JP6167562B2 - 炭素繊維不織布の製造方法および不織布 - Google Patents
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Description
工程1:前記混合原綿をカードに供給し、カードから紡出されるウェブの目付を20.0g/m2以上とする工程。
工程2:工程1で得られたウェブをクロスラッパーにて8層以上となるように重ね合わせる工程。
工程3:工程2で重ね合わせられたウェブを絡合させ不織布とする工程。
工程4:工程3で得られた不織布を不活性雰囲気下で焼成し、炭素繊維不織布とする工程
本発明において、炭素繊維前駆体繊維とは、焼成工程を経て炭素繊維不織布とした場合に、消失せずに炭素繊維として残存する繊維をいう。本発明に用いることができる炭素繊維前駆体繊維の種類は特に限定されるものではないが、ポリアクリロニトリル(PAN)系耐炎繊維やピッチ系不融化繊維、フェノール樹脂繊維などを用いることがでる。なかでも、強伸度が高く、加工性の良いPAN系耐炎繊維を用いることが好ましい。
本発明に用いられる炭素繊維前駆体繊維は、平均繊維長30〜100mmに切断し、短繊維とされたものが用いられる。平均繊維長が30mm未満である場合は、紡出工程においてカードを通過する際の落綿が増加する傾向にあり、100mmを超えるとウェブの均一性が悪化する傾向がある。炭素繊維前駆体繊維の平均繊維長は30mm〜80mmであることがより好ましく、40〜70mmであることがさらに好ましい。なお、本発明における平均繊維長は、数平均繊維長を意味する。
<消失繊維(A)>
消失繊維(A)は、カードから紡出されるウェブの目付を嵩上げし、ウェブおよびウェブを複数枚積層して作製する不織布の目付バラツキを抑制する目的で炭素繊維前駆体繊維と混合する繊維である。消失繊維(A)としては炭化率が1.0%以下の繊維を用いることができる。繊維種は特に限定されるものではないが、例えばポリアミドやポリプロピレンなどを用いることができ、融点が高く炭化焼成時の寸法安定性が良い点で、脂肪族ポリアミドを用いることが好ましい。脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド11、ポリアミド12などを用いることができるが、中でも融点が高い、ポリアミド6やポリアミド6,6を用いることが特に好ましい。炭化率が1.0%を超えるポリエチレンテレフタレート、アクリルなどの繊維を消失繊維(A)として使用した場合、焼成時に消失繊維(A)の炭化物が炭素繊維前駆体の収縮を阻害して皺が入りやすくなったり、炭素繊維不織布が硬くなるため折れやすく、巻き取りが困難になったりする傾向がある。
<混合原綿>
混合原綿は、平均繊維長が30mm〜100mmかつ炭化率が40重量%以上である炭素繊維前駆体繊維の含有率が10〜30重量%、炭化率が1.0%以下の消失繊維(A)の含有率が70〜90重量%となるように繊維を混合して作成する。炭素繊維前駆体繊維は、平均繊維長30mm〜100mmとなるように切断して短繊維とする前に、クリンパーによる捲縮付与を行うことが好ましい。また、短繊維の混合方法は特に限定されず、所望の比率となるように各繊維をカードに供給する方法等を用いることができる。
工程1:前記混合原綿をカードに供給し、カードから紡出されるウェブの目付を20.0g/m2以上とする工程。
工程2:工程1で得られたウェブをクロスラッパーにて8層以上となるように重ね合わせる工程。
工程3:工程2で重ね合わせられたウェブを絡合させ不織布とする工程。
工程4:工程3で得られた不織布を不活性雰囲気下で焼成し、炭素繊維不織布とする工程。
の各工程を有する。以下、各工程について説明する。
<工程1>
工程1は、混合原綿をカードに供給し、カードから紡出されるウェブの目付を20.0g/m2以上とする工程である。カードから紡出されるウェブの目付は、カード時の通過性と紡出されるウェブの均一性の観点から、20.0g/m2以上に調整されるが、20.0〜80.0g/m2であることがより好ましく、25〜70g/m2であることがさらに好ましく、30.0〜60.0g/m2であることが一層好ましい。ウェブの目付が20.0g/m2未満であると、目付の均一性が低下する傾向にあり、80.0g/m2を超えるとカードの通過性が低下する傾向にある。
<工程2>
工程2は、工程1で得られたウェブをクロスラッパーにて8層以上となるように重ね合わせる工程である。
<工程3>
工程3は、工程2で得られたウェブを絡合させ不織布とする工程である。
<工程4>
工程4は、工程3で得られた不織布を不活性雰囲気下で焼成し、炭素繊維不織布とする工程である。
JIS L 1015 8.4.1 A法(2001)に準拠して測定した。
炭化率は、熱重量測定(TG:Thermo Gravimetry)により求めることができる。繊維を90℃以上の熱湯に3分浸漬した後、新しい熱湯に3分浸漬を3回繰り返して付着した油剤を除去し、100℃の乾燥機で60分乾燥させる。その後、真空乾燥機中にて12時間以上乾燥させた試料について、電気炉を用い、窒素雰囲気下で10℃/minの昇温条件にて1000℃まで昇温した後、温度を10分キープして得られた減量カーブにおいて、重量保持率を炭化率とした。
20cm×20cmの試験片を20枚採取し、それぞれの試験片の重量から目付を求めた。
上記の方法で測定した目付の平均値と標準偏差を算出し、下式から変動係数を算出した。
E.気体透過抵抗
試験片(直径50mm)を内径12mm、外径100mmの円盤で挟み、1MPaに加圧した。片側の円盤の中空部に、空気を流量1.0L/分で供給し、もう一方の円盤の中空部は大気開放とした。このときの供給側圧力(開放側との圧力差)を気体透過抵抗とした。
試験片(20mm×20mm)を100mm×100mmの金メッキした銅板に挟み、1MPaに加圧した。銅板間に1.0Aの電流を流し、試験片を挟まない場合との電気抵抗との差を試験片の電気抵抗とした。
炭素繊維前駆体繊維製造例1
アクリロニトリル99.4モル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法により、1デシテックス、フィラメント数12,000のPAN系繊維束を得た。得られたPAN系繊維束を240〜280℃の温度の空気中で、延伸比1.05で加熱し、PAN系耐炎繊維(密度1.38g/cm3)とした。このPAN系耐炎繊維の炭化率は、52.1%だった。
