JP4706543B2 - ガスセンサ - Google Patents
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Description
また、特許文献2に示されているセンサでは、被測定ガス側電極の被測定ガスと接触する部分のうち高温度部を多孔質保護層で被覆し、排気電極のリード線となる低温度部を気密質保護層にて被覆している。
また、特許文献3に示されるセンサでは、被測定ガス側電極の高温度部を第1多孔質保護層で被覆し、排気電極のリード線となる低温度部を第1多孔質保護層よりもガス透過性の低い第2多孔質保護層にて被覆している。
即ち、酸素センサの製造プロセスにおいては、加工や検査等の際にセンサ素子が各種水溶液やスラリー等に曝される。このとき、多孔質保護層内に水溶液等の水分が浸入することとなる。さらに、電極層及び電極リード線は、ジルコニア固体電解質との付着性等の特性の制約上、多孔質とせざるを得ず、多孔質保護層内に浸入した水分は電極及び電極リード線部内にも浸入して行くこととなる。
第2の発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を挿通保持する絶縁碍子と、該絶縁碍子を内側に保持するハウジングとを有するガスセンサにおいて、
上記ガスセンサ素子は、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面に形成された被測定ガス側電極及びその基端側に連続形成された被測定ガス側リード部と、上記固体電解質体の他方の面に形成された基準ガス側電極と、上記被測定ガス側リード部を覆うように上記固体電解質体に積層された緻密保護層と、上記被測定ガス側電極を覆うように上記緻密保護層に積層された多孔質保護層とを有し、
上記多孔質保護層の基端側への上記緻密保護層のはみ出し量は5mm以下であり、
上記多孔質保護層の基端部は、上記絶縁碍子の先端部よりも基端側に配されており、
かつ上記絶縁碍子の基端部には、該絶縁碍子と上記ガスセンサ素子との間の隙間を封止する封止材が配置されており、上記ガスセンサ素子は、上記封止材と密着する領域の表面にも上記緻密保護層を形成してなることを特徴とするガスセンサにある(請求項2)。
上記ガスセンサにおいては、上記多孔質保護層の基端部が上記絶縁碍子の先端部よりも基端側に配されている。これにより、上記ガスセンサ素子における被測定ガスに直接接触する部分を、上記多孔質保護層によって覆うことができる。そのため、被測定ガス中のカーボン等の燃焼残渣を、多孔質保護層によって捕捉することができ、被測定ガス側電極や被測定ガス側リード部に上記燃焼残渣が堆積、成長することを防ぐことができる。それ故、燃焼残渣の堆積、成長に起因する被測定ガス側リード部の剥離を抑制することができる。
そこで、上記多孔質保護層の基端側への上記緻密保護層のはみ出し量を5mm以下とすることにより、多孔質保護層が外側に積層されていない緻密保護層の領域を小さくして、水分の膨張に起因する被測定ガス側リード部の剥離を防ぐことができる。
そのため、上記封止材の配設位置付近における上記被測定ガス側リード部の剥離、断線を防ぐことができる。
即ち、ガスセンサの製造過程において上記封止材を固化する際に該封止材が収縮する。このとき、被測定ガス側リード部に直接封止材が接触していると、封止材の収縮と共に被測定ガス側リード部の一部が引張られ、剥離、断線が発生するおそれがある。そこで、上記封止材と密着する領域の表面にも上記緻密保護層を形成することにより、被測定ガス側リード部の剥離、断線を防ぐことができる。
以上のごとく、本第2発明によれば、被測定ガス側リード部の剥離を防ぐことができるガスセンサを提供することができる。
上記ガスセンサ素子は、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面に形成された被測定ガス側電極及びその基端側に連続形成された被測定ガス側リード部と、上記固体電解質体の他方の面に形成された基準ガス側電極と、上記被測定ガス側リード部を覆うように上記固体電解質体に積層された緻密保護層と、上記被測定ガス側電極を覆うように上記緻密保護層に積層された多孔質保護層とを有し、
上記緻密保護層は、上記被測定ガス側リード部に面する部分に開口部を設けてなることを特徴とするガスセンサにある(請求項1)。
上記緻密保護層は、上記被測定ガス側リード部に面する部分に開口部を設けてなる。これにより、被測定ガス側リード部に水分が浸入し、該水分が膨張しても、上記開口部から水分(水蒸気)を外部へ逃がすことができる。そのため、上記水分の膨張に起因する緻密保護層の破壊を防ぐことができ、被測定ガス側リード部の剥離を防ぐことができる。
また、本明細書において、ガスセンサを排気管等に挿入する側を先端側、その反対側を基端側として説明する。
また、上記緻密保護層の基端部は、上記多孔質保護層の基端部と一致もしくは更に基端側に配されていることが好ましい。この場合には、多孔質保護層に段差が形成されないため、多孔質保護層を良好に形成することができる。
