JP2013144857A - 炭素繊維フェルト、その製造方法、及び電極 - Google Patents

炭素繊維フェルト、その製造方法、及び電極 Download PDF

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Abstract

【課題】 電解液を電極に通液させた時の圧力損失が小さく、面方向、厚さ方向への導電性の良い電極の材料として使用される炭素繊維フェルトを提供すること。
【解決手段】 炭素繊維フェルト主体4と、炭素繊維フェルト主体4内に形成される複数の空隙部6とからなり、空隙部6は、フェルト主体の両表面A、Bに開孔を持たず、各空隙部6の厚さ方向の長さの最大値hがフェルト主体の厚さtの5〜75%であり、フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する断面に占める断面積が0.3mm2以上の空隙部の割合が0.5〜75%である炭素繊維フェルト2。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電極の材料、特にレドックスフロー型電池に利用される電極の材料として使用される炭素繊維フェルトに関する。
昼夜間による電力差の平均化や、非常用電源として、大型の二次電池の開発が活発に進められている。
中でもレドックスフロー型電池は、室温で作動する為、熱源が必要なく、高効率で運転できる。また、サイクル寿命が1万回以上と長寿命であり、更には、容易に大型化が可能である。以上のことから、レドックスフロー型電池は大型の二次電池として期待されている。
図8は、レドックスフロー型電池の動作原理を示す概念図である。
レドックスフロー型電池52の主要部は、充電/放電反応をする二次電池における電池セル部54と、電力を貯蔵する電解液タンク部56、58とから構成されている。セル部54では、2種類の電解液(送液ポンプ66、68によるそれぞれの流れ方向を矢印X、Yで示す)が隔膜64で隔てられ、それぞれの電解液に設けられた炭素製の電極の一方70で酸化反応が行われ、もう一方72で還元反応が行われることにより、セル部54における充放電が行われる。
炭素製の電極の材料としては、ポリアクリロニトリル繊維を耐炎化して得られる原料繊維等を不織布加工し、炭素化して得られるフェルト(特許文献1)や、再生セルロース繊維紡績糸等の太い糸及び細い糸を織布加工し、炭素化して得られる織布構造体(特許文献2)が提案されている。
しかし、特許文献1に記載のフェルトは、フェルト内の空隙がフェルトを構成する繊維によって複雑に屈折されている。よって、このフェルトを用いる場合は、電解槽内における電解液の流れ方向(フェルトの面方向)の通液圧力損失が大きいため、送液ポンプの送液圧を上げねばならず、ポンプのエネルギー消費量が大きくなる。その結果、システムとしてのエネルギー効率が低下する問題がある。
上記問題を解決する為に、炭素繊維前駆体フェルトにフェノール樹脂を含浸させた後、熱プレスなどで溝加工した上で炭素化することで、溝を形成したフェルトなどが提案されている(特許文献3)。
しかし、溝加工を行うと、接触抵抗が高くなり、厚さ方向の電気抵抗値が増す。また、電極に凹凸があると、イオン交換膜にかかる圧力も凸部分に集中し、損傷し易くなる課題がある。
特開2001−85021号公報 (特許請求の範囲、段落[0029]、[0047]〜[0048]) 特開昭63−200467号公報 (特許請求の範囲、第3頁左上欄第2行〜第20行、第4頁左下欄第14行〜第5頁左上欄第8行) 特開2005−158409号公報 (特許請求の範囲、段落[0023]〜[0027])
本発明は、電解液を電極に通液させた時の圧力損失が小さく、厚さ方向への導電性の良い電極の材料として使用される炭素繊維フェルト、そのフェルトの製造方法、及びそのフェルトからなる電極を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討しているうち、フェルト内部に空隙部を有する炭素繊維フェルトを形成させることで、蓄電効率の高いレドックスフロー型電池用電極に好適な、炭素繊維フェルトを得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
[1] 炭素繊維フェルト主体と、
前記炭素繊維フェルト主体内に、フェルト主体の厚さ方向において互いに対向する両表面に開孔を持たずに形成される複数の空隙部とからなる炭素繊維フェルトであって、
(i) 空隙部が、フェルト主体内を貫通して形成されてなる場合、
前記空隙部は、フェルト主体の厚さ方向に沿う各空隙部の長さの最大値がフェルト主体の厚さの5〜75%であり、
フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する断面に占める断面積が0.3mm2以上の空隙部の割合が0.5〜75%であり、
(ii) 空隙部が、フェルト主体内の閉じた空隙で形成されると共にフェルト主体内に任意の位置に任意の方向に向けてランダムに分散されてなる場合、
空隙部は、フェルト主体の任意の厚さ方向に沿う各空隙部の長さの最大値がフェルト主体の厚さの5〜75%であり、
フェルト主体の任意の厚さ方向に沿う断面に占める断面積が0.3mm2以上の空隙部の割合が0.5〜75%である、
炭素繊維フェルト。
[2] 目付が200〜2000g/m2であり、厚さが1.5〜20mmであり、厚さ方向の電気抵抗値が500mΩ/cm2以下である、[1]に記載の炭素繊維フェルト。
[3] 空隙部が、フェルト主体内を貫通して形成されてなる[1]又は[2]に記載の炭素繊維フェルト。
[4] 空隙部が、フェルト主体内の閉じた空隙で形成されると共にフェルト主体内に任意の位置に任意の方向に向けてランダムに分散されてなる[1]又は[2]に記載の炭素繊維フェルト。
[5] 炭素繊維フェルト主体と、