混合原綿製造例1
炭素繊維前駆体繊維製造例1で作製したPAN系耐炎繊維を押し込み式クリンパーにより捲縮糸とした。得られたジグザグ形状の捲縮糸の捲縮数は7.1/25mm、捲縮率は12.7%であった。この耐炎繊維を平均繊維長76mmに切断した。その後、PAN系耐炎繊維を20重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を80重量%となるようにカードに供給して均一に混綿し、混合原綿を作製した。
混合原綿製造例2
PAN系耐炎繊維の平均繊維長を100mmに切断した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例3
PAN系耐炎繊維の平均繊維長を38mmに切断した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例4
PAN系耐炎繊維を15重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を85重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例5
PAN系耐炎繊維を75重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を25重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例6
PAN系耐炎繊維を55重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を45重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例7
PAN系耐炎繊維を5重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を95重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例8
PAN系耐炎繊維を30重量%、炭化率0.7%、平均繊維長51mmのポリアミド6を70重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
混合原綿製造例9
PAN系耐炎繊維を20重量%、ポリアミド6の代わりに、炭化率1.4%、平均繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートを80重量%となるようにカードに供給した以外は混合原綿製造例1と同様にして混合原綿を作製した。
織物の製造例1
極限粘度が0.66のポリエチレンテレフタレートを紡糸および延伸し、56デシテックス48フィラメントの繊維を得た。これをS撚りで2400T/m(撚係数17960)で撚りをかけ、75℃でスチームセットを行った。同様に、Z撚りで2400T/m(撚係数17960)で撚りをかけ、75℃でスチームセットを行った糸を作製した。タテ糸に、S撚りの糸とZ撚りの糸を交互に配し、ヨコ糸にS撚りの糸を用い、織組織を絡み織とし、タテ糸82本/2.54cm、ヨコ糸69本/2.54cmの織密度で、目付60g/m2の織物を作製した。この織物の炭化率は、1.4%だった。
実施例1
混合原綿製造例1で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が30.2g/m2となるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付313.2g/m2、目付変動係数1.8%の不織布を作製した。次いで、温度200℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.453g/cm3とした。これをアルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付43.3g/m2、目付変動係数1.7%の目付変動が小さい炭素繊維不織布が得られた。結果を表1に示す。
実施例2
混合原綿製造例2で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が30.2g/m2となるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付308.4g/m2、目付変動係数1.9%の不織布を作製した。次いで、温度200℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.454g/cm3とした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付42.2g/m2、目付変動係数2.0%の目付変動が小さい炭素繊維不織布が得られた。結果を表1に示す。
実施例3
混合原綿製造例3で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が30.0g/m2となるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付312.6g/m2、目付変動係数1.6%の不織布を作製した。次いで、温度200℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.447g/cm3とした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付43.1g/m2、目付変動係数1.8%の目付変動が小さい炭素繊維不織布が得られた。結果を表1に示す。
実施例4
混合原綿製造例4で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が50.5g/m2となるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが8層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付424.4g/m2、目付変動係数1.6%の不織布を作製した。次いで、温度200℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.441g/cm3とした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付45.8g/m2、目付変動係数1.6%と目付変動が大きい炭素繊維不織布となった。結果を表1に示す。
