JP4375842B2 - 炭酸カルシウムの製造方法、及び石灰石からの沈降製炭酸カルシウムの白化方法 - Google Patents

炭酸カルシウムの製造方法、及び石灰石からの沈降製炭酸カルシウムの白化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貝殻及び石灰石を原料とする白色度が高い沈降製炭酸カルシウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
我が国においては、石灰石が国内で豊富に産出する。この石灰石を用いて製造する炭酸カルシウム製品は、安価なこと、白色度が高いこと、無害であること、各種粒度の製品が得られること等から、ゴム、プラスチック用の充填剤、塗料、インク用の体質顔料、紙漉込み用の填料、紙コート用顔料、医薬品、化粧品、食品、農業用品等の添加剤などとして多方面の分野に利用されている。
【0003】
この炭酸カルシウム製品は、一般に重質炭酸カルシウムと、沈降製炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)の二種に大別される。
【0004】
重質炭酸カルシウムは、石灰石を機械的に粉砕し、該粉砕物を分級することにより、各種粒子径範囲の重質炭酸カルシウムが製造される。
【0005】
しかし、上記重質炭酸カルシウムは、その製法上の理由から粒度分布がブロードである。そのため、いずれのグレードの重質炭酸カルシウムにおいても、微細な粒度、かつ、狭い粒度分布を有するものは製造できない。このため、上記重質炭酸カルシウムは微細な粒度、狭い粒度分布を要求される高度の用途には使用できないのが現状である。
【0006】
一方、沈降製炭酸カルシウムは、炭酸ガス化合プロセス、石灰ソーダプロセス、又はソーダプロセス等の化学的方法によって製造されるものである。炭酸ガス化合プロセスは、石灰石を高温で焼成して得られる生石灰と水とを反応させ石灰乳を調製後、石灰乳中に石灰石焼成時に発生する炭酸ガスを導通させることにより、炭酸カルシウムを合成する方法である。石灰ソーダプロセスは、石灰乳に炭酸ソーダを反応させることにより、炭酸カルシウムを合成する方法である。ソーダプロセスは、塩化カルシウムに炭酸ソーダを反応させることにより、炭酸カルシウムを合成する方法である。
【0007】
以上のような化学的方法で製造される沈降製炭酸カルシウムは、微細な粒度、かつ、狭い粒度分布を有し、このためこれらが要求される用途にも対応できるものである。
【0008】
上記の沈降製炭酸カルシウムの製造方法のうち、実用上、経済的な観点から炭酸ガス化合プロセスが一般的に用いられている。
【0009】
しかし、近年、上記炭酸カルシウムの用途において、要求される炭酸カルシウムの品質の水準がますます高くなっている。特に紙漉込み用の填料、紙コート用顔料等の製紙用の炭酸カルシウムについては、白色度の要求水準が極めて高いものになっている。そのため、従来の炭酸ガス化合プロセスによって製造される沈降製炭酸カルシウムは、原料の石灰石の品質のバラツキがあるので、上記の高い白色度の要求水準に対応できない場合が生じるという問題がある。従って、高品質の炭酸カルシウムを安定して供給ができる炭酸カルシウムの製造方法が切望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記問題を解決するために種々検討した結果、炭酸ガス化合プロセスにおいて、原料に貝殻を用いると、高い白色度の要求水準に安定して対応できる炭酸カルシウムが得られることを見出した。
【0011】
また、炭酸ガス化合プロセスにおいて原料の石灰石に上記貝殻を所定量加えると、得られる炭酸カルシウムは、原料に石灰石単味を用いて得られる炭酸カルシウムと比較して著しく白色度を向上できることを知得し、本発明を完成するに至った。
【0012】
よって、本発明の目的とするところは、上記問題を解決し、粒度が細かく、白色度が高い製品を安定して得られる炭酸カルシウムの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、
〔1〕 貝殻を焼成して得られる生石灰と水とからなる石灰乳中に炭酸ガスを導通させることを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法、
