JP2007204293A - 多孔質粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】BET法による比表面積が、30m2/g〜280m2/gの範囲でありかつ、下記一般式(I)で表わされるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
Zα[Al1−σZ′σ]βQωRξ(OH)ν・γH2O (I)
(ただし、Zは、Na+、K+、NH4 +およびH3O+なる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、Z′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Qは少なくとも1種の有機酸アニオン、Rは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中α、β、γ、ν、σ、ξおよびωは、0.7≦α≦1.35、2.7≦β≦3.3、0≦γ≦5、4≦ν≦7、0≦σ≦0.6、1.7≦ξ≦2.4、0≦ω≦0.5とする。)
【選択図】 なし
Description
例えば、非特許文献1には硫酸アルミニウム水溶液に硫酸カリウムおよび水酸化カリウムを加えて、K/Al比を5、pHを3.7とし、3時間沸騰還流させて、200〜240m2/gの比表面積を有するアルナイトを生成させる方法が記載されている。この方法で生成したアルナイトは多孔性を持つ薄片状の集合体で、直径14および30Å程度の幅のスリット状細孔があり、水吸着能がシリカゲルに匹敵し、SO2、NO吸着能が高く、また酸性染料をもよく吸着することが報告されている。
特許文献1には、塩化カルシウムとケロシンの混合乳濁液と炭酸ナトリウムを反応させて、粒径1〜3μmのシリカの微小球殻状粒子を生成させる方法等が開示されている。
特許文献2には、硫酸アルミニウムと硫酸カリウムの混合溶液に水酸化カリウムを加えて、pHを一定範囲に維持しつつ、反応系の温度を100〜300分間で60〜100℃まで上昇させ、比表面積および細孔容積の大きいアルナイト型多孔質結晶を析出させる方法が開示されている。このような方法で合成されたアルナイト型多孔質粒子は、BET比表面積が295〜327m2/g、細孔容積が0.08〜0.17cc/gの範囲の値を示し、メチレンブルー、ナフトールイエローS等の染料をよく吸着することが示されている。
特許文献6には、炭酸カルシウムをテンプレートとしてシリカ中空粒子を調製する方法が開示されている。すなわち、40〜80nmの微小炭酸カルシウム粒子にシリカをコーティングしたのち、水に分散し塩酸を過剰に加えて炭酸カルシウムを溶解させ、粒子径が350nmであるシリカ中空粒子を得ることができる。
また、特許文献4では、均一な粒子粒子を得るために、疎水化処理されたミクロ多孔質膜を用意しなければならない等により、安価な製造は困難である。
製造方法に関しては特許文献5に開示された酸処理による方法が比較的簡便であるが、220℃以上で処理しなければならない上に、水洗、乾燥後さらに350〜1000℃で焼成する必要があったため、安価な製造は困難である。
混練の際の耐破壊性については上記いずれの文献においても言及されていない。
Zα[Al1−σZ′σ]βQωRξ(OH)ν・γH2O (I)
(ただし、Zは、Na+、K+、NH4 +およびH3O+なる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、Z′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Qは少なくとも1種の有機酸アニオン、Rは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中α、β、γ、ν、σ、ξおよびωは、0.7≦α≦1.35、2.7≦β≦3.3、0≦γ≦5、4≦ν≦7、0≦σ≦0.6、1.7≦ξ≦2.4、0≦ω≦0.5とする。)
さらに本発明によれば、下記一般式(II)で表わされるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子と酸性溶液を接触させて加熱反応させることを特徴とするアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法が提供される。
Ma[Al1−xM′x]bAzBy(OH)n・mH2O (II)
(ただし、Maは、Na+、K+、NH4 +およびH3O+なる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、M′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Aは少なくとも1種の有機酸アニオン、Bは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中a、b、m、n、x、yおよびzは、0.7≦a≦1.35、2.7≦b≦3.3、0≦m≦5、4≦n≦7、0≦x≦0.6、1.7≦y≦2.4、0≦z≦0.5とする。)
0.6≦アルカリ当量比≦1.1
となるような範囲に設定することにより、球状の微粒子でありかつ均一な粒子形状を有するアルナイト型化合物粒子を合成できる。より具体的には、例えば、硫酸アルミニウムと硫酸ナトリウムの混合溶液に、アルカリ当量比が1.0になるように水酸化ナトリウムを添加して水熱反応させると、球状の下記(III)式で表されるアルナイト型化合物粒子が得られる。
Na0.96Al3(SO4)1.92 (OH)6.12・0.63H2O (III)
また、硫酸ナトリウム、クエン酸(H3C6H5O7・H2O)、硫酸アルミニウムの混合溶液に、水酸化ナトリウムを添加して、水熱処理を行なうことにより下記(IV)式の球状の有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子を合成することができる。
Na1.11Al3(SO4)1.86(C6H5O7)0.14(OH)5.97・0.8H2O (IV)
