JP2018133266A - 多孔質電極材、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レドックスフロー電池の総合効率と充放電サイクル寿命を高く保ったまま、製造コストの低く、かつ電気伝導性が高い多孔質電極材およびその製造方法が求められていた。
【解決手段】 ピッチ系炭素繊維を含む炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)により結着された構造を有するレドックスフロー型電池用多孔質電極材。ならびに、ピッチ系炭素繊維を含む炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを、各繊維の繊維方向が平面方向に分散してさせた前駆体シートを製造する工程(1)を有するレドックスフロー型電池用多孔質電極材の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 ピッチ系炭素繊維を含む炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)により結着された構造を有するレドックスフロー型電池用多孔質電極材。ならびに、ピッチ系炭素繊維を含む炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを、各繊維の繊維方向が平面方向に分散してさせた前駆体シートを製造する工程(1)を有するレドックスフロー型電池用多孔質電極材の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、レドックスフロー型電池用に用いることのできる多孔質電極材、その製造方法に関する。
従来より、リチウムイオン電池や、燃料電池、レドックスフロー電池などの電池の電極基材は電池の性能を左右するものとして重点的に開発されている。電極基材には、それ自体が活物質とならず、活物質の電気化学的反応を促進させる反応場として働くタイプのものがあり、このタイプには導電性や耐薬品性などから炭素材料がよく用いられる。特に電力貯蔵用に開発が盛んなレドックスフロー電池の電極には、耐薬品性があり、導電性を有し、かつ通液性のあるフェルト状の炭素繊維集合体が用いられている。レドックスフロー電池は、正極に鉄の塩酸水溶液、負極にクロムの塩酸水溶液を用いたタイプから、起電力の高いバナジウムの硫酸水溶液を両極に用いるタイプに替わり、高エネルギー密度化されたが、最近さらに活物質濃度を高める開発が進み、一段と高エネルギー密度化が進んでいる。
レドックスフロー型電池の主な構成は、電解液を貯える外部タンクと電解槽からなり、ポンプにて活物質を含む電解液を外部タンクから電解槽に送りながら、電解槽に組み込まれた電極上で電気化学的なエネルギー変換、すなわち充放電が行われる。
レドックスフロー型電池の主な構成は、電解液を貯える外部タンクと電解槽からなり、ポンプにて活物質を含む電解液を外部タンクから電解槽に送りながら、電解槽に組み込まれた電極上で電気化学的なエネルギー変換、すなわち充放電が行われる。
一般に、充放電の際には、電解液を外部タンクと電解槽との間で循環させるため、電解槽は液流通型構造をとる。該液流通型電解槽を単セルと称し、これを最小単位として単独もしくは多段積層して用いられる。液流通型電解槽における電気化学反応は、電極表面で起こる不均一相反応であるため、一般的には二次元的な電解反応場を伴うことになる。電解反応場が二次元的であると、電解槽の単位体積当たりの反応量が小さいという難点がある。
そこで、単位面積当りの反応量、すなわち電流密度を増すために電気化学反応場の三次元化が行われるようになった。電解槽では、相対する二枚の集電板間にイオン交換膜が配設され、イオン交換膜の両側にスペーサによって集電板の内面に沿った電解液の流路が形成されている。該流通路の少なくとも一方には電極材が配設されており、このようにして電極が構成されている。なお、集電板には、電解液の液流入口と液流出口とが設けられている。
そこで、単位面積当りの反応量、すなわち電流密度を増すために電気化学反応場の三次元化が行われるようになった。電解槽では、相対する二枚の集電板間にイオン交換膜が配設され、イオン交換膜の両側にスペーサによって集電板の内面に沿った電解液の流路が形成されている。該流通路の少なくとも一方には電極材が配設されており、このようにして電極が構成されている。なお、集電板には、電解液の液流入口と液流出口とが設けられている。
正極電解液にオキシ硫酸バナジウム、負極電解液に硫酸バナジウムの各々硫酸酸性水溶液を用いたレドックスフロー型電池の場合、放電時には、V2+を含む電解液が負極側の液流路に供給され、正極側の流路にはV5+( 実際には酸素を含むイオン) を含む電解液が供給される。負極側の流路では、三次元電極内でV2+が電子を放出しV3+に酸化される。放出された電子は外部回路を通って正極側の三次元電極内でV5+をV4+( 実際には酸素を含むイオン) に還元する。この酸化還元反応に伴って負極電解液中のSO4 2−が不足し、正極電解液ではSO4 2−が過剰になるため、イオン交換膜を通ってSO4 2−が正極側から負極側に移動し電荷バランスが保たれる。あるいは、H+がイオン交換膜を通って負極側から正極側へ移動することによっても電荷バランスを保つことができる。充電時には放電と逆の反応が進行する。バナジウム系レドックスフロー電池用電極材の特性としては、特に以下に示す性能が要求される。
1 )目的とする反応以外の副反応を起こさないこと(反応選択性が高いこと)、具体 的には電流効率(ηI) が高いこと。
2 )電極反応活性が高いこと、具体的にはセル抵抗(R)が小さいこと。すなわち
電圧効率(ηV)が高いこと。
3 )上記1)、2)に関連する電池エネルギー効率(ηE)が高いこと。
ηE=ηI×ηV
4 )くりかえし使用に対する劣化が小さいこと(高寿命)、具体的には電池エネル
ギー効率(ηE)の低下量が小さいこと。
2 )電極反応活性が高いこと、具体的にはセル抵抗(R)が小さいこと。すなわち
電圧効率(ηV)が高いこと。
3 )上記1)、2)に関連する電池エネルギー効率(ηE)が高いこと。
ηE=ηI×ηV
4 )くりかえし使用に対する劣化が小さいこと(高寿命)、具体的には電池エネル
ギー効率(ηE)の低下量が小さいこと。
例えば、特許3601581号公報には、X 線広角解析より求めた<002> 面間隔が3 . 43〜 で、c軸方向の結晶子の大きさが15〜33Å で、a軸方向の結晶子の大きさが3 0 〜70Å である擬黒鉛結晶構造を有する炭素電極材であって、XPS表面分析より求めた下記(a) 及び(b) の要件を満たすことを特徴とするバナジウム系レドックスフロー電池用炭素電極材。
(a) 表面酸性官能基量が全表面炭素原子数の0.2〜1.0% である。
(b) 表面結合窒素原子数が全表面炭素原子数の3% 以下である。
をレドックスフロー電池の電極材として用いることが提案されている。
(a) 表面酸性官能基量が全表面炭素原子数の0.2〜1.0% である。
(b) 表面結合窒素原子数が全表面炭素原子数の3% 以下である。
をレドックスフロー電池の電極材として用いることが提案されている。
しかしながら、特許3601581号公報では、レドックスフロー電池の電極材としてフェルト状の炭素繊維集合体が用いられているため、レドックスフロー電池の総合効率は高いものの、製造コストが高く、さらにフェルト状の炭素繊維集合体中の炭素繊維同士が接合しておらず、電気伝導性が低いという問題があった。
そこで、本発明の目的は、かかる事情に鑑み、レドックスフロー電池の総合効率と充放電サイクル寿命を高く保ったまま、製造コストの低く、かつ電気伝導性が高い多孔質電極材およびその製造方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明の目的は、かかる事情に鑑み、レドックスフロー電池の総合効率と充放電サイクル寿命を高く保ったまま、製造コストの低く、かつ電気伝導性が高い多孔質電極材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は前記課題が以下の発明の実施態様<1>〜<6>によって解決されることを見出した。
<1> 炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)により結着された構造を有する
多孔質電極材。
<2> 3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によっ
て接合された3次元交絡構造体からなる多孔質電極材。
<3> 炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを、各繊維の繊維方向が平面方向に
分散してさせた前駆体シートを製造する工程(1)を有する多孔質電極材の
製造方法。
<4> 前記工程(1)の後に、前記前駆体シートを200℃未満の温度で加熱加圧
成型する工程(2)を有する上記<3>に記載の多孔質電極材の製造方法。
<5> 前記工程(1)の後に、前記前駆体シートを交絡処理して3次元交絡構造を
形成する工程(3)を有する上記<3>に記載の多孔質電極材の製造方法。
<6> 前記工程(1)の後に、前記前駆体シートを交絡処理して3次元交絡構造を
形成する工程(3)を有する上記<4>に記載の多孔質電極材の製造方法。
<1> 炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)により結着された構造を有する
多孔質電極材。
<2> 3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によっ
て接合された3次元交絡構造体からなる多孔質電極材。
<3> 炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを、各繊維の繊維方向が平面方向に
分散してさせた前駆体シートを製造する工程(1)を有する多孔質電極材の
製造方法。
<4> 前記工程(1)の後に、前記前駆体シートを200℃未満の温度で加熱加圧
成型する工程(2)を有する上記<3>に記載の多孔質電極材の製造方法。
<5> 前記工程(1)の後に、前記前駆体シートを交絡処理して3次元交絡構造を
形成する工程(3)を有する上記<3>に記載の多孔質電極材の製造方法。
<6> 前記工程(1)の後に、前記前駆体シートを交絡処理して3次元交絡構造を