〔2〕 貝殻を焼成して得られる生石灰と石灰石を焼成して得られる生石灰と水とからなる石灰乳中に炭酸ガスを導通させることを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法、並びに、
〔3〕 貝殻と石灰石とを焼成して得られる生石灰と、水とからなる石灰乳中に炭酸ガスを導通させることを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法を提案するものであって、
〔4〕 前記〔1〕乃至〔3〕の何れかにおいて、貝殻を焼成して得られる生石灰のCaO成分が90wt%以上であることを含み、
〔5〕 前記〔2〕又は〔3〕において、貝殻のCaO分の添加割合が貝殻と石灰石との全CaO分に対して5wt%以上であるであることを含む。
【0014】
また、本発明は、
〔6〕 貝殻を焼成して得られる生石灰と石灰石を焼成して得られる生石灰と水とからなる石灰乳中に炭酸ガスを導通させることを特徴とする石灰石からの沈降製炭酸カルシウムの白化方法、並びに、
〔7〕 貝殻と石灰石とを焼成して得られる生石灰と、水とからなる石灰乳中に炭酸ガスを導通させることを特徴とする石灰石からの沈降製炭酸カルシウムの白化方法を提案するものである。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】
炭酸カルシウムの原料である貝殻としては、何れの貝殻でも用いることができ、ホタテ貝、かき、あこや貝、あさり貝、バカ貝、赤貝等の貝殻が例示できる。
【0017】
貝殻の入手の容易さからは、採取又は養殖が大規模に行われており、更に採取又は養殖後の加工が工場などで行われている貝の貝殻がまとまって入手できるので好ましい。この観点からは、ホタテ貝、かき、あこや貝等が好ましいものである。
【0018】
粒度調整した貝殻は、850〜1200℃で焼成することで貝殻生石灰を得る。焼成温度が850℃未満では焼成が不十分で未反応の炭酸カルシウムが多く残っており、好ましくない。また、1200℃を超えても過焼となり、熱エネルギー的に不経済であまり意味がない。
【0019】
炉形式により、均一混合の方法は異なる。すなわち、貝殻又は後述する原料である石灰石の大きさが5mm以上で使用する場合、炉はベッケンバッハ炉やメルツ炉やロータリーキルン等となり、この場合は貝殻及び石灰石それぞれを焼成して得た生石灰を粉砕して、均一混合する。
【0020】
しかし、貝殻及び石灰石の大きさが5mm以下の場合は流動焼成炉で貝殻と石灰石を定量混合し、必要であれば粉砕後定量混合し、焼成することで均一混合が可能となる。
【0021】
上記の貝殻生石灰は、平均粒子径で1mm以下、好ましくは1〜150μmに粉砕する。特に後述する石灰石との均一混合のために重要である。貝殻生石灰の平均粒子径が1mmを超える場合は、次工程の生石灰が水和によって消石灰になる反応(以下、消化という。)速度、消石灰の溶解速度、及び炭酸ガスの吸収反応(以下、炭酸ガス化という。)速度が遅くなり、炭酸カルシウムの生産性が低下するので、好ましくない。
【0022】
粉砕された貝殻生石灰は、水を加えて5〜15wt%濃度の生石灰スラリーにすることが好ましい。この生石灰スラリーは、40〜80℃の乳化槽で撹拌消化後、異物を篩分けることが好ましい。次いで、熟成槽で撹拌熟成を行うことが好ましい。その後、炭酸ガス化反応を行う。その後、常法に従い適宜異物を除去、脱水、乾燥、分級を行い炭酸カルシウムの製品を得る。
【0023】
炭酸ガス化反応において、温度は0〜80℃、好ましくは20〜60℃であり、CO2濃度は20%以上とすることが好ましい。CO2流量は、CO2濃度が100%の場合、40L/min・kgCa(OH)2以下が好ましく、更に好ましくは、0.1〜4L/min・kgCa(OH)2である。CO2流量は多いほど炭酸ガス化速度が速くなるが、40L/min・kgCa(OH)2を超える場合は炭酸ガス化速度はあまり変わらなくなり、CO2流量当りの反応効率が低下するので好ましくない。
【0024】
以上の条件で、貝殻を原料として製造される炭酸カルシウムの白色度は極めて高いものである。
【0025】
