JP4710097B2 - 積層型正特性サーミスタ - Google Patents

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Description

本発明は、過電流保護用、温度検知用等の積層型正特性サーミスタに関し、特に室温抵抗値の経時変化率を向上させた積層型正特性サーミスタに関する。
近年、電子機器の分野では小型化が進んでおり、これらの電子機器に搭載される正特性サーミスタにおいても小型化が進んでいる。この正特性サーミスタは正の抵抗温度特性を有するものであり、小型化された正特性サーミスタとして、例えば、積層型正特性サーミスタが知られている。
この種の積層型正特性サーミスタは、通常、正の抵抗温度特性を有する複数の半導体セラミック層と、半導体セラミック層の界面に沿ってそれぞれ形成された複数の内部電極層とを有するセラミック素体を有し、前記セラミック素体の両端部には前記内部電極層が互い違いになるように引き出され、この引き出された内部電極層と電気的に接続するように外部電極が形成されている。また、半導体セラミック層としては、BaTiO系セラミック材料を主成分としたものが用いられている。さらに、BaTiO系セラミック材料で正の抵抗温度特性を発現させるには、極微量の半導体化剤が添加されるが、この半導体化剤としては、一般にはSmが広く用いられている。
また、積層型正特性サーミスタの内部電極材料としては、Niが広く用いられている。通常、積層型正特性サーミスタのセラミック素体は、半導体セラミック層となるセラミックグリーンシートに、内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷して導体パターンを形成し、導体パターンの形成されたセラミックグリーンシートを所定順序で積層し、セラミックグリーンシートと導体パターンとを一体焼成することによって形成される。
ところで、内部電極材料としてNiを用いた場合、大気雰囲気下で一体焼成するとNiが酸化されてしまうため、還元雰囲気下で一体焼成する必要があるが、還元雰囲気下で一体焼成すると、半導体セラミック層も還元されてしまうため、十分な抵抗変化率が得られなくなる。このため、通常は還元雰囲気下で一体焼成を行った後に、別途、大気雰囲気下または酸素雰囲気下で再酸化処理を行っている。
しかしながら、この再酸化処理は、熱処理温度の制御が難しく、セラミック素体の中央部にまで酸素を行き渡らすのが困難であり、このため酸化むらが生じて十分な抵抗変化率が得られなくなるおそれがある。
そこで、特許文献1では、半導体セラミック層の空隙率を5〜40体積%とし、積層方向に関して最も外側にそれぞれ位置する2つの内部電極間にある有効層となる複数のサーミスタ層のうち、積層方向での中央部にあるサーミスタ層の空隙率が、積層方向での外側にあるサーミスタ層の空隙率よりも高くした積層型正特性サーミスタが提案されている。
特許文献1では、半導体セラミック層の空隙率を5〜40体積%としているが、この空隙率を焼結密度に換算すると、おおよそ理論焼結密度の60%以上95%以下に相当する。そして、この特許文献1では、半導体セラミック層の実測焼結密度を理論焼結密度の60以上95%以下と小さくし、空隙率を中央部のサーミスタ層よりも外側のサーミスタ層よりも大きくすることにより、セラミック素体の中央部にまで酸素を行き渡りやすくし、これにより酸化むらが生じるのを防いで所望の抵抗変化率を得ようとしている。
一方、半導体セラミック層となるべきセラミックグリーンシートと内部電極層となるべき導体パターンとを還元雰囲気下で一体焼成した後に、大気中雰囲気下または酸素雰囲気で一体焼成すると、半導体セラミック層に熱及び雰囲気履歴が多く加わるため、半導体セラミック層には歪みが生じ、室温抵抗値の経時変化率が大きくなるおそれがある。
そこで、このような室温抵抗値の経時変化率を小さくする方法として、特許文献2に示すように、外部電極が形成されたセラミック素体に60℃以上200℃以下の熱処理を行うようにした積層型正特性サーミスタの製造方法が提案されている。
この特許文献2では、セラミック素体に外部電極を形成した後、60〜200℃の温度で熱処理を行うことにより、上記半導体セラミック層の歪みを徐々に緩和し、室温抵抗値の経時変化率を安定化させるようとしている。
特開2005−93574号公報 特開2004−134744号公報
しかしながら、特許文献2の製造方法では、60〜200℃の温度で熱処理を行っているが、室温抵抗値の経時変化率を安定化させるためには、100時間程度の熱処理時間が必要とされ(特許文献2、段落番号〔0023〕参照)、したがって熱処理に長時間を要することとなり、生産効率が悪く、量産性に欠けるという問題点があった。