この場合には、上記封止材の配設位置付近における上記被測定ガス側リード部の剥離、断線を防ぐことができる。
即ち、ガスセンサの製造過程において上記封止材を固化する際に該封止材が収縮する。このとき、被測定ガス側リード部に直接封止材が接触していると、封止材の収縮と共に被測定ガス側リード部の一部が引張られ、剥離、断線が発生するおそれがある。そこで、上記封止材と密着する領域の表面にも上記緻密保護層を形成することにより、被測定ガス側リード部の剥離、断線を防ぐことができる。
この場合には、被測定ガス側リード部に水分が浸入しても、この水分の膨張に起因する緻密保護層の破壊を防ぎ、被測定ガス側リード部の剥離を防ぐことができる。
上記封止材の基端側または先端側への上記緻密保護層のはみ出し量が、5mmを超える場合には、被測定ガス側リード部に水分が浸入し該水分が膨張したとき、緻密保護層が破壊されて被測定ガス側リード部の剥離を招くおそれがある。
第2発明の実施例に係るガスセンサにつき、図1〜図10を用いて説明する。
本例のガスセンサ1は、図1、図4に示すごとく、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子2と、該ガスセンサ素子2を挿通保持する素子側絶縁碍子3と、該素子側絶縁碍子3を内側に保持するハウジング4とを有する。
また、図2、図6、図7、図10に示すごとく、被測定ガス側リード部222を覆うように、緻密保護層24が固体電解質体21に積層され、被測定ガス側電極221を覆うように、多孔質保護層25が緻密保護層24に積層されている。
即ち、緻密保護層24の基端部241と多孔質保護層25の基端部251との距離が上記はみ出し量L1となり、L1≦5mmである。また、多孔質保護層25の基端部251と素子側絶縁碍子3の先端部31との距離L2は、L2>0である。
即ち、固体電解質体21(図3(A))における被測定ガス側電極221(図3(B))を設けた面には、被測定ガス側電極221の周囲に緻密保護層24(図3(C))が積層されている。緻密保護層24は、被測定ガス側電極221に対応する位置に開口部243を有する。そして、図6、図10に示すごとく、被測定ガス側電極221を覆うように、接着層252を介して、緻密保護層24に多孔質保護層25(図3(D))が積層されている。接着層252は、多孔質保護層25と同様の構成を有し、実質的に多孔質保護層25の一部となる。
また、チャンバ形成層27には、ガスセンサ素子2を加熱するためのヒータ28が埋め込まれている。
また、緻密保護層24はガス透過性を有さず、多孔質保護層25(及び接着層252)はガス透過性を有する。
また、被測定ガス側電極221、被測定ガス側リード部222、基準ガス側電極231、基準ガス側リード部232、電極端子223、233は、白金等の金属とセラミックとを混合したサーメット材料からなる。
また、ハウジング4の先端側には、ガスセンサ素子2の先端部をカバーする素子カバー16が固定されている。該素子カバー16は二重構造となっており、各素子カバー16には、被測定ガスを通過させる通気孔161が形成されている。
また、図4に示すごとく、素子側絶縁碍子3の基端側には、大気側絶縁碍子12が配されており、該大気側絶縁碍子12の内側に、ガスセンサ素子2の電極端子223、233に接触する金属端子121が配設されている。
また、大気側絶縁碍子12とゴムブッシュ131との間における大気側カバー13の側面には、大気導入口132が形成されている。
上記ガスセンサ1においては、多孔質保護層25の基端部251が絶縁碍子3の先端部31よりも基端側に配されている。これにより、ガスセンサ素子2における被測定ガスに直接接触する部分を、多孔質保護層25によって覆うことができる。そのため、被測定ガス中のカーボン等の燃焼残渣を、多孔質保護層25によって捕捉することができ、被測定ガス側電極221や被測定ガス側リード部222に上記燃焼残渣が堆積、成長することを防ぐことができる。それ故、燃焼残渣の堆積、成長に起因する被測定ガス側リード部24の剥離を抑制することができる。
そこで、上記多孔質保護層25の基端側への上記緻密保護層24のはみ出し量L1を5mm以下とすることにより、多孔質保護層25が外側に積層されていない緻密保護層25の領域を小さくして、水分の膨張に起因する被測定ガス側リード部222の剥離を防ぐことができる。
本例は、図11に示すごとく、ガスセンサ素子2における封止材11と密着する領域の表面にも緻密保護層24を形成してなるガスセンサ1の例である。
また、封止材11の基端側及び先端側への緻密保護層24のはみ出し量L3、L4は、それぞれ5mm以下である。
その他は、実施例1と同様である。
