JP2021043224A5 - - Google Patents
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Description
素子封止体40は、センサ素子20を封止固定する部材である。素子封止体40は、主体金具42及び内筒43を備えた筒状体41と、碍子44a~44c(緻密体の一例)と、圧粉体45a,45bと、メタルリング46と、を備えている。センサ素子20は素子封止体40の中心軸上に位置しており、素子封止体40を前後方向に貫通している。
そして、センサ素子20は、上側コネクタ電極71が配設された側面(ここでは第1面60a)に配設され、検出部63の複数の電極のいずれか(ここでは外側電極64)と上側コネクタ電極71bとを導通する外側リード線75、を備えている。また、多孔質層80(特に第1内側多孔質層83)は外側リード線75の少なくとも一部を被覆している。そのため、外側リード線75の少なくとも一部を多孔質層80によって保護できる。また、外側リード線75を多孔質層80によって保護する場合には、上側コネクタ電極71bに近い位置に多孔質層(ここでは第1内側多孔質層83)が存在しやすいため、水分が第1内側多孔質層83を介して上側コネクタ電極71bに到達するのを第1水侵入抑制部91によって抑制する意義が高い。
[液体侵入試験]
実験例1~31のセンサ素子20について、素子本体60の前端側を液体に浸した場合に毛細管現象によって素子本体60の後端側にどの程度液体が浸入するかを試験した。まず、センサ素子20の長手方向が鉛直方向に沿うようにした状態で、センサ素子20の素子本体60の前端(第5面60e)から後端側に向かって20mmの位置(以下、浸漬位置)までの部分を、レッドチェック液に浸した。その状態で20時間放置し、レッドチェック液が浸漬位置よりも後端側にどの程度浸入したかを目視にて測定し、侵入距離とした。この侵入距離は、第1,第2内側多孔質層83,84内を毛細管現象によってレッドチェック液が浸漬位置から素子本体60の後端側にどの程度移動したかを表す値である。20時間経過後の侵入距離が10mm未満であった場合に非常に良好(A)と判定し、10mm以上20mm未満であった場合に良好(B)と判定し、20mm以上であった場合に不良(F)と判定した。レッドチェック液は、栄進化学製のR-3B(NT)プラスを用いた。レッドチェック液は、炭化水素油を40~60wt%,可塑性溶剤を10~20wt%,グリコールエーテルを1~20wt%,非イオン界面活性剤を12~50wt%,アゾ系油溶性赤色染料を1~5wt%含む。レッドチェック液は、20℃での密度が0.86g/cm3であり、水よりも密度が小さい。
実験例1~31のセンサ素子20について、素子本体60の前端側を液体に浸した場合に毛細管現象によって素子本体60の後端側にどの程度液体が浸入するかを試験した。まず、センサ素子20の長手方向が鉛直方向に沿うようにした状態で、センサ素子20の素子本体60の前端(第5面60e)から後端側に向かって20mmの位置(以下、浸漬位置)までの部分を、レッドチェック液に浸した。その状態で20時間放置し、レッドチェック液が浸漬位置よりも後端側にどの程度浸入したかを目視にて測定し、侵入距離とした。この侵入距離は、第1,第2内側多孔質層83,84内を毛細管現象によってレッドチェック液が浸漬位置から素子本体60の後端側にどの程度移動したかを表す値である。20時間経過後の侵入距離が10mm未満であった場合に非常に良好(A)と判定し、10mm以上20mm未満であった場合に良好(B)と判定し、20mm以上であった場合に不良(F)と判定した。レッドチェック液は、栄進化学製のR-3B(NT)プラスを用いた。レッドチェック液は、炭化水素油を40~60wt%,可塑性溶剤を10~20wt%,グリコールエーテルを1~20wt%,非イオン界面活性剤を12~50wt%,アゾ系油溶性赤色染料を1~5wt%含む。レッドチェック液は、20℃での密度が0.86g/cm3であり、水よりも密度が小さい。
表1からわかるように、長さLが0.5mm以上且つ第1,第2緻密層92,95の気孔率が10%未満である実験例5~7,9,10,12~14,16~18,20,21,23,24,26,27,29,30は、いずれも液体侵入試験の結果が非常に良好又は良好であった。これに対し、長さLが0.5mm未満である実験例1~4や、第1,第2緻密層92,95の気孔率が10%である実験例8,11,15,19,22,25,28,31では、液体侵入試験の結果が不良であった。このことから、第1,第2水侵入抑制部91,94の長さLが0.5mm以上且つ第1,第2緻密層92,95の気孔率が10%未満であれば、毛細管現象による水分の移動を第1,第2水侵入抑制部91,94によって十分抑制できることが確認された。実験例5の結果からわかるように、第1,第2緻密層92,95の長さLeが0.5mm未満であっても、第1,第2水侵入抑制部91,94の長さLが0.5mm以上であれば、毛細管現象による水分の移動が十分抑制されていた。また、実験例6,7間や実験例12~14間などの比較から、第1,第2緻密層92,95の気孔率が小さいほど毛細管現象による水分の移動を抑制する効果が高まることが確認できた。第1,第2緻密層92,95の長さLeが長いほど、第1,第2緻密層92,95の気孔率が大きくても液体侵入試験の評価結果がAからBに低下しにくくなる傾向が確認された。