また、半導体化剤として、特許文献1のようにSmを用いた場合、半導体セラミック層の焼結密度が低いと、粒子間結合も弱く、結晶格子が不安定になるため、たとえ特許文献2のような熱処理を施しても室温抵抗値の経時変化率を十分に安定化するのは困難である。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、BaTiO系セラミック材料を主成分とする焼結密度の低い半導体セラミック層を有する場合であっても、熱処理等の煩雑な方法を伴わずに、室温抵抗値の経時変化率が小さい積層型正特性サーミスタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、半導体セラミック層がBaTiO系セラミック材料を主成分とし、かつ実測焼結密度が理論焼結密度の65〜90%という焼結密度の低い場合であっても、BaサイトとTiサイトの比を0.998〜1.006の範囲とし、かつ、半導体化剤として、La、Ce等の特定の物質を添加すると共に、内部電極層の厚みdを0.6μm以上とし、この厚みdと半導体セラミック層の厚みDとの比であるd/Dを0.2未満とすることにより、内部電極層と半導体セラミック層を還元雰囲気下で一体焼成し、かつ再酸化処理を行っても歪みが生じるのを抑制することができ、その結果、室温抵抗値の経時変化率を小さくできるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る積層型正特性サーミスタは、実測焼結密度が理論焼結密度の65%以上90%以下である半導体セラミック層と内部電極層とが交互に積層されて焼成されてなるセラミック素体と、前記内部電極層と電気的に接続されるように前記セラミック素体の両端部に形成された外部電極とを有する積層型正特性サーミスタにおいて、前記半導体セラミック層は、BaTiO系セラミック材料を主成分とすると共に、BaサイトとTiサイトの比が0.998≦Baサイト/Tiサイト≦1.006であり、かつ、半導体化剤としてLa、Ce、Pr、Nd、及びPmの中から選択された少なくとも一種の元素を含み、前記内部電極層の厚みd及び前記半導体セラミック層の厚みDが、d≧0.6μm、かつd/D<0.2を満足することを特徴としている。
また、本発明者らの更なる鋭意研究の結果、半導体化剤の添加量を、BaTiO系セラミック材料のTi100モル部に対し、0.1〜0.5モル部の範囲とすることにより、焼結性を向上させることができ、より低温で焼成しても大きな抵抗変化率を維持しつつ室温抵抗値を小さくすることが可能であるということが分かった。
すなわち、本発明の積層型正特性サーミスタは、前記半導体化剤が、前記BaTiO系セラミック材料のTi100モル部に対し、0.1モル部以上0.5モル部以下の範囲で含有されることを特徴としている。
上記積層型正特性サーミスタによれば、前記半導体セラミック層は、BaTiO系セラミック材料を主成分とすると共に、BaサイトとTiサイトの比が0.998≦Baサイト/Tiサイト≦1.006であり、かつ、半導体化剤としてLa、Ce、Pr、Nd、及びPmの中から選択された少なくとも一種の元素を含み、前記内部電極層の厚みd及び前記半導体セラミック層の厚みDが、d≧0.6μm、かつd/D<0.2を満足するので、半導体セラミック層の実測焼結密度が理論焼結密度の65〜90%という焼結密度の低い場合であっても、長時間の熱処理を行わなくても歪みを低減することができ、室温抵抗値の経時変化率が小さい積層型正特性サーミスタを得ることができる。
また、前記半導体化剤が、前記BaTiO系セラミック材料のTi100モル部に対し、0.1モル部以上0.5モル部以下の範囲で含有されているので、焼成温度の低温化を図ることができ、より低温で焼結しても大きな抵抗変化率を維持したまま、室温抵抗値を小さくすることができる。したがって、室温抵抗値の経時変化率が小さく、しかも大きな抵抗変化率と小さな室温抵抗値を有する積層型正特性サーミスタを得ることができる。
本発明に係る積層型正特性サーミスタの一実施の形態を模式的に示した概略断面図である。
符号の説明
2 半導体セラミック層
3a、3b 内部電極層
4 セラミック素体
5a、5b 外部電極
次に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る積層型正特性サーミスタの一実施の形態を模式的に示した概略断面図である。
本積層型正特性サーミスタは、半導体セラミック層2を有するセラミック素体4の内部に内部電極層3a、3bが埋設されている。そして、セラミック素体4の両端部には、内部電極層3a、3bと電気的に接続されるように外部電極5a、5bが形成されている。すなわち、内部電極層3aはセラミック素体4の一方の端面に、内部電極層3bはセラミック素体4の他方の端面に、交互に引き出されるように形成されている。そして、外部電極5aは内部電極層3aと電気的に接続され、外部電極5bは内部電極層3bと電気的に接続されている。