前記炭素繊維フェルト主体内に、フェルト主体の厚さ方向において互いに対向する両表面に開孔を持たずに形成される複数の空隙部とからなり、
フェルト主体内を貫通して形成されてなる空隙部と、フェルト主体内の閉じた空隙で形成されると共にフェルト主体内に任意の位置に任意の方向に向けてランダムに分散されてなる空隙部とを有する炭素繊維フェルトであって、
空隙部は、フェルト主体の任意の厚さ方向に沿う各空隙部の長さの最大値がフェルト主体の厚さの5〜75%であり、
フェルト主体の任意の厚さ方向に沿う断面に占める断面積が0.3mm2以上の空隙部の割合が0.5〜75%である炭素繊維フェルト。
[6] 複数枚積層してなる炭素繊維前駆体繊維ウェッブのウェッブ間に、所定形状の消失物質を配した後、前記消失物質を配したウェッブを交絡処理することにより消失物質含有炭素繊維前駆体フェルトを得、該炭素繊維前駆体フェルトを炭素化する[1]乃至[5]の何れかに記載の炭素繊維フェルトの製造方法。
[7] [1]乃至[5]の何れかに記載の炭素繊維フェルトからなる電極。
本発明によれば、炭素繊維フェルト内部に形成された空隙部を電解液が流通することで、通液時の圧力損失を低減できる。また、本発明の炭素繊維フェルトは、隔膜や集電体との接触抵抗が低く、電極の材料として、好適に使用できる。
本発明の炭素繊維フェルトの一例を示す概念斜視図である。 本発明の炭素繊維フェルトの一例を示す概念図であって、フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する断面図である。 本発明の炭素繊維フェルトの他の例を示す概念図であって、フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する断面図である。 本発明の炭素繊維フェルトの更に他の例を示す概念図であって、フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する断面図である。 本発明の炭素繊維フェルトの一例を示す概念図であって、フェルト主体の厚さ方向に直交する面に沿った断面図である。 本発明の炭素繊維フェルトの他の例を示す概念図であって、フェルト主体の厚さ方向に直交する面に沿った断面図である。 本発明の炭素繊維フェルトの更に他の例を示す概念図であって、フェルト主体の厚さ方向に直交する面に沿った断面図である。 レドックスフロー型電池の動作原理を示す概念図である。
以下、本発明を図1〜7に沿って詳細に説明する。
図1は、本発明の炭素繊維フェルトの一例を示す概念斜視図である。
図1において、2は、炭素繊維フェルトであり、炭素繊維フェルト主体4と、フェルト主体4内に形成される複数の空隙部6とからなる。厚さ方向Tにおいて互いに対向する両表面A、Bの形状は、矩形、円形など種々のものが適用できるが、電極として用いるには図1の例のような矩形のものが好ましい。以下、両表面A、Bの形状ついては、矩形のものに沿って本発明を説明する。
図2は、本発明の炭素繊維フェルト2を示す概念図であって、フェルト主体4の空隙部6の形成方向に直交する断面図(図1の例では、フェルト主体4の厚さ方向Tの一の表面Rに平行な面に沿った断面図)である。
図5は、本発明の炭素繊維フェルト2を示す概念図であって、フェルト主体4の厚さ方向Tに直交する面に沿った断面図である。
フェルト主体4内に空隙部6を形成させることで、炭素繊維フェルト2を電極として用いる場合、空隙部6が電解液の流路として働き、フェルト主体4の空隙部の形成方向L(図1の例では、厚さ方向Tの一の表面Rに直交する方向Lでもある)に通液した時の圧力損失が小さくなる。また、炭素繊維フェルト2を用いた電極は、充放電反応に寄与する隔膜との接触面積を広く確保でき、隔膜や集電体との接触抵抗が低い。以上のことから、本発明の炭素繊維フェルトを電極として機能させる場合、導電抵抗及び抵抗熱発生を低くできるため反応ロスを低減でき、発電効率を高めることができる。
フェルト主体4内に空隙部6を形成させない場合は、フェルト主体4に通液した時の圧力損失(図1に倣って言及すると、厚さ方向Tの一の表面Rに直交する方向Lに通液した時の圧力損失)が大きい。このフェルト内部に空隙部を有さない電極をシステムに使用した場合、通液させる為には大容量のポンプが必要となり、エネルギー使用量が増す為、好ましくない。
本発明において、空隙部6は、フェルト主体4の両表面A、Bに開孔を持たない。
空隙部6がフェルト主体4の両表面A、Bに開孔を持つ場合は、フェルト表面に凹凸が形成されるため、隔膜や集電体との接触抵抗が増大し、フェルト厚さ方向Tの導電性が低くなり、結果として電池としての性能ロスが大きくなる傾向があり、好ましくない。
フェルト主体4の厚さ方向Tに沿う各空隙部6の長さ(図1、2に倣って言及すると、フェルト主体4の厚さ方向Tの一の表面Rに平行な断面に沿う各空隙部6の厚さ方向の長さ)の最大値(h)は、フェルト主体の厚さ方向の5〜75%であり、好ましくは10〜60%であり、より好ましくは15〜50%であり、特に好ましくは25〜50%である。
各空隙部のフェルト主体の厚さ方向の長さの最大値(h)が5%未満の場合は、十分な空間容積がとれず、電解液を電極に通液させた時の圧力損失の低減効果が十分ではない。各空隙部のフェルト主体の厚さ方向の長さの最大値(h)が75%を超える場合は、フェルトを電極としてシステムにセットした時の圧力により、空隙部が潰れること、基材としての強度が低減することなどが懸念される。
本発明において、フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する断面における1つの空隙部(図1の例では、フェルト主体4の厚さ方向Tの一の表面Rに平行な断面に沿う空隙部6)は断面積が0.3mm2以上の空隙部を言う。空隙部の最小面積が0.3mm2未満の場合は、十分な空間容積がとれず、電解液を電極に通液させた時の圧力損失の低減効果が十分ではない。空隙部の最小面積の上限は特に制限されないが、一般に1000mm2以下である。