また、原料の貝殻のCaO成分が多いほど、得られる炭酸カルシウムの白色度は高くなる傾向にある。貝殻を焼成して得られる生石灰のCaO成分が95wt%以上、例えば96wt%の貝殻を原料とした場合には、得られる炭酸カルシウムの白色度はハンター白度で99以上である。要求される炭酸カルシウムの白色度は、炭酸カルシウムの用途によって高いものから低いものまで種々ある。要求白色度の高い用途のなかには、ハンター白度で93以上のものもある。そこで、安全をみて、目標とするハンター白度は95以上とした(以下、このハンター白度を目標白色度という。)。
【0026】
これに対して、貝殻を原料として炭酸カルシウムを製造する場合と同様の条件で、石灰石を原料として製造される炭酸カルシウムの白色度は、一般の石灰石を原料とする場合、CaO成分含有量が上記の貝殻の場合と同じ96wt%のときでも、ハンター白度で93程度である。
【0027】
なお、石灰石を原料として炭酸カルシウムを製造する条件は、貝殻を原料とする場合と同じ範囲の条件である。
【0028】
以上のように、貝殻を原料として製造される炭酸カルシウムと、石灰石を原料として製造される炭酸カルシウムとでは、その白色度において著しい差がある。その原因として、貝殻と石灰石との成分の差が考えられる。上記の例のように、両者のCaO含有量は96wt%と同じである。しかし、微量成分のうち特に鉄分含有量は、石灰石は貝殻の10倍以上である。貝殻のFe23は、通常0.005〜0.008wt%に対し石灰石のFe23は、通常0.02〜0.2wt%である。鉄分含有量の相違が石灰石を原料として製造される炭酸カルシウムの白色度を低下させる一因と考えられる。石灰石の鉄分が多いほど、その石灰石を原料として製造される炭酸カルシウムの白色度は低下する傾向にあることが確認されている。したがって、今後更に高い要求、例えば上記目標白色度のような95以上という要求が生じた場合、原料を石灰石のみで対応するのは難しい状況にある。
【0029】
一方、貝殻を焼成して得られる生石灰と石灰石を焼成して得られる生石灰と水とからなる石灰乳中に炭酸ガスを導通させることによって製造される炭酸カルシウムや、貝殻と石灰石とを焼成して得られる生石灰と、水とからなる石灰乳中に炭酸ガスを導通させることによって製造される炭酸カルシウムの白色度は、貝殻を原料として製造される炭酸カルシウムの白色度と、石灰石を原料として製造される炭酸カルシウムの白色度とを、単に比例配分によって算出した白色度(以下、計算白色度という。)と比較して、遥かに高い数値を示すことを本発明者は発見した。
【0030】
そして、原料の貝殻の添加割合がもう一方の原料の石灰石に対してほんの少量でも、得られる炭酸カルシウムの白色度は極めて高いものである。例えば貝殻のCaO分の添加割合が原料中の全CaO分に対して10wt%の場合には、得られる炭酸カルシウムの白色度はハンター白度で約96である。上述したように、目標白色度は95以上である。よって、貝殻のCaO分の添加割合が原料中の全CaO分に対して5wt%以上であれば、この目標白色度を満たすことができる。この貝殻のCaO分の添加割合は、好ましくは6〜50wt%、より好ましくは8〜40wt%、更により好ましくは9〜35wt%である。
【0031】
なお、原料の貝殻と石灰石との添加混合する時期は、それぞれの原料の焼成前でも焼成後でもよい。原料の貝殻と石灰石との添加混合する時期を、それぞれの原料の焼成後にする場合、貝殻を焼成した生石灰と石灰石を焼成した生石灰との均一混合を行うためには、それぞれの生石灰の粒子径は平均粒子径で1mm以下、好ましくは1〜150μmが望ましい。
【0032】
このように、原料の貝殻の添加量がもう一方の原料の石灰石に対して少量でも、得られる炭酸カルシウムの白色度を極めて高いものに改善できる理由については、以下のように推定している。
【0033】
貝殻生石灰は、石灰石を焼成して得られる生石灰(以下、鉱物質生石灰という。)と比べて、消化速度、消石灰の溶解速度、及び炭酸ガス化速度が遅い。これら炭酸化反応のうち、特に消石灰の溶解反応、及び炭酸ガス化反応が律速反応であり、炭酸化反応全体としての反応速度において、貝殻生石灰は、鉱物質生石灰の約1/2である(この反応速度については、日本石灰協会の試験方法である塩酸滴定法の結果より求められる。)。
