JP5430513B2 - 多孔質電極基材及びその製造方法 - Google Patents

多孔質電極基材及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池に用いられる多孔質電極基材およびその製造方法に関する。
燃料電池に設置されるガス拡散電極基材は従来、機械的強度を高くするために、炭素短繊維を抄造後、有機高分子で結着させ、これを高温で焼成して有機高分子を炭素化させたペーパー状の炭素/炭素複合体からなる多孔質電極基材であった(特許文献1参照)。
また、低コスト化を目的として、酸化短繊維を抄造後、これを高温で焼成して酸化短繊維を炭素化させた多孔質電極基材が提案されている(特許文献2参照)。
さらには、低コスト化を目的として、炭素短繊維とバインダーからなるシートに、炭素粉とフッ素系樹脂からなるスラリーを塗工することで、炭素化工程を省略した多孔質電極基材が提案されている(特許文献3参照)。
国際公開第2001/056103号パンフレット 国際公開第2002/042534号パンフレット 特表2008−503043号公報
しかし、特許文献1の方法では、製造プロセスが複雑であり、高コストとなる問題があった。また特許文献2の方法では、低コスト化は可能であるものの、焼成時の収縮が大きく、得られる多孔質電極基材の厚みムラが大きいことやシートのうねりが大きいという問題があった。さらに特許文献3の方法では、低コスト化が可能であるが、厚み方向の導電性を高めるには炭素粉とフッ素系樹脂量を多くする必要があり、導電性とガス拡散性の両立が困難であるという問題があった。
本発明は、上記のような問題点を克服し、シート強度が大きく、製造コストが低く、かつ十分なガス透気度および導電性を持った多孔質電極基材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、炭素短繊維と酸化繊維前駆体短繊維および/またはフィブリル状酸化繊維前駆体繊維とを分散させた前駆体シートを製造し、前記前駆体シートを交絡処理して、3次元交絡構造を形成し、前記3次元交絡構造が形成された前駆体シートに、炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸させ、前記前駆体シートを熱処理・加熱加圧成型することにより、シート強度が大きく、製造コストが低く、かつ十分なガス透気度および導電性を持った多孔質電極基材を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4)の工程を含む、多孔質電極基材の製造方法である。
(1)炭素短繊維(A)と、1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)とを分散させた前駆体シートを製造する工程。
(2)前記前駆体シートを交絡処理して交絡構造を形成する工程。
(3)前記交絡構造が形成された前駆体シートに、炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸させる工程。
(4)前記前駆体シートを加熱加圧成型する工程。
また,本発明は,前記工程(4)の後,又は前記工程(3)の後、前記前駆体シートを150℃以上400℃未満の温度で熱処理する工程をさらに有する多孔質電極基材の製造方法である。
本発明によれば、シート強度が大きく、製造コストが低く、かつ十分なガス透気度および導電性を持った多孔質電極基材を得ることができる。また、本発明の多孔質電極基材の製造方法によれば、前記多孔質電極基材を低コストで製造することができる。
本発明に係る多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
1.多孔質電極基材
本発明の多孔質電極基材は、分散された炭素短繊維(A)同士が、酸化繊維(B)によって接合され、さらに前記炭素短繊維(A)と前記酸化繊維(B)とが炭素粉とフッ素系樹脂とにより接合されることにより交絡構造体を形成している。
前記多孔質電極基材は、シート状、渦巻き状等の形状をとることができる。シート状にした場合、多孔質電極基材の目付は15〜100g/m程度が好ましく、空隙率は50〜90%程度が好ましく、厚みは50〜300μm程度が好ましく、うねりは5mm以下が好ましい。多孔質電極基材のガス透気度は100〜30000mL/hr/cm/mmAqであることが好ましい。また、多孔質電極基材の厚さ方向の電気抵抗(貫通方向抵抗)は、50mΩ・cm以下であることが好ましい。なお、多孔質電極基材のガス透気度および貫通方向抵抗の測定方法は、後述する。
<炭素短繊維(A)>
多孔質電極基材を構成する炭素短繊維(A)は、前記基材の厚み方向に交絡している。炭素短繊維(A)としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下「PAN系炭素繊維」という。)、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の炭素繊維を適当な長さに切断したものが挙げられる。多孔質電極基材の機械的強度の観点から、炭素短繊維(A)としては、PAN系炭素繊維が好ましい。
炭素短繊維(A)の平均繊維長は、抄紙する際のスラリー調整におけるスラリーへの分散性の点から、2〜12mm程度であることが好ましい。炭素短繊維(A)の平均繊維径は、炭素短繊維の生産コストおよび前記分散性の面から、3〜9μmであることが好ましく、また多孔質電極基材の平滑性の面から、4〜8μmであることがより好ましい。
多孔質電極基材における炭素短繊維(A)の含有率は、炭素短繊維(A)と酸化繊維(B)の合計に対して、40〜90質量%が好ましい。多孔質電極基材の機械的強度を十分なものに保ち、さらに、十分な貫通方向抵抗とするため、炭素短繊維(A)の含有率は、炭素短繊維(A)と酸化繊維(B)の合計に対して、50〜90質量%がより好ましい。
<酸化繊維(B)>
酸化繊維(B)は、炭素短繊維(A)同士を接合する繊維である。酸化繊維(B)は、炭素短繊維(A)との接合部において屈曲状または湾曲状になっている状態で存在している。酸化繊維(B)と炭素短繊維(A)は、それぞれが繊維構造を形成していても、3次元的な網目構造を形成していても良い。
多孔質電極基材における酸化繊維(B)の含有率は、炭素短繊維(A)と酸化繊維(B)の合計に対して、10〜60質量%が好ましい。多孔質電極基材の機械的強度を十分なものに保ち、さらに、十分な貫通方向抵抗とするため、酸化繊維(B)の含有率は、炭素短繊維(A)と酸化繊維(B)の合計に対して、10〜50質量%がより好ましい。
<炭素粉>
炭素粉としては、導電性の発現およびシート形状維持の点から、カーボンブラック、またはカーボンブラックと黒鉛粉の混合物を用いることが好ましい。
