JP4567588B2 - ガス拡散部材の製造方法、ガス拡散素材の製造方法、ガス拡散素材 - Google Patents

ガス拡散部材の製造方法、ガス拡散素材の製造方法、ガス拡散素材 Download PDF

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Description

本発明はガス拡散部材の製造方法、ガス拡散部材の中間製品であるガス拡散素材の製造方法、ガス拡散素材に関する。本発明は例えば固体高分子電解質型の燃料電池のガス拡散部材の製造方法に適用できる。
固体高分子電解質型の燃料電池のガス拡散部材の製造方法を例にとって説明する。この種のガス拡散部材として、カーボンペーパやカーボンクロスなどのカーボン繊維を基材としてシート状に形成したものが広く使用されている。
特許文献1には、カ一ボン繊維及びパルプ材を主要成分とする液状物を形成し、液状物に含まれている固形分を堆積させることによりシートを成形し、その後、撥水性を有する高分子材料(PTFE等)をシートの内部に含浸させ、その後、シートを加熱保持することにより、シートに含有されているパルプ材を焼失させてパルプ跡を細孔とし、これにより多孔質のカーボンシートを形成する方法が開示されている。
このカーボンシートは、撥水性を有する高分子材料(PTFE等)により、カーボン繊維を結合するため、カーボン繊維の結合に柔軟性を有する。従ってこのカーボンシートは、ロール状に巻き取れる柔軟性を有する利点をもち、このためロール成形性を有し、生産性に優れている。
また、特許文献2には、導電粉末50〜90質量%と、カーボン繊維5〜50質量%と、パルプ材等の有機繊維3〜40質量%と、樹脂5〜40質量%とを合計で100質量%となるように配合した固形分を含むスラリーを抄紙してシートを形成し、そのシートを加熱乾燥させるガス拡散電極の製造方法が開示されている。特許文献2では、パルプ材等の有機繊維と共に樹脂が使用されている。樹脂としては、特許文献2の実施例では、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂およびポリエステル樹脂が採用されている。この樹脂は、シートの内部に残留してシートのハンドリング性を高め、シートのハンドリング時における損傷を防止するものである。
特開2000−136493号公報 特開2004−79406号公報
上記した技術によれば、ガス拡散部材の導電性を高めるためには、導電性をもつカーボン繊維の配合割合を増加させることが好ましい。しかしながらカーボン繊維の配合割合を増加させると、抄紙が困難となる。更に、製造過程におけるシートの引張強度も低下する。従って、製造過程においてシートに引張力が作用するとき、シートが損傷するおそれがある。特に、製造過程において、シートがロールに巻き取られたり、ロールで搬送されたりする場合には、大きな引張力がシートに作用するため、シートが損傷するおそれがある。
そこでシートの原料にはカーボン繊維の他にパルプ材が配合されている。しかし、パルプ材は天然木材を原料とするものであり、人工的な合成処理はあまりされておらず、季節、地域差などを考慮すると、品質にはかなりバラツキがあり、ガス拡散部材の信頼性を更に高くするには限界がある。更に、パルプ材は天然木材を原料とし、場合によっては、ナトリウムやカリウム等の種々の元素を含むことがあり、燃料電池等の機器のガス拡散部材として使用するには限界がある。
前記した特許文献2では、パルプ材等の有機繊維と共に樹脂がシートの内部に含有されているが、この樹脂は加熱によりシートの材料同士を結着させるものであり、シートの内部に残留してシートのハンドリング性を向上させることを目的とするものである。従って、シートの製造後においても、樹脂はシートの内部に残留するものである。このように樹脂が焼失せずにシートの内部に残留している場合には、ガス流路となる空孔が増加されず、シートのガス透過性を高めるには限界がある。従ってガス拡散部材としての性能の向上には限界がある。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、引張力がシートに作用するときであっても、シートの損傷を抑制するのに有利であり、しかも、品質のバラツキが多いパルプ材の配合量を低減させて信頼性を更に向上させるのに有利で、更に、ガス透過性を高めるのに有利なガス拡散部材の製造方法を提供することを課題とする。
(1)様相1に係るガス拡散部材の製造方法は、導電性を有する導電物質と、天然物を原料とし加熱処理により焼失する焼失材とを主要成分とする液状物を準備する液状物準備工程と、
液状物に対して抄紙処理を行うことにより、液状物の液分と固形分とを分離して固形分を集積させることにより、導電物質および焼失材を主要成分とするシートを形成する抄紙工程と、抄紙されたシートを加熱処理することにより、シートに含まれている焼失材を焼失させてシートの内部に細孔を増加させることにより、ガス拡散性を有するガス拡散部材を形成する細孔形成工程とを順に実施するガス拡散部材の製造方法において、
