JP6808856B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、ガスセンサに関する。
従来、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの特定ガスの濃度を検出するセンサ素子を備えたガスセンサが知られている(例えば特許文献1,2)。特許文献1のセンサ素子は、酸素イオン伝導性の固体電解質層を積層した積層体を備えている。また、このセンサ素子は、それぞれ積層体の上面に配設された外側ポンプ電極,外側ポンプ電極用リード線,コネクタ電極,及び多孔質保護層、を備えている。外側ポンプ電極,外側ポンプ電極用リード線,及びコネクタ電極はこの順に接続されて導通しており、コネクタ電極が外部と電気的に接続される。多孔質保護層は、外側ポンプ電極及び外側ポンプ電極用リード線を被覆しており、これらを保護する。特許文献2には、このようなセンサ素子を備えたガスセンサの構造が記載されている。特許文献2のガスセンサは、センサ素子を固定する素子封止体を備えている。素子封止体は、センサ素子が内部を貫通している筒状の主体金具及び内筒と、主体金具及び内筒の内側に配置されると共にセンサ素子が内部を貫通している複数のサポーター及び複数の圧粉体と、を備えている。
特開2016−014659号公報 特開2015−178988号公報
ところで、特許文献1の多孔質保護層のような多孔質層がセンサ素子の表面に存在する場合、排ガス中の水分が毛細管現象によって多孔質層内を移動することがあった。その結果、水分がコネクタ電極まで到達してしまい、水や水に溶けた硫酸などの成分によってコネクタ電極の錆や腐食が発生したりコネクタ電極間の短絡が生じたりする場合があった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、水分がコネクタ電極に到達するのを抑制することを主目的とする。
本発明は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のガスセンサは、
センサ素子と、前記センサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する金属製の筒状体と、前記貫通孔内に配置され該貫通孔の内周面と前記センサ素子との間に充填された1以上の圧粉体と、気孔率が10%未満であり前記貫通孔内に配置されると共に内部を前記センサ素子が貫通し前記圧粉体を前記軸方向に押圧する中空柱状の1以上の緻密体と、
を備えたガスセンサであって、
前記センサ素子は、
長手方向に沿った両端である前端及び後端と、該長手方向に沿った表面である1以上の側面と、を有する長尺な素子本体と、
前記素子本体の前記前端側に配設された複数の電極を有し、前記被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するための検出部と、
前記1以上の側面のいずれかの前記後端側に1以上配設され、外部と電気的に導通するためのコネクタ電極と、
前記コネクタ電極が配設された前記側面のうち少なくとも前記前端側を被覆し且つ気孔率が10%以上の多孔質層と、
前記多孔質層を前記長手方向に沿って分割するように前記側面に配設され、前記コネクタ電極よりも前記前端側に位置し、前記長手方向の存在範囲と前記1以上の緻密体の内周面の前記長手方向の存在範囲との連続した重複部分の長さである重複距離Wが0.5mm以上であり、前記多孔質層が存在しない隙間領域であり前記長手方向に沿った水の毛細管現象を抑制する水侵入抑制部と、
を備えている、
ものである。
このガスセンサでは、素子本体の1以上の側面のいずれかにおいて、後端側にコネクタ電極が配設され、少なくともその側面の前端側を被覆する多孔質層が配設されている。そして、このセンサ素子は、多孔質層を長手方向に沿って分割するようにその側面に配設され、コネクタ電極よりも前端側に位置する水侵入抑制部を備えている。そのため、検知部の複数の電極が存在する側である素子本体の前端側が被測定ガスに晒された場合に、被測定ガス中の水分が毛細管現象によって多孔質層内を素子本体の後端側に向かって移動したとしても、水分はコネクタ電極に到達する前に水侵入抑制部に到達する。そして、水侵入抑制部は、多孔質層が存在しない隙間領域であり、多孔質層とは異なり素子本体の長手方向に沿った水の毛細管現象が生じにくいため、水分は水侵入抑制部を通過しにくい。また、本発明のガスセンサでは、センサ素子の長手方向における、水侵入抑制部の存在範囲と1以上の緻密体の内周面の存在範囲との連続した重複部分の長さである重複距離Wが0.5mm以上となっている。ここで、筒状体とセンサ素子との間には圧粉体と緻密体とが存在し、緻密体は気孔率が10%未満であるため水分は緻密体の内部を通過しにくいが、圧粉体は吸水性を有するため水分は多孔質層だけでなく圧粉体の内部も移動可能である。そのため、例えばセンサ素子の長手方向で水侵入抑制部が圧粉体と同じ位置にのみ配置されているなど重複距離Wが0mmであると、水分は圧粉体の内部を通過することで水侵入抑制部を回り込んで後端側に移動してしまう場合がある。しかし、本発明のガスセンサでは、重複距離Wが0.5mm以上であることで、水分が圧粉体の内部を移動して水侵入抑制部を回り込むことを抑制する領域が十分な長さに亘って存在することになるため、回り込みによる水分の移動を十分抑制できる。以上により、水侵入抑制部は、多孔質層内を移動してきた水分が水侵入抑制部内を通過することを抑制し、しかも圧粉体を介して水分が水侵入抑制部を回り込んで移動することも抑制する。したがって、このガスセンサでは、水分が水侵入抑制部よりもセンサ素子の後端側に移動してコネクタ電極に到達するのを抑制できる。ここで、水侵入抑制部の長手方向の長さLは必ず重複距離W以上の値となるため、長さLも0.5mm以上である。この場合において、前記重複距離Wは5mm以上としてもよい。前記重複距離Wは20mm以下としてもよい。前記多孔質体は、前記水侵入抑制部が存在する領域を除いて、前記コネクタ電極が配設された前記側面のうち該側面の前記前端から前記水侵入抑制部よりも後方までの領域を少なくとも覆っていてもよい。
本発明のガスセンサにおいて、前記水侵入抑制部は、前記長手方向の長さLが1mm以下であってもよい。こうすれば、水侵入抑制部の長さLが比較的小さいため、素子本体の側面が露出する部分(多孔質層に覆われていない部分)を少なくすることができる。
本発明のガスセンサにおいて、前記水侵入抑制部は、前記側面から前記緻密体の内周面までの高さHが50μm以上であってもよい。こうすれば、素子本体のうち水侵入抑制部が配設された側面と緻密体との距離が近すぎて側面と緻密体の内周面との間で毛細管現象が生じてしまうことをより抑制できる。また、前記高さHは500μm以下であってもよい。
本発明のガスセンサにおいて、前記センサ素子は、前記コネクタ電極が配設された前記側面に配設され前記複数の電極のいずれかと前記コネクタ電極とを導通する外側リード部を備えており、前記多孔質層は、前記外側リード部の少なくとも一部を被覆していてもよい。こうすれば、外側リード部の少なくとも一部を多孔質層によって保護できる。また、外側リード部を多孔質層によって保護する場合には、コネクタ電極に近い位置に多孔質層が存在しやすいため、本発明を適用する意義が高い。
この場合において、前記多孔質層は前記外側リード部を全て被覆していてもよいし、前記多孔質層は前記外側リード部のうち前記水侵入抑制部が存在しない部分を全て被覆していてもよい。また、本発明のガスセンサは、前記検出部が有する複数の電極の1つであり、前記外側リード部を介して前記コネクタ電極と導通し、該コネクタ電極が配設された前記側面に配設された外側電極、を備えていてもよい。この場合において、前記多孔質層は、前記外側電極を被覆していてもよい。