カーボンブラックは、一般に平均粒径が数十ナノメートルの一次粒子が互いに融着してストラクチャーを形成し、さらにストラクチャー同士がファンデアワールス力により結合した構造体(アグロメート)として存在する。黒鉛粉は、高結晶性のグラファイト構造からなり、一次粒子の平均粒径は一般に数マイクロメートル〜数百マイクロメートルである。
カーボンブラックは単位質量当たりの粒子数が黒鉛粉に比べて著しく多く、ある臨界濃度以上でアグロメートが3次元ネットワーク状に連なって巨視的な導電経路を形成する。
従って、炭素粉としては少なくともカーボンブラックを含有することが好ましく、その割合が炭素粉全体に対し70〜100質量%の範囲であることがより好ましく、80〜90質量%の範囲であることが特に好ましい。
カーボンブラックの質量比を70質量%以上とすることで、3次元ネットワーク状の導電経路を形成しやすくする。一方、炭素粉としてカーボンブラックのみを含有する分散液は粘度が高くなる傾向があり、その際、炭素粉の濃度を維持したまま分散液の粘度を下げるために、黒鉛粉を10〜20質量%添加することが特に好ましい。
カーボンブラックの種類としては、フォーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック等を用いることができる。電気伝導性の観点から、アセチレンブラックまたはケッチェンブラックがより好ましく、ケッチェンブラックが特に好ましい。黒鉛粉の種類としては、熱分解黒鉛、球状黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等を用いることができるる。電気伝導性の観点から、熱分解黒鉛または球状黒鉛が好ましい。
多孔質電極基材における炭素粉の含有量は、導電性発現の観点から、炭素短繊維(A)と酸化繊維(B)の合計を100質量部としたとき、50〜150質量部が好ましく、60〜120質量部がより好ましい。
<フッ素系樹脂>
フッ素系樹脂としては、特に限定されないが、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニル、パーフルオロアルキルビニルエーテル、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(PBVE)、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PDD)等のフッ素系モノマーの単独重合物または共重合物を用いることができる。また、これらとエチレンに代表されるオレフィン類との共重合物であるエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等も用いることができる。
これらのフッ素系樹脂の形態としては、溶媒に溶解した状態のものや、粒状の形態で水やアルコールなどの分散媒に分散している状態のものが挙げられる。導電性の発現と炭素短繊維(A)と酸化繊維(B)とを接合した際のバインダー性能を発現できるという点で、分散媒に分散している状態のものが好ましい。
溶液、分散液、あるいは粒状の形態で市販品の調達が容易なものとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等があり、これらを用いることが取り扱い性、製造コストの観点からは好ましい。なお、これらのフッ素系樹脂は、撥水性を有している。
多孔質電極基材におけるフッ素系樹脂の含有量は、導電性の発現と多孔質電極基材の強度の観点から、炭素短繊維(A)と酸化繊維(B)の合計を100質量部としたとき、25〜75質量部が好ましく、30〜60質量部がより好ましい。
<炭素粉、フッ素系樹脂>
炭素粉とフッ素系樹脂の質量比は、2:8〜8:2であることが、導電性の発現とバインダー性能の発現の点から好ましく、4:6〜7:3であることがより好ましい。
また、後述のごとく、炭素短繊維(A)と1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)からなる交絡構造前駆体シートに、炭素粉とフッ素系樹脂を含浸させるため、炭素粉とフッ素系樹脂の含浸性の観点から、炭素粉とフッ素系樹脂とはスラリー状であることが好ましい。
分散溶媒としては、取り扱い性、製造コストの観点から、水、アルコールまたはこれらの混合物を用いることが好ましい。分散液中の炭素粉の濃度は、炭素粉からなる導電経路を形成するために4質量%以上が好ましく、低粘度で含浸性が高い分散液とするために8質量%以下が好ましく、6〜8質量%がより好ましい。分散液中のフッ素系樹脂の濃度は、多孔質電極基材への撥水性付与のために2質量%以上が好ましく、導電性を阻害しないために6質量%以下が好ましく、3〜6質量%がより好ましい。
分散溶媒として水を用いる場合には、炭素粉やフッ素系樹脂を分散させるために、界面活性剤などの分散剤を用いることができる。分散剤としては特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのポリエーテル類や、ナフタレンスルホン酸塩などの芳香族スルホン酸塩類などを用いることができる。
2.多孔質電極基材の製造方法
本発明の多孔質電極基材は、以下の製法により製造することができる。
以下の(1)〜(4)の工程を含む、多孔質電極基材の製造方法。
(1)炭素短繊維(A)と、1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)とを分散させた前駆体シートを製造する工程。
(2)前記前駆体シートを交絡処理して交絡構造を形成する工程。
(3)前記交絡構造が形成された前駆体シートに、炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸させる工程。
(4)前記前駆体シートを加熱加圧成型する工程。
本発明において,第3の工程又は第4の工程の後に熱処理をさらに実施しても良い。熱処理に際しては,150℃以上400℃未満で熱処理を実施する。また,第3の工程の後に乾燥処理を実施しても良い。
<酸化繊維前駆体短繊維(b)>
酸化繊維前駆体短繊維(b)は、長繊維状の酸化繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものである。酸化繊維前駆体短繊維(b)の繊維長は、分散性の点から、2〜20mm程度が好ましい。酸化繊維前駆体短繊維(b)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、酸化繊維前駆体短繊維(b)の直径は、150℃以上400℃未満の温度で熱処理する時の収縮による破断を抑制するため、5μm以下であることがさらに好ましい。
