JP4705379B2 - 炭素繊維シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化繊維シートを焼成して炭素繊維シートを製造する方法に関する。
炭素材料は、耐熱性、耐食性、耐薬品性に優れ、導電性を有することから、電極材料、電磁波遮蔽材料として使用されている。特に電極材用途には、気体又は液体の透過性に優れたシートが要望されている。
炭素材料がシート状である場合は、加工性、施工性、取扱性が良い。シート状の炭素材料として、炭素繊維強化材料シート(C/Cペーパー)等の炭素繊維シートがある。
C/Cペーパーは、例えば炭素繊維とポリビニルアルコールを始めとするバインダー繊維とを混抄し、得られた炭素繊維紙をフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂に含浸加工し、硬化加工した後に、窒素雰囲気下で2000℃前後の温度で焼成することで得られる。
このC/Cペーパーの製造工程において、一般に熱硬化性樹脂に含浸し、熱プレス加工した後のシートは硬くなって、しなやかさ及び/又は強度が低下する。しなやかさ及び/又は強度が低下すると、シートはロールに巻き取ることが困難になるためシートの形態は枚葉とせざるを得ず、焼成はバッチ式になる。その結果、生産効率が低下して非常に製造コストがかかる。
これらの問題を解決する手段として、炭素繊維の表面積比を特定の範囲にコントロールする方法(例えば、特許文献1参照)、焼成時にエンドレスベルトを用いる方法(例えば、特許文献2参照)、樹脂含浸量を適度な範囲にコントロールする方法(例えば、特許文献3参照)、2種類以上の炭素繊維を組み合わせる方法(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
しかし、しなやかさ及び/又は強度の低下防止、並びに、製造コストの低減等について満足するものは得られていない。
上記以外の炭素繊維シートの製造方法として、酸化繊維を抄紙用原料に用いて炭素繊維シートを製造する方法がある(例えば、特許文献5、6参照)。酸化繊維は、炭素繊維に比べ、繊維伸度が高く、抄紙時の加工性が良い。そのため、炭素化処理前の酸化繊維シートを容易に製造することができる。
しかし、特許文献5の炭素繊維シートの製造方法は、抄紙工程後、フェノール樹脂含浸の必要があり、工程が煩雑である。また、特許文献6の製造方法で製造される炭素繊維シートは、充分な強度が得られない。また、この炭素繊維シートは充分な通気性を有していない。
特開2003−183994号公報 (特許請求の範囲、段落番号[0005]〜[0008]) 特開2004−259711号公報 (段落番号[0043]、[0072]) 特開2002−302557号公報 (特許請求の範囲、段落番号[0026]) 特開2001−283878号公報 (特許請求の範囲、段落番号[0011]〜[0024]) 特開2004−183164号公報 (特許請求の範囲、段落番号[0031]〜[0036]) 特開2004−27435号公報 (特許請求の範囲、段落番号[0047]〜[0053])
本発明者の属する研究グループは、繊維の分散性が良好で且つ難燃性に優れた酸化繊維混抄紙(酸化繊維シート)及びその製造方法を発明し、先に出願した(特願2003−195642)。しかし、該酸化繊維シートを焼成して得られる炭素繊維シートの一部は、焼成時にゆがみを生じ易いものであった。また、良好な通気性、充分な強度を有しない等その物性は満足できるものではなかった。
本発明者は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、所定繊維長の酸化繊維のA成分と、高残炭率を有する有機高分子のB成分と、低残炭率を有する有機高分子のC成分とを所定配合割合で混合含有して得られる酸化繊維シートを焼成することにより、焼成時にゆがみを生じないで且つ良好な通気性、充分な強度を有する等の物性を満足する炭素繊維シートが得られることを知得した。
また、焼成時及び焼成後のシートはしなやかさ及び/又は強度が適正であり、容易にロールに巻き取ることができるため焼成は連続式が可能になる。その結果、生産効率が向上して製造コストを低減できる可能性があることを本発明者は知得し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の目的とするところは、上記問題を解決した炭素繊維シートの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 以下の3成分A、B、C
A:繊維長2.0〜15.0mmの酸化繊維
B:残炭率30〜70質量%を有する有機高分子
C:残炭率0.5〜20.0質量%を有する有機高分子
について、A成分の配合量50〜95質量部、B成分の配合量50〜5質量部、B成分に対するC成分の配合割合C/B0.3〜5.0で混合含有してなる酸化繊維粗シートを、100〜350℃の温度下、圧力0.30〜20MPaの条件で熱圧縮処理して、嵩密度1.0〜0.2g/cm3の酸化繊維シートを得、次いでこれを不活性ガス雰囲気下、1300〜2500℃の温度で焼成し炭素化する炭素繊維シートの製造方法。