本発明において、フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する断面における空隙部の平均断面積は、0.3〜1000mm2であることが好ましく、1.0〜100mm2であることがより好ましく、3.0〜50mm2であることが更に好ましい。
このように、本発明において、フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する断面には、0.3mm2以上の断面積を持つ複数の空隙部が存在する。この空隙部の形成方向に直交する断面に占める空隙部の割合は0.5〜75%であり、好ましくは1.5〜60%であり、より好ましくは2〜60%であり、特に好ましくは5〜50%である。なお、上記空隙部の形成方向に直交する断面における0.3mm2以上の断面積を持つ空隙部の個数密度は、1〜100ヶ/cm2であることが好ましい。
本発明の空隙部6の形状について、(i) 空隙部6は、フェルト主体4内を貫通して形成されている(図5の例では、空隙部6は、フェルト主体4の互いに対向する厚さ方向の一の表面Rから他の表面Sにかけて形成されている)。この形状以外に、場合(i)の形状は、幅方向、斜め方向など1方向に貫通する形状であっても良い。
また、図6の例のように、2方向に貫通する形状、図3、4の例のように、厚さ方向に2段重ねや食い違い状(千鳥状)に配置される形状、図7の例のように、フェルト内に閉じた複数の空隙部が、任意の位置に、任意の方向に向けてランダムに分散されてなる不連続な形状であっても良く、特に限定されるものではない。
なお、空隙部6の形状が2方向以上の方向に貫通する形状である場合(例えば、図6)には、本発明における「フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する断面」とは、空隙部が形成された何れか1つの方向に直交する断面をいい、何れかの断面が本発明の構成を満たしている必要があり、いずれの断面も本発明の構成を満たしていることがより好ましい。
本発明において、(ii) 空隙部は、フェルト主体内の閉じた空隙で形成されると共にフェルト主体内に任意の位置に任意の方向に向けてランダムに分散されてなる場合(例えば、図7)であっても良い。
場合(ii)において「フェルト主体の任意の厚さ方向に沿う断面」は、フェルト主体の何れの箇所及び何れの厚さ方向に沿う断面であっても良い。例えば、フェルト主体が矩形である場合、フェルト主体の表面上の任意の箇所を通る、任意の厚さ方向に沿う断面を示し、具体的には、フェルト主体の長さ方向に直角の断面、長さ方向に45゜の断面等が例示される。これら「フェルト主体の任意の厚さ方向に沿う断面」のうち、好ましくは「フェルト主体の長さ方向に直交する断面」である。
本発明においてフェルト主体は、場合(i)の形状の空隙部及び場合(ii)の形状の空隙部の少なくとも何れかの形状の空隙部を含むものであるが、場合(i)の形状の空隙部及び場合(ii)の形状の空隙部の何れの形状の空隙部を含むものであっても良い。なお、電解液を電極に通液させた時の圧力損失が小さい電極の材料として使用される炭素繊維フェルトとしては、場合(i)の形状の空隙部を含むものが、場合(ii)の形状の空隙部を含むものよりも好ましい。
炭素繊維フェルトの目付は、好ましくは200〜2000g/m2であり、200〜1500g/m2がより好ましく、250〜1000g/m2が特に好ましい。
炭素繊維フェルトを構成する炭素繊維同士の間には、空隙が存在する。しかし、この空隙の断面積は小さく、目付が200g/m2以上の場合、空隙の断面積は0.3mm2よりも遙かに小さい。
目付が200g/m2未満の場合は、電極の材料としての有効面積が小さくなる。また、炭素繊維フェルトを構成する炭素繊維同士の接触点が少なくなるため電気抵抗が増加し、結果として電池効率が低下する傾向がある。目付が2000g/m2を超える場合には、電池システムが大きくなりすぎる為、好ましくない。
炭素繊維フェルトの厚さは、1.5〜20mmが好ましく、1.5〜15mmがより好ましく、2〜10mmが特に好ましい。厚さが1.5mm未満の場合は、強度が低くなる傾向がある。また、有効反応面積が小さくなり電池の効率が低下する傾向がある。厚さが20mmを超えると、フェルトを形成することが難しくなる傾向がある。厚さは、目付やフェルトを形成する時のパンチング回数等の交絡処理回数により制御できる。
炭素繊維フェルトの厚さ方向の電気抵抗値は、好ましくは500mΩ/cm2以下であり、300mΩ/cm2がより好ましい。電気抵抗値が500mΩ/cm2を超えると、その高い抵抗により熱が発生して反応ロスが大きくなり、電池の効率が低下する傾向がある。電気抵抗値の下限は特に制限しないが、一般に75mΩ/cm2以上である。炭素繊維フェルトの厚さ方向の電気抵抗値は、炭素化温度、パンチング回数、目付、厚さ、消失物質の量により制御できる。
炭素繊維フェルトの炭素含有率は93質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。炭素含有率が93質量%未満の場合は、電気抵抗が高く、抵抗熱が多量に発生して反応ロスとなる為、電池効率が低下する傾向がある。
炭素繊維フェルトに用いられる炭素繊維の単繊維直径は5〜20μmであることが好ましく、6〜15μmがより好ましい。炭素繊維の単繊維直径が5μm未満の場合は、単繊維直径が細すぎて、カード工程などの加工性が悪く、また繊維維の強力が低いため、炭素繊維フェルトから炭素繊維が脱落しやすくなる虞がある。炭素繊維の単繊維直径が20μmを超える場合は、繊維間の接触点が減少することで電気抵抗値が上昇して、反応効率が低下しやすくなる。また、炭素化後の繊維が剛直であり、脆くなる為、炭素繊維微粉末が多量に発生しやすくなる虞がある。
[炭素繊維フェルトの製造方法]