上記アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子は、核が成長してできた微細な一次粒子の凝集によっており、それら一次粒子の集合過程の違いにより球状、碁石状、六角板状、米粒状等種々の形状の粒子が生成する。
Zα[Al1−σZ′σ]βQωRξ(OH)ν・γH2O (I)
(ただし、Zは、Na+、K+、NH4 +およびH3O+なる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、Z′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Qは少なくとも1種の有機酸アニオン、Rは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中α、β、γ、ν、σ、ξおよびωは、0.7≦α≦1.35、2.7≦β≦3.3、0≦γ≦5、4≦ν≦7、0≦σ≦0.6、1.7≦ξ≦2.4、0≦ω≦0.5とする。)
Ma[Al1−xM′x]bAzBy(OH)n・mH2O (II)
(ただし、Maは、Na+、K+、NH4 +およびH3O+なる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、M′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Aは少なくとも1種の有機酸アニオン、Bは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中a、b、m、n、x、yおよびzは、0.7≦a≦1.35、2.7≦b≦3.3、0≦m≦5、4≦n≦7、0≦x≦0.6、1.7≦y≦2.4、0≦z≦0.5とする。)
図1および2は本発明の実施例により得られた粒子のSEM写真である。球形多孔質粒子は図2、碁石状多孔質粒子は図1に示されている。特に図1の碁石状多孔質粒子は中空である。
Wadellの球形度sは、
s=(粒子と等体積の球の表面積)/(粒子の表面積)
で定義され、sが1に近い程真球に近い。
Wadellの円形度cは、
c=(粒子の投影面積と等面積円の周長)/(粒子の投影面の周長)
で表わされ、cが1に近い程、真円に近い。
上記のように、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質または多孔質中空粒子は、用途や目的に応じて球状または碁石状の形状を提供でき、かつ粒子径をコントロールできる。すなわち、形状に関しては、断熱剤、重量軽減剤、爆薬の鋭感剤としては球状、吸着剤としては碁石状等、最適な形状のアルミニウム塩水酸化物多孔質または多孔質中空粒子を提供することが可能である。
また、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質中空粒子は、粒子体積に対する、粒子内部の空洞容積の割合が20〜70%であり、好適な態様では40〜60%である。
本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子は、ζ=(細孔分布半値幅)/(平均細孔直径) で表される細孔径ばらつきζが0.1≦ζ≦0.5の範囲にあり均一な細孔径を持つ。ここで、「細孔分布半値幅」とは、細孔分布のピーク細孔容積に対し1/2の細孔容積をもつ2点間の幅である。従って、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子は、特定の物質の選択吸着性があり、悪臭ガスや有害物質の吸着剤として単体で使用もしくは繊維、樹脂等に配合しても有用である。
特に、酸として硫酸チタンおよびオキシ塩化ジルコニウム等を選択すると、アルミニウム塩水酸化物多孔質粒子表面に二酸化チタン、酸化鉄および酸化ジルコニウム等を析出、担持した多孔質中空粒子を生成させることができ、それら多孔質中空粒子は光触媒、導電性材料、磁性材料等として有用である。
また、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質中空粒子を減圧下で、染料溶液等で処理したのち洗浄することにより、染料等を内包したカプセルを作製することができる。このようなカプセル壁材は、薬品の徐放性壁材、保湿材等としても利用することができる。
本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質または多孔質中空粒子を樹脂、ゴム等へ添加する量は、添加剤としては、樹脂、ゴム等100重量部に対し、0.5〜90重量部であることが好ましい。0.5部より少ないと添加剤としての効果が不十分で90部を越えて配合しても効果は向上しないので、より好ましくは、1〜80重量部である。一方、充填剤としては、0.5〜100重量部であることが好ましい。0.5部より少ないと充填剤としての効果が不十分で95部を越えて配合しても効果は向上しないので、1〜95重量部であることがより好ましい。
室温において、2L容器に脱イオン水1Lを入れ、攪拌しつつ表1においてブランクAで示される蓚酸(C2O4)含有アルミニウム塩水酸化物70g(Al 0.472mol)を添加、懸濁させる。該懸濁液に、18mol/LのH2SO4水溶液12mlを滴下する。このときの酸添加濃度αすなわちα=(H2SO4のmol数)/(蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物のAlのmol数)は0.458であり、懸濁液のpHは0.67(29.3℃)であった。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。反応終了時のpHは1.15(24.6℃)であった。冷却後、濾別、水洗し105℃で15時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子49.68gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が142m2/g、全細孔容積が0.204ml/gと、硫酸処理前のBET比表面積および全細孔容積がそれぞれ34倍、32倍になっていることから多孔質であることがわかる。また、該多孔質粒子の平均粒子径を含む特性を表2に示す。レーザー回折法による粒度分布を図3に示す。