本発明のガスセンサにおいて、前記多孔質層は、前記水侵入抑制部が存在する領域を除いて、前記コネクタ電極が配設された前記側面のうち該側面の前記前端から前記コネクタ電極の前記前端側の端部までの領域を少なくとも覆っていてもよい。
本発明のガスセンサにおいて、前記素子本体は、直方体形状をしており、前記長手方向に沿った表面である4つの前記側面を有しており、前記コネクタ電極は、前記4つの側面のうち互いに対向する第1側面及び第2側面にそれぞれ1以上配設されており、前記多孔質層は、前記第1側面及び前記第2側面をそれぞれ被覆しており、前記水侵入抑制部は、前記第1側面及び前記第2側面にそれぞれ配設されていてもよい。この場合において、前記素子本体は複数の層を積層した積層体であり、前記第1側面及び前記第2側面は、前記積層の方向を上下方向とした場合の前記素子本体の上面及び下面であってもよい。
ガスセンサ10が配管58に取り付けられた様子を示す縦断面図。 センサ素子20の斜視図。 図2のA−A断面図。 センサ素子20の上面図。 センサ素子20の下面図。 碍子44bと水侵入抑制部90との位置関係を示す説明図。 重複距離W=0mmの場合の水侵入抑制部90の配置を示す説明図。 実験例1のガスセンサ10の説明図。 実験例3〜5のガスセンサ10の説明図。 実験例2,7の液体侵入試験時の侵入距離の時間変化を示すグラフ。
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるガスセンサ10が配管58に取り付けられた様子を示す縦断面図である。図2は、センサ素子20を右上前方から見た斜視図である。図3は、図2のA−A断面図である。図4は、センサ素子20の上面図である。図5は、センサ素子20の下面図である。本実施形態において、図2,3に示すように、センサ素子20の素子本体60の長手方向を前後方向(長さ方向)とし、素子本体60の積層方向(厚さ方向)を上下方向とし、前後方向及び上下方向に垂直な方向を左右方向(幅方向)とする。
図1に示すように、ガスセンサ10は、組立体15と、ナット47と、外筒48と、コネクタ50と、リード線55と、ゴム栓57とを備えている。組立体15は、センサ素子20と、保護カバー30と、素子封止体40とを備えている。ガスセンサ10は、例えば車両の排ガス管などの配管58に取り付けられて、被測定ガスとしての排気ガスに含まれるNOxやO2等の特定ガスの濃度(特定ガス濃度)を測定するために用いられる。本実施形態では、ガスセンサ10は特定ガス濃度としてNOx濃度を測定するものとした。センサ素子20の長手方向に沿った両端(前端,後端)のうち、前端側が被測定ガスに晒される側である。
保護カバー30は、図1に示すように、センサ素子20の前端側を覆う有底筒状の内側保護カバー31と、この内側保護カバー31を覆う有底筒状の外側保護カバー32とを備えている。内側,外側保護カバー31,32の各々には、被測定ガスを流通させるための複数の孔が形成されている。内側保護カバー31で囲まれた空間として素子室33が形成されており、センサ素子20の第5面60e(前端面)はこの素子室33内に配置されている。
素子封止体40は、センサ素子20を封止固定する部材である。素子封止体40は、主体金具42及び内筒43を備えた筒状体41と、碍子44a〜44c(緻密体の一例)と、圧粉体45a,45bと、メタルリング46と、を備えている。センサ素子20は素子封止体40の中心軸上に位置しており、素子封止体40を上下方向に貫通している。
主体金具42は、筒状の金属製部材である。主体金具42は、前側が後側よりも内径の小さい肉厚部42aとなっている。主体金具42のうちセンサ素子20の前端と同じ側(前側)には、保護カバー30が取り付けられている。主体金具42の後端は内筒43のフランジ部43aと溶接されている。肉厚部42aの内周面の一部は段差面である底面42bとなっている。この底面42bは碍子44aが前方に飛び出さないようにこれを押さえている。主体金具42は、軸方向(ここでは前後方向)に沿って主体金具42を貫通する貫通孔を有しており、この貫通孔の内部をセンサ素子20が貫通している。
内筒43は、筒状の金属製部材であり、前端にフランジ部43aを有している。内筒43と主体金具42とは同軸に溶接固定されている。また、内筒43には、圧粉体45bを内筒43の中心軸方向に押圧するための縮径部43cと、メタルリング46を介して碍子44a〜44c,圧粉体45a,45bを図1の下方向に押圧するための縮径部43dとが形成されている。内筒43は、軸方向(ここでは前後方向)に沿って内筒43を貫通する貫通孔を有しており、この貫通孔の内部をセンサ素子20が貫通している。主体金具42の貫通孔と内筒43の貫通孔とは軸方向に連通しており、これらが筒状体41の貫通孔を構成している。
碍子44a〜44c及び圧粉体45a,45bは、筒状体41の貫通孔の内周面とセンサ素子20との間に配置されている。碍子44a〜44cは、圧粉体45a,45bのサポーターとしての役割を果たす。碍子44a〜44cの材質としては、例えばアルミナ、ステアタイト、ジルコニア、スピネル、コージェライト、ムライトなどのセラミックス、又はガラスを挙げることができる。碍子44a〜44cは緻密な部材であり、気孔率は例えば1%未満である。碍子44a〜44cの各々は、軸方向(ここでは前後方向)に沿って自身を貫通する貫通孔を有しており、この貫通孔の内部をセンサ素子20が貫通している。碍子44a〜44cの各々の貫通孔は、本実施形態ではセンサ素子20の形状に合わせて軸方向に垂直な断面が四角形状になっている。圧粉体45a,45bは、例えば粉末を成型したものであり、封止材としての役割を果たす。圧粉体45a,45bの材質としては、タルクのほか、アルミナ粉末、ボロンナイトライドなどのセラミックス粉末が挙げられ、圧粉体45a,45bはそれぞれこれらの少なくともいずれかを含んでいてもよい。圧粉体45a,45bを構成する粒子の平均粒径は150〜300μmであってもよい。圧粉体45aは碍子44a,44b間に充填され、碍子44a,44bにより軸方向の両側(前後)から挟まれて押圧されている。圧粉体45bは碍子44b,44c間に充填され、碍子44b,44cにより軸方向の両側(前後)から挟まれて押圧されている。碍子44a〜44c,圧粉体45a,45bは縮径部43d及びメタルリング46と、主体金具42の肉厚部42aの底面42bと、に挟まれて前後から押圧されている。縮径部43c,43dからの押圧力により、圧粉体45a,45bが筒状体41とセンサ素子20との間で圧縮されることで、圧粉体45a,45bは保護カバー30内の素子室33と外筒48内の空間49との間を封止すると共に、センサ素子20を固定している。
ナット47は、主体金具42と同軸に主体金具42の外側に固定されている。ナット47の外周面には雄ネジ部が形成されている。この雄ネジ部は、配管58に溶接され内周面に雌ネジ部が設けられた固定用部材59内に挿入されている。これにより、ガスセンサ10のうちセンサ素子20の前端側や保護カバー30の部分が配管58内に突出した状態で、ガスセンサ10が配管58に固定できるようになっている。
外筒48は、筒状の金属製部材であり、内筒43と、センサ素子20の後端側と、コネクタ50とを覆っている。外筒48の内側には主体金具42の上部が挿入されている。外筒48の下端は主体金具42と溶接されている。外筒48の上端からは、コネクタ50に接続された複数のリード線55が外部に引き出されている。コネクタ50は、センサ素子20の後端側の表面に配設された上側コネクタ電極71及び下側コネクタ電極72に接触して電気的に接続されている。このコネクタ50を介して、リード線55はセンサ素子20の内部の各電極64〜68及びヒータ69と電気的に導通している。外筒48とリード線55との隙間はゴム栓57によって封止されている。外筒48内の空間49は基準ガスで満たされている。空間49にはセンサ素子20の第6面60f(後端面)が配置されている。