本発明の空隙部を有する炭素繊維フェルトは、その物性が上記範囲内にあれば、製造方法は特に限定されるものではない。本発明の炭素繊維フェルトは、複数枚積層してなる炭素繊維前駆体繊維ウェッブのウェッブ間に、糸状物、シート状物などの所定形状の消失物質を配した後、前記消失物質を配したウェッブをニードルパンチングやウォータジェットなどの交絡処理をすることにより消失物質含有炭素繊維前駆体フェルトを得、該炭素繊維前駆体フェルトを炭素化して消失物質を消失させ、空隙部を形成させる方法で製造することが出来る。
また、本発明の炭素繊維フェルトの別の製造方法としては、炭素化フェルトを作製した後に、金属針などでフェルトの面方向に空隙部を機械加工する方法を使用しても良い。
比較的薄いフェルトに対し、均一性良く、幅50cm以上の空隙部をフェルト内部に空隙部を形成させるためには、生産効率や、コストが比較的低く、加工時の繊維の損傷が少なく、また、脱落毛羽が発生しにくい、消失物質含有炭素繊維前駆体フェルトを炭素化する方法が好ましい。
空隙部の形状、断面積の総和は、消失物質の種類、大きさ、厚さなどにより制御される。
本発明において消失物質とは、例えば、高温での加熱による熱分解、水や有機溶媒などの溶剤への溶出などにより、フェルト主体の形状を損なうことなくフェルト主体から消失せしめることのできる物質を言う。本発明の消失物質としては、熱分解により消失する物質が、製造方法を簡略化できるため好ましい。以下、消失物質として、熱分解により消失する物質を用いた場合について説明する。
本発明において、熱分解により消失する消失物質としては、1300℃で加熱した時の残渣が、10質量%以下である物質が好ましく、残渣が5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下が特に好ましい。残渣が10質量%を超える場合は、残渣により空隙部が形成されず、電解液を電極に通液させた時の圧力損失の低減効果が十分発揮されない。
本発明において消失物質は、特に限られるものではなく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、アクリル、セルロース等の有機繊維や天然繊維などを使用でき、これら以外に金属繊維も使用できる。なかでも、繊維が柔らかく交絡処理が容易であることから、有機繊維や天然繊維を用いることが好ましく、特に焼成残渣の少ないポリビニルアルコールがより好ましい。
消失物質の形態としては、糸状物、シート状物、塊状物などがあり、空隙部の形状に応じて適宜選択できる。糸状物としては、ストランド、紡績糸、組紐、ロープ等の形態が挙げられる。シート状物としては、平織、綾織、杉綾織、多重織等の織物、トリコット、ラッセル、パール編、レース編等の編物、ネット状、並びに、フェルト等の形態が挙げられる。塊状物としては、球状、円盤状、円筒状など、公知の技術で得られるものが使用できる。
糸状物の太さは、好ましくは0.5mm〜12mmであり、その糸状物を構成する単繊維の量など即ち糸状物の繊度、撚り数、密度などから、糸状物の太さをコントロールできる。また、太さの異なる複数の糸状物を組合せて使用することも出来る。
シート状物の厚さは、好ましくは0.5mm〜12mmであり、織物や編物の場合は、その織物を構成する糸の太さや繊度、織密度から制御できる。フェルトの場合は、用いる繊維の太さ、目付から制御できる。
塊状物の大きさは、球状、円盤状の場合は、球状に近似した時の粒子径が0.5mm〜12mmであり、円筒状の場合は、太さが0.5〜12mmであり、重量や体積等から制御できる。
消失物質含有炭素繊維前駆体フェルトの製造方法は、以下(A)〜(F)の形状で作製する方法が挙げられる。
(A) 炭素繊維前駆体繊維で作製されてなるウェッブと、以下(1)、(2)の形態で作製されてなる消失物質とを、ウェッブ−消失物質−ウェッブとなるよう積層し、パンチング加工する方法、
(1):消失物質で作製されてなる糸状物を一定間隔で並べる
(2):経糸、又は緯糸のどちらか一方が炭素繊維前駆体紡績糸からなり、他方の一部又は全てが消失物質で作製されてなる糸状物からなる織物を積層する。
(B) 炭素繊維前駆体繊維で作製されてなるウェッブと、経糸、緯糸共に消失物質で作製されてなる糸状物からなる織物とを、ウェッブ−消失物質−ウェッブとなるよう積層し、パンチング加工する方法。
(C) 炭素繊維前駆体繊維で作製されてなるウェッブと、以下(1)、(2)の形態で作製されてなる消失物質とを、ウェッブ−消失物質a−ウェッブ−消失物質b−ウェッブとなり、且つ消失物質aとbが重なるように積層し、パンチングする方法、
(1):消失物質で作製されてなる糸状物を一定間隔で並べる
(2):経糸、又は緯糸のどちらか一方が炭素繊維前駆体紡績糸からなり、他方の一部又は全てが消失物質で作製されてなる糸状物からなる織物を積層する。
(D) 炭素繊維前駆体繊維で作製されてなるウェッブと、以下(1)、(2)の形態で作製されてなる消失物質とを、ウェッブ−消失物質a−ウェッブ−消失物質b−ウェッブとなり、且つ消失物質aとbが重ならないように積層し、パンチングする方法、
(1):消失物質で作製されてなる糸状物を一定間隔で並べる
(2):経糸、又は緯糸のどちらか一方が炭素繊維前駆体紡績糸からなり、他方の一部又は全てが消失物質で作製されてなる糸状物からなる織物を積層する。
(E) 炭素繊維前駆体繊維で作製されてなるウェッブと、消失物質からなる糸状物を加工して得られる裁断物又は塊状物を、複数枚積層してなる炭素繊維前駆体繊維ウェッブとウェッブの間にランダムに配した後、この裁断物又は塊状物を配したウェッブをパンチング加工する方法。
(F) 炭素繊維前駆体繊維で作製されてなるウェッブと、以下(1)、(2)の形態で作製されてなる消失物質aと、消失物質からなる糸状物を加工して得られる消失物質b(裁断物又は塊状物b)を、ウェッブ−消失物質a、消失物質b−ウェッブとなるように積層し、パンチングする方法、