形成する工程(3)を有する上記<4>に記載の多孔質電極材の製造方法。
本発明によれば、レドックスフロー電池の総合効率と充放電サイクル寿命を高く保ったまま、製造コストの低く、かつ電気伝導性が高い多孔質電極材およびその製造方法を提供することができる。
<多孔質電極材>
本発明の一実施形態に係る多孔質電極材は、具体的には下記[1]〜[2]のものが挙げられる。
[1] 炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)により結着された構造を有する多孔
質電極材。
[2] 3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によっ
て接合された3次元交絡構造体からなる多孔質電極材。
本発明の一実施形態に係る多孔質電極材は、具体的には下記[1]〜[2]のものが挙げられる。
[1] 炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)により結着された構造を有する多孔
質電極材。
[2] 3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によっ
て接合された3次元交絡構造体からなる多孔質電極材。
本発明の多孔質電極材は、多孔質電極材中において炭素繊維(A)同士は、直接接合することはないが、耐酸性繊維(B)により接合された構造体となる。
多孔質電極材の形状は、電池の分野、特にレドックスフロー電池の分野で公知の形状から必要に応じて選択することができ、例えば、シート状、渦巻き状等の形状をとることができる。
シート状の多孔質電極材の目付けは、ハンドリング性の観点から15g/m2以上100g/m2以下が好ましい。また、シート状の多孔質電極材の厚みは、導電性とハンドリング性の観点から50μm以上、500μm以下が好ましい。また、シート状の多孔質電極材のうねりは、5mm未満が好ましい。
また、多孔質電極材の厚さ方向の電気抵抗(貫通方向抵抗)は、電池内部での電気抵抗損失の低減の観点より60mΩ・cm2以下であることが好ましい。なお、多孔質電極材の貫通方向抵抗の測定方法は、後述する。
シート状の多孔質電極材の目付けは、ハンドリング性の観点から15g/m2以上100g/m2以下が好ましい。また、シート状の多孔質電極材の厚みは、導電性とハンドリング性の観点から50μm以上、500μm以下が好ましい。また、シート状の多孔質電極材のうねりは、5mm未満が好ましい。
また、多孔質電極材の厚さ方向の電気抵抗(貫通方向抵抗)は、電池内部での電気抵抗損失の低減の観点より60mΩ・cm2以下であることが好ましい。なお、多孔質電極材の貫通方向抵抗の測定方法は、後述する。
<3次元交絡構造体>
本発明本実施形態において、多孔質電極材は3次元交絡構造を形成してもよい。3次元交絡構造を形成している(3次元交絡構造体である)とは、構造体を構成する炭素繊維と耐酸性繊維(B)とが互いに絡まり合い、炭素繊維と耐酸性繊維(B)が多孔質電極材の厚み方向にも配向している構造を意味する。さらに具体的には、3次元交絡構造を形成しているとは、前述したように断面観察写真によって倍率200〜500倍(例えば、300倍)で多孔質電極材の断面を観察した際に、観察できる繊維が互いに交差している状態であり、測定した炭素繊維の水平面との角度の平均が3°以上、または測定した耐酸性繊維(B)と水平面(シート面)との角度の最大値が10°以上となる状態である。なお、角度の平均値および最大値を決める際の測定点数は例えば50点とすることができる。互いに交差しているとは、例えば互いの繊維方向の角度のうち鋭角の側が10°以上の角度をなした状態で接触していることである。3次元交絡構造は、後述する交絡処理によって構造体を構成する炭素繊維と耐酸性繊維(B)とを互いに絡まり合わせることにより成形できる。
本発明本実施形態において、多孔質電極材は3次元交絡構造を形成してもよい。3次元交絡構造を形成している(3次元交絡構造体である)とは、構造体を構成する炭素繊維と耐酸性繊維(B)とが互いに絡まり合い、炭素繊維と耐酸性繊維(B)が多孔質電極材の厚み方向にも配向している構造を意味する。さらに具体的には、3次元交絡構造を形成しているとは、前述したように断面観察写真によって倍率200〜500倍(例えば、300倍)で多孔質電極材の断面を観察した際に、観察できる繊維が互いに交差している状態であり、測定した炭素繊維の水平面との角度の平均が3°以上、または測定した耐酸性繊維(B)と水平面(シート面)との角度の最大値が10°以上となる状態である。なお、角度の平均値および最大値を決める際の測定点数は例えば50点とすることができる。互いに交差しているとは、例えば互いの繊維方向の角度のうち鋭角の側が10°以上の角度をなした状態で接触していることである。3次元交絡構造は、後述する交絡処理によって構造体を構成する炭素繊維と耐酸性繊維(B)とを互いに絡まり合わせることにより成形できる。
<炭素繊維(A)>
本実施形態の多孔質電極材に用いられている炭素繊維とは、炭素繊維を1mmから20cmの範囲で特定の長さにカットした短繊維である。このような炭素繊維の構成素材として、ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の炭素繊維が挙げられ、炭素繊維はこれらを適当な長さに切断したものが挙げられる。炭素繊維の構成素材は、多孔質電極材の電気伝導性の観点から、ピッチ系炭素繊維を含むことが好ましい。さらに多孔質電極材の電気伝導性と機械的強度の観点から、ピッチ系炭素繊維とポリアクリロニトリル系炭素繊維を同時に含むことも好ましい。炭素繊維(A)は、一種類の炭素繊維を用いても、異なる複数種の炭素繊維を用いてもよい。
本実施形態の多孔質電極材に用いられている炭素繊維とは、炭素繊維を1mmから20cmの範囲で特定の長さにカットした短繊維である。このような炭素繊維の構成素材として、ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の炭素繊維が挙げられ、炭素繊維はこれらを適当な長さに切断したものが挙げられる。炭素繊維の構成素材は、多孔質電極材の電気伝導性の観点から、ピッチ系炭素繊維を含むことが好ましい。さらに多孔質電極材の電気伝導性と機械的強度の観点から、ピッチ系炭素繊維とポリアクリロニトリル系炭素繊維を同時に含むことも好ましい。炭素繊維(A)は、一種類の炭素繊維を用いても、異なる複数種の炭素繊維を用いてもよい。
炭素繊維の平均繊維長は、分散性の点から、2〜12mm程度であることが好ましい。炭素繊維の平均繊維径は、炭素繊維の生産コストおよび分散性の面から、3〜20μmであることが好ましい。炭素繊維(A)の平均繊維長さおよび平均繊維径は、一種類の炭素繊維を用いても、異なる複数種の炭素繊維を用いてもよい。
多孔質電極材における炭素繊維の含有率は、炭素繊維と耐酸性繊維(B)の合計の全体質量に対して、40〜90質量%が好ましい。多孔質電極材の機械的強度を十分なものに保ち、さらに、十分な貫通方向抵抗とするため、炭素繊維の含有率は、炭素繊維と耐酸性繊維(B)の合計に対して、50〜90質量%がより好ましい。
<耐酸性繊維(B)>
本実施形態の多孔質電極材に含まれる耐酸性繊維(B)は、炭素繊維(A)同士を接合する繊維であり、耐酸性繊維(B)は、炭素繊維(A)を接合する部位において屈曲状または湾曲状になっている状態で存在し、それぞれが繊維構造を形成していても、3次元的な網目構造を形成していても良い。耐酸性繊維(B)は、ハンドリング性や導電性の観点から、厚み方向に互いに絡まり合った網目構造を形成していることが好ましい。
本実施形態の多孔質電極材に含まれる耐酸性繊維(B)は、炭素繊維(A)同士を接合する繊維であり、耐酸性繊維(B)は、炭素繊維(A)を接合する部位において屈曲状または湾曲状になっている状態で存在し、それぞれが繊維構造を形成していても、3次元的な網目構造を形成していても良い。耐酸性繊維(B)は、ハンドリング性や導電性の観点から、厚み方向に互いに絡まり合った網目構造を形成していることが好ましい。
多孔質電極材における耐酸性繊維(B)の含有率は、炭素繊維と耐酸性繊維(B)の合計の全体質量に対して、10〜60質量%が好ましい。多孔質電極材の機械的強度を十分なものに保ち、さらに、十分な電気伝導性(貫通方向抵抗)とするため、耐酸性繊維(B)の含有率は、炭素繊維と耐酸性繊維(B)の合計の全体質量に対して、10〜50質量%がより好ましい。
導電性や生産性の観点から、耐酸性繊維(B)は、後述する導電性粒子を含有することも好ましい。この導電性粒子は、それぞれ耐酸性繊維(B)に含有されたことに由来する導電性粒子であり、耐酸性繊維(B)中の導電性粒子の含有量は、耐酸性繊維(B)中に導電性の観点から、耐酸性繊維(B)の全体質量に対して10質量%以上が好ましく、生産性の観点より90質量%以下であることが好ましい。
なお、耐酸性繊維(B)については後述する。また、本発明本実施形態で用いることのできる導電性粒子についても、後述する。
なお、耐酸性繊維(B)については後述する。また、本発明本実施形態で用いることのできる導電性粒子についても、後述する。
耐酸性繊維(B)としては、後述する耐酸性繊維(b−1)およびフィブリル状耐酸性繊維(b−2)のうちの一方、または両方を用いることができる。
耐酸性繊維(B)は、それぞれ、同一の耐酸性繊維(B)のみを用いても良いし濾水度、繊維直径、繊維長または、ポリマー種等が異なるこれら耐酸性繊維(B)を複数種類混合して用いても良い。さらに、耐酸性繊維とフィブリル状耐酸性繊維とを混合して用いても良い。多孔質電極材の拡散性を十分なものに保つ観点より耐酸性繊維(B)としては、耐酸性繊維(b−1)のみを用いることが好ましい。また、前駆体シートのハンドリング性の観点からは、耐酸性繊維(B)としては、フィブリル状耐酸性繊維(b−2)を用いることが好ましい。
耐酸性繊維(B)に用いることができるポリマーは耐酸性を有するポリマーからなる。このようなポリマーとして後述するように、アクリロニトリル系ポリマー、エステル系ポリマー、などが挙げられる。これらのポリマーは単体で用いても複数のポリマー種からなる混合物として用いてもよい。紡糸性および低温から高温にかけて炭素繊維同士を接合させることができるという観点から、さらに、炭素繊維と混合した際の交絡のし易さ、シート強度の強さの観点からすると、アクリロニトリル系ポリマーを用いることが好ましい。