酸化繊維前駆体短繊維(b)として用いられるポリマーとしては、熱処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。熱処理する工程における残存質量が20質量%以上であるポリマーとしては、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。
酸化繊維前駆体短繊維(b)として用いられるアクリル系ポリマーは、アクリロニトリルの単独重合体でもよく、アクリロニトリルとその他のモノマーとを共重合体でもよい。アクリロニトリルと共重合されるモノマーとしては、一般的なアクリル系繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
紡糸性および低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、熱処理時の残存質量が大きい点、さらに、後述する交絡処理を行う際の繊維弾性、繊維強度を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
酸化繊維前駆体短繊維(b)として用いられるアクリロニトリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、5万〜100万が好ましい。重量平均分子量が5万以上であることで、紡糸性が向上すると同時に、繊維の糸質が良好になる傾向にある。重量平均分子量が100万以下であることで、紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が高くなり、生産性が向上する傾向にある。
酸化繊維前駆体短繊維(b)は、1種類を用いてもよく、繊維直径やポリマー種が異なる2種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)を用いてもよい。これらの酸化繊維前駆体短繊維(b)や後述するフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)の種類や炭素短繊維(A)との混合比によって、最終的に得られる多孔質電極基材中に酸化繊維(B)として残る割合が異なるので、目標とする酸化繊維(B)の含有量となるように適宜配合量を調整すればよい。
<フィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)>
フィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)とは、繊維状の幹より直径が数μm以下(例えば0.1〜3μm)のフィブリルが多数分岐した構造を有する酸化繊維前駆体繊維、叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維が例示できる。
これらのフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)を単独又は複数種、組み合わせて使用することにより、前駆体シート中で炭素短繊維(A)とフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)が良く絡み合い、機械的強度の優れた前駆体シートを得ることが容易となる。
フィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)の濾水度は特に限定されないが、一般的に濾水度が高いフィブリル状繊維を用いると前駆体シートの機械的強度が向上するが、多孔質電極基材のガス透気度が低下する傾向にある。
フィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)としては、濾水度、繊維直径またはポリマー種が異なる、フィブリルが多数分岐した構造を有する酸化繊維前駆体繊維を1種類または2種類以上用いることもでき、濾水度、繊維直径またはポリマー種が異なる、叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維を1種類または2種類以上用いることもでき、これらを組み合わせて用いることもできる。
<フィブリルが多数分岐した構造を有する酸化繊維前駆体繊維>
フィブリルが多数分岐した構造を有する酸化繊維前駆体繊維として用いられるポリマーは、熱処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。熱処理する工程における残存質量が20質量%以上であるポリマーとしては、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーを挙げることができる。
フィブリルが多数分岐した構造を有する酸化繊維前駆体繊維に用いられるアクリル系ポリマーは、アクリロニトリルの単独重合体でもよく、アクリロニトリルとその他のモノマーとを共重合体でもよい。アクリロニトリルと共重合されるモノマーとしては、一般的なアクリル系繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。中でも、紡糸性および低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、熱処理時の残存質量が大きい点、さらに、炭素短繊維(A)との交絡、シート強度を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
フィブリルが多数分岐した構造を有する酸化繊維前駆体繊維の製造方法は、特に限定されないが、濾水度のコントロールが容易な噴射凝固法を用いることが好ましい。
<叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維>
叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維は、適当な長さにカットした長繊維状の易割繊性海島複合繊維であり、リファイナーやパルパーなどによって叩解しフィブリル化するものである。叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維は、共通の溶剤に溶解し、かつ非相溶性である2種類以上の異種ポリマーを用いて製造される。その少なくとも1種類のポリマーは、熱処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。
易割繊性海島複合繊維に用いられるポリマーのうち、熱処理する工程における残存質量が20質量%以上であるものとしては、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。