〔2〕 A成分が繊維太さ0.8〜3.3dtex、繊維長2.0〜15.0mmの酸化繊維である〔1〕に記載の炭素繊維シートの製造方法。
〔3〕 B成分が芳香族ポリアミドである〔1〕に記載の炭素繊維シートの製造方法。
〔4〕 C成分がポリエステル繊維である〔1〕に記載の炭素繊維シートの製造方法。
本発明の炭素繊維シートの製造方法は、所定繊維長の酸化繊維のA成分と、高残炭率を有する有機高分子のB成分と、低残炭率を有する有機高分子のC成分とを所定配合割合で混合含有して得られる酸化繊維シートを焼成することを特徴としており、焼成時にゆがみを生じないで且つ良好な通気性、充分な強度を有する等の物性を満足する炭素繊維シートが得られる。
また、本発明の製造方法で得られる炭素繊維シートは、その焼成時のしなやかさ及び/又は強度が適正であり、容易にロールに巻き取ることができるので、連続焼成が可能になる。このように、本発明の炭素繊維シートの製造方法によれば、生産効率が向上して製造コストを低減できる。
本発明で製造される炭素繊維シートは、電導性、耐熱性が高く、通気性をコントロールし易いので、燃料電池、レドックスフロー電池、亜鉛臭素電池、亜鉛塩素電池、食塩電解等の電極材に特に適している。
以下、本発明の炭素繊維シートの製造方法について、詳細に説明する。
〔原料酸化繊維シート〕
本発明の炭素繊維シートの製造用原料酸化繊維シートは、後述する、所定繊維長の酸化繊維のA成分と、高残炭率を有する有機高分子のB成分と、低残炭率を有する有機高分子のC成分とを混合含有してなる酸化繊維シートである。
〔A成分〕
A成分は、例えば市販のポリアクリロニトリル(PAN)系繊維を空気中、高温で処理することにより環化反応を生じさせ、酸素結合量を増加させて不融化、難燃化させる耐炎化処理によって得られる酸化繊維を用いることができる。
上記PAN系繊維は、例えばアクリロニトリルの単独重合体又はアクリロニトリルを95質量%以上含有する単量体を重合した共重合体を含む紡糸溶液を、湿式又は乾湿式紡糸法において紡糸・水洗・乾燥・延伸等の処理を行うことによって得ることができる。共重合する単量体としては、アクリル酸メチル、イタコン酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸等が好ましい。
なお、A成分として考えられる酸化繊維については、PAN系酸化繊維以外に、ピッチ系、フェノール系、レーヨン系等の酸化繊維があるが、PAN系酸化繊維が最も高強度の酸化繊維シート及び炭素繊維シートが得られる。
A成分である酸化繊維の配合量は、A成分と後述のB成分との合計配合量100質量部に対して50〜95質量部、好ましくは60〜85質量部である。
A成分の配合量が50質量部未満の場合、酸化繊維シートの焼成により得られる炭素繊維シートは、空隙が大きく通気性が良好である。しかし、炭素繊維成分はA成分に由来しているので、A成分の配合量が50質量部未満の場合、炭素繊維シート中の炭素繊維成分が少なくなるために炭素繊維シートの強度は弱くなる。
A成分の配合量が95質量部を超える場合、その分B成分に由来する熱分解炭素質が少なくなる。この熱分解炭素質は、炭素繊維シート中で炭素繊維同士を結合させるのに寄与する。このことから、A成分の配合量が95質量部を超える場合、炭素繊維シートの強度が発現しない。また、A成分の配合量が95質量部を超える場合、その分炭素繊維の数が多くなるために炭素繊維シートにおける空隙が小さくなり、通気性が悪くなる。
A成分である酸化繊維の繊維長(カット長)は2.0〜15.0mmである。繊維長が2.0mm未満の場合は、得られる酸化繊維シートの強度が低下するので好ましくない。繊維長が15.0mmを超える場合は、得られる酸化繊維シートにおける繊維の分散性が低下するので好ましくない。
なお、繊維長は、JIS R 3420に準拠して測定する。
A成分及び後述のC成分の繊維太さは、裁断加工前の繊維をJIS L 1013に準拠して測定することにより求められる。
A成分である酸化繊維の比重は1.20〜1.60が好ましい。
A成分である酸化繊維の繊維太さは、特に限定されないが、0.8〜3.3dtexのものを用いることができる。
〔B成分〕
B成分は、残炭率30〜70質量%を有する有機高分子である。この有機高分子は、後述するC成分と比較して高残炭率を有し、炭素化時及び炭素化後にバインダー成分として作用するためシートの強度保持性に優れている。
残炭率は、熱分析装置を用い、窒素雰囲気下、1000℃まで加熱した後の重量減少率により測定することができる。本例では測定時の窒素流量を200ml/min、昇温速度10℃/minとして行っている。
上記有機高分子バインダーとしては、芳香族ポリアミド(アラミド)、フェノール樹脂、ポリイミド、PAN等の有機高分子のパウダー状、ペレット状、短繊維状、パルプ状等の形状物が利用できる。