アクリロニトリル系ポリマーは、アクリロニトリルを単独重合したアクリロニトリル系重合体(単独重合体)であっても、アクリロニトリルとその他のモノマーとを共重合したアクリロニトリル系重合体(共重合体)であってもよい。しかし、紡糸性および熱処理後の多孔乳質電極基材の機械的強度の観点から、アクリロニトリル系重合体は、共重合体の全体質量に対してアクリロニトリル単位を50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましい。アクリロニトリルと共重合されるモノマーとしては、一般的なアクリル系繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルもしくは、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルもしくは、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニルまたは、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。アクリロニトリル系重合体は、熱処理工程における残存質量が60質量%以上であることが好ましい。
アクリロニトリル系重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、5万〜100万が好ましい。アクリロニトリル系重合体の重量平均分子量が5万以上であることで、紡糸性が向上すると同時に、繊維の糸質が良好になる傾向にある。また、アクリロニトリル系重合体の重量平均分子量が100万以下であることで、紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が高くなり、生産性が向上する傾向にある。
なお、耐酸性繊維(B)の製造方法は特に限定されず、例えば後述する方法で製造した耐酸性繊維や、フィブリル状耐酸性繊維を、耐酸性繊維(B)として用いることができる。
<耐酸性繊維>
耐酸性繊維は、耐酸性繊維(B)として用いることができ、耐酸性繊維(B)として用いる際は耐酸性繊維(b−1)と記載する。この耐酸性繊維は、長繊維状の耐酸性繊維を1mmから20cmの範囲で適当な長さにカットしたものである。耐酸性繊維の繊維長は、分散性の点から、2〜20mm程度が好ましい。耐酸性繊維の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いもの(真円に近い形状のもの)が好ましい。また、耐酸性繊維の直径は、150℃以上400℃未満の温度で熱処理する時の収縮による破断を抑制するため、5μm以下であることがさらに好ましい。
耐酸性繊維は、耐酸性繊維(B)として用いることができ、耐酸性繊維(B)として用いる際は耐酸性繊維(b−1)と記載する。この耐酸性繊維は、長繊維状の耐酸性繊維を1mmから20cmの範囲で適当な長さにカットしたものである。耐酸性繊維の繊維長は、分散性の点から、2〜20mm程度が好ましい。耐酸性繊維の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いもの(真円に近い形状のもの)が好ましい。また、耐酸性繊維の直径は、150℃以上400℃未満の温度で熱処理する時の収縮による破断を抑制するため、5μm以下であることがさらに好ましい。
耐酸性繊維(B)として耐酸性繊維(b−1)を用いる際は、同一の耐酸性繊維(b−1)のみを用いてもよいし、繊維直径やポリマー種が異なる2種類以上の耐酸性繊維(b−1)を混合して用いてもよい。耐酸性繊維として用いられるポリマーとしては、アクリロニトリル系ポリマー、エステル系ポリマーなどを挙げることができる。これらのポリマーは単体で用いても複数のポリマー種からなる混合物として用いてもよい。炭素繊維と混合した際の交絡のし易さ、シート強度の強さの観点からすると、アクリロニトリル系ポリマーを用いることが好ましい。このアクリロニトリル系ポリマーとしては、上述の<耐酸性繊維(B)>の欄で挙げたアクリロニトリル系ポリマーと同様のものを用いることができる。
<フィブリル状耐酸性繊維>
フィブリル状耐酸性繊維は、耐酸性繊維(B)として用いることができ、耐酸性繊維(B)として用いる際はフィブリル状耐酸性繊維(b−2)と記載する。フィブリル状耐酸性繊維としては、繊維状の幹より直径が数μm以下(例えば0.1〜3μm)のフィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維や、叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維を用いることができる。このフィブリル状耐酸性繊維(b−2)を用いることにより、前駆体シート中で炭素繊維とフィブリル状耐酸性繊維(b−2)が良く絡み合い、機械的強度の優れた前駆体シートを得ることが容易となる。フィブリル状耐酸性繊維の濾水度は特に限定されないが、一般的に濾水度が高いフィブリル状繊維を用いると前駆体シートの機械的強度が向上する。
フィブリル状耐酸性繊維は、耐酸性繊維(B)として用いることができ、耐酸性繊維(B)として用いる際はフィブリル状耐酸性繊維(b−2)と記載する。フィブリル状耐酸性繊維としては、繊維状の幹より直径が数μm以下(例えば0.1〜3μm)のフィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維や、叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維を用いることができる。このフィブリル状耐酸性繊維(b−2)を用いることにより、前駆体シート中で炭素繊維とフィブリル状耐酸性繊維(b−2)が良く絡み合い、機械的強度の優れた前駆体シートを得ることが容易となる。フィブリル状耐酸性繊維の濾水度は特に限定されないが、一般的に濾水度が高いフィブリル状繊維を用いると前駆体シートの機械的強度が向上する。
フィブリル状耐酸性繊維(b−2)としては、濾水度、繊維直径またはポリマー種が異なる、フィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維を1種類または2種類以上用いることもでき、濾水度、繊維直径またはポリマー種が異なる、叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維を1種類または2種類以上用いることもでき、これらを組み合わせて用いることもできる。
<フィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維>
フィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維として用いられるポリマーとしては、アクリロニトリル系ポリマー、エステル系ポリマーなどを挙げることができる。これらのポリマーは単体で用いても複数のポリマー種からなる混合物として用いてもよい。炭素繊維と混合した際の交絡のし易さ、シート強度の強さの観点からすると、アクリロニトリル系ポリマーを用いることが好ましい。このアクリロニトリル系ポリマーとしては、上述の<耐酸性繊維(B)>の欄で挙げたアクリロニトリル系ポリマーと同様のものを用いることができる。
フィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維(B)の製造方法は、特に限定されないが、濾水度のコントロールが容易な噴射凝固法を用いることが好ましい。
フィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維として用いられるポリマーとしては、アクリロニトリル系ポリマー、エステル系ポリマーなどを挙げることができる。これらのポリマーは単体で用いても複数のポリマー種からなる混合物として用いてもよい。炭素繊維と混合した際の交絡のし易さ、シート強度の強さの観点からすると、アクリロニトリル系ポリマーを用いることが好ましい。このアクリロニトリル系ポリマーとしては、上述の<耐酸性繊維(B)>の欄で挙げたアクリロニトリル系ポリマーと同様のものを用いることができる。
フィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維(B)の製造方法は、特に限定されないが、濾水度のコントロールが容易な噴射凝固法を用いることが好ましい。
<叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維>
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維は、1mmから20cmの範囲で適当な長さにカットした長繊維状の易割繊性海島複合繊維を、であり、リファイナーやパルパーなどの叩解手段を用いたなどによって叩解の操作を介してフィブリル化するものである。叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維は、共通の溶剤に溶解し、かつ非相溶性である2種類以上の異種ポリマーを用いて製造される。その少なくとも1種類のポリマーとしては、アクリロニトリル系ポリマー、エステル系ポリマーなどを挙げることができる。これらのポリマーは単体で用いても複数のポリマー種からなる混合物として用いてもよい。炭素繊維と混合した際の交絡のし易さ、シート強度の強さの観点からすると、アクリロニトリル系ポリマーを用いることが好ましい。このアクリロニトリル系ポリマーとしては、上述の<耐酸性繊維(B)>の欄で挙げたアクリロニトリル系ポリマーと同様のものを用いることができる。
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維は、1mmから20cmの範囲で適当な長さにカットした長繊維状の易割繊性海島複合繊維を、であり、リファイナーやパルパーなどの叩解手段を用いたなどによって叩解の操作を介してフィブリル化するものである。叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維は、共通の溶剤に溶解し、かつ非相溶性である2種類以上の異種ポリマーを用いて製造される。その少なくとも1種類のポリマーとしては、アクリロニトリル系ポリマー、エステル系ポリマーなどを挙げることができる。これらのポリマーは単体で用いても複数のポリマー種からなる混合物として用いてもよい。炭素繊維と混合した際の交絡のし易さ、シート強度の強さの観点からすると、アクリロニトリル系ポリマーを用いることが好ましい。このアクリロニトリル系ポリマーとしては、上述の<耐酸性繊維(B)>の欄で挙げたアクリロニトリル系ポリマーと同様のものを用いることができる。