室温において、1L容器に脱イオン水500mlを入れ、攪拌しつつ表1においてブランクBで示されるクエン酸含有アルミニウム塩水酸化物35g(Al 0.2318mol)を添加、懸濁させる。該懸濁液に、0.6mol/Lの蓚酸((COOH)2・2H2O)水溶液150mlを滴下する(酸添加濃度α=0.388)と、このときの懸濁液のpHは1.18(26.5℃)であった。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。反応終了時のpHは1.74(26.7℃)であった。冷却後、濾別、水洗し105℃で15時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子21.84gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が99.3m2/g、全細孔容積が0.143ml/gの多孔質中空粒子であった。該多孔質粒子の特性を表2に示す。
室温において、1L容器に脱イオン水700mlを入れ、攪拌しつつブランクA 35g(Al 0.236mol)を添加、懸濁させ、該懸濁液に、3.37NのNaOH水溶液21mlを滴下する。このときのアルカリモル比β、すなわち蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物のAl含量とNaOHとのモル比β=[NaOH]/[Al]は0.30であった。懸濁液を加熱し60℃で2時間反応させた。反応終了時のpHは7.62(25℃)であった。反応終了後、濾別、水洗し105℃で16時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子28.7gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が64.9m2/g、全細孔容積が0.141ml/gの多孔質粒子であった。該多孔質粒子の特性を表2に示す。
室温において、1L容器に脱イオン水650mlを入れ、攪拌しつつブランクB 35g(Al 0.2318mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、30%硫酸チタン(Ti(SO4)2)液59.81gを脱イオン水100mlで希釈した液を3分間で注加する(酸添加濃度α=0.645)。このときの懸濁液のpHは0.56(25.4℃)であった。該懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させ、攪拌しながら、さらに1.68N Na2CO3水溶液66mlを4分間で注加し(アルカリモル比β=0.957)、90℃で1時間反応させTiO2を十分に析出させた。冷却後の反応液pHは2.27(25.3℃)であった。さらに、濾別、水洗し105℃で20時間乾燥させて、TiO2 17.2%を含むTiO2(アナタース)担持碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子23.8gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が88.83m2/g、全細孔容積が0.161ml/gの多孔質中空粒子であった。さらに図1Bおよび図1Cに示すSEM写真から、中空であることがわかる。該多孔質中空粒子の特性を表2に示す。
室温において、1L容器に脱イオン水500mlを入れ、攪拌しつつブランクCで示される酒石酸含有アルミニウム塩水酸化物70g(Al 0.4369mol)を添加、懸濁させる。該懸濁液に、18mol/LのH2SO4水溶液10mlおよび0.21mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム(ZrCl2O・8H2O)150mlを滴下する(酸添加濃度α=0.556)。このときの懸濁液のpHは0.93(26.4℃)であった。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させ、攪拌しながら、さらに3.03N K2CO3水溶液36mlを3分間で注加し(アルカリモル比β=0.506)、90℃で1時間反応させZrO2を十分に析出させた。冷却後の反応液pHは3.98(24℃)であった。さらに、濾別、水洗し105℃で18時間乾燥させて、ZrO2 9.5%を含むZrO2担持碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子72gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が92m2/g、全細孔容積が0.129ml/gの多孔質中空粒子であった。該多孔質中空粒子の特性を表2に示す。
室温において、1L容器に脱イオン水 500 mlを入れ、攪拌しつつ表1においてブランクC 35g(Al 0.2184mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、18mol/LのH2SO4水溶液10mlおよび0.16mol/Lの硫酸鉄(Fe2(SO4)3) 150mlを滴下した(酸添加濃度α=1.15)。このときの懸濁液のpHは0.47(27.4℃)であった。懸濁液を加熱し90℃ で2時間反応させ、攪拌しながら、さらに18.6N KOH水溶液25mlを3分間で注加し(アルカリモル比β=2.13)、90℃で1時間反応させた。冷却後の反応液pHは2.98(24.5℃)であった。その後、濾別、水洗し105℃で18時間乾燥させて、Fe2O3 10.1%を含む碁石状アルミニウム鉄塩水酸化物粒子32.68gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が67.7m2/g、全細孔容積が0.108ml/gの多孔質中空粒子であった。該多孔質中空粒子の特性を表3に示す。レーザー回折法による粒度分布を図4に示す。