[実験例1A]
図8に示す位置関係を有するガスセンサ10を上述した製造方法により作製して、実験例1Aとした。実験例1Aのガスセンサ10は、第1,第2水侵入抑制部91,94の前後方向の位置を変更した点以外は実験例27と同じセンサ素子20を組み込んで作製した。実験例1Aのガスセンサ10において、碍子44a~44cはいずれもアルミナからなるセラミックスの焼結体とし、碍子44aの軸方向長さを8mm、碍子44bの軸方向長さを10mm、碍子44cの軸方向長さを4.5mmとした。碍子44a~44cの気孔率をSEM画像を用いて導出したところ、1%未満であった。圧粉体45a,45bはタルク粉末を成形したものとした。また、筒状体41内で圧粉体45a,45bに前後から加わる封止荷重が適切となるように、タルク粉末の量を調整した。封止後の圧粉体45aの軸方向長さは6mm、圧粉体45bの軸方向長さは7mmであった。碍子44a~44cと多孔質層80及び水侵入抑制部90との上下方向の離間距離はいずれも100μmであった。図8に示すように、実験例1Aでは、第1,第2水侵入抑制部91,94の前端の位置が、碍子44bの内周面44b1,44b2の前端の位置と同じになっている。第1,第2水侵入抑制部91,94の前端は、素子本体60の前端から29mmの距離に位置している。第1緻密層92及び第2緻密層95は碍子44b,44cと重複しており、連続した重複部分の長さである重複距離Wは、より長い距離に亘って重複している碍子44bとの位置関係に基づいて、10mmとなった。
図8に示す位置関係を有するガスセンサ10を上述した製造方法により作製して、実験例1Aとした。実験例1Aのガスセンサ10は、第1,第2水侵入抑制部91,94の前後方向の位置を変更した点以外は実験例27と同じセンサ素子20を組み込んで作製した。実験例1Aのガスセンサ10において、碍子44a~44cはいずれもアルミナからなるセラミックスの焼結体とし、碍子44aの軸方向長さを8mm、碍子44bの軸方向長さを10mm、碍子44cの軸方向長さを4.5mmとした。碍子44a~44cの気孔率をSEM画像を用いて導出したところ、1%未満であった。圧粉体45a,45bはタルク粉末を成形したものとした。また、筒状体41内で圧粉体45a,45bに前後から加わる封止荷重が適切となるように、タルク粉末の量を調整した。封止後の圧粉体45aの軸方向長さは6mm、圧粉体45bの軸方向長さは7mmであった。碍子44a~44cと多孔質層80及び水侵入抑制部90との上下方向の離間距離はいずれも100μmであった。図8に示すように、実験例1Aでは、第1,第2水侵入抑制部91,94の前端の位置が、碍子44bの内周面44b1,44b2の前端の位置と同じになっている。第1,第2水侵入抑制部91,94の前端は、素子本体60の前端から29mmの距離に位置している。第1緻密層92及び第2緻密層95は碍子44b,44cと重複しており、連続した重複部分の長さである重複距離Wは、より長い距離に亘って重複している碍子44bとの位置関係に基づいて、10mmとなった。
Claims (10)
- センサ素子と、前記センサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する金属製の筒状体と、前記貫通孔内に配置され該貫通孔の内周面と前記センサ素子との間に充填された1以上の圧粉体と、気孔率が10%未満であり前記貫通孔内に配置されると共に内部を前記センサ素子が貫通し前記圧粉体を前記軸方向に押圧する中空柱状の1以上の緻密体と、
を備えたガスセンサであって、
前記センサ素子は、
長手方向に沿った両端である前端及び後端と、該長手方向に沿った表面である1以上の側面と、を有する長尺な素子本体と、
前記素子本体の前記前端側に配設された複数の電極を有し、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するための検出部と、
前記1以上の側面のいずれかの前記後端側に1以上配設され、外部と電気的に導通するためのコネクタ電極と、
前記コネクタ電極が配設された前記側面のうち少なくとも前記前端側を被覆し且つ気孔率が10%以上の多孔質層と、
前記多孔質層を前記長手方向に沿って分割するか又は前記多孔質層よりも前記後端側に位置するように前記側面に配設され、前記コネクタ電極よりも前記前端側に位置し、前記長手方向の存在範囲と前記1以上の緻密体の内周面の前記長手方向の存在範囲との連続した重複部分の長さである重複距離Wが0.5mm以上であり、前記側面を被覆し且つ気孔率が10%未満の緻密層と該緻密層に隣接し且つ前記多孔質層が存在しない隙間領域とのうち少なくとも前記緻密層を有し、前記長手方向に沿った水の毛細管現象を抑制する水侵入抑制部と、
前記複数の電極の1つであり前記緻密層が配設された前記側面に配設された外側電極と、
を備え、
前記緻密層は、前記外側電極が配設された側面において、前記外側電極よりも前記後端側に配設され且つ前記外側電極の後端部よりも前記前端側には配設されていない、