また、外部電極5a、5bの表面にはNi等からなる第1のめっき皮膜6a、6bが形成され、さらに第1のめっき皮膜6a、6bの表面にはSn等からなる第2のめっき皮膜7a、7bが形成されている。
そして、上記半導体セラミック層2は、実測焼結密度が理論焼結密度の65%以上90%以下とされている。
すなわち、実測焼結密度が理論焼結密度の65%未満になると焼結密度が低すぎるため、セラミック素体4の機械的強度が低下したり、室温抵抗値が高くなる。一方、実測焼結密度が理論焼結密度の90%を超えてしまうと焼結密度が高すぎるため、再酸化処理で酸素をセラミック素体4の中央部にまで行き渡らせるのが困難となり、したがって再酸化処理が円滑に進行しない。このため十分な抵抗変化率を得ることができず、室温抵抗値の経時変化率も大きくなる。
これに対し半導体セラミック層2の実測焼結密度を理論焼結密度の65%以上90%以下とした場合は、機械的強度の低下を招くこともなく、再酸化処理で酸素をセラミック素体4の中央部にまで行き渡らせることができ、その結果十分な抵抗変化率を有する積層型正特性サーミスタを得ることが可能となり、しかも、室温抵抗値の経時変化率を小さいまま維持することが可能となる。
上記半導体セラミック層2は、組成的には、ペロブスカイト型構造(一般式ABO)を有するBaTiO系セラミック材料を主成分とし、かつ半導体化剤としてLa、Ce、Pr、Nd、及びPmのうちの少なくとも一種が含有されており、これにより室温抵抗値の経時変化率の低減化を実現している。
主成分を構成するBaTiO系セラミック材料は、具体的には、BaサイトとTiサイトとの比(=Baサイト/Tiサイト)が0.998以上1.006以下となるように配合されている。
すなわち、Baサイト/Tiサイトが0.998未満になると室温抵抗値の経時変化率が大きくなり、かつ、室温抵抗値も高くなる。一方、Baサイト/Tiサイトが1.006を超えた場合も室温抵抗値の経時変化率が大きくなり、室温抵抗値も高くなる。特に、高温多湿下(例えば、温度60℃、湿度85〜90%)で長時間放置した場合に室温抵抗値の経時変化率が大きくなる。
そこで、本実施の形態では、Baサイト/Tiサイトが0.998以上1.006以下となるように各組成の配合量が調整されている。
尚、Baサイトとは、一般式ABOで表されるBaTiOにおいて、Baが配位するAサイト全体を意味する。したがって、本実施の形態の場合、上記半導体化剤はBaの一部と置換してAサイトに配位されるが、BaサイトとはBaのみならずこれら半導体化剤やその他の置換元素を含めたものをいう。同様に、Tiサイトとは、Tiが配位するBサイト全体を意味し、したがって、Tiの一部がNiで置換されている場合は、Tiのみならずこれらの置換元素を含めたものをいう。
また、半導体セラミック層2に含有される半導体化剤として、La、Ce、Pr、Nd、及びPm(以下、これらの半導体化剤を「特定の半導体化剤」と総称する。)に限定したのは以下の理由による。
特許文献1にも記載されているように、従来より、この種の積層型正特性サーミスタでは、半導体化剤としてSmを使用するのが一般的であったが、このSmを半導体化剤に使用した場合、室温抵抗値の経時変化率が大きくなる傾向にあった。これはSmがBaサイトとTiサイトの双方に固溶しやすいことから、熱や雰囲気の履歴の影響を受けるとセラミックスの結晶格子に歪みが生じやすくなるためと考えられる。
一方、本発明者らの研究結果により、Baサイト/Tiサイトを0.998以上1.006以下とし、かつ、上記特定の半導体化剤を使用すると、これら特定の半導体化剤がBaサイトに選択的に固溶し、その結果、結晶格子が安定化しやすくなり、セラミックスの歪みが軽減されることが分かった。すなわち、Baサイト/Tiサイトを0.998以上1.006以下とし、かつ上記特定の半導体化剤を使用した場合は、特定の半導体化剤がBaサイトに選択的に固溶するため、半導体セラミック層2の実測焼結密度が理論焼結密度の65〜90%と低くても半導体セラミック層2の結晶格子が歪みにくくなり、これにより室温抵抗値の経時変化率が小さくなったものと思われる。
また、上記半導体化剤を半導体セラミック層2に含有させることにより、室温抵抗値の経時変化率を小さくすることができるが、Ti100モル部に対し、0.1モル部以上0.5モル部以下とすると、室温抵抗値を低くかつ十分な抵抗変化率を得ることができることから、より好ましい。
すなわち、従来のSmを半導体化剤として使用した場合は、低い室温抵抗値と十分に大きな抵抗変化率を得るためには、1250℃以上の高い温度で還元雰囲気下、焼成する必要があることが知られていた。