易割繊性海島複合繊維に用いられるポリマーのとして、上述するアクリロニトリル系ポリマーを用いた場合、他のポリマーとしては、そのアクリロニトリル系ポリマーと共通の溶剤に溶解し、紡糸原液とした場合に安定に存在することが必要である。すなわち、紡糸原液においては、2種のポリマーの非相溶性の度合いが大きい場合、繊維が不均質となるとともに、紡糸時における糸切れの原因となるため、繊維への賦形はできない場合がある。したがって、他のポリマーは、アクリロニトリル系ポリマーと共通の溶剤に溶解した場合に、アクリロニトリル系ポリマーに対して非相溶であるが、紡糸の際に海島構造を形成できる程度の混和性が必要である。また、湿式紡糸する場合、凝固槽、および洗浄槽において他のポリマーが水に溶解すると、脱落が起こり製造上問題であるため、他のポリマーは水に難溶性であることが必要である。
これらの要求を満足する他のポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、アクリル樹脂、メタクリル樹脂または、フェノール樹脂などが挙げられるが、酢酸セルロース、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂は、前述要件のバランスの点で、好ましく用いることができる。他のポリマーは、1種でもよく、2種以上でもよい。
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維として用いる易割繊性海島複合繊維は、通常の湿式紡糸法で製造することができる。炭素化処理する工程における残存質量が60質量%以上であるものとしてアクリロニトリル系ポリマーを用いた場合、他のポリマーとを混合した後、溶剤に溶解して、易割繊性海島複合繊維の紡糸原液とする。または、アクリロニトリル系ポリマーを溶剤に溶解して得られる紡糸原液と、他のポリマーを溶剤に溶解して得られる紡糸原液とを、スタティックミキサー等で混合し、易割繊性海島複合繊維の紡糸原液としてもよい。溶剤としては、ジメチルアミド、ジメチルホルムアミドまたは、ジメチルスルフォキシドなどの有機溶剤を用いることができる。これらの紡糸原液を、ノズルより紡糸し、湿熱延伸、洗浄、乾燥および乾熱延伸を施こすことで、易割繊性海島複合繊維を得ることができる。
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の断面形状は、特に限定されない。分散性、熱処理時の収縮による破断を抑制するため、叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の繊度は、1〜10dtexであることが好ましい。
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の平均繊維長は、分散性の観点から、1〜20mmが好ましい。
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の断面形状は、特に限定されない。分散性、熱処理時の収縮による破断を抑制するため、叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の繊度は、1〜10dtexであることが好ましい。
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の平均繊維長は、分散性の観点から、1〜20mmが好ましい。
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維は、機械的外力により相分離界面の剥離により叩解して、その少なくとも一部分が割繊し、フィブリル化する。叩解方法は、特に限定されないが、例えば、リファイナーやパルパー、ビーター、または加圧水流の噴射(ウォータージェットパンチング)によりフィブリル化する方法が挙げられる。
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維を機械的外力により相分離界面の剥離により叩解する際の、叩解方法、叩解時間に依存して、フィブリル化の状態は変化する。フィブリル化の度合いを評価する方法として、濾水度評価(ISO−5636−5)を用いることができる。叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の濾水度は特に限定されないが、濾水度が小さくなるにつれ、3次元的な網目構造を形成した耐酸性繊維(B)が形成されやすくなり、十分な叩解を実施せず、濾水度が大きいままの叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維を用いた場合は、繊維構造を形成した耐酸性繊維(B)が形成されやすくなる。
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維を機械的外力により相分離界面の剥離により叩解する際の、叩解方法、叩解時間に依存して、フィブリル化の状態は変化する。フィブリル化の度合いを評価する方法として、濾水度評価(ISO−5636−5)を用いることができる。叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の濾水度は特に限定されないが、濾水度が小さくなるにつれ、3次元的な網目構造を形成した耐酸性繊維(B)が形成されやすくなり、十分な叩解を実施せず、濾水度が大きいままの叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維を用いた場合は、繊維構造を形成した耐酸性繊維(B)が形成されやすくなる。
<導電性粒子>
導電性や生産性の観点から、耐酸性繊維(B)は、導電性粒子を含有することも好ましい。この導電性粒子は、それぞれ耐酸性繊維(B)に含有されたことに由来する導電性粒子であり、耐酸性繊維(B)中の導電性粒子の含有量は、耐酸性繊維(B)中に導電性観点から、耐酸性繊維(B)の全体質量に対して10質量%以上が好ましく、生産性の観点より90質量%以下であることが好ましい。
導電性や生産性の観点から、耐酸性繊維(B)は、導電性粒子を含有することも好ましい。この導電性粒子は、それぞれ耐酸性繊維(B)に含有されたことに由来する導電性粒子であり、耐酸性繊維(B)中の導電性粒子の含有量は、耐酸性繊維(B)中に導電性観点から、耐酸性繊維(B)の全体質量に対して10質量%以上が好ましく、生産性の観点より90質量%以下であることが好ましい。
この導電性粒子としては、特に限定されないが、カーボンブラック、黒鉛粉、炭素繊維ミルドファイバー、活性炭または、ナノカーボンなどの炭素粉を用いることができる。生産性および導電性の発現の点とコストの点で、カーボンブラック、またはカーボンブラックと黒鉛粉の混合物を用いることが好ましい。
カーボンブラックは、一般に平均粒径が数十ナノメートルの一次粒子が互いに融着してストラクチャーを形成し、さらにストラクチャー同士がファンデアワールスカにより結合した構造体(アゲロメート)として存在する。カーボンブラックは、単位質量当たりの粒子数が黒鉛粉に比べて著しく多く、ある臨界濃度以上でアゲロメートが3次元ネットワーク状に連なって巨視的な導電経路を形成する。したがって、導電性粒子は少なくともカーボンブラックを含有することが好ましい。炭素粉に含まれるカーボンブラックの割合は、炭素粉の全体質量に対して70〜100質量%の範囲であることがより好ましく、炭素粉の全体質量に対して80〜90質量%の範囲であることが特に好ましい。カーボンブラックの割合を炭素粉の全体質量に対して70質量%以上とすることで、3次元ネットワーク状の導電経路を形成しやすくする。
カーボンブラックは、一般に平均粒径が数十ナノメートルの一次粒子が互いに融着してストラクチャーを形成し、さらにストラクチャー同士がファンデアワールスカにより結合した構造体(アゲロメート)として存在する。カーボンブラックは、単位質量当たりの粒子数が黒鉛粉に比べて著しく多く、ある臨界濃度以上でアゲロメートが3次元ネットワーク状に連なって巨視的な導電経路を形成する。したがって、導電性粒子は少なくともカーボンブラックを含有することが好ましい。炭素粉に含まれるカーボンブラックの割合は、炭素粉の全体質量に対して70〜100質量%の範囲であることがより好ましく、炭素粉の全体質量に対して80〜90質量%の範囲であることが特に好ましい。カーボンブラックの割合を炭素粉の全体質量に対して70質量%以上とすることで、3次元ネットワーク状の導電経路を形成しやすくする。
一方、炭素粉として黒鉛粉を添加することも好ましい。黒鉛粉は、高結晶性のグラフアイト構造からなるため、高い導電性を示す。黒鉛粉の一次粒子の平均粒径は一般に数マイクロメートル〜数百マイクロメートルである。炭素粉に含まれる黒鉛粉の割合は、炭素粉の全体質量に対して10〜20質量%の範囲であることが好ましい。
カーボンブラックとしては、フォーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラックまたは、ケッチェンブラック等を用いることができるが、電気伝導性と分散性に優れるアセチレンブラックまたはケッチェンブラックがより好ましく、導電性の観点より、ケッチェンブラックが特に好ましい。黒鉛粉としては、熱分解黒鉛、球状黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛または、膨張黒鉛等を用いることができるが、導電性に優れる熱分解黒鉛または球状黒鉛が好ましい。
導電性粒子を含有する耐酸性繊維(B)中の導電性粒子として炭素粉を用いた場合、炭素粉は、一次粒子それぞれが均一に分散していても、一次粒子が凝集しても良く、また一次粒子やその凝集体が耐酸性繊維(B)中で均一に分散していても、局在していてもよい。耐酸性繊維(B)中で局在したものとしては、繊維中心部に局在したコアーシェル構造を形成したものや、逆に繊維表層部に局在したコアーシェル構造を形成したものなどを用いることができる。多孔質電極材の導電性や機械強度を向上させる観点より、繊維表層部に炭素粉が局在したコアーシェル構造を形成させることが好ましい。