易割繊性海島複合繊維に用いられるアクリル系ポリマーは、アクリロニトリルの単独重合体でもよく、アクリロニトリルとその他のモノマーとを共重合体でもよい。アクリロニトリルと共重合されるモノマーとしては、一般的なアクリル系繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。中でも、紡糸性および熱処理工程における残存質量の観点から、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
易割繊性海島複合繊維に用いられるアクリロニトリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、5万〜100万が好ましい。重量平均分子量が5万以上であることで、紡糸性が向上すると同時に、繊維の糸質が良好になる傾向にある。重量平均分子量が100万以下であることで、紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が高くなり、生産性が向上する傾向にある。
易割繊性海島複合繊維に用いられるポリマーのうち、熱処理する工程における残存質量が20質量%以上であるものとして、上述するアクリル系ポリマーを用いた場合、他のポリマーとしては、そのアクリロニトリル系ポリマーと共通の溶剤に溶解し、紡糸原液とした場合に安定に存在することが必要である。すなわち、紡糸原液においては、2種のポリマーの非相溶性の度合いが大きい場合、繊維が不均質となるとともに、紡糸時における糸切れの原因となるため、繊維への賦形はできない場合がある。したがって、他のポリマーは、アクリロニトリル系ポリマーと共通の溶剤に溶解した場合に、アクリロニトリル系ポリマーに対して非相溶であるが、紡糸の際に海島構造を形成できる程度の混和性が必要である。また、湿式紡糸する場合、凝固槽、および洗浄槽において他のポリマーが水に溶解すると、脱落が起こり製造上問題であるため、他のポリマーは水に難溶性であることが必要である。
これらの要求を満足する他のポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられるが、酢酸セルロース、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂は、前述要件のバランスの点で、好ましく用いることができる。他のポリマーは、1種でもよく、2種以上でもよい。
叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維として用いる易割繊性海島複合繊維は、通常の湿式紡糸法で製造することができる。炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であるものとしてアクリロニトリル系ポリマーを用いた場合、他のポリマーとを混合した後、溶剤に溶解して、易割繊性海島複合繊維の紡糸原液とする。または、アクリロニトリル系ポリマーを溶剤に溶解して得られる紡糸原液と、他のポリマーを溶剤に溶解して得られる紡糸原液とを、スタティックミキサー等で混合し、易割繊性海島複合繊維の紡糸原液としてもよい。溶剤としては、ジメチルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシドなどの有機溶剤を用いることができる。これらの紡糸原液を、ノズルより紡糸し、湿熱延伸、洗浄、乾燥および乾熱延伸を施こすことで、易割繊性海島複合繊維を得ることができる。
叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維の断面形状は、特に限定されない。分散性、熱処理時の収縮による破断を抑制するため、叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維の繊度は、1〜10dtexであることが好ましい。
叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維の平均繊維長は、分散性の観点から、1〜20mmが好ましい。
叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維は、機械的外力により相分離界面の剥離により叩解して、その少なくとも一部分が割繊し、フィブリル化する。叩解方法は、特に限定されないが、例えば、リファイナーやパルパー、ビーター、または加圧水流の噴射(ウォータージェットパンチング)によりフィブリル化する方法が挙げられる。
叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維を機械的外力により相分離界面の剥離により叩解する際の、叩解方法、叩解時間に依存して、フィブリル化の状態は変化する。フィブリル化の度合いを評価する方法として、濾水度評価(JIS P8121(パルプ濾水度試験法:カナダ標準型))を用いることができる。叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維の濾水度は特に限定されないが、濾水度が小さくなるにつれ、3次元的な網目構造を形成した酸化繊維(B)が形成されやすくなり、十分な叩解を実施せず、濾水度が大きいままの叩解によってフィブリル化する酸化繊維前駆体短繊維を用いた場合は、繊維構造を形成した酸化繊維(B)が形成されやすくなる。
<前駆体シート製造工程>
前駆体シートを製造するにあたっては、液体の媒体中に、炭素短繊維(A)と、1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)とを分散させて抄造する湿式法;空気中に、炭素短繊維(A)と、1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)を分散させて降り積もらせる乾式法;などの抄紙方法を適用できる。炭素短繊維(A)が単繊維に開繊するのを助け、開繊した単繊維が再収束することを防止し、さらに炭素短繊維(A)と1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)とを絡み合うことでシート強度が向上し、実質的にバインダーフリーとするためにも、1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)を使用し、湿式抄紙することが好ましい。
炭素短繊維(A)と、1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)とを分散させる媒体としては、例えば、水、アルコールなど、1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)が溶解しない媒体が挙げられるが、生産性の観点から、水が好ましい。