(1):消失物質で作製されてなる糸状物を一定間隔で並べる
(2):経糸、又は緯糸のどちらか一方が炭素繊維前駆体紡績糸からなり、他方の一部又は全てが消失物質で作製されてなる糸状物からなる織物を積層する。
以上(A)〜(F)の形状で作製された消失物質含有炭素繊維前駆体フェルトは、炭素化する過程で、熱分解により消失物質が消失し、所定の形状の空隙部が形成されるため、本発明の炭素繊維フェルトの前駆体として好ましく用いることができる。
消失物質含有炭素繊維前駆体フェルトの最外面の目付は、10g/m2以上である。目付が10g/m2未満の場合は、薄くなりすぎて空隙部を形成できない為(フェルト主体の両表面の少なくとも何れかに開孔を形成)好ましくない。
炭素繊維フェルトの製造原料として、ポリアクリロニトリル(PAN)系酸化繊維、ピッチ系酸化繊維、レーヨン繊維、セルロース等の炭素繊維前駆体繊維や、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、気相成長炭素繊維、リグニンを原料とする炭素繊維、フェノール樹脂を原料とするガラス状炭素繊維などの炭素繊維が挙げられる。更には、従来公知の何れの酸化繊維、炭素繊維であってもよい。なお、各種製造原料の中でも、繊維の柔軟性や加工性の面から、炭素繊維前駆体繊維の中でも、PAN系酸化繊維が好ましい。PAN系酸化繊維とは、PAN系原料繊維を空気中で200〜400℃で酸化処理することによって得られる繊維である。
酸化繊維の密度は特に限定されるものではないが、1.35〜1.45g/cm3であることが好ましい。酸化繊維の密度が1.35g/cm3未満の場合は、炭素化時の収縮が大きく、工程が不安定になり易い傾向がある。酸化繊維の密度が1.45g/cm3を超える場合は、繊維が脆く、フェルト加工等の交絡処理時に脱落が多く、加工性が低下する傾向にある。
炭素繊維前駆体繊維の繊度は、0.1〜5.0dtexであることが好ましく、0.5〜3.5dtexであることがより好ましく、1.0〜3.3dtexが特に好ましい。炭素繊維前駆体の繊度が0.1dtex未満の場合は、開繊性が悪く、均質な混合が難しい。炭素繊維前駆体の繊度が5.0dtexを超える場合は、強度の高いフェルトが得られない。また、繊維間の接点が低減し、炭素化後の電気抵抗値が高くなる。
炭素繊維前駆体繊維の中でも特に酸化繊維の場合、その繊度は0.5〜3.5dtexであることが好ましく、1.0〜3.3dtexがより好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体フェルトに用いる炭素繊維前駆体ステープルとしては、炭素繊維前駆体繊維の繊維長が30〜75mm、繊度が0.5〜3.5dtex、クリンプ数4〜20ヶ/2.54cm、クリンプ率4〜20%に加工したものが好ましい。
フェルト加工等の交絡処理は、交絡処理回数50〜1000回/cm2のニードルパンチ方法や、ウォータージェット方法で行うことが好ましい。交絡処理回数が50回/cm2未満の場合は、交絡処理回数が少なく、強度が低くなる。交絡処理回数が1000回/cm2を超える場合は、交絡処理による繊維への損傷が大きく、脱落毛羽などが大量に発生する虞がある為、好ましくない。
以上のように消失物質含有炭素繊維前駆体フェルトを作製した後、これを炭素化処理することで、消失物質が消失され、空隙部をフェルト主体内に有する炭素繊維フェルトが得られる。
炭素化処理は、消失繊維含有炭素繊維前駆体フェルトを不活性雰囲気下、最高温度を1300〜2300℃にして、0.5〜10分間焼成することにより行う。好ましくは、第1炭素化処理と第2炭素化処理との2段階で行う。その場合、第1炭素化処理は、交絡処理後の炭素繊維前駆体フェルトを、不活性雰囲気下300〜1000℃で焼成して分解ガスを処理する。第2炭素化処理は、第1炭素化処理された炭素繊維前駆体フェルトを、不活性雰囲気下、最高温度1300〜2300℃にして0.5〜10分間焼成して行うことが好ましい。この炭素化処理時の最高温度は、1400℃〜2300℃の範囲であることがより好ましい。
炭素化処理時の最高温度が1300℃未満の場合は、得られる炭素繊維フェルトの炭素含有率が93質量%以上にならない。かかる炭素繊維フェルトは、電気伝導性が低く、良好な燃料電池性能を提供できないため好ましくない。炭素化処理時の最高温度が2300℃を超える場合は、炭素繊維フェルトが剛直となって、強度が低下し、更には、炭素微粉末が発生する等の不具合が生ずる為、好ましくない。
このようにして得られた本発明の炭素繊維フェルトは、例えば導電性と通液性などが必要とされる電極や、燃料電池用のガス拡散層や、コンポジットや、摺動材などの強化繊維としても、適用できる。中でも、レドックスフロー二次電池の電極、ナトリウム-硫黄二次電池の電極として好ましく用いることができる。
本発明のもう一つの様態である炭素繊維フェルトからなる電極は、本発明の炭素繊維フェルトを用いてなる電極である。本発明の炭素繊維フェルトからなる電極は、例えば、レドックスフロー二次電池の電極、ナトリウム-硫黄二次電池の電極、その他導電性と通液性、通水性などが必要とされる電極として、好適に使用できる。
本発明の炭素繊維フェルトからなる電極を、上記レドックスフロー型電池用電極等の通液性などが必要とされる電極として用いる場合、電解槽内における電解液の流れ方向と空隙部の形成方向が一致するように配置することで通液圧力損失を軽減することが出来る。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、操作条件の評価、各物性の測定は次の方法によった。
[空隙部]
フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する面(図5の例では、フェルト主体4の厚さ方向の一の表面Rに平行な面、図6の例では、フェルト主体34の厚さ方向の一の表面Rに平行な面)又はフェルト主体の任意の厚さ方向に沿う面(図7の例では、フェルト主体44の厚さ方向の一の表面Rに平行な面)であってフェルト主体の長さ方向Lに等間隔の10ヶ所の面に沿って裁断した断面それぞれに、均一にインクを塗布し、白紙に転写した。