室温において、1L容器に脱イオン水500mlを入れ、攪拌しつつブランクB 35g(Al 0.2318mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、30%硫酸チタン(Ti(SO4)2)溶液38.9gを脱イオン水100mlに希釈した溶液を3分間で注加した(酸添加濃度α=0.42)。このときの懸濁液のpHは0.77(24.6℃)であった。懸濁液を加熱し100℃ で2時間反応させた。冷却後の反応液pHは1.26(23.5℃)であった。その後、濾別、水洗し105℃で18時間乾燥させて、TiO2 11.24%を含むTiO2(アナタース)担持碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子21.07gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が147m2/g、全細孔容積が0.21ml/gの多孔質中空粒子であった。該多孔質中空粒子の特性を表3に示す。
室温において、1L容器に脱イオン水700mlを入れ、攪拌しつつブランクC 35g(Al 0.2184mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、18mol/LのH2SO4水溶液9mlを滴下する(酸添加濃度α=0.74)。このときの懸濁液のpHは0.76(29.3℃)であった。懸濁液を加熱し60℃で2時間反応させた。その後、濾別、水洗し105℃で20時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子24.54gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が139m2/g、全細孔容積が0.188ml/gの多孔質粒子であった。該多孔質粒子の特性を表3に示す。
室温において、2L容器に脱イオン水1Lを入れ、攪拌しつつ表1においてブランクDで示されるDL−グリセリン酸含有アルミニウム塩水酸化物35g(Al 0.228mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、18mol/LのH2SO4水溶液1.6mlを滴下する。(酸添加濃度α=0.126)であり、懸濁液のpHは0.89(29.3℃)であった。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。冷却後、濾別、水洗し105℃で15時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子31.5gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が120m2/g、全細孔容積が0.132ml/gの多孔質粒子であった。該多孔質粒子の特性を表3に示す。
室温において、2L容器に脱イオン水1.2Lを入れ、室温下、撹拌しつつ、ブランクE 70g(Al 0.481mol)をを添加、懸濁させる。懸濁液に、濃H2SO4液(0.216mol)を注加する(酸添加濃度α=0.449)。このときの懸濁液のpHは0.65(29.3℃)であった。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。冷却後、濾別、水洗し、105℃で18時間乾燥させて、球状アルミニウム塩水酸化物粒子55gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が43.3m2/g、全細孔容積が0.079ml/gの多孔質粒子であった。該多孔質粒子の特性を表3に、SEM写真を図2に示す。レーザー回折法による粒度分布を図5に示す。
室温において、2L容器に脱イオン水1Lを入れ、攪拌しつつブランクA 70g(Al 0.479mol)を添加、懸濁させる。該懸濁液に、18mol/LのH2SO4水溶液0.8mlを滴下する(酸添加濃度α=0.03)。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。冷却後、濾別、水洗し105℃で15時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子67gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が23m2/g、全細孔容積が0.020ml/gであり、上記実施例と比較してBET比表面積および全細孔容積が小さい。該多孔質粒子の平均粒子径を含む特性を表4に示す。
室温において、2L容器に脱イオン水1Lを入れ、攪拌しつつブランクA 70g(Al 0.479mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、18mol/LのH2SO4水溶液32mlを滴下する(酸添加濃度α=1.2)。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。冷却後、濾別、水洗し105℃で15時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子17.6gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が105m2/g、全細孔容積が0.15ml/gであるが、上記実施例と比較して収率が低い。該多孔質粒子の平均粒子径を含む特性を表4に示す。
室温において、1L容器に脱イオン水700mlを入れ、攪拌しつつブランクA 70g(Al 0.479mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、3.37NのNaOH水溶液7.1mlを滴下する。このときのアルカリモル比β、すなわち蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物のAl含量とNaOHとのモル比β=[NaOH]/[Al] は0.05であった。懸濁液を加熱し60℃で2時間反応させた。反応終了時のpHは7.00(25℃)であった。反応終了後、濾別、水洗し105℃で16時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子65.6gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が18.5m2/g、全細孔容積が0.029ml/gの非多孔質の蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物粒子であった。すなわち、本比較例のごとくアルカリの添加量が少ないと、反応が進行せず、多孔質粒子はえられない。該粒子の特性を表4に示す。