液状物準備工程における液状物は、人工合成された樹脂繊維であって、加熱処理によりシートから焼失する樹脂繊維をさらに含み、樹脂繊維は、抄紙されたシートに含有されてシートを補強すると共に、細孔形成工程における加熱処理によりシートから焼失することを特徴とする。
液状物は、導電性を有する導電物質と、天然物を原料とし加熱処理により焼失する焼失材と、細孔形成工程における加熱処理により焼失する人工合成された樹脂繊維とを含む。このため液状物に含まれている固形分を集積させたシートは、加熱処理前において、導電物質と天然物を原料とする焼失材と人工合成された樹脂繊維とを主要成分とする。
このようにシートは人工合成された樹脂繊維をさらに含むため、シートは補強される。故に、製造過程においてシートに力が作用するときであっても、シートの損傷は抑えられる。殊に、製造過程においてシートに引張力が作用するときであっても、シートの強度は向上し、シートの耐引張性が向上し、シートは損傷しにくくなり、シートの信頼性が向上する。加熱処理により焼失する焼失材としては、抄紙工程ではカーボン繊維等の導電物質を捕獲できる捕獲性の高く、細孔形成工程では加熱処理により焼失し易いものが好ましい。このような天然物を原料とする焼失材としてはパルプ材が挙げられる。
更に細孔形成工程では、抄紙されたシートを加熱処理することにより、シートに含まれている天然物を原料とする焼失材および人工合成された樹脂繊維の双方を焼失させてシートの内部に細孔を増加させる。これにより、ガス拡散性を有するガス拡散部材を形成する。従って焼失材は空孔を形成し、ガス透過性を高める。樹脂繊維はその長さが長ければ、樹脂繊維の配向方向におけるガス透過性を高め得る。
即ち、人工合成された樹脂繊維は、シートの段階において耐引張性を向上させる機能を果たし、加熱処理においてシートから焼失してシートの内部に空孔を形成し、シートのガス透過性を向上させる機能を果たす。
(2)様相2に係るガス拡散素材の製造方法は、導電性を有する導電物質と、天然物を原料とし加熱処理により焼失する焼失材とを主要成分とする液状物を準備する液状物準備工程と、液状物に対して抄紙処理を行うことにより、液状物の液分と固形分とを分離して固形分を集積させてシートを形成する抄紙工程とを順に実施するガス拡散素材の製造方法において、
液状物準備工程における液状物は、人工合成された樹脂繊維であって、加熱処理により前記シートから焼失する樹脂繊維をさらに含み、抄紙工程により形成されるシートは、導電性を有する導電物質と、加熱処理により焼失する焼失材と、加熱処理により焼失する樹脂繊維とを主要成分とするガス拡散素材であることを特徴とする。
様相2に係るガス拡散素材に対して加熱処理により細孔形成工程を実施し、ガス拡散素材に含まれている天然物を原料とする焼失材および人工合成された樹脂繊維を焼失させることにより、ガス流路となる多数の空孔を形成すれば、様相1に係るガス拡散部材が形成される。従って、様相2に係るガス拡散素材についての説明については、様相1に係るガス拡散部材の説明が準用される。
(3)様相3に係るガス拡散素材は、導電性を有する導電物質と、天然物を原料とし加熱処理により焼失する焼失材と、人工合成された樹脂繊維であって、加熱処理により焼失する樹脂繊維とを主要成分とすることを特徴とする。
様相3に係るガス拡散素材に対して加熱処理により細孔形成工程を実施し、ガス拡散素材に含まれている天然物を原料とする焼失材および人工合成された樹脂繊維を焼失させることにより、ガス流路となる多数の空孔を形成すれば、様相1に係るガス拡散部材が形成される。従って、様相3に係るガス拡散素材についての説明については、様相1に係るガス拡散部材の説明が準用される。
本発明によれば、シート(ガス拡散素材)に含まれている人工合成された樹脂繊維は、シート(ガス拡散素材)の製造過程においてシート(ガス拡散素材)の耐引張性を向上させる機能を果たす。更に人工合成された樹脂繊維は、後工程である加熱処理によりシート(ガス拡散素材)から焼失することにより、空孔を形成してガス透過性を向上させる機能を果たす。
また本発明によれば、パルプ材等の天然物を原料とする焼失材と共に人工合成された樹脂繊維を配合している。このため、パルプ材等の天然物を原料とする焼失材の品質にバラツキがあるときであっても、パルプ材等の天然物を原料とする焼失材と共に人工合成された樹脂繊維をシートに配合すれば、品質にバラツキが生じやすいパルプ材等の焼失材の配合割合を相対的に低減させることができる。故に、シートの品質のバラツキを低減させるのに有利となる。故に、ガス拡散部材の信頼性を更に向上させるのに有利となる。また、人工合成された樹脂繊維は、加熱処理によりシートから焼失するため、ガス拡散部材におけるガス透過性を高めるのに有利となる。