転写後の白紙において、断面積が0.3mm2以上の非着色部分をフェルト内部の空隙部とみなし、各空隙部の厚さ方向の長さ(h)及び断面積を測定した。10ヶ所の裁断面それぞれに存在する全ての空隙部について厚さ方向の長さ(h)及び断面積を測定し、その平均値を空隙部の厚さ方向の長さ(h)及び空隙部の平均断面積として評価した。
なお、比較例6及び7に限っては、断面積が0.015mm2以上の非着色部分をフェルト内部の空隙部とみなし、各空隙部の厚さ方向の長さ(h)及び断面積を測定した。
[フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する断面又はフェルト主体の任意の厚さ方向に沿う断面に占める空隙部の合計面積]
フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する面(図5の例では、フェルト主体4の厚さ方向の一の表面Rに平行な面、図6の例では、フェルト主体34の厚さ方向の一の表面Rに平行な面)又はフェルト主体の任意の厚さ方向に沿う面(図7の例では、フェルト主体44の厚さ方向の一の表面Rに平行な面)即ちフェルト主体の長さ方向に直交する面で裁断し、その裁断面においてフェルト主体の幅方向に30cmの長さの部分に均一にインクを塗布し、白紙に転写した。転写後の白紙において、フェルト内部の空隙部とみなした非着色部分の面積の和を下記フェルト断面積で除したものを、フェルト主体の長さ方向に直交する1つの断面に占める空隙部の合計面積の割合とした。この合計面積の割合を、フェルト主体の長さ方向における等間隔の10ヶ所の裁断面で求め、これらの数値から平均値を算出した。
[フェルト断面積]
厚さ(t)に30cm長を乗じたものをフェルト断面積とした。
[目付]
サンプル20cm角を3枚切り出し、105℃、1時間乾燥した後の重量を、サンプル面積で除したものの平均値とした。
[フェルト厚さ]
シックネスゲージ(6.9kPa)を用い、幅方向に5点測定した値の平均値を基材厚さとした。
[厚さ方向の電気抵抗値]
50mm角のサンプルを切り出し、そのサンプルを2枚の50mm角(厚さ10mm)の金メッキした電極で、全面接触するように挟み、サンプルの厚さ方向に10kPaの荷重をかけたときの、厚さ方向の電気抵抗値を測定し、電極面積で除して単位面積あたりの電気抵抗値を求めた。
[通液圧力損失]
通液方向に30cm、幅方向(流路幅)に50cm、電極基材の厚さのスペーサーで形成されたセルスタックを用意した。作製された電極基材を通液方向20cm、幅方向50cmに切って設置し、セルスタックの出入口の通液圧力損失を測定した。ブランクとして電極基材を設置しない系で同様に測定し、測定値とブランク測定値との差を電極基材の通液圧力損失とした。
本評価において、通液圧力損失は、15kPa(112.5mmHg)以下が好ましく、13.3kPa(100mmHg)以下がより好ましく、10kPa(75mmHg)以下が更に好ましく、9.3kPa(70mmHg)以下が特に好ましい。通液圧力損失が15kPa(112.5mmHg)を超えると、電解液を循環させる為のポンプ容量が大きくなり、ポンプに使用される電力の為に、電力ロスが大きくなる。
[セル抵抗]
小型電池(フレーム:塩化ビニル製80mm×60mm、電極:30mm×30mm)を組立てた。正電極及び負電極に、該電極を設置した。 隔膜は、イオン交換膜を用いた。 正極電解液には、2mol/Lのオキシ硫酸バナジウムの3mol/L硫酸水溶液を用い、負極電解液には、2mol/Lの硫酸バナジウムの3mol/L硫酸水溶液を用い、下記の条件で充放電試験を行った。
充放電方法:定電流運転
電流密度 :70mA/cm2
充電終了電圧 :1.55V
放電終了電圧 :1.00V
温度: 25℃
得られた充放電カーブより、セル抵抗を求めて評価を行った。
本評価において、セル抵抗は、1.5Ω・cm2以下が好ましく、1.2Ω・cm2以下がより好ましく、1.0Ω・cm2以下が更に好ましい。1.5Ω・cm2を超えると抵抗による発熱が大きく、蓄電ロスとなる。
[実施例1](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
消失物質としてポリビニルアルコールからなる繊度800texの組紐(PVA組紐)を、炭素繊維前駆体としてPAN系酸化繊維ステープル(繊維長51mm、クリンプ率10%、クリンプ数4ヶ/cm)を用い作製した目付50g/m2のPAN系酸化繊維ウェッブ6枚積層させた上に、PVA組紐を1.1cm間隔で並べ、その上に同ウェッブを6枚積層させた。そのPVA組紐を中間に積層させたウェッブの上から、400回/cm2でニードルパンチを行い、消失物質混合炭素繊維前駆体フェルトを作製した。その後、700℃、10分間で前炭素化処理した後、1800℃、3分間で炭素化し、内部に空隙部を有する炭素繊維フェルトを得た。
[実施例2] (形状Bの炭素繊維フェルトの形態)
消失物質としてポリビニルアルコールからなる繊度800texの組紐(PVA組紐)を用い、織密度(経/緯)=2/2 本/吋のPVA平織を作製し、PAN酸化繊維ステープル(繊維長51mm、クリンプ率10%、クリンプ数4ヶ/cm)を用い作製した目付50g/m2のウェッブ6枚積層させた上に、PVA平織を積層し、その上に更に同ウェッブを6枚積層させた。それ以外は、実施例1の条件でフェルトを作製した。
[比較例1]
消失物質を用いなかったこと以外は、実施例1と同条件でフェルトを作製した。
[比較例2]