センサ素子20は、図2〜5に示すように、素子本体60と、検出部63と、ヒータ69と、上側コネクタ電極71と、下側コネクタ電極72と、多孔質層80と、水侵入抑制部90と、を備えている。素子本体60は、ジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層を複数(図3では6個)積層した積層体を有している。素子本体60は、長手方向が前後方向に沿っている長尺な直方体形状をしており、上下左右前後の各々の外表面として第1〜第6面60a〜60fを有している。第1面〜第4面60a〜60dは、素子本体60の長手方向に沿った表面で有り、素子本体60の側面に相当する。第5面60eは、素子本体60の前端面であり、第6面60fは、素子本体60の後端面である。素子本体60の寸法は、例えば長さが25mm以上100mm以下、幅が2mm以上10mm以下、厚さが0.5mm以上5mm以下としてもよい。素子本体60には、第5面60eに開口して被測定ガスを自身の内部に導入する被測定ガス導入口61と、第6面60fに開口して特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガス(ここでは大気)を自身の内部に導入する基準ガス導入口62と、が形成されている。
検出部63は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するためのものである。検出部63は、素子本体60の前端側に配設された複数の電極を有している。本実施形態では、検出部63は、第1面60aに配設された外側電極64と、素子本体60の内部に配設された内側主ポンプ電極65,内側補助ポンプ電極66,測定電極67,及び基準電極68とを備えている。内側主ポンプ電極65及び内側補助ポンプ電極66は、素子本体60の内部の空間の内周面に配設されておりトンネル状の構造を有している。
検出部63が被測定ガス中の特定ガス濃度を検出する原理は周知であるため詳細な説明は省略するが、検出部63は例えば以下のように特定ガス濃度を検出する。検出部63は、外側電極64と内側主ポンプ電極65との間に印加された電圧に基づいて、内側主ポンプ電極65周辺の被測定ガス中の酸素の外部(素子室33)への汲み出し又は汲み入れを行う。また、検出部63は、外側電極64と内側補助ポンプ電極66との間に印加された電圧に基づいて、内側補助ポンプ電極66周辺の被測定ガス中の酸素の外部(素子室33)への汲み出し又は汲み入れを行う。これらにより、酸素濃度が所定値に調整された後の被測定ガスが、測定電極67周辺に到達する。測定電極67は、NOx還元触媒として機能し、到達した被測定ガス中の特定ガス(NOx)を還元する。そして、検出部63は、還元後の酸素濃度に応じて測定電極67と基準電極68との間に発生する起電力又はその起電力に基づいて測定電極67と外側電極64との間に流れる電流を、電気信号として発生させる。このように検出部63が発生させた電気信号は、被測定ガス中の特定ガス濃度に応じた値(特定ガス濃度を導出可能な値)を示す信号であり、検出部63が検出した検出値に相当する。
ヒータ69は、素子本体60内部に配設された電気抵抗体である。ヒータ69は、外部から給電されることにより発熱して素子本体60を加熱する。ヒータ69は、素子本体60を形成する固体電解質層の加熱及び保温を行って、固体電解質層が活性化する温度(例えば800℃)に調整することが可能となっている。
上側コネクタ電極71及び下側コネクタ電極72は、それぞれ素子本体60の側面のいずれかの後端側に配設されており、外部と電気的に導通するための電極である。上側,下側コネクタ電極71,72は、いずれも多孔質層80に被覆されず露出している。本実施形態では、上側コネクタ電極71として上側コネクタ電極71a〜71dの4個が左右方向に沿って並べられて、第1面60aの後端側に配設されている。下側コネクタ電極72として下側コネクタ電極72a〜72dの4個が、左右方向に沿って並べられて、第1面60a(上面)に対向する第2面60b(下面)の後端側に配設されている。コネクタ電極71a〜71d,72a〜72dは、各々が検出部63の複数の電極64〜68及びヒータ69のいずれかと電気的に導通している。本実施形態では、上側コネクタ電極71aが測定電極67と導通し、上側コネクタ電極71bが外側電極64と導通し、上側コネクタ電極71cが内側補助ポンプ電極66と導通し、上側コネクタ電極71dが内側主ポンプ電極65と導通し、下側コネクタ電極72a〜72cがそれぞれヒータ69と導通し、下側コネクタ電極72dが基準電極68と導通している。上側コネクタ電極71bと外側電極64とは、第1面60aに配設された外側リード線75を介して導通している(図3,4参照)。それ以外のコネクタ電極は、素子本体60内部に配設されたリード線やスルーホールなどを介して、対応する電極又はヒータ69と導通している。
多孔質層80は、上側,下側コネクタ電極71,72が配設された素子本体60の側面すなわち第1,第2面60a,60bのうち、少なくとも前端側を被覆する多孔質体である。本実施形態では、多孔質層80は、第1,第2面60a,60bをそれぞれ被覆する内側多孔質層81と、内側多孔質層81の外側に配設された外側多孔質層85と、を備えている。
内側多孔質層81は、第1面60aを被覆する第1内側多孔質層83と、第2面60bを被覆する第2内側多孔質層84とを備えている。第1内側多孔質層83は、第1水侵入抑制部91及び上側コネクタ電極71が存在する領域を除いて、上側コネクタ電極71a〜71dが配設された第1面60aの前端から後端までの領域を全て覆っている(図2〜4参照)。第1内側多孔質層83の左右の幅は第1面60aの左右の幅と同じであり、第1内側多孔質層83は第1面60aのうち左端から右端までに亘って第1面60aを被覆している。第1内側多孔質層83は、第1水侵入抑制部91が存在することで、長手方向に沿って第1水侵入抑制部91よりも前端側に位置する前端側部分83aと、第1水侵入抑制部91よりも後端側に位置する後端側部分83bと、に分割されている。第1内側多孔質層83は、外側電極64及び外側リード線75のそれぞれ少なくとも一部を被覆している。本実施形態では、図3,4に示すように、第1内側多孔質層83は外側電極64全体を被覆し、外側リード線75のうち第1水侵入抑制部91が存在しない部分を全て被覆している。第1内側多孔質層83は、例えば被測定ガス中の硫酸などの成分から外側電極64及び外側リード線75を保護して、これらの腐食などを抑制する保護層としての役割を果たす。
第2内側多孔質層84は、第2水侵入抑制部94及び下側コネクタ電極72が存在する領域を除いて、下側コネクタ電極72a〜72dが配設された第2面60bの前端から後端までの領域を全て覆っている(図2,3,5参照)。第2内側多孔質層84の左右の幅は第2面60bの左右の幅と同じであり、第2内側多孔質層84は第2面60bのうち左端から右端までに亘って第2面60bを被覆している。第2内側多孔質層84は、第2水侵入抑制部94が存在することで、長手方向に沿って第2水侵入抑制部94よりも前端側に位置する前端側部分84aと、第2水侵入抑制部94よりも後端側に位置する後端側部分84bと、に分割されている。