室温において、1L容器に脱イオン水700mlを入れ、攪拌しつつブランクA 70g(Al 0.479mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、3.37NのNaOH水溶液142mlを滴下する。このときのアルカリモル比βは1.0であった。懸濁液を加熱し60℃で2時間反応させた。反応終了時のpHは8.01(25℃)であった。反応終了後、濾別、水洗し105℃で16時間乾燥させて、凝集塊状粒子33.2gを得た。
得られた粒子は、X線回折によって大部分がベーマイトであることが確認された。すなわち、本比較例のごとくアルカリの添加量が多すぎると、好ましくない副生成物が生成する。該粒子の特性を表4に示す。
実施例1、実施例2および実施例3のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子および、表1においてブランクAで示された蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物についてX線回折分析を行った結果、図6、図7、図8および図9のX線回折図を得た。これらの結果から、酸またはアルカリによって適正に処理して生成した多孔質粒子結晶構造において、酸またはアルカリ未処理のアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子の構造を維持していることがわかる。
実施例2のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子について測定した細孔分布図を図10に示す。本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子は均一なメソ孔をもつことがわかる。
実施例2のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子について測定した作成した吸脱着等温線を図11に示す。この吸脱着等温線のもつヒステリシスから、実施例2のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子はスリット型メソ孔をもつ可能性があることを示している。
ブランクAを酸処理することによって得られた、実施例4のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子および、表1においてブランクAで示された蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物について示差熱分析を行なった結果をそれぞれ図12および図13の結果を得た。
実施例5で作製したZrO2担持アルミニウム塩水酸化物多孔質中空粒子についてペレットを作製してUV〜可視〜近赤外光の吸収スペクトル測定した結果を図14に示す。紫外領域にZrO2のバンドギャップに相当(約248nm)する光吸収が認められる。
実施例4で作製したアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子を、ジメチルビニルシリコーンゴム(TSE201/GE東芝シリコーン)100重量部に対し、100重量部の割合で添加し、40rpmの速度で15分間混練し、SEM写真で観察される断面の状態から破壊の有無を調べた。図15のSEM写真が示すように、混練後の粒子の破壊は認められず、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質中空粒子は、樹脂に混練するのに十分な耐圧強度をもつことがわかる。
分析、テストの方法および装置を以下に説明する。
(1)SEM
方法:加速電圧15kV、作動距離10mm、倍率×2000、×10000、×20000
装置:S−3000N(日立)
(2)示差熱分析
方法:空気雰囲気100mL/min;参照試料α−アルミナ;昇温速度10℃/分
装置:Thermal Analysis Station TAS 100;TG8110(理学)
(4)粒度分布の分析
方法:0.2%のヘキサメタリン酸ナトリウムに試料粉末を添加し(濃度:wt1%)、超音波で3分間分散させ、粒子径を測定した。
装置:LA−910(HORIBA)
(5) BET比表面積、細孔分布、吸脱着等温線の分析
方法:3点法による
装置: NOVA2000高速比表面積/細孔分布測定装置(ユアサ アイオニクス)
(6)X線回折の分析
方法:Cu−Kα、角度(θ):5〜65、ステップ:0.02、スキャンスピード:4、管電圧:40kV、管電流:20mV
装置:RINT2200V X線回折システム(理学電機(株)社製)
(7)樹脂への混練
装置:プラストミル(ブラベンダー社製)
Claims (21)
- BET法による比表面積が、30m2/g〜280m2/gの範囲でありかつ、下記一般式(I)で表わされるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
Zα[Al1−σZ′σ]βQωRξ(OH)ν・γH2O (I)
(ただし、Zは、Na+、K+、NH4 +およびH3O+なる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、Z′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Qは少なくとも1種の有機酸アニオン、Rは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中α、β、γ、ν、σ、ξおよびωは、0.7≦α≦1.35、2.7≦β≦3.3、0≦γ≦5、4≦ν≦7、0≦σ≦0.6、1.7≦ξ≦2.4、0≦ω≦0.5とする。) - 見掛け比重が0.3〜0.8g/cm3である請求項1記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