比較例1
炭素繊維前駆体繊維製造例1で作製したPAN系耐炎繊維を押し込み式クリンパーにより捲縮糸とした。得られたジグザグ形状の捲縮糸の捲縮数は7.1/25mm、捲縮率は12.7%であった。この耐炎繊維を平均繊維長76mmに切断した。その後、この耐炎繊維をカードに供給し、耐炎繊維からなる原綿を作製した。
比較例2
混合原綿製造例5で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が9.3g/m2となるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付93.2g/m2、目付変動係数4.0%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.409g/cm3とした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付47.2g/m2、目付変動係数4.1%と目付変動が大きい炭素繊維不織布となった。結果を表1に示す。
比較例3
混合原綿製造例6で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が12.4g/m2となるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付124.7g/m2、目付変動係数3.5%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.414g/cm3とした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付46.4g/m2、目付変動係数3.5%と目付変動が大きい炭素繊維不織布となった。結果を表1に示す。
比較例4
混合原綿製造例7で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が35.0g/m2となるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが18層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付650.2g/m2、目付変動係数1.8%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.462g/cm3とした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付25.2g/m2、目付変動係数1.9%と目付変動が小さい炭素繊維不織布となったが、焼成前の不織布中に含まれる炭素繊維前駆体量が5%と低く、繊維同士の絡みが少ないため強度が低く折れやすい炭素繊維不織布となり、ハンドリングが悪いものであった。結果を表1に示す。
比較例5
混合原綿製造例8で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が16.5g/m2となるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが8層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付132.9g/m2、目付変動係数3.2%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.410g/cm3とした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付25.7g/m2、目付変動係数3.1%と目付変動が大きい炭素繊維不織布となった。結果を表1に示す。
比較例6
混合原綿製造例1で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が50.5g/m2となるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが5層となるように重ねたウェブシートとし、ついでニードルパンチにて繊維を交絡させて目付253.1g/m2、目付変動係数3.3%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.419g/cm3とした。これを不活性雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付34.3g/m2、目付変動係数3.4%と目付変動が大きい炭素繊維不織布となった。結果を表1に示す。
比較例7
混合原綿製造例9で作製した混合原綿を用いた以外は、実施例1と同様に行い、目付311.5g/m2、目付変動1.8%の不織布を作製した。次いで、温度180℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.467g/cm3とした。これをアルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付45.2g/m2、目付変動係数2.7%の炭素繊維不織布となった。また、焼成で皺が入ったことに加え、炭素繊維不織布が硬く巻き取りが困難で高分子形燃料電池などの電極基材に向かないものであった。結果を表1に示す。
実施例1で熱プレスを行った不織布に、荒川化学(株)製レゾール型フェノール樹脂タマノル759と(株)中越黒鉛工業所製鱗片状黒鉛BF−5Aを固形分比8:2となるようにメタノール中で混合した溶液を含浸、乾燥を行い、不織布の重量に対し、フェノール樹脂と黒鉛を合わせて16重量%付与した。次いで、温度180℃、圧力1.0MPa、クリアランス200μmの条件で3分間熱プレスしてフェノール樹脂を硬化させた後、アルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成を行ったところ、目付88.3g/m2、目付変動係数2.0%の皺のない炭素繊維不織布が得られた。この炭素繊維不織布の気体透過抵抗は28Pa、電気抵抗は2.2mΩだった。結果を表2に示す。