更に、本発明によれば、製造過程においてシートに含まれる人工合成された樹脂繊維によりシートの強度を確保できるため、シートに含まれる導電物質の配合割合を増加させることもでき、ガス拡散部材の導電性を高めるのに有利となる。
本発明に係る液状物準備工程では、導電性を有する導電物質と、加熱処理により焼失する天然物を原料とする焼失材と、人工合成された樹脂繊維とを主要成分とする液状物を準備する。液状物の液体としては水、有機溶媒が例示される。導電物質としては、繊維状でも粒子状でも良い。導電物質としては、耐食性、導電性等を考慮すると、一般的には炭素系、金属系を用いることができる。炭素系としてはカーボン繊維、カーボン粒子等が挙げられ、具体的には天然黒鉛、人造黒鉛、膨脹黒鉛、カーボンブラックが例示される。カーボン繊維等の導電繊維としては、径が1〜500μm、殊に3〜40μm、長さが0.5〜10mm、殊に1〜5mmのものを例示できるが、これらに限定されるものではない。加熱処理により焼失する天然物を原料とする焼失材としては、木材系の焼失材、セルロース系の焼失材が例示される。
液状物は人工合成された樹脂繊維を含む。樹脂繊維としては、熱可塑性樹脂でも良いし、熱硬化性樹脂でも良い。樹脂繊維としては、疎水性を有するもの、親水性を有するものでも良い。人工合成された樹脂繊維は水等の溶媒または分散媒に溶解しないもの(完全に溶解しないもの)、溶解しにくいものが好ましい。これにより湿潤環境下においても樹脂繊維の引張強度が確保され易い。
人工合成された樹脂繊維としては、具体的には、ポリ乳酸繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維のうちの1種または2種以上が例示される。
樹脂繊維としては、加熱処理時に熱分解性が高い繊維、融点が低い繊維を採用できる。従って、樹脂繊維としては、500℃以下、または、400℃以下で熱分解または燃焼するものが好ましい。このようなものとしては、生分解性樹脂繊維が例示される。
従って樹脂繊維の少なくとも一部は、生分解性樹脂繊維とすることができる。生分解性樹脂繊維は、一般的には、微生物により炭酸ガスと水とに分解(完全分解性、部分分解、崩壊性も含む)される。生分解性樹脂繊維は加熱処理で焼失されるとき、燃焼時に発生するカロリーが少なく、有害ガスの発生も少ないか、あるいは、ない。生分解性樹脂繊維は、微生物により分解可能な樹脂繊維であるが、加熱処理されると、熱分解性が良好であり、残滓が残りにくいという長所をもつ。 上記したポリ乳酸繊維は生分解樹脂繊維の一つであり、500℃以下または400℃以下の温度で加熱処理するときにおける熱分解性が優れており、残滓が残りにくい。ポリ乳酸繊維は、ポリ乳酸を主要成分とする繊維であり、ポリ乳酸の純度が高いものでも、ポリ乳酸をアロイ化したものでも良い。一般的には、ポリ乳酸繊維は、トウモロコシ等のでんぷん原料から乳酸を作製し、これを重合してポリ乳酸とし、ポリ乳酸を繊維状または糸状にして形成される。ポリ乳酸繊維の融点は一般的には140〜220℃程度であり、融点が比較的低い。ポリ乳酸は比較的低温で熱分解により焼失させることができるが、常温における機械的強度は他の合成繊維に比較して遜色がない。
ポリビニルアルコール繊維の物性(水への溶解性)は、けん化度(mol%)に影響を受ける。けん化度が低いと、水に溶解し易くなる。従って、けん化度としては93以上、95以上、98以上とすることが好ましい。強度を考慮すると、部分けん化よりも、完全けん化が好ましい。ポリビニルアルコール繊維の重合度が低い方が熱分解性が良い。このためポリビニルアルコール繊維の平均重合度1000〜3500程度、特に1500〜2500程度を採用できる。特に上限値としては、2500、または3000が例示される。なお、ポリビニルアルコール繊維の融点は、けん化度および重合度によっても相違するが、190〜270℃、200〜240℃が挙げられる。
人工合成された樹脂繊維の繊維長が過剰に短いと、シートの引張強度が確保されにくい。樹脂繊維の繊維長が過剰に長いと、抄紙時に液分の流れに対して、樹脂繊維が繊維長方向に揃い易くなり、繊維長方向(MD方向)の配向性が高くなり、繊維長と直交する方向(CD方向)の強度が低下するおそれがある。上記した点を考慮して、人工合成された樹脂繊維の繊維長としては、2ミリメートル以上、3ミリメートル以上、5ミリメートル以上、10ミリメートル以上、20ミリメートル以上が例示される。樹脂繊維の繊維長の上限としては、樹脂繊維の種類、コスト、市販性、繊維の長さ方向に要請される引張強度、繊維の長さ方向と直交する方向の強度等にもよるが、100ミリメートル以下、50ミリメートル以下、30ミリメートル以下、20ミリメートル以下が例示される。従って樹脂繊維の繊維長としては、3ミリメートル以上20ミリメートル以下、5ミリメートル以上10ミリメートル以下を例示することができる。樹脂繊維の繊維径が過剰に大きいと、シートの厚みがバラツキおそれがある。樹脂繊維の繊維径が過剰に小さいと、樹脂繊維の強度が低下する。繊維径はかかる点を考慮し、0.5〜30マイクロメートルにすることができる。但しこれに限定されるものではない。