前駆体シートは、連続法とバッチ法のいずれによっても製造できるが、前駆体シートの生産性および機械的強度の観点から、連続法で製造することが好ましい。前駆体シートの目付けは、10〜200g/m程度であることが好ましい。また、前駆体シートの厚みは、20〜400μm程度であることが好ましい。
<交絡処理工程>
前駆体シート中の炭素短繊維(A)と、前駆体シート中の1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)とを交絡させる交絡処理は、3次元交絡交構造が形成される方法であれば特に限定はなく、ニードルパンチング法などの機械交絡法、ウォータージェットパンチング法などの高圧液体噴射法、スチームジェットパンチング法などの高圧気体噴射法、あるいはこれらの組み合わせによる方法で行うことができる。交絡処理工程での炭素短繊維(A)の破断を抑制でき、かつ十分な交絡性が得られるという点において、高圧液体噴射法が好ましい。
高圧液体噴射処理は実質的に表面平滑な支持部材上に前駆体シートを載せ、1MPa以上の圧力で噴射される液体柱状流、液体扇形流、液体スリット流等を作用させることによって、前駆体シート中の炭素短繊維(A)と、1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上とのフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)を交絡させる処理である。ここで、実質的に表面平滑な支持部材とは、支持部材の模様が得られる3次元交絡構造体に形成されることなく、かつ噴射された液体が速やかに除かれるようなものであればどのようなものでも用いることができる。その具体例としては、30〜200メッシュの金網またはプラスチックネットあるいはロール等を挙げることができる。
実質的に表面平滑な支持部材上で、炭素短繊維(A)と、1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)からなる前駆体シートとのシート化を行った後、高圧液体噴射処理などによる前駆体シート中の炭素短繊維(A)と、1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)との交絡処理を行うことにより、3次元交絡構造前駆体シートが連続的製造でき、生産性の観点より好ましい。
高圧液体噴射処理に用いる液体は、処理される繊維を溶解しない溶剤であれば特に制限はないが、通常は水を用いることが好ましい。水は、温水でもよい。高圧液体噴射ノズル中のそれぞれの噴射ノズルの孔径は、柱状流の場合、0.06〜1.0mmが好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましい。ノズル噴射孔と積層体の間の距離は、0.5〜5cm程度の範囲が好ましい。液体の圧力は、1MPa以上、好ましくは1.5MPa以上で、交絡処理は、1列でも複数列行ってもよい。複数列行う場合、1列目よりも2列目以降の高圧液体噴射処理での圧力を高めることが有効である。
前駆体シートの高圧液体噴射による交絡処理は、複数回繰り返してもよい。即ち、前駆体シートの高圧液体噴射処理を行った後、さらに前駆体シートを積層し、高圧液体噴射処理を行ってもよいし、できつつある3次元交絡構造前駆体シートを裏返し、反対側から、高圧液体噴射処理を行ってもよい。また、これらの操作を繰り返してもよい。
3次元交絡構造前駆体シートを連続的に製造する場合、1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルをシートの幅方向に振動させことにより、シート化方向にシートの疎密構造の形成に由来する筋状の軌跡パターンを抑制することができる。シート化方向の筋状の軌跡パターンを抑制することにより、シート幅方向の機械的強度を発現することができる。また1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルを複数本使用する場合、高圧液体噴射ノズル本数をシートの幅方向に振動させる振動数、またその位相差を制御することにより3次元交絡構造前駆体シートに現れる周期的に模様を抑制することもできる。
<含浸工程>
前記前駆体シートに、炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸する方法としては、3次元交絡構造前駆体シートに、炭素粉とフッ素系樹脂とを付与することができる方法であれば特に限定されないが、コーターを用いて3次元交絡構造前駆体シート表面に炭素粉とフッ素系樹脂とを均一にコートする方法、絞り装置を用いるdip−nip方法などを用いることができる。
後述の加熱加圧成型工程の前に含浸を行うことで、シートを構成する繊維間に炭素粉とフッ素系樹脂が容易に浸透するため、加熱加圧成型工程の後に含浸する場合に比べ、炭素粉とフッ素系樹脂の含浸量を多くすることができる。含浸回数は特に限定されないが、含浸回数を少なくするほうが製造コスト低減するという観点で好ましい。含浸回数を複数回とする場合、含浸する炭素粉とフッ素系樹脂のスラリーは同一のものを用いても、スラリー濃度や炭素粉とフッ素系樹脂の種類や混合比が異なるスラリーを用いても良い。
また、3次元交絡構造前駆体シートの厚さ方向の炭素粉とフッ素系樹脂の含浸量は均一であっても、濃度勾配があっても良い。
<乾燥処理工程>
ここで、炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸した前駆体シートから分散溶媒を除去するために、炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸した前駆体シートを70℃以上150℃未満の温度で乾燥処理することが好ましい。乾燥処理の時間は、例えば1分間〜1時間とすることができる。
乾燥処理の方法としては、特に限定されないが、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による熱処理や、熱板や熱ロールなどによる直接加熱処理などが適用できる。加熱源への炭素粉とフッ素系樹脂との付着を抑制できる点で高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による乾燥処理が好ましい。連続的に製造された3次元交絡構造前駆体シートを乾燥処理する場合は、製造コスト低減化の観点から、前駆体シートの全長にわたって連続で乾燥処理を行うことが好ましい。これによって、熱処理を連続で行うことができる。
<熱処理工程>