【0034】
そのため、炭酸化反応において、鉱物質生石灰からの沈降製炭酸カルシウム(以下、PCCという。)核が、先ず発生する。このPCC核は、原料の石灰石に由来するため、白色度が低いものである。そして、このPCC核に、原料の石灰石に由来するPCC(以下、鉱物質生石灰PCCという。)が析出して成長し、鉱物質生石灰PCCの一次粒子が生成する。
【0035】
一方、後から発生する貝殻生石灰からのPCC(以下、貝殻生石灰PCCという。)は、原料の貝殻に由来するため、白色度が極めて高いものである。そして、先に生成した鉱物質生石灰PCCの一次粒子の表面に、貝殻生石灰PCCが析出して成長し、貝殻生石灰PCCで被覆された鉱物質生石灰PCCの二次粒子が生成する。
【0036】
即ち、白色度が低い鉱物質生石灰PCCの一次粒子の表面を、白色度が極めて高い貝殻生石灰PCCで被覆することよって、原料の貝殻の添加割合がもう一方の原料の石灰石に対してほんの少量でも、得られる炭酸カルシウムの白色度を極めて高いものに改善できるものと考えられる。
【0037】
貝殻生石灰が、鉱物質生石灰よりも炭酸化反応速度が遅い理由については、以下のように推定している。
【0038】
鉱物質生石灰は、多数の相対的に小さな細孔が発達していて比表面積が大きい。これに対して、貝殻生石灰は、細孔径がより大きなため比表面積が小さい。具体的には、石灰石を焼成した生石灰の平均細孔径が10〜100nmであるのに対し、ホタテ貝殻を焼成した生石灰の平均細孔径は約1000nmである。そして、ホタテ貝殻を焼成した生石灰と石灰石を焼成した生石灰との間では、比表面積は、石灰石を焼成した生石灰の方が10倍以上も大きい。炭酸化反応速度の差異は、この比表面積の差異に影響を受け、そのため、貝殻生石灰は、鉱物質生石灰よりも炭酸化反応速度が遅いと考えられる。
【0039】
鉱物質生石灰単味から生成するPCC即ち鉱物質生石灰PCCの粒子と、鉱物質生石灰と貝殻生石灰との混合物から生成するPCC(以下、混合生石灰PCCという。)の粒子の形状、大きさが、その粒子成長において大きく異なる。
【0040】
即ち、用いた原料生石灰の合計量は同じ量にしたにもかかわらず、混合生石灰PCCの粒子径は、鉱物質生石灰PCCの粒子径よりも大きいものであった。このことは、混合生石灰PCCにおいて、後から析出する貝殻生石灰PCCは、新たなPCC核として析出するよりも、先に生成した鉱物質生石灰PCCの一次粒子の表面に析出しやすいために生じると考えられる。
【0041】
また、両者のPCCの粒子形状も大きく異なり、鉱物質生石灰PCCの粒子が紡錘状に成長するのに対し、混合生石灰PCCの粒子や貝殻生石灰PCCの粒子は、アラゴナイト、アラゴナイト状(柱状)又は偏平状に成長している。このPCCの粒子形状の違いからも、混合生石灰PCCにおいて、後から析出する貝殻生石灰PCCは、先に生成した鉱物質生石灰PCCの一次粒子の表面に析出して成長するものと考えられる。
【0042】
しかも、製紙用の炭酸カルシウムとして用いる場合には、アラゴナイトPCCやアラゴナイト状(柱状)PCCの隠蔽率は、隠蔽率が高い形状の一般的な代表とされる立方体状の隠蔽率よりも高い。
【0043】
更に、アラゴナイトPCCやアラゴナイト状(柱状)PCCは、分散性にも優れている。この分散性が高いことは、白色度が高いこと、隠蔽率が高いことと併せて特に製紙用の炭酸カルシウムに要求される重要な性質である。
【0044】
偏平状のPCCも、アラゴナイトPCCやアラゴナイト状(柱状)PCCと同様の性質を有する。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、具体的且つ詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。なお、PCCの主な物性については、次の方法で求めた。
【0046】
ハンター白度:日本電色工業株式会社製モデルZ−100DPでの測定結果を用い次式から算出
W(B)=Z×100/1.18
式中、W(B):ハンター白度、Z:457nmの反射率
粒子形状及び粒度:日本電子株式会社製電子顕微鏡JSM−5800LVを用いて得た写真及びMO保存のデータから解析
合成例:ホ1〜ホ4 (貝殻生石灰の調製)