十分な繊維強度と導電性の観点より、この導電性粒子として、炭素粉を用いた場合、炭素粉を含有する耐酸性繊維(B)中の炭素粉の平均含有量は、耐酸性繊維(B)の全体質量に対して10質量%以上90質量%以下であることが好ましい。また炭素粉の平均含有量の上限は紡糸可能な範囲で高いことが望ましいが、繊維の製造段階での紡糸安定性の点から、70質量%以下が特に好ましい。
耐酸性繊維(B)中の炭素粉が局在している場合は、導電性の観点より、局在部分(すなわち最も炭素粉の含有量が多い部位)の炭素粉の含有量は、耐酸性繊維(B)の該部分の全体質量に対して60質量%以上90質量%以下であることが好ましい。さらに、70質量%以上90質量%以下が特に好ましい。
<多孔質電極材の製造方法>
本発明本実施形態の多孔質電極材は、例えば、以下の製法により製造することができる。
第一の製法は、炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを、各繊維の繊維方向が平面方向に分散してさせた前駆体シートを製造する工程(1)を行う方法である。
第二の製法は、前記工程(1)の後に、前記前駆体シートを200℃未満の温度で加熱加圧成型する工程(2)を順次行う方法である。
第三の製法は、前記工程(1)の後、または前記工程(1)と前記工程(2)の間に、前記前駆体シートを交絡処理して3次元交絡構造を形成する工程(3)を順次行う方法である。
本発明本実施形態の多孔質電極材は、例えば、以下の製法により製造することができる。
第一の製法は、炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを、各繊維の繊維方向が平面方向に分散してさせた前駆体シートを製造する工程(1)を行う方法である。
第二の製法は、前記工程(1)の後に、前記前駆体シートを200℃未満の温度で加熱加圧成型する工程(2)を順次行う方法である。
第三の製法は、前記工程(1)の後、または前記工程(1)と前記工程(2)の間に、前記前駆体シートを交絡処理して3次元交絡構造を形成する工程(3)を順次行う方法である。
<前駆体シート>
本発明本実施形態の前駆体シートは、多孔質電極材の前駆体となるシートであり、炭素繊維と耐酸性繊維(B)からなる。前駆体シートはそのもので多孔質電極材とすることもでき、後述する加熱加圧成型工程後に多孔質電極材とすることもできる。
本発明本実施形態の前駆体シートは、多孔質電極材の前駆体となるシートであり、炭素繊維と耐酸性繊維(B)からなる。前駆体シートはそのもので多孔質電極材とすることもでき、後述する加熱加圧成型工程後に多孔質電極材とすることもできる。
前駆体シートは、炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを平面方向に分散させたものである。繊維を平面方向に分散させたとは、各繊維の繊維方向がそれぞれ略同一平面上にあること、繊維の長尺の方向がほぼ平行であることである。ほぼ平行であるとは、具体的には、前駆体シートの断面について、前述した多孔質電極材の断面と同様に走査型電子顕微鏡で200〜500倍(例えば、300倍)の倍率で観察したときに、測定した炭素繊維の水平面との角度の平均が3°未満、かつ、測定した耐酸性繊維(B)と水平面(シート面)との角度の最大値が10°未満となる状態である。なお、角度の平均値および最大値を決める際の測定点数は例えば50点とすることができる。前駆体シートが含有する繊維のうち90〜100%について、各繊維の繊維方向のなす角度(交差する角度)のうち鋭角の側が、−10°〜+10°の範囲内に収まっていることであり、この前駆体シートは、前述した3次元交絡構造を持たなくてもよい。さらに、この前駆体シートを後述する、交絡処理により3次元交絡構造を形成することができる。
前駆体シートを構成する炭素繊維(A)と耐酸性繊維(B)との質量比は、40:60〜90:10が好ましく、50:50〜90:10がより好ましい。
前駆体シートは、炭素繊維(A)と耐酸性繊維(B)との質量比や、種類が異なる複数のシートを積層一体化することも好ましい。
前駆体シートを構成する炭素繊維(A)と耐酸性繊維(B)との質量比は、40:60〜90:10が好ましく、50:50〜90:10がより好ましい。
前駆体シートは、炭素繊維(A)と耐酸性繊維(B)との質量比や、種類が異なる複数のシートを積層一体化することも好ましい。
<前駆体シートの製造工程(1)>
前駆体シートを製造するにあたっては、液体の媒体中に、炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを分散させて抄造する湿式法;空気中に炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)を分散させて降り積もらせる乾式法;などの抄紙方法を適用できるが、湿式法が好ましい。炭素繊維(A)が単繊維に開繊するのを助け、開繊した単繊維が再収束することを防止し、さらに炭素繊維(A)と耐酸性繊維(B)とが絡み合うことでシート強度が向上し、実質的にバインダーフリーとするためにも、フィブリル状耐酸性繊維(b−2)を使用し、湿式抄紙することが好ましい。また、後述する交絡処理を実施する場合は、耐酸性繊維(b−1)を用いても、実質的にバインダーフリーとすることができる。
炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを分散させる媒体としては、例えば、水または、アルコールなど、耐酸性繊維(B)が溶解しない媒体が挙げられるが、生産性の観点から、水が好ましい。
前駆体シートを製造するにあたっては、液体の媒体中に、炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを分散させて抄造する湿式法;空気中に炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)を分散させて降り積もらせる乾式法;などの抄紙方法を適用できるが、湿式法が好ましい。炭素繊維(A)が単繊維に開繊するのを助け、開繊した単繊維が再収束することを防止し、さらに炭素繊維(A)と耐酸性繊維(B)とが絡み合うことでシート強度が向上し、実質的にバインダーフリーとするためにも、フィブリル状耐酸性繊維(b−2)を使用し、湿式抄紙することが好ましい。また、後述する交絡処理を実施する場合は、耐酸性繊維(b−1)を用いても、実質的にバインダーフリーとすることができる。
炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを分散させる媒体としては、例えば、水または、アルコールなど、耐酸性繊維(B)が溶解しない媒体が挙げられるが、生産性の観点から、水が好ましい。
前駆体シートは、連続法とバッチ法のいずれによっても製造できるが、前駆体シートの生産性および機械的強度の観点から、連続法で製造することが好ましい。前駆体シートの目付けは、0〜200g/m2程度であることが好ましい。また、前駆体シートの厚みは、50〜600μm程度であることが好ましい。
<加熱加圧成型工程(2)>
前記前記前駆体シートの製造工程(1)の後、または前記前駆体シートの製造工程(1)と後述する交絡処理工程(3)の間に、前駆体シートを200℃未満の温度で加熱加圧成型する工程をさらに行うことが好ましい。前記加熱加圧成形の工程を行うことにより、炭素繊維を耐酸性繊維(B)で融着させ、かつ多孔質電極材の厚みムラを低減させ、さらに、交絡処理によりシート表面に毛羽立った状態となった炭素繊維と耐酸性繊維(B)とのシート表面近傍における毛羽立ちを抑制し、電池内部に組み込んだ際の短絡電流などを抑制することができる。
前記前記前駆体シートの製造工程(1)の後、または前記前駆体シートの製造工程(1)と後述する交絡処理工程(3)の間に、前駆体シートを200℃未満の温度で加熱加圧成型する工程をさらに行うことが好ましい。前記加熱加圧成形の工程を行うことにより、炭素繊維を耐酸性繊維(B)で融着させ、かつ多孔質電極材の厚みムラを低減させ、さらに、交絡処理によりシート表面に毛羽立った状態となった炭素繊維と耐酸性繊維(B)とのシート表面近傍における毛羽立ちを抑制し、電池内部に組み込んだ際の短絡電流などを抑制することができる。
加熱加圧成型の方法としては、前駆体シートを均等に加熱加圧成型できる技術であれば、いかなる技術も適用できる。例えば、前駆体シートの両面に平滑な剛板を当てて熱プレスする方法、熱ロールプレス装置または連続ベルトプレス装置を用いる方法が挙げられる。連続的に製造された前駆体シートを加熱加圧成型する場合には、熱ロールプレス装置または連続ベルトプレス装置を用いる方法が好ましい。これによって、熱処理を連続で行うことができる。
加熱加圧成型における加熱温度は、前駆体シートの表面を効果的に平滑にするために、200℃未満が好ましく、120〜190℃がより好ましい。加熱加圧成型の時間は、例えば1秒〜10分とすることができる。
成型圧力は特に限定されないが、前駆体シート中における耐酸性繊維(B)の含有比率が多い場合は、成型圧が低くても容易に前駆体シートの表面を平滑にすることができる。このとき必要以上にプレス圧を高くすると、加熱加圧成型時に炭素繊維が破壊されるという問題や、多孔質電極材の組織が緻密になりすぎるという問題等が生じる可能性がある。成型圧力は、20kPa〜10MPa程度が好ましい。
前駆体シートを2枚の剛板に挟んで、または熱ロールプレス装置や連続ベルトプレス装置で加熱加圧成型する時は、剛板やロール、ベルトに耐酸性繊維(B)などが付着しないようにあらかじめ剥離剤を塗っておくことや、前駆体シートと剛板や熱ロール、ベルトとの間に離型紙を挟むことが好ましい。
加熱加圧成型における加熱温度は、前駆体シートの表面を効果的に平滑にするために、200℃未満が好ましく、120〜190℃がより好ましい。加熱加圧成型の時間は、例えば1秒〜10分とすることができる。
成型圧力は特に限定されないが、前駆体シート中における耐酸性繊維(B)の含有比率が多い場合は、成型圧が低くても容易に前駆体シートの表面を平滑にすることができる。このとき必要以上にプレス圧を高くすると、加熱加圧成型時に炭素繊維が破壊されるという問題や、多孔質電極材の組織が緻密になりすぎるという問題等が生じる可能性がある。成型圧力は、20kPa〜10MPa程度が好ましい。
前駆体シートを2枚の剛板に挟んで、または熱ロールプレス装置や連続ベルトプレス装置で加熱加圧成型する時は、剛板やロール、ベルトに耐酸性繊維(B)などが付着しないようにあらかじめ剥離剤を塗っておくことや、前駆体シートと剛板や熱ロール、ベルトとの間に離型紙を挟むことが好ましい。
<交絡処理工程(3)>