即ち、素子側絶縁碍子3の基端部における該素子側絶縁碍子3とガスセンサ素子2との間を、ガラスからなる封止材11によって封着するにあたっては、素子側絶縁碍子3の基端部に溶融状態のガラスを配置し、その後これを冷却して固化させる。溶融ガラスは、固化する際に収縮する。このとき、被測定ガス側リード部222に直接封止材11(溶融ガラス)が接触していると、封止材11の収縮と共に被測定ガス側リード部222の一部が引張られ、剥離、断線が発生するおそれがある。そこで、上記封止材11と密着する領域の表面にも上記緻密保護層24を形成することにより、被測定ガス側リード部222の剥離、断線を防ぐことができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は上記第1発明にかかる実施例で、図12、図13に示すごとく、緻密保護層24における、被測定ガス側リード部222に面する部分に開口部242を設けてなるガスセンサ1の例である。
緻密保護層24は、ガスセンサ素子2の長手方向の全域に渡って形成されているが、被測定ガス側電極221と電極端子223、233とに対応する部分に開口部243、244を有する。そして、更に、被測定ガス側リード部222に面する部分に、開口部242を部分的に設けている。
また、本例においては、開口部242は長方形状であるが、開口部242の形状は、円形、楕円形、その他の形状であってもよい。また、開口部242の形成個数は、1個以上形成されていればよい。
その他は、実施例1と同様である。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、図14〜図16に示すごとく、上記実施例1において示したガスセンサ1におけるはみ出し量L1と、緻密保護層24の剥離発生率との関係を調べた例である。
即ち、多孔質保護層25の基端側への緻密保護層24のはみ出し量L1を、0〜20mmの間で種々変化させたガスセンサ素子2を用意した。また、緻密保護層24の厚みは、10μm、20μm、30μmの3種類とした。
その後、ヒータ28に14Vの電圧を印加して、1分間加熱した。そして、被測定ガス側リード部222を覆っている部分の緻密保護層24の剥離の有無を、10倍の拡大鏡にて調べた。
そして、はみ出し量L1が5mm以下であれば、剥離発生を防ぐことができることが分かる。
2 ガスセンサ素子
21固体電解質体
221 被測定ガス側電極
222 被測定ガス側リード部
231 基準ガス側電極
24 緻密保護層
25 多孔質保護層
251 基端部
3 素子側絶縁碍子
31 先端部
4 ハウジング
Claims (4)
- 被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を挿通保持する絶縁碍子と、該絶縁碍子を内側に保持するハウジングとを有するガスセンサにおいて、
上記ガスセンサ素子は、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面に形成された被測定ガス側電極及びその基端側に連続形成された被測定ガス側リード部と、上記固体電解質体の他方の面に形成された基準ガス側電極と、上記被測定ガス側リード部を覆うように上記固体電解質体に積層された緻密保護層と、上記被測定ガス側電極を覆うように上記緻密保護層に積層された多孔質保護層とを有し、
上記緻密保護層は、上記被測定ガス側リード部に面する部分に開口部を設けてなることを特徴とするガスセンサ。 - 被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を挿通保持する絶縁碍子と、該絶縁碍子を内側に保持するハウジングとを有するガスセンサにおいて、
上記ガスセンサ素子は、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面に形成された被測定ガス側電極及びその基端側に連続形成された被測定ガス側リード部と、上記固体電解質体の他方の面に形成された基準ガス側電極と、上記被測定ガス側リード部を覆うように上記固体電解質体に積層された緻密保護層と、上記被測定ガス側電極を覆うように上記緻密保護層に積層された多孔質保護層とを有し、
上記多孔質保護層の基端側への上記緻密保護層のはみ出し量は5mm以下であり、
上記多孔質保護層の基端部は、上記絶縁碍子の先端部よりも基端側に配されており、
かつ上記絶縁碍子の基端部には、該絶縁碍子と上記ガスセンサ素子との間の隙間を封止する封止材が配置されており、上記ガスセンサ素子は、上記封止材と密着する領域の表面にも上記緻密保護層を形成してなることを特徴とするガスセンサ。 - 請求項1において、上記絶縁碍子の基端部には、該絶縁碍子と上記ガスセンサ素子との間の隙間を封止する封止材が配置されており、上記ガスセンサ素子は、上記封止材と密着する領域の表面にも上記緻密保護層を形成してなることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項2又は3において、上記封止材の基端側及び先端側への上記緻密保護層のはみ出し量は、それぞれ5mm以下であることを特徴とするガスセンサ。
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