しかしながら、本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、上記特定の半導体化剤を、Ti100モル部に対し、0.1モル部以上0.5モル部以下の範囲で半導体セラミック層2に含有させた場合は、還元雰囲気下、1150℃という低い焼成温度で焼成しても、十分に大きな抵抗変化率を維持したまま、室温抵抗値を小さくできることが分かった。
そして、上記半導体化剤を半導体セラミック層2に含有させることにより、室温抵抗値の経時変化率を小さくすることができるのであるから、特定の半導体化剤の含有量をTi100モル部に対し、0.1モル部以上0.5モル部以下とすると、室温抵抗値の経時変化率が小さく、しかも十分に大きな抵抗変化率と小さな室温抵抗値を有する積層型正特性サーミスタを得ることができることとなる。
尚、特定の半導体化剤の含有量が、Ti100モル部に対し0.1モル部未満になると、半導体化剤が少なすぎるため十分に半導体化が進まず、室温抵抗値が高くなるおそれがあり、一方、半導体化剤の含有量が、Ti100モル部に対し0.5モル部を超えた場合も室温抵抗値が高くなり、しかもこの場合は抵抗変化率も小さくなるおそれがあるため、小さな室温抵抗値と十分に大きな抵抗変化率を得る観点からは好ましくない。
また、本積層型正特性サーミスタは、内部電極層3a、3bの厚みdは0.6μm以上に形成され、内部電極層3a、3bの厚みdと半導体セラミック層2の厚みDとの比d/Dは0.2未満となるように形成されている。
すなわち、内部電極層3a、3bの厚みdが0.6μm未満になると、内部電極層3a、3bと外部電極5a、5bとの接触面積が減少し、このため電気的な接続が不安定となり、室温抵抗値の経時変化率も不安定になる。また、内部電極層3a、3bの厚みdと半導体セラミック層2の厚みDとの比d/Dが0.2以上になると、内部電極層3a、3bと半導体セラミック層2とが一体焼成されて焼結された場合に、内部電極層3a、3bと半導体セラミック層2との間に生じる応力の影響を受けて歪みが生じ、このため室温抵抗値の経時変化率が大きくなるおそれがある。
これに対し、内部電極層3a、3bの厚みdを0.6μm以上とし、前記比d/Dを0.2未満とすることにより、内部電極層と半導体セラミック層とが一体焼成されて焼結された際、構造的な歪みが生じるのを抑制することができる。
そこで、本実施の形態では、内部電極層3a、3bの厚みdを0.6μm以上とし、前記比d/Dを0.2未満としている。
尚、内部電極層3a、3bを構成する内部電極材料としては、半導体セラミック層2とのオーミック接触に優れた材料が好ましく、例えばNi、Cu等の卑金属からなる単体又は合金を主成分とすることが好ましい。
また、外部電極5a、5bを構成する外部電極材料としては、Ag、Ag−Pd、及びPd等の貴金属の単体及び合金、またはNi、及びCu等の卑金属の単体及び合金等を使用することができるが、内部電極層3a、3bとの接続及び導通が好適なものを選ぶのが好ましい。
このように本積層型正特性サーミスタは、(i)BaサイトとTiサイトの比を0.998以上1.006以下とし、(ii)特定の半導体化剤(La、Ce、Pr、Nd、及びPm)を半導体セラミック層2に含有させ、(iii)内部電極層3a、3bの厚みdを0.6μm以上とし、かつ前記比d/Dを0.2未満としているので、半導体セラミック層2の実測焼結密度が理論焼結密度の65%以上90%以下という焼結密度の低い場合であっても、室温抵抗値の経時変化率の小さく、構造的な歪みが生じるのを抑制された積層型正特性サーミスタを得ることができる。
特に、半導体化剤の含有量が、BaTiO系セラミック材料のTi100モル部に対し、0.1モル部以上0.5モル部以下とすることにより、1150℃という低温での焼成が可能となり、室温抵抗値の経時変化率が小さく、かつ、十分に大きな抵抗変化率を確保しつつ、室温抵抗値の低い高品質の積層型正特性サーミスタを得ることができる。
次に、上記積層型正特性サーミスタの製造方法を説明する。
まず、出発原料としてBaCO、TiO、及びLa、CeO、Pr11、Nd、Pmのうちの少なくとも1種を用意する。
そして、セラミック組成が(Ba1-ααTi(ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Pmのうちの少なくとも1種、0.998≦x/y≦1.006、好ましくは0.001≦α≦0.005)となるように前記出発原料を所定量秤量する。次いで、該秤量物を部分安定化ジルコニア等(以下、「PSZボール」という。)の粉砕媒体と共にボールミルに投入して十分に湿式混合粉砕し、その後、所定温度(例えば、1000〜1200℃)で仮焼しセラミック粉末を作製する。
次に、前記セラミック粉末に有機バインダを加え、湿式で混合処理を行なってセラミックスラリーを作製する。その後、得られたセラミックスラリーをドクターブレード法等のシート成形法を用いてシート状に成形し、セラミックグリーンシートを作製する。