人工合成された樹脂繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)が大きいと、繊維長が長いため、シート(ガス拡散素材)の耐引張性を高めるのに有利となる。樹脂繊維のアスペクト比が小さいと、耐引張性が低下する。上記した点を考慮し、樹脂繊維のアスペクト比としては、10以上、40以上である形態が例示される。殊に、60以上、100以上、300以上、500以上、700以上とすることができる。樹脂繊維のアスペクト比の上限としては、樹脂繊維の種類、コスト、市販性等によるが、10000以下、5000以下が挙げられる。但しこれに限定されるものではない。
本発明に係る抄紙工程では、液状物に対して抄紙処理を行うことにより、液状物の液分と固形分とを分離して固形分を集積させることにより、導電物質および焼失材を主要成分とするシート(ガス拡散素材に相当)を形成する。抄紙処理は、液状物の液分と固形分とを分離して固形分を集積させる処理を意味する。抄紙処理としては、液状物と網状部材とを接触させることにより、液状物の液分と固形分とを分離して固形分を網状部材に集積させる形態が例示される。更に、抄紙処理としては、網状部材を用いることなく、液状物から液分を吸引させることにより液分と固形分を分離させることにより、固形分を集積させる形態も例示される。
人工合成された樹脂繊維の配合比が過剰であると、導電物質の配合比が相対的に低下し、コストも増加し易い。人工合成された樹脂繊維の配合比が少ないと、シートの耐引張性が低下する傾向がある。そこで上記した事情を考慮し、質量比で、液状物に含まれている固形分を100%とするとき、質量比で、樹脂繊維は2%以上で40%以下とすることができる。従って樹脂繊維については、下限値として3%以上、4%以上、6%以上を例示でき、上限値として10%以下、15%以下、20%以下、30%以下を例示できる。質量比で、液状物に含まれている固形分を100%とするとき、シートの導電性を確保するため、質量比で、導電物質は20%以上で80%以下とすることができる。従って導電物質については、下限値として25%以上、30%以上、40%以上を例示でき、上限値として70%以下、60%以下、50%以下を例示できる。
本発明に係る細孔形成工程では、抄紙されたシート(ガス拡散素材に相当)を加熱処理することにより、シートに含まれている天然物を原料とする焼失材および人工合成された樹脂繊維を焼失させてシートの内部に細孔を増加させることにより、ガス拡散性を有するガス拡散部材を形成する。加熱処理温度が過剰に高温であると、導電物質等が劣化する。加熱処理温度が過剰に低温であると、細孔形成工程に時間がかかり、生産性が低下する。かかる点を考慮し、加熱処理の温度、時間、雰囲気は、天然物を原料とする焼失材の種類、人工合成された樹脂繊維の種類等に応じて適宜選択できる。加熱処理の温度としては200〜500℃、220〜400℃を例示できる。加熱処理の雰囲気としては大気などの酸素含有雰囲気を採用できる。
本発明によれば、抄紙工程と細孔形成工程との間に、撥水材を含むインクまたはスラリー等の含浸材をシートの内部に含浸させる含浸工程(インク塗工工程)を実施しても良い。撥水材は、シートの内部に形成されるガス通路が水で塞がれることを抑制する機能を奏する。撥水材としては、4フッ化エチレン(PTEFE)、4フッ化エチレン・エチレン共重合体(ETFE)、4フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)等のフッ素樹脂が例示される。
以下、本発明の実施例1について図1〜図5を参照しつつ具体的に説明する。
カーボン繊維(導電物質に相当)の短繊維〈代表的な大きさとしては、径13μm、長さ3ミリメートル)と、加熱処理により焼失すると共に天然物を原料とする焼失材として機能するパルプ材(木材系繊維、セルロース系焼失材)と、人工合成された樹脂繊維とを用意した。これらを、所定の配合比率で容器内の水に混合し、水中で叩解することにより、カーボン繊維とパルプ材と樹脂繊維とを均一に分散させた流動性をもつ抄紙用スラリー10(液状物)を作製した。
樹脂繊維としては、生分解性繊維であるポリ乳酸繊維を用いた。即ち、本実施例は、微生物で分解される生分解性繊維の熱分解性が良好であり、残滓が残りにくいという点、乾燥環境下および湿潤環境下の双方において引張強度が確保されるという点に着目し、生分解性繊維をシートの内部に担持させ、微生物による分解ではなく、加熱処理によりシートの内部から焼失させて、ガス流路となる空孔を形成することを意図している。