実施例6
実施例1で作製した炭素繊維不織布に、荒川化学(株)製レゾール型フェノール樹脂タマノル759と(株)中越黒鉛工業所製鱗片状黒鉛BF−5Aを固形分比8:2となるようにメタノール中で混合した溶液を含浸、乾燥を行い、炭素繊維不織布の重量に対し、フェノール樹脂と黒鉛を合わせて127重量%付与した。次いで、温度180℃、圧力1.0MPa、クリアランス200μmの条件で3分間熱プレスしてフェノール樹脂を硬化させた後、アルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成を行ったところ、目付78.8g/m2、目付変動係数1.8%の皺のない炭素繊維不織布が得られた。この炭素繊維不織布の気体透過抵抗は26Pa、電気抵抗は2.1mΩだった。結果を表2に示す。
実施例7
混合原綿製造例1で作製した混合原綿をカードから紡出されるウェブの目付が30.2g/m2となるようにカードに供給し、クロスラッパーを用いてウェブが10層となるように重ねたウェブシートとした。これを織物の製造例1で作成した織物の上に乗せ、ニードルパンチにて繊維を交絡させて目付369.7g/m2、目付変動係数2.0%の織物が一体化した不織布を作製した。次いで、温度220℃、圧力1MPaの条件で3分間熱プレスし、見掛け密度を0.526g/cm3とした。これをアルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成したところ、目付43.7g/m2、目付変動係数2.0%であり、内部に織物の繊維径と同等の空隙が開いた炭素繊維不織布が得られた。これに実施例6と同様にフェノール樹脂と黒鉛の含浸、硬化、焼成を行い、目付77.3g/m2、目付変動係数2.0%の皺のない炭素繊維不織布が得られた。この炭素繊維不織布の気体透過抵抗は20Pa、電気抵抗は2.0mΩだった。結果を表2に示す。
比較例8
比較例1で熱プレスを行った不織布に、荒川化学(株)製レゾール型フェノール樹脂タマノル759と(株)中越黒鉛工業所製鱗片状黒鉛BF−5Aを固形分比8:2となるようにメタノール中で混合した溶液を含浸、乾燥を行い、不織布の重量に対し、フェノール樹脂と黒鉛を合わせて60重量%付与した。次いで、温度180℃、圧力1.0MPa、クリアランス200μmの条件で3分間熱プレスしてフェノール樹脂を硬化させた後、アルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成を行ったところ、目付91.7g/m2、目付変動係数6.5%と目付変動が大きかった。また、焼成により大きな皺が発生したことに加え、炭素繊維不織布が硬く巻き取りが困難で高分子形燃料電池などの電極基材に向かないものであった。この炭素繊維不織布の気体透過抵抗は29Pa、電気抵抗は2.4mΩだった。結果を表2に示す。
比較例9
東レ(株)製PAN系炭素繊維“トレカ”T300−6Kを平均繊維長12mmにカットし、水を抄造媒体として抄造した後、ポリビニルアルコールの10重量%水溶液に浸漬し、乾燥することで目付40.4g/m2の炭素繊維紙を作成した。この炭素繊維紙に実施例4と同様にフェノール樹脂と黒鉛を含浸し、炭素繊維紙重量に対し、フェノール樹脂と黒鉛を合わせて127重量%付与した。次いで、温度180℃、圧力1.0MPa、クリアランス200μmの条件で3分間熱プレスしてフェノール樹脂を硬化させた後、アルゴン雰囲気下にて2000℃で焼成を行ったところ、目付70.5g/m2、目付変動係数0.9%の皺のない炭素繊維不織布が得られた。この炭素繊維不織布の気体透過抵抗は36Pa、電気抵抗は2.1mΩと実施例に比べて気体透過抵抗が大きいものであった。結果を表2に示す。
Claims (8)
- 平均繊維長が30mm〜100mmの炭化率が40重量%以上である炭素繊維前駆体繊維の含有率を10〜30重量%、炭化率が1.0%以下の消失繊維(A)の含有率を70〜90重量%とした混合原綿を用い、各工程を下記の順に行うことを特徴とする炭素繊維不織布の製造方法。
工程1:前記混合原綿をカードに供給し、カードから紡出されるウェブの目付を20.0g/m2以上とする工程。
工程2:工程1で得られたウェブをクロスラッパーにて8層以上となるように重ね合わせる工程。
工程3:工程2で重ね合わせられたウェブを絡合させ不織布とする工程。
工程4:工程3で得られた不織布を不活性雰囲気下で焼成し、炭素繊維不織布とする工程。 - 消失繊維(A)が脂肪族ポリアミド繊維である請求項1に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
- 工程4の前に、工程2で得られたウェブまたは工程3で得られた不織布と、炭化率5.0%以下の消失繊維(B)からなる織編物、ウェブまたは不織布を、一体化する工程を含む請求項1または2に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
- 工程4の前に、工程3で得られた不織布に熱硬化樹脂と黒鉛を付着させる工程を含む、請求項1〜3に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
- 工程4の後に、工程4で得られた炭素繊維不織布に熱硬化樹脂と黒鉛を付着させ、不活性雰囲気下で再度焼成する工程を有する請求項1〜請求項4に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
- 平均繊維長が30mm〜100mmで炭化率が40重量%以上である炭素繊維前駆体繊維の含有率が10〜30重量%、炭化率1.0%以下の消失繊維(A)の含有率が70〜90重量%であり、見かけ密度が0.400〜1.000g/cm 3 であることを特徴とする不織布。
- 消失繊維(A)が脂肪族ポリアミドであることを特徴とする請求項6に記載の不織布。
- 請求項6または7に記載の不織布に、さらに別途作成した炭化率が5.0%以下の消失繊維(B)からなる織編物、ウェブまたは不織布が一体化されてなる不織布。
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