この際、焼成後の半導体セラミック層2の実測焼結密度が理論焼結密度の65〜90%となるように、有機バインダの添加量を調整する。また、焼成後の半導体セラミック層2の厚みDと内部電極層3a、3bの厚みdとの関係が、d/D<0.2を満足するようにセラミックグリーンシートの厚みを調整する。
次いで、Niを主成分とした内部電極用導電性ペーストを用意する。そして、前記セラミックグリーンシート上に前記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷等によって印刷し、導体パターンを形成する。尚、この際に焼成後の内部電極層3a、3bの厚みdが0.6μm以上であり、かつ前記d/Dがd/D<0.2を満足するように導体パターンの塗布厚みを調整する。
次に、これら導体パターンの形成されたセラミックグリーンシートを所定順序に積層した後、導体パターンの形成されていないセラミックグリーンシートを上下に配し、圧着して積層体を作製する。
次いで、この積層体を所定寸法に切断してアルミナ製の匣(さや)に収容し、所定の温度(例えば300〜400℃)で脱バインダ処理を行った後、所定の還元雰囲気下(例えば、Nガスに対するHガスの濃度が1〜3重量%程度)、所定温度(例えば、1100〜1300℃)で焼成処理を施し、内部電極層3a、3bと半導体セラミック層2とが交互に積層されたセラミック素体4を形成する。
続いて、上記セラミック素体4を大気雰囲気下、又は酸素雰囲気下、所定の温度(例えば、500〜700℃)で再酸化処理を行う。
続いて、セラミック素体4の両端部にスパッタリング処理を施してAgを主成分とする外部電極5a及び5bを形成する。さらに、外部電極5a及び5bの表面には電解めっきによりNi皮膜6a、6b、及びSn皮膜7a、7bを順次形成し、これにより上記積層型正特性サーミスタが製造される。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、半導体セラミック層2の焼結密度に関しては、セラミックグリーンシート作製時の有機バインダの添加量で調整しているが、これに限るものではない。
また、上記実施の形態では、外部電極5a、5bの形成方法として、スパッタリング法を使用しているが、焼付け処理で形成してもよい。すなわち、外部電極用導電性ペーストをセラミック素体4の両端部に塗布した後、所定温度(例えば、500〜800℃)で焼付けて形成してもよく、この際、セラミック素体4への再酸化処理を兼ねるように構成してもよい。また、密着性が良好であれば、スパッタリング法以外の真空蒸着法等、他の薄膜形成方法を利用することも可能である。
また、上記実施の形態では、出発原料として酸化物を使用したが、炭酸塩等を使用することもできる。
また、本発明の積層型正特性サーミスタは、過電流保護用、温度検知用に有用であるがこれに限るものではない。図1の積層型正特性サーミスタでは内部電極層3a、3bは交互に外部電極5a、5bに接続されているが、少なくとも1組以上の連続する内部電極層3a、3bが半導体セラミック層2を介して異なる電位に接続された外部電極5a、5bに接続されていれば、その他の内部電極層3a、3bは必ずしも交互に形成する必要はなく、図1に示した形状の積層型正特性サーミスタに限定されるものではない。
また、セラミック素体4の表面のうち、外部電極5a、5bが形成されていない部分にガラス層や樹脂層等の保護層を形成してもよく(図示せず)、このような保護層を形成することで、より一層外部環境の影響が受けにくくなり、温度・湿度等による特性劣化を抑制することができる。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
まず、出発原料として、BaCO、TiO、La、CeO、Pr11、Nd、Pm、Smを用意し、半導体セラミック層の組成が(Ba0.9980.002)TiO(但し、AはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、又はSm)となるように、これら出発原料を秤量した。
続いて、これらの出発原料に純水を加え、PSZボールと共にボールミル内で10時間混合粉砕し、乾燥後、1150℃で2時間仮焼し、再度、PSZボールと共にボールミル内で粉砕して仮焼粉を得た。
次に、得られた仮焼粉に、アクリル酸系有機バインダ、分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩、及び純水を加えて、PSZボールと共にボールミル内で15時間混合してセラミックスラリーを得た。尚、アクリル酸系有機バインダの添加量は、焼成後の半導体セラミック層の実測焼結密度が理論焼結密度の75%となるように調整した。