外側多孔質層85は、第1〜第5面60a〜60eを被覆している。外側多孔質層85は、第1面60a及び第2面60bについては、内側多孔質層81を被覆することでこれらの面を被覆している。外側多孔質層85は、内側多孔質層81と比べて前後方向の長さが短くなっており、内側多孔質層81とは異なり素子本体60の前端及び前端付近の領域だけを被覆している。これにより、外側多孔質層85は、素子本体60のうち検出部63の各電極64〜68の周辺部分、言い換えると素子本体60のうち素子室33内に配置されて被測定ガスに晒される部分、を被覆している。これにより、外側多孔質層85は、例えば被測定ガス中の水分等が付着して素子本体60にクラックが生じるのを抑制する保護層としての役割を果たす。
多孔質層80は、例えばアルミナ多孔質体、ジルコニア多孔質体、スピネル多孔質体、コージェライト多孔質体,チタニア多孔質体、マグネシア多孔質体などのセラミックス多孔質体からなるものである。本実施形態では、多孔質層80はアルミナ多孔質体からなるものとした。第1内側多孔質層83及び第2内側多孔質層84の各々の厚さは、例えば5μm以上40μm以下としてもよい。外側多孔質層85の厚さは、例えば40μm以上800μm以下としてもよい。多孔質層80は、気孔率が10%以上である。多孔質層80は外側電極64や被測定ガス導入口61を覆っているが、気孔率が10%以上であれば、被測定ガスは多孔質層80を通過できる。内側多孔質層81の気孔率は、10%以上50%以下としてもよい。外側多孔質層85の気孔率は、10%以上85%以下としてもよい。外側多孔質層85は、内側多孔質層81よりも気孔率が高くてもよい。
内側多孔質層81の気孔率は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察して得られた画像(SEM画像)を用いて以下のように導出した値とする。まず、内側多孔質層81の断面を観察面とするように内側多孔質層81の厚さ方向に沿ってセンサ素子20を切断し、切断面の樹脂埋め及び研磨を行って観察用試料とする。続いて、SEMの倍率を1000倍から10000倍に設定して観察用試料の観察面を撮影することで内側多孔質層81のSEM画像を得る。次に、得た画像を画像解析することにより、画像中の画素の輝度データの輝度分布から判別分析法(大津の2値化)で閾値を決定する。その後、決定した閾値に基づいて画像中の各画素を物体部分と気孔部分とに2値化して、物体部分の面積と気孔部分の面積とを算出する。そして、全面積(物体部分と気孔部分の合計面積)に対する気孔部分の面積の割合を、気孔率(単位:%)として導出する。外側多孔質層85の気孔率も、同様にして導出した値とする。
水侵入抑制部90は、素子本体60の長手方向に沿った水の毛細管現象を抑制するものである。本実施形態では、水侵入抑制部90は、第1水侵入抑制部91と第2水侵入抑制部94とを有している。第1水侵入抑制部91は、上側コネクタ電極71及び第1内側多孔質層83が配設された第1面60aに配設されている。第1水侵入抑制部91は、上述したように第1内側多孔質層83を長手方向に沿って前後に分割するように第1面60aに配設されている。第1水侵入抑制部91は、上側コネクタ電極71よりも素子本体60の前端側すなわち上側コネクタ電極71の前方に配設されている。第1水侵入抑制部91は、外側電極64よりも後方に配設されている。第1水侵入抑制部91は、外側電極64も含めた検出部63が有する複数の電極64〜68のいずれよりも、後方に配設されている(図3参照)。第1水侵入抑制部91は、水分が前端側部分83a内を毛細管現象によって後方に移動してきた場合に、水分が第1水侵入抑制部91を通過するのを抑制して、水分が上側コネクタ電極71に到達するのを抑制する役割を果たす。第1水侵入抑制部91は、第1面60a上の領域であって多孔質層80が存在しない隙間領域である。第1水侵入抑制部91は、前端側部分83aの後端と後端側部分83bの前端との間の領域として形成されている。第1水侵入抑制部91が存在する部分では、外側リード線75が露出している。
第2水侵入抑制部94は、下側コネクタ電極72及び第2内側多孔質層84が配設された第2面60bに配設されている。第2水侵入抑制部94は、上述したように第2内側多孔質層84を長手方向に沿って前後に分割するように第2面60bに配設されている。第2水侵入抑制部94は、下側コネクタ電極72よりも素子本体60の前端側すなわち下側コネクタ電極72の前方に配設されている。第2水侵入抑制部94は、外側電極64よりも後方に配設されている。第2水侵入抑制部94は、外側電極64も含めた検出部63が有する複数の電極64〜68のいずれよりも、後方に配設されている(図3参照)。第2水侵入抑制部94は、水分が前端側部分84a内を毛細管現象によって後方に移動してきた場合に、水分が第2水侵入抑制部94を通過するのを抑制して、水分が下側コネクタ電極72に到達するのを抑制する役割を果たす。第2水侵入抑制部94は、第2面60b上の領域であって多孔質層80が存在しない隙間領域である。第2水侵入抑制部94は、前端側部分84aの後端と後端側部分84bの前端との間の領域として形成されている。
第1水侵入抑制部91及び第2水侵入抑制部94は、それぞれ、長手方向の長さL(図4,5参照)が0.5mm以上である。長さLが0.5mm以上であることで、水分が第1水侵入抑制部91及び第2水侵入抑制部94を通過することを十分抑制できる。長さLは5mm以上としてもよい。長さLは25mm以下としてもよく、20mm以下としてもよい。なお、第1水侵入抑制部91の長さLと第2水侵入抑制部94の長さLは本実施形態では同じ値としたが、両者が異なる値でもよい。
第1,第2水侵入抑制部91,94は、それぞれ、長さLが1mm以下であることが好ましい。このように長さLが比較的小さいことで、素子本体60の側面(ここでは第1,第2面60a,60b)が露出する部分、すなわち多孔質層80に覆われていない部分を少なくすることができる。特に、本実施形態では、第1面60aに外側リード線75が配設されており、第1水侵入抑制部91が存在する部分では外側リード線75が露出してしまう。そのため、第1水侵入抑制部91の長さLを小さくすることで、外側リード線75のうち多孔質層80に保護されない部分を少なくすることができる。
図6は、水侵入抑制部90と碍子44a〜44c及び圧粉体45a,45bとの位置関係を示す説明図であり、説明に無関係な部材の図示を省略したガスセンサ10の縦断面図である。第1水侵入抑制部91は、センサ素子20の長手方向(ここでは前後方向)に沿った第1水侵入抑制部91の存在範囲と、センサ素子20の長手方向に沿った碍子44bの内周面44b1の長手方向の存在範囲と、の連続した重複部分の長さである重複距離Wが0.5mm以上となるように配置されている。碍子44bの内周面44b1とは、碍子44bのうち第1水侵入抑制部91に対向している面、言い換えると第1水侵入抑制部91に向けて露出している面であり、碍子44bの断面四角形状の内周面のうち上側に位置する面である。この内周面44b1と第1水侵入抑制部91との位置関係によって定まる重複距離Wの値は、第1水侵入抑制部91(隙間領域)のうち圧粉体45a,45bが露出していない連続した部分の前後方向の長さに相当する。また、図6に示すように、本実施形態では、第1水侵入抑制部91は、前後方向で碍子44bの内周面44b1に含まれるように配置されている。より具体的には、第1水侵入抑制部91の前端から後端までの領域(前後方向の第1水侵入抑制部91の存在範囲)が、碍子44bの内周面44b1の前端から後端までの領域(前後方向の内周面44b1の存在範囲)の内側に含まれるように位置している。このような位置関係にあることで第1水侵入抑制部91について重複距離W=長さLが成立し、上記のように長さLは0.5mm以上であるため、重複距離Wも0.5mm以上となっている。また、本実施形態では、前後方向の内周面44b1の存在範囲と、前後方向の碍子44bの存在範囲とは、一致しているものとした。そのため、センサ素子20の長手方向に沿った第1水侵入抑制部91の存在範囲と、センサ素子20の長手方向に沿った碍子44bの存在範囲と、の連続した重複部分の長さは、上述した重複距離Wと同じ値になっている。