PAN系酸化繊維ステープル(繊維長51mm、クリンプ率10%、クリンプ数4ヶ/cm)から成る1500texのPAN系酸化繊維紡績糸を用い、織密度(経/緯)=5/5本/cmのPAN系酸化繊維紡績糸織物を作製した。その後、700℃、10分間で前炭素化処理した後、1800℃、3分間で炭素化し、炭素繊維織物を得た。
[比較例3]
PAN系酸化繊維フェルト(OPFフェルト)までは、比較例1と同様に作製した後、該PAN系酸化繊維フェルトに幅5mm、高さ2mmの畝が5mm間隔に形成された圧板で、温度200℃、圧力9.8MPa(100kgf/cm2)でプレスすることで、凹凸が形成されたOPFフェルトを作製した。該凹凸酸化繊維フェルトを、700℃、10分間で前炭素化処理した後、1800℃、3分間で炭素化し、凹凸炭素繊維フェルトを作製した。
表1に示すように実施例1、2は、通液圧力損失、セル抵抗が共に低く、良好な結果を示す炭素繊維フェルトが得られた。比較例1、2は空隙部がない為、通液圧力損失が高い結果となった。比較例3は、表面の凹凸の為、厚さ方向の電気抵抗値が高く、セル抵抗が高い結果となった。
Figure 2013144857
[比較例4]
消失物質の代わりに、非消失物質のアラミド繊維とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維フェルトを得た。
[実施例3](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
PVA組紐を繊度1200texとした以外は、実施例1の条件でフェルトを作製した。
[実施例4](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
PVA組紐を繊度400texとした以外は、実施例1の条件でフェルトを作製した。
[実施例5](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
PVA組紐を5.5cm間隔で並べた以外は、実施例1の条件でフェルトを作製した。
[実施例6](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
PVA組紐を0.5cm間隔で並べた以外は、実施例1の条件でフェルトを作製した。
表2に示すように、比較例4は、繊維が消失しない為に空隙部が形成されず、圧力損失が高い結果となった。実施例3〜6は、通液圧力損失、セル抵抗が共に低く、良好な結果を示す炭素繊維フェルトが得られた。
Figure 2013144857
[実施例7](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
PAN系酸化繊維ウェッブを上下3枚ずつの積層とした以外は、実施例4の条件でフェルトを作製した。
[実施例8](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
PVA組紐を繊度2000texとし、PAN系酸化繊維ウェッブの目付を100g/m2とし、上下7枚ずつ積層させたこと以外は、実施例1の条件でフェルトを作製した。
[実施例9](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
PAN系酸化繊維ウェッブの目付を100g/m2とし、上下14枚ずつ積層させたこと以外は、実施例1の条件でフェルトを作製した。
[実施例10](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
焼成温度を1300℃とした以外は、実施例1の条件でフェルトを作製した。
[実施例11](形状Cの炭素繊維フェルトの形態)
消失物質としてポリビニルアルコールからなる繊度600texの組紐(PVA組紐)を用い、PAN系酸化繊維ステープル(繊維長51mm、クリンプ率10%、クリンプ数4ヶ/cm)を用い作製した目付50g/m2のウェッブ4枚積層させた上に、PVA組紐を1.1cm間隔で並べ、その上に同ウェッブを4枚積層させる。更に、最初に積層させたPVA組紐と重なるように、PVA組紐を積層し、その上に同ウェッブを4枚積層させた。それ以外は、実施例1の条件でフェルトを作製した。
表3に示すように、実施例7〜11は、通液圧力損失、セル抵抗が共に低く、良好な結果を示す炭素繊維フェルトが得られた。
Figure 2013144857
[実施例12](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
PVA組紐を繊度960texとした以外は、実施例8の条件でフェルトを作製した。
[実施例13](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
PVA組紐を繊度1360texとした以外は、実施例12の条件でフェルトを作製した。
[実施例14](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
PVA組紐を繊度960texとした以外は、実施例1の条件でフェルトを作製した。
[実施例15](形状Dの炭素繊維フェルトの形態)
消失物質としてポリビニルアルコールからなる繊度960texの組紐(PVA組紐)を用い、PVA組紐を0.4cm間隔で並べ、且つ1段目と2段目で千鳥状となるように配置した以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維フェルトを得た。
[実施例16](形状Dの炭素繊維フェルトの形態)
PVA組紐を0.34cm間隔で並べたこと以外は、実施例15と同様の条件で炭素繊維フェルトを得た。
表4に示すように、実施例12〜16は、通液圧力損失、セル抵抗が共に低く、良好な結果を示す炭素繊維フェルトが得られた。
Figure 2013144857
[実施例17](形状Dの炭素繊維フェルトの形態)
消失物質としてポリビニルアルコールからなる繊度800texの組紐(PVA組紐)を用い、PVA組紐を1.1cm間隔で並べ、且つ1段目と2段目で千鳥状となるように配置した以外は、実施例11と同様の条件で炭素繊維フェルトを得た。