これらの形状物のなかでも、抄紙時の分散性、焼成後の炭素繊維シートの厚さ斑、ゆがみ、強度などを考慮すると、パルプ状、ファイブリッド状の物が好ましい。なお、酸化繊維シートの均質性を向上させる目的にはパルプ状の物が好ましい。また、酸化繊維シートやの炭素繊維シートの強度を向上させる目的にはファイブリッド状の物が好ましく、特にメタ系ポリアミドのファイブリッドがより好ましい。
ファイブリッドとは、微小フィブリルを有する薄葉状、鱗片状の小片又はランダムにフィブリル化した微小短繊維の総称である。例えば、特公昭35−11851号公報、特公昭37−5732号公報などに記載の、有機高分子重合体溶液を沈澱剤及び剪断力の生ずる系にて混合することにより製造されるファイブリッドや、特公昭59−603号公報に記載の光学的異方性を示す高分子重合体溶液から形成した分子配向性を有する成形物に叩解等の機械的剪断力を与えてランダムにフィブリル化させたファイブリッドが例示される。
パルプ状とは、繊維状物を擦り潰してフィブリル化した微細繊維である。
B成分に用いる形状としては、特に前者の製造方法によるものが最適である。
B成分の上記残炭率を有する有機高分子バインダーの配合量は、A成分とB成分との合計配合量100質量部に対して50〜5質量部、好ましくは40〜15質量部である。
B成分の配合量が50質量部を超える場合、前述したように酸化繊維シートの焼成により得られる炭素繊維シートは、空隙が大きく通気性が良好であるが、炭素繊維シート中の炭素繊維成分が少なくなるために炭素繊維シートの強度は弱くなる。
B成分の配合量が5質量部未満の場合、前述したように炭素繊維シートの強度が発現しない。また、炭素繊維の数が多くなる分、炭素繊維シートにおける空隙が小さくなり、通気性が悪くなる。
B成分の上記残炭率を有する有機高分子が繊維状の場合、繊維長は、0.8〜2.0mmが好ましい。B成分の繊維長が2.0mmを超える場合は、B成分が焼成後に粒状で残り、焼成後の炭素繊維シートの厚さ斑、ゆがみの発生の要因となるので好ましくない。B成分の繊維長が0.8mm未満の場合は、抄紙後の酸化繊維シートにおける強度の低下、歩留りの低下の要因となるので好ましくない。
〔C成分〕
C成分は、残炭率0.5〜20.0質量%を有する有機高分子である。この前記B成分と比較して低残炭率を有する有機高分子としては、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維などが利用できる。ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリブチルテレフタレート(PBT)繊維、ポリアリレート(PAT)繊維、及びそれらに類する共重合物からなる複合繊維などが例示できる。ポリオレフィン繊維としては、ポリプロピレン(PP)繊維、及びそれに類する共重合物からなる複合繊維などが例示できる。
これらC成分の繊維は、抄紙時、熱処理時の加工性、焼成時のバインダーとしての機能から未延伸のポリエステル繊維、ポリエステル/ポリエステル共重合物からなる芯/鞘構造の複合繊維、ポリプロピレン繊維、並びに、ポリプロピレン/ポリエチレン及びそれに類する共重合物からなる芯/鞘構造の複合繊維などが好ましい。これらの繊維の中から適宜選択し焼成時のバインダーとして使用できるが、未延伸のポリエステル繊維が特に好ましい。
B成分に対するC成分の配合割合C/Bは0.3〜5.0であり、好ましくは0.5〜2.5である。
B成分に対するC成分の配合割合C/Bが5.0を超える場合は、炭素繊維同士を結合させるのに寄与するB成分の作用が低下するため、得られる炭素繊維シート強度を低下させるので好ましくない。
B成分に対するC成分の配合割合C/Bが0.3未満の場合は、炭素繊維同士を結合させるのに寄与するB成分の作用が強くなり過ぎるため、得られる炭素繊維シートに被膜を形成し、通気性と強度を低下させるので好ましくない。
C成分の上記残炭率を有する有機高分子が繊維状の場合は繊維長は、2.0〜15.0mmが好ましい。
C成分である有機高分子繊維太さは、特に限定されないが、0.1〜3.3dtexのものを用いることができる。
〔抄紙〕
上述したA成分と、B成分と、C成分とを、例えば湿式抄紙して酸化繊維粗シートにする。
〔熱圧縮処理〕
上述した酸化繊維粗シートを、100〜350℃の温度下、圧力0.30〜20MPaの条件で熱圧縮処理による均質化処理を施して酸化繊維シートにする。この熱圧縮処理により、均質化処理後の酸化繊維シートは、嵩密度が1.0〜0.2g/cm3に制御される。
熱圧縮処理による均質化処理は、例えばカレンダー加工、プレス加工で行うことができる。
〔炭素化処理〕
上記酸化繊維シートは、窒素等の不活性ガス雰囲気下、500℃を経由して1300〜2500℃で焼成し炭素化して炭素繊維シートを得る。1300℃の温度に至る経過は、ある程度時間をかけて昇温することが好ましい。昇温は、直線的に、段階的に、更には曲線的に適宜温度を高めることが好ましい。
以上の製造方法で得られた炭素繊維シートは、平均細孔径が10〜35μm、通気度が10000ml/min以上であり、その表面に膜状炭化物が形成されること無く、曲げ強さは10MPa以上である。
また、この炭素繊維シートは、厚さが50〜400μm、目付が20〜180g/m2、嵩密度が0.2〜0.6g/cm3に制御される。