第2水侵入抑制部94についても、同様に、センサ素子20の長手方向(ここでは前後方向)に沿った第2水侵入抑制部94の存在範囲と、センサ素子20の長手方向に沿った碍子44bの内周面44b2の長手方向の存在範囲と、の連続した重複部分の長さである重複距離Wが0.5mm以上となるように配置されている。碍子44bの内周面44b2とは、碍子44bのうち第2水侵入抑制部94に対向している面、言い換えると第2水侵入抑制部94に向けて露出している面であり、碍子44bの断面四角形状の内周面のうち下側に位置する面である。この内周面44b2と第2水侵入抑制部94との位置関係によって定まる重複距離Wの値は、第2水侵入抑制部94(隙間領域)のうち圧粉体45a,45bが露出していない連続した部分の前後方向の長さに相当する。また、図6に示すように、本実施形態では、第2水侵入抑制部94は、前後方向で碍子44bの内周面44b2に含まれるように配置されている。より具体的には、第2水侵入抑制部94の前端から後端までの領域(前後方向の第2水侵入抑制部94の存在範囲)が、碍子44bの内周面44b2の前端から後端までの領域(前後方向の内周面44b2の存在範囲)の内側に含まれるように位置している。このような位置関係にあることで第2水侵入抑制部94について重複距離W=長さLが成立し、上記のように長さLは0.5mm以上であるため、重複距離Wも0.5mm以上となっている。また、本実施形態では、前後方向の内周面44b2の存在範囲と、前後方向の碍子44bの存在範囲とは、一致しているものとした。そのため、センサ素子20の長手方向に沿った第2水侵入抑制部94の存在範囲と、センサ素子20の長手方向に沿った碍子44bの存在範囲と、の連続した重複部分の長さは、上述した重複距離Wと同じ値になっている。
なお、第1水侵入抑制部91の重複距離Wと第2水侵入抑制部94の重複距離Wとは本実施形態では同じ値としたが、両者が異なる値でもよい。また、第1,第2水侵入抑制部91,94の各々について、重複距離Wは5mm以上としてもよいし、重複距離Wは20mm以下としてもよい。
第1水侵入抑制部91は、第1水侵入抑制部91が配設された側面(ここでは第1面60a)から内周面44b1までの高さH(図6参照)が50μm以上であることが好ましい。このように高さHが大きいことで、素子本体60のうち第1水侵入抑制部91が配設された第1面60aと碍子44bとの距離が近すぎて第1面60aと内周面44b1との間(すなわち第1水侵入抑制部91内)で毛細管現象が生じてしまうことをより抑制できる。同様に、第2水侵入抑制部94は、第2水侵入抑制部94が配設された側面(ここでは第2面60b)から内周面44b2までの高さHが50μm以上であることが好ましい。第1,第2水侵入抑制部91,94は、それぞれ、高さHが100μm以上であることがより好ましい。第1,第2水侵入抑制部91,94は、それぞれ、高さHが500μm以下であってもよい。第1水侵入抑制部91の高さHと第2水侵入抑制部94の高さHとは本実施形態では同じ値としたが、両者が異なる値でもよい。
図6では内周面44b1と第1内側多孔質層83の上面とは接触しており、第1水侵入抑制部91の高さHは第1内側多孔質層83の厚さと同じ値になっている。ただし、内周面44b1と第1内側多孔質層83の上面とが上下に離間していてもよい。両者が離間していることで、例えば両者の熱膨張やガスセンサ10の振動などが生じた場合の両者の接触が抑制されて、碍子44bとセンサ素子20との少なくとも一方が破損することを抑制できる。両者が離間している場合、第1水侵入抑制部91の高さHは、第1内側多孔質層83の厚さと、内周面44b1と第1内側多孔質層83の上面との上下の離間距離と、の和と同じ値であってもよい。内周面44b2と第2内側多孔質層84の下面とについても同様に、図6では両者が接触しているが、両者が上下に離間していてもよい。
こうして構成されたガスセンサ10の製造方法を以下に説明する。まず、センサ素子20の製造方法について説明する。センサ素子20を製造する際には、まず、素子本体60に対応する複数(ここでは6枚)の未焼成のセラミックスグリーンシートを用意する。各グリーンシートには、必要に応じて切欠や貫通孔や溝などを打ち抜き処理などによって設けたり、電極や配線パターンをスクリーン印刷したりする。また、焼成後に第1内側多孔質層83及び第2内側多孔質層84となる未焼成多孔質層についても、スクリーン印刷によりグリーンシートのうち第1,第2面60a,60bに対応する面に形成する。未焼成多孔質層は、第1,第2水侵入抑制部91,94が形成されるように、隙間領域を設けつつ形成する。その後、複数のグリーンシートを積層する。積層された複数のグリーンシートは、焼成後に素子本体となる未焼成素子本体であり、未焼成多孔質層を備えている。そして、この未焼成素子本体を焼成して、第1内側多孔質層83,第2内側多孔質層84,及び第1,第2水侵入抑制部91,94を備えた素子本体60を得る。続いて、プラズマ溶射により外側多孔質層85を形成して、センサ素子20を得る。なお、多孔質層80の製造方法としては、スクリーン印刷やプラズマ溶射の他に、ゲルキャスト法,ディッピングなどを用いることもできる。
次に、センサ素子20を組み込んだガスセンサ10を製造する。まず、筒状体41の貫通孔の内部にセンサ素子20を軸方向に貫通させ、且つ筒状体41の内周面とセンサ素子20との間に碍子44a,圧粉体45a,碍子44b,圧粉体45b,碍子44c,メタルリング46をこの順に配置する。次に、メタルリング46を押圧して圧粉体45a,45bを圧縮し、その状態で縮径部43c,43dを形成することで素子封止体40を製造して、筒状体41の内周面とセンサ素子20との間を封止する。その後、素子封止体40に保護カバー30を溶接し、ナット47を取り付けて組立体15を得る。そして、ゴム栓57内を通したリード線55と、これに接続されたコネクタ50とを用意して、コネクタ50をセンサ素子20の後端側に接続する。その後、外筒48を主体金具42に溶接固定して、ガスセンサ10を得る。
次に、こうして構成されたガスセンサ10の使用例を以下に説明する。ガスセンサ10が図1のように配管58に取り付けられた状態で、配管58内を被測定ガスが流れると、被測定ガスは保護カバー30内を流通して素子室33内に流入し、センサ素子20の前端側が被測定ガスに晒される。そして、被測定ガスが多孔質層80を通過して外側電極64に到達及び被測定ガス導入口61からセンサ素子20内に到達すると、上述したようにこの被測定ガス中のNOx濃度に応じた電気信号を検出部63が発生させる。この電気信号を上側,下側コネクタ電極71,72を介して取り出すことで、電気信号に基づきNOx濃度が検出される。
このとき、被測定ガス中には水分が含まれている場合があり、この水分が毛細管現象によって多孔質層80内を移動していく場合がある。この水分が露出した上側,下側コネクタ電極71,72まで到達すると、水や水に溶けた硫酸などの成分によって上側,下側コネクタ電極71,72の錆や腐食が発生したり上側,下側コネクタ電極71,72のうち隣接する電極間の短絡が生じたりする場合がある。しかし、本実施形態では、被測定ガス中の水分が毛細管現象によって多孔質層80内(特に第1内側多孔質層83内及び第2内側多孔質層84内)を素子本体60の後端側に向かって移動したとしても、水分は上側,下側コネクタ電極71,72に到達する前に第1水侵入抑制部91又は第2水侵入抑制部94に到達する。そして、第1水侵入抑制部91は、多孔質層が存在しない空間である隙間領域であり、素子本体60の長手方向に沿った水の毛細管現象が生じにくい。また、第1水侵入抑制部91は、長手方向の長さLが0.5mm以上であるため、水分が第1水侵入抑制部91を通過することを十分抑制できる。以上により、第1水侵入抑制部91は、水分が前端側部分83a側から第1水侵入抑制部91内部を通過することを抑制できる。