ポリ乳酸繊維はパルプ材よりも高い疎水性を有すると共に、400℃以下における熱分解性が良好である。しかもポリ乳酸繊維は合成されているため、天然物を原料とするパルプ材に比較して、品質(材質、繊維長、繊維径等)が安定している。ポリ乳酸繊維としては、径が約9〜16μm、長さが約3〜5ミリメートル、アスペクト比が約200〜500のものを用いた。
本実施例によれば、抄紙用スラリー10において、質量比で、抄紙用スラリー10に含まれている固形分を100%とするとき、カーボン繊維は60〜70%、パルプ材は10〜35%、樹脂繊維は5〜20%とした。配合割合は、抄紙性、導電性の確保、強度の確保などを考慮した。ここで、固形分は、カーボン繊維、パルプ材、樹脂繊維の合計に相当する。
そして、その抄紙用スラリー10を網状部材(材質:ステンレス鋼(SUS316、65〜80メッシュ)により抄紙処理した。即ち、抄紙用スラリーに含まれている固形分と液分とを網状部材により分離し、厚さ約0.3ミリメートルのシート20を製造した。従って、シート20は、カーボン繊維とパルプ材と樹脂繊維とを主要成分とする。抄紙処理の際に、抄紙用スラリー10にパルプ材が含有されていないときには、硬いカーボン繊維を捕獲して抄紙化することは困難となる。しかし抄紙用スラリー10にパルプ材が含有されていると共に人工合成された樹脂繊維も含有されているため、カーボン繊維がシート20として良好に捕獲されて抄紙される。従ってパルプ材および樹脂繊維は、液状物から導電物質を捕獲する捕獲促進物質として機能することができる。
図2は、抄紙で形成したシート20をロール成形している途中状態を模式的に示す。このようにシート20は、製造工程では、複数のロール500間を曲成されつつ搬送される。このようにシート20がロール500間において移動するとき、シート20には引張力が作用する。このとき、シート20に担持されている人工合成された樹脂繊維は、パルプ材と共にシート20の耐引張性を向上させることができ、シート20の損傷が抑えられる。殊に、ポリ乳酸繊維は、親水性をもつパルプ材よりも疎水性を有するため、湿潤雰囲気においても、ポリ乳酸繊維の引張強度が良好に確保され、シート20の耐引張性を向上させることができ、シート20の損傷が抑えられる。
本実施例では、導電物質であるカーボンブラック(バルカンXC−72)と撥水材(PTFE分散液 ダイキン工業 D−1)とを重量比で2:1で混合分散して形成したインクを用いた。そして、このインクを上記シート20にこれの表面から内部にロールコートにより含浸させるインク塗工工程を行った(図3に模式的に示す)。仮に、シート20が乾燥していたとしても、インク塗工工程においてシート20は再び湿潤状態となり、引張強度が低下する傾向がある。しかしながら本実施例によれば、人工合成された樹脂繊維(ポリ乳酸繊維)の表面はパルプ材よりも高い疎水性を有するため、樹脂繊維と水分とが過剰に接触しない。このため、シート20に担持されている樹脂繊維(ポリ乳酸繊維)の水等の溶媒または分散媒による劣化が抑えられる。故に、シート20がロール搬送されるときであっても、樹脂繊維(ポリ乳酸繊維)の引張強度が良好に維持され、シート20の引張強度が良好に維持される。
その後、インクを含浸させたシート20を120℃で20分間乾燥させた後、400℃以下の所定の温度(380℃)にて大気中において加熱保持して加熱処理した。加熱処理により、シート20の内部に含まれているパルプ材を焼失させて、パルプ材の跡を細孔22とした(図4に模式的に示す)。パルプ材は繊維状であるため、パルプ跡である細孔22は基本的にはパルプ材の担持形態に対応する形状となり、ガス透過性が良好な連続孔になると推察される。また、上記した樹脂繊維(ポリ乳酸繊維)は生分解性樹脂繊維でもあり、低温における熱分解性が高いため、加熱処理によりシート20から良好に焼失することができる。このため加熱処理において樹脂繊維の残滓が低減され、ガス透過性が良好な細孔を形成することができる。樹脂繊維はその長さが長いため、ガス透過性を高めるのに有利である。このように本実施例によれば、ポリ乳酸繊維等の人工合成された樹脂繊維は、シート20の段階において耐引張性を向上させる機能を果たし、後工程において空孔を形成してガス透過性を向上させる機能を果たす。
その後、シート20をホットプレスにより厚み方向に加圧した。これにより厚みが面内で均一になるように調整し、実施例に係る多孔質性をもつガス拡散部材100を形成した。このガス拡散部材100は、基本的には、導電物質であるカーボン繊維、導電物質であるカーボンブラック、撥水材(PTFE)を主要成分とする。
以上説明したように本実施例によれば、出発原料としての抄紙用スラリー10(液状物)にはカーボン繊維及びパルプ材の他に、人工合成された樹脂繊維(ポリ乳酸繊維)が含有されている。このようにして形成した加熱処理前のシート20(ガス拡散素材に相当)は、天然物を原料とするパルプ材と共に人工合成された樹脂繊維(ポリ乳酸繊維)を含む。このため、シート20の強度は向上し、製造過程においてシート20に強い引張力が作用するときであっても、シート20は損傷しにくくなる。ここで、シート20に配合されているパルプ材は、シート20に耐引張性を与えるが、水に溶解したりし易いため、湿潤雰囲気においてはシート20に耐引張性を与えるのに限界がある。