本発明を以下の実施例及び比較例により詳述する。
以下の実施例及び比較例の条件により炭素繊維シートを作製した。A成分、B成分、C成分、及び炭素繊維シートの諸物性値を、前述の方法又は以下の方法により測定した。
A成分の比重:アルキメデス法(溶媒アセトン)により測定した。
炭素繊維シートの厚さ:直径5mmの円盤状圧板で荷重1.2Nを負荷したときの厚さを測定した。
炭素繊維シートの目付:100mm角のシートを120℃、1時間乾燥させた質量より、単位面積当たりの質量を算出した。
炭素繊維シート嵩密度:上記条件により測定した厚さ及び目付から算出した。
炭素繊維シートの通気度:ISO2965−1997により測定した。
炭素繊維シートの平均細孔径:JIS K 3832−1990により測定した。
炭素繊維シートの曲げ強さ:ISO2493−1992に準じ曲げ長さ1mmの条件で破断したときの荷重を測定し、JIS K 7171−1994に記載の曲げ応力の算出方法(σ=3FL/bh2、ここでσは曲げ強さ、Fは破断時の荷重、Lは支点間距離(1mm)、bは試験片の幅、hは試験片の厚さである)に従って求めた。
炭素繊維シートの紙管への巻取り性:6inch紙管(外径150mm)に巻き取ることができるか否かにより評価した。
実施例1
A成分(繊維太さ1.3dtex、比重1.35、繊維長5.0mmのPAN系酸化繊維)と、B成分(残炭率50質量%、繊維長1.20mmのアラミドファイブリッド)と、C成分(残炭率17.0質量%、繊維太さ2.50dtex、繊維長5.0mmのPET繊維)とを表1に示す配合割合で混合し、湿式抄紙し、PAN系酸化繊維粗シートを得た。この粗シートを温度120℃、圧力0.5MPaの条件下に圧縮処理することにより、表1に示す酸化繊維シートを得た。この酸化繊維シートを窒素ガス雰囲気下、500℃で10分間、2000℃で10分間焼成することにより表1に示す炭素繊維シートを得た。尚、残炭率は繊維の分子量、架橋成分量により調整した。
得られた炭素繊維シートは、表1に示すように、良好な物性の炭素繊維シートであった。
実施例2
A成分と、B成分と、C成分とを表1に示す配合割合で混合した以外は、実施例1と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表1に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表1に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表1に示すように、良好な物性の炭素繊維シートであった。
実施例3
A成分に繊維太さ2.2dtex、比重1.42、繊維長5.0mmのPAN系酸化繊維を用い、A成分と、B成分と、C成分とを表1に示す配合割合で混合した以外は、実施例1と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表1に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表1に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表1に示すように、良好な物性の炭素繊維シートであった。
実施例4
A成分に繊維太さ2.2dtex、比重1.42、繊維長5.0mmのPAN系酸化繊維を用いた以外は、実施例2と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表1に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表1に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表1に示すように、良好な物性の炭素繊維シートであった。
実施例5
A成分に繊維太さ3.3dtex、比重1.43、繊維長5.0mmのPAN系酸化繊維を用いた以外は、実施例2と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表1に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表1に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表1に示すように、良好な物性の炭素繊維シートであった。
Figure 0004705379
比較例1
A成分と、B成分と、C成分とを表2に示す配合割合で混合した以外は、実施例1と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表2に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表2に示す炭素繊維シートを得た。
酸化繊維シートの構成は、A成分の配合量、B成分の配合量、B成分に対するC成分の配合割合C/Bの何れも本発明の構成から逸脱している。
得られた炭素繊維シートは、表2に示すように、通気度、強度が不充分であった。また、6inch紙管(外径150mm)へ巻き取ることができず、良好な物性の炭素繊維シートではなかった。