また、第1水侵入抑制部91と碍子44bとの重複距離Wが0.5mm以上となっていることで、水分が圧粉体45a,45bの内部を通過することで第1水侵入抑制部91を回り込んでセンサ素子20の後端側に移動することも十分抑制できる。例えば、比較例として、図7に示すように、センサ素子20の長手方向で第1水侵入抑制部91及び第2水侵入抑制部94が圧粉体45aと同じ位置にのみ配置されており重複距離Wが0mmである場合を考える。この場合、水分は第1水侵入抑制部91の内部を毛細管現象で通過することはできないものの、圧粉体45aは吸水性を有するため水分は圧粉体45aの内部を移動可能である。そのため、水分が圧粉体45aの内部を通過することで第1水侵入抑制部91を回り込んで第1水侵入抑制部91よりも後端側に移動してしまう場合がある(図7中の太矢印参照)。これに対し、本実施形態のセンサ素子20では、図6に示すように第1水侵入抑制部91が配置されて重複距離Wが0.5mm以上となっている。この重複距離Wの部分(重複部分)では、圧粉体45aは第1水侵入抑制部91には露出しておらず、碍子44bは緻密であるため水分は碍子44bの内部をほとんど通過できないから、図7で示した水分の回り込みは生じにくい。そして、重複距離Wが0.5mm以上であることで、水分が第1水侵入抑制部91を回り込むことを抑制する領域が十分な長さに亘って存在することになるため、回り込みによる水分の移動を十分抑制できる。
以上により、第1水侵入抑制部91は、多孔質層80(特に前端側部分83a)内を移動してきた水分が第1水侵入抑制部91内を通過することを抑制し、しかも圧粉体45a,45bを介して水分が第1水侵入抑制部91を回り込んで移動することも抑制する。したがって、ガスセンサ10では、水分が第1水侵入抑制部91よりもセンサ素子20の後端側に移動して上側コネクタ電極71に到達するのを抑制できる。そのため、センサ素子20では、上側コネクタ電極71に水が付着することによる上述した不具合の発生が抑制される。
同様に、第2水侵入抑制部94と碍子44bとの重複距離Wが0.5mm以上となっていることで、第2水侵入抑制部94は、多孔質層80(特に前端側部分84a)内を移動してきた水分が第2水侵入抑制部94内を通過することを抑制し、しかも圧粉体45a,45bを介して水分が第2水侵入抑制部94を回り込んで移動することも抑制する。したがって、ガスセンサ10では、水分が第2水侵入抑制部94よりもセンサ素子20の後端側に移動して下側コネクタ電極72に到達するのを抑制できる。そのため、センサ素子20では、下側コネクタ電極72に水が付着することによる上述した不具合の発生が抑制される。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のセンサ素子20が本発明のセンサ素子に相当し、筒状体41が筒状体に相当し、圧粉体45a,45bが圧粉体に相当し、碍子44a〜44cが緻密体に相当し、素子本体60が素子本体に相当し、検出部63が検出部に相当し、コネクタ電極71a〜71d,72a〜72dの各々がコネクタ電極に相当し、第1面60a及び第2面60bがコネクタ電極が配設された側面に相当し、多孔質層80が多孔質層に相当し、第1水侵入抑制部91及び第2水侵入抑制部94がそれぞれ水侵入抑制部に相当する。また、外側リード線75が外側リード部に相当し、外側電極64が外側電極に相当し、第1面60aが第1側面に相当し、第2面60bが第2側面に相当する。
以上詳述した本実施形態のセンサ素子20によれば、素子本体60の1以上の側面のいずれか(ここでは第1面60a)において、第1水侵入抑制部91が配設されているため、水分が第1水侵入抑制部91よりもセンサ素子20の後端側に移動して上側コネクタ電極71a〜71dに到達するのを抑制できる。同様に、センサ素子20では、素子本体60の1以上の側面のいずれか(ここでは第2面60b)においても、第2水侵入抑制部94が配設されているため、水分が第2水侵入抑制部94よりもセンサ素子20の後端側に移動して下側コネクタ電極72a〜72dに到達することも抑制できる。
さらに、第1,第2水侵入抑制部91,94の長さLが1mm以下であることで、長さLが比較的小さいため、素子本体60の側面(ここでは第1,第2面60a,60b)が露出する部分(多孔質層80に覆われていない部分)を少なくすることができる。
また、第1,第2水侵入抑制部91,94の高さHが50μm以上であることで、素子本体60のうち第1,第2水侵入抑制部91,94が配設された側面(ここでは第1,第2面60a,60bと碍子44bとの距離が近すぎて第1,第2面60a,60bと内周面44b1,44b2との間で毛細管現象が生じてしまうことをより抑制できる。
そして、センサ素子20は、上側コネクタ電極71が配設された側面(ここでは第1面60a)に配設され、検出部63の複数の電極のいずれか(ここでは外側電極64)と上側コネクタ電極71bとを導通する外側リード線75、を備えている。また、多孔質層80(特に第1内側多孔質層83)は外側リード線75の少なくとも一部を被覆している。そのため、外側リード線75の少なくとも一部を多孔質層80によって保護できる。また、外側リード線75を多孔質層80によって保護する場合には、側コネクタ電極71bに近い位置に多孔質層(ここでは第1内側多孔質層83)が存在しやすいため、水分が第1内側多孔質層83を介して側コネクタ電極71bに到達するのを第1水侵入抑制部91によって抑制する意義が高い。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、ガスセンサ10は碍子を3個(碍子44a〜44c)及び圧粉体を2個(圧粉体45a,45b)備えていたが、これに限らず各々を1個以上備えていればよい。また、上述した実施形態では緻密体の例として碍子44a〜44cを挙げたが、これに限られない。碍子44a〜44cの1以上について、気孔率が10%未満の緻密体を用いることができる。気孔率が10%未満の緻密体であれば、内部を水分が通過しにくいため、上述した水侵入抑制部90を回り込むことによる水分の移動を十分抑制できる。緻密体の気孔率は、5%未満であってもよい。緻密体の気孔率は、内側多孔質層81の気孔率と同様にSEMを用いて導出した値とする。
上述した実施形態では、第1,第2水侵入抑制部91,94は、それぞれ、前後方向で碍子44bと重複する位置に配置されていたが、これに限られない。例えば、第1,第2水侵入抑制部91,94は、前後方向で碍子44a又は碍子44cと重複する位置に配置されていてもよい。ただし、第1水侵入抑制部91が、ガスセンサ10が備える複数の碍子のうち最も前端側の碍子(ここでは碍子44a)のみと重複している場合、被測定ガス中の気体状態の水分が第1水侵入抑制部91と碍子44aとの隙間を通過して第1水侵入抑制部91よりもセンサ素子20の後端側に移動してしまう可能性がある。また、第1水侵入抑制部91が、ガスセンサ10が備える複数の碍子のうち最も後端側の碍子(ここでは碍子44c)のみと重複している場合、第1水侵入抑制部91と上側コネクタ電極71とが比較的近いことになる。この場合、第1水侵入抑制部91は毛細管現象による液体の水分の上側コネクタ電極71への移動を抑制できるが、その液体の水分の一部が第1水侵入抑制部91の前側で気化して第1水侵入抑制部91と碍子44cとの隙間を通過し、第1水侵入抑制部91よりもセンサ素子20の後端側に移動して上側コネクタ電極71に到達してしまう可能性がある。これらのことから、ガスセンサ10が備える碍子が2個以上である場合には、第1水侵入抑制部91は最も前端側の碍子以外の碍子と重複していることが好ましい。また、ガスセンサ10が備える碍子が3個以上である場合には、第1水侵入抑制部91は最も前端側の碍子と最も後端側の碍子とを除いた他の碍子と重複していることが好ましい。