ホタテ貝貝殻を破砕し粒度を2〜60mm、平均40mmに揃えたものを貝殻生石灰製造用原料とした。この原料を、電気炉に装入し、表1に示す温度及び時間において焼成し、表1に示す残存CO2成分(以下、RCO2という。)及びCaO成分の貝殻生石灰を得た。
【0047】
合成例:石1 (鉱物質生石灰の調製)
石灰石を破砕し粒度を10〜90mm、平均50mmに揃えたものを鉱物質生石灰製造用原料とした。この原料を、電気炉に装入し、表1に示す温度及び時間において焼成し、表1に示す残存CO2成分及びCaO成分の鉱物質生石灰を得た。
【0048】
【表1】
Figure 0004375842
実施例1〜7及び比較例1
合成例:ホ1〜ホ4及び石1において得た生石灰を表2に示す単味又は配合の条件で準備した原料生石灰25gに、水を添加して濃度5wt%の石灰乳500mLを調製した。得られた石灰乳を、交換可能な角状の4枚羽根を有する撹拌羽根を用い撹拌回転数280rpmで撹拌しながら、純度100%のCO2ガスを1.0L/分のガス量で吹き込み炭酸化反応を行った。反応温度は、各反応毎に多少の変動はあるものの、約20〜35℃の範囲に制御した。反応液のpHが7になった時点でCO2ガスの吹込みを停止し、炭酸化反応を終了させた。反応生成物から水分を除去し、表2に示す物性のPCCを得た。
【0049】
【表2】
Figure 0004375842
合成例:ホ1〜ホ4において得た貝殻生石灰を単味で炭酸化反応をさせた。得られたPCCについて、表2中の実施例1、2、6及び7に示されるように、貝殻生石灰単味からのPCCのハンター白度は、何れも95以上の高い値を示した。また、表1合成例:ホ1のCaO成分は、1000℃の焼成処理品であってCaO含有量は96.0wt%である。この貝殻生石灰単味を用いて合成したPCCでも、実施例1に示すように、ハンター白度は、95.7と高い値を示した。
【0050】
合成例:石1において得た鉱物質生石灰を単味で炭酸化反応をさせた。得られたPCCについて、表2の比較例1に示されるように、鉱物質生石灰単味を用いて合成したPCCのハンタ−白度は、93.2と低い値を示した。
【0051】
白色度が低い鉱物質生石灰PCCしか得られない鉱物質生石灰に、白色度が高い貝殻生石灰PCCが得られる貝殻生石灰を少量添加した混合生石灰を炭酸化反応をさせて得たPCCのハンター白度は、表2の実施例3〜5に示すように、何れも95以上の高い値を示した。また、これらの混合生石灰からのPCCのハンター白度の値は、貝殻生石灰単味からのPCCのハンター白度の値と、鉱物質生石灰単味からのPCCのハンター白度の値とを用いて、単に比例配分することによって算出したハンター白度の値(即ち実施例3〜5の表2の( )に示された計算白色度の値)と比較して、遥かに高い数値を示している。
【0052】
実施例3〜5及び比較例1の表2のPCCの粒度の結果に見るように、合成例:ホ1〜ホ4及び石1の全ての石灰乳のCaO濃度は同じであった。それにもかかわらず、実施例3〜5の混合生石灰PCCの粒子径は、比較例1の鉱物質生石灰PCCの粒子径よりも大きいものであった。このことは、鉱物質生石灰の炭酸化反応速度と貝殻生石灰の炭酸化反応速度とに差異があるため、混合生石灰PCCにおいて、後から析出する貝殻生石灰PCCは、新たなPCC核として析出するよりも、先に生成した鉱物質生石灰PCCの一次粒子の表面に析出し、その結果粒子径が大きくなったものと考えられる。
【0053】
なお、混合生石灰PCC及び貝殻生石灰PCCの粒度は、鉱物質生石灰PCCの粒度よりも少々大きいが、微細な粒度、かつ、狭い粒度分布を要求される高度な用途には充分適用できる。
【0054】
実施例3〜5及び比較例1で製造した炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真を図2〜4及び図7に示した。図7の比較例1の鉱物質生石灰PCCの粒子形状は、紡錘状をしている。これに対し、図2〜4の混合生石灰PCCの粒子形状は、図1、5及び6の貝殻生石灰PCCの粒子形状と同様に柱状又は偏平状をしている。これらPCCの粒子形状については、X線回折測定結果からも確認することができた。
【0055】