[実施例18](形状Eの炭素繊維フェルトの形態)
PVA組紐を等間隔で並べる代わりに、1m2当り、5cm長に裁断した800texのPVA組紐を200本/m2となるようにランダムに分散させたこと以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維フェルトを得た。
[実施例19](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
消失物質としてポリエステル(PET)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維フェルトを得た。
[実施例20](形状Cの炭素繊維フェルトの形態)
空隙部の数を変更した以外は、実施例11と同様の条件で炭素繊維フェルトを得た。
[比較例5](形状Dの炭素繊維フェルトの形態)
空隙部の厚さ方向の長さの最大値(h)を大きくし、空隙部の数を増やした以外は、実施例12と同様の条件で炭素繊維フェルトを得た。
表5に示すように、実施例17〜19においては圧力損失、セル抵抗が共に低く、良好な結果を示す炭素繊維フェルトが得られた。実施例20においては、空孔断面積が小さい為、通液圧力損失がわずかに高い傾向となった。比較例5については、空隙部断面積が大きい為、厚さ方向の電気抵抗値が高い結果となった。
Figure 2013144857
[比較例6]
PVA組紐を160texとした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維フェルトを得た。
[比較例7]
PVA組紐を60texとし、そのPVA組紐を0.16cm間隔で並べた以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維フェルトを得た。
表6に示すように、比較例6、7は、空隙部の厚さ方向の長さの最大値(h)が十分でなく、圧力損失が高い結果となった。
Figure 2013144857
[実施例21](形状Aの炭素繊維フェルトの形態)
PVA組紐を、PVAの撚り糸(ロープ)とした以外は、実施例1の条件でフェルトを作製した。
表7に示すように、実施例21は、通液圧力損失、セル抵抗が共に低く、良好な結果を示す炭素繊維フェルトが得られた。
Figure 2013144857
2、12、22、32、42 炭素繊維フェルト
4、14、24、34、44 炭素繊維フェルト主体
6、16、26、36、46 フェルト主体内に形成される空隙部
A、B フェルト厚さ方向の両表面
h 空隙部の厚さ方向の長さの最大値
L 空隙部の形成方向を示す矢印
R フェルト主体の厚さ方向の一の表面
S フェルト主体の厚さ方向の他の表面
T 炭素繊維フェルトの厚さ方向を示す矢印
t 炭素繊維フェルトの厚さ
X、Y 電解液の流れ方向を示す矢印
52 レドックスフロー型電池
54 セル部
56、58 タンク部
60、62 集電板
64 隔膜
66、68 送液ポンプ
70、72 電極

Claims (7)

  1. 炭素繊維フェルト主体と、
    前記炭素繊維フェルト主体内に、フェルト主体の厚さ方向において互いに対向する両表面に開孔を持たずに形成される複数の空隙部とからなる炭素繊維フェルトであって、
    (i) 空隙部が、フェルト主体内を貫通して形成されてなる場合、
    空隙部は、フェルト主体の厚さ方向に沿う各空隙部の長さの最大値がフェルト主体の厚さの5〜75%であり、
    フェルト主体の空隙部の形成方向に直交する断面に占める断面積が0.3mm2以上の空隙部の割合が0.5〜75%であり、
    (ii) 空隙部が、フェルト主体内の閉じた空隙で形成されると共にフェルト主体内に任意の位置に任意の方向に向けてランダムに分散されてなる場合、
    空隙部は、フェルト主体の任意の厚さ方向に沿う各空隙部の長さの最大値がフェルト主体の厚さの5〜75%であり、
    フェルト主体の任意の厚さ方向に沿う断面に占める断面積が0.3mm2以上の空隙部の割合が0.5〜75%である、
    炭素繊維フェルト。
  2. 目付が200〜2000g/m2であり、厚さが1.5〜20mmであり、厚さ方向の電気抵抗値が500mΩ/cm2以下である、請求項1に記載の炭素繊維フェルト。
  3. 空隙部が、フェルト主体内を貫通して形成されてなる請求項1又は2に記載の炭素繊維フェルト。
  4. 空隙部が、フェルト主体内の閉じた空隙で形成されると共にフェルト主体内に任意の位置に任意の方向に向けてランダムに分散されてなる請求項1又は2に記載の炭素繊維フェルト。
  5. 炭素繊維フェルト主体と、
    前記炭素繊維フェルト主体内に、フェルト主体の厚さ方向において互いに対向する両表面に開孔を持たずに形成される複数の空隙部とからなり、
    フェルト主体内を貫通して形成されてなる空隙部と、フェルト主体内の閉じた空隙で形成されると共にフェルト主体内に任意の位置に任意の方向に向けてランダムに分散されてなる空隙部とを有する炭素繊維フェルトであって、
    空隙部は、フェルト主体の任意の厚さ方向に沿う各空隙部の長さの最大値がフェルト主体の厚さの5〜75%であり、
    フェルト主体の任意の厚さ方向に沿う断面に占める断面積が0.3mm2以上の空隙部の割合が0.5〜75%である炭素繊維フェルト。
  6. 複数枚積層してなる炭素繊維前駆体繊維ウェッブのウェッブ間に、所定形状の消失物質を配した後、前記消失物質を配したウェッブを交絡処理することにより消失物質含有炭素繊維前駆体フェルトを得、該炭素繊維前駆体フェルトを炭素化する請求項1乃至5の何れかに記載の炭素繊維フェルトの製造方法。
  7. 請求項1乃至5の何れかに記載の炭素繊維フェルトからなる電極。
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