続いて、得られたセラミックスラリーを、ドクターブレード法によりシート状に成形し、乾燥させて、焼成後の半導体セラミック層の厚みdが22μmとなるようにセラミックグリーンシートを作製した。
次に、Ni粉末と有機バインダとを有機溶剤に分散させて内部電極用導電性ペーストを得た。そして得られた内部電極用導電性ペーストを、セラミックグリーンシートの主面上に、焼成後の内部電極層の厚みDが1.1μmとなるようスクリーン印刷を施し、導体パターンを形成した。すなわち、本実施例では、セラミックグリーンシート及び導電パターンの各厚みは、焼成後の半導体セラミック層の厚みdと内部電極層の厚みDとの比d/Dが0.05となるように調整されている。
その後、導体パターンの形成されたセラミックグリーンシートを、導体パターンがセラミックグリーンシートを介して対向するようにセラミックグリーンシートを25枚積み重ね、さらに導体パターンの形成されていない保護用セラミックグリーンシートを上下に5枚づつ配して圧着し、次いで、長さ2.2mm、幅1.3mm、厚み0.9mmの寸法に切断して生の積層体を得た。この生の積層体を大気中400℃、12時間で脱バインダ処理を行った後、Nガスに対するHガスの濃度が3体積%に調整された還元雰囲気下、1150℃の焼成温度で2時間焼成し、半導体セラミック層と内部電極層とが交互に積層されたセラミック素体を得た。
次に、得られたセラミック素体の表面をバレル研磨した後、該セラミック素体をシリカ系のガラス溶液に浸漬し、乾燥し、次いで、大気雰囲気下、700℃の温度で熱処理を含む再酸化処理を行い、セラミック素体の表面にガラス保護層を形成した。その後、ガラス保護層が形成されたセラミック素体のうち、外部電極形成部分をバレル研磨し、そのセラミック素体の両端部にCu、Cr、及びAgをそれぞれターゲットにして順次スパッタリング処理を施し、三層構造の外部電極を形成した。
最後に、外部電極の表面に電解めっきを施してNi皮膜及びSn皮膜を順次形成し、試料番号1〜6の積層型正特性サーミスタを作製した。
次に、試料番号1〜6の各積層型正特性サーミスタを10個づつ用意し、室温抵抗25℃、湿度60%の環境下で、0.01Vの電圧を印加し、直流四端子法により室温抵抗値(初期値)X(Ω)を測定した。
続いて、上記各試料を、室温25℃、湿度60%の恒温恒室槽内で1000時間放置し、その後、各試料を、恒温恒室槽から取り出して、再び0.01Vの電圧を印加し、直流四端子法により1000時間放置後の室温抵抗値X′(Ω)を測定し、数式(1)により室温抵抗値の経時変化率ΔXを求めた。
ΔX=(X′−X)/X×100 …(1)
表1は、試料番号1〜6の各10個の試料について、最大値、最小値、及び平均値をそれぞれ示している。
尚、本実施例では、上述したように実測焼結密度が理論焼結密度の75%となるようにアクリル系有機バインダの添加量を調整しているが、この実測焼結密度は以下のようにして求めた。すなわち、まず、導電パターンの形成されていないセラミックグリーンシートを複数枚積層して焼成処理を施し、これにより焼結密度測定用の試料を別途作製し、この試料の体積と重量を測定することにより、算出した。
Figure 0004710097
表1から明らかなように、試料番号6は、半導体化剤としてSmを使用しているため、室温抵抗値の経時変化率ΔXは、平均値で8.0%、最小値でも6.3%となり、6%以上と大きくなることが分かった。
これに対し試料番号1〜5は、特定の半導体化剤、すなわちLa、Ce、Pr、Nd、及びPmを使用しているので、室温抵抗値の経時変化率ΔXは、平均値で1.1〜1.4%であり、1.5%以下に小さくできることが分かった。すなわち、本発明の特定の半導体化剤を使用することにより、室温抵抗値の経時変化率ΔXを大幅に抑制できることが確認された。
出発原料として、BaTiO、TiO、半導体化剤としてのCeOを用意し、半導体セラミック層の組成が(Ba0.998Ce0.002)TiOとなるようにこれら出発原料を秤量し、〔実施例1〕と同様の方法・手順で仮焼粉を得た。
次に、得られた仮焼粉に、アクリル酸系有機バインダ、ポリカルボン酸アンモニウム塩(分散剤)、及び純水を加えて、PSZボールと共にボールミル内で15時間混合してセラミックスラリーを得た。尚、アクリル系有機バインダの添加量は、焼成後の実測焼結密度が理論焼結密度の60〜95%となるように調整した。
その後は〔実施例1〕と同様の方法・手順を使用し、試料番号11〜18の積層型正特性サーミスタを作製した。
次に、試料番号11〜18の各積層型正特性サーミスタを10個づつ用意し、〔実施例1〕と同様の方法で室温抵抗値X、及び室温抵抗値の経時変化率ΔXを測定した。
また、試料番号11〜18の各積層型正特性サーミスタについて、抵抗変化率ΔRを求めた。すなわち各試料の積層型正特性サーミスタの各々10個について、温度25℃及び温度250℃における抵抗値R25、R250を、0.01Vの電圧を印加した状態で直流四端子法により測定し、数式(2)により抵抗変化率ΔR(桁数)を求めた。
