非常にツルツル感があり後味が良い。
3:ブラッシング前と比べ、ツルツル感があり後味も悪くない。
2:ブラッシング前と比べ、ツルツル感は感じられないが後味は悪くない。
1:ブラッシング前と比べ、ツルツル感は感じられず後味も悪い。
表4の結果から明らかなように、本発明の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムは、ブラッシング直後の食べ滓や歯垢などの汚れの掻き取除去効果に優れるだけでなく、ブラッシングを繰り返すことにより、粒子表面の凹凸状が、細部の汚れを隈無く除去すると同時に、歯の表面のツルツル感も発現できることがわかる。
応用実施例4、応用比較例4
実施例3、比較例3で調製した粉体に、通常の無電解メッキによる金属銀を0.15μmの厚みになるよう被覆させ、光輝性を有する金属被覆粒子を得た。
該金属被覆した粒子を下記組成に基づき、混合後、押出成形機を用いてシリンダー温度290℃で押出し、ペレット化した。該ペレットを120℃で5時間乾燥後、射出成形機を用いて平板(85mm×75mm×3mm)を作製し、金属光沢の外観性(意匠性)を評価をした。表5に結果を示す。
(原料配合)
試料(実施例3、比較例3の粉体の金属被覆粒子) 0.5部
ポリカーボネート樹脂 100部
(商品名:三菱化学(株)製、ノバレックス7030)
<外観評価>
(光輝度)
4 :高い光輝感を有する。
3 :光輝感を有している。
2 :僅かに光輝感を有している程度で、実用に適さない。
1 :光輝感が確認できず、実用に適さない。
(ウェルドライン)
4 :確認できず良好である。
3 :僅かに確認できるが、ほとんど目立たない。
2 :確認でき、実用に適さない。
1 :顕著に確認でき、実用に適さない。
(黄変度:Yellow Index)
スガ試験機(株)社製SM-2を使用し、透過光の黄変度を求めた。数値が高い程、樹脂が黄変劣化していることを意味する。
表5の結果から明らかなように、本発明の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムは、黄変劣化やウェルドラインがない優れた外観と金属光沢に富む合成樹脂成形品を提供できることがわかる。
叙上のとおり、本発明の凹凸状表面を有する炭酸カルシウムは、粒子の分散性、熱安定性が良好で、また粒子径が幅広く制御可能で、広範且つ高度な技術分野において有用である。また、本発明の製造方法によれば、従来の物理的造粒や化学的凝集法とは全く異なった化学反応の方法で、凹凸状表面を有する炭酸カルシウムを容易に製造することができる。
実施例1で得られた凹凸状表面を有する炭酸カルシウムのSEM写真である。

Claims (3)

  1. キューブ状粒子で形成される凹凸状表面を有する粒子であって、下記の式(a)〜(d)を満足することを特徴とする凹凸状表面を有する炭酸カルシウム。
    (a) 0.5≦Dx1≦1000 (μm)
    (b) 0.5≦Dxs1/Dx1≦1
    (c) 0≦α≦2
    (d) 0≦Tg≦2 (重量%)
    但し、
    Dx1 :レーザー回折式(マイクロトラックFRA)における粒度分布において、大き な粒子側から起算した重量累計50重量%平均直径(μm )
    Dxs1:超音波分散後のレーザー回折式(マイクロトラックFRA)における粒度分布 において、大きな粒子側から起算した重量累計50重量%平均直径(μm )
    α :凹凸状表面を有する粒子の均一性を示し、α=(d90−d10)/Dx1で 表される
    d90 :レーザー回折式(マイクロトラックFRA)における粒度分布において、大き な粒子側から起算した重量累計90重量%平均直径(μm )
    d10 :レーザー回折式(マイクロトラックFRA)における粒度分布において、大き な粒子側から起算した重量累計10重量%平均直径(μm )
    Tg :500℃までの熱減量率。
  2. 更に、下記の式(e)〜(g)を満足することを特徴とする請求項1記載の凹凸状表面を有する炭酸カルシウム。
    (e) 1≦β≦3
    (f) 2≦Dx2/Dx3≦100
    (g) 2≦Sw1/Sw2≦100
    但し、
    β :凹凸状表面を有する粒子の分散性を示し、β=Dx1/Dx2で表される
    Dx2 :電子顕微鏡(SEM)で観察した、凹凸状表面を有する粒子の平均直径(μm )
    Dx3 :電子顕微鏡(SEM)で観察した、凹凸状表面を有する粒子を形成している一 次粒子の平均直径(μm )
    Sw1 :凹凸状表面を有する粒子の窒素吸着法によるBET比表面積値(m2/g )
    Sw2 :球換算における理論比表面積値(m2/g)
    球換算における理論比表面積値(Sw2)は、下記の計算式から算出される:
    (1/w)/4π(d50/2)3 /3×4π(d50/2)2 =6/w・D x1=2.22/Dx1
    但し、w:炭酸カルシウム比重(=2.7)。
  3. 炭酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液を温度4〜50℃、攪拌羽根周速0.5〜15m/sで3〜1000分反応させ、次いで、温度30〜80℃、攪拌羽根周速0.5〜5m/sで5〜600分熟成することを特徴とする凹凸状表面を有する炭酸カルシウムの製造方法。
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