1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)による、炭素短繊維(A)および炭素粉の融着を良好に行い、かつ、バインダー成分のフッ素系樹脂を焼結し、炭素短繊維(A)と酸化繊維(B)および炭素粉との接合を良好に行うという観点から、炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸した前駆体シートを、150℃以上400℃未満の温度で熱処理することが好ましい。熱処理の温度は、フッ素系樹脂を軟化・溶融させるために200℃以上が好ましく、フッ素系樹脂の熱分解を抑制するために400℃未満の温度が好ましく、300〜370℃の温度がより好ましい。
熱処理の方法としては、特に限定されないが、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉により熱処理する方法や、熱板や熱ロールなどによる直接加熱処理の方法などが適用できる。熱処理の時間は、例えば1分間〜2時間とすることができる。
連続的に製造された3次元交絡構造前駆体シートを熱処理する場合は、製造コスト低減化の観点から、前駆体シートの全長にわたって連続で熱処理を行うことが好ましい。多孔質電極基材が長尺であれば、多孔質電極基材の生産性が高くなり、かつその後のMEA製造も連続で行うことができるので、燃料電池の製造コストを低減できる。また、多孔質電極基材や燃料電池の生産性および製造コスト低減化の観点から、製造された多孔質電極基材を連続的に巻き取ることが好ましい。
<加熱加圧成型工程>
炭素短繊維(A)および炭素粉を1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)で融着させ、かつ多孔質電極基材の厚みムラを低減させ、さらに、交絡処理によりシート表面に毛羽立った状態となった炭素短繊維(A)と1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)とのシート表面近傍における毛羽立ちを抑制し、燃料電池として組み込んだ際の短絡電流やガスリークを抑制するという観点から、炭素粉とフッ素系樹脂を含浸した後に、前駆体シートを200℃未満の温度で加熱加圧成型することが好ましい。
加熱加圧成型の方法としては、前駆体シートを均等に加熱加圧成型できる技術であれば、いかなる技術も適用できる。例えば、前駆体シートの両面に平滑な剛板を当てて熱プレスする方法、熱ロールプレス装置または連続ベルトプレス装置を用いる方法が挙げられる。連続的に製造された前駆体シートを加熱加圧成型する場合には、熱ロールプレス装置または連続ベルトプレス装置を用いる方法が好ましい。これによって、熱処理を連続で行うことができる。
加熱加圧成型における加熱温度は、前駆体シートの表面を効果的に平滑にするために、200℃未満が好ましく、120〜190℃がより好ましい。加熱加圧成型の時間は、例えば30秒〜10分とすることができる。
成型圧力は特に限定されないが、前駆体シート中における1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)の含有比率が多い場合は、成型圧が低くても容易に前駆体シートの表面を平滑にすることができる。このとき必要以上にプレス圧を高くすると、加熱加圧成型時に炭素短繊維(A)が破壊されるという問題や、多孔質電極基材の組織が緻密になりすぎるという問題等が生じる可能性がある。成型圧力は、20kPa〜10MPa程度が好ましい。
前駆体シートを2枚の剛板に挟んで、または熱ロールプレス装置や連続ベルトプレス装置で加熱加圧成型する時は、剛板やロール、ベルトに1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)、さらに炭素粉やフッ素系樹脂などが付着しないようにあらかじめ剥離剤を塗っておくことや、前駆体シートと剛板や熱ロール、ベルトとの間に離型紙を挟むことが好ましい。
3.膜−電極接合体(MEA)、固体高分子型燃料電池
本発明の多孔質電極基材は、膜−電極接合体に好適に用いることができる。また本発明の多孔質電極基材を用いた膜−電極接合体は、固体高分子型燃料電池に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。実施例中の各物性値等は、以下の方法で測定した。「部」は「質量部」を意味する。
(1)ガス透気度
JIS規格P−8117に準拠し、ガーレーデンソメーターを使用して200mLの空気が透過するのにかかった時間を測定し、ガス透気度(mL/hr/cm/mmAq)を算出した。
(2)厚み
多孔質電極基材の厚みは、厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ((株)ミツトヨ製、商品名:7321)を使用して測定した。測定子の大きさは直径10mmで、測定圧力は1.5kPaとした。
(3)貫通方向抵抗
多孔質電極基材の厚さ方向の電気抵抗(貫通方向抵抗)は、金メッキした銅板に多孔質電極基材を挟み、銅板の上下から0.6MPaで加圧し、10mA/cmの電流密度で電流を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。
貫通方向抵抗(mΩ・cm)=測定抵抗値(mΩ)×試料面積(cm
(4)貫通方向比抵抗
多孔質電極基材の厚さ方向の電気比抵抗(貫通方向比抵抗)は、前記貫通方向抵抗と0.6MPaでの厚みの値を用いて、次式より求めた。
貫通方向比抵抗(Ω・cm)=貫通方向抵抗(mΩ・cm)/0.6MPaでの厚み(μm)×10
(5)酸化繊維(B)の平均径
酸化繊維(B)の平均径は、多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡写真から任意の50箇所における酸化繊維(B)の直径を測定し、その平均値を算出した。
(6)酸化繊維(B)の含有率
酸化繊維(B)の含有率は、炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸させずに作製した多孔質電極基材の目付と、使用した炭素短繊維(A)の目付から、次式より算出した。
酸化繊維(B)の含有率(%)=(W2−W1)÷W2×100
なお、上記式において、W2は、炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸させずに作製した多孔質電極基材の目付(g/m)であり、W1は、炭素短繊維(A)の目付(g/m)である。
(7)炭素粉とフッ素系樹脂の含有量