ΔR=log(R250/R25) …(2)
表2は、各試料における理論焼結密度に対する実測焼結密度の相対比(以下、この実施例2では、単に、「焼結密度」という。)、各試料10個における室温抵抗値X、室温抵抗値の経時変化率ΔX、及び抵抗変化率ΔRのそれぞれの平均値を示している。
Figure 0004710097
この表2から明らかなように、試料番号11は焼結密度が60%と低すぎるため、室温抵抗値が3.14Ωとなって1Ω以上と大きくなることが分かった。
また、試料番号18は、焼結密度が95%であり、焼結密度が高いため、再酸化処理で酸素が中央部にまで十分に行き渡らず酸化むらが生じたため、室温抵抗値の経時変化率ΔXが12.7%と大きくなり、しかも抵抗変化率ΔRも2桁程度と小さく、十分な特性が得られなかった。
これに対し試料番号12〜17は、焼結密度が65%以上90%以下の範囲にあるので、室温抵抗値Xは0.102〜0.671Ωとなって1Ω以下と小さく、室温抵抗値の経時変化率ΔXも2%以下に抑制でき、しかも抵抗変化率ΔRも4桁以上となって十分な抵抗変化率ΔRを得ることができることが分かった。
出発原料として、BaTiO、TiO、半導体化剤としてのNdを用意し、半導体セラミック層の組成が(Ba0.998Nd0.002Ti(ただし、x/yは0.996〜1.008)となるようにこれら出発原料を秤量し、〔実施例1〕と同様の方法・手順で仮焼粉を得た。
次に、得られた仮焼粉に、アクリル酸系有機バインダ、ポリカルボン酸アンモニウム塩(分散剤)、及び純水を加えて、PSZボールと共にボールミル内で15時間混合してセラミックスラリーを得た。尚、アクリル系有機バインダの添加量は、焼成後の実測焼結密度が理論焼結密度の80%となるように調整した。
そして、その後は〔実施例1〕と同様の方法・手順を使用し、試料番号21〜27の積層型正特性サーミスタを作製した。
次に、試料番号21〜27の各積層型正特性サーミスタを10個づつ用意し、〔実施例1〕と同様の方法で室温抵抗値X、及び室温抵抗値の経時変化率ΔXを測定し、〔実施例2〕と同様の方法で抵抗変化率ΔRを求めた。
表3は、各試料におけるBaサイトとTiサイトとの比x/y、各試料10個における室温抵抗値X、室温抵抗値の経時変化率ΔX、及び抵抗変化率ΔRのそれぞれの平均値を示している。
Figure 0004710097
表3から明らかなように、試料番号21は、BaサイトとTiサイトとの比x/yが0.996と0.998未満であるので、室温抵抗値の経時変化率ΔXが5%以上と大きくなることが分かった。
また、試料番号27は、BaサイトとTiサイトとの比x/yが1.008と1.006を超えているので、室温抵抗値Xが7Ω以上と大きくなり、また室温抵抗値の経時変化率ΔXも16.9%と大きくなることが分かった。
これに対し試料番号22〜26はBaサイトとTiサイトとの比x/yが0.998〜1.006の範囲にあるので、室温抵抗値Xが0.16〜0.20Ωとなって1Ω以下に小さくすることができ、また、室温抵抗値の経時変化率ΔXも2.0%以下と小さく、抵抗変化率ΔRも4桁以上と大きく、十分な抵抗変化率ΔRを得ることのできることが分かった。
出発原料として、BaTiO、TiO、半導体化剤としてのNdを用意し、半導体セラミック層の組成が(Ba0.998Nd0.002)TiOとなるようにこれら出発原料を秤量し、〔実施例1〕と同様の方法・手順で仮焼粉を得た。
次に、得られた仮焼粉に、アクリル酸系有機バインダ、ポリカルボン酸アンモニウム塩(分散剤)、及び純水を加えて、PSZボールと共にボールミル内で15時間混合してセラミックスラリーを得た。尚、アクリル系有機バインダの添加量は、焼成後の実測焼結密度が理論焼結密度の75%となるように調整した。
次に、得られたセラミックスラリーを、ドクターブレード法により焼成後の半導体セラミック層の厚みDが11〜40μmとなるようにシート状に成形し、乾燥させてセラミックグリーンシートを得た。
次に、Ni粉末と有機バインダとを有機溶剤に分散させて内部電極用導電性ペーストを得た。そして得られた内部電極用導電性ペーストを、セラミックグリーンシートの主面上に、焼結後の電極厚みが0.4〜5μmとなるようスクリーン印刷し、導体パターンを形成した。
そしてその後は〔実施例1〕と同様の方法・手順で試料31〜試料51の積層型正特性サーミスタを作製した。
次に、試料番号31〜51の各積層型正特性サーミスタを10個づつ用意し、〔実施例1〕と同様の方法で室温抵抗値の経時変化率ΔXを測定した。
表4は、各試料における内部電極層の厚みd、半導体セラミック層の厚みD、その比d/D、及び室温抵抗値の経時変化率ΔXの平均値を示している。
Figure 0004710097