これらPCCの粒子形状についての測定結果から、混合生石灰PCCの粒子表面は、貝殻生石灰単味からのPCCと同様に、貝殻生石灰PCCからできていることが確認された。混合生石灰PCCの粒子表面は貝殻生石灰PCCからできていることが一因して、混合生石灰PCCの白色度が極めて高いものになっていると考えられる。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、炭酸ガス化合プロセスによって製造される沈降製炭酸カルシウムの製造方法において、原料に貝殻を用いているので、粒度が細かく、白色度が高い沈降製炭酸カルシウムを安定して製造することができる。
【0057】
このように、原料に貝殻を用いて炭酸ガス化合プロセスによって製造した沈降製炭酸カルシウムは、特に紙漉込み用の填料、紙コート用顔料等の製紙用の炭酸カルシウムのような極めて高い用途要求に応えることができる。
【0058】
また、本発明は、炭酸ガス化合プロセスによって製造される沈降製炭酸カルシウムの製造方法において、従来の白色度が低い沈降製炭酸カルシウムしか得られなかった原料の石灰石に上記貝殻を原料として少量加えることにより、著しく白色度を向上した沈降製炭酸カルシウムを製造できる。
【0059】
また、本発明は、炭酸ガス化合プロセスによって製造される沈降製炭酸カルシウムの製造方法において、上記石灰石を焼成したものと上記貝殻を焼成したものとを混合したものを原料として用いることによっても、著しく白色度を向上した沈降製炭酸カルシウムを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られたPCC粒子の電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例3で得られたPCC粒子の電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例4で得られたPCC粒子の電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例5で得られたPCC粒子の電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例6で得られたPCC粒子の電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例7で得られたPCC粒子の電子顕微鏡写真である。
【図7】比較例1で得られたPCC粒子の電子顕微鏡写真である。

Claims (6)

  1. 貝殻を焼成して得られる生石灰と石灰石を焼成して得られる生石灰と水とからなるスラリーの生石灰濃度が5〜15wt%の石灰乳中に炭酸ガスを導通させて、スラリー中に炭酸カルシウムを析出させることを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法。
  2. 貝殻と石灰石とを焼成して得られる生石灰と、水とからなるスラリーの生石灰濃度が5〜15wt%の石灰乳中に炭酸ガスを導通させて、スラリー中に炭酸カルシウムを析出させることを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法。
  3. 貝殻を焼成して得られる生石灰のCaO成分が90wt%以上である請求項1又は2に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  4. 貝殻のCaO分の添加割合が貝殻と石灰石との全CaO分に対して5wt%以上である請求項又はに記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  5. 貝殻を焼成して得られる生石灰と石灰石を焼成して得られる生石灰と水とからなるスラリーの生石灰濃度が5〜15wt%の石灰乳中に炭酸ガスを導通させて、スラリー中に炭酸カルシウムを析出させることを特徴とする石灰石からの沈降製炭酸カルシウムの白化方法。
  6. 貝殻と石灰石とを焼成して得られる生石灰と、水とからなるスラリーの生石灰濃度が5〜15wt%の石灰乳中に炭酸ガスを導通させて、スラリー中に炭酸カルシウムを析出させることを特徴とする石灰石からの沈降製炭酸カルシウムの白化方法。
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