しかしながら上記した樹脂繊維は、引張強度を有すると共に、パルプ材に比較して疎水性を有するため、湿潤雰囲気においても樹脂繊維の過剰湿潤が抑えられ、湿潤雰囲気においてシート20に耐引張性を与えるのに有利である。従って図2に示すように、製造過程において、シート20がロールで搬送されたり、巻き取られるとき、シート20に大きな引張力が作用するとしても、シート20は損傷しにくくなる。このように本実施例によれば、上記した樹脂繊維をシート20に配合しているため、シート20の乾燥状態における引張強度、湿潤状態における引張強度を上昇させることができる。殊に、シート20が湿潤状態になりがちのインク塗工工程において、シート20の引張強度を確保するのに有利である。
更に本実施例によれば、ポリ乳酸繊維(人工合成高分子物質)からなる樹脂繊維がパルプ材と共に使用されている。このため、天然木材を処理している関係上、品質のバラツキ低減に限界がある天然物を原料とするパルプ材の配合割合を少なくできる。故に、品質および強度のバラツキが少なくなり、ガス拡散部材の信頼性を更に向上させるのに有利である。
本実施例によれば、前述したようにシート20(ガス拡散素材に相当する)の引張強度を高めることができるため、導電性を有するカーボン繊維の配合割合を増加させることができ、シート20の導電性を向上させることができる。更に前述したように、人工合成された樹脂繊維として用いられているポリ乳酸繊維は、熱分解性が良好であるため、比較的低温で焼失してシート20から排出される。更に加熱処理したとき、加熱処理による残滓が少なくなり、ガス流路となる空孔の確保するのに有利となる。また、この樹脂繊維(ポリ乳酸繊維)は熱分解性が良好であるため、加熱処理による残滓(電気抵抗が高い)が少なくなり、シート20の導電性の確保に有利である。
図5は、セパレータ200とともにガス拡散部材100を燃料電池に組み込まれている状態を模擬的に示す。図5に示すように、カーボンシートからなるガス拡散部材100と高分子型の電解質膜400との間には、触媒層410,420が配置されている。触媒層410,420は、白金等の触媒物質、カーボンブラックなどの電子伝導性物質および電解質物質を含む。図5に示すように、カーボンシートからなるガス拡散部材100は、厚み方向の両側からセパレータ200により挟圧されている。この場合、セパレータ200のガス流路210を形成する凸部220が形成されており、凸部220の先端面220aによりガス拡散部材100がこれの厚み方向に加圧されている。
ここで、ガス拡散部材100の内部に形成されている細孔は、燃料ガスや酸化剤ガス等の反応ガスを通過させるガス透過機能と、発電反応により発生した水を排出させる水排出機能とを有する。
以下、本発明の実施例2について説明する。実施例2は基本的には実施例1と同様とした。但し、人工合成された樹脂繊維としては、ポリビニルアルコール繊維(PVA)を用いた。ここで、ポリビニルアルコール繊維としては、平均重合度が1500〜2500程度、径が約9〜20μm、長さが約3〜10ミリメートル、アスペクト比が約300〜2000のものを用いた。
上記した抄紙用スラリー10において、質量比で、抄紙用スラリー10に含まれている固形分を100%とするとき、カーボン繊維は60〜70%、パルプ材は10〜25%、樹脂繊維(ポリビニルアルコール繊維)は5〜20%とした。
本実施例においても実施例1と基本的には同様の作用効果を有しており、シート20の強度は向上し、製造過程においてシート20に強い引張力が作用するときであっても、シート20は損傷しにくくなる。更に、ポリビニルアルコール繊維は400℃以下における熱分解性が良好であり、ガス流路となる空孔を良好に形成できる。しかも、人工合成物であるため、天然物原料を処理したパルプ材に比較して、品質(材質、繊維長、繊維径等)が安定している。このため製造過程において、安定した耐引張性をシート20(ガス拡散素材に相当)に与えることができる。なお、ポリビニルアルコール繊維が膨潤する場合には、シート20に含有されているポリビニルアルコール繊維の絡み性の向上を期待でき、強度の確保に有利と考えられる。
試験例1〜試験例4および比較例1、比較例2について、試験片を作製し、試験を行った。表1は、液状物に含まれている固形分の配合割合を示す。導電物質としてカーボン繊維を用いた。カーボン繊維については、径13μm、長さ3ミリメートルとした。試験例1〜試験例3では、人工合成された樹脂繊維としてポリ乳酸繊維を用いた。試験例4では、樹脂繊維としてポリビニルアルコール繊維(PVA)を用いた。ポリ乳酸繊維については、径9μm、長さ5ミリメートルとした。ポリビニルアルコール繊維(平均重合度2000)については、径12μm、長さ6ミリメートルとした。比較例1および比較例2は、樹脂繊維を配合していない。α値は(パルプ材の質量%/樹脂繊維の質量%)を示す。α値は0.5〜7の範囲内とされている。