上述した実施形態において、センサ素子20が第2内側多孔質層84を備えず、第2面60bが多孔質層80で被覆されていなくてもよい。この場合、センサ素子20は第2水侵入抑制部94を備えなくてもよい。水侵入抑制部は、素子本体が有する側面(上述した実施形態では第1〜第4面60a〜60d)のうち、コネクタ電極及び多孔質保護層が配設された側面(上述した実施形態では第1,第2面60a,60b)の少なくとも1つに配設されていればよい。こうすれば、少なくとも水侵入抑制部が配設された側面においては、水分がコネクタ電極に到達するのを抑制できる。
上述した実施形態では、第1内側多孔質層83は第1水侵入抑制部91及び上側コネクタ電極71が存在する領域を除いて第1面60aの前端から後端までの領域を被覆していたが、これに限られない。例えば、第1内側多孔質層83は、第1水侵入抑制部91が存在する領域を除いて第1面60aの前端から上側コネクタ電極71a〜71dの前端側の端部までの領域を覆っていてもよい。あるいは、第1内側多孔質層83は、第1水侵入抑制部91が存在する領域を除いて第1面60aの前端から第1水侵入抑制部91よりも後方までの領域を少なくとも覆っていてもよい。第2内側多孔質層84についても同様である。
上述した実施形態では、素子本体60は直方体形状としたが、これに限られない。例えば、素子本体60は円筒又は円柱状であってもよい。この場合、素子本体60は側面を1つ有することになる。
以下には、センサ素子を具体的に作製した例を実施例として説明する。実験例1〜4が本発明の実施例に相当し、実験例5〜7が比較例に相当する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
図2〜5に示したセンサ素子20と同様のセンサ素子を作製し、これを組み込んだガスセンサ10を作製して実験例1とした。ただし、実験例1では、上述した実施形態の図6とは異なり、碍子44bと水侵入抑制部90との位置関係を図8に示す態様とした。実験例1のセンサ素子20は以下のように作製した。まず、安定化剤のイットリアを4mol%添加したジルコニア粒子と有機バインダーと有機溶剤とを混合してテープ成形により成形したセラミックスグリーンシートを6枚用意した。各々のグリーンシートには各電極等のパターンを印刷した。また、焼成後に第1内側多孔質層83及び第2内側多孔質層84となる未焼成多孔質層を、スクリーン印刷により形成した。未焼成多孔質層は、第1,第2水侵入抑制部91,94が形成されるように形成した。未焼成多孔質層は、原料粉末(アルミナ粉末),バインダー溶液(ポリビニルアセタールとブチルカルビトール),溶媒(アセトン),及び造孔材を混合して調合したスラリーとした。その後、6枚のグリーンシートを積層及び焼成した。これにより、第1,第2内側多孔質層83,84を備えた素子本体60を作製して、実験例1のセンサ素子20とした。素子本体60の寸法は、長さが67.5mm、幅が4.25mm、厚さが1.45mmとした。第1,第2内側多孔質層83,84は、厚さが20μm、気孔率が30%とした。
実験例1のガスセンサ10を作製するにあたり、碍子44a〜44cはいずれもアルミナからなるセラミックスの焼結体とし、碍子44aの軸方向長さを8mm、碍子44bの軸方向長さを10mm、碍子44cの軸方向長さを4.5mmとした。碍子44a〜44cの気孔率をSEM画像を用いて導出したところ、1%未満であった。圧粉体45a,45bはタルク粉末を成形したものとした。また、筒状体41内で圧粉体45a,45bに前後から加わる封止荷重が適切となるように、タルク粉末の量を調整した。封止後の圧粉体45aの軸方向長さは6mm、圧粉体45の軸方向長さは7mmであった。碍子44a〜44cと多孔質層80との上下方向の離間距離はいずれも100μmであった。図8に示す第1,第2水侵入抑制部91,94の長さLはそれぞれ20mmであった。実験例1では、第1,第2水侵入抑制部91,94の前端の位置が、碍子44bの内周面44b1,44b2の前端の位置と同じになっている。実験例1では、第1,第2水侵入抑制部91,94の前端は、素子本体60の前端から29mmの距離に位置している。図8に示すように、第1,第2水侵入抑制部91,94はそれぞれ碍子44b,44cと重複しており、連続した重複部分の長さである重複距離Wは、より長い距離に亘って重複している碍子44bとの位置関係に基づいて、10mmとなった。また、第1,第2水侵入抑制部91,94の高さHはそれぞれ120μm(碍子44a〜44cと多孔質層80との上下方向の離間距離100μmと、第1,第2内側多孔質層83,84の各々の厚さ20μmと、の和)となった。高さHは後述する実験例2〜6においても実験例1と同じ値とした。
[実験例2]
碍子44bと水侵入抑制部90との前後の位置関係が上述した図6に示した位置関係となるように第1,第2内側多孔質層83,84の形成パターンを変更した点以外は、上述した実験例1と同様のガスセンサ10を作製して実験例2とした。実験例2では、図6に示すように、前後方向で第1,第2水侵入抑制部91,94はそれぞれ碍子44bに含まれており重複距離W=5mm(=L)となった。実験例2における第1,第2水侵入抑制部91,94の前端は、素子本体60の前端から31mmの距離に位置するようにした。
[実験例3〜5]
碍子44bと水侵入抑制部90との前後の位置関係が図9に示した位置関係となるように第1,第2内側多孔質層83,84の形成パターンを変更した点以外は、上述した実験例1と同様のガスセンサ10を作製して実験例3〜5とした。実験例3〜5のいずれにおいても、第1,第2水侵入抑制部91,94の長さLは5mmとした。図9に示すように、前後方向で第1,第2水侵入抑制部91,94は後端側の一部が碍子44bと重複しており、実験例3では重複距離W=3mm、実験例4では重複距離W=0.5mm、実験例5では重複距離W=0.3mmとした。素子本体60の前端から第1,第2水侵入抑制部91,94の前端までの距離は、実験例3では27mm、実験例4では24.5mm、実験例5では24.3mmとした。
[実験例6]
碍子44bと水侵入抑制部90との前後の位置関係が上述した図7に示した位置関係となるように第1,第2内側多孔質層83,84の形成パターンを変更した点以外は、上述した実験例1と同様のガスセンサ10を作製して実験例6とした。実験例6では、第1,第2水侵入抑制部91,94の長さLは5mmとし、重複距離W=0mmとした。実験例6では、第1,第2水侵入抑制部91,94の前端は、素子本体60の前端から23.5mmの距離に位置している。
[実験例7]
第1,第2水侵入抑制部91,94を備えない点以外は実験例1と同様にガスセンサ10を作製して、実験例7とした。すなわち、実験例7では、第1,第2内側多孔質層83,84の各々が、前後に分割されておらず、上側,下側コネクタ電極71,72が配設された領域を除いて第1,第2面60a,60bを全て被覆するようにした。水侵入抑制部の長さL及び重複距離Wはいずれも0mmとなった。
[液体侵入試験]