比較例2
A成分と、B成分と、C成分とを表2に示す配合割合で混合した以外は、実施例3と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表2に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表2に示す炭素繊維シートを得た。
酸化繊維シートの構成は、A成分の配合量、B成分の配合量、B成分に対するC成分の配合割合C/Bの何れも本発明の構成から逸脱している。
得られた炭素繊維シートは、表2に示すように、通気度が不充分であり、強度は測定ができない程低いものであった。また、6inch紙管(外径150mm)へ巻き取ることができず、良好な物性の炭素繊維シートではなかった。
比較例3
A成分と、B成分と、C成分とを表2に示す配合割合で混合した以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表2に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表2に示す炭素繊維シートを得た。
酸化繊維シートの構成は、B成分に対するC成分の配合割合C/Bが本発明の構成から逸脱している。
得られた炭素繊維シートは、表2に示すように、強度が不充分であった。また、6inch紙管(外径150mm)へ巻き取ることができず、良好な物性の炭素繊維シートではなかった。
比較例4
A成分と、B成分と、C成分とを表2に示す配合割合で混合した以外は、実施例2と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表2に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表2に示す炭素繊維シートを得た。
酸化繊維シートの構成は、A成分の配合量、B成分の配合量が本発明の構成から逸脱している。
得られた炭素繊維シートは、表2に示すように、強度は測定ができない程低いものであった。また、6inch紙管(外径150mm)へ巻き取ることができず、良好な物性の炭素繊維シートではなかった。
Figure 0004705379
実施例6
A成分に繊維太さ2.2dtex、比重1.42、繊維長3.0mmのPAN系酸化繊維を用いた以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表3に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表3に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表3に示すように、良好な物性の炭素繊維シートであった。
実施例7
A成分に繊維太さ2.2dtex、比重1.42、繊維長14.0mmのPAN系酸化繊維を用いた以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表3に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表3に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表3に示すように、良好な物性の炭素繊維シートであった。
比較例5
A成分に繊維太さ2.2dtex、比重1.42、繊維長1.5mmのPAN系酸化繊維を用いた以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表3に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表3に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表3に示すように、通気性が悪く低い曲げ強度のものであった。また、6inch紙管(外径150mm)へ巻き取ることができず、良好な物性の炭素繊維シートではなかった。
比較例6
A成分に繊維太さ2.2dtex、比重1.42、繊維長16.0mmのPAN系酸化繊維を用いた以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表3に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表3に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表3に示すように、繊維分散性が悪いため、通気斑を生ずるとともに曲げ強度の低いものであった。また、6inch紙管(外径150mm)へ巻き取ることができず、良好な物性の炭素繊維シートではなかった。
Figure 0004705379
実施例8
B成分に残炭率35質量%、繊維長5.0mmのPAN系繊維を用いた以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表4に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表4に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表4に示すように、良好な物性の炭素繊維シートであった。