そして、試験例1に基づいて、表1に示す比率で容器内の水に原料を混合し、水中で叩解することにより、カーボン繊維とパルプ材と樹脂繊維とを均一に分散させた抄紙用スラリー(液状物)を作製した。その抄紙用スラリーを網状部材により抄紙工程を実施した。
そして、試験例1に基づいて、抄紙工程およびインク塗工工程を経てシート状の試験片を形成した。抄紙工程およびインク塗工工程において連続生産性(シートの損傷性)を評価した。更に、シートが乾燥している状態における乾燥引張強度(常温)、シートが湿潤している状態における湿潤引張強度(常温)、電気抵抗について測定した。その結果を表2に示す。各引張強度はオートグラフ引張試験で求めた。湿潤引張強度は、5秒間水に浸漬させた試験片に対して水を拭き取った後に引張試験した。引張試験における試験片のサイズは巾15ミリメートル×長さ100ミリメートル、厚み0.3ミリメートルとした。
電気抵抗は、サイズ30ミリメートル×36ミリメートル(面積10.8cm)の試験片をカーボン成形体の電極で挟み込み、20kgf/cm(面荷重)下で一定電流を給電した際の電圧値より算出した。比較例1を100としたときにおける相対値として電気抵抗を示した。
カーボン繊維の同量同士で測定結果を比較する。比較例1および試験例1については、カーボン繊維が60%配合されており、同量であった。ここで、乾燥引張強度は比較例1では13.5Nであった。カーボン繊維の配合が少な目であるときには、パルプ材の配合が多いため、シートの引張強度は比較的確保される。但し、天然物を原料とするパルプ材は季節、生産地等による品質のバラツキが多い。更にパルプ材はナトリウムやカリウム等の元素を含むことがある。これに対して試験例1では12.1〜14.9Nであり、比較例1よりも優れているかほぼ同等であった。
湿潤引張強度は比較例1では4.8Nであり、試験例1ではポリ乳酸繊維の配合が15%以下であれば、4.7〜5.2Nであり、比較例1よりも優れているかほぼ同等であった。但し、試験例1といえども、ポリ乳酸繊維の配合量が20%を超えると、乾燥引張強度および湿潤引張強度はやや低下する。従って引張強度を重視する観点からは、ポリ乳酸繊維の配合量は質量比で1〜15%、5〜15%が好ましい。このようにポリ乳酸繊維が多めのときには、シートの引張強度はやや低下する。しかしながらポリ乳酸繊維は人工合成物であり、品質がバラツキ易いパルプ材よりも季節的等に品質が安定しているため、パルプ材のみのときよりも、シートの品質のバラツキ低減、シートの信頼性の向上を図るのに有利である。更に、ポリ乳酸繊維は前述したように加熱処理後の残滓もパルプ材に比較して少ないため、空孔形成の確保に有利である。従って、シートの引張強度の確保、シートの品質の安定化等を総合的に考慮すると、固形分を100%としたとき、ポリ乳酸繊維の配合量は質量比で1〜30%、1〜25%、または、1〜20%の範囲内で設定することができる。電気抵抗については、カーボン繊維が同量である比較例1および試験例1はほぼ同等であった。
また、比較例2,試験例3(ポリ乳酸繊維配合),試験例4(ポリビニルアルコール繊維配合)については、カーボン繊維が70%配合されており、同量とされている。ここで、乾燥引張強度は、比較例2では6.9Nであり、試験例3では7.5〜14.0Nであり、比較例2よりもかなり優れていた。試験例4では8.5〜14.2Nであり、比較例2よりもかなり優れていた。
湿潤引張強度は、比較例2では2.4Nであり、試験例3では3.3〜4.5Nであり、比較例2よりもかなり優れていた。試験例4では3.5〜4.6Nであり、比較例2よりもかなり優れていた。電気抵抗については、カーボン繊維が同量である比較例2および試験例3,試験例4はほぼ同等であった。
上記したように樹脂繊維としてポリ乳酸繊維、ポリビニルアルコール繊維(PVA)を配合させれば、シートの電気抵抗を維持しつつ、シートの湿潤引張強度および乾燥引張強度を共に上昇させることができる。
Figure 0004567588
Figure 0004567588
なお、前述したように、α値は(パルプ材の質量%/樹脂繊維の質量%)を示す。α値が高いと、パルプ材の割合が樹脂繊維よりも高く、コスト的に有利である。α値が低いと、湿潤状態においても強度が確保される樹脂繊維の配合割合が高くなり、湿潤状態におけるシートの強度を高めるのに有利となる。α値としては、0.3以上、0.5以上、1以上、20以下を例示することができる。
(その他)
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例および試験例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。例えば、必要に応じて、ポリ乳酸繊維およびポリビニルアルコール繊維の双方を液状物に配合しても良い。ポリ乳酸繊維およびポリビニルアルコール繊維のサイズは上記した記載に限定されるものではない。