この表4から明らかなように、試料番号37、44、及び51は内部電極層の厚みdが0.4μmであり、0.6μm未満と薄く、このため室温抵抗値の経時変化率ΔXが不安定となり、その平均値が4.5%〜9.2%と大きくなった。
また、試料番号31〜34、38、及び39はd/Dが0.2〜0.45と0.2以上であるため、室温抵抗値の経時変化率ΔXが5.7〜23.7%と大きくなり、また、d/Dが大きくなるに伴い、室温抵抗値の経時変化率ΔXも大きくなることも分かった。
これに対し試料番号35、36、40〜43、及び45〜50は、内部電極層の厚みdが0.6μm以上であり、かつ内部電極層の厚みdと半導体セラミック層の厚みDとの比d/Dがd/D<0.2であるので、室温抵抗値の経時変化率ΔXを0.3〜2.0%となり2.0%以下に抑制できることが分かった。
出発原料として、BaTiO、TiO、半導体化剤としてのLa及びSm用意し、半導体セラミック層の組成が(Ba1-αα)TiO(ただし、AはLa又はSm、αは0.0008〜0.008)となるようにこれら出発原料を秤量し、その他は〔実施例1〕と同様の方法・手順で試料番号61〜70の積層型正特性サーミスタを作製した。
次に、試料番号61〜70の各積層型正特性サーミスタを10個づつ用意し、〔実施例1〕と同様の方法で室温抵抗値X、室温抵抗値の経時変化率ΔXを測定し、〔実施例2〕と同様の方法で抵抗変化率ΔRを求めた。
表5は各試料における半導体セラミック層の組成、各試料10個における室温抵抗値X、室温抵抗値の経時変化率ΔX、及び抵抗変化率ΔRのそれぞれの平均値を示している。
Figure 0004710097
表5から明らかなように、試料番号61は、半導体化剤としてのLaの含有量がTi100モル部に対し0.08モル部(α=0.0008)と0.1モル部未満であるので、室温抵抗値の経時変化率ΔXは1.3%と小さく、また抵抗変化率ΔRも4.7桁と大きいものの、室温抵抗値Xは1.24Ωであり、1Ω以上と高くなった。
また、試料番号66は、Laの含有量がTi100モル部に対し0.8モル部(α=0.008)であり、0.5モル部を超えているので、室温抵抗値の経時変化率ΔXは1.3%と小さいものの、室温抵抗値は3.61Ωであり、1Ω以上と高く、抵抗変化率ΔRは1桁以下に低下することが分かった。
試料番号67〜70は、半導体化剤として本発明範囲外のSmを使用しているため、室温抵抗値の経時変化率ΔXは8%以上と高く、抵抗変化率ΔRも4桁未満と小さくなることが分かった。
これに対し試料番号62〜65はLaの含有量が0.001〜0.005であり、Ti100モル部に対し0.1〜0.5モル部であるので、室温抵抗値の経時変化率ΔXは1.2〜1.6%と小さく、抵抗変化率ΔRは4.0〜4.7桁と十分な抵抗変化率ΔRを得ることができ、しかも室温抵抗値Xは0.06〜0.23Ωとなって1Ω以下に小さくできることが分かった。
例えば、試料番号63と試料番号68とを比較すると、半導体化剤としてLaを用いた場合は、Smを用いた場合に比べ、室温抵抗値Xが1/3程度に小さくできることが分かった。
すなわち、本発明で特定された半導体化剤をTi100モル部に対し0.1〜0.5モル部で半導体セラミック層に含有させた場合は、1150℃という低温焼成であっても、室温抵抗値Xが小さく、室温抵抗値の経時変化率ΔXが小さく、かつ十分な抵抗変化率ΔRを有する積層型正特性サーミスタが得られることが分かった。
特に、Ti100モル部に対し0.1〜0.3モル部の範囲で添加されている試料番号62〜64は、良好な室温抵抗値X及び抵抗変化率ΔRを得つつ、室温抵抗値の経時変化率ΔXのより一層の向上を図ることのできることが分かった。

Claims (2)

  1. 実測焼結密度が理論焼結密度の65%以上90%以下とされた半導体セラミック層と内部電極層とが交互に積層されて焼結されてなるセラミック素体と、前記内部電極層と電気的に接続されるように前記セラミック素体の両端部に形成された外部電極とを有する積層型正特性サーミスタにおいて、
    前記半導体セラミック層は、BaTiO系セラミック材料を主成分とすると共に、BaサイトとTiサイトの比が0.998≦Baサイト/Tiサイト≦1.006であり、かつ、半導体化剤としてLa、Ce、Pr、Nd、及びPmの中から選択された少なくとも一種の元素を含み、
    前記内部電極層の厚みd及び前記半導体セラミック層の厚みをDが、d≧0.6μm、かつd/D<0.2を満足することを特徴とする積層型正特性サーミスタ。
  2. 前記半導体化剤は、前記BaTiO系セラミック材料のTi100モル部に対し、0.1モル部以上0.5モル部以下の範囲で含有されていることを特徴とする請求項1記載の積層型正特性サーミスタ。
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