炭素粉とフッ素系樹脂の含有量は、炭素短繊維(A)と酸化繊維(B)の合計を100質量部として、多孔質電極基材の目付と、炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸させずに作製した多孔質電極基材の目付から、次式より算出した。
炭素粉とフッ素系樹脂の含有量(質量部)=(W3−W2)÷W2×100
なお、上記式において、W3は多孔質電極基材の目付(g/m)であり、W2は炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸させずに作製した多孔質電極基材の目付(g/m)である。
(8)多孔質電極基材のうねり
多孔質電極基材のうねりは、平板上に縦250mm横250mmの多孔質電極基材を静置した際の、多孔質電極基材の高さの最大値と最小値の差より算出した。
(実施例1)
炭素短繊維(A)として、平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維を用意した。また、酸化繊維前駆体短繊維(b)として、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)を用意した。また、フィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)として、叩解によってフィブリル化するアクリル系ポリマーとジアセテート(酢酸セルロース)とからなる易割繊性アクリル系海島複合短繊維(b’)(三菱レイヨン(株)製、商品名:ボンネルM.V.P.−C651、平均繊維長:3mm)を用意した。
前駆体シートの製造および交絡処理による交絡構造前駆体シートの製造は、以下のような湿式連続抄紙法と、連続加圧水流噴射処理による交絡処理法により行った。
<湿式連続抄紙法>
(1)炭素短繊維(A)の離解
平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ディスクリファイナー(熊谷理機製)を通して離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
(2)酸化繊維前駆体短繊維(b)の離解
酸化繊維前駆体短繊維(b)として、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)、を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb)とした。
(3)フィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)の離解
フィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)として、叩解によってフィブリル化するアクリル系ポリマーとジアセテート(酢酸セルロース)とからなる易割繊性アクリル系海島複合短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:ボンネルM.V.P.−C651、平均繊維長:3mm)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb’)とした。
(4)抄紙用スラリーの調製
炭素短繊維(A)と酸化繊維前駆体短繊維(b)とフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)とが質量比70:10:20となるように、かつスラリー中の繊維(以下、フロックと略す)の濃度が1.40g/Lとなるように、離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb)、離解スラリー繊維(Sb’)および希釈水を計量し、スラリー供給タンクに投入した。さらに、ポリアクリルアマイドを添加して粘度22センチポイズの抄紙用スラリーを調製した。
(5)前駆体シートの製造および加圧水流噴射による3次元交絡処理
〔交絡処理装置〕
以下の構成からなる交絡処理装置を使用した。前記装置は,ネット駆動部および幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせ,連続的に回転可能なネットよりなるシート状物搬送部、抄紙用スラリー供給部(スラリー供給部の開口幅が48cm、供給スラリー量が30L/min)、ネット下部に配置した減圧脱水部、及び加圧水流噴射処理部からなる。加圧水流噴射処理部は,2種類のウォータージェットノズルから構成されており,ウォータージェットノズルとしては、以下の2種類のノズルを3本用いた。
・ノズル1:
孔径φ0.10mm×501Hole、幅方向孔間ピッチ1mm(1001hole/幅1m)、1列配置、ノズル有効幅500mm
・ノズル2:
孔径φ0.10mm×501Hole、幅方向孔間ピッチ1mm(1001hole/幅1m)、1列配置、ノズル有効幅500mm
・ノズル3:
孔径φ0.15mm×1002Hole、幅方向孔間ピッチ1.5mm、3列配置、列間ピッチ5mm、ノズル有効幅500mm
〔交絡処理方法〕
試験機のネット上に上記抄紙用スラリーを定量ポンプによりネット上に供給した。抄紙用スラリーは均一な流れに整流するためのフローボックスを通して所定サイズに拡幅して供給した。その後静置、自然脱水する部分を通過して、減圧脱水装置により完全脱水し、目標目付50g/mの湿紙ウエッブをネット上に積載した。この処理が完了すると同時に、試験機後方のウォータージェットノズルより、加圧水流噴射圧力を1MPa(ノズル1)、圧力2MPa(ノズル2)、圧力1MPa(ノズル3)の順で通過させて交絡処理を加えた。
交絡処理されたシート状物を、ピンテンター試験機(辻井染色機製、商品名:PT−2A−400)により150℃×3分で乾燥させることで、目付48g/mの3次元交絡構造前駆体シートを得た。得られた3次元交絡構造前駆体シート中での酸化繊維前駆体短繊維(b)およびフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)の分散状態は良好であった。
(6)含浸および乾燥処理
次に、炭素粉としてケッチェンブラック(ライオン(株)製)と熱分解黒鉛(商品名:PC−H、伊藤黒鉛工業(株)製)、フッ素系樹脂としてポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名:FluonPTFEルブリカントL172J、旭硝子(株)製)、分散剤としてポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルを用意した。
炭素粉とフッ素系樹脂との混合物を以下のように調製し、含浸を行った。ケッチェンブラック、熱分解黒鉛、フッ素系樹脂および分散剤が、それぞれ6.4質量%、1.6質量%、4.0質量%および6.4質量%となるように調製した水分散液を、ホモジナイザーで1時間攪拌することで、炭素粉とフッ素系樹脂との混合物の分散液を調製した。