実施例9
B成分に残炭率65質量%、繊維長5.0mmのフェノールノボラック繊維を用いた以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表4に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表3に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表4に示すように、良好な物性の炭素繊維シートであった。
比較例7
B成分に残炭率25質量%、繊維長5.0mmのフェノールノボラック繊維を用いた以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表4に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表4に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表4に示すように、通気性が悪く曲げ強度が低いものであった。また、6inch紙管(外径150mm)へ巻き取ることができず、良好な物性の炭素繊維シートではなかった。
比較例8
B成分に残炭率75質量%、繊維長5.0mmのフェノールノボラック繊維を用いた以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表4に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表4に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表4に示すように、曲げ強度の低いものであった。また、6inch紙管(外径150mm)へ巻き取ることができず、良好な物性の炭素繊維シートではなかった。
Figure 0004705379
実施例10
C成分に残炭率7.0質量%、繊維太さ2.11dtex、繊維長5.0mmのポリビニルアルコール系繊維を用いた以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表5に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表5に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表5に示すように、良好な物性の炭素繊維シートであった。
比較例9
C成分に残炭率0.3質量%、繊維太さ2.15dtex、繊維長5.0mmのポリエチレン繊維を用いた以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表5に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表5に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表5に示すように、通気性は高く平均細孔直径は拡大したが、脆く炭素末の発生多く曲げ強度は低いものであった。また、6inch紙管(外径150mm)へ巻き取ることができず、良好な物性の炭素繊維シートではなかった。
比較例10
C成分に残炭率25.0質量%、繊維太さ2.00dtex、繊維長5.0mmのフェノールノボラック繊維を用いた以外は、実施例4と同様に湿式抄紙、圧縮処理して表5に示す酸化繊維シートを得、次いでこれを焼成して表5に示す炭素繊維シートを得た。
得られた炭素繊維シートは、表5に示すように、通気性は低下し、曲げ強度は低く測定不可のものであった。また、6inch紙管(外径150mm)へ巻き取ることができず、良好な物性の炭素繊維シートではなかった。
Figure 0004705379

Claims (3)

  1. 以下の3成分A、B、C
    A:繊維長2.0〜15.0mmの酸化繊維
    B:残炭率30〜70質量%を有する有機高分子
    C:残炭率0.5〜20.0質量%を有するポリエステル系繊維
    について、A成分の配合量50〜95質量部、B成分の配合量50〜5質量部、B成分に対するC成分の配合割合C/B0.3〜5.0で混合含有してなる酸化繊維粗シートを、100〜120℃の温度下、圧力0.30〜0.5MPaの条件で熱圧縮処理して、嵩密度1.0〜0.2g/cm3の酸化繊維シートを得、次いでこれを不活性ガス雰囲気下、1300〜2500℃の温度で焼成し炭素化する炭素繊維シートの製造方法。
  2. A成分が繊維太さ0.8〜3.3dtex、繊維長2.0〜15.0mmの酸化繊維である請求項1に記載の炭素繊維シートの製造方法。
  3. B成分が芳香族ポリアミドである請求項1に記載の炭素繊維シートの製造方法。
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