ガスセンサ。 - センサ素子と、前記センサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する金属製の筒状体と、前記貫通孔内に配置され該貫通孔の内周面と前記センサ素子との間に充填された1以上の圧粉体と、気孔率が10%未満であり前記貫通孔内に配置されると共に内部を前記センサ素子が貫通し前記圧粉体を前記軸方向に押圧する中空柱状の1以上の緻密体と、
を備えたガスセンサであって、
前記センサ素子は、
長手方向に沿った両端である前端及び後端と、該長手方向に沿った表面である1以上の側面と、を有する長尺な素子本体と、
前記素子本体の前記前端側に配設された複数の電極を有し、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するための検出部と、
前記1以上の側面のいずれかの前記後端側に1以上配設され、外部と電気的に導通するためのコネクタ電極と、
前記コネクタ電極が配設された前記側面のうち少なくとも前記前端側を被覆し且つ気孔率が10%以上の多孔質層と、
前記多孔質層を前記長手方向に沿って分割するか又は前記多孔質層よりも前記後端側に位置するように前記側面に配設され、前記コネクタ電極よりも前記前端側に位置し、前記長手方向の存在範囲と前記1以上の緻密体の内周面の前記長手方向の存在範囲との連続した重複部分の長さである重複距離Wが0.5mm以上であり、前記側面を被覆し且つ気孔率が10%未満の緻密層と該緻密層に隣接し且つ前記多孔質層が存在しない隙間領域とのうち少なくとも前記緻密層を有し、前記長手方向に沿った水の毛細管現象を抑制する水侵入抑制部と、
前記コネクタ電極が配設された前記側面に配設され、前記複数の電極のいずれかと前記コネクタ電極とを導通する外側リード部と、
を備え、
前記多孔質層は前記外側リード部のうち前記緻密層に被覆されていない部分の少なくとも一部を被覆している、
ガスセンサ。 - センサ素子と、前記センサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する金属製の筒状体と、前記貫通孔内に配置され該貫通孔の内周面と前記センサ素子との間に充填された1以上の圧粉体と、気孔率が10%未満であり前記貫通孔内に配置されると共に内部を前記センサ素子が貫通し前記圧粉体を前記軸方向に押圧する中空柱状の1以上の緻密体と、
を備えたガスセンサであって、
前記センサ素子は、
長手方向に沿った両端である前端及び後端と、該長手方向に沿った表面である1以上の側面と、を有する長尺な素子本体と、
前記素子本体の前記前端側に配設された複数の電極を有し、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するための検出部と、
前記1以上の側面のいずれかの前記後端側に1以上配設され、外部と電気的に導通するためのコネクタ電極と、
前記コネクタ電極が配設された前記側面のうち少なくとも前記前端側を被覆し且つ気孔率が10%以上の多孔質層と、
前記多孔質層を前記長手方向に沿って分割するか又は前記多孔質層よりも前記後端側に位置するように前記側面に配設され、前記コネクタ電極よりも前記前端側に位置し、前記長手方向の存在範囲と前記1以上の緻密体の内周面の前記長手方向の存在範囲との連続した重複部分の長さである重複距離Wが0.5mm以上であり、前記側面を被覆し且つ気孔率が10%未満の緻密層と該緻密層に隣接し且つ前記多孔質層が存在しない隙間領域とのうち少なくとも前記緻密層を有し、前記長手方向に沿った水の毛細管現象を抑制する水侵入抑制部と、
を備え、
前記緻密層と、前記多孔質層のうち前記緻密層の前記前端側に位置する部分とは、互いに隣接しているか、又は両者の間が離間しており両者の間に前記隙間領域が存在する、
ガスセンサ。 - 前記センサ素子は、前記コネクタ電極が配設された前記側面に配設され前記複数の電極のいずれかと前記コネクタ電極とを導通する外側リード部を備えており、
前記多孔質層は、前記外側リード部の少なくとも一部を被覆している、
請求項1又は3に記載のガスセンサ。 - 前記緻密層は、前記長手方向の長さLeが0.5mm以上である、
請求項1~4のいずれか1項に記載のガスセンサ。 - 前記緻密層は、前記長手方向の長さLeが20mm以下である、
請求項1~5のいずれか1項に記載のガスセンサ。 - 前記隙間領域は、前記長手方向の長さLgが1mm以下である、
請求項1~6のいずれか1項に記載のガスセンサ。 - 前記水侵入抑制部は、前記隙間領域を備えない、
請求項7に記載のガスセンサ。 - 前記水侵入抑制部は、前記多孔質層を前記長手方向に沿って分割するように前記側面に配設されている、
請求項1~8のいずれか1項に記載のガスセンサ。 - 前記素子本体は、直方体形状をしており、前記長手方向に沿った表面である4つの前記側面を有しており、
前記コネクタ電極は、前記4つの側面のうち互いに対向する第1側面及び第2側面にそれぞれ1以上配設されており、
前記多孔質層は、前記第1側面及び前記第2側面をそれぞれ被覆しており、
前記水侵入抑制部は、前記第1側面及び前記第2側面にそれぞれ配設されている、
請求項1~9のいずれか1項に記載のガスセンサ。
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