- 全細孔容積が0.02〜0.25ml/gの範囲にある請求項1記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
- 粒子内部に空洞を有することを特徴とする請求項1記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
- 粒子内部に空洞を有しかつ粒子体積に対する、粒子内部の空洞容積の割合が20〜70%であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
- BJH法による細孔分布において、ζ=細孔分布半値幅/平均細孔直径 で表される細孔径ばらつきζが0.1≦ζ≦0.5の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
- レーザー回折法によって測定される、累積粒度分布曲線の10%値、50%値および90%値の粒子径をそれぞれD10、D50およびD90として、0≦(D90−D10)/D50≦0.5を満足することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
- SEM画像で特定される粒子の形状が球状または碁石状であることを特徴とする請求項1に記載の多孔アルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
- レーザー回折法によって測定される平均粒子径が0.1〜12μmの範囲にある請求項1に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
- 800℃以下で焼成されていることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
- 下記一般式(II)で表わされるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子と酸性溶液を接触させて加熱反応させることを特徴とするアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
Ma[Al1−xM′x]bAzBy(OH)n・mH2O (II)
(ただし、Maは、Na+、K+、NH4 +およびH3O+なる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、M′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Aは少なくとも1種の有機酸アニオン、Bは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中a、b、m、n、x、yおよびzは、0.7≦a≦1.35、2.7≦b≦3.3、0≦m≦5、4≦n≦7、0≦x≦0.6、1.7≦y≦2.4、0≦z≦0.5とする。) - 酸性溶液と接触させて加熱反応させたのち、さらにアルカリ性溶液と接触させて加熱反応させることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
- 前記酸性溶液が、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩から選ばれる少なくとも1種の酸性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
- 前記酸性溶液が、硫酸、硫酸チタン、硫酸鉄(III)、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸、塩酸、酢酸、蓚酸およびクエン酸から選ばれる少なくとも1種の酸性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
- 前記酸性溶液が、硫酸、硫酸チタン、硫酸鉄(III)、オキシ塩化ジルコニウム、蓚酸およびクエン酸から選ばれる少なくとも1種の酸性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
- 上記(II)式で表されるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子に含まれるアルミニウムモル数に対する前記酸のモル数の比、[酸のmol数]/[Alのmol数] で表される酸添加濃度αが、0.05≦α≦1.1の範囲であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
- 上記一般式(II)で表わされるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子と、アルカリ性溶液を接触させて加熱反応させることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
- 前記アルカリ性溶液が、アルカリ性金属塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
- 前記アルカリ性溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
- 前記アルカリ性溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
- 上記(II)式で表されるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子に含まれるアルミニウムモル数に対する前記アルカリのモル数の比、[アルカリのmol数]/[Alのmol数] で表されるアルカリ添加濃度βが、アルカリ単独処理の場合において、0.1≦β≦0.3の範囲であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
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