本発明は固体高分子電解質型燃料電池のガス拡散部材の製造方法に利用することができる。
カーボン繊維、パルプ、樹脂繊維を配合して抄紙用スラリーを形成している過程を模式的に示す構成図である。 シートをロール成形している状態を模式的に示す構成図である。 カーボンブラックおよび撥水材を含むペースト状のインクをシートに表面から含浸させている形態を模式的に示す構成図である。 細孔を有するカーボンシートで形成されたガス拡散部材を示す構成図である。 実施例に係るガス拡散機材をガス拡散部材として組みこんだ燃料電池を模式的に示す断面図である。
図中、100はガス拡散部材、200はセパレータ、210はガス流路、10はスラリー(液状物)、20はシート(ガス拡散素材)、22は細孔を示す。

Claims (11)

  1. 導電性を有する導電物質と、天然物を原料とし加熱処理により焼失する焼失材とを主要成分とする液状物を準備する液状物準備工程と、
    前記液状物に対して抄紙処理を行うことにより、前記液状物の液分と固形分とを分離して前記固形分を集積させることにより、前記導電物質および前記焼失材を主要成分とするシートを形成する抄紙工程と、
    抄紙された前記シートを加熱処理することにより、前記シートに含まれている前記焼失材を焼失させて前記シートの内部に細孔を増加させることにより、ガス拡散性を有するガス拡散部材を形成する細孔形成工程とを順に実施するガス拡散部材の製造方法において、
    前記液状物準備工程における前記液状物は、人工合成された樹脂繊維であって、前記加熱処理により前記シートから焼失する樹脂繊維をさらに含み、
    前記樹脂繊維は、抄紙された前記シートに含有されて前記シートを補強すると共に、前記細孔形成工程における前記加熱処理により前記シートから焼失することを特徴とするガス拡散部材の製造方法。
  2. 請求項1において、前記樹脂繊維の少なくとも一部は生分解性樹脂繊維であることを特徴とするガス拡散部材の製造方法。
  3. 請求項1において、前記樹脂繊維はポリ乳酸繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維のうちの1種または2種以上であることを特徴とするガス拡散部材の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項において、前記樹脂繊維の繊維長は2ミリメートル以上であり、繊維径は2マイクロメートル以上であることを特徴とするガス拡散部材の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項において、質量比で、前記液状物に含まれている固形分を100%とするとき、前記樹脂繊維は2%以上で40%以下であることを特徴とするガス拡散部材の製造方法。
  6. 導電性を有する導電物質と、天然物を原料とし加熱処理により焼失する焼失材とを主要成分とする液状物を準備する液状物準備工程と、
    前記液状物に対して抄紙処理を行うことにより、前記液状物の液分と固形分とを分離して前記固形分を集積させてシートを形成する抄紙工程とを順に実施するガス拡散素材の製造方法において、
    前記液状物準備工程における前記液状物は、人工合成された樹脂繊維であって、加熱処理により前記シートから焼失する樹脂繊維をさらに含み、
    前記抄紙工程により形成される前記シートは、導電性を有する前記導電物質と、加熱処理により焼失する前記焼失材と、加熱処理により焼失する前記樹脂繊維とを主要成分とするガス拡散素材であることを特徴とするガス拡散素材の製造方法。
  7. 請求項6において、前記樹脂繊維の少なくとも一部は生分解性樹脂繊維であることを特徴とするガス拡散素材の製造方法。
  8. 請求項6において、前記樹脂繊維はポリ乳酸繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維のうちの1種または2種以上であることを特徴とするガス拡散素材の製造方法。
  9. 導電性を有する導電物質と、天然物を原料とし加熱処理により焼失する焼失材と、人工合成された樹脂繊維であって、加熱処理により焼失する樹脂繊維とを主要成分とすることを特徴とするガス拡散素材。
  10. 請求項9において、前記樹脂繊維の少なくとも一部は生分解性樹脂繊維であることを特徴とするガス拡散素材。
  11. 請求項9において、前記樹脂繊維はポリ乳酸繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維のうちの1種または2種以上であることを特徴とするガス拡散素材。
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