実験例1〜7のガスセンサ10について、素子本体60の前端側を液体に浸した場合に毛細管現象によって素子本体60の後端側にどの程度液体が浸入するかを試験した。まず、ガスセンサ10の長手方向(前後方向)が鉛直方向に沿うようにした状態で、ガスセンサ10のうちガスセンサ10の前端から所定の浸漬位置までの部分を、レッドチェック液に浸した。所定の浸漬位置は、センサ素子20の素子本体60の前端(第5面60e)から後端側に向かって20mmの位置とした。その状態で150時間放置し、レッドチェック液が浸漬位置よりも後端側にどの程度浸入したかを目視にて測定し、侵入距離とした。この侵入距離は、第1,第2内側多孔質層83,84内を毛細管現象によってレッドチェック液が浸漬位置から素子本体60の後端側にどの程度移動したかを表す値である。150時間経過後の侵入距離が15mm未満であった場合に非常に良好(A)と判定し、15mm以上であった場合に不良(F)と判定した。レッドチェック液は、栄進化学製のR−3B(NT)プラスを用いた。レッドチェック液は、炭化水素油を40〜60wt%,可塑性溶剤を10〜20wt%,グリコールエーテルを1〜20wt%,非イオン界面活性剤を12〜50wt%,アゾ系油溶性赤色染料を1〜5wt%含む。レッドチェック液は、20℃での密度が0.86g/cm3であり、水よりも密度が小さい。
実験例1〜7の各々の重複距離W、長さL、液体侵入試験の評価結果を、表1にまとめて示す。また、図10は、実験例2,7における液体侵入試験時の侵入距離の時間変化を示すグラフである。
図10から分かるように、第1,第2水侵入抑制部91,94が存在しない実験例7では、時間の経過と共に侵入距離が長くなっており、レッドチェック液が毛細管現象により第1,第2内側多孔質層83,84内をセンサ素子20の後方に移動していくことが確認された。これに対し、第1,第2水侵入抑制部91,94が存在し重複距離Wが0.5mm以上である実験例2では、第1,第2水侵入抑制部91,94の前端側の位置である侵入距離が11mmの位置(=素子本体60の前端から31mmの位置)までしか、レッドチェック液の浸入は見られなかった。そのため、実験例2では第1,第2水侵入抑制部91,94がレッドチェック液の後方への移動を阻止していることが確認できた。
表1からわかるように、重複距離Wが0.5mm以上である実験例1〜4は、いずれも液体侵入試験の結果が非常に良好であった。これに対し、重複距離Wが0.5mm未満である実験例5〜7では、液体侵入試験の結果が不良であった。このことから、重複距離Wが0.5mm以上であれば、水分の移動を第1,第2水侵入抑制部91,94によって十分抑制できることが確認された。また、実験例5,6の結果から、長さLが長くても、重複距離Wが0.5mm未満の場合には水分の移動を十分抑制できないことが確認された。これは、上述したように、圧粉体を介して水分が第1,第2水侵入抑制部91,94を回り込んで後方に移動しているためと考えられる。
本出願は、2018年2月6日に出願された日本国特許出願第2018−019446号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
本発明は、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの特定ガスの濃度を検出するガスセンサに利用可能である。
10 ガスセンサ、15 組立体、20 センサ素子、30 保護カバー、31 内側保護カバー、32 外側保護カバー、33 素子室、40 素子封止体、41 筒状体、42 主体金具、42a 肉厚部、42b 底面、43 内筒、43a フランジ部、43c,43d 縮径部、44a〜44c 碍子、44b1,44b2 内周面、45a,45b 圧粉体、46 メタルリング、47 ナット、48 外筒、49 空間、50 コネクタ、55 リード線、57 ゴム栓、58 配管、59 固定用部材、60 素子本体、60a〜60f 第1面〜第6面、61 被測定ガス導入口、62 基準ガス導入口、63 検出部、64 外側電極、65 内側主ポンプ電極、66 内側補助ポンプ電極、67 測定電極、68 基準電極、69 ヒータ、71,71a〜71d 上側コネクタ電極、72,72a〜72d 下側コネクタ電極、75 外側リード線、80 多孔質層、81 内側多孔質層、83 第1内側多孔質層、83a 前端側部分、83b 後端側部分、84 第2内側多孔質層、84a 前端側部分、84b 後端側部分、85 外側多孔質層、90 水侵入抑制部、91 第1水侵入抑制部、94 第2水侵入抑制部。

Claims (6)

  1. センサ素子と、前記センサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する金属製の筒状体と、前記貫通孔内に配置され該貫通孔の内周面と前記センサ素子との間に充填された1以上の圧粉体と、気孔率が10%未満であり前記貫通孔内に配置されると共に内部を前記センサ素子が貫通し前記圧粉体を前記軸方向に押圧する中空柱状の1以上の緻密体と、
    を備えたガスセンサであって、
    前記センサ素子は、
    長手方向に沿った両端である前端及び後端と、該長手方向に沿った表面である1以上の側面と、を有する長尺な素子本体と、
    前記素子本体の前記前端側に配設された複数の電極を有し、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するための検出部と、
    前記1以上の側面のいずれかの前記後端側に1以上配設され、外部と電気的に導通するためのコネクタ電極と、
    前記コネクタ電極が配設された前記側面のうち少なくとも前記前端側を被覆し且つ気孔率が10%以上の多孔質層と、
    前記多孔質層を前記長手方向に沿って分割するように前記側面に配設され、前記コネクタ電極よりも前記前端側に位置し、前記長手方向の存在範囲と前記1以上の緻密体の内周面の前記長手方向の存在範囲との連続した重複部分の長さである重複距離Wが0.5mm以上であり、前記多孔質層が存在しない隙間領域であり前記長手方向に沿った水の毛細管現象を抑制する水侵入抑制部と、
    を備えている、
    ガスセンサ。
  2. 前記水侵入抑制部は、前記長手方向の長さLが1mm以下である、
    請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 前記水侵入抑制部は、前記側面から前記緻密体の内周面までの高さHが50μm以上である、
    請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  4. 前記センサ素子は、前記コネクタ電極が配設された前記側面に配設され前記複数の電極のいずれかと前記コネクタ電極とを導通する外側リード部を備えており、
    前記多孔質層は、前記外側リード部の少なくとも一部を被覆している、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  5. 前記多孔質層は、前記水侵入抑制部が存在する領域を除いて、前記コネクタ電極が配設された前記側面のうち該側面の前記前端から前記コネクタ電極の前記前端側の端部までの領域を少なくとも覆っている、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  6. 前記素子本体は、直方体形状をしており、前記長手方向に沿った表面である4つの前記側面を有しており、
    前記コネクタ電極は、前記4つの側面のうち互いに対向する第1側面及び第2側面にそれぞれ1以上配設されており、
    前記多孔質層は、前記第1側面及び前記第2側面をそれぞれ被覆しており、
    前記水侵入抑制部は、前記第1側面及び前記第2側面にそれぞれ配設されている、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスセンサ。
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