この分散水溶液中に加圧加熱成型した3次元交絡構造前駆体シートを浸漬した後、ニップ装置にて余分の分散水溶液を取り除いた。その後、炭素粉とフッ素系樹脂との混合物を含浸した3次元交絡構造前駆体シートを100℃のバッチ乾燥機で20分乾燥させた。
(7)加熱加圧成型
この3次元交絡構造前駆体シートの両面を、シリコーン系離型剤をコートした紙で挟んだ後、バッチプレス装置にて180℃、3MPaの条件下で3分間加圧加熱成型した。
(8)熱処理
その後、バッチ雰囲気炉にて、大気中、360℃の条件下で1時間熱処理して多孔質電極基材を得た。
得られた多孔質電極基材の表面の走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。
(実施例2)
フィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)として、繊維状の幹より直径が3μm以下のフィブリルが多数分岐した、噴射凝固によって作製したポリアクリロニトリル系パルプ(b’)を用い、炭素短繊維(A)と酸化繊維前駆体短繊維(b)とフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)とが、質量比80:10:10となるようにして抄紙用スラリーを調製し、さらに加圧水流噴射圧力を3MPa(ノズル1)、圧力4MPa(ノズル2)、圧力3MPa(ノズル3)となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
(実施例3)
炭素短繊維(A)と酸化繊維前駆体短繊維(b)とフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)とが、質量比70:10:20となるようにして抄紙用スラリーを調製したこと以外は、実施例2と同様にして多孔質電極基材を得た。
(実施例4)
3次元交絡構造前駆体シートに炭素粉とフッ素系樹脂との混合物の分散液を含浸した後、熱処理をしてから加熱加圧成型をしたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
(実施例5)
3次元交絡構造前駆体シートに炭素粉とフッ素系樹脂との混合物の分散液を含浸した後、熱処理をしてから加熱加圧成型をしたこと以外は、実施例2と同様にして多孔質電極基材を得た。
(実施例6)
3次元交絡構造前駆体シートに炭素粉とフッ素系樹脂との混合物の分散液を含浸した後、熱処理をしてから加熱加圧成型をしたこと以外は、実施例3と同様にして多孔質電極基材を得た。
(比較例1)
3次元交絡構造前駆体シートを加熱加圧成型した後、炭素粉とフッ素系樹脂との混合物の分散液を含浸して、次いで熱処理をしたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質電極基材を得た。
(比較例2)
3次元交絡構造前駆体シートを加熱加圧成型した後、炭素粉とフッ素系樹脂との混合物の分散液を含浸して、次いで熱処理をしたこと以外は、実施例2と同様にして多孔質電極基材を得た。
(比較例3)
3次元交絡構造前駆体シートを加熱加圧成型した後、炭素粉とフッ素系樹脂との混合物の分散液を含浸して、次いで熱処理をしたこと以外は、実施例3と同様にして多孔質電極基材を得た。
以上の多孔質電極基材の組成および評価結果を表1に示す。実施例の多孔質電極基材は、比較例に比べて炭素粉とフッ素系樹脂の含有量が多く、貫通方向比抵抗が低い。これは、加熱加圧成型工程の前に含浸を行うことで、酸化繊維よりも導電性の高い炭素粉が、シートを構成する繊維間に十分に浸透したためと考えられる。すなわち、炭素繊維と酸化繊維からなる導電経路に加えて、炭素短繊維と炭素粉からなる導電経路が多数構築されたことにより、導電性にすぐれた多孔質電極基材となっている。また、熱処理時における面内の収縮がなく、シートのうねりも2mm以下と小さく、ガス透気度、厚みもそれぞれ良好であった。これらの多孔質電極基材に面圧1.5MPaの圧縮荷重を印加しても、シート形態を保つことができた。
(実施例7)
(1)膜−電極接合体(MEA)の製造
実施例1で得られた多孔質電極基材2組を、カソード用およびアノード用の多孔質電極基材として用意した。また、パーフルオロスルホン酸系の高分子電解質膜(膜厚:30μm)の両面に触媒担持カーボン(触媒:Pt、触媒担持量:50質量%)からなる触媒層(触媒層面積:25cm、Pt付着量:0.3mg/cm)を形成した積層体を用意した。この積層体を、カソード用およびアノード用の多孔質炭素電極基材で挟持し、これらを接合して、MEAを得た。
(2)MEAの燃料電池特性評価
得られたMEAを、蛇腹状のガス流路を有する2枚のカーボンセパレーターによって挟み、固体高分子型燃料電池(単セル)を形成した。
この単セルの電流密度−電圧特性を測定することによって、燃料電池特性評価を行った。燃料ガスとしては水素ガスを用い、酸化ガスとしては空気を用いた。単セルの温度を80℃、燃料ガス利用率を60%、酸化ガス利用率を40%とした。また、燃料ガスと酸化ガスへの加湿は80℃のバブラーにそれぞれ燃料ガスと酸化ガスを通すことによって行った。その結果、電流密度が0.8A/cmのときの燃料電池セルのセル電圧が0.536V、セルの内部抵抗が7.0mΩであり、良好な特性を示した。

Claims (6)

  1. 以下の(1)〜(4)の工程を含む、多孔質電極基材の製造方法。
    (1)炭素短繊維(A)と、1種類以上の酸化繊維前駆体短繊維(b)および/または1種類以上のフィブリル状酸化繊維前駆体繊維(b’)とを分散させた前駆体シートを製造する工程。
    (2)前記前駆体シートを交絡処理して交絡構造を形成する工程。
    (3)前記交絡構造が形成された前駆体シートに、炭素粉とフッ素系樹脂とを含浸させる工程。
    (4)前記前駆体シートを加熱加圧成型する工程。
  2. 前記工程(4)の後、前記前駆体シートを熱処理する工程をさらに有する、請求項1に記載の多孔質電極基材の製造方法。
  3. 前記工程(3)の後、前記前駆体シートを熱処理する工程をさらに有する、請求項1に記載の多孔質電極基材の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質電極基材の製造方法で製造される、多孔質電極基材。
  5. 請求項4に記載の多孔質電極基材を用いた膜−電極接合体。
  6. 請求項5に記載の膜−電極接合体を用いた固体高分子型燃料電池。
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