前駆体シート中の炭素繊維と、耐酸性繊維(B)とを交絡させる交絡処理は、3次元交絡交構造が形成される方法であれば特に限定はなく、ニードルパンチング法などの機械交絡法、ウォータージェットパンチング法などの高圧液体噴射法、スチームジェットパンチング法などの高圧気体噴射法または、あるいはこれらの組み合わせによる方法で行うことができる。交絡処理工程での炭素繊維の破断を抑制でき、かつ十分な交絡性が得られるという点において、高圧液体噴射法が好ましい。
前駆体シート中の炭素繊維と、耐酸性繊維(B)とを交絡させる交絡処理は、3次元交絡交構造が形成される方法であれば特に限定はなく、ニードルパンチング法などの機械交絡法、ウォータージェットパンチング法などの高圧液体噴射法、スチームジェットパンチング法などの高圧気体噴射法または、あるいはこれらの組み合わせによる方法で行うことができる。交絡処理工程での炭素繊維の破断を抑制でき、かつ十分な交絡性が得られるという点において、高圧液体噴射法が好ましい。
高圧液体噴射処理は実質的に表面平滑な支持部材上に前駆体シートを載せ、0.1MPa以上の圧力で噴射される液体柱状流、液体扇形流または、液体スリット流等を作用させることによって、前駆体シート中の炭素繊維と耐酸性繊維(B)を交絡させる処理である。ここで、実質的に表面平滑な支持部材とは、支持部材の模様が得られる3次元交絡構造体に形成されることなく、かつ噴射された液体が速やかに除かれるようなものであればどのようなものでも用いることができる。その具体例としては、30〜200メッシュの金網またはプラスチックネットあるいはロール等を挙げることができる。
実質的に表面平滑な支持部材上で、炭素繊維と、耐酸性繊維(B)からなる前駆体シートとのシート化を行った後、高圧液体噴射処理などによる前駆体シート中の炭素繊維と耐酸性繊維(B)との交絡処理を行うことにより、3次元交絡構造前駆体シートが連続的製造でき、生産性の観点より好ましい。
高圧液体噴射処理に用いる液体は、処理される繊維を溶解しない溶剤であれば特に制限はないが、通常は水を用いることが好ましい。水は、温水でもよい。高圧液体噴射ノズル中のそれぞれの噴射ノズルの孔径は、柱状流の場合、0.06〜1.0mmが好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましい。ノズル噴射孔と積層体の間の距離は、0.5〜5cm程度の範囲が好ましい。液体の圧力は、0.1MPa以上、好ましくは0.5MPa以上で、交絡処理は、1列でも複数列行ってもよい。複数列行う場合、1列目よりも2列目以降の高圧液体噴射処理での圧力を高めることが有効である。
前駆体シートの高圧液体噴射による交絡処理は、複数回繰り返してもよい。即ち、前駆体シートの高圧液体噴射処理を行った後、さらに新たな前駆体シートを積層一体化した前駆体シートに高圧液体噴射処理を行ってもよいし、できつつある3次元交絡構造前駆体シートを裏返し、反対側から、高圧液体噴射処理を行ってもよい。また、これらの操作を繰り返してもよい。
3次元交絡構造前駆体シートを連続的に製造する場合、1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルをシートの幅方向に振動させことにより、シート化方向にシートの疎密構造の形成に由来する筋状の軌跡パターンを抑制することができる。シート化方向の筋状の軌跡パターンを抑制することにより、シート幅方向の機械的強度を発現することができる。また1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルを複数本使用する場合、高圧液体噴射ノズル本数をシートの幅方向に振動させる振動数、またその位相差を制御することにより3次元交絡構造前駆体シートに現れる周期的に模様を抑制することもできる。
高圧液体噴射処理に用いる液体は、処理される繊維を溶解しない溶剤であれば特に制限はないが、通常は水を用いることが好ましい。水は、温水でもよい。高圧液体噴射ノズル中のそれぞれの噴射ノズルの孔径は、柱状流の場合、0.06〜1.0mmが好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましい。ノズル噴射孔と積層体の間の距離は、0.5〜5cm程度の範囲が好ましい。液体の圧力は、0.1MPa以上、好ましくは0.5MPa以上で、交絡処理は、1列でも複数列行ってもよい。複数列行う場合、1列目よりも2列目以降の高圧液体噴射処理での圧力を高めることが有効である。
前駆体シートの高圧液体噴射による交絡処理は、複数回繰り返してもよい。即ち、前駆体シートの高圧液体噴射処理を行った後、さらに新たな前駆体シートを積層一体化した前駆体シートに高圧液体噴射処理を行ってもよいし、できつつある3次元交絡構造前駆体シートを裏返し、反対側から、高圧液体噴射処理を行ってもよい。また、これらの操作を繰り返してもよい。
3次元交絡構造前駆体シートを連続的に製造する場合、1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルをシートの幅方向に振動させことにより、シート化方向にシートの疎密構造の形成に由来する筋状の軌跡パターンを抑制することができる。シート化方向の筋状の軌跡パターンを抑制することにより、シート幅方向の機械的強度を発現することができる。また1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルを複数本使用する場合、高圧液体噴射ノズル本数をシートの幅方向に振動させる振動数、またその位相差を制御することにより3次元交絡構造前駆体シートに現れる周期的に模様を抑制することもできる。
以下、本発明の実施形態を実施例によりさらに具体的に説明する。実施例中の各物性値等は、以下の方法で測定した。「部」は「質量部」を意味する。
(1)厚み
多孔質電極材の厚みは、厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ((株)ミツトヨ製、商品名:7321)を使用して測定した。測定子の大きさは直径10mmで、測定圧力は1.5kPaとした。
(2)電気伝導性(貫通方向抵抗)
多孔質電極材の厚さ方向の電気伝導性(貫通方向抵抗)は、金メッキした銅板に多孔質電極材を挟み、銅板の上下から0.6MPaで加圧し、10mA/cm2の電流密度で電流を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。
貫通方向抵抗(mΩ・cm2)=測定抵抗値(mΩ)×試料面積(cm2)
(3)多孔質電極材のうねり
多孔質電極材のうねりは、平板上に縦250mm横250mmの多孔質電極材を静置した際の多孔質電極材の高さの最大値と最小値の差より算出した。
(1)厚み
多孔質電極材の厚みは、厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ((株)ミツトヨ製、商品名:7321)を使用して測定した。測定子の大きさは直径10mmで、測定圧力は1.5kPaとした。
(2)電気伝導性(貫通方向抵抗)
多孔質電極材の厚さ方向の電気伝導性(貫通方向抵抗)は、金メッキした銅板に多孔質電極材を挟み、銅板の上下から0.6MPaで加圧し、10mA/cm2の電流密度で電流を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。
貫通方向抵抗(mΩ・cm2)=測定抵抗値(mΩ)×試料面積(cm2)
(3)多孔質電極材のうねり
多孔質電極材のうねりは、平板上に縦250mm横250mmの多孔質電極材を静置した際の多孔質電極材の高さの最大値と最小値の差より算出した。
(実施例1)
炭素繊維(A)として、平均繊維径が11μm、平均繊維長が6mmのピッチ系炭素繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:K223SE)を用意した。また、耐酸性繊維(b)として、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)を用意した。また、叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維として、叩解によってフィブリル化するアクリル系ポリマーとジアセテート(酢酸セルロース)とからなる易割繊性アクリル系海島複合短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:ボンネルM.V.P.−C651、平均繊維長:3mm)を用意した。
炭素繊維(A)として、平均繊維径が11μm、平均繊維長が6mmのピッチ系炭素繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:K223SE)を用意した。また、耐酸性繊維(b)として、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)を用意した。また、叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維として、叩解によってフィブリル化するアクリル系ポリマーとジアセテート(酢酸セルロース)とからなる易割繊性アクリル系海島複合短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:ボンネルM.V.P.−C651、平均繊維長:3mm)を用意した。
前駆体シートの製造および交絡処理による3次元交絡構造前駆体シートは、以下のような湿式連続抄紙法と、連続加圧水流噴射処理による交絡処理法により行った。
*湿式連続抄紙法
(1)炭素繊維(A)の離解
平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるようにポリアクリルアマイドを添加した水中へ分散して、攪拌機にて離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
(2)耐酸性繊維の離解
耐酸性繊維として、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)、を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb−1)とした。
(3)叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の離解
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維として、叩解によってフィブリル化するアクリル系ポリマーとジアセテート(酢酸セルロース)とからなる易割繊性アクリル系海島複合短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:ボンネルM.V.P.−C651、平均繊維長:3mm)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、ディスクリファイナー(熊谷理機工業(株)製)を通して離解処理し、離解スラリー繊維(Sb−2)とした。この叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の濾水度は60mlであった。
(4)フィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維の離解
フィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維(B)として、噴射凝固によって製造した、濾水度が130mlのフィブリルが多数分岐した構造を有するポリアクリロニトリル系パルプを用意した。
上記ポリアクリロニトリル系パルプを、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水
中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb−2)とした。
(1)炭素繊維(A)の離解
平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるようにポリアクリルアマイドを添加した水中へ分散して、攪拌機にて離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
(2)耐酸性繊維の離解
耐酸性繊維として、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)、を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb−1)とした。
(3)叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の離解
叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維として、叩解によってフィブリル化するアクリル系ポリマーとジアセテート(酢酸セルロース)とからなる易割繊性アクリル系海島複合短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:ボンネルM.V.P.−C651、平均繊維長:3mm)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、ディスクリファイナー(熊谷理機工業(株)製)を通して離解処理し、離解スラリー繊維(Sb−2)とした。この叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維の濾水度は60mlであった。
(4)フィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維の離解
フィブリルが多数分岐した構造を有する耐酸性繊維(B)として、噴射凝固によって製造した、濾水度が130mlのフィブリルが多数分岐した構造を有するポリアクリロニトリル系パルプを用意した。
上記ポリアクリロニトリル系パルプを、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水
中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb−2)とした。
(5)抄紙用スラリーの調製
フィブリル状耐酸性繊維として、叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維を用い、炭素繊維(A)と耐酸性繊維とフィブリル状耐酸性繊維とが、質量比70:10:20となるように、かつスラリー中の繊維(以下、フロックと略す)の濃度が1.44g/Lとなるように、離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb−1)、離解スラリー繊維(Sb−2)および希釈水を計量し、スラリー供給タンクに投入し、抄紙用スラリー1を調製した。
フィブリル状耐酸性繊維として、叩解によってフィブリル化する耐酸性繊維を用い、炭素繊維(A)と耐酸性繊維とフィブリル状耐酸性繊維とが、質量比70:10:20となるように、かつスラリー中の繊維(以下、フロックと略す)の濃度が1.44g/Lとなるように、離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb−1)、離解スラリー繊維(Sb−2)および希釈水を計量し、スラリー供給タンクに投入し、抄紙用スラリー1を調製した。
*処理装置
ネット駆動部および幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせて連続的に回転させるネットよりなるシート状物搬送装置、スラリー供給部幅が48cm、供給スラリー量が30L/minである抄紙用スラリー供給装置、ネット下部に配置した減圧脱水装置、と下記に示す加圧水流噴射処理装置からなる。
ウオータージェットノズルとしては、以下の2種類のノズルを3本用いた。
ノズル1:孔径φ0.15mm×501Hole、幅方向孔間ピッチ1mm
(1001hole/幅1m)、1列配置、ノズル有効幅500mm
ノズル2:孔径φ0.15mm×501Hole、幅方向孔間ピッチ1mm
(1001hole/幅1m)、1列配置、ノズル有効幅500mm
ノズル3:孔径φ0.15mm×1002Hole、幅方向孔間ピッチ1.5mm、
3列配置、列間ピッチ5mm、ノズル有効幅500mm
ネット駆動部および幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせて連続的に回転させるネットよりなるシート状物搬送装置、スラリー供給部幅が48cm、供給スラリー量が30L/minである抄紙用スラリー供給装置、ネット下部に配置した減圧脱水装置、と下記に示す加圧水流噴射処理装置からなる。
ウオータージェットノズルとしては、以下の2種類のノズルを3本用いた。
ノズル1:孔径φ0.15mm×501Hole、幅方向孔間ピッチ1mm
(1001hole/幅1m)、1列配置、ノズル有効幅500mm
ノズル2:孔径φ0.15mm×501Hole、幅方向孔間ピッチ1mm
(1001hole/幅1m)、1列配置、ノズル有効幅500mm
ノズル3:孔径φ0.15mm×1002Hole、幅方向孔間ピッチ1.5mm、
3列配置、列間ピッチ5mm、ノズル有効幅500mm
(6)前駆体シートの製造および加圧水流噴射による3次元交絡処理
試験機のネット上に上記抄紙用スラリー1を定量ポンプによりネット上に供給した。抄紙用スラリーは均一な流れに整流するためのフローボックスを通して所定サイズに拡幅して供給した。その後静置、自然脱水する部分を通過して、減圧脱水装置により完全脱水し、目標目付35g/m2の前駆体シートをネット上に積載した。この処理が完了すると同時に、試験機後方のウオータージェットノズルより、加圧水流噴射圧力を1MPa(ノズル1)、圧力1.5MPa(ノズル2)、圧力1.5MPa(ノズル3)の順で通過させて交絡処理を加えた。
交絡処理された前駆体シートを、ピンテンター試験機(辻井染色機製、商品名:PT−2A−400)により150℃×3分で乾燥させることで、目付け35g/m2の3次元交絡構造前駆体シートを得た。得られた3次元交絡構造前駆体シート中で炭素繊維(A1)と耐酸性繊維とフィブリル状耐酸性繊維の分散状態は良好であった。
試験機のネット上に上記抄紙用スラリー1を定量ポンプによりネット上に供給した。抄紙用スラリーは均一な流れに整流するためのフローボックスを通して所定サイズに拡幅して供給した。その後静置、自然脱水する部分を通過して、減圧脱水装置により完全脱水し、目標目付35g/m2の前駆体シートをネット上に積載した。この処理が完了すると同時に、試験機後方のウオータージェットノズルより、加圧水流噴射圧力を1MPa(ノズル1)、圧力1.5MPa(ノズル2)、圧力1.5MPa(ノズル3)の順で通過させて交絡処理を加えた。
交絡処理された前駆体シートを、ピンテンター試験機(辻井染色機製、商品名:PT−2A−400)により150℃×3分で乾燥させることで、目付け35g/m2の3次元交絡構造前駆体シートを得た。得られた3次元交絡構造前駆体シート中で炭素繊維(A1)と耐酸性繊維とフィブリル状耐酸性繊維の分散状態は良好であった。
(7)加熱加圧成型
この3次元交絡構造前駆体シートの両面を、シリコーン系離型剤をコートした紙で挟んだ後、ロールプレス装置にて180℃、3MPaの条件下で連続的に加熱成型して多孔質電極材を得た。
得られた多孔質電極材は、電気伝導性が高く(貫通方向抵抗が小さく)、さらにシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび機械的強度も、それぞれ良好であった。また、耐酸性繊維(B)の含有率は多孔性電極基材の全体質量に対して30質量%であった。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。
この3次元交絡構造前駆体シートの両面を、シリコーン系離型剤をコートした紙で挟んだ後、ロールプレス装置にて180℃、3MPaの条件下で連続的に加熱成型して多孔質電極材を得た。
得られた多孔質電極材は、電気伝導性が高く(貫通方向抵抗が小さく)、さらにシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび機械的強度も、それぞれ良好であった。また、耐酸性繊維(B)の含有率は多孔性電極基材の全体質量に対して30質量%であった。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。
(実施例2〜6)
実施例1に示した離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb−1)、離解スラリー繊維(Sb−2)を用い、炭素繊維(A)と耐酸性繊維とフィブリル状耐酸性繊維の質量比、目付を表1に示す条件としたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られた多孔質電極材は、電気伝導性が高く(貫通方向抵抗が小さく)、さらにシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび機械的強度も、それぞれ良好であった。また、それぞれの耐酸性繊維(B)の含有率を表1〜2に示した。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。
実施例1に示した離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb−1)、離解スラリー繊維(Sb−2)を用い、炭素繊維(A)と耐酸性繊維とフィブリル状耐酸性繊維の質量比、目付を表1に示す条件としたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られた多孔質電極材は、電気伝導性が高く(貫通方向抵抗が小さく)、さらにシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび機械的強度も、それぞれ良好であった。また、それぞれの耐酸性繊維(B)の含有率を表1〜2に示した。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。
(実施例7)
加圧水流噴射による交絡処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られた多孔質電極材は、電気伝導性が高く(貫通方向抵抗が小さく)、さらにシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび機械的強度も、それぞれ良好であった。また、それぞれの耐酸性繊維(B)の含有率を表1に示した。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。
加圧水流噴射による交絡処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られた多孔質電極材は、電気伝導性が高く(貫通方向抵抗が小さく)、さらにシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび機械的強度も、それぞれ良好であった。また、それぞれの耐酸性繊維(B)の含有率を表1に示した。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。
(実施例8)
加圧加熱成型処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られた多孔質電極材は、電気伝導性が高く(貫通方向抵抗が小さく)、さらにシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび機械的強度も、それぞれ良好であった。また、それぞれの耐酸性繊維(B)の含有率を表1に示した。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。
加圧加熱成型処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られた多孔質電極材は、電気伝導性が高く(貫通方向抵抗が小さく)、さらにシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび機械的強度も、それぞれ良好であった。また、それぞれの耐酸性繊維(B)の含有率を表1に示した。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。
(比較例1)
実施例1に示した炭素繊維(A)としてポリアクリロニトリル系炭素繊維(平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られたシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび機械的強度も、それぞれ良好であったが、実施例1と比較し、電気伝導性が低く(貫通方向抵抗が大きく)、レドックスフロー型電池用多孔質電極材として用いた際にセル抵抗の増大による電池性能の低下が起きる。
実施例1に示した炭素繊維(A)としてポリアクリロニトリル系炭素繊維(平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られたシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび機械的強度も、それぞれ良好であったが、実施例1と比較し、電気伝導性が低く(貫通方向抵抗が大きく)、レドックスフロー型電池用多孔質電極材として用いた際にセル抵抗の増大による電池性能の低下が起きる。
(比較例2)
実施例1に示した離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb−1)、離解スラリー繊維(Sb−2)を用い、炭素繊維(A)と耐酸性繊維とフィブリル状耐酸性繊維の質量比を表1に示す条件としたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。また、それぞれの耐酸性繊維(B)の含有率を表1〜2に示した。さらに、得られた多孔質電極材はシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび貫通方向抵抗は、それぞれ良好であったが、実施例1と比較し、シートの機械的強度が小さくハンドリングおよびシート形態の維持が困難となった。
実施例1に示した離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb−1)、離解スラリー繊維(Sb−2)を用い、炭素繊維(A)と耐酸性繊維とフィブリル状耐酸性繊維の質量比を表1に示す条件としたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。また、それぞれの耐酸性繊維(B)の含有率を表1〜2に示した。さらに、得られた多孔質電極材はシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みおよび貫通方向抵抗は、それぞれ良好であったが、実施例1と比較し、シートの機械的強度が小さくハンドリングおよびシート形態の維持が困難となった。
(比較例3)
実施例1に示した離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb−1)、離解スラリー繊維(Sb−2)を用い、炭素繊維(A)と耐酸性繊維とフィブリル状耐酸性繊維の質量比を表1に示す条件としたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。また、それぞれの耐酸性繊維(B)の含有率を表1に示した。さらに、得られた多孔質電極材は、シートの機械的強度が大きく、さらにシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みはそれぞれ良好であったが、実施例1と比較し、貫通方向抵抗が大幅に低下した。
実施例1に示した離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb−1)、離解スラリー繊維(Sb−2)を用い、炭素繊維(A)と耐酸性繊維とフィブリル状耐酸性繊維の質量比を表1に示す条件としたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極材を得た。得られた多孔質電極材の3次元構造体中に分散された炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合されていることが確認できた。また、それぞれの耐酸性繊維(B)の含有率を表1に示した。さらに、得られた多孔質電極材は、シートの機械的強度が大きく、さらにシートのうねりも2mm以下と小さく、厚みはそれぞれ良好であったが、実施例1と比較し、貫通方向抵抗が大幅に低下した。
Claims (6)
- ピッチ系炭素繊維を含む炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)により結着された構造を有するレドックスフロー型電池用多孔質電極材。
- 3次元構造体中に分散されたピッチ系炭素繊維を含む炭素繊維(A)同士が、耐酸性繊維(B)によって接合された3次元交絡構造体からなるレドックスフロー型電池用多孔質電極材。
- ピッチ系炭素繊維を含む炭素繊維(A)と、耐酸性繊維(B)とを、各繊維の繊維方向が平面方向に分散してさせた前駆体シートを製造する工程(1)を有するレドックスフロー型電池用多孔質電極材の製造方法。
- 前記工程(1)の後に、前記前駆体シートを200℃未満の温度で加熱加圧成型する工程(2)を有する請求項3に記載のレドックスフロー型電池用多孔質電極材の製造方法。
- 前記工程(1)の後に、前記前駆体シートを交絡処理して3次元交絡構造を形成する工程(3)を有する請求項3に記載のレドックスフロー型電池用多孔質電極材の製造方法。
- 前記工程(1)の後に、前記前駆体シートを交絡処理して3次元交絡構造を形成する工程(3)を有する請求項4に記載のレドックスフロー型電池用多孔質電極材の製造方法。
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WO2021225105A1 (ja) * | 2020-05-08 | 2021-11-11 | 東洋紡株式会社 | レドックスフロー電池用炭素電極材、及び該炭素電極材を備えたレドックスフロー電池 |
WO2021225106A1 (ja) * | 2020-05-08 | 2021-11-11 | 東洋紡株式会社 | レドックスフロー電池用炭素電極材、及び該炭素電極材を備えたレドックスフロー電池 |
WO2021225107A1 (ja) * | 2020-05-08 | 2021-11-11 | 東洋紡株式会社 | マンガン/チタン系レドックスフロー電池用炭